IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フットマーク株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-着脱容易な衣類 図1
  • 特開-着脱容易な衣類 図2
  • 特開-着脱容易な衣類 図3
  • 特開-着脱容易な衣類 図4
  • 特開-着脱容易な衣類 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182207
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】着脱容易な衣類
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/02 20060101AFI20221201BHJP
   A41B 9/04 20060101ALI20221201BHJP
   A41B 9/06 20060101ALI20221201BHJP
   A41D 7/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A41B9/02 N
A41B9/04 Z
A41B9/06 Z
A41D7/00 E
A41D7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089647
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】594056100
【氏名又は名称】フットマーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】川合 夏紀
【テーマコード(参考)】
3B128
【Fターム(参考)】
3B128AA01
3B128AA03
3B128AA04
3B128EA01
3B128EB27
3B128EC09
3B128FC05
3B128GA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】着脱が容易な衣類を提供すること。特に、着脱が容易な水着用パンツ、トップス、これらのセットを提供すること。
【解決手段】本発明に係るパンツ200は、着用者のウエスト付近に位置する上縁部204と、着用者の膝よりも上の大腿部付近に位置する下縁部206と、着用者の両足大腿部の前面に位置し、前記上縁部204から前記下縁部206の全域に渡って縦方向に延びるファスナー208L,208Rと、を備える。そして、前記ファスナー208L,208Rを開放した状態において、前身頃の中心付近の第1の領域201と、当該第1の領域201の左右外側から後身頃に位置する第2の領域202と、これら第1の領域201と第2の領域202とが連結された股間部領域203とが形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者のウエスト付近に位置する上縁部と;
着用者の膝よりも上の大腿部付近に位置する下縁部と;
着用者の両足大腿部の前面に位置し、前記上縁部から前記下縁部の全域に渡って縦方向に延びるファスナーと;を備え、
前記ファスナーを開放した状態において、前身頃の中心付近の第1の領域と、当該第1の領域の左右外側から後身頃に位置する第2の領域と、これら第1の領域と第2の領域とが連結された股間部領域とが形成されることを特徴とするパンツ。
【請求項2】
当該パンツを着用した状態から、前記ファスナーを開放することによって、前記第1の領域と前記第2の領域とが分離されることを特徴とする請求項1に記載のパンツ。
【請求項3】
前記ファスナーは、大腿部前面の中心を縦方向に直線的に延びることを特徴とする請求項1又は2に記載のパンツ。
【請求項4】
水着用パンツであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のパンツ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の前記パンツと組み合わせて使用されるトップスであり、
着用者のウエスト付近に位置する下縁部と;
着用者の鎖骨付近に位置する上縁部と;
背面から前記トップス上縁部に向かって肩部に延びる肩ベルトと;
前身頃の中心部分を上下方向に延びるファスナーと;
前記肩ベルトの前端部の外面と、前記上縁部の内面とを連結する第1の留め具と;を備え、
前記上縁部を把持して下方又は斜め下方に引っ張ることによって、前記第1の留め具を開放可能に構成されたことを特徴とするトップス。
【請求項6】
肩部及び袖部のないタンクトップタイプであることを特徴とする請求項5に記載のトップス。
【請求項7】
前記第1の留め具は、縦方向に複数配置されたスナップであることを特徴とする請求項5又は6に記載のトップス。
【請求項8】
当該トップスの前記下縁部付近と、前記パンツの上縁部付近とを連結する第2の留め具を備えたことを特徴とする請求項5、6又は7に記載のトップス。
【請求項9】
水着用のトップスであることを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載のトップス。
【請求項10】
請求項4に記載のパンツと、請求項9に記載のトップスを組み合わせて構成される水着セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱が容易となるように改良された衣類(ボトムス、トップス)に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や障害者においては、起立した姿勢を保つことが困難であり、自分でパンツ(ズボン等)を履いたり脱いだりすることが容易でない。特に、水着や密着性の高いパンツの場合には、尚更着脱が困難である。
【0003】
また、関節が硬直気味の高齢者や障害者においては、トップス(シャツ等)の着脱も容易ではない。特に、水着や密着性の高いトップスの場合には、このような問題は、パンツの場合と同様に顕著となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、着脱が容易な衣類を提供することを目的とする。
特に、着脱が容易な水着用パンツ、及びトップスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような目的を達成するために、本発明に係るパンツは、着用者のウエスト付近に位置する上縁部と;着用者の膝よりも上の大腿部付近に位置する下縁部と;着用者の両足大腿部の前面に位置し、前記上縁部から前記下縁部の全域に渡って縦方向に延びるファスナーと;を備える。前記ファスナーを開放した状態において、前身頃の中心付近の第1の領域と、当該第1の領域の左右外側から後身頃に位置する第2の領域と、これら第1の領域と第2の領域とが連結された股間部領域とが形成される。
【0006】
当該パンツを着用した状態から、前記ファスナーを開放することによって、前記第1の領域と前記第2の領域とが分離される。
【0007】
本発明に係るパンツにおいては、着用者の両足大腿部の前面に位置し、上縁部から下縁部の全域に渡って縦方向に延びるファスナーを備えているため、ファスナーを開放することによって、第2の領域が左右外側に外れるような格好となり、パンツを着用して椅子に座った状態でも、パンツを脱ぐことができる。高齢者の場合には、起立した状態を維持することが困難なだけでなく、上半身を前方に倒す(かがむ)ことが困難であるため、本発明のパンツは極めて有用である。
【0008】
また、介護者にパンツを脱がせて(履かせて)もらうような場合にも、介護者の負担が軽減される。すなわち、本発明に係るパンツは水着以外にも、介護が必要な人の下着パンツや、半ズボンにも適用可能である。
【0009】
前記ファスナーは、大腿部前面の中心を縦方向に直線的に延びることが好ましい。
【0010】
本発明は、水着用パンツに適用することができる。
【0011】
本発明の他の態様は、前記パンツと組み合わせて使用されるトップスであり、着用者のウエスト付近に位置する下縁部と;着用者の鎖骨付近に位置する上縁部と;背面から前記トップス上縁部に向かって肩部に延びる肩ベルトと;前身頃の中心部分を上下方向に延びるファスナーと;前記肩ベルトの前端部の外面と、前記上縁部の内面とを連結する第1の留め具と;を備える。そして、前記上縁部を把持して下方又は斜め下方に引っ張ることによって、前記第1の留め具を開放可能に構成されている。
【0012】
本発明に係るトップスにおいては、肩ベルトの前端部の外面と、上縁部の内面とを第1の留め具で連結し、上縁部を把持して下方又は斜め下方に引っ張ることによって、第1の留め具を開放可能に構成されているため、高齢者や手先に障害があって繊細な動作が困難な人であっても、鎖骨付近の上縁部を掴んで引っ張るという単純な動作でトップスの肩部分を脱ぐ(開放)することができる。更に、前身頃に設けられたファスナーを開放することによって、トップスを完全に脱ぐことができる。
【0013】
通常のトップスであれば、前身頃の下縁部分を掴んで持ち上げ、裏返すように頭を抜いたり、肩をくねらせて袖を抜いたりする必要があった。しかし、このような動作は、高齢者や障害がある人にとっては困難な場合が多い。本発明に係るトップスはこのような問題を完全に克服できるものである。
【0014】
本発明に係るトップスは、肩部及び袖部のないタンクトップタイプに適用することができる。
【0015】
前記第1の留め具は、縦方向に複数配置されたスナップとすることができる。
【0016】
当該トップスの前記下縁部付近と、前記パンツの上縁部付近とを連結する第2の留め具を備えることができる。
【0017】
本発明は、水着用のトップスに適用することができる。
【0018】
本発明の更に他の態様は、本発明の第1の態様に係るパンツと、本発明の第2の態様に係るトップスとを組み合わせて構成される水着セットである。
【0019】
本発明において、「パンツ」は一般的にイメージされる下着のパンツのみを意味するものではなく、下半身に着用する衣服(ボトムス)の一種としてのパンツを意味し、半ズボンや下着のパンツも含むことができる。
「トップス」とは、上半身に着用する衣服を示すものである。
「ファスナー」は、スライド式の留め具であり、ジッパーと称することがある。
また、「縦方向」又は「上下方向」とは、着用者が起立した状態で、足先から頭部に向かう概ね垂直の方向である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施例に係る水着セットの構成を示す平面図(正面図)である。
図2図2は、本発明の実施例に係る水着セットの構成を示す平面図(背面図)である。
図3図3は、本発明の実施例に係る水着セットの構成を示す平面図(正面図、背面図)であり、裏返した状態を示す。
図4図4は、本発明の実施例に係る水着セットの構成を示す側面図である。
図5図5は、本発明の実施例に係る水着パンツの使用状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施例に係る水着セットの構成を示す平面図(正面図)である。図2は、本発明の実施例に係る水着セットの構成を示す平面図(背面図)である。図3は、本発明の実施例に係る水着セットの構成を示す平面図(正面図、背面図)であり、裏返した状態を示す。図4は、本発明の実施例に係る水着セットの構成を示す側面図である。
【0022】
本実施例に係る水着セットは、トップス100とパンツ(ボトムス)200とから構成される。
【0023】
(トップス100)
図1及び図2に示すように、トップス100は、着用者のウエスト付近に位置する下縁部103と;着用者の鎖骨付近に位置する上縁部106と;背面から上縁部106に向かって肩部に延びる肩ベルト104L,104Rと;前身頃102の中心部分を上下方向に延びるファスナー108と;肩ベルトの前端部の外面と、上縁部の内面とを連結する左右一対の第1の留め具110L,110Rと;を備えている。
【0024】
第1の留め具110L,110Rは、縦方向に配置された2つのスナップとする他、面ファスナー等を使用することも可能である。
【0025】
トップス100は、下縁部103付近と、パンツの上縁部(204)付近に設けられた第3の留め具(212L,212R)とを連結される左右一対の第2の留め具112L,112Rを備えている。これらの留め具112L,112Rは、第1の留め具110L,110Rと同様にスナップとする他、面ファスナー等を使用することも可能である。
【0026】
第1及び第2の留め具110L,110R,112L,112Rは、着用中に容易に外れない程度の装着力が必要である。第1の留め具110L,110Rについては、肩の動きによって比較的強いテンションが掛かるため、2つ以上のスナップを縦方向に並べて配置するのが効果的である。また、スナップ110L,110R,112L,112Rは留める、外す際に「パチン」と音がするように構成することで、着用者又は補助者が容易に連結状態を認識できるようにする。
【0027】
肩ベルト104R,104Lは、肩に食い込んで痛みを感じることのないように、すなわち着心地を良くするために、幅を広く(例えば、5cm~10cm)して圧力を分散させることが好ましい。
【0028】
図1及び図4に示すように、第1の留め具110L,110Rは、上縁部106から若干下側に配置されている。そして、第1の留め具110L,110Rを外す際に、複数本の指で、又は手のひらを使って掴みやすくするように広めの領域(掴み代)114L,114Rが形成されている。これにより、力の弱い高齢者でも容易に肩ベルト104R,104Lを外すことができる。
【0029】
本実施例においては、領域114L,114Rを把持して下方又は斜め下方に引っ張ることによって、第1の留め具110L,110Rを外すことができる。
【0030】
繰り返しになるが、肩ベルト104L,104Rの前端部の外面と、上縁部106の内面とを第1の留め具110L,110Rで連結し、領域114L,114Rを把持して下方又は斜め下方に引っ張ることによって、第1の留め具110L,110Rを開放可能に構成されているため、高齢者や手先に障害があって繊細な動作が困難な人であっても、単純な動作でトップス100の肩部分を脱ぐ(開放)することができる。更に、前身頃に設けられたファスナー108を開放することによってトップス100を完全に脱ぐことができる。
【0031】
通常のトップスであれば、前身頃の下縁部分を掴んで持ち上げ、裏返すように頭を抜いたり、肩をくねらせて袖を抜いたりする必要があった。しかし、このような動作は、高齢者や障害がある人にとっては困難な場合が多い。本発明に係るトップスはこのような問題を完全に克服できるものである。
【0032】
(パンツ200)
図1及び図2に示すように、本実施例に係るパンツ200は、着用者のウエスト付近に位置する上縁部204と;着用者の膝よりも上の大腿部付近に位置する下縁部206と;着用者の両足大腿部の前面に位置し、上縁部204から下縁部206の全域に渡って縦方向に延びる左右一対のファスナー208L,208Rと;を備えている。ファスナー208L,208Rを開放した状態において、前身頃の中心付近の第1の領域201と、当該第1の領域201の左右外側から後身頃に位置する第2の領域202と、これら第1の領域201と第2の領域202とが連結された股間部領域203とが形成される。
【0033】
ファスナー208L,208Rは、大腿部前面の中心を縦方向に直線的に延びるように配置することで、着用者がより簡単にファスナー208L,208Rの開閉を行うことができる。そして、パンツ200を着用した状態から、ファスナー208L,208Rを開放することによって、第1の領域201と第2の領域202とが分離される(図5参照)。
【0034】
ファスナー208L,208Rの上端付近には、持ち手を隠すためのカバー210L,210Rが設けられており、着用者のゴツゴツした違和感を軽減させている。
【0035】
パンツ200の腰骨付近には、トップス100の第2の留め具(スナップ)112L,112Rと連結する第3の留め具212L,212Rが設けられている。そして、トップス100の第2の留め具112L,112Rと、パンツ200の第3の留め具212L,212Rとを連結させることにより、ワンピース水着のような形態となる。
【0036】
図5は、本発明の実施例に係る水着パンツ200の使用状態を示す平面図である。例えば、(A)のようにファスナー208L,208Rを閉じて当該パンツ200を着用し、椅子に座った状態を想定する。この状態から、ファスナー208L,208Rを上から下に向かってスライドさせ、完全に開放することにより、(B)に示すように、第1の領域201と第2の領域202とが分離される。これにより、着用者が椅子から立ち上がると、パンツ200が脱げることになる。
【0037】
以上のように、本実施例に係るパンツにおいては、着用者の両足大腿部の前面に位置し、上縁部から下縁部の全域に渡って縦方向に延びるファスナー208L,208Rを備えているため、上述したように、ファスナー208L,208Rを開放することによって、第2の領域202が左右外側に外れるような格好となり、パンツ200を着用して椅子に座った状態でも、パンツ200を脱ぐことができる。高齢者の場合には、起立した状態を維持することが困難なだけでなく、上半身を前方に倒す(かがむ)ことが困難であるため、このようなパンツ200は極めて有用である。
【0038】
また、介護者にパンツを脱がせてもらうような場合にも、介護者の負担も軽減される。すなわち、本発明に係るパンツは水着以外にも、介護が必要な人の下着パンツや、半ズボンにも最適である。
【0039】
本発明について実施例に基づいて説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の思想に基づいて適宜変更可能なものである。
図1
図2
図3
図4
図5