(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182216
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】燃焼システム
(51)【国際特許分類】
F23L 17/00 20060101AFI20221201BHJP
F23N 3/08 20060101ALI20221201BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20221201BHJP
F24H 15/355 20220101ALI20221201BHJP
【FI】
F23L17/00 L
F23N3/08
F23N5/24 104
F24H1/10 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089665
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 篤史
(72)【発明者】
【氏名】跡部 嘉史
【テーマコード(参考)】
3K003
【Fターム(参考)】
3K003JA04
3K003KA05
3K003MA09
3K003NA03
3K003RA01
(57)【要約】
【課題】複数の燃焼装置群をそれぞれ制御する複数の集中制御装置の間での情報の授受を、施工が容易な接続構成によって可能にする。
【解決手段】第1の給湯器群150aを構成する複数個の給湯器100a1~100a2は、通信線群170aによる通信接続を介して、第1のシステムコントローラ160aによって集中制御される。第2の給湯器群150bを構成する複数個の給湯器100b1~100b2は、通信線群170bによる通信接続を介して、第2のシステムコントローラ160bによって集中制御される。第1の給湯器群のうちの1個の給湯器100ax及び第2給湯器群150bのうちの1個の給湯器100byの間を接続するケーブル190と、通信線群170a,170bとを介した通信接続により、第1のシステムコントローラ160a及び第2のシステムコントローラ160bとは相互に情報を授受する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃焼装置群と、
前記複数の燃焼装置群にそれぞれ対応して配置された複数の集中制御装置とを備え、
前記複数の燃焼装置群の各々は、複数個の燃焼装置を含み、
各前記燃焼装置は、
前記集中制御装置との通信接続のための第1の接続端子と、
他の前記燃焼装置との通信接続のための第2の接続端子とを有し、
前記複数の燃焼装置群は、
前記複数の集中制御装置のうちの第1の集中制御装置によって制御される第1の燃焼装置群と、
前記複数の集中制御装置のうちの第2の集中制御装置によって制御される第2の燃焼装置群とを含み、
前記第1及び第2の集中制御装置は、前記第1の燃焼装置群を構成する前記複数個の燃焼装置のうちの第1の燃焼装置と、前記第2の燃焼装置群を構成する前記複数個の燃焼装置のうちの第2の燃焼装置との前記第2の接続端子同士が通信接続されることによって、相互に通信可能に構成される、燃焼システム。
【請求項2】
各前記燃焼装置は、
燃料を燃焼する燃焼機構と、
前記燃焼機構に対して燃焼用空気を供給するための送風ファンと、
前記燃焼機構での燃焼ガスを排出するための排気口とを含み、
前記第1の燃焼装置群を構成する前記複数個の燃焼装置の各前記排気口と、前記第2の燃焼装置群を構成する前記複数個の燃焼装置の各前記排気口とは、共通の排気路に接続され、
前記第1の集中制御装置は、前記第2の燃焼装置から前記第1の燃焼装置に送信された情報に基づき、前記第2の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の少なくとも1個で前記燃焼機構が動作していることを検知すると、前記第1の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の全てで前記送風ファンを作動させる様に構成され、
前記第2の集中制御装置は、前記第1の燃焼装置から前記第2の燃焼装置に送信された情報に基づき、前記第1の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の少なくとも1個で前記燃焼機構が動作していることを検知すると、前記第2の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の全てで前記送風ファンを作動させる様に構成される、請求項1記載の燃焼システム。
【請求項3】
前記第1の集中制御装置は、前記第1の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の全てで前記燃焼機構が停止している場合において、前記第2の燃焼装置から前記第1の燃焼装置に送信された情報に基づき、前記第2の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の全てで前記燃焼機構が停止していることを検知すると、前記第1の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の全てで前記送風ファンを停止させる様に構成され、
前記第2の集中制御装置は、前記第2の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の全てで前記燃焼機構が停止している場合において、前記第1の燃焼装置から前記第2の燃焼装置に送信された情報に基づき、前記第1の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の全てで前記燃焼機構が停止していることを検知すると、前記第2の燃焼装置群の前記複数個の燃焼装置の全てで送風ファンを停止させる様に構成される、請求項2記載の燃焼システム。
【請求項4】
前記第1の燃焼装置は、前記第2の燃焼装置に対するパルス信号の送信の有無によって、前記第1の燃焼装置群が、前記複数個の燃焼装置の全てで前記燃焼機構が停止している第1の状態、及び、前記複数個の燃焼装置の少なくとも1個で前記燃焼機構が動作している第2の状態のいずれであるかの情報を、前記第2の燃焼装置に伝達する様に構成され、
前記第2の燃焼装置は、前記第1の燃焼装置に対するパルス信号の送信の有無によって、前記第2の燃焼装置群が前記第1の状態及び前記第2の状態のいずれであるかの情報を、前記第1の燃焼装置に伝達する様に構成される、請求項3記載の燃焼システム。
【請求項5】
前記第1の燃焼装置は、前記第1の燃焼装置群が前記第1の状態であるときに前記パルス信号を前記第2の燃焼装置に対して出力する一方で、前記第1の燃焼装置群が前記第2の状態であるときに前記第2の燃焼装置に対する当該パルス信号の出力を停止する様に構成され、
前記第2の燃焼装置は、前記第2の燃焼装置群が前記第1の状態であるときに前記パルス信号を前記第1の燃焼装置に対して出力する一方で、前記第2の燃焼装置群が前記第2の状態であるときに前記第1の燃焼装置に対する当該パルス信号の出力を停止する様に構成される、請求項4記載の燃焼システム。
【請求項6】
前記燃焼装置は、燃焼加熱式の給湯器である、請求項1~5のいずれか1項に記載の燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼システムに関し、より特定的には、共通の排気ダクトに接続される複数の燃焼装置群を備える燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
集合排気ダクトに複数の燃焼装置が接続されたシステム構成が公知である。この様なシステム構成では、一部の燃焼装置の燃焼動作時において、燃焼中の燃焼装置からの排気が集合排気ダクトを経由して、燃焼停止中の燃焼装置へ逆流することを防止する必要がある。
【0003】
例えば、特許第6767087号公報(特許文献1)には、共通の集合排気ダクトに接続された複数の燃焼装置のうちのいずれかの燃焼装置の燃焼動作中において、燃焼停止中の燃焼装置では、送風ファンを作動させることで、排気の逆流を防止する制御が記載されている。
【0004】
又、特許第3608492号公報(特許文献2)には、複数の給湯器を連結して運用する給湯システムにおいて、所定台数の給湯器毎にシステムコントローラを配置し、更に、複数のシステムコントローラを統括する上位のシステムコントローラが配置される構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6767087号公報
【特許文献2】特許第3608492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、複数個の燃焼装置によって構成される燃焼装置群が複数配置され、当該複数の燃焼装置群が、異なるシステムコントローラによってそれぞれ制御されるシステムを想定する。この様なシステムにおいて、複数の燃焼装置群が共通の集合排気ダクトに接続された構成とすると、排気の逆流防止の目的で特許文献1に記載された制御を適用するためには、当該複数の燃焼装置群の間で、燃焼動作中の燃焼装置に係る情報を共有した集中制御が必要となる。
【0007】
或いは、上述した排気の逆流防止のための制御以外にも、異なるシステムコントローラによって制御される複数の燃焼装置群の間で情報を授受するための構成が必要となることが想定される。
【0008】
しかしながら、複数の燃焼装置群の間で情報を授受するために特許文献2のシステム構成を適用すると、最上位のシステムコントローラを更に配置することが必要となるので、コストの上昇が懸念される。更に、配置レイアウトによっては、最上位のシステムコントローラと複数のシステムコントローラの通信接続のための配線長が長くなり、施工負荷が高まることが懸念される。
【0009】
又、特許文献2のような最上位のシステムコントローラを配置せずに、複数の燃焼装置群にそれぞれ配置されたシステムコントローラ間を通信接続する構成とした場合にも、配置レイアウトによっては、システムコントローラ間の通信接続のための施工負荷が高まることが懸念される。
【0010】
特に、上述した配置レイアウトに起因する問題は、既存のシステムコントローラ及び燃焼装置群に対して、新たなシステムコントローラ及び燃焼装置群を追加的に配置するケースで顕著になることが懸念される。
【0011】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、複数の燃焼装置群をそれぞれ制御する複数の集中制御装置の間での情報の授受を、施工が容易な接続構成によって可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある局面は、燃焼システムを提供する。燃焼システムは、複数の燃焼装置群と、複数の燃焼装置群にそれぞれ対応して配置された複数の集中制御装置とを備える。複数の燃焼装置群の各々は、複数個の燃焼装置を含む。各燃焼装置は、集中制御装置との通信接続のための第1の接続端子と、他の燃焼装置との通信接続のための第2の接続端子とを有する。複数の燃焼装置群は、複数の集中制御装置のうちの第1の集中制御装置によって制御される第1の燃焼装置群と、複数の集中制御装置のうちの第2の集中制御装置によって制御される第2の燃焼装置群とを含む。第1及び第2の集中制御装置は、第1の燃焼装置群を構成する複数個の燃焼装置のうちの第1の燃焼装置と、第2の燃焼装置群を構成する複数個の燃焼装置のうちの第2の燃焼装置との第2の接続端子同士が通信接続されることによって、相互に通信可能に構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1及び第2の燃焼装置群で任意に選択可能な第1及び第2の燃焼装置間の通信接続によって、第1及び第2の集中制御装置の間で情報を授受することが可能であるので、複数の集中制御装置で通信するための施工を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態に係る燃焼システムを構成する燃焼装置の一例である給湯器の概略構成図である。
【
図2】
図1に示された給湯器の排気口の接続先の一例を示す概念図である。
【
図3】本実施の形態に係る燃焼システムの一例である給湯システムの構成を説明するブロック図である。
【
図4】
図3に示された給湯システムでの給湯器群の間での通信構成を説明するブロック図である。
【
図5】
図3に示された給湯システムの各給湯器の排気系の接続構成を説明する概念図である。
【
図6】
図3に示された給湯システムの各給湯器群での排気逆流防止運転のための集中制御の一例を説明するフローチャートである。
【
図7】
図3に示された給湯システムの動作例を説明する第1の概念図である。
【
図8】
図3に示された給湯システムの動作例を説明する第2の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る燃焼システムを構成する燃焼装置の一例である給湯器の概略構成図である。
【0017】
図1を参照して、給湯器100は、ガスに代表される燃料を燃焼するバーナ10と、送風ファン11と、熱交換器12と、排気路20と、排気口25と、送風ファン11の回転数センサ41及び電流センサ42と、コントローラ50と、接続端子101,102とを備える。
図1に例示した給湯器100においては、上述の要素によって、本発明が適用される燃焼装置が構成される。バーナ10は「燃焼機構」の一実施例として示される。バーナ10によって燃焼される燃料は、特に限定されない。
【0018】
送風ファン11は、図示しないファンモータによって回転駆動されることで、バーナ10に対して燃焼用空気を供給する。送風ファン11からの送風量は、ファン回転数に応じて決まる。熱交換器12は、バーナ10によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって、熱交換器12内部を通流する湯水を加熱する。これにより、給湯器100は、入水路から導入された水を加熱して出湯することで、連続加熱式の給湯器として動作することができる。
【0019】
熱回収後の燃焼ガスは、排気路20によって排気口25へ導かれて、給湯器100の外部へ排出される。このように、燃焼装置では、バーナ10による燃焼動作時に、送風ファン11の運転によって、送風ファン11から排気口25へ至る給排気路が形成される。
【0020】
コントローラ50は、給湯器100の構成機器の動作を制御する。コントローラ50は、代表的には、所定のプログラムが予め記憶されたマイクロコンピュータによって構成される。さらに、コントローラ50は、バーナ10の燃焼運転の実行/停止、及び、バーナ10への燃料ガス供給量を制御するとともに、送風ファン11の運転/停止、並びに、作動時のファン回転数を制御する。
【0021】
送風ファン11には回転数センサ41が配置され、送風ファン11を回転駆動するファンモータ(図示せず)には、電流センサ42が配置される。回転数センサ41及び電流センサ42の出力は、コントローラ50へ入力される。
【0022】
バーナ10での燃焼に必要な空気量は、バーナ10へ供給される燃料量に比例する。従って、送風ファン11の回転数(以下、「ファン回転数Nf」とも称する)は、当該必要な空気量に従って設定される目標回転数に制御される。例えば、コントローラ50は、上記目標回転数に対して、回転数センサ41によるファン回転数Nfの検出値を近付けるように上記ファンモータの駆動電圧を調整することによって、送風ファン11の回転数制御を実行する。この際に、電流センサ42によって、送風ファン11のファンモータの駆動電流Ifが検出される。
【0023】
接続端子101は、後述するシステムコントローラとの通信接続のための通信線(例えば、2心通信線)の接続用に設けられる。コントローラ50は、接続端子101に上記通信線が接続されることで、システムコントローラとの間で情報を授受するための通信が可能となる。接続端子101は、1個又は複数個設けられる。
【0024】
接続端子102は、他の給湯器100のコントローラ50との通信接続のための通信線(例えば、通信ケーブル)の接続用に設けられる。接続端子102は、1個又は複数個設けられる。コントローラ50は、接続端子102に上記通信線が接続されることで、他の給湯器100との間で情報を授受するための通信が可能になる。給湯器間の通信は、例えば、特開2003-222399号公報に記載された内容に従って実行することができる。
【0025】
接続端子101は「第1の接続端子」の一実施例に対応し、接続端子102は「第2の接続端子」の一実施例に対応する。この様に、給湯器100は、システムコントローラとの通信機能と、他の給湯器100との通信機能との両方を具備している。
【0026】
【0027】
図2を参照して、複数の給湯器100は、共用排気管200と接続される。共用排気管200は、各給湯器100の排気口25と接続される。
【0028】
図2の様な、排気側が共通接続された構成では、燃焼運転中の一部の給湯器100から共用排気管200へ出力された排気が、燃焼停止中の他の給湯器100に対して、排気口25から逆流することが懸念される。
【0029】
従って、特許文献1に記載される様に、給湯器100間での情報の授受によって、いずれかの給湯器100の燃焼動作中には、燃焼停止中の給湯器100において送風ファン11を作動させる「排気逆流防止運転」を行うことで、上記のような排気の逆流が抑制される。排気逆流防止運転の際の送風ファン11のファン回転数Nfは、予め定められた固定値とすることができる。或いは、共用排気管200に接続される複数の給湯器100のうちの、燃焼動作中の台数が取得できる場合には、当該台数が多い程、ファン回転数Nfを高く設定することも可能である。
【0030】
図3は、本実施の形態に係る燃焼システムの一例として示される給湯システムの構成を説明するブロック図である。
【0031】
図3を参照して、給湯システム250は、複数の給湯器群150a及び150bと、給湯器群150a及び150bにそれぞれ対応して配置される複数のシステムコントローラ160a及び160bとを備える。
【0032】
給湯器群150aは、m個(m:2以上の整数)の給湯器100a1~100amを含む。同様に、給湯器群150bは、n個(n:2以上の整数)の給湯器100b1~100bnを含む。給湯器100a1~100am,100b1~100bnの各々は、
図1に示された給湯器100の構成を有する。
【0033】
この様に、給湯器群150a及び150bにそれぞれ含まれる給湯器100の台数(m,n)、即ち、システムコントローラ160a及び160bによって集中制御される給湯器100の台数は任意である。以下では、給湯器を総括的に記載する場合には給湯器100と表記する一方で、給湯器間の区別が必要な場合には、添字を付して、給湯器100a1等と表記することとする。
【0034】
システムコントローラ160aは、給湯器100a1~100amの各接続端子101(
図1)と通信線群170aで接続されて、給湯器100a1~100amとの間で情報を授受する。これにより、システムコントローラ160aは、給湯器100a1~100amを集中制御することができる。例えば、システムコントローラ160aは、給湯器群150a全体での給湯負荷に応じて、給湯器100a1~100amの各々の動作(燃焼を伴う給湯動作)及び停止を制御することができる。
【0035】
同様に、システムコントローラ160bは、給湯器100b1~100bnの各接続端子101(
図1)と通信線群170bで接続されて、給湯器100b1~100bnとの間で情報を授受する。これにより、システムコントローラ160bは、給湯器100b1~100bnを集中制御することができる。例えば、システムコントローラ160bは、給湯器群150b全体での給湯負荷に応じて、給湯器100b1~100bnの各々の動作(燃焼を伴う給湯動作)及び停止を制御することができる。
【0036】
尚、システムコントローラ160a,160bは、給湯器100a1~100amのいずれか、又は、給湯器100b1~100bnのいずれかの内部に配置することも可能である。
【0037】
図3において、システムコントローラ160a及び160bは「複数の集中制御装置」の一実施例に対応し、特に、システムコントローラ160aは「第1の集中制御装置」に対応し、システムコントローラ160bは「第2の集中制御装置」に対応する。又、給湯器群150a,150bは「複数の燃焼装置群」の一実施例に対応し、特に、給湯器100a1~100amで構成された給湯器群150aは「第1の燃焼装置群」に対応し、給湯器100b1~100bnで構成された給湯器群150bは「第2の燃焼装置群」に対応する。
【0038】
本実施の形態に係る給湯システム250では、給湯器群150aの給湯器100a1~100amのうちの1台の給湯器100ax(x:1~mの整数。
図3の例では、x=m)と、給湯器群150bの給湯器100b1~100bnのうちの1台の給湯器100by(y:1~nの整数、
図3の例では、y=1)との接続端子102(
図1)同士が、ケーブル190で接続される。即ち、給湯器100axは「第1の燃焼装置」の一実施例に対応し、給湯器100byは「第2の燃焼装置」の一実施例に対応する。
【0039】
図4には、給湯システム250での給湯器群の間での通信構成を説明するブロック図が示される。
【0040】
図4に示される様に、給湯器群150aの給湯器100axと、給湯器群150bの給湯器100byとは、接続端子102同士がケーブル190によって通信接続される。これにより、ケーブル190を介して、例えば、パルス信号による通信、又は、シリアル通信によって、給湯器100ax及び給湯器100byの間で、情報を授受することができる。
【0041】
給湯器群150aでは、給湯器100axは、接続端子101によってシステムコントローラ160aとも接続されているので、給湯器100byから受信した給湯器群150bに係る情報をシステムコントローラ160aに通知することができる。これにより、システムコントローラ160aは、給湯器群150bの情報を反映して、給湯器100a1~100amの集中制御を行うことができる。反対に、システムコントローラ160aは、給湯器100axを用いて、給湯器群150aに係る情報を、給湯器群150bへ送信することができる。
【0042】
同様に、給湯器群150bでは、給湯器100byは、接続端子101によってシステムコントローラ160bとも接続されているので、給湯器100axから受信した給湯器群150aに係る情報をシステムコントローラ160bに通知することができる。これにより、システムコントローラ160bは、給湯器群150aの情報を反映して、給湯器100b1~100bnの集中制御を行うことができる。更に、システムコントローラ160bは、給湯器100by(100b1)を用いて、給湯器群150bに係る情報を、給湯器群150aへ送信することができる。
【0043】
この結果、
図3にも示される様に、給湯システム250によれば、上位システムコントローラ165、及び、システムコントローラ160a及び160b間を接続する通信線161を配置することなく、給湯器群150a及び150bのシステムコントローラ160a及び160bの間で情報を授受することが可能である。そして、給湯器100a1~100amからの給湯器100axの選択、及び、給湯器100b1~100bnからの給湯器100byの選択は任意であるので、給湯器群150a及び150bの間でのケーブル接続の施工が容易な1台ずつの給湯器100の組み合わせを選択して、ケーブル190を配設することができる。例えば、最も近接して配置された1台ずつの給湯器100の接続端子102間にケーブル190を接続することで、給湯器群150a及び150bのシステムコントローラ160a及び160bの間の通信接続のための施工を容易化することができる。
【0044】
次に、給湯器群150a,150b間で授受される情報を用いた集中制御の一例を説明する。
【0045】
図5に示される様に、給湯器100a1~100amの排気口25(
図1)が接続される共用排気管200aと、給湯器100b1~100bnの排気口25(
図1)が接続される共用排気管200bとは、排気ダクト200xに接続される。これにより、給湯器群150a,150bは、各給湯器100の排気口25が共通の排気路に接続された構成となる。
【0046】
これにより、給湯システム250では、特許文献1に記載された様な、燃焼停止中の給湯器100における排気逆流防止運転を、給湯器群150a及び150bの全体で行う必要がある。例えば、給湯器群150aの給湯器100a1~100amの全てが燃焼停止中であった場合でも、給湯器群150bの給湯器100b1~100bnのいずれかが燃焼動作を行うと、排気の逆流が生じる虞がある。
【0047】
尚、各給湯器の燃焼動作中には、バーナ10(燃焼機構)が実際に燃焼運転を行っている状態に加えて、当該燃焼運転を終了した後に排気運転を行っている状態、及び、当該燃焼運転終了後に再度の燃焼運転に備えてポストパージ運転を行っている状態が含まれてもよい。
【0048】
このため、給湯システム250では、
図4に示されたケーブル通信によって、自給湯器群内での燃焼動作中の給湯器100の有無を示す情報が授受される。具体的には、給湯器100axからは、給湯器群150aが「燃焼停止中」及び「燃焼動作中」のいずれであるかを示す情報が、給湯器100byへ送信される。給湯器群150aの燃焼停止中は、給湯器100a1~100amの全てが燃焼を停止していることを意味しており、給湯器群150aの燃焼動作中は、給湯器100a1~100amの少なくとも1個が燃焼動作中であることを意味している。
【0049】
反対に、給湯器100byからは、給湯器群150bが「燃焼停止中」及び「燃焼動作中」のいずれであるかを示す情報が、給湯器100axへ送信される。上記と同様に、給湯器群150bの燃焼停止中は、給湯器100b1~100bnの全てが燃焼を停止していることを意味しており、給湯器群150bの燃焼動作中は、給湯器100b1~100bnの少なくとも1個が燃焼動作中であることを意味している。この様に、給湯器群150a,150bの「燃焼停止中」及び「燃焼動作中」は、「第1の状態」及び「第2の状態」にそれぞれ対応する。
【0050】
図6には、本実施の形態の燃焼システムの各給湯器群での集中制御の一例として、排気逆流防止運転のフローチャートが示される。
図6のフローチャートに示された制御処理は、システムコントローラ160a,160bの各々によって実行される。以下では、システムコントローラ160a,160bを包括して、システムコントローラ160とも表記する。
【0051】
図6を参照して、システムコントローラ160は、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)110により、自給湯器群内に燃焼動作中の給湯器100が有るか否かを確認する。自給湯器群は、システムコントローラ160aによる制御処理では、給湯器群150aを意味し、システムコントローラ160bによる制御処理では、給湯器群150bを意味する。
【0052】
システムコントローラ160は、自給湯器群内の燃焼動作中の給湯器100がある場合には(S110のYES判定時)には、S120により、他給湯器群に対して、自給湯器群が燃焼動作中であることを通知する。尚、他給湯器群は、システムコントローラ160aによる制御処理では、給湯器群150bを意味し、システムコントローラ160bによる制御処理では、給湯器群150aを意味する。
【0053】
S120では、給湯器100ax又は100byに対して、自給湯器群が燃焼動作中である旨の情報を、ケーブル190の接続先に送信することが指示される。
【0054】
更に、システムコントローラ160は、S130により、自給湯器群内の燃焼停止中の給湯器100に対して、送風ファン11の作動を指示する。これにより、自給湯器群内の全ての給湯器100において送風ファンが作動することになるので、共用排気管200a又は200bから給湯器100の排気口25へ排気が流入することを抑制できる。
【0055】
システムコントローラ160は、自給湯器群内の燃焼動作中の給湯器100が無い場合には(S110のNO判定時)には、S140により、他給湯器群に対して、自給湯器群が燃焼停止中、即ち、全ての給湯器100が燃焼停止中であることを通知する。
【0056】
更に、システムコントローラ160は、S150により、ケーブル190を介した他給湯器群からの情報に基づき、他給湯器群が燃焼動作中であるか否かを判定する。上述の様に、他給湯器群が燃焼動作中である場合には、他給湯器群のシステムコントローラ160によるS120の処理によって、当該情報が通知されている。
【0057】
システムコントローラ160は、他給湯器群が燃焼動作中である場合(S150のYES判定時)には、処理をS130に進めて、自給湯器群内の燃焼停止中の給湯器100に対して、送風ファン11の作動を指示する。これにより、自給湯器群内の全ての給湯器100の送風ファン11が作動されるので、排気ダクト200xを経由した他給湯器群内の燃焼動作中の給湯器100からの排気が、自給湯器群内での燃焼停止中の給湯器100に逆流することを防止できる。
【0058】
これに対して、システムコントローラ160は、自給湯器群に加えて、他給湯器群も燃焼停止中である場合には(S150のNO判定時)、S160により、自給湯器群内の全ての給湯器100に対して、送風ファン11の停止を指示する。これにより、排気ダクト200xに排気が出力されていない場合における無用な送風ファン11の作動を防止して、消費電力を削減するとともに、ファンの動作による騒音を防止できる。
【0059】
尚、システムコントローラ160は、S120,S140において、自給湯器群が燃焼停止中(第1の状態)及び燃焼停止中(第2の状態)のいずれであるかの情報を自給湯器群の全ての給湯器に送信する様に構成されてもよい。この様に構成すると、自給湯器群を構成する複数個の給湯器のいずれの給湯器が、他の給湯器群の給湯器と通信接続されていても、システムコントローラ160は、他の給湯器群に対して情報を送信することができる。
【0060】
図7及び
図8には、給湯システム250が
図6に示された制御処理によって集中制御された際の動作例が示される。特に、
図7及び
図8では、自給湯器群が第1の状態(全ての給湯器100が燃焼停止中)及び第2の状態(少なくとも1個の給湯器100が燃焼動作中)のいずれであるかの情報が、パルス信号の送信の有無を用いて通知される場合の動作例が示される。
【0061】
又、
図7及び
図8では、表記を簡略化するために、2個ずつの給湯器100a1,100a2及び給湯器100b1,100b2によって給湯器群150a及び150bがそれぞれ構成されるとともに、給湯器100a2及び給湯器100b1の間に、上述したパルス信号の通信経路(ケーブル190)が形成される例が示される。具体的には、自給湯器群が燃焼停止中(第1の状態)である場合には、他給湯器群に対してパルス信号が送信される一方で、自給湯器群が燃焼動作中(第2の状態)である場合には、他給湯器群に対するパルス信号の出力が停止されるものとする。
【0062】
尚、
図7及び
図8では、各給湯器100内において、送風ファン11の作動中には、丸囲みで「f」を表記し、燃焼動作中には、丸囲みで「B」を表記するものとする。
【0063】
図7には、全給湯器群の全ての給湯器100が燃焼停止中にある状態から、一方の給湯器群において燃焼動作が開始される際の動作が示される。
【0064】
図7(a)では、給湯器群150a及び150bの両方が燃焼停止中である。従って、システムコントローラ160a,160bの各々が
図6のS140処理を実行することで、給湯器群150aの給湯器100a2から給湯器群150bの給湯器100b1へパルス信号が送信されるとともに、給湯器群150bの給湯器100b1から給湯器群150aの給湯器100a2へもパルス信号が送信される。
【0065】
この状態では、システムコントローラ160a,160bの各々は、
図6のS150がNO判定とされることで、給湯器100a1,100a2及び給湯器100b1,100b2の全てで送風ファン11を停止する。
【0066】
図7(b)では、給湯器群150aにおいて給湯器100a1が燃焼動作を開始する。給湯器100a1では、燃焼用空気の供給のために、送風ファン11も作動する。システムコントローラ160aは、給湯器100a1の燃焼動作に伴い、S130(
図6)により、燃焼停止中の給湯器100a2の送風ファン11を作動させる。更に、システムコントローラ160aのS120(
図6)の処理により、給湯器100a2は、給湯器群150bの給湯器100b1に対するパルス信号の出力を停止する。
【0067】
図7(c)では、給湯器100b1が、給湯器群150a(給湯器100a2)からのパルス信号の出力停止を検知して、当該検知をシステムコントローラ160bへ通知する。これにより、システムコントローラ160bは、給湯器群150aが燃焼停止中(第1の状態)から燃焼動作中(第2の状態)へ遷移したことを検知する。
【0068】
図7(d)では、システムコントローラ160bは、S130(
図6)の処理により、給湯器群150b内の全ての給湯器100b1,100b2の送風ファン11を作動させる。これにより、排気ダクト200xに排出された給湯器群150a(給湯器100a1)からの排気が、給湯器群150bの給湯器100b1,100b2の内部に逆流することが抑制される。
【0069】
次に、
図8には、
図7(b)で燃焼動作を開始した給湯器100a1が燃焼を停止する際の動作が示される。
【0070】
図8(a)は、
図7(d)と同じ状態であり、給湯器群150aの給湯器100a1が燃焼動作中であるとともに、他の燃焼停止中の給湯器100a2(給湯器群150a)及び、給湯器100b1,100b2(給湯器群150b)において、排気の逆流を抑制するために送風ファン11が作動されている。更に、給湯器群150aの給湯器100a2から給湯器群150bの給湯器100b1へのパルス信号の出力が停止される一方で、給湯器100b1から給湯器100a2へは、パルス信号が送信される。
【0071】
図8(b)では、給湯器群150aにおいて給湯器100a1が燃焼動作を停止する。これにより、給湯器100a1では、送風ファン11も停止される。システムコントローラ160aは、給湯器群150bからのパルス信号の受信中における給湯器100a1の燃焼停止に伴い、S160(
図6)の処理により、給湯器100a2の送風ファン11を停止させる。更に、システムコントローラ160aのS140(
図6)の処理により、給湯器100a2は、給湯器群150bの給湯器100b1に対するパルス信号の送信を再開する。
【0072】
図8(c)では、給湯器100b1が、給湯器群150a(給湯器100a2)からのパルス信号の送信を検知して、当該検知をシステムコントローラ160bへ通知する。これにより、システムコントローラ160bは、給湯器群150aが燃焼動作中(第2の状態)から燃焼停止中(第1の状態)へ遷移したことを検知する。
【0073】
図8(d)では、システムコントローラ160bは、S160(
図6)の処理により、給湯器群150b内の全ての給湯器100b1,100b2の送風ファン11を停止させる。これにより、給湯器群150a,150bの両方が燃焼停止中であるときに、全ての給湯器100a1,100a2,100b1,100b2の送風ファンが停止される。
【0074】
以上説明した様に、給湯システム250では、別個のシステムコントローラ160a,160bが配置される給湯器群150a,150b間で各給湯器100の排気口25が共通の排気ダクト200xと接続される構成において、本実施の形態に係る通信接続を用いて、給湯器群150a,150b全体での排気逆流防止運転のための集中制御を実現することができる。
【0075】
特に、パルス信号の有無によって、各給湯器群が燃焼停止中(第1の状態)及び燃焼動作中(第2の状態)のいずれであるかの情報を授受することで、上述の排気逆流防止運転のための集中制御を簡易に実現できる。この際には、
図7及び
図8で例示した様に、燃焼停止中にパルス信号を送信し、燃焼動作中にパルス信号の出力を停止する運用とすることで、断線等によってパルス信号を正常に送信できない場合に送風ファン11を作動させることができる。
【0076】
仮に、上記と反対に、燃焼動作中にパルス信号を送信する運用とすると、パルス信号を正常に送信できない場合には、排気逆流防止運転が必要な場面において送風ファン11の作動を実現できなくなることが懸念される。即ち、
図7及び
図8で例示した運用とすることにより、パルス信号の送信異常に対処して、排気逆流防止運転のための送風ファン11の制御を安全側に設計できることが理解される。
【0077】
又、自給湯器群の燃焼動作に係る情報について、パルス信号では無く、シリアル通信によって複数ビットのデータを送信することも可能である。この場合には、燃焼停止中(第1の状態)及び燃焼動作中(第2の状態)の区別に加えて、例えば、燃焼動作中の給湯器100の台数に係る情報を送信することができる。一例として、燃焼動作中の給湯器100の台数に応じて、燃焼停止中の給湯器群における各給湯器100の送風ファン11の回転数を可変に設定する制御が可能となる。
【0078】
又、本実施の形態では、2個のシステムコントローラによってそれぞれ制御される2個の給湯器群(燃焼装置群)により、給湯システム250(即ち、燃焼システム)が構成される例を説明したが、給湯器群(燃焼装置群)の個数、即ち、システムコントローラの個数が3以上の燃焼システムにおいても、そのうちの2個ずつの燃焼装置群の間で上述した通信接続を構成したものの集合体とすることによって、同様の効果を享受することができる。即ち、3以上の燃焼装置群を具備する燃焼システムにおいても、複数の燃焼装置群にそれぞれ対応する複数のシステムコントローラ間での直接の通信を要さずに、当該複数のシステムコントローラ間で相互に情報を授受することが可能となる。尚、この場合には、授受される情報が多くなることが予想されるため、異なる燃焼装置群の給湯器間の通信には、シリアル通信の適用が好ましい。
【0079】
例えば、3個の燃焼装置群を具備する燃焼システムに本実施の形態に係る通信接続を適用する場合には、第1の燃焼装置群において、第2の燃焼装置群との通信接続するための燃焼装置と、第3の燃焼装置群との通信接続するための燃焼装置とを、異なる燃焼装置とすることができる。この構成とした場合、第1の燃焼装置群の各燃焼装置は、第2の接続端子102を複数備えておく必要は無く、1個ずつ備えていればよい。
【0080】
尚、本実施の形態で説明した、複数の燃焼装置群の間の情報の授受を伴う、システムコントローラによる集中制御は、上述した排気逆流抑制運転に限定されるものではなく、任意の制御に適用することができる。例えば、図示しないCOセンサによって不完全燃焼が検知された場合に、共通の排気路に接続された全ての燃焼装置群に当該検知を通知することで、各システムコントローラが全ての給湯器100において燃焼運転を停止して送風ファン11を作動させるような集中制御を実現することが可能である。
【0081】
又、本実施の形態では、燃焼装置の代表例として連続加熱式の給湯器を示したが、給湯器以外であっても、燃料を燃焼する任意の燃焼装置によって構成される燃焼システムに対して、本実施の形態に係る通信構成を適用することが可能である。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
10 バーナ、11 送風ファン、12 熱交換器、20 排気路、25 排気口、41 回転数センサ、42 電流センサ、50,160a コントローラ、100,100a1~100am,100ax,100b1~100bn,100by 給湯器、101,102 接続端子、150a,150b 給湯器群、160a,160b システムコントローラ、170a,170b 通信線群、190 ケーブル、200,200a,200b 共用排気管、200x 排気ダクト、250 給湯システム。