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特開2022-182219部品データ管理装置および部品データ管理方法ならびに部品データ管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182219
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】部品データ管理装置および部品データ管理方法ならびに部品データ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089670
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】岩田 維里
(72)【発明者】
【氏名】清水 太一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA01
5E353CC01
5E353CC04
5E353CC05
5E353CC13
5E353CC21
5E353CC22
5E353CC26
5E353EE53
5E353EE61
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353KK01
5E353LL01
5E353LL04
5E353LL06
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ01
5E353QQ11
5E353QQ23
(57)【要約】
【課題】作成された動作パラメータの信頼度を容易に確認することができる部品データ管理装置および部品データ管理方法ならびに部品データ管理プログラムを提供する。
【解決手段】部品情報に部品を基板に実装するための部品実装装置の動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理方法は、動作パラメータと部品情報との関係性を示す学習モデルと、第1の部品の部品情報とに基づいて、第1の部品の動作パラメータを推定し(ST3)、第1の部品に対応して記憶される第1の動作パラメータと、推定された第1の部品の第2の動作パラメータとを表示部に表示する(ST14)。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の部品情報に前記部品を基板に実装するための部品実装装置の動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理装置であって、
動作パラメータと部品情報との関係性を示す学習モデルと、第1の部品の部品情報とに基づいて、前記第1の部品の動作パラメータを推定するパラメータ推定部と、
前記第1の部品に対応して記憶される第1の動作パラメータと、前記パラメータ推定部が推定した前記第1の部品の第2の動作パラメータとを表示する表示部を備える、部品データ管理装置。
【請求項2】
前記第1の動作パラメータは、部品実装装置で使用される動作パラメータとしてデータベース上に記憶されている、請求項1に記載の部品データ管理装置。
【請求項3】
前記第1の動作パラメータは、部品実装装置での実績情報を関連付けてデータベース上に記憶される、請求項1または2に記載の部品データ管理装置。
【請求項4】
前記動作パラメータは、部品を移動させるためのパラメータ、部品を保持するためのパラメータ、部品を撮影するためのパラメータの少なくともひとつを含む、請求項1から3のいずれかひとつに記載の部品データ管理装置。
【請求項5】
前記表示部に表示された複数の前記第2の動作パラメータの中から選択された前記第2の動作パラメータを前記第1の動作パラメータとして置き換えて更新するパラメータ更新部をさらに備える、請求項1から4のいずれかひとつに記載の部品データ管理装置。
【請求項6】
更新された前記第1の動作パラメータと前記第1の動作パラメータに関する情報を加えた学習情報に基づいて、前記学習モデルを生成する学習部をさらに備える、請求項5に記載の部品データ管理装置。
【請求項7】
記憶される複数の部品の第1の動作パラメータの中から、部品情報が類似または一致する部品の第1の動作パラメータを抽出する抽出部をさらに備え、
前記表示部は、抽出された前記第1の動作パラメータを表示する、請求項1から6のいずれかひとつに記載の部品データ管理装置。
【請求項8】
推定された前記第2の動作パラメータの確信度を算出する算出部をさらに備え、
前記表示部は、前記第2の動作パラメータと前記確信度を対応付けて表示する、請求項1から7のいずれかひとつに記載の部品データ管理装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記学習モデルに基づいて前記確信度を算出する、請求項8に記載の部品データ管理装置。
【請求項10】
前記算出部は、前記確信度を、前記学習モデルの生成に使用した学習情報に基づいて算出する、請求項8または9に記載の部品データ管理装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記第1の動作パラメータに紐付いて記憶される実績情報を合わせて表示する、請求項1から10のいずれかひとつに記載の部品データ管理装置。
【請求項12】
部品の部品情報に前記部品を基板に実装するための部品実装装置の動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理装置であって、
動作パラメータと部品情報との関係性を示す学習モデルと、第1の部品の部品情報とに基づいて、前記第1の部品の動作パラメータを推定するパラメータ推定部と、
表示する動作パラメータの表示条件を設定する設定部と、
設定された前記表示条件に基づいて、前記第1の部品に対応して部品実装装置に設定される動作パラメータ、前記パラメータ推定部が推定した動作パラメータ、または部品実装装置での使用実績のある動作パラメータのうち少なくとも2つを表示する表示部と、を備える、部品データ管理装置。
【請求項13】
部品の部品情報に前記部品を基板に実装するための部品実装装置の動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理方法であって、
動作パラメータと部品情報との関係性を示す学習モデルと、第1の部品の部品情報とに基づいて、前記第1の部品の動作パラメータを推定するパラメータ推定工程と、
前記第1の部品に対応して記憶される第1の動作パラメータと、前記パラメータ推定工程において推定された前記第1の部品の第2の動作パラメータとを表示部に表示する表示工程と、を含む、部品データ管理方法。
【請求項14】
部品の部品情報に前記部品を基板に実装するための部品実装装置の動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理方法であって、
動作パラメータと部品情報との関係性を示す学習モデルと、第1の部品の部品情報とに基づいて、前記第1の部品の動作パラメータを推定するパラメータ推定工程と、
表示する動作パラメータの表示条件を設定する設定工程と、
設定された前記表示条件に基づいて、前記第1の部品に対応して部品実装装置に設定される動作パラメータ、前記パラメータ推定工程において推定された動作パラメータ、または部品実装装置での使用実績のある動作パラメータのうち少なくとも2つを表示部に表示する表示工程と、を含む、部品データ管理方法。
【請求項15】
請求項13の部品データ管理方法をコンピュータに実行させるための部品データ管理プログラム。
【請求項16】
請求項14の部品データ管理方法をコンピュータに実行させるための部品データ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を基板に実装する部品実装装置で使用する部品データを管理する部品データ管理装置および部品データ管理方法ならびに部品データ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装装置は、部品の基板装着、ノズルの部品吸着、部品の撮像などに関する動作条件を含む多数の動作パラメータに基づいて、部品実装動作が制御される。この動作パラメータは、部品の形状などの情報を含む部品情報に紐付けた部品データとして、部品毎に適切な値が設定される(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、部品実装作業の成績が良くない部品データを使用する部品は、機械学習を用いて動作パラメータを修正するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-4129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、機械学習を用いて動作パラメータを自動で修正することができるものの、機械学習により推定された動作パラメータの確信度にはばらつきがあるため必ずしも品質や生産性が改善される保証はなく、また、動作パラメータを変更した場合に元の動作パラメータを使用した状態からどの程度改善されるかを把握しにくいため、部品データを作成する管理者が動作パラメータを修正して実装基板の品質や生産性を向上させるためには更なる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、作成された動作パラメータの信頼度を容易に確認することができる部品データ管理装置および部品データ管理方法ならびに部品データ管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品データ管理装置は、部品の部品情報に前記部品を基板に実装するための部品実装装置の動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理装置であって、動作パラメータと部品情報との関係性を示す学習モデルと、第1の部品の部品情報とに基づいて、前記第1の部品の動作パラメータを推定するパラメータ推定部と、前記第1の部品に対応して記憶される第1の動作パラメータと、前記パラメータ推定部が推定した前記第1の部品の第2の動作パラメータとを表示する表示部を備える。
【0007】
本発明の他の部品データ管理装置は、部品の部品情報に前記部品を基板に実装するための部品実装装置の動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理装置であって、動作パラメータと部品情報との関係性を示す学習モデルと、第1の部品の部品情報とに基づいて、前記第1の部品の動作パラメータを推定するパラメータ推定部と、表示する動作パラメータの表示条件を設定する設定部と、設定された前記表示条件に基づいて、前記第1の部品に対応して部品実装装置に設定される動作パラメータ、前記パラメータ推定部が推定した動作パラメータ、または部品実装装置での使用実績のある動作パラメータのうち少なくとも2つを表示する表示部と、を備える。
【0008】
本発明の部品データ管理方法は、部品の部品情報に前記部品を基板に実装するための部品実装装置の動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理方法であって、動作パラメータと部品情報との関係性を示す学習モデルと、第1の部品の部品情報とに基づいて、前記第1の部品の動作パラメータを推定するパラメータ推定工程と、前記第1の部品に対応して記憶される第1の動作パラメータと、前記パラメータ推定工程において推定された前記第1の部品の第2の動作パラメータとを表示部に表示する表示工程と、を含む。
【0009】
本発明の他の部品データ管理方法は、部品の部品情報に前記部品を基板に実装するための部品実装装置の動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理方法であって、動作パラメータと部品情報との関係性を示す学習モデルと、第1の部品の部品情報とに基づいて、前記第1の部品の動作パラメータを推定するパラメータ推定工程と、表示する動作パラメータの表示条件を設定する設定工程と、設定された前記表示条件に基づいて、前記第1の部品に対応して部品実装装置に設定される動作パラメータ、前記パラメータ推定工程において推定された動作パラメータ、または部品実装装置での使用実績のある動作パラメータのうち少なくとも2つを表示部に表示する表示工程と、を含む。
【0010】
本発明の部品データ管理プログラムは、請求項13の部品データ管理方法をコンピュータに実行させる。
【0011】
本発明の他の部品データ管理プログラムは、請求項14の部品データ管理方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作成された動作パラメータの信頼度を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成を示す説明図
図2】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(部品データ管理装置)の処理系の構成を示すブロック図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおいて用いられる部品データのデータ構成を示す説明図
図4】本発明の一実施の形態の動作パラメータの推定方法の説明図
図5】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(部品データ管理装置)に表示された表示条件設定画面の例を示す図
図6】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(部品データ管理装置)に表示された動作パラメータ更新画面の例を示す図
図7】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(部品データ管理装置)に表示された動作パラメータ更新画面の例を示す図
図8】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(部品データ管理装置)に表示された動作パラメータ更新画面の例を示す図
図9】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(部品データ管理装置)に表示された部品情報表示画面の例を示す図
図10】本発明の一実施の形態の部品データ管理方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装装置、管理コンピュータの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
まず、図1を参照して、部品実装システム1の構成について説明する。部品実装システム1は基板に部品を実装して実装基板を生産する機能を有している。本実施の形態では、複数(ここでは3本)の部品実装ライン4を通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続した構成となっている。各部品実装ライン4における作業は管理コンピュータ3によって管理される。なお、部品実装ライン4は3本に限定されることはなく、1本、2本、または4本以上であってよい。
【0016】
管理コンピュータ3は、各部品実装ライン4が備える生産設備の稼働に必要なデータやパラメータを作成し、各生産設備に送信する機能を有している。また、各生産設備より各生産設備の稼動状況、作業履歴などのデータが、管理コンピュータ3に送信される。また、管理コンピュータ3は、部品実装ライン4の生産設備で使用される部品データ、生産データなどを作成する機能を有している。なお、部品実装システム1は、部品実装ライン4毎にライン管理用のコンピュータを備え、ライン管理用のコンピュータを介して管理コンピュータ3と各生産設備がデータを送受信するようにしてもよい。
【0017】
図1において、部品実装ライン4は、基板供給装置M1、基板受渡装置M2、半田印刷装置M3、部品実装装置M4,M5、リフロー装置M6および基板回収装置M7を連結した構成となっている。基板供給装置M1によって供給された基板は基板受渡装置M2を介して半田印刷装置M3に搬入され、ここで基板に部品接合用のクリーム半田をスクリーン印刷する半田印刷作業が行われる。
【0018】
半田印刷後の基板は部品実装装置M4,M5に順次受け渡され、ここで半田印刷後の基板に対して部品を装着する部品実装作業が実行される。部品実装装置M4,M5は、基板に装着される部品毎に設定された部品データに含まれる動作パラメータに基づいて、フィーダが供給する部品を実装ヘッドが有するノズルで真空吸着によって取り出す。そして、部品認識カメラでノズルが保持する部品の状態を撮像し、基板の実装位置に指定された実装角度で装着する。部品実装装置M4,M5は複数のセンサを備えており、ノズルが部品を吸着する吸着動作、部品認識カメラが取り出された部品を撮像して認識する部品認識動作など、部品実装作業における作業ミスや動作エラーなどが監視されている。なお、実装ヘッドは部品をノズルの他、部品を把持するチャックユニットによって基板の実装位置に装着してもよい。
【0019】
部品実装後の基板はリフロー装置M6に搬入され、ここで所定の加熱プロファイルに従って加熱されることにより部品接合用のクリーム半田が溶融固化する。これにより部品が基板に半田接合されて基板に部品を実装した実装基板が完成し、基板回収装置M7に回収される。
【0020】
次に図2を参照して、管理コンピュータ3の情報処理系の構成について説明する。ここでは、管理コンピュータ3が備える複数の機能のち、部品実装装置M4,M5による部品実装作業に用いられる動作パラメータを含む部品データを作成し、管理する機能に関する構成について説明する。すなわち、管理コンピュータ3は、部品の部品情報に、部品実装装置M4,M5が部品を基板に実装するための動作条件である動作パラメータを紐付けした部品データを管理する部品データ管理装置である。
【0021】
管理コンピュータ3は、処理部10、記憶装置である記憶部20の他、入力部30、表示部31、通信部32を備えている。なお、管理コンピュータ3は、ひとつのコンピュータで構成する必要はなく、複数のデバイスで構成してもよい。例えば、記憶部20、処理部10の全てもしくは一部をサーバを介してクラウドに備えてもよい。
【0022】
図2において、入力部30は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部31は液晶パネルなどの表示装置であり、記憶部20が記憶する各種データを表示する他、入力部30による操作のための操作画面、入力画面などの各種情報を表示する。通信部32は、通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品実装ライン4を構成する生産設備(部品実装装置M4,M5)との間でデータの送受信を行う。
【0023】
処理部10はCPUなどのデータ処理装置であり、内部処理部として実績取得部11、学習情報作成部12、学習部13、パラメータ推定部14、算出部15、抽出部16、設定部17、表示処理部18、パラメータ更新部19を備えている。記憶部20には、生産データライブラリ21、部品ライブラリ22、実績情報23、学習情報24、学習モデル25、推定動作パラメータ26、確信度情報27、抽出動作パラメータ28、表示条件情報29などが記憶されている。
【0024】
図2において、生産データライブラリ21には、部品実装装置M4,M5による実装基板の生産で使用される生産データが、実装基板の生産機種名毎に記憶されている。生産データには、基板に実装される部品を特定する部品名、当該部品を部品ライブラリ22の部品データと関連付ける部品コード、当該部品の基板における実装位置、実装角度、部品実装装置M4,M5において当該部品が供給される位置などが含まれている。部品ライブラリ22には、部品情報に動作パラメータを紐付けした複数の部品データが記憶されている。部品データは、部品データコードによって生産データライブラリ21の生産データに関連付けられている。
【0025】
ここで図3を参照して、部品ライブラリ22に含まれる部品データ33の例について説明する。部品データ33は、部品データ33に含まれる「部品n」(部品データコード)と、生産データライブラリ21に含まれる生産データの部品データコードによって生産データに関連付けされる。この例では、部品ライブラリ22には、n=1,2,3・・・の部品データコードを有する複数の種類の部品の部品データ33が記憶されている。部品データ33には、大分類項目として部品情報34、動作パラメータ35が規定されている。
【0026】
部品情報34は、当該部品に固有の属性を示す情報である。ここでは、中分類項目として、「品名」34a、「形状」34b、「サイズ」34c、「部品パラメータ」34dが例示されている。「品名」34aは、当該部品を特定するための情報であり、部品メーカや自社が管理するために付与した「品番」が小分類項目として規定されている。「形状」34bは、当該部品の形状に関する情報であり、当該部品の外形形状を、矩形、円柱状などの形状区分によって示す「形状」、部品の形状を示す図面、画像情報を特定する情報などが小分類項目として規定されている。
【0027】
「サイズ」34cには、小分類項目として当該部品のサイズを示す「外形寸法」、当該部品に形成された接続用の電極(リード)の数や位置(間隔)を示す「電極位置」などが規定されている。「部品パラメータ」34dは当該部品の属性情報であり、小分類項目として当該部品の種類を示す「部品種別」、当該部品の外形における方向性の有無を示す「極性有無」、極性有りの場合に当該部品に付されるマークの形状などを示す「極性マーク」、極性マーク有りの場合に当該マークの位置を示す「マーク位置」などが規定されている。このように、部品情報34には、部品の寸法、リード数、リードピッチ、リード長さ、リード幅、部品高さ(サイズ34c)、形状データ(形状34b)、部品識別番号(品名34a)の少なくともいずれかひとつの項目が含まれる。
【0028】
図3において、動作パラメータ35は、当該部品データ33に規定される部品を対象として、部品実装ライン4に配置された部品実装装置M4,M5によって部品実装作業を実行する際に、部品実装装置M4,M5を制御するために用いられる制御パラメータ(動作条件)である。ここでは、中分類項目として、「ノズル設定」35a、「スピードパラメータ」35b、「認識」35c、「吸着」35d、「装着」35eが例示されている。
【0029】
「ノズル設定」35aは、当該部品を吸着保持する際に用いられる吸着ノズルに関するデータであり、小分類項目として選択可能な吸着ノズルの種類を特定する「ノズル」が規定されている。「スピードパラメータ」35bは、当該部品を吸着ノズルによって取り出して基板に装着する作業動作における吸着ノズルの移動速度に関する制御パラメータである。これらの制御パラメータには、小分類項目として部品を吸着して保持する際の「吸着速度」、「吸着保持時間」、保持した部品を基板に装着する際の「装着速度」、「装着保持時間」などが含まれる。
【0030】
図3において、「認識」35cは、部品供給部から吸着ノズルによって取り出された部品を部品認識カメラによって撮像して認識する認識処理の実行に関するパラメータである。これらのパラメータには、小分類項目として撮像に使用されるカメラの種類を特定する「カメラ種別」、撮像に際して使用される照明のモードを示す「照明モード」、撮像により取得された画像を認識する際の「認識速度」などが含まれる。
【0031】
「吸着」35dは、部品供給部から吸着ノズルによって部品を取り出す際の吸着動作に関する制御パラメータである。これらの制御パラメータには、小分類項目として、吸着ノズルを部品に着地させる際の吸着位置オフセットを示す「吸着位置X」、「吸着位置Y」などが含まれる。「装着」35eは、部品を吸着ノズルによって吸着保持した搭載ヘッドを基板に移動させて、吸着ノズルに昇降動作を行わせて部品を基板に装着する装着動作に関する制御パラメータである。これらの制御パラメータには、小分類項目として、吸着ノズルを下降させて部品を基板に着地させる際に部品を基板に押し付ける荷重である「装着荷重」などが含まれている。
【0032】
このように、動作パラメータ35は、部品を移動させるためのパラメータ(スピードパラメータ35bなど)、部品を保持するためのパラメータ(ノズル設定35a、スピードパラメータ35b、吸着35dなど)、部品を撮影するためのパラメータ(認識35cなど)の少なくともひとつを含んでいる。また、動作パラメータ35は、「品名」34aが同じ部品、すなわち部品情報34が同じであっても、基板に実装する部品実装装置M4,M5の品種や基板の材質や基板の電極などが変わったり、実装品質や実装ミス率を改善したりするために変更されることがある。
【0033】
当該部品の動作パラメータ35を変更すると、部品情報34は変えずに変更後の動作パラメータ35を紐づけた部品データ33が作成(更新)される。この際、部品データ33の「部品n」(部品データコード)に新たなコードを付与することで、修正前の動作パラメータ35と区別される。このように、部品データ33は、部品の固有の属性を示す部品情報34に、部品実装装置M4,M5が当該部品を基板に実装するための動作条件である動作パラメータ35が紐付けされている。
【0034】
部品ライブラリ22(データベース)の部品データ33は、生産データライブラリ21の生産データと一緒に部品実装ライン4の部品実装装置M4,M5に送信され、部品実装装置M4,M5における実装基板の生産に使用される。以下、部品実装装置M4,M5で生産に使用されている動作パラメータを「第1の動作パラメータ」と称する。すなわち、部品実装装置M4,M5において基板に実装される第1の部品の第1の動作パラメータは、部品実装装置M4,M5で使用される動作パラメータとしてデータベース(部品ライブラリ22)上に記憶されている。なお、部品ライブラリ22には自らの工場の部品実装システム1で使用された部品データ33の他、別の工場の部品実装システム1で使用された部品データ33、EDA(Electronic design automatio)ベンダーが予め準備したデータベースを含んでいてもよい。
【0035】
図2において、実績取得部11は、各々の部品実装ライン4が備える部品実装装置M4,M5から部品実装作業の実績を取得する。部品実装作業の実績には、生産開始日時、生産終了日時、生産枚数、作業ミスの回数、ミス率(頻度)、動作エラーの回数とその内容などの情報が含まれる。実績取得部11は、取得した情報と部品実装作業を行った部品実装装置M4,M5を特定する情報、生産データ、第1の動作パラメータを含む部品データ33とを関連付けて実績情報23として記憶部20に記憶する。すなわち、第1の動作パラメータは、部品実装装置M4,M5での実績情報を関連付けてデータベース(記憶部20)上に記憶される。なお、実績取得部11は、部品実装装置M4,M5の他、部品実装作業後に基板状態を検査する部品実装ライン4が備える基板検査装置(図示省略)から作業不良情報を取得してもよい。
【0036】
学習情報作成部12は、実績情報23、部品ライブラリ22に基づいて、生産実績がある第1の部品の第1の動作パラメータ、第1の部品の部品情報34や部品実装作業の実績などの第1の動作パラメータに関する情報を関連付けた学習情報24を作成して、記憶部20に記憶させる。
【0037】
図2において、学習部13は、学習情報24を教示データとして、後述する動作パラメータ35と部品情報34との関係性を示す学習モデル25を、機械学習等を用いた学習アルゴリズムにより生成する。学習アルゴリズムとしては、ニューラルネットワーク(多層のニューラルネットワークを用いた深層学習を含む)、遺伝的プログラミング、決定木、ベイジアン・ネットワーク、サポート・ベクター・マシン(SVM)等を使用し得る。生成された学習モデル25は、記憶部20に記憶される。
【0038】
パラメータ推定部14は、生成された学習モデル25と第1の部品の部品情報34とに基づいて、第1の部品の動作パラメータ35を推定する。パラメータ推定部14によって推定された動作パラメータ35は、推定動作パラメータ26(第2の動作パラメータ)として記憶部20に記憶される。
【0039】
ここで、図4を参照して、部品データ管理装置(管理コンピュータ3)により推定動作パラメータ26(第2の動作パラメータ)を推定する動作パラメータ推定方法について説明する。まず、学習情報作成部12は、記憶部20に記憶されている部品ライブラリ22と実績情報23より、同一の部品の部品情報34、動作パラメータ35(第1の動作パラメータ)、実績情報を関連付けて、学習情報24を作成する(ST1:学習情報作成工程)。
【0040】
例えば、学習情報作成部12は、部品データ33に含まれる品名34aが「D1」の部品(以下、単に「部品D1」などと称する。)の部品情報34及び動作パラメータ35と、実績情報23に含まれる部品D1を部品実装装置M4,M5で実装した実績情報を関連付けた教師データを作成し、学習情報24として記憶させる。
【0041】
図4において、次いで学習部13は、学習情報24に基づき、動作パラメータ35と部品情報34との関係性を示す学習モデル25を生成する(ST2:学習工程)。作成された学習モデル25は記憶部20に記憶される。次いでパラメータ推定部14は、生成された学習モデル25を用いて、第1の部品の部品情報34から第1の部品の推定動作パラメータ26(第2の動作パラメータ)を推定(算出)する(ST3:動作パラメータ推定工程)。推定された推定動作パラメータ26は記憶部20に記憶される。
【0042】
例えば、実装実績がある部品の部品実装作業の生産性や実装品質を向上させるための推定動作パラメータ26(推奨値)や、新規の部品の推定動作パラメータ26(予想値)が算出される。図4の例では、パラメータ推定部14は、学習モデル25を用いて、部品ライブラリ22に含まれる実装実績がある部品D1の部品情報34から推奨される推定動作パラメータ26(第2の動作パラメータ)を算出している。
【0043】
図2において、算出部15は、推定された推定動作パラメータ26(第2の動作パラメータ)がどれくらい信頼できるものであるかを統計的に表す確信度を算出する。算出部15は、学習モデル25に基づいて確信度を算出する。または、算出部15は、学習モデル25の生成に使用した学習情報24に基づいて確信度を算出する。
【0044】
例えば、推定する部品情報34と学習モデル25の生成に使用した教師データ(学習情報24)の部品情報34との一致度が高いほど確信度は高くなる。また、教師データの数が多いほど確信度は高くなる。また、推定する日時と学習モデル25が生成された日時とが近いほど、推定する日時と教師データの情報を取得した日時が新しいほど確信度は高くなる。また、学習データに含まれる実績(実績情報23)が多いほど確信度は高くなる。算出部15は、推定動作パラメータ26(第2の動作パラメータ)の全体の確信度を算出する他、推定動作パラメータ26の小分類項目の各々で確信度を算出する。算出された確信度は、確信度情報27として記憶部20に記憶される。
【0045】
図2において、抽出部16は、部品ライブラリ22に記憶される複数の部品の第1の動作パラメータ(動作パラメータ35)の中から、部品情報34が類似または一致する部品の第1の動作パラメータを抽出動作パラメータ28として抽出する。具体的には、まず抽出部16は、少なくともひとつの部品情報34の項目(図3の小分類項目を参照)の一致度合いから類似または一致する部品情報34を抽出する。次いで抽出部16は、その部品情報34に紐付けされている第1の動作パラメータを抽出動作パラメータ28として抽出する。抽出された抽出動作パラメータ28は、記憶部20に記憶される。
【0046】
設定部17は、表示部31に表示条件設定画面を表示させて、表示部31に表示する動作パラメータを指定する表示条件の入力を受け付ける(設定する)。ここで図5を参照して、設定部17が表示部31に表示させた表示条件設定画面40の例と、管理者による表示条件の設定作業について説明する。表示条件設定画面40には、部品名入力欄41、表示選択欄42、キャンセルボタン43、決定ボタン44が表示されている。管理者は、入力部30を操作して、部品名入力欄41に部品実装装置M4,M5が基板に実装する部品の部品名を入力する。
【0047】
また管理者は、入力部30を操作して、表示選択欄42に表示されている表示部31に表示させる動作パラメータを選択するチェックボタンを選択する。この例では、表示選択欄42において、現在値として部品実装装置M4,M5に設定される動作パラメータ(第1の動作パラメータ)、推奨値としてパラメータ推定部14が推定した動作パラメータ(推定動作パラメータ26)、類似部品の実績値として部品実装装置M4,M5での使用実績のある動作パラメータ(抽出動作パラメータ28)のうち2つ以上が選択される。
【0048】
キャンセルボタン43が操作されると、表示選択欄42で選択されていたチェックボタンが全てキャンセルされる。決定ボタン44が操作されると、設定部17は表示条件設定画面40において設定された条件に対応する表示条件を表示条件情報29として記憶部20に記憶させる。この例では、部品D1の第1の動作パラメータ(現在値)と推定動作パラメータ26(推奨値)を表示部31に表示する表示条件が設定される。
【0049】
図2において、表示処理部18は、設定された表示条件(表示条件情報29)に基づいて、表示部31に動作パラメータなどを表示して動作パラメータの更新を受け付ける動作パラメータ更新画面を表示させる。ここで図6を参照して、表示処理部18が表示部31に表示させた動作パラメータ更新画面45について説明する。動作パラメータ更新画面45は、図5に示す表示条件設定画面40により設定された表示条件情報29に基づいて、表示処理部18により表示部31に表示されている。
【0050】
図6において、動作パラメータ更新画面45には、部品名表示欄46、動作パラメータ表示枠47、全て選択ボタン48、全選択解除ボタン49、更新ボタン50、キャンセルボタン51が表示されている。部品名表示欄46には、動作パラメータ表示枠47に表示されている動作パラメータに対応する部品の部品名(ここでは「D1」)が表示されている。動作パラメータ表示枠47には、項目表示欄47a、現在値表示欄47b、推奨値表示欄47c、更新設定欄47d、確信度表示欄47e、スクロールバー47fが表示されている。入力部30によりスクロールバー47fを操作することで、動作パラメータ表示枠47に表示される動作パラメータ等が変更される。
【0051】
項目表示欄47aには、図3に示す動作パラメータ35の小分類項目に対応する項目が表示されている。現在値表示欄47bには、部品ライブラリ22に記憶されている部品実装装置M4,M5で現在使用されている部品D1の動作パラメータ(第1の動作パラメータ)が表示されている。推奨値表示欄47cには、推定動作パラメータ26に記憶されているパラメータ推定部14によって推定された部品D1の動作パラメータ(第2の動作パラメータ)が表示されている。なお、部品実装装置M4,M5で現在使用されている部品D1の動作パラメータ(第1パラメータが)が部品ライブラリ22に記憶されていない場合、デフォルト値を部品D1の動作パラメータ(第1パラメータ)として表示してもよい。
【0052】
すなわち、表示部31は、第1の部品(部品D1)に対応して記憶される第1の動作パラメータ(現在値)と、パラメータ推定部14が推定した第1の部品の第2の動作パラメータ(推奨値)とを表示する。このように、第1の動作パラメータと第2の動作パラメータとを対比させて表示することで、作成された第2の動作パラメータの信頼度を容易に確認することができる。
【0053】
図6において、更新設定欄47dには、項目表示欄47aの項目に対応するチェックボタンが表示されている。管理者は入力部30を操作して、現在値を推奨値に置き換えて更新しようとしている項目のチェックボタンにチェックを入力(選択)する。全て選択ボタン48が操作されると、全ての項目のチェックボタンが選択される。また、全選択解除ボタン49が操作されると、全ての項目のチェックボタンの選択が解除される。
【0054】
確信度表示欄47eには、算出部15によって算出された推定動作パラメータ26の全体の確信度が表示されている。すなわち、表示部31は、第2の動作パラメータ(推定動作パラメータ26)と確信度を対応付けて表示する。これにより、管理者は推定された第2の動作パラメータの確信度を参照しながら置き換えて更新する推奨値の項目を選択することができる。
【0055】
図6において、更新ボタン50が操作されると、パラメータ更新部19は動作パラメータ更新画面45において選択された第2の動作パラメータ(推定動作パラメータ26)を現在使用されている第1の動作パラメータと置き換えて部品データ33を更新(作成)する。この際、修正前の動作パラメータ35と区別するために、「部品n」(部品データコード)に新たなコードを付与した部品データ33が作成される。このように、パラメータ更新部19は、表示部31に表示された複数の第2の動作パラメータの中から選択された第2の動作パラメータを第1の動作パラメータとして置き換えて更新する。キャンセルボタン51が操作されると、動作パラメータは更新されずに前の画面に遷移する。
【0056】
次に図7を参照して、動作パラメータ更新画面52の他の例について説明する。図7に示す動作パラメータ更新画面52は、動作パラメータ表示枠47の確信度表示欄47gに項目表示欄47aに対応する項目の各々の確信度が表示されているところが図6に示す動作パラメータ更新画面45とは異なる。管理者は、項目毎に表示された確信度を参照しながら、置き換えて更新する推奨値の項目を選択することができる。すなわち、管理者は確信度が高い動作パラメータのみを変更することができる。
【0057】
次に図8を参照して、動作パラメータ更新画面53の他の例について説明する。動作パラメータ更新画面53は、図5に示す表示条件設定画面40の表示選択欄42において「推奨値」と「類似部品の実績値」が選択された表示条件(表示条件情報29)に基づいて、表示処理部18により表示部31に表示されている。以下、図6に示す動作パラメータ更新画面45と同じ部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0058】
図8において、動作パラメータ更新画面53は、部品名表示欄46、動作パラメータ表示枠47、更新ボタン50、キャンセルボタン51、部品情報表示ボタン54が表示されている。動作パラメータ表示枠47には、項目表示欄47a、推奨値表示欄47cの他、実績値1表示欄47h、実績値2表示欄47i、ミス率表示欄47jが表示されている。
【0059】
実績値1表示欄47hと実績値2表示欄47iには、抽出動作パラメータ28に記憶されている抽出部16によって抽出された部品D1の部品情報34と類似または一致する部品の動作パラメータ(第1の動作パラメータ)が表示されている。すなわち、表示部31は、抽出部16によって部品ライブラリ22に記憶される複数の部品の第1の動作パラメータの中から抽出された第1の動作パラメータを表示する。この例では、部品D1に類似する部品として2つの部品が抽出されており、実績値1表示欄47hと実績値2表示欄47iに第1の動作パラメータがそれぞれ表示されている。
【0060】
図8において、ミス率表示欄47jには、実績情報23に記憶されている実績値1表示欄47hと実績値2表示欄47iに対応する部品の部品実装作業のミス率の実績値が表示されている。すなわち、表示部31は、第1の動作パラメータに紐付いて記憶される実績情報23を合わせて表示する。さらに、ミス率表示欄47jには、動作パラメータを推奨値表示欄47cに表示されている推定動作パラメータ26(第2の動作パラメータ)で部品実装作業を行った場合に、類似する部品のミス率の実績に基づいてシミュレーションによって推定されるミス率が表示されている。なお、動作パラメータ更新画面53に表示する実績情報23はミス率に限定されることはなく、他の情報であってもよい。例えば、実績情報23として、動作エラーのエラー率、実装基板1枚当たりの生産時間などを表示するようにしてもよい。
【0061】
更新ボタン50が操作されると、パラメータ更新部19は、第2の動作パラメータ(推定動作パラメータ26)の全てを現在使用されている第1の動作パラメータと置き換えて部品データ33を更新(作成)する。部品情報表示ボタン54が操作されると、後述する部品情報表示画面に遷移する。
【0062】
ここで図9を参照して、図8に示す動作パラメータ更新画面53の部品情報表示ボタン54が操作されて表示部31に表示された部品情報表示画面55の例について説明する。部品情報表示画面55には、推奨値部品情報表示枠56、実績値部品情報表示枠57、戻るボタン58が表示されている。推奨値部品情報表示枠56には、動作パラメータ更新画面53の推奨値表示欄47cに対応する部品D1の部品情報34の一部が表示されている。実績値部品情報表示枠57には、動作パラメータ更新画面53の実績値1表示欄47hに対応する部品D2の部品情報34の一部が表示されている。
【0063】
実績値部品情報表示枠57には表示部品選択枠59が設けられている。表示部品選択枠59に表示されているラジオボタンを選択することで、実績値部品情報表示枠57に表示される情報が実績値1表示欄47hに対応する部品D2と実績値2表示欄47iに対応する部品D3との間で変更される。推奨値部品情報表示枠56と実績値部品情報表示枠57には、それぞれ部品形状表示枠60とサイズ情報表示枠61が表示されている。部品形状表示枠60には、部品情報34の形状34bに含まれる部品の外形の概略図が表示される。サイズ情報表示枠61には、部品情報34のサイズ34cに含まれる外形寸法、ボディサイズ、電極位置などが表示される。
【0064】
図9において、推奨値部品情報表示枠56には詳細表示ボタン56aが表示され、実績値部品情報表示枠57には詳細表示ボタン57aが表示されている。詳細表示ボタン56aが操作されると、推奨値部品情報表示枠56に対応する部品D1の部品情報34の詳細を表示する画面(図示省略)に遷移する。詳細表示ボタン57aが操作されると実績値部品情報表示枠57に対応する部品D2の部品情報34の詳細を表示する画面(図示省略)に遷移する。戻るボタン58が操作されると、図8に示す動作パラメータ更新画面53に遷移する(戻る)。
【0065】
次に図10のフローに沿って、図5図8を参照しながら部品の部品情報34に動作パラメータ35を紐付けした部品データ33を管理する部品データ管理方法(部品データ管理プログラム)について説明する。ここでは、部品データ管理方法のうち、実績がある部品の動作パラメータ35を部品実装作業の生産性や実装品質が向上すると期待される推奨値に更新する方法について説明する。まず、設定部17は、表示部31に表示する動作パラメータの表示条件(表示条件情報29)を設定する(ST11:設定工程)。表示条件は、例えば表示条件設定画面40(図5)などを使用して入力される。なお設定工程(ST11)は、表示条件が事前に設定されていれば省略してもよい。
【0066】
次いでパラメータ推定部14は、動作パラメータ35と部品情報34との関係性を示す学習モデル25と、表示条件で指定された部品(第1の部品)の部品情報34とに基づいて、第1の部品の第2の動作パラメータ(推定動作パラメータ26)を推定する(ST3:パラメータ推定工程)。次いで算出部15は、推定された第2の動作パラメータの確信度を算出する(ST12:確信度算出工程)。次いで抽出部16は、部品ライブラリ22に記憶される複数の部品の第1の動作パラメータの中から、表示条件で指定された部品(第1の部品)と部品情報34が類似または一致する部品の第1の動作パラメータ(抽出動作パラメータ28)を抽出する(ST13:動作パラメータ抽出工程)。
【0067】
なお、パラメータ推定工程(ST3)、確信度算出工程(ST12)、動作パラメータ抽出工程(ST13)の順番は適宜入れ替えてもよく、並行して同時に実行するようにしてもよい。また、設定工程(ST11)において、表示部31に表示する情報として表示条件に設定されなかった情報を作成する工程はスキップするようにしてもよい。例えば、表示条件として図6に示す動作パラメータ更新画面45で表示される条件が設定された場合は、動作パラメータ更新画面45で表示されない動作パラメータの実績値(抽出動作パラメータ28)を作成する動作パラメータ抽出工程(ST13)をスキップするようにしてもよい。
【0068】
図10において、次いで表示処理部18は、設定工程(ST11)において設定された表示条件に基づいて、動作パラメータ35を表示する動作パラメータ更新画面45,52,53(図6図8)を表示部31に表示させる(ST14:表示工程)。すなわち、第1の部品に対応して部品実装装置M4,M5に設定される第1の動作パラメータ、パラメータ推定工程(ST3)において推定された第2の動作パラメータ(推定動作パラメータ26)、または動作パラメータ抽出工程(ST13)において抽出された部品実装装置M4,M5での使用実績のある第1の動作パラメータ(抽出動作パラメータ28)のうち少なくとも2つが表示部31に表示される。
【0069】
次いで動作パラメータ更新画面45,52の更新設定欄47dなどで更新する動作パラメータが選択され(ST15)、更新ボタン50が操作されると、パラメータ更新部19は選択された第2の動作パラメータを第1の動作パラメータとして置き換えて部品データ33を更新(作成)する(ST16:部品データ更新工程)。次いで動作パラメータを更新する部品が有る場合は(ST17においてYes)、表示条件設定工程(ST11)に戻って、次の部品の動作パラメータが更新される。動作パラメータを更新する部品が無い場合は(ST17においてNo)、部品データ33の更新処理が終了する。
【0070】
上述の部品データ管理方法によって更新された第1の動作パラメータ(推定動作パラメータ26)を含む部品データ33は、その後、部品実装ライン4の部品実装装置M4,M5に送信されて実装基板の生産に使用される。さらに、更新された部品データ33を使用した部品実装作業の実績情報23は管理コンピュータ3に取得されて、次に学習モデル25を生成する際に使用される。すなわち、学習部13は、部品データ33に含まれる更新された第1の動作パラメータと第1の動作パラメータに関する情報(実績情報23)を加えた学習情報24に基づいて、学習モデル25を生成する。これによって、学習モデル25に基づいて推定される第2の動作パラメータ(推定動作パラメータ26)の信頼度を向上させることができる。
【0071】
上記説明したように、本実施の形態の管理コンピュータ3は、動作パラメータ35と部品情報34との関係性を示す学習モデル25と、第1の部品の部品情報34とに基づいて、第1の部品の動作パラメータ(推定動作パラメータ26)を推定するパラメータ推定部14と、第1の部品に対応して記憶される第1の動作パラメータと、パラメータ推定部14が推定した第1の部品の第2の動作パラメータとを表示する表示部31を備える、部品データ33を管理する部品データ管理装置である。これによって、作成された動作パラメータの確信度やミス率などの信頼度を容易に確認することができる。
【0072】
なお、上述の説明で用いた「第1の部品」とは、説明のために用いた用語であり、これに限定されない。例えば、「一の部品」、「部品A」、もしくは「特定の部品」等の他の用語を用いて表現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の部品データ管理装置および部品データ管理方法ならびに部品データ管理プログラムは、作成された動作パラメータの信頼度を容易に確認することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0074】
3 管理コンピュータ(部品データ管理装置)
M4,M5 部品実装装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10