(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182224
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】オイルコーティング生地及びオイルコーティング方法
(51)【国際特許分類】
D06M 15/227 20060101AFI20221201BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20221201BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20221201BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20221201BHJP
B05D 5/00 20060101ALI20221201BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20221201BHJP
D06M 13/02 20060101ALI20221201BHJP
D06M 15/564 20060101ALI20221201BHJP
D06M 101/34 20060101ALN20221201BHJP
【FI】
D06M15/227
B32B5/24 101
B05D7/00 G
B05D7/24 301L
B05D5/00 J
B05D3/02 Z
B05D7/24 303Z
D06M13/02
D06M15/564
D06M101:34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089676
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】501376936
【氏名又は名称】丸井織物株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390006404
【氏名又は名称】倉庫精練株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】宮本 淳二
(72)【発明者】
【氏名】濱井 博志
(72)【発明者】
【氏名】広沢 清勝
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4L033
【Fターム(参考)】
4D075BB30Z
4D075DA01
4D075DA03
4D075DB20
4D075DB53
4D075DC38
4D075EA19
4D075EA29
4D075EB38
4D075EC33
4D075EC35
4D075EC41
4F100AH01B
4F100AK46A
4F100AK51B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA01B
4F100CA02B
4F100CA16B
4F100CA18B
4F100DG11A
4F100DG12A
4F100DJ00B
4F100DJ01B
4F100EH46B
4F100EJ02B
4F100EJ423
4F100GB72
4F100JB06C
4F100JL16A
4L033AA08
4L033AB04
4L033AC03
4L033BA01
4L033CA12
4L033CA50
(57)【要約】
【課題】 綿織物にオイルをコーティングした生地に酷似したオイルコーティング生地を提供する。
【解決手段】 オイルコーティング生地は、生地本体と、前記生地本体に形成されたオイルコーティング層と、前記オイルコーティング層に形成された気泡、又は、気泡の破裂痕とを有する。好適には、前記オイルコーティング層は、パラフィンを含み、非フッ素系の撥水層をさらに有する。好適には、前記生地本体は、リサイクルナイロンを50重量%以上含む化学繊維で構成され、前記オイルコーティング層は、ウレタン樹脂をさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地本体と、
前記生地本体に形成されたオイルコーティング層と、
前記オイルコーティング層に形成された気泡、又は、気泡の破裂痕と
を有するオイルコーティング生地。
【請求項2】
前記オイルコーティング層は、パラフィンを含み、
非フッ素系の撥水層
をさらに有する請求項1に記載のオイルコーティング生地。
【請求項3】
前記生地本体は、リサイクルナイロンを50重量%以上含む化学繊維で構成され、
前記オイルコーティング層は、ウレタン樹脂をさらに含む
請求項2に記載のオイルコーティング生地。
【請求項4】
生地本体又は生地を構成する糸に対して、発泡剤が含まれたオイルコーティング剤を塗布する工程と、
前記生地本体又は前記糸に塗布されたオイルコーティング剤に含まれる発泡剤を発泡させる工程と
を有するオイルコーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルコーティング生地及びオイルコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、布帛の片面に高発泡層がパターン状に設けられ、さらに該高発泡層表面に保護層が積層貼合されていることを特徴とするコーティング布帛が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、綿織物にオイルをコーティングした生地に酷似したオイルコーティング生地を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るオイルコーティング生地は、生地本体と、前記生地本体に形成されたオイルコーティング層と、前記オイルコーティング層に形成された気泡、又は、気泡の破裂痕とを有する。
【0006】
好適には、前記オイルコーティング層は、パラフィンを含み、非フッ素系の撥水層をさらに有する。
【0007】
好適には、前記生地本体は、リサイクルナイロンを50重量%以上含む化学繊維で構成され、前記オイルコーティング層は、ウレタン樹脂をさらに含む。
【0008】
本発明に係るオイルコーティング方法は、生地本体又は生地を構成する糸に対して、発泡剤が含まれたオイルコーティング剤を塗布する工程と、前記生地本体又は前記糸に塗布されたオイルコーティング剤に含まれる発泡剤を発泡させる工程とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、綿織物にオイルをコーティングした生地に酷似したオイルコーティング生地を提供することができる。例えば、ナイロン生地等の化学繊維の生地であっても、オイルコーティング生地の質感を出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】オイルコーティング生地表面の拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(オイルコーティング生地)
本実施形態のオイルコーティング生地は、生地本体と、生地本体に形成されたオイルコーティング層と、オイルコーティング層に形成された気泡、又は、気泡の破裂痕とを有する。より具体的には、オイルコーティング生地は、
図1に示すように、織物である生地本体と、この生地本体の表面に形成されたオイルコーティング層と、このオイルコーティング層に形成された気泡及び気泡の破裂痕とを有する。
【0012】
(生地本体)
生地本体は、例えば、化学繊維で構成された織物生地又は編物生地である。より具体的には、生地本体は、リサイクルナイロンを50重量%以上含むナイロン糸を製織したナイロン生地である。ナイロン糸は、例えば、タスラン加工糸である。
【0013】
(オイルコーティング層)
オイルコーティング層は、例えば、パラフィン、非フッ素系の撥水剤、ウレタン樹脂、及び発泡剤を含む。
パラフィンは、例えば、固形パラフィンであり、その70%がカルナバワックスやライスワックス等の植物由来パラフィンである。
撥水剤は、例えば、植物由来成分を50%以上含むC0撥水剤である。
ウレタン樹脂は、例えば、植物由来成分を50%以上含むウレタン樹脂である。
発泡剤は、例えば、アクリロニトリル樹脂のマイクロカプセルである。
【0014】
(気泡及び破裂痕)
オイルコーティング層に形成される気泡及び破裂痕は、上記発泡剤が発泡したもの、及び、発泡した気泡が破裂した痕である。この気泡及び破裂痕によって、オイルコーティング生地の表面には、オイルコーティングされた綿織物生地のような風合いを出す。特に、生地本体が薄手の化学繊維織物であっても、ペラペラ感を抑え、オイルコーティング綿織物のような風合いになる。さらに、オイルコーティング層に形成された気泡及び破裂痕が、オイルコーティング生地に特有のチョークマークを再現する。なお、このチョークマークは、アイロン等で加熱することにより消すことができる。
【0015】
[オイルコーティング方法]
次に、オイルコーティング方法を説明する。
(混錬工程)
発泡剤0.1~0.5重量部と水5重量部を混合してエマルジョンにし、固形パラフィン13~18重量部、C0撥水剤、浸透剤、生地接着用の架橋剤、ウレタン樹脂17~20重量部、増粘剤、水10重量部、中和剤、ウレタン樹脂用の架橋剤、増粘剤を順に加えて混錬し、ペースト状にする。
(塗布工程)
上記ペースト状の混錬物を、ナイロン生地の表面に薄く均一に塗工する。
(乾燥工程)
混錬物が塗工されたナイロン生地を120℃~160℃で乾燥させる。
以上により、ナイロン生地のオイルコーティングが完了する。
【0016】
[実施例]
松本油脂製薬製の発泡剤(マイクロスフェアーFN-100SSD)0.5重量部と水5重量部のエマルションに対して、大原パラヂウム化学製のパラフィン剤(パラヂウムSS)40重量部、明成化学製のC0撥水剤(メイシールドZ-5)75重量部、明成化学製の浸透剤(マイネックスWOR)1重量部、明成化学製の架橋剤(SU―268A)10重量部、大原パラヂウム化学製のウレタンシリコン剤(PNA―165)80重量部、日華化学製の増粘剤(ネオステッカーV)10重量部、水10重量部、28%アンモニア水3重量部、日華化学製の架橋剤(NKアシストCi02)10重量部、日華化学製の増粘剤(ネオステッカーS)5重量部を順に加えて混錬し、ペースト状の混錬物(コーティング剤)を得る。
このコーティング剤を、ナイロンの高密度タスラン加工糸で製織された生地本体に塗工し、塗工されたコーティング剤を120℃で乾燥させ、さらに、150℃で1分間加熱した。
これにより得られたコーティング生地の拡大写真は、
図1である。
図1に示すように、表面に気泡が形成されている。
【0017】
以上説明したように、本実施形態のオイルコーティング生地は、生地本体がナイロン等の化学繊維織物であったとしても、綿織物にオイルをコーティングした生地に酷似した生地となる。
【0018】
上記実施形態では、生地本体の表面に、混錬物(コーティング剤)を塗工する形態を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、糸にコーティング剤を塗布し乾燥させた後で、コーティングされた糸を製織してもよい。