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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182240
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】災害発生設備診断システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221201BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20221201BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089701
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB58
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】水害発生時に設備の復旧に必要な保守対象装置の発注書を作成する災害発生設備診断システムを提供する。
【解決手段】機器設置高さが浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が無いことを示している保守対象機器を、新設対応機器として抽出し、機器設置高さが浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が有ることを示している保守対象機器を、修繕対応機器として抽出し、機器設置高さが浸水高よりも高く、設置環境高さが浸水高よりも低い保守対象機器を、点検対応機器として抽出する被災機器抽出部12と、新設対応機器の機器名および仕様から新設機器発注書データを作成し、修繕対応機器の機器名および修繕仕様から修繕機器発注書データを作成し、点検対応機器の機器名および点検仕様から点検機器リストデータを作成する発注書データ作成部13とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの保守対象機器のそれぞれについて、機器名、仕様、基準位置から前記保守対象機器の設置環境までの高さを示す設置環境高さ、前記設置環境高さを基準としたときの前記保守対象機器が設置されている高さを示す環境内設置高さ、前記保守対象機器の水没に対する耐性の有無を示す防水等級、修繕仕様および点検仕様の情報が保存された機器情報記憶部と、
前記基準位置から水害発生時の水面までの高さである浸水高の情報を取得する浸水情報取得器と、
前記設置環境高さおよび前記環境内設置高さを足し合わせた機器設置高さが前記浸水高よりも低く、前記防水等級が水没に対する耐性が無いことを示している前記保守対象機器を、新設対応機器として抽出し、前記機器設置高さが前記浸水高よりも低く、前記防水等級が水没に対する耐性が有ることを示している前記保守対象機器を、修繕対応機器として抽出し、前記機器設置高さが前記浸水高よりも高く、前記設置環境高さが前記浸水高よりも低い前記保守対象機器を、点検対応機器として抽出する被災機器抽出部と、
前記新設対応機器の前記機器名および前記仕様から個別新設機器情報を作成し、前記個別新設機器情報から新設機器発注書データを作成して出力し、前記修繕対応機器の前記機器名および前記修繕仕様から個別修繕機器情報を作成し、前記個別修繕機器情報から修繕機器発注書データを作成して出力し、前記点検対応機器の前記機器名および前記点検仕様から個別点検機器情報を作成し、前記個別点検機器情報から点検機器リストデータを作成して出力する発注書データ作成部とを備えた災害発生設備診断システム。
【請求項2】
前記浸水情報取得器は、前記プラントの水位計であることを特徴とする請求項1に記載の災害発生設備診断システム。
【請求項3】
前記新設機器発注書データを取得して新設機器発注書を出力し、前記修繕機器発注書データを取得して修繕機器発注書を出力し、前記点検機器リストデータを取得して点検機器リストを出力する発注書出力器を備えた請求項1または2に記載の災害発生設備診断システム。
【請求項4】
前記発注書出力器は、前記新設機器発注書、前記修繕機器発注書、前記点検機器リストの順番に出力することを特徴とする請求項3に記載の災害発生設備診断システム。
【請求項5】
前記設置環境高さは、前記基準位置から前記保守対象機器が設置されている建物の地盤面までの高さ、前記基準位置から前記保守対象機器が設置されている階の床面までの高さ、あるいは、前記基準位置から前記保守対象機器が設置されている前記建物の1階の床面までの高さであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の災害発生設備診断システム。
【請求項6】
前記機器情報記憶部は、前記保守対象機器の新設価格、修繕価格および点検価格が保存されており、
前記発注書データ作成部は、
前記新設対応機器の前記機器名と前記仕様と前記新設価格とから前記個別新設機器情報を作成し、
前記修繕対応機器の前記機器名と前記修繕仕様と前記修繕価格とから前記個別修繕機器情報を作成し、
前記点検対応機器の前記機器名と前記点検仕様と前記点検価格とから個別点検機器情報を作成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の災害発生設備診断システム。
【請求項7】
前記機器情報記憶部は、前記保守対象機器の新設価格が保存されており、
前記発注書データ作成部は、
前記新設対応機器の前記機器名と前記仕様と前記新設価格とから前記個別新設機器情報を作成し、
前記修繕対応機器の前記機器名と前記修繕仕様と前記新設価格から求めた修繕価格とから前記個別修繕機器情報を作成し、
前記点検対応機器の前記機器名と前記点検仕様と前記新設価格から求めた点検価格とから個別点検機器情報を作成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の災害発生設備診断システム。
【請求項8】
前記発注書データ作成部は、
複数の前記個別新設機器情報を前記新設価格が高いものから順番に並べて前記新設機器発注書データを作成し、
複数の前記個別修繕機器情報を前記修繕価格が高いものから順番に並べて前記修繕機器発注書データを作成し、
複数の前記個別点検機器情報を前記点検価格が高いものから順番に並べて前記点検機器リストデータを作成することを特徴とする請求項6または7に記載の災害発生設備診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、災害発生設備診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害発生時には、被害状況を迅速に把握し、設備を復旧させる必要がある。そのため、水害発生時に被災状況を早期に把握するために、保守対象装置が設置されている建物の海抜情報と建物における保守対象装置を設置した高さの情報とを保持しておき、水害発生時に、災害発生エリアの浸水深と災害発生エリアに設置した保守対象装置の海抜位置とに基づいて、保守対象装置が水没する可能性を判定し、水没する可能性があると判定した機器の一覧を含んだ保守作業指示を送信する災害発生設備診断システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-67679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された災害発生設備診断システムでは、水没する可能性を判定して保守作業指示を送信するのみであり、設備を復旧させるには被災状況に応じた発注書を作成しなければならないという課題があった。
【0005】
本願は、上述の課題を解決するためになされたものであり、水害発生時に設備の復旧に必要な保守対象装置の発注書データを作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示される災害発生設備診断システムは、プラントの保守対象機器のそれぞれについて、機器名、仕様、基準位置から保守対象機器の設置環境までの高さを示す設置環境高さ、設置環境高さを基準としたときの保守対象機器が設置されている高さを示す環境内設置高さ、保守対象機器の水没に対する耐性の有無を示す防水等級、修繕仕様および点検仕様の情報が保存された機器情報記憶部と、基準位置から水害発生時の水面までの高さである浸水高の情報を取得する浸水情報取得器と、設置環境高さおよび環境内設置高さを足し合わせた機器設置高さが浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が無いことを示している保守対象機器を、新設対応機器として抽出し、機器設置高さが浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が有ることを示している保守対象機器を、修繕対応機器として抽出し、機器設置高さが浸水高よりも高く、設置環境高さが浸水高よりも低い保守対象機器を、点検対応機器として抽出する被災機器抽出部と、新設対応機器の機器名および仕様から個別新設機器情報を作成し、個別新設機器情報から新設機器発注書データを作成して出力し、修繕対応機器の機器名および修繕仕様から個別修繕機器情報を作成し、個別修繕機器情報から修繕機器発注書データを作成して出力し、点検対応機器の機器名および点検仕様から個別点検機器情報を作成し、個別点検機器情報から点検機器リストデータを作成して出力する発注書データ作成部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される災害発生設備診断システムは、設置環境高さおよび環境内設置高さを足し合わせた機器設置高さが浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が無いことを示している保守対象機器を、新設対応機器として抽出し、機器設置高さが浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が有ることを示している保守対象機器を、修繕対応機器として抽出し、機器設置高さが浸水高よりも高く、設置環境高さが浸水高よりも低い保守対象機器を、点検対応機器として抽出する被災機器抽出部と、新設対応機器の機器名および仕様から個別新設機器情報を作成し、個別新設機器情報から新設機器発注書データを作成して出力し、修繕対応機器の機器名および修繕仕様から個別修繕機器情報を作成し、個別修繕機器情報から修繕機器発注書データを作成して出力し、点検対応機器の機器名および点検仕様から個別点検機器情報を作成し、個別点検機器情報から点検機器リストデータを作成して出力する発注書データ作成部とを備えているので、水害発生時に設備の復旧に必要な保守対象機器の発注書データを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1による災害発生設備診断システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1における機器情報記憶部に保存されている情報の例を示す図である。
図3】実施の形態1における機器情報記憶部に保存されている情報の例を示す図である。
図4】実施の形態1における機器情報記憶部に保存されている情報の例を示す図である。
図5】実施の形態1における機器情報記憶部に保存する情報を機器台帳システムから取得する例を示す図である。
図6】実施の形態1における新設機器発注書データの例を示す図である。
図7】実施の形態1における修繕機器発注書データの例を示す図である。
図8】実施の形態1における点検機器リストデータの例を示す図である。
図9】実施の形態2による災害発生設備診断システムの構成を示すブロック図である。
図10】実施の形態2における機器情報記憶部に保存されている情報の例を示す図である。
図11】実施の形態2における新設機器発注書データの例を示す図である。
図12】実施の形態2における修繕機器発注書データの例を示す図である。
図13】実施の形態2における点検機器リストデータの例を示す図である。
図14】実施の形態1および実施の形態2による災害発生設備診断システムのハードウェアの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願を実施するための実施の形態に係る災害発生設備診断システムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による災害発生設備診断システム1の構成を示すブロック図である。災害発生設備診断システム1は、機器情報記憶部10、浸水情報取得器11、被災機器抽出部12、発注書データ作成部13および発注書出力器14を備えている。
【0011】
機器情報記憶部10は、プラントの保守対象機器のそれぞれについて、情報を保存するものである。図2は、機器情報記憶部10に保存されている保守対象機器の情報の例を示す図である。機器情報記憶部10は、それぞれの保守対象機器の情報として、少なくとも、機器名、仕様、設置環境高さ、環境内設置高さ、防水等級、修繕仕様および点検仕様の情報を保存している。さらに、個別の保守対象機器を特定するための番号を保存してもよい。機器名は、保守対象機器の名称である。仕様は、新設機器発注書を作成するときに示す仕様の情報であり、例えば、定格電圧、定格電流、信号点数などである。
【0012】
設置環境高さは、基準位置から保守対象機器の設置環境までの高さを示すものであり、例えば、基準位置から保守対象機器が設置されている建物の地盤面までの高さであってもよく、基準位置から保守対象機器が設置されている建物の階の床面までの高さでもよく、基準位置から保守対象機器が設置されている建物の1階の床面までの高さでもい。また、基準位置は、建物の基準となるベンチマークの位置でもよく、建物の地盤面の高さにあってもよく、保守対象機器が設置されている地域の標高の高さにあってもよい。環境内設置高さは、設置環境高さを基準としたときの保守対象機器が設置されている高さを示すものである。例えば、設置環境高さが基準位置から建物の地盤面までの高さを示しているときは、環境内設置高さは建物の地盤面を基準としたときの保守対象機器が設置されている高さであり、設置環境高さが基準位置から保守対象機器が設置されている建物の階の床面までの高さを示しているときは、環境内設置高さは保守対象機器が設置されている建物の階の床面を基準としたときの保守対象機器が設置されている高さである。例えば、保守対象機器が建物の地階に設置されている場合は、設置環境高さあるいは環境内設置高さをマイナスの値としてもよい。設置環境高さと環境内設置高さを足し合わせたものが、基準位置から保守対象機器が設置されている場所までの高さである機器設置高さとなる。
【0013】
防水等級は、保守対象機器における水没に対する耐性の有無を示すものであり、例えばIPコードである。図2に示す例では、防水等級としてIPコードを示しているが、水没に対する耐性の有無を示すものであればよい。図2は、防水等級として水没に対する耐性が無い例を示しており、例えば、IPコードのIPから始まる4文字目の数字が0から6であれば水没に対する耐性が無いことを示しており、IPコードのIPから始まる4文字目の数字が7または8であれば水没に対する耐性が有ることを示している。
【0014】
修繕仕様は、修繕機器発注書を作成するときに修繕の仕様として示す情報であり、例えば、交換を要する機器に関する名称および仕様の情報である。水没に対する耐性が無く、水没時に必ず新設機器発注書を作成し、修繕機器発注書を作成しない保守対象機器については、修繕仕様は保存されていなくてもよい。点検仕様は、点検機器リストを作成するときに点検の仕様として示す情報である。
【0015】
図3は、機器情報記憶部10に保存されている保守対象機器の情報のさらなる例を示す図であり、防水等級として水没に対する耐性が有る例を示している。図3に示す例においては、修繕機器発注書を作成するときの仕様として、電動機交換が必要であり、電動機の仕様が**Vおよび**kWであることを示している。図4は、機器情報記憶部10に保存されている保守対象機器の情報のさらなる例を示す図である。図4に示す例においては、点検機器リストを作成するときの仕様として動作確認が必要であることを示している。
【0016】
機器情報記憶部10に保存する情報は、あらかじめ作成された機器台帳システムから情報を取得してもよい。図5は、機器情報記憶部10に保存する情報を機器台帳システムから取得する例を示す図である。図5において、左側の図は機器台帳システムに保存されている情報を示しており、右側の図は機器情報記憶部10に保存する情報を示している。左側の図から右側の図への矢印は、機器台帳システムに保存されている情報を機器情報記憶部10に取得している様子を示している。図5に示す例では、機器情報記憶部10にさらに型式および設置場所が保存されており、機器情報記憶部10は機器台帳システムから、機器名、型式、仕様、防水等級の情報を取得している。また、機器台帳システムにおいて、設置場所である機械棟電気室の床面が建物の地盤面であるGLから1.2mの高さにあることが示されているため、機器情報記憶部10においては、設置場所として機械棟電気室の情報を取得し、基準位置を建物の地盤面として設置環境高さとして1.2mの情報を取得している。また、機器台帳システムにおいて、設置高さが床面であるFLから+0.5mであることが示されているため、機器情報記憶部10においては、環境内設置高さとして+0.5mの情報を取得している。機器台帳システムから取得できない情報については、例えば、番号は通し番号などを保存してもよく、修繕仕様および点検仕様については災害発生設備診断システムのユーザが入力してもよい。
【0017】
浸水情報取得器11は、基準位置から水害発生時の水面までの高さである浸水高の情報を取得し、被災機器抽出部12に出力する。浸水情報取得器11は、例えば、災害発生設備診断システム1のユーザからの入力値を取得するインターフェースであり、キーボードあるいはタッチパネルなどである。浸水情報取得器11を災害発生設備診断システム1のユーザからの入力値を取得するインターフェースとすることにより、災害発生設備診断システム1のユーザが入力した水害発生時の水面の高さの情報をもとに、設備の復旧に必要な保守対象機器の発注書を作成することができる。浸水情報取得器11は、例えば、基準位置から水害発生時の水面までの高さである浸水高の情報を取得する水位計であり、水位計はプラントの一部であってもよい。浸水情報取得器11を水位計とすることにより、災害発生設備診断システム1のユーザが浸水高の情報を入力する必要が無い。また、プラント設備として使用されている水位計を浸水情報取得器11として使用することにより、新たに水位計を設置する必要が無い。
【0018】
被災機器抽出部12は、浸水情報取得器11から受け取った浸水高と、機器情報記憶部10に保存されている保守対象機器の設置環境高さおよび環境内設置高さとを比較することにより、被災機器である、新設対応機器、修繕対応機器あるいは点検対応機器を抽出し、被災機器を特定する情報を発注書データ作成部13に出力する。被災機器抽出部12は、機器情報記憶部10に情報が保存されている保守対象機器において、設置環境高さと環境内設置高さを足し合わせた機器設置高さが浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が無いことを示している保守対象機器を、新設機器発注書の作成が必要な新設対応機器として抽出し、抽出された新設対応機器を特定する情報を発注書データ作成部13に出力する。また、設置環境高さと環境内設置高さを足し合わせた機器設置高さが浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が有ることを示している保守対象機器を、修繕機器発注書の作成が必要な修繕対応機器として抽出し、抽出された修繕対応機器を特定する情報を発注書データ作成部13に出力する。抽出された新設対応機器を特定する情報、および、抽出された修繕対応機器を特定する情報は、例えば、機器情報記憶部10に保存されている番号あるいは機器名の情報であり、新設対応機器あるいは修繕対応機器として抽出された保守対象機器を特定できる情報であればよい。
【0019】
例えば、浸水高が2mであった場合、図2に示された保守対象機器は、設置環境高さ1.2mと環境内設置高さ+0.5mと足し合わせた機器設置高さの1.7mが浸水高の2mよりも低く、防水等級がIPX0であり水没に対する耐性が無いことを示しているため、新設機器発注書の作成が必要な新設対応機器として抽出される。また、例えば、浸水高が2mであった場合、図3に示された保守対象機器は、設置環境高さ1.2mと環境内設置高さ+0.5mと足し合わせた機器設置高さの1.7mが浸水高の2mよりも低く、防水等級がIPX8であり水没に対する耐性が有ることを示しているため、修繕機器発注書の作成が必要な修繕対応機器として抽出される。
【0020】
また、被災機器抽出部12は、浸水情報取得器11から受け取った浸水高と、機器情報記憶部10に保存されている保守対象機器の設置環境高さおよび機器設置高さとを比較することにより、点検対応機器を抽出し、抽出された点検対応機器を特定する情報を発注書データ作成部13に出力する。抽出された点検対応機器を特定する情報は、例えば、機器情報記憶部に保存されている番号あるいは機器名の情報であり、点検対応機器として抽出された保守対象機器を特定できる情報であればよい。被災機器抽出部12は、機器情報記憶部10に情報が保存されている保守対象機器において、設置環境高さと環境内設置高さを足し合わせた機器設置高さが浸水高よりも高く、さらに、設置環境高さが浸水高よりも低い保守対象機器を、点検対応機器として抽出する。これは、保守対象機器は浸水していないが、保守対象機器が設置されている建物に浸水があった、あるいは、保守対象機器が設置されている建物の1階に浸水があった、あるいは、保守対象機器が設置されている階に浸水があった場合に、該当する保守対象機器を点検対応機器とするものである。例えば、浸水高が2mであった場合、図4に示された保守対象機器は、設置環境高さ1.2mと環境内設置高さ+1.5mと足し合わせた機器設置高さの2.7mが浸水高の2mよりも高く、さらに、設置環境高さ1.2mが浸水高2mよりも低いため、点検対応機器として抽出される。
【0021】
発注書データ作成部13は、被災機器抽出部12において抽出された新設対応機器について、機器情報記憶部10に保存されている新設対応機器の機器名および仕様の情報から個別新設機器情報を作成する。個別新設機器情報は、新設対応機器の機器名と仕様とからなる情報であり、番号の情報が含まれてもよい。さらに、発注書データ作成部13は、個別新設機器情報から新設機器発注書データを作成して、発注書出力器14に出力する。図6は、発注書データ作成部13によって作成された新設機器発注書データの例を示す図である。図6に示された新設機器発注書データは、図2に示す情報をもとに作成されたものである。新設機器発注書データは、複数の機器の個別新設機器情報を一つにまとめたものであってもよい。
【0022】
また、発注書データ作成部13は、被災機器抽出部12において抽出された修繕対応機器について、機器情報記憶部10に保存されている修繕対応機器の機器名および修繕仕様の情報から個別修繕機器情報を作成する。個別修繕機器情報は、修繕対応機器の機器名と修繕仕様とからなる情報であり、番号の情報が含まれてもよい。さらに、発注書データ作成部13は、個別修繕機器情報から修繕機器発注書データを作成して、発注書出力器14に出力する。図7は、発注書データ作成部13によって作成された修繕機器発注書データの例を示す図である。図7に示された修繕機器発注書データは、図3に示す情報をもとに作成されたものである。修繕機器発注書データは、複数の個別修繕機器情報を一つにまとめたものであってもよい。
【0023】
また、発注書データ作成部13は、被災機器抽出部12において抽出された点検対応機器について、機器情報記憶部10に保存されている点検対応機器の機器名および点検仕様の情報から、個別点検機器情報を作成する。個別点検機器情報は、点検対応機器の機器名と点検仕様とからなる情報であり、番号の情報が含まれてもよい。さらに、発注書データ作成部13は、個別点検機器情報から点検機器リストデータを作成して出力する。図8は、発注書データ作成部13によって作成された点検機器リストデータの例を示す図である。図8に示された点検機器リストデータは、図4に示す情報をもとに作成されたものである。点検機器リストデータは、複数の個別点検機器情報を一つにまとめたものであってもよい。
【0024】
発注書出力器14は、新設機器発注書データを取得して新設機器発注書を出力し、修繕機器発注書データを取得して修繕機器発注書を出力し、点検機器リストデータを取得して点検機器リストを出力する。発注書出力器14は、例えば、ディスプレイであり、新設機器発注書、修繕機器発注書および点検機器リストを表示する。発注書出力器14は、例えば、プリンタであり、新設機器発注書、修繕機器発注書および点検機器リストを書類として印刷してもよい。発注書出力器14は、例えば、インターフェースであり、新設機器発注書、修繕機器発注書および点検機器リストの情報を他の機器に出力してもよい。
【0025】
発注書データ作成部13は、例えば、新設機器発注書データ、修繕機器発注書データ、点検機器リストデータの順番に出力してもよく、発注書出力器14は、例えば、新設機器発注書、修繕機器発注書、点検機器リストの順番に出力してもよい。新設対応機器に対する対処の優先度が最も高く、次に修繕対応機器に対する対処の優先度が高いため、新設機器発注書、修繕機器発注書、点検機器リストの順番に出力することにより、対処が必要な機器を優先的に確認することができる。
【0026】
浸水高の情報から、新設機器発注書データおよび修繕機器発注書データが得られ、新設機器発注書および修繕機器発注書が得られることにより、保守対象機器における新設対応機器および修繕対応機器に関する発注を迅速に行い、設備の復旧を迅速に行うことができる。また、浸水高の情報から、点検機器リストデータが得られ、点検機器リストが得られることにより、保守対象機器そのものの浸水は無かったものの保守対象機器が設置されている建物に浸水があった、あるいは、保守対象機器そのものの浸水は無かったものの保守対象機器が設置されている階に浸水があった場合に、点検を迅速に行い、被災状況を把握し、状況に応じて追加で発注することができる。
【0027】
なお、発注書データ作成部13は、新設機器発注書データ、修繕機器発注書データおよび点検機器リストデータを発注書出力器14に出力するとしたが、例えば、新設機器発注書データ、修繕機器発注書データおよび点検機器リストデータをメモリなど記憶装置に保存し、災害発生設備診断システムのユーザが記憶装置から新設機器発注書データ、修繕機器発注書データおよび点検機器リストデータのデータを取り出して確認してもよい。
【0028】
以上のように、実施の形態1による災害発生設備診断システムは、プラントの保守対象機器のそれぞれについて、機器名、仕様、基準位置から保守対象機器の設置環境までの高さを示す設置環境高さ、設置環境高さを基準としたときの保守対象機器が設置されている高さを示す環境内設置高さ、保守対象機器の水没に対する耐性の有無を示す防水等級、修繕仕様および点検仕様の情報が保存された機器情報記憶部と、基準位置から水害発生時の水面までの高さである浸水高の情報を取得する浸水情報取得器と、設置環境高さおよび環境内設置高さを足し合わせた値が浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が無いことを示している保守対象機器を、新設対応機器として抽出し、設置環境高さおよび環境内設置高さを足し合わせた値が浸水高よりも低く、防水等級が水没に対する耐性が有ることを示している保守対象機器を、修繕対応機器として抽出し、設置環境高さおよび環境内設置高さを足し合わせた値が浸水高よりも高く、設置環境高さが浸水高よりも低い保守対象機器を、点検対応機器として抽出する被災機器抽出部と、新設対応機器の機器名および仕様から個別新設機器情報を作成し、個別新設機器情報から新設機器発注書データを作成して出力し、修繕対応機器の機器名および修繕仕様から個別修繕機器情報を作成し、個別修繕機器情報から修繕機器発注書データを作成して出力し、点検対応機器の機器名および点検仕様から個別点検機器情報を作成し、個別点検機器情報から点検機器リストデータを作成して出力する発注書データ作成部とを備えているので、水害発生時に設備の復旧に必要な保守対象機器の発注書データを作成することができる。
【0029】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2による災害発生設備診断システム1aの構成を示すブロック図である。図9に示す実施の形態2による災害発生設備診断システム1aを図1に示す実施の形態1による災害発生設備診断システム1と比較すると、機器情報記憶部10が機器情報記憶部10aに、発注書データ作成部13が発注書データ作成部13aになっている。浸水情報取得器11、被災機器抽出部12および発注書出力器14の動作は、実施の形態1による災害発生設備診断システム1と同じである。
【0030】
図10は、機器情報記憶部10aに保存されている保守対象機器の情報の例を示す図である。図10に示す実施の形態2による機器情報記憶部10aに保存されている保守対象機器の情報を図2に示す実施の形態1による機器情報記憶部10に保存されている保守対象機器の情報と比較すると、保守対象機器の価格情報である、新設価格、修繕価格および点検価格を示す情報が追加されている。新設価格は、保守対象機器を新設するときに必要な価格を示しており、修繕価格は、修繕仕様に示された修繕の実施に必要な価格を示しており、点検価格は、点検仕様に示された点検の実施に必要な価格を示している。保守対象機器の価格の情報は、例えば、図5の左側に示した機器台帳システムの金額の情報から取得してもよく、以前に発注したときの価格を保存してもよく、予想される価格を保存してもよい。
【0031】
発注書データ作成部13aは、被災機器抽出部12において抽出された新設対応機器について、機器情報記憶部10aに保存されている新設対応機器の機器名、仕様および新設価格の情報から個別新設機器情報を作成し、個別新設機器情報から新設機器発注書データを作成して、発注書出力器14に出力する。図11は、発注書データ作成部13aによって作成された新設機器発注書データの例を示す図である。図11に示された新設機器発注書データは、図10に示す情報をもとに作成されたものである。図11に示す実施の形態2による新設機器発注書データを図6に示す実施の形態1による新設機器発注書データと比較すると、保守対象機器の価格の情報が追加されている。新設機器発注書データは、複数の機器の個別新設機器情報を一つにまとめたものであってもよく、さらに、複数の機器の新設価格の合計を示してもよい。
【0032】
また、発注書データ作成部13aは、被災機器抽出部12において抽出された修繕対応機器について、機器情報記憶部10aに保存されている修繕対応機器の機器名、修繕仕様および修繕価格の情報から個別修繕機器情報を作成し、個別修繕機器情報から修繕機器発注書データを作成して、発注書出力器14に出力する。図12は、発注書データ作成部13aによって作成された修繕機器発注書データの例を示す図である。図12に示された修繕機器発注書データは、図10に示す情報をもとに作成されたものである。図12に示す実施の形態2による修繕機器発注書データを図7に示す実施の形態1による修繕機器発注書データと比較すると、修繕内容の実施に必要な修繕価格の情報が追加されている。修繕機器発注書データは、複数の機器の個別修繕機器情報を一つにまとめたものであってもよく、さらに、複数の機器の修繕価格の合計を示してもよい。
【0033】
また、発注書データ作成部13aは、被災機器抽出部12において抽出された点検対応機器について、機器情報記憶部10aに保存されている点検対応機器の機器名、点検仕様および点検価格の情報から、個別点検機器情報を作成し、個別点検機器情報から点検機器リストデータを作成して、発注書出力器14に出力する。図13は、発注書データ作成部13aによって作成された点検機器リストデータの例を示す図である。図13に示された点検機器リストデータは、図10に示す情報をもとに作成されたものである。図13に示す実施の形態2による点検機器リストデータを図8に示す実施の形態1による点検機器リストデータと比較すると、点検項目の実施に必要な点検価格の情報が追加されている。点検機器リストデータは、複数の機器の個別点検機器情報を一つにまとめたものであってもよく、さらに、複数の機器の点検価格の合計を示してもよい。
【0034】
浸水高の情報から、新設価格の情報を含む新設機器発注書データと修繕価格の情報を含む修繕機器発注書データとが得られ、新設価格の情報を含む新設機器発注書と修繕価格の情報を含む修繕機器発注書とが得られることにより、新設対応機器の発注に必要な費用と修繕対応機器の発注に必要な費用とを確認することができる。また、浸水高の情報から、点検価格の情報を含む点検機器リストデータが得られ、点検価格の情報を含む点検機器リストが得られることにより、点検対応機器の点検に必要な費用を確認することができる。
【0035】
発注書データ作成部13aにおいて作成される新設機器発注書データは、例えば、複数の機器の個別新設機器情報を新設価格が高いものから順番に並べて一つにまとめたものであってもよく、この場合は、発注書出力器14から複数の機器の個別新設機器情報を新設価格が高いものから順番に並べて一つにまとめられた新設機器発注書が出力される。同様に、発注書データ作成部13aにおいて作成される修繕機器発注書データは、例えば、複数の機器の個別修繕機器情報を修繕価格が高いものから順番に並べて一つにまとめたものであってもよく、この場合は、発注書出力器14から複数の機器の個別修繕機器情報を修繕価格が高いものから順番に並べて一つにまとめられた修繕機器発注書が出力される。同様に、発注書データ作成部13aにおいて作成される点検機器リストデータは、例えば、複数の機器の個別点検機器情報を点検価格が高いものから順番に並べて一つにまとめたものであってもよく、この場合は、発注書出力器14から複数の機器の個別修繕機器情報を点検価格が高いものから順番に並べて一つにまとめられた点検機器リストが出力される。このように、発注書データ作成部13aは、複数の個別新設機器情報を新設価格が高いものから順番に並べて新設機器発注書データを作成し、複数の個別修繕機器情報を修繕価格が高いものから順番に並べて修繕機器発注書データを作成し、複数の個別点検機器情報を点検価格が高いものから順番に並べて点検機器リストデータを作成することにより、発注の要否の判断が重要となる、新設、修繕あるいは点検の価格が高い保守対象機器から情報を確認することができる。
【0036】
なお、機器情報記憶部10aには保守対象機器の価格情報として新設価格、修繕価格および点検価格が保存されるとしたが、保守対象機器の価格情報として新設価格のみが保存されてもよい。機器情報記憶部10aに保守対象機器の価格情報として新設価格のみが保存されているときは、修繕価格および点検価格は、発注書データ作成部13aにおいて新設価格をもとに求められ、例えば、修繕価格および点検価格は新設価格にあらかじめ定められた一定の割合を掛けたものとして求められる。例えば、発注書データ作成部13aにおいて、修繕価格は新設価格の20%とし、点検価格は新設価格の10%として求められる。
【0037】
また、発注書データ作成部13aは、新設機器発注書データ、修繕機器発注書データおよび点検機器リストデータを発注書出力器14に出力するとしたが、例えば、発注書データ作成部13aは、新設機器発注書データ、修繕機器発注書データおよび点検機器リストデータをメモリなど記憶装置に保存し、災害発生設備診断システムのユーザが記憶装置から新設機器発注書データ、修繕機器発注書データおよび点検機器リストデータのデータを取り出して内容を確認してもよい。
【0038】
図14は、実施の形態1および実施の形態2による災害発生設備診断システム1、1aのハードウェアの一例を示す模式図である。被災機器抽出部12、および、発注書データ作成部13、13aは、メモリ22に記憶されたプログラムを実行するCPU、システムLSI等のプロセッサ21によって実現される。また、複数の処理回路が連携して上記機能を実行してもよい。さらに、専用のハードウェアによって上記機能を実現してもよい。専用のハードウェアによって上記機能を実現する場合は、専用のハードウェアは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC、FPGA、あるいは、これらを組み合わせたものである。上記機能は、専用ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、あるいは、専用ハードウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現してもよい。機器情報記憶部10、10aは、メモリ22によって実現される。浸水情報取得器11は、例えば、キーボード、タッチパネルなどのインターフェースであってもよく、水位計でもよい。発注書出力器14は、例えば、ディスプレイ、プリンタあるいはインターフェースである。浸水情報取得器11、プロセッサ21、メモリ22および発注書出力器14は、互いにバス接続されている。
【0039】
本願は、様々な例示的な実施の形態が記載されているが、1つまたは複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0040】
1、1a 災害発生設備診断システム、10、10a 機器情報記憶部、11 浸水情報取得器、12 被災機器抽出部、13、13a 発注書データ作成部、14 発注書出力器、21 プロセッサ、22 メモリ。
図1
図2
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図14