(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182248
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20221201BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20221201BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20221201BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/249
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089711
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】今井 正浩
(72)【発明者】
【氏名】糸川 信一
(72)【発明者】
【氏名】刑部 友敬
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY03
5H040AY06
(57)【要約】
【課題】従来に比べてコスト低減できる電池モジュールの提供。
【解決手段】枠部材30に、積層方向Lから見たときにセル受け入れ部33の左右方向または上下方向からなる第1方向D1の間隔を変更可能なサイズ調整部60が設けられている。そのため、第1方向D1にサイズが異なる2種類のセル20に対して、共通の(同一種類の)枠部材30を利用できる。よって、第1方向D1にサイズが異なる2種類のセル20に対して異なる枠部材30を設ける必要が無くなるため、部品種類を削減でき、枠部材30を作製するための金型費を削減でき、コスト低減を図ることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルと枠部材とが交互に積層された積層体を有しており、前記枠部材が、前記積層体の積層方向から見たときに、外枠部と該外枠部の内周側にある内側部とで囲まれるスペースであるセル受け入れ部を有する、電池モジュールであって、
前記枠部材には、前記積層方向から見たときに前記セル受け入れ部の左右方向または上下方向からなる第1方向の間隔を変更可能な、サイズ調整部が設けられている、電池モジュール。
【請求項2】
前記サイズ調整部は、前記枠部材と一体成形されている、請求項1記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記サイズ調整部は、該サイズ調整部、前記外枠部および前記内側部よりも板厚が薄いインテグラルヒンジ部で、前記外枠部および/または前記内側部とつながっており、
前記サイズ調整部は、前記インテグラルヒンジ部周りに回動することで、前記積層方向から見たときに前記セル受け入れ部の外部にある外側位置と前記セル受け入れ部に進入している内側位置とに移動可能とされている、請求項1または請求項2記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記サイズ調整部は、前記内側位置にあるときに前記枠部材に係合する係合保持部を有する、請求項3記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記サイズ調整部は、前記内側位置にあるときに前記セルと対向する面に、該セル側に延びる弾性変形可能なリップを有する、請求項3または請求項4記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記サイズ調整部は、前記積層方向から見たときに、前記枠部材の前記第1方向の中間部で該第1方向と直交する第2方向に前記枠部材の全域にわたって連続して延びる薄肉部と、該薄肉部の前記第1方向の両側にあり前記積層方向に互いに重なり合わない非折重位置と前記積層方向に前記薄肉部を間に挟んで互いに重なり合う折重位置とに移動可能な一側折重部および他側折重部と、を有する、請求項1または請求項2記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記サイズ調整部は、さらに、前記一側折重部と前記他側折重部の一方または該一方に連なる前記枠部材部分にインテグラルヒンジにて回動可能に連結される係合片と、前記一側折重部と前記他側折重部の他方または該他方に連なる前記枠部材部分に形成されており前記一側折重部と前記他側折重部が前記非折重位置にあるときに前記係合片が係合可能な第1の係合突起と、前記一側折重部と前記他側折重部の前記一方または該一方に連なる前記枠部材部分に形成されており前記一側折重部と前記他側折重部が前記折重位置にあるときに前記係合片が係合可能な第2の係合突起と、を有する、請求項6記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記サイズ調整部は、さらに、前記一側折重部と前記他側折重部の一方または該一方に連なる前記枠部材部分に形成される係合雄部と、前記一側折重部と前記他側折重部の他方または該他方に連なる前記枠部材部分に形成されており前記一側折重部と前記他側折重部が前記折重位置にあるときに前記係合雄部が係合可能な係合雌部と、を有する、請求項6または請求項7記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2008-53072号公報)は、セルと枠部材とが交互に積層された積層体を有する電池モジュールを開示している。該公報開示の電池モジュールでは、枠部材が、積層体の積層方向から見たときに、外枠部と該外枠部の内周側にある内側部とで囲まれるスペースであってセルの一部を受け入れるセル受け入れ部を有している。
【0003】
しかし、上記公報開示の電池モジュールには、つぎの問題点がある。
セル受け入れ部の、積層方向から見たときにおける左右方向と上下方向の間隔が、一定であり、変更不能である。そのため、左右方向にサイズが異なる2種類のセルまたは上下方向にサイズが異なる2種類のセルに対して、共通の(同一種類の)枠部材を利用できず、それぞれ別の枠部材を作製しなければならない。よって、コストを低減する点において改善の余地がある。
【0004】
ところで、
図20に示すように、枠部材3には、外枠部3aの内周側面に内周側(セル受け入れ部3c内)に突出するリップ3bを設けて、リップ3bが撓むことで外枠部3aの一側にセルを押し付けて積層体全体でセルの位置(積層方向と直交する方向の位置)を揃えるようにする技術もある。
【0005】
しかし、
図20に示す技術であっても、サイズの異なるセルには対応できない。詳しくは、たとえば左右方向にサイズが異なるセルの場合には、
図21に示すように、短尺のリップ3b1では幅小のセル2aには届かない。一方、
図22に示すように、幅小のセル2aに合わせて長尺のリップ3b2を設定した場合には、幅大のセル2bを組み付ける際にリップ3b2がセル2bに強干渉してしまい、セル2bを枠部材3に組付けられないといった問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来に比べてコスト低減できる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1)〔実施例1,2〕
セルと枠部材とが交互に積層された積層体を有しており、前記枠部材が、前記積層体の積層方向から見たときに、外枠部と該外枠部の内周側にある内側部とで囲まれるスペースであるセル受け入れ部を有する、電池モジュールであって、
前記枠部材には、前記積層方向から見たときに前記セル受け入れ部の左右方向または上下方向からなる第1方向の間隔を変更可能な、サイズ調整部が設けられている、電池モジュール。
(2)〔実施例1,2〕
前記サイズ調整部は、前記枠部材と一体成形されている、(1)記載の電池モジュール。
(3)〔実施例1〕
前記サイズ調整部は、該サイズ調整部、前記外枠部および前記内側部よりも板厚が薄いインテグラルヒンジ部で、前記外枠部および/または前記内側部とつながっており、
前記サイズ調整部は、前記インテグラルヒンジ部周りに回動することで、前記積層方向から見たときに前記セル受け入れ部の外部にある外側位置と前記セル受け入れ部に進入している内側位置とに移動可能とされている、(1)または(2)記載の電池モジュール。
(4)〔実施例1〕
前記サイズ調整部は、前記内側位置にあるときに前記枠部材に係合する係合保持部を有する、(3)記載の電池モジュール。
(5)〔実施例1〕
前記サイズ調整部は、前記内側位置にあるときに前記セルと対向する面に、該セル側に延びる弾性変形可能なリップを有する、(3)または(4)記載の電池モジュール。
(6)〔実施例2〕
前記サイズ調整部は、前記積層方向から見たときに、前記枠部材の前記第1方向の中間部で該第1方向と直交する第2方向に前記枠部材の全域にわたって連続して延びる薄肉部と、該薄肉部の前記第1方向の両側にあり前記積層方向に互いに重なり合わない非折重位置と前記積層方向に前記薄肉部を間に挟んで互いに重なり合う折重位置とに移動可能な一側折重部および他側折重部と、を有する、(1)または(2)記載の電池モジュール。
(7)〔実施例2〕
前記サイズ調整部は、さらに、前記一側折重部と前記他側折重部の一方または該一方に連なる前記枠部材部分にインテグラルヒンジにて回動可能に連結される係合片と、前記一側折重部と前記他側折重部の他方または該他方に連なる前記枠部材部分に形成されており前記一側折重部と前記他側折重部が前記非折重位置にあるときに前記係合片が係合可能な第1の係合突起と、前記一側折重部と前記他側折重部の前記一方または該一方に連なる前記枠部材部分に形成されており前記一側折重部と前記他側折重部が前記折重位置にあるときに前記係合片が係合可能な第2の係合突起と、を有する、(6)記載の電池モジュール。
(8)〔実施例2〕
前記サイズ調整部は、さらに、前記一側折重部と前記他側折重部の一方または該一方に連なる前記枠部材部分に形成される係合雄部と、前記一側折重部と前記他側折重部の他方または該他方に連なる前記枠部材部分に形成されており前記一側折重部と前記他側折重部が前記折重位置にあるときに前記係合雄部が係合可能な係合雌部と、を有する、(6)または(7)記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)の電池モジュールでは、枠部材に、積層方向から見たときにセル受け入れ部の左右方向または上下方向からなる第1方向の間隔を変更可能なサイズ調整部が設けられているため、第1方向にサイズが異なる2種類のセルに対して、共通の(同一種類の)枠部材を利用できる。よって、第1方向にサイズが異なる2種類のセルに対して異なる枠部材を設ける必要が無くなるため、部品種類を削減でき、枠部材を作製するための金型費を削減でき、コスト低減を図ることができる。
【0010】
上記(2)の電池モジュールでは、サイズ調整部が枠部材と一体成形されているため、サイズ調整部が枠部材と別体に形成される場合に比べて、コスト上有利である。
【0011】
上記(3)の電池モジュールでは、サイズ調整部が、インテグラルヒンジ部周りに回動することで外側位置と内側位置とに移動可能とされているため、サイズ調整部が外側位置にあるときと内側位置にあるときとで、積層方向からみたときのセル受け入れ部の第1方向の間隔を変更させることができる。
【0012】
上記(4)の電池モジュールでは、サイズ調整部が、内側位置にあるときに枠部材に係合する係合保持部を有するため、係合保持部が枠部材に係合することで、サイズ調整部が内側位置にある状態を維持できる。
【0013】
上記(5)の電池モジュールでは、サイズ調整部が、内側位置にあるときにセルと対向する面に、該セル側に延びるリップを有するため、リップが撓むことによって、セルに対してリップと反対側にある外枠部にセルを押し付けることができる。よって、積層体全体でセルの位置(積層方向と直交する方向の位置)を揃えることができる。
【0014】
上記(6)の電池モジュールでは、サイズ調整部が、枠部材の第1方向の中間部で第2方向に枠部材の全域にわたって連続して延びる薄肉部と、薄肉部の両側にあり積層方向に互いに重なり合わない非折重位置と積層方向に薄肉部を挟んで互いに重なり合う折重位置とに移動可能な一側折重部および他側折重部と、を有するため、一側折重部と他側折重部とが非折重位置にあるときと折重位置にあるときとで、積層方向から見たときのセル受け入れ部の第1方向の間隔を変更させることができる。
【0015】
上記(7)の電池モジュールでは、サイズ調整部が、係合片と、第1の係合突起と、を有するため、係合片を第1の係合突起に係合させることで、一側折重部と他側折重部が非折重位置にあるときに薄肉部が変形して一側折重部と他側折重部とが相対変位してしまうことを抑制できる。
また、サイズ調整部が、一側折重部と他側折重部が折重位置にあるときに係合片が係合可能な第2の係合突起を有するため、係合片を第2の係合突起に係合させることで、一側折重部と他側折重部が折重位置にあるときに係合片ががたつく(動く)ことを抑制できる。
【0016】
上記(8)の電池モジュールでは、サイズ調整部が、係合雄部と、係合雌部と、を有するため、係合雄部を係合雌部に係合させることで、一側折重部と他側折重部が折重位置にあるときに薄肉部が変形して一側折重部と他側折重部とが相対変位してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明実施例1の電池モジュールの斜視図である。ただし、本図は、本発明実施例2にも適用可能である。
【
図2】本発明実施例1の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部が外側位置にあるときにおける、正面図である。
【
図5】本発明実施例1の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部を外側位置から内側位置に移動させるときにおける、斜視図である。
【
図6】本発明実施例1の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部が内側位置にあるときにおける、部分拡大斜視図である。
【
図7】本発明実施例1の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部が外側位置にあり幅大セルを保持しているときにおける、正面図である。
【
図8】本発明実施例1の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部が内側位置にあり幅小セルを保持しているときにおける、正面図である。
【
図9】本発明実施例2の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部の一側折重部と他側折重部が非折重位置にあるときにおける、正面図である。
【
図10】本発明実施例2の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部の一側折重部と他側折重部が非折重位置にあるときにおける、斜視図である。
【
図11】本発明実施例2の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部の一側折重部と他側折重部が(a)非折重位置にあるときと(b)折重位置にあるときの、斜視図である。
【
図12】
図11のC-C線拡大断面図である。ただし、図面の明瞭化のためにハッチングは省略されている。
【
図13】
図11のD-D線拡大断面図である。ただし、図面の明瞭化のためにハッチングは省略されている。
【
図14】本発明実施例2の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部の一側折重部と他側折重部が非折重位置にあり係合片が第1の係合突起に係合していないときにおける、部分拡大斜視図である。
【
図15】
図14の状態から、係合片を第1の係合突起に係合させたときの、部分拡大斜視図である。
【
図16】
図15の状態から、係合片を第1の係合突起から離脱させたときの、部分拡大斜視図である。
【
図17】
図16の状態から、サイズ調整部の一側折重部と他側折重部を折重位置に移動させて、係合片を第2の係合突起に係合させるとともに係合雄部を係合雌部に係合させたときの、部分拡大斜視図である。
【
図18】本発明実施例2の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部の一側折重部と他側折重部が非折重位置にあり幅大セルを保持しているときにおける、正面図である。
【
図19】本発明実施例2の電池モジュールにおける枠部材の、サイズ調整部の一側折重部と他側折重部が折重位置にあり幅小セルを保持しているときにおける、正面図である。
【
図20】従来の枠部材を示す正面図、および該正面図におけるリップ部位の拡大図である。
【
図21】従来の枠部材の、短尺リップが設けられている場合における正面図である。
【
図22】従来の枠部材の、長尺リップが設けられている場合における正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明実施例の電池モジュール10を説明する。
図1~
図8は、本発明実施例1の電池モジュールを示しており、
図9~
図19は、本発明実施例2の電池モジュールを示している。
本発明全実施例にわたって共通する部分には、本発明全実施例にわたって同じ符号を付してある。
まず、本発明全実施例にわたって共通する部分の構成を説明する。
【0019】
本発明実施例の電池モジュール10が搭載される車両は、EV(Electric Vehicle)である。ただし、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、HV(Hybrid Vehicle)、またはFCV(Fuel Cell Vehicle)であってもよい。
【0020】
電池モジュール10は、
図1に示すように、発熱体であるセル(電池セルといってもよい)20と枠部材30とが交互に積層された積層体40を有する。
【0021】
積層体40の積層方向Lの両外側には、エンドプレート50が配置されている。エンドプレート50も電池モジュール10の構成部材である。エンドプレート50は、積層体40の積層方向Lの一側に配置される第1のエンドプレート51と、積層体40の積層方向Lの他側に配置される第2のエンドプレート52と、を有する。第1のエンドプレート51と第2のエンドプレート52とで、積層体40を積層方向Lの両側から挟んでいる。
【0022】
第1、第2のエンドプレート51,52は、積層方向Lに延びる拘束バンド53にて互いに結合されている。拘束バンド53も電池モジュール10の構成部材である。拘束バンド53と第1、第2のエンドプレート51,52とは、ビス、ボルト等を用いて結合されている。
【0023】
積層体40のセル20は、
図7に示すように、上部に設けられる端子21を除いて、略正面視矩形の角形電池である。積層体40の積層方向Lから見たときにおけるセル20のサイズは、互いに異なる2つの積層体にあっては互いに異なることがあるが、1つの積層体40の中では同じである。セル20は、たとえばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の二次電池である。各セル20は、直列接続されている。
【0024】
積層体40の枠部材30は、樹脂製であり、型成形品であり、電気絶縁材である。枠部材30は、
図2に示すように、積層方向Lから見たときに(正面視で)略矩形である。枠部材30は、積層方向Lから見たときに周方向に全周にわたって断続的に形成される外枠部(フランジといってもよい)31と、外枠部31の内周側(内側)にある内側部32と、を有する。外枠部31と内側部32とにより、枠部材30は、外枠部31と内側部32とで囲まれるスペースであるセル受け入れ部(セル受け入れスペース)33を有する。
【0025】
外枠部31は、積層方向Lから見たときに、セル受け入れ部33の上側に位置する上外枠部31aと、セル受け入れ部33の下側に位置する下外枠部31bと、セル受け入れ部33の右側に位置する右外枠部31cと、セル受け入れ部33の左側に位置する左外枠部31dと、を有する。右外枠部31cと左外枠部31dは、逆であってもよい。
【0026】
上外枠部31aの下面(セル受け入れ部33側の面、下外枠部31bに対向する面)には、セル受け入れ部33内にあるセル20側に延びておりセル20によって押されて撓むことで反力を発生させる弾性変形可能な上リップ31a1が設けられていることが望ましい。また、左外枠部31dの右側面(セル受け入れ部33側の面、右外枠部31cに対向する面)には、セル受け入れ部33内にあるセル20側に延びておりセル20によって押されて撓むことで反力を発生させる弾性変形可能な側面リップ31d1が設けられていることが望ましい。上リップ31a1と側面リップ31d1により、各リップ31a1、31d1が撓むことによって、セル20に対して各リップ31a1、31d1と反対側にある外枠部31にセル20を押し付けることができ、その結果、積層体40の全体でセル20の位置(積層方向Lと直交する方向の位置)を揃えることができるからである。
【0027】
枠部材30には、積層方向Lから見たときにセル受け入れ部33の左右方向または上下方向からなる第1方向D1の間隔を変更可能なサイズ調整部60が設けられている。なお、本発明図示例では、第1方向D1が枠部材30の左右方向である場合を示している。サイズ調整部60は、枠部材30と一体成形されている。
【0028】
本発明全実施例にわたって共通する部分では、上記構成を有するため、つぎの作用、効果を得ることができる。
(A)枠部材30に、積層方向Lから見たときにセル受け入れ部33の左右方向または上下方向からなる第1方向D1の間隔を変更可能なサイズ調整部60が設けられているため、第1方向D1にサイズが異なる2種類のセル20に対して、共通の(同一種類の)枠部材30を利用できる。よって、第1方向D1にサイズが異なる2種類のセル20に対して異なる枠部材30を設ける必要が無くなるため、部品種類を削減でき、枠部材30を作製するための金型費を削減でき、コスト低減を図ることができる。
【0029】
(B)サイズ調整部60が枠部材30と一体成形されているため、サイズ調整部60が枠部材30と別体に形成される場合に比べて、コスト上有利である。
【0030】
つぎに、本発明の各実施例に特有な部分を説明する。
〔実施例1〕(
図1~
図8)
本発明実施例1のサイズ調整部60は、つぎのようになっている。
図3に示すように、サイズ調整部60は、サイズ調整部60、外枠部31および内側部32よりも板厚が薄いインテグラルヒンジ部61で、外枠部31および/または内側部32とつながっている。そして、
図4~
図6に示すように、サイズ調整部60は、インテグラルヒンジ部61周りに回動することで、積層方向Lから見たときにセル受け入れ部33の外部(外側)にある外側位置60a(
図4)とセル受け入れ部33に進入しておりセル受け入れ部33の内部(内側)にある内側位置60b(
図6)とに移動可能とされている。
【0031】
サイズ調整部60は、積層方向Lから見たときに、枠部材30の、第1方向D1の一端部またはその近傍で、第1方向D1と直交する第2方向D2の各端部に設けられている。サイズ調整部60は、第1方向D1に延びる連結部62と、連結部62の各端部から第1方向D1と直交する方向に延びており互いに対向する壁部63,64と、を有する。
【0032】
対向する壁部63,64のうち、枠部材30の第1方向D1の一端側に位置する壁部63は、サイズ調整部60が内側位置60bにあるときに枠部材30に係合する(係合保持される)係合保持部63aを有する。枠部材30には、サイズ調整部60が内側位置60bにあるときに係合保持部63aを受け入れる溝34が形成されており、係合保持部63aは、溝34の縁部に係合可能となっている。
【0033】
対向する壁部63,64のうち、枠部材30の第1方向D1の他端側に位置する壁部64は、
図8に示すように、サイズ調整部60が内側位置60bにあるときに第1方向D1でセル20と対向している。そして、
図6に示すように、壁部64は、セル20と対向する面に、セル20側に延びておりセル20によって押されて撓むことで反力を発生させる弾性変形可能なリップ(弾性片部)64aを有している。
【0034】
本発明実施例1では、上記構成を有しているため、本発明全実施例にわたって共通する部分で得られる作用、効果に加えて、さらにつぎの作用、効果を得ることができる。
【0035】
(C1)サイズ調整部60が、インテグラルヒンジ部61周りに回動することで外側位置60aと内側位置60bとに移動可能とされている。そのため、
図7、
図8に示すように、サイズ調整部60が外側位置60aにあるときと内側位置60bにあるときとで、積層方向Lからみたときのセル受け入れ部33の第1方向D1の間隔を変更させることができる。具体的には、サイズ調整部60が外側位置60aにあるときには、セル受け入れ部33の第1方向D1の間隔を比較的大きい間隔W1(
図7)にし、サイズ調整部60が内側位置60bにあるときには、セル受け入れ部33の第1方向D1の間隔をW1よりも小さい間隔W2(
図8)にすることができる。よって、第1方向D1にサイズが異なる2種類のセル20に対して共通の枠部材30を利用できる。
【0036】
(D1)サイズ調整部60が、内側位置60bにあるときに枠部材30に係合する係合保持部63aを有するため、係合保持部63aが枠部材30に係合することで、サイズ調整部60が内側位置60bにある状態を維持できる。
【0037】
(E1)サイズ調整部60が、内側位置60bにあるときにセル20と対向する面に、セル20側に延びるリップ64aを有するため、リップ64aが撓むことによって、セル20に対してリップ64aと反対側にある外枠部31にセル20を押し付けることができる。よって、積層体40の全体でセル20の位置(積層方向Lと直交する方向の位置)を揃えることができる。
【0038】
〔実施例2〕(
図9~
図19)
本発明実施例2のサイズ調整部60は、つぎのようになっている。
図9~
図13に示すように、サイズ調整部60は、積層方向Lから見たときに、枠部材30の第1方向D1の中間部で該第1方向D1と直交する第2方向D2に枠部材30の全域にわたって連続して延びる薄肉部65と、薄肉部65の第1方向D1の両側にあり積層方向Lに互いに重なり合わない非折重位置68a(
図11(a)、
図12)と積層方向Lに薄肉部65を間に挟んで互いに重なり合う折重位置68b(
図11(b)、
図13)とに移動可能な一側折重部66および他側折重部67と、を有する。なお、「折重」は、「折り重ね」の意である。
【0039】
薄肉部65は、特に限定されるものではないが、板厚0.2mm程度とされており、比較的容易に弾性変形可能とされている。
図12に示すように、一側折重部66と他側折重部67は、薄肉部65に比べて板厚が大とされており薄肉部65よりも弾性変形し難くされているが、サイズ調整部60の第1方向D1の両側にある枠部材30部分(内側部32)よりも板厚が小とされている。
図13に示すように、折重位置68bにあるときにおける一側折重部66、薄肉部65および他側折重部67の厚みの和は、サイズ調整部60の第1方向D1の両側にある枠部材30部分(内側部32)の厚みと同じかまたは略同じとされている。
【0040】
サイズ調整部60が薄肉部65を有するため、薄肉部65が電池モジュール10のユーザの意図に反して変形するおそれがある。そこで、本発明実施例2では、さらに次のようになっている。
【0041】
図14~
図17に示すように、サイズ調整部60は、係合片69と、第1の係合突起70と、第2の係合突起71と、を有する。サイズ調整部60は、また、係合雄部72と、係合雌部73と、を有する。
【0042】
係合片69は、弾性変形不能または弾性変形しても無視できる程度の板厚を有する。係合片69は、一側折重部66と他側折重部67の一方または該一方に連なる枠部材30部分にインテグラルヒンジ69aにて回動可能に連結されている。
【0043】
第1の係合突起70は、一側折重部66と他側折重部67の他方(係合片69が設けられていない方)または該他方に連なる枠部材30部分に形成されている。第1の係合突起70には、一側折重部66と他側折重部67が非折重位置68aにあるときにのみ、係合片69が係合可能となっている。
【0044】
第2の係合突起71は、一側折重部66と他側折重部67の前記一方(係合片69が設けられている方)または該一方に連なる枠部材30部分に形成されている。第2の係合突起71には、一側折重部66と他側折重部67が折重位置68bにあるときにのみ、係合片69が係合可能となっている。
【0045】
係合雄部72は、一側折重部66と他側折重部67の一方(係合片69が設けられている方でも設けられていない方であってもよい)または該一方に連なる枠部材部分30に形成されている。
【0046】
係合雌部73は、一側折重部66と他側折重部67の他方(係合雄部72が設けられていない方)または該他方に連なる枠部材30部分に形成されている。係合雌部73には、一側折重部66と他側折重部67が折重位置68bにあるときにのみ、係合雄部72が係合可能となっている。
【0047】
本発明実施例2では、上記構成を有しているため、本発明全実施例にわたって共通する部分で得られる作用、効果に加えて、さらにつぎの作用、効果を得ることができる。
【0048】
(C2)サイズ調整部60が、枠部材30の第1方向D1の中間部で第2方向D2に枠部材30の全域にわたって連続して延びる薄肉部65と、薄肉部65の両側にあり積層方向Lに互いに重なり合わない非折重位置68aと積層方向Lに薄肉部65を挟んで互いに重なり合う折重位置68bとに移動可能な一側折重部66および他側折重部67と、を有している。そのため、
図11に示すように、一側折重部66と他側折重部67とが非折重位置68aにあるとき(
図11(a))と折重位置68b(
図11(b))にあるときとで、積層方向Lから見たときのセル受け入れ部33の第1方向D1の間隔を変更させることができる。具体的には、一側折重部66と他側折重部67が非折重位置68aにあるときには、セル受け入れ部33の第1方向D1の間隔を比較的大きい間隔W3(
図11(a)、
図18)にし、一側折重部66と他側折重部67が折重位置68bにあるときには、セル受け入れ部33の第1方向D1の間隔をW3よりも小さい間隔W4(
図11(b)、
図19)にすることができる。よって、第1方向D1にサイズが異なる2種類のセル20に対して共通の枠部材30を利用できる。
【0049】
(D2)サイズ調整部60が、係合片69と、第1の係合突起70と、を有するため、係合片69を第1の係合突起70に係合させることで、一側折重部66と他側折重部67が非折重位置68aにあるときに薄肉部65が変形して一側折重部66と他側折重部67とが相対変位してしまうことを抑制できる。
また、サイズ調整部60が、一側折重部66と他側折重部67が折重位置68bにあるときに係合片69が係合可能な第2の係合突起71を有するため、係合片69を第2の係合突起71に係合させることで、一側折重部66と他側折重部67が折重位置68bにあるときに係合片69ががたつく(動く)ことを抑制できる。
【0050】
(E2)サイズ調整部60が、係合雄部72と、係合雌部73と、を有するため、係合雄部72を係合雌部73に係合させることで、一側折重部66と他側折重部67が折重位置68bにあるときに薄肉部65が変形して一側折重部66と他側折重部67とが相対変位してしまうことを抑制できる。
【符号の説明】
【0051】
10 電池モジュール
20 セル
21 端子
30 枠部材
31 外枠部
32 内側部
33 セル受け入れ部
34 溝
40 積層体
50、51,52 エンドプレート
60 サイズ調整部
60a 外側位置
60b 内側位置
61 インテグラルヒンジ部
62 連結部
63,64 壁部
63a 係合保持部
64a リップ
65 薄肉部
66 一側折重部
67 他側折重部
68a 非折重位置
68b 折重位置
69 係合片
70 第1の係合突起
71 第2の係合突起
72 係合雄部
73 係合雌部
D1 第1方向
D2 第2方向
L 積層方向
W1,W2,W3,W4 間隔