(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182250
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】配線基板、電子装置および配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20221201BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20221201BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20221201BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20221201BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H01L23/12 Z
H01L23/14 S
H05K1/02 C
H05K1/11 H
H05K3/40 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089713
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 吾郎
【テーマコード(参考)】
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E317AA25
5E317BB01
5E317BB11
5E317CC60
5E317GG16
5E338AA02
5E338AA18
5E338BB14
5E338BB17
5E338BB19
5E338EE32
(57)【要約】
【課題】 製造効率を高めることが可能な配線基板、電子装置および配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】 主面1aおよび裏面1bを有し且つ半導体材料を含む基材1と、配線部3と、絶縁層2と、を備え、基材1は、z方向に貫通する第1貫通孔11を有し、第1貫通孔11は、主面1aに繋がる主面側第1部11aと、裏面1bに繋がる裏面側第1部11bと、を含み、主面側第1部11aは、z方向と直角である断面の大きさが、主面1aから裏面1bに向かうほど小さく、裏面側第1部11bは、z方向と直角である断面の大きさが、裏面1bから主面1aに向かうほど小さく、配線部3は、主面1aに配置された主面第1部31a、裏面1bに配置された裏面第1部31b、および第1貫通孔11に配置され且つ主面第1部31aおよび裏面第1部31bに繋がる第1貫通孔導通部33を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有し且つ半導体材料を含む基材と、
配線部と、
前記基材および前記配線部の間に介在する絶縁層と、を備え、
前記基材は、前記厚さ方向に貫通する第1貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は、前記主面に繋がる主面側第1部と、前記裏面に繋がる裏面側第1部と、を含み、
前記主面側第1部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記主面から前記裏面に向かうほど小さく、
前記裏面側第1部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記裏面から前記主面に向かうほど小さく、
前記配線部は、前記主面に配置された主面第1部、前記裏面に配置された裏面第1部、および前記第1貫通孔に配置され且つ前記主面第1部および前記裏面第1部に繋がる第1貫通孔導通部を含む、配線基板。
【請求項2】
前記絶縁層は、前記主面を覆う主面被覆部、前記裏面を覆う裏面被覆部、および前記第1貫通孔を覆う第1貫通孔被覆部、を含む、
請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1貫通孔被覆部は、前記主面側第1部を覆う第1貫通孔主面側被覆部と、前記裏面側第1部を覆う第1貫通孔裏面側被覆部と、を含む、
請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1貫通孔主面側被覆部と前記第1貫通孔裏面側被覆部とは、互いに別体の絶縁性部材からなる、
請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1貫通孔主面側被覆部と前記第1貫通孔裏面側被覆部とは、同一の絶縁性部材によって一体的に形成されている、
請求項3に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第1貫通孔導通部は、前記第1貫通孔主面側被覆部に配置された第1貫通孔主面側導通部と、前記第1貫通孔裏面側被覆部に配置された第1貫通孔裏面側導通部と、を含む、
請求項3ないし5のいずれかに記載の配線基板。
【請求項7】
前記基材は、前記厚さ方向に貫通し、且つ前記第1貫通孔から離れた第2貫通孔を有し、
前記第2貫通孔は、前記主面に繋がる主面側第2部と、前記裏面に繋がる裏面側第2部と、を含み、
前記主面側第2部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記主面から前記裏面に向かうほど小さく、
前記裏面側第2部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記裏面から前記主面に向かうほど小さく、
前記配線部は、前記主面に配置され且つ前記主面第1部から離れた主面第2部、前記裏面に配置され且つ前記裏面第1部から離れた裏面第2部、および前記第2貫通孔に配置され且つ前記主面第2部および前記裏面第2部に繋がる第2貫通孔導通部を含む、
請求項2ないし6のいずれかに記載の配線基板。
【請求項8】
前記絶縁層は、前記第2貫通孔を覆う第2貫通孔被覆部、を含む、
請求項7に記載の配線基板。
【請求項9】
前記第2貫通孔被覆部は、前記主面側第2部を覆う第2貫通孔主面側被覆部と、前記裏面側第2部を覆う第2貫通孔裏面側被覆部と、を含む、
請求項8に記載の配線基板。
【請求項10】
前記第2貫通孔主面側被覆部と前記第2貫通孔裏面側被覆部とは、互いに別体の絶縁性部材からなる、
請求項9に記載の配線基板。
【請求項11】
前記第2貫通孔主面側被覆部と前記第2貫通孔裏面側被覆部とは、同一の絶縁性部材によって一体的に形成されている、
請求項9に記載の配線基板。
【請求項12】
前記第2貫通孔導通部は、前記第2貫通孔主面側被覆部に配置された第2貫通孔主面側導通部と、前記第2貫通孔裏面側被覆部に配置された第2貫通孔裏面側導通部と、を含む、
請求項9ないし11のいずれかに記載の配線基板。
【請求項13】
前記半導体材料は、Si単結晶である、
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の配線基板。
【請求項14】
前記主面および前記裏面は、(100)面である、
請求項13に記載の配線基板。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載された配線基板と、
前記主面第1部に実装された電子部品と、を備える、電子装置。
【請求項16】
前記主面に支持された封止部材を備える、請求項15に記載の電子装置。
【請求項17】
前記電子部品は、VCSEL素子である、請求項15または16に記載の電子装置。
【請求項18】
厚さ方向において互いに反対側を向くウエハ主面およびウエハ裏面を有する半導体ウエハを準備する工程と、
異方性エッチングによって前記ウエハ主面から凹む主面側第1凹部を形成する工程と、
前記主面側第1凹部を覆う主面側絶縁膜を形成する工程と、
異方性エッチングによって前記ウエハ裏面から凹み且つ前記主面側第1凹部に到達する裏面側第1凹部を形成ことにより、前記ウエハ主面に繋がる主面側第1部および前記ウエハ裏面に繋がる裏面側第1部を含む第1貫通孔を形成する工程と、
前記裏面側第1部を覆い且つ前記主面側絶縁膜に接する裏面側絶縁膜を形成する工程と、
前記主面側絶縁膜を覆う第1導電膜を形成する工程と、
前記第1貫通孔内において、前記主面側絶縁膜および前記裏面側絶縁膜を前記厚さ方向に貫通する絶縁膜第1貫通孔を形成する工程と、
前記裏面側絶縁膜を覆い且つ前記絶縁膜第1貫通孔を通じて前記第1導電膜に接する第2導電膜を形成する工程と、
を備える、配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記第1導電膜および前記第2導電膜を、スパッタリングまたはCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成する、請求項18に記載の配線基板の製造方法。
【請求項20】
厚さ方向において互いに反対側を向くウエハ主面およびウエハ裏面を有する半導体ウエハを準備する工程と、
前記ウエハ主面および前記ウエハ裏面の双方から異方性エッチングを施すことにより、前記半導体ウエハを前記厚さ方向に貫通する第1貫通孔を形成する工程と、
前記第1貫通孔を覆う貫通孔絶縁膜を形成する工程と、
前記ウエハ主面側から、前記第1貫通孔を含む領域に第1導電性ペーストを印刷する工程と、
前記第1導電性ペーストを焼成することにより、第1導電膜を形成する工程と、
前記ウエハ裏面側から、前記第1貫通孔を含む領域に第2導電性ペーストを印刷する工程と、
前記第2導電性ペーストを焼成することにより、第2導電膜を形成する工程と、
を備える、配線基板の製造方法。
【請求項21】
前記主面側絶縁膜を形成する工程においては、熱酸化処理を用いる、請求項19に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、電子装置および配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の配線基板の一例が開示されている。同文献に開示された配線基板は、AlN基板と、AlN基板の両面に形成された2つのレーザ光吸収金属層と、Al露出層とを備える。AlN基板には、スルーホールが形成されている。Al露出層は、スルーホールを覆っており、2つのレーザ光吸収金属層に繋がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スルーホールの形成は、レーザ光の照射によって行われる。レーザ光によるスルーホールの形成は、スルーホールの形状や個数によって、製造効率を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、製造効率を高めることが可能な配線基板、電子装置および配線基板の製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される配線基板は、厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有し且つ半導体材料を含む基材と、配線部と、前記基材および前記配線部の間に介在する絶縁層と、を備え、前記基材は、前記厚さ方向に貫通する第1貫通孔を有し、前記第1貫通孔は、前記主面に繋がる主面側第1部と、前記裏面に繋がる裏面側第1部と、を含み、前記主面側第1部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記主面から前記裏面に向かうほど小さく、前記裏面側第1部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記裏面から前記主面に向かうほど小さく、前記配線部は、前記主面に配置された主面第1部、前記裏面に配置された裏面第1部、および前記第1貫通孔に配置され且つ前記主面第1部および前記裏面第1部に繋がる第1貫通孔導通部を含む。
【0007】
本発明の第2の側面によって提供される電子装置は、本発明の第1の側面によって提供される配線基板と、前記主面第1部に実装された電子部品と、を備える。
【0008】
本発明の第3の側面によって提供される配線基板の製造方法は、厚さ方向において互いに反対側を向くウエハ主面およびウエハ裏面を有する半導体ウエハを準備する工程と、異方性エッチングによって前記ウエハ主面から凹む主面側第1凹部を形成する工程と、前記主面側第1凹部を覆う主面側絶縁膜を形成する工程と、異方性エッチングによって前記ウエハ裏面から凹み且つ前記主面側第1凹部に到達する裏面側第1凹部を形成ことにより、前記ウエハ主面に繋がる主面側第1部および前記ウエハ裏面に繋がる裏面側第1部を含む第1貫通孔を形成する工程と、前記裏面側第1部を覆い且つ前記主面側絶縁膜に接する裏面側絶縁膜を形成する工程と、前記主面側絶縁膜を覆う第1導電膜を形成する工程と、前記第1貫通孔内において、前記主面側絶縁膜および前記裏面側絶縁膜を前記厚さ方向に貫通する絶縁膜第1貫通孔を形成する工程と、前記裏面側絶縁膜を覆い且つ前記絶縁膜第1貫通孔を通じて前記第1導電膜に接する第2導電膜を形成する工程と、を備える。
【0009】
本発明の第4の側面によって提供される配線基板の製造方法は、厚さ方向において互いに反対側を向くウエハ主面およびウエハ裏面を有する半導体ウエハを準備する工程と、前記ウエハ主面および前記ウエハ裏面の双方から異方性エッチングを施すことにより、前記半導体ウエハを前記厚さ方向に貫通する第1貫通孔を形成する工程と、前記第1貫通孔を覆う貫通孔絶縁膜を形成する工程と、前記ウエハ主面側から、前記第1貫通孔を含む領域に第1導電性ペーストを印刷する工程と、前記第1導電性ペーストを焼成することにより、第1導電膜を形成する工程と、前記ウエハ裏面側から、前記第1貫通孔を含む領域に第2導電性ペーストを印刷する工程と、前記第2導電性ペーストを焼成することにより、第2導電膜を形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、製造効率を高めることができる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る電子装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1実施形態に係る配線基板を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図6】
図6は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図9】
図9は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図11】
図11は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図12】
図12は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図13】
図13は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図14】
図14は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図15】
図15は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図16】
図16は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図17】
図17は、本開示の第1実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図18】
図18は、本開示の第1実施形態に係る電子装置の第1変形例を示す断面図である。
【
図19】
図19は、本開示の第2実施形態に係る電子装置を示す断面図である。
【
図20】
図20は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示すフロー図である。
【
図21】
図21は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図22】
図22は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図23】
図23は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図24】
図24は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図25】
図25は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図26】
図26は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図27】
図27は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図28】
図28は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法を示す要部断面図である。
【
図29】
図29は、本開示の第2実施形態に係る電子装置の第1変形例を示す断面図である。
【
図30】
図30は、本開示の第2実施形態に係る配線基板の製造方法の第1変形例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0015】
本開示において、「AがBに配置された」とは、AがBに直接接する場合と、Aが他の部材を介してBに重なる位置に設けられた場合と、を含む。
【0016】
<第1実施形態>
図1~
図17は、本開示の第1実施形態に係る配線基板、電子装置および配線基板の製造方法を示している。
図1および
図3に示すように、本実施形態の電子装置B1は、配線基板A1、電子部品5、ワイヤ59および封止部材7を備えている。
図2および
図3に示すように、本実施形態の配線基板A1は、基材1、絶縁層2および配線部3を備える。
【0017】
図1は、電子装置B1を示す斜視図である。
図2は、配線基板A1を示す斜視図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4は、配線基板A1の製造方法を示すフロー図である。
図5~
図17は、配線基板A1の製造方法を示す要部断面図である。これらの図において、z方向は、本開示の厚さ方向に相当する。
図1においては、封止部材7を想像線で示している。
【0018】
〔基材1〕
基材1は、半導体材料を含む。基材1に含まれる半導体材料は何ら限定されず、本実施形態においては、たとえばSi単結晶である。基材1の大きさおよび形状は、何ら限定されない。本実施形態においては、基材1は、z方向に視て矩形状である。
【0019】
基材1は、主面1a、裏面1b、第1貫通孔11および第2貫通孔12を有する。
【0020】
主面1aは、z方向の一方を向く。主面1aは、平坦である。主面1aは、z方向に直交する。本実施形態においては、主面1aは、(100)面である。
【0021】
裏面1bは、z方向の他方を向く。裏面1bは、平坦である。裏面1bは、z方向に直交する。本実施形態においては、裏面1bは、(100)面である。
【0022】
第1貫通孔11は、基材1をz方向に貫通している。第1貫通孔11は、主面1aおよび裏面1bに到達している。第1貫通孔11の位置および個数は何ら限定されない。
図1および
図2に示す例においては、複数の第1貫通孔11が設けられている。複数の第1貫通孔11は、y方向に沿って配列されているが、複数の第1貫通孔11の配置は、何ら限定されない。
【0023】
第1貫通孔11は、主面側第1部11aおよび裏面側第1部11bを有する。
【0024】
主面側第1部11aは、主面1aに繋がる部分である。主面側第1部11aは、z方向と直角である断面の大きさが、主面1aから裏面1bに向かうほど小さい。本実施形態においては、主面側第1部11aのz方向と直角である断面の形状は、矩形状である。
図3に示すように、図示された例においては、主面側第1部11aの内面とxy平面とがなす角度α1aは、たとえば54.7°である。
【0025】
裏面側第1部11bは、裏面1bに繋がる部分である。また、本実施形態においては、裏面側第1部11bは、主面側第1部11aに繋がっている。裏面側第1部11bは、z方向と直角である断面の大きさが、裏面1bから主面1aに向かうほど小さい。本実施形態においては、裏面側第1部11bのz方向と直角である断面の形状は、矩形状である。
図3に示すように、図示された例においては、裏面側第1部11bの内面とxy平面とがなす角度α1bは、たとえば54.7°である。
【0026】
第2貫通孔12は、基材1をz方向に貫通している。第2貫通孔12は、主面1aおよび裏面1bに到達している。第2貫通孔12の位置および個数は何ら限定されない。
図1および
図2に示す例においては、複数の第2貫通孔12が設けられている。複数の第2貫通孔12は、y方向に沿って配列されているが、複数の第2貫通孔12の配置は、何ら限定されない。本実施形態においては、複数の第2貫通孔12は、複数の第1貫通孔11に対してx方向に離れた位置に設けられている。
【0027】
第2貫通孔12は、主面側第2部12aおよび裏面側第2部12bを有する。
【0028】
主面側第2部12aは、主面1aに繋がる部分である。主面側第2部12aは、z方向と直角である断面の大きさが、主面1aから裏面1bに向かうほど小さい。本実施形態においては、主面側第2部12aのz方向と直角である断面の形状は、矩形状である。
図3に示すように、図示された例においては、主面側第2部12aの内面とxy平面とがなす角度α2aは、たとえば54.7°である。
【0029】
裏面側第2部12bは、裏面1bに繋がる部分である。また、本実施形態においては、裏面側第2部12bは、主面側第2部12aに繋がっている。裏面側第2部12bは、z方向と直角である断面の大きさが、裏面1bから主面1aに向かうほど小さい。本実施形態においては、裏面側第2部12bのz方向と直角である断面の形状は、矩形状である。
図3に示すように、図示された例においては、裏面側第2部12bの内面とxy平面とがなす角度α2bは、たとえば54.7°である。
【0030】
〔絶縁層2〕
絶縁層2は、絶縁性の材料を含み、基材1と配線部3との間に介在している。絶縁層2に含まれる材質は何ら限定されず、たとえば、SiO2、SiN等が挙げられる。
【0031】
本実施形態の絶縁層2は、主面被覆部2a、裏面被覆部2b、第1貫通孔被覆部21および第2貫通孔被覆部22を有する。
【0032】
主面被覆部2aは、基材1の主面1aを覆っている。主面被覆部2aは、主面1aの全面を覆っていることが好ましいが、必ずしも主面1aの全面を覆う構成に限定されない。基材1と配線部3とを絶縁可能である範囲において、主面1aが主面被覆部2aから露出した構成であってもよい。主面被覆部2aの具体的構成は何ら限定されず、単層からなる構成であってもよいし、複数層からなる構成であってもよい。本実施形態においては、主面被覆部2aは、第1絶縁膜210および第3絶縁膜230が積層された構成である。第1絶縁膜210は、主面1aに直接接しており、たとえばSiNからなる。第1絶縁膜210の厚さを例示すると、たとえば0.5μm以上2.0μm以下である。第3絶縁膜230は、第1絶縁膜210上に積層されており、たとえばSiO2からなる。第3絶縁膜230の厚さを例示すると、たとえば0.5μm以上1.0μm以下である。
【0033】
裏面被覆部2bは、基材1の裏面1bを覆っている。裏面被覆部2bは、裏面1bの全面を覆っていることが好ましいが、必ずしも1bの全面を覆う構成に限定されない。基材1と配線部3とを絶縁可能である範囲において、裏面1bが裏面被覆部2bから露出した構成であってもよい。裏面被覆部2bの具体的構成は何ら限定されず、単層からなる構成であってもよいし、複数層からなる構成であってもよい。本実施形態においては、裏面被覆部2bは、第2絶縁膜220および第4絶縁膜240が積層された構成である。第2絶縁膜220は、裏面1bに直接接しており、たとえばSiNからなる。第2絶縁膜220の厚さを例示すると、たとえば0.5μm以上2.0μm以下である。第4絶縁膜240は、第2絶縁膜220上に積層されており、たとえばSiO2からなる。第4絶縁膜240の厚さを例示すると、たとえば0.5μm以上1.0μm以下である。
【0034】
第1貫通孔被覆部21は、第1貫通孔11を覆っている。第1貫通孔被覆部21は、第1貫通孔11の全面を覆っていることが好ましいが、必ずしも第1貫通孔11の全面を覆う構成に限定されない。基材1と配線部3とを絶縁可能である範囲において、第1貫通孔11が第1貫通孔被覆部21から露出した構成であってもよい。第1貫通孔被覆部21の具体的構成は何ら限定されず、単層からなる構成であってもよいし、複数層からなる構成であってもよい。第1貫通孔被覆部21は、主面被覆部2aおよび裏面被覆部2bに繋がっている。
【0035】
第1貫通孔被覆部21は、絶縁膜第1貫通孔215を有する。絶縁膜第1貫通孔215は、z方向に通じる貫通孔である。
【0036】
第1貫通孔被覆部21は、第1貫通孔主面側被覆部21aおよび第1貫通孔裏面側被覆部21bを有する。
【0037】
第1貫通孔主面側被覆部21aは、第1貫通孔11の主面側第1部11aを覆っている。本実施形態においては、第1貫通孔主面側被覆部21aは、第1絶縁膜210からなる。
【0038】
第1貫通孔裏面側被覆部21bは、第1貫通孔11の裏面側第1部11bを覆っている。本実施形態においては、第1貫通孔裏面側被覆部21bは、第2絶縁膜220からなる。また、第1貫通孔裏面側被覆部21bは、絶縁膜第1貫通孔215において第1貫通孔主面側被覆部21aと接している。
【0039】
本実施形態においては、第1貫通孔主面側被覆部21aが第1絶縁膜210からなり、第1貫通孔裏面側被覆部21bが第1貫通孔主面側被覆部21a(第1絶縁膜210)とは別体の第2絶縁膜220からなる。
【0040】
第2貫通孔被覆部22は、第2貫通孔12を覆っている。第2貫通孔被覆部22は、第2貫通孔12の全面を覆っていることが好ましいが、必ずしも第2貫通孔12の全面を覆う構成に限定されない。基材1と配線部3とを絶縁可能である範囲において、第2貫通孔12が第2貫通孔被覆部22から露出した構成であってもよい。第2貫通孔被覆部22の具体的構成は何ら限定されず、単層からなる構成であってもよいし、複数層からなる構成であってもよい。第2貫通孔被覆部22は、主面被覆部2aおよび裏面被覆部2bに繋がっている。
【0041】
第2貫通孔被覆部22は、絶縁膜第2貫通孔225を有する。絶縁膜第2貫通孔225は、z方向に通じる貫通孔である。
【0042】
第2貫通孔被覆部22は、第2貫通孔主面側被覆部22aおよび第2貫通孔裏面側被覆部22bを有する。
【0043】
第2貫通孔主面側被覆部22aは、第2貫通孔12の主面側第2部12aを覆っている。本実施形態においては、第2貫通孔主面側被覆部22aは、第1絶縁膜210からなる。
【0044】
第2貫通孔裏面側被覆部22bは、第2貫通孔12の裏面側第2部12bを覆っている。本実施形態においては、第2貫通孔裏面側被覆部22bは、第2絶縁膜220からなる。また、第2貫通孔裏面側被覆部22bは、絶縁膜第2貫通孔225において第2貫通孔主面側被覆部22aと接している。
【0045】
本実施形態においては、第2貫通孔主面側被覆部22aが第1絶縁膜210からなり、第2貫通孔裏面側被覆部22bが第2貫通孔主面側被覆部22a(第1絶縁膜210)とは別体の第2絶縁膜220からなる。
【0046】
〔配線部3〕
配線部3は、導電性材料を含み、電子装置B1において電子部品5を含む回路の導通経路を構成する。配線部3に含まれる導電性材料は、何ら限定されず、たとえばAl、AU,Ag,Cu等が適宜挙げられる。本実施形態においては、配線部3は、Alを含む。本実施形態の配線部3の厚さを例示すると、たとえば0.5μm以上2.0μm以下である。
【0047】
本実施形態の配線部3は、主面第1部31a、主面第2部32a、裏面第1部31b、裏面第2部32b、複数の第1貫通孔導通部33および複数の第2貫通孔導通部34を有する。
【0048】
主面第1部31aは、主面1aに配置されている。主面第1部31aは、主面被覆部2aを介して主面1aに重なる位置に設けられている。主面第1部31aは、主面被覆部2aに直接接している。主面第1部31aと主面1aとは、主面被覆部2aによって絶縁されている。
図2および
図3に示すように、主面第1部31aは、主面1aの一部に配置されており、主面被覆部2aを介して主面1aの一部に重なる位置に設けられている。主面第1部31aは、主面1aのうち複数の第1貫通孔11を囲む領域に配置されている。
【0049】
主面第2部32aは、主面1aに配置されている。主面第2部32aは、主面被覆部2aを介して主面1aに重なる位置に設けられている。主面第2部32aは、主面被覆部2aに直接接している。主面第2部32aと主面1aとは、主面被覆部2aによって絶縁されている。
図2および
図3に示すように、主面第2部32aは、主面1aの一部に配置されており、主面被覆部2aを介して主面1aの一部に重なる位置に設けられている。主面第2部32aは、主面1aのうち複数の第2貫通孔12を囲む領域に配置されている。主面第2部32aは、主面第1部31aからx方向に離れている。本実施形態においては、主面第2部32aのx方向の大きさは、主面第1部31aのx方向の大きさよりも小さい。また、主面第2部32aの面積は、主面第1部31aの面積よりも小さい。
【0050】
裏面第1部31bは、裏面1bに配置されている。裏面第1部31bは、裏面被覆部2bを介して裏面1bに重なる位置に設けられている。裏面第1部31bは、裏面被覆部2bに直接接している。裏面第1部31bと裏面1bとは、裏面被覆部2bによって絶縁されている。
図3に示すように、裏面第1部31bは、裏面1bの一部に配置されており、裏面被覆部2bを介して裏面1bの一部に重なる位置に設けられている。裏面第1部31bは、裏面1bのうち複数の第1貫通孔11を囲む領域に配置されている。
【0051】
裏面第2部32bは、裏面1bに配置されている。裏面第2部32bは、裏面被覆部2bを介して裏面1bに重なる位置に設けられている。裏面第2部32bは、裏面被覆部2bに直接接している。裏面第2部32bと裏面1bとは、裏面被覆部2bによって絶縁されている。
図3に示すように、裏面第2部32bは、裏面1bの一部に配置されており、裏面被覆部2bを介して裏面1bの一部に重なる位置に設けられている。裏面第2部32bは、裏面1bのうち複数の第2貫通孔12を囲む領域に配置されている。裏面第2部32bは、主面第2部32aからx方向に離れている。本実施形態においては、裏面第2部32bのx方向の大きさは、裏面第1部31bのx方向の大きさよりも小さい。また、裏面第2部32bの面積は、裏面第1部31bの面積よりも小さい。
【0052】
第1貫通孔導通部33は、第1貫通孔11に配置されている。第1貫通孔導通部33は、第1貫通孔被覆部21を介して第1貫通孔11に重なる位置に設けられている。第1貫通孔導通部33は、第1貫通孔被覆部21に直接接している。第1貫通孔導通部33と第1貫通孔11とは、第1貫通孔被覆部21によって絶縁されている。第1貫通孔導通部33は、主面第1部31aと裏面第1部31bとに繋がっており、主面第1部31aと裏面第1部31bとを導通させている。また、本実施形態においては、第1貫通孔導通部33は、第1貫通孔11(絶縁膜第1貫通孔215)を塞いでいる。
【0053】
第1貫通孔導通部33は、第1貫通孔主面側導通部33aおよび第1貫通孔裏面側導通部33bを有する。
【0054】
第1貫通孔主面側導通部33aは、主面側第1部11aに配置されている。第1貫通孔主面側導通部33aは、第1貫通孔主面側被覆部21aを介して主面側第1部11aに重なる位置に設けられている。第1貫通孔主面側導通部33aは、第1貫通孔主面側被覆部21aに直接接している。第1貫通孔主面側導通部33aと主面側第1部11aとは、第1貫通孔主面側被覆部21aによって絶縁されている。第1貫通孔主面側導通部33aは、主面第1部31aに繋がっている。また、本実施形態においては、第1貫通孔主面側導通部33aは、第1貫通孔11(絶縁膜第1貫通孔215)を塞いでいる。
【0055】
第1貫通孔裏面側導通部33bは、裏面側第1部11bに配置されている。第1貫通孔裏面側導通部33bは、第1貫通孔裏面側被覆部21bを介して裏面側第1部11bに重なる位置に設けられている。第1貫通孔裏面側導通部33bは、第1貫通孔裏面側被覆部21bに直接接している。第1貫通孔裏面側導通部33bと裏面側第1部11bとは、第1貫通孔裏面側被覆部21bによって絶縁されている。第1貫通孔裏面側導通部33bは、裏面第1部31bおよび第1貫通孔主面側導通部33aに繋がっている。また、本実施形態においては、第1貫通孔裏面側導通部33bは、第1貫通孔11(絶縁膜第1貫通孔215)を塞いでいる。
【0056】
第2貫通孔導通部34は、第2貫通孔12に配置されている。第2貫通孔導通部34は、第2貫通孔被覆部22を介して第2貫通孔12に重なる位置に設けられている。第2貫通孔導通部34は、第2貫通孔被覆部22に直接接している。第2貫通孔導通部34と第2貫通孔12とは、第2貫通孔被覆部22によって絶縁されている。第2貫通孔導通部34は、主面第2部32aと裏面第2部32bとに繋がっており、主面第2部32aと裏面第2部32bとを導通させている。また、本実施形態においては、第2貫通孔導通部34は、第2貫通孔12(絶縁膜第2貫通孔225)を塞いでいる。
【0057】
第2貫通孔導通部34は、第2貫通孔主面側導通部34aおよび第2貫通孔裏面側導通部34bを有する。
【0058】
第2貫通孔主面側導通部34aは、主面側第2部12aに配置されている。第2貫通孔主面側導通部34aは、第2貫通孔主面側被覆部22aを介して主面側第2部12aに重なる位置に設けられている。第2貫通孔主面側導通部34aは、第2貫通孔主面側被覆部22aに直接接している。第2貫通孔主面側導通部34aと主面側第2部12aとは、第2貫通孔主面側被覆部22aによって絶縁されている。第2貫通孔主面側導通部34aは、主面第2部32aに繋がっている。また、本実施形態においては、第2貫通孔主面側導通部34aは、第2貫通孔12(絶縁膜第2貫通孔225)を塞いでいる。
【0059】
第2貫通孔裏面側導通部34bは、裏面側第2部12bに配置されている。第2貫通孔裏面側導通部34bは、第2貫通孔裏面側被覆部22bを介して裏面側第2部12bに重なる位置に設けられている。第2貫通孔裏面側導通部34bは、第2貫通孔裏面側被覆部22bに直接接している。第2貫通孔裏面側導通部34bと裏面側第2部12bとは、第2貫通孔裏面側被覆部22bによって絶縁されている。第2貫通孔裏面側導通部34bは、裏面第2部32bおよび第2貫通孔主面側導通部34aに繋がっている。また、本実施形態においては、第2貫通孔裏面側導通部34bは、第2貫通孔12(絶縁膜第2貫通孔225)を塞いでいる。
【0060】
〔電子部品5〕
電子部品5は、電子装置B1の電気的機能を発揮する素子である。電子部品5の具体的構成は何ら限定されない。電子部品5は、LED(Light Emitting Diode)素子およびVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)素子等の発光素子、トランジスタやダイオード、IC(Integrated Circuit))などの半導体素子、抵抗器やキャパシタ、インダクタなどの受動素子であってもよい。上述の配線基板A1に実装される電子部品5としては、たとえばアノード電極およびカソード電極(いずれも図示略)を有する構成が挙げられる。本実施形態においては、電子部品5は、VCSEL素子である。このような電子部品5は、所定の波長帯の光を発し、電子装置B1の光源になる。
【0061】
電子部品5は、配線部3の主面第1部31aに搭載されている。電子部品5の下面に電極(図示略)が設けられている場合、電子部品5と主面第1部31aとは、はんだまたはAgペースト等の導電性接合材(図示略)によって導通接合される。
【0062】
〔ワイヤ59〕
複数のワイヤ59はそれぞれ、電子部品5と、配線基板A1の主面第2部32aとに接合されている。これにより、電子部品5の電極(図示略)と主面第2部32aとが、各ワイヤ59を介して導通する。ワイヤ59の材料、太さ、および本数などは、特に限定されない。ワイヤ59の材料としては、たとえばAu,Al,Cu等があげられる。なお、電子部品5は、ワイヤ59を用いた実装形態に限定されず、たとえばフリップチップ実装等の導電性接合材を用いた実装形態であってもよい。
【0063】
〔封止部材7〕
封止部材7は、配線基板A1上に形成され、主面1aに支持されている。封止部材7は、電子部品5および複数のワイヤ59を保護する封止材である。封止部材7の具体的構成は何ら限定されない。図示された例においては、封止部材7は、外壁部71およびカバー部72を有する。
【0064】
外壁部71は、平面視において、電子部品5の周囲を囲む枠状である。外壁部71は、絶縁性樹脂を含む。この絶縁性樹脂としては、たとえば黒色のエポキシ樹脂を主成分とした熱硬化性樹脂が採用される。
【0065】
カバー部72は、z方向において外壁部71に対して配線基板A1とは反対側に設けられている。カバー部72は、枠状の外壁部71を塞いでいる。カバー部72は、電子部品5からの光を透過する材質からなり、たとえばガラスおよびアクリル樹脂等からなる。
【0066】
次に、配線基板A1および電子装置B1の製造方法について、
図4~
図17を参照しつつ、以下に説明する。
【0067】
図4に示すように、配線基板A1の製造方法は、半導体ウエハを準備する工程、主面側第1凹部を形成する工程、主面側絶縁膜を形成する工程、第1貫通孔を形成する工程、裏面側絶縁膜を形成する工程、第1導電膜を形成する工程、絶縁膜第1貫通孔を形成する工程および第2導電膜を形成する工程、を備える。
【0068】
まず、
図5に示すように、半導体ウエハ10を準備する工程を行う。半導体ウエハ10は、複数の基材1を形成可能な材料である。以降に説明する製造方法は、複数の配線基板A1を一括して製造する構成であってもよいし、1つの配線基板A1を個別に製造する構成であってもよい。
【0069】
半導体ウエハ10は、半導体材料を含む。半導体ウエハ10に含まれる半導体材料は何ら限定されず、本実施形態においては、たとえばSi単結晶である。半導体ウエハ10は、ウエハ主面10aおよびウエハ裏面10bを有する。
【0070】
ウエハ主面10aは、z方向の一方を向く。ウエハ主面10aは、平坦である。ウエハ主面10aは、z方向に直交する。本実施形態においては、ウエハ主面10aは、(100)面である。ウエハ主面10aは、配線基板A1の主面1aとなる面である。
【0071】
ウエハ裏面10bは、z方向の他方を向く。ウエハ裏面10bは、平坦である。ウエハ裏面10bは、z方向に直交する。本実施形態においてはウエハ裏面10bは、(100)面である。ウエハ裏面10bは、配線基板A1の裏面1bとなる面である。
【0072】
次に、半導体ウエハ10に、第1絶縁膜210および第2絶縁膜220を形成する。第1絶縁膜210および第2絶縁膜220の形成は、たとえばウエハ主面10aおよびウエハ裏面10bに、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)を用いてSiNを堆積させることにより行う。第1絶縁膜210および第2絶縁膜220の厚さは、たとえば、0.5μm以上2.0μm以下である。
【0073】
また、第1絶縁膜210には、エッチング等を用いて開口部211および開口部212を形成する。開口部211の位置は、基材1における第1貫通孔11(主面側第1部11a)が設けられる位置に対応している。開口部212の位置は、基材1における第2貫通孔12(主面側第2部12a)が設けられる位置に対応している。
【0074】
次に、
図6に示すように、主面側第1凹部を形成する工程を行う。本実施形態においては、主面側第1凹部を形成する工程は、主面側第2凹部を形成する工程を含む。第1絶縁膜210および第2絶縁膜220が形成された半導体ウエハ10に対して、たとえばKOHを用いた異方性エッチングを行う。KOHは、Si単結晶に対して良好な異方性エッチングを実現しうるアルカリエッチング溶液の一例である。これにより、半導体ウエハ10には、主面側第1凹部110aおよび主面側第2凹部120aが形成される。
【0075】
主面側第1凹部110aは、z方向と直角である断面の大きさが、ウエハ主面10aからウエハ裏面10bに向かうほど小さい。本実施形態においては、主面側第1凹部110aのz方向と直角である断面の形状は、矩形状である。KOHを用いた異方性エッチングを行った場合、主面側第1凹部110aの内面とxy平面とがなす角度α1aは、たとえば54.7°である。
【0076】
主面側第2凹部120aは、z方向と直角である断面の大きさが、ウエハ主面10aからウエハ裏面10bに向かうほど小さい。本実施形態においては、主面側第2凹部120aのz方向と直角である断面の形状は、矩形状である。KOHを用いた異方性エッチングを行った場合、主面側第2凹部120aの内面とxy平面とがなす角度α2aは、たとえば54.7°である。
【0077】
次に、主面側絶縁膜を形成する工程を行う。本実施形態においては、
図7に示すように、第3絶縁膜230を形成する工程が、主面側絶縁膜を形成する工程に相当する。すなわち、第3絶縁膜230は、本開示の主面側絶縁膜の一例である。第3絶縁膜230の形成は、たとえば半導体ウエハ10のウエハ主面10a側からプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)を用いてSiO
2を堆積させることにより行う。第3絶縁膜230の厚さは、たとえば0.5μm以上1.0μm以下である。
【0078】
第3絶縁膜230によって、主面被覆部2aと主面側第1凹部110aおよび裏面側第1凹部110bが覆われる。第3絶縁膜230のうち主面側第1凹部110aを覆う部分が、上述した第1貫通孔主面側被覆部21aとなる。第3絶縁膜230のうち主面側第2凹部120aを覆う部分が、上述した第2貫通孔主面側被覆部22aとなる。また、第1絶縁膜210および第3絶縁膜230が積層された構成の主面被覆部2aが構成される。
【0079】
次に、
図8に示すように、第2絶縁膜220にエッチング等を用いて開口部221および開口部222を形成する。開口部221の位置は、基材1における第1貫通孔11(裏面側第1部11b)が設けられる位置に対応している。開口部222の位置は、基材1における第2貫通孔12(裏面側第2部12b)が設けられる位置に対応している。
【0080】
次に、
図9に示すように、第1貫通孔11を形成する工程を行う。本実施形態においては、第1貫通孔11を形成する工程は、第2貫通孔12を形成する工程を含む。第2絶縁膜220および第3絶縁膜230が形成された半導体ウエハ10に対して、たとえばKOHを用いた異方性エッチングを行う。これにより、半導体ウエハ10には、裏面側第1凹部110bおよび裏面側第2凹部120bが形成される。
【0081】
裏面側第1凹部110bは、z方向と直角である断面の大きさが、ウエハ裏面10bからウエハ主面10aに向かうほど小さい。本実施形態においては、裏面側第1凹部110bのz方向と直角である断面の形状は、矩形状である。KOHを用いた異方性エッチングを行った場合、裏面側第1凹部110bの内面とxy平面とがなす角度α1bは、たとえば54.7°である。
【0082】
裏面側第1凹部110bを形成するエッチングにより、主面側第1凹部110aと裏面側第1凹部110bとが繋がり、ウエハ主面10aをz方向に貫通する第1貫通孔11が形成される。第1貫通孔主面側被覆部21aは、当該エッチングの後も残存する。このため、第1貫通孔11は、第1貫通孔主面側被覆部21aによって塞がれている。
【0083】
裏面側第2凹部120bは、z方向と直角である断面の大きさが、ウエハ裏面10bからウエハ主面10aに向かうほど小さい。本実施形態においては、裏面側第2凹部120bのz方向と直角である断面の形状は、矩形状である。KOHを用いた異方性エッチングを行った場合、裏面側第2凹部120bの内面とxy平面とがなす角度α2bは、たとえば54.7°である。
【0084】
裏面側第2凹部120bを形成するエッチングにより、主面側第2凹部120aと裏面側第2凹部120bとが繋がり、ウエハ主面10aをz方向に貫通する第2貫通孔12が形成される。第2貫通孔主面側被覆部22aは、当該エッチングの後も残存する。このため、第2貫通孔12は、第2貫通孔主面側被覆部22aによって塞がれている。
【0085】
次に、裏面側絶縁膜を形成する工程を行う。本実施形態においては、
図10に示すように、第4絶縁膜240を形成する工程が、裏面側絶縁膜を形成する工程に相当する。すなわち、第4絶縁膜240は、本開示の裏面側絶縁膜の一例である。第4絶縁膜240の形成は、たとえば半導体ウエハ10のウエハ裏面10b側からプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)を用いてSiO
2を堆積させることにより行う。第4絶縁膜240厚さは、たとえば0.5μm以上1.0μm以下である。
【0086】
第4絶縁膜240によって、裏面被覆部2bと主面側第1凹部110aおよび裏面側第1凹部110bと第1貫通孔主面側被覆部21aおよび第2貫通孔主面側被覆部22aの一部ずつとが覆われる。第4絶縁膜240のうち裏面側第1部11bを覆う部分が、上述の第1貫通孔裏面側被覆部21bとなる。第4絶縁膜240のうち裏面側第2部12bを覆う部分が、上述の第2貫通孔裏面側被覆部22bとなる。また、第2絶縁膜220および第4絶縁膜240が積層された構成の裏面被覆部2bが構成される。
【0087】
次に、
図11に示すように、第1導電膜310を形成する工程を行う。半導体ウエハ10に対してウエハ主面10a側から、たとえばスパッタリングまたはCVD(Chemical Vapor Deposition)によりAlを堆積させる。これにより、第3絶縁膜230を覆う第1導電膜310が形成される。第1導電膜310の厚さは、たとえば0.5μm以上2.0μm以下である。第1導電膜310のうち第1貫通孔主面側被覆部21aを覆う部分は、上述の第1貫通孔主面側導通部33aとなる。また、第1導電膜310のうち第2貫通孔主面側被覆部22aを覆う部分は、上述の第2貫通孔主面側導通部34aとなる。
【0088】
次に、第1導電膜310に対してエッチング等を用いたパターニングを行う。これにより、第1導電膜310が分割され、
図12に示す主面第1部31aおよび主面第2部32aが形成される。第1導電膜310のうち第1貫通孔主面側被覆部21aを覆う部分が、上述の第1貫通孔主面側導通部33aとなる。また、第1導電膜310のうち第2貫通孔主面側被覆部22aを覆う部分が、上述の第2貫通孔主面側導通部34aとなる。
【0089】
次に、絶縁膜第1貫通孔を形成する工程を行う。本実施形態においては、絶縁膜第1貫通孔を形成する工程は、絶縁膜第2貫通孔を形成する工程を含む。まず、
図13に示すように、マスク層91を形成する。マスク層91は、半導体ウエハ10をウエハ裏面10b側から覆うように形成され、第4絶縁膜240を覆う。
【0090】
マスク層91には、開口911および開口912が設けられている。開口911は、第1貫通孔11内において第1貫通孔主面側被覆部21aと第2貫通孔主面側被覆部22aとが積層された部分を露出させている。開口912は、第2貫通孔12内において第2貫通孔主面側被覆部22aと第2貫通孔裏面側被覆部22bとが積層された部分を露出させている。
【0091】
次いで、マスク層91をマスクとして、第4絶縁膜240および第3絶縁膜230にエッチングを施す。これにより、
図14に示すように、第1貫通孔裏面側被覆部21bおよび第1貫通孔主面側被覆部21aを貫通する絶縁膜第1貫通孔215が形成される。また、第2貫通孔裏面側被覆部22bおよび第2貫通孔主面側被覆部22aを貫通する絶縁膜第2貫通孔225が形成される。
【0092】
第1貫通孔主面側被覆部21aおよび第1貫通孔裏面側被覆部21bを含み且つ絶縁膜第1貫通孔215を有する第1貫通孔被覆部21が得られる。第2貫通孔主面側被覆部22aおよび第2貫通孔裏面側被覆部22bを含み且つ絶縁膜第2貫通孔225を有する第2貫通孔被覆部22が得られる。絶縁膜第1貫通孔215からは、第1貫通孔主面側導通部33aが露出している。絶縁膜第2貫通孔225からは、第2貫通孔主面側導通部34aが露出している。絶縁膜第1貫通孔215および絶縁膜第2貫通孔225を形成した後は、
図15に示すように、マスク層91を除去する。
【0093】
次に、
図16に示すように、第2導電膜320を形成する工程を行う。半導体ウエハ10に対してウエハ裏面10b側から、たとえばスパッタリングまたはCVD(Chemical Vapor Deposition)によりAlを堆積させる。これにより、第4絶縁膜240を覆い且つ絶縁膜第1貫通孔215および絶縁膜第2貫通孔225を埋める第2導電膜320が形成される。第2導電膜320の厚さは、たとえば0.5μm以上2.0μm以下である。
【0094】
第2導電膜320のうち第1貫通孔裏面側被覆部21bを覆う部分は、上述の第1貫通孔裏面側導通部33bとなる。第1貫通孔裏面側導通部33bは、絶縁膜第1貫通孔215を通じて第1貫通孔主面側導通部33aに接している。これにより、上述の第1貫通孔主面側導通部33aおよび第1貫通孔裏面側導通部33bからなる第1貫通孔導通部33が形成される。
【0095】
また、第2導電膜320のうち第2貫通孔裏面側被覆部22bを覆う部分は、上述の第2貫通孔裏面側導通部34bとなる。第2貫通孔裏面側導通部34bは、絶縁膜第2貫通孔225を通じて第2貫通孔主面側導通部34aに接している。これにより、上述の第2貫通孔主面側導通部34aおよび第2貫通孔裏面側導通部34bからなる第2貫通孔導通部34が形成される。
【0096】
次に、第2導電膜320に対してエッチング等を用いたパターニングを行う。これにより、第2導電膜320が分割され、
図17に示す裏面第1部31bおよび裏面第2部32bが形成される。
【0097】
この後は、の電子部品5の実装、ワイヤ59のボンディング、および封止部材7の取り付けを行った後に、半導体ウエハ10を個片に分割するように切断する。これにより、半導体ウエハ10の個片によって配線基板A1が構成される。また、配線基板A1、電子部品5および封止部材7を備える電子装置B1が得られる。
【0098】
次に、配線基板A1、電子装置B1および配線基板A1の製造方法の作用について説明する。
【0099】
本実施形態によれば、
図6および
図9に示すように、第1貫通孔11および第2貫通孔12をエッチングによって一括して形成することが可能である。このため、たとえばレーザによって第1貫通孔11および第2貫通孔12を個別に形成する場合と比べて、形成時間を短縮することが可能である。したがって、配線基板A1の製造効率を高めることができる。
【0100】
第1貫通孔11の主面側第1部11aの内面は、xy平面に対して角度α1aだけ傾いており、裏面側第1部11bの内面は、xy平面に対して角度α1bだけ傾いている。これにより、
図11に示す第1導電膜310の形成および
図16に示す第2導電膜320の形成において、主面側第1部11aおよび裏面側第1部11bを第1導電膜310および第2導電膜320によってより確実に覆うことができる。この点は、主面側第2部12aおよび裏面側第2部12bについても同様である。
【0101】
主面側第1部11aは、主面1a側に設けられており、裏面側第1部11bは、裏面1b側に設けられている。たとえば、主面1a側から形成した主面側第1部11aのみによって基材1を貫通する場合、主面側第1部11aの開口面積が過度に大きくなってしまう。本実施形態によれば、第1貫通孔11の主面1aおよび裏面1bにおける開口面積を縮小することが可能であり、配線基板A1および電子装置B1の小型化に好ましい。この点は、第2貫通孔12についても同様である。
【0102】
図18~
図30は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0103】
<第1実施形態 第1変形例>
図18は、電子装置B1の第1変形例を示している。本変形例の電子装置B11は、封止部材7の構成が上述した配線基板A1の封止部材7と異なっている。
【0104】
本変形例の封止部材7は、透光部73を含む。透光部73は、基材1の主面1aに支持されており、電子部品5およびワイヤ59を覆っている。封止部材7は、電子部品5からの光を透過させる材質からなる。なお、電子部品5が発光機能を果たさない構成である場合、封止部材7は、不透明な材質からなる構成であってもよい。
【0105】
本変形例によっても、配線基板A1の製造効率を高めることができる。また、本変形例から理解されるように、配線基板A1が用いられる電子装置B1の具体的な構成は、種々に変更可能である。
【0106】
<第2実施形態>
図19~
図28は、本開示の第2実施形態に係る配線基板、電子装置および配線基板の製造方法を示している。
図19に示すように、本実施形態の電子装置B2は、配線基板A2、電子部品5、ワイヤ59および封止部材7を備えている。本実施形態の配線基板A2は、基材1、絶縁層2および配線部3を備える。
【0107】
図19は、電子装置B2を示す断面図である。
図20は、配線基板A2の製造方法を示すフロー図である。
図21~
図28は、配線基板A2の製造方法を示す要部断面図である。
【0108】
本実施形態の第1貫通孔主面側被覆部21aと第1貫通孔裏面側被覆部21bとは、同一の絶縁性部材によって一体的に形成されている。第1貫通孔被覆部21は、たとえば熱酸化処理によって形成されたSiO2からなる。第1貫通孔被覆部21の厚さは、たとえば0.5μm以上2.0μm以下である。
【0109】
本実施形態の第2貫通孔主面側被覆部22aと第2貫通孔裏面側被覆部22bとは、同一の絶縁性部材によって一体的に形成されている。第2貫通孔被覆部22は、たとえば熱酸化処理によって形成されたSiO2からなる。第2貫通孔被覆部22の厚さは、たとえば0.5μm以上2.0μm以下である。
【0110】
主面被覆部2aおよび裏面被覆部2bは、いずれも単層の絶縁膜からなる。主面被覆部2aおよび裏面被覆部2bは、たとえば上述の第1絶縁膜210および第2絶縁膜220と同様に、CVD(Chemical Vapor Deposition)等によって形成されたSiNからなり、厚さはたとえば0.5μm以上2.0μm以下である。
【0111】
配線部3は、金属を含む層からなり、たとえば導電性ペーストを印刷した後に、当該導電性ペーストを焼成することによって形成されている。配線部3に含まれる金属としては、Cu,Au,Ag等が挙げられ、本実施形態においては、Cuが用いられている。配線部3の厚さは、たとえば2.0μm以上7.0μm以下である。なお、図示された例の第1貫通孔導通部33および第2貫通孔導通部34は、第1貫通孔11および第2貫通孔12を塞いでいるが、主面1a側と裏面1b側とを通じさせる貫通孔を有する構成であってもよい。
【0112】
次に、配線基板A2および電子装置B2の製造方法について、
図4~
図17を参照しつつ、以下に説明する。
【0113】
図20に示すように、配線基板A2の製造方法は、半導体ウエハを準備する工程、第1貫通孔を形成する工程、貫通孔絶縁膜を形成する工程、第1導電性ペーストを印刷する工程、第1導電膜を形成する工程、第2導電性ペーストを印刷する工程および第2導電膜を形成する工程、を備える。
【0114】
まず、
図21に示すように、半導体ウエハ10を用意する工程を行う。次いで、半導体ウエハ10に第1絶縁膜210および第2絶縁膜220を形成する。半導体ウエハ10と第1絶縁膜210および第2絶縁膜220との材質は、上述した第1実施形態と同様である。第1絶縁膜210には、開口部211および開口部212を形成する。第2絶縁膜220には、開口部221および開口部222を形成する。開口部211および開口部212の構成と、開口部221および開口部222の構成とは、上述した第1実施形態と同様である。
【0115】
次いで、
図22に示すように、第1貫通孔11を形成する工程を行う。本実施形態の第1貫通孔11を形成する工程は、第2貫通孔12を形成する工程を含む。第1絶縁膜210および第2絶縁膜220が形成された半導体ウエハ10に対して、たとえばKOHを用いた異方性エッチングを行う。これにより、半導体ウエハ10に第1貫通孔11および第2貫通孔12を形成する。第1貫通孔11は、上述の主面側第1部11aおよび裏面側第1部11bを有する構成となる。第2貫通孔12は、上述の主面側第2部12aおよび裏面側第2部12bを有する構成となる。
【0116】
次いで、
図23に示すように、貫通孔絶縁膜を形成する工程を行う。本実施形態においては、第1貫通孔11および第2貫通孔12を形成した半導体ウエハ10に、熱酸化処理を施す。これにより、第1貫通孔11および第2貫通孔12の内面が熱参加され、SiO
2からなる貫通孔絶縁膜が形成される。このような処理によって形成された貫通孔絶縁膜の厚さは、たとえば0.5μm以上1.0μm以下である。第1貫通孔11を覆う貫通孔絶縁膜は、第1貫通孔被覆部21となる。第2貫通孔12を覆う貫通孔絶縁膜は、第2貫通孔被覆部22となる。第1貫通孔被覆部21は、第1貫通孔主面側被覆部21aおよび第1貫通孔裏面側被覆部21bを含む。第2貫通孔被覆部22は、第2貫通孔主面側被覆部22aおよび第2貫通孔裏面側被覆部22bを含む。第1貫通孔被覆部21および第2貫通孔被覆部22は、第1貫通孔11および第1貫通孔被覆部21をz方向に塞いでおらず、ウエハ主面10a側とウエハ裏面10b側とを通じさせている。
【0117】
次いで、
図24に示すように、第1導電性ペースト340を印刷する工程を行う。第1導電性ペースト340の印刷は、たとえばスクリーン印刷によって行う。半導体ウエハ10のウエハ主面10a側にスクリーンScを配置する。スクリーンScは、マスク部Sc1がマスクとして塞がれた部分であり、その余の部分は、第1導電性ペースト340を通過させる部分である。なお、半導体ウエハ10は、ウエハ裏面10b側から支持部材99によって支持されることが好ましい。支持部材99は、何ら限定されず、ウエハ、板状部材、あるいはテープ等であってもよい。
【0118】
スクリーンScに所定量の第1導電性ペースト340を載置し、スキージSqによってスクリーンSc上に押し広げる。これにより、半導体ウエハ10上の主面被覆部2a、第1貫通孔被覆部21(第1貫通孔主面側被覆部21a)および第2貫通孔被覆部22(第2貫通孔主面側被覆部22a)に、第1導電性ペースト340が塗布される。
【0119】
スクリーン印刷に用いられる第1導電性ペースト340は、適度な粘性を有する。このため、第1導電性ペースト340は、第1貫通孔主面側被覆部21aの開口部分と、第2貫通孔主面側被覆部22aの開口部分とを塞ぎうる。なお、図示された例とは異なり、第1導電性ペースト340が、第1貫通孔主面側被覆部21aの開口部分と、第2貫通孔主面側被覆部22aの開口部分とを塞がない構成であってもよい。支持部材99は、z方向の下方に第1導電性ペースト340が漏れた場合に、この第1導電性ペースト340を受け止める機能を果たす。
【0120】
次に、第1導電膜を形成する工程を行う。半導体ウエハ10に印刷された第1導電性ペースト340を所定温度に加熱し焼成する。これにより、
図25に示すように、第1導電膜が得られる。第1導電膜のうち第1貫通孔11を取り囲む部分が、主面第1部31aとなり、第2貫通孔12を取り囲む部分が、主面第2部32aとなる。また、第1導電膜のうち第1貫通孔主面側被覆部21aを覆う部分が第1貫通孔主面側導通部33aとなり、第2貫通孔主面側被覆部22aを覆う部分が第2貫通孔主面側導通部34aとなる。
【0121】
次に、
図26に示すように、半導体ウエハ10をz方向において上下を反転させる。これは、この後のスクリーン印刷の便宜である。印刷手法によって半導体ウエハ10の反転が不要である場合、半導体ウエハ10を反転させなくてもよい。
【0122】
次に、
図27に示すように、第2導電性ペースト350を印刷する工程を行う。第2導電性ペースト350の印刷は、たとえばスクリーン印刷によって行う。半導体ウエハ10のウエハ裏面10b側にスクリーンScを配置する。スクリーンScは、マスク部Sc2がマスクとして塞がれた部分であり、その余の部分は、第2導電性ペースト350を通過させる部分である。
【0123】
スクリーンScに所定量の第2導電性ペースト350を載置し、スキージSqによってスクリーンSc上に押し広げる。これにより、半導体ウエハ10上の裏面被覆部2b、第1貫通孔被覆部21(第1貫通孔裏面側被覆部21b)および第2貫通孔被覆部22(第2貫通孔裏面側被覆部22b)に、第2導電性ペースト350が塗布される。この際、第1貫通孔11内において、第2導電性ペースト350を第1貫通孔主面側導通部33aに接触させるように印刷する。また、第2貫通孔12内において、第2導電性ペースト350を第2貫通孔主面側導通部34aに接触させるように印刷する。
【0124】
スクリーン印刷に用いられる第2導電性ペースト350は、適度な粘性を有する。このため、第2導電性ペースト350は、第1貫通孔裏面側被覆部21bの開口部分と、第2貫通孔裏面側被覆部22bの開口部分とを塞ぎうる。なお、図示された例とは異なり、第2導電性ペースト350が、第1貫通孔裏面側被覆部21bの開口部分と、第2貫通孔裏面側被覆部22bの開口部分とを塞がない構成であってもよい。
【0125】
次に、第2導電膜を形成する工程を行う。半導体ウエハ10に印刷された第2導電性ペースト350を所定温度に加熱し焼成する。これにより、
図28に示すように、第2導電膜が得られる。第2導電膜のうち第1貫通孔11を取り囲む部分が、裏面第1部31bとなり、第2貫通孔12を取り囲む部分が、裏面第2部32bとなる。また、第2導電膜のうち第1貫通孔裏面側被覆部21bを覆う部分が第1貫通孔裏面側導通部33bとなり、第2貫通孔裏面側被覆部22bを覆う部分が第2貫通孔裏面側導通部34bとなる。第1貫通孔主面側導通部33aおよび第1貫通孔裏面側導通部33bによって第1貫通孔導通部33が構成され、第2貫通孔主面側導通部34aおよび第2貫通孔裏面側導通部34bによって第2貫通孔導通部34が構成される。
【0126】
この後は、上述の配線基板A1および電子装置B1の製造方法と同様の工程を経ることにより、配線基板A2および電子装置B2が得られる。
【0127】
本実施形態によっても、配線基板A2の製造効率を高めることができる。また、
図24および
図27に示すように、第1導電性ペースト340および第2導電性ペースト350を印刷する構成を採用することにより、配線部3を適切に形成することができる。また、
図24に示すように、第1貫通孔11および第2貫通孔12が第1貫通孔被覆部21および第2貫通孔被覆部22によって塞がれていない状態で、第1導電性ペースト340の印刷を行い、第1導電膜を形成することが可能である。これは、配線基板A2の製造効率を高めるのに好ましい。
【0128】
図22に示すように、主面側第1部11aおよび裏面側第1部11bと主面側第2部12aおよび裏面側第2部12bとを、同一のエッチング処理によって一括して形成した後に、
図23に示すように、熱酸化処理によって第1貫通孔被覆部21および第2貫通孔被覆部22を一括して形成可能である。これは、配線基板A2の製造効率を高めるのにさらに好ましい。
【0129】
<第2実施形態 第1変形例>
図29は、配線基板A2の第1変形例を示している。本変形例の電子装置B21は、配線基板A21を備えている。本変形例の配線基板A21は、第1貫通孔導通部33および第2貫通孔導通部34の構成が、上述した配線基板A2の第1貫通孔導通部33および第2貫通孔導通部34と異なっている。
【0130】
本変形例の第1貫通孔導通部33は、第1貫通孔11の内部空間の全体に埋められた構成となっている。また、第2貫通孔導通部34は、第2貫通孔12の内部空間の全体に埋められた構成となっている。
【0131】
図30は、配線基板A21の製造方法における第1導電性ペースト340を印刷する工程を示している。第1導電性ペースト340の印刷において、第1導電性ペースト340が、第1貫通孔11(主面側第1部11a)の内部空間と第2貫通孔12(主面側第2部12a)の内部空間とを埋め尽くすように塗布されている。このような印刷形態は、第1導電性ペースト340の粘性やスクリーンScの具体的構成、スキージSqの取り扱い等によって生じうる。同様に、第2導電性ペースト350を印刷する工程において、第2導電性ペースト350が第1貫通孔11(裏面側第1部11b)の内部空間と第2貫通孔12(裏面側第2部12b)の内部空間とを埋め尽くすように塗布されている。
【0132】
本変形例によっても、配線基板A21の製造効率を高めることができる。また、本変形例から理解されるように、第1貫通孔導通部33および第2貫通孔導通部34の具体的構成は、第1導電性ペースト340および第2導電性ペースト350を印刷する工程の諸条件によって適宜変更されうる。
【0133】
本発明に係る配線基板、電子装置および配線基板の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る配線基板、電子装置および配線基板の製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0134】
〔付記1〕
厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有し且つ半導体材料を含む基材と、
配線部と、
前記基材および前記配線部の間に介在する絶縁層と、を備え、
前記基材は、前記厚さ方向に貫通する第1貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は、前記主面に繋がる主面側第1部と、前記裏面に繋がる裏面側第1部と、を含み、
前記主面側第1部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記主面から前記裏面に向かうほど小さく、
前記裏面側第1部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記裏面から前記主面に向かうほど小さく、
前記配線部は、前記主面に配置された主面第1部、前記裏面に配置された裏面第1部、および前記第1貫通孔に配置され且つ前記主面第1部および前記裏面第1部に繋がる第1貫通孔導通部を含む、配線基板。
〔付記2〕
前記絶縁層は、前記主面を覆う主面被覆部、前記裏面を覆う裏面被覆部、および前記第1貫通孔を覆う第1貫通孔被覆部、を含む、
付記1に記載の配線基板。
〔付記3〕
前記第1貫通孔被覆部は、前記主面側第1部を覆う第1貫通孔主面側被覆部と、前記裏面側第1部を覆う第1貫通孔裏面側被覆部と、を含む、
付記2に記載の配線基板。
〔付記4〕
前記第1貫通孔主面側被覆部と前記第1貫通孔裏面側被覆部とは、互いに別体の絶縁性部材からなる、
付記3に記載の配線基板。
〔付記5〕
前記第1貫通孔主面側被覆部と前記第1貫通孔裏面側被覆部とは、同一の絶縁性部材によって一体的に形成されている、
付記3に記載の配線基板。
〔付記6〕
前記第1貫通孔導通部は、前記第1貫通孔主面側被覆部に配置された第1貫通孔主面側導通部と、前記第1貫通孔裏面側被覆部に配置された第1貫通孔裏面側導通部と、を含む、
付記3ないし5のいずれかに記載の配線基板。
〔付記7〕
前記基材は、前記厚さ方向に貫通し、且つ前記第1貫通孔から離れた第2貫通孔を有し、
前記第2貫通孔は、前記主面に繋がる主面側第2部と、前記裏面に繋がる裏面側第2部と、を含み、
前記主面側第2部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記主面から前記裏面に向かうほど小さく、
前記裏面側第2部は、前記厚さ方向と直角である断面の大きさが、前記裏面から前記主面に向かうほど小さく、
前記配線部は、前記主面に配置され且つ前記主面第1部から離れた主面第2部、前記裏面に配置され且つ前記裏面第1部から離れた裏面第2部、および前記第2貫通孔に配置され且つ前記主面第2部および前記裏面第2部に繋がる第2貫通孔導通部を含む、
付記2ないし6のいずれかに記載の配線基板。
〔付記8〕
前記絶縁層は、前記第2貫通孔を覆う第2貫通孔被覆部、を含む、
付記7に記載の配線基板。
〔付記9〕
前記第2貫通孔被覆部は、前記主面側第2部を覆う第2貫通孔主面側被覆部と、前記裏面側第2部を覆う第2貫通孔裏面側被覆部と、を含む、
付記8に記載の配線基板。
〔付記10〕
前記第2貫通孔主面側被覆部と前記第2貫通孔裏面側被覆部とは、互いに別体の絶縁性部材からなる、
付記9に記載の配線基板。
〔付記11〕
前記第2貫通孔主面側被覆部と前記第2貫通孔裏面側被覆部とは、同一の絶縁性部材によって一体的に形成されている、
付記9に記載の配線基板。
〔付記12〕
前記第2貫通孔導通部は、前記第2貫通孔主面側被覆部に配置された第2貫通孔主面側導通部と、前記第2貫通孔裏面側被覆部に配置された第2貫通孔裏面側導通部と、を含む、
付記9ないし11のいずれかに記載の配線基板。
〔付記13〕
前記半導体材料は、Si単結晶である、
付記1ないし付記12のいずれかに記載の配線基板。
〔付記14〕
前記主面および前記裏面は、(100)面である、
付記13に記載の配線基板。
〔付記15〕
付記1ないし14のいずれかに記載された配線基板と、
前記主面第1部に実装された電子部品と、を備える、電子装置。
〔付記16〕
前記主面に支持された封止部材を備える、付記15に記載の電子装置。
〔付記17〕
前記電子部品は、VCSEL素子である、付記15または16に記載の電子装置。
〔付記18〕
厚さ方向において互いに反対側を向くウエハ主面およびウエハ裏面を有する半導体ウエハを準備する工程と、
異方性エッチングによって前記ウエハ主面から凹む主面側第1凹部を形成する工程と、
前記主面側第1凹部を覆う主面側絶縁膜を形成する工程と、
異方性エッチングによって前記ウエハ裏面から凹み且つ前記主面側第1凹部に到達する裏面側第1凹部を形成ことにより、前記ウエハ主面に繋がる主面側第1部および前記ウエハ裏面に繋がる裏面側第1部を含む第1貫通孔を形成する工程と、
前記裏面側第1部を覆い且つ前記主面側絶縁膜に接する裏面側絶縁膜を形成する工程と、
前記主面側絶縁膜を覆う第1導電膜を形成する工程と、
前記第1貫通孔内において、前記主面側絶縁膜および前記裏面側絶縁膜を前記厚さ方向に貫通する絶縁膜第1貫通孔を形成する工程と、
前記裏面側絶縁膜を覆い且つ前記絶縁膜第1貫通孔を通じて前記第1導電膜に接する第2導電膜を形成する工程と、
を備える、配線基板の製造方法。
〔付記19〕
前記第1導電膜および前記第2導電膜を、スパッタリングまたはCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成する、付記18に記載の配線基板の製造方法。
〔付記20〕
厚さ方向において互いに反対側を向くウエハ主面およびウエハ裏面を有する半導体ウエハを準備する工程と、
前記ウエハ主面および前記ウエハ裏面の双方から異方性エッチングを施すことにより、前記半導体ウエハを前記厚さ方向に貫通する第1貫通孔を形成する工程と、
前記第1貫通孔を覆う貫通孔絶縁膜を形成する工程と、
前記ウエハ主面側から、前記第1貫通孔を含む領域に第1導電性ペーストを印刷する工程と、
前記第1導電性ペーストを焼成することにより、第1導電膜を形成する工程と、
前記ウエハ裏面側から、前記第1貫通孔を含む領域に第2導電性ペーストを印刷する工程と、
前記第2導電性ペーストを焼成することにより、第2導電膜を形成する工程と、
を備える、配線基板の製造方法。
〔付記21〕
前記主面側絶縁膜を形成する工程においては、熱酸化処理を用いる、付記19に記載の配線基板の製造方法。
【符号の説明】
【0135】
A1,A2,A21:配線基板
B1,B11,B2,B21:電子装置
1 :基材
1a :主面
1b :裏面
2 :絶縁層
2a :主面被覆部
2b :裏面被覆部
3 :配線部
5 :電子部品
7 :封止部材
10 :半導体ウエハ
10a :ウエハ主面
10b :ウエハ裏面
11 :第1貫通孔
11a :主面側第1部
11b :裏面側第1部
12 :第2貫通孔
12a :主面側第2部
12b :裏面側第2部
21 :第1貫通孔被覆部
21a :第1貫通孔主面側被覆部
21b :第1貫通孔裏面側被覆部
22 :第2貫通孔被覆部
22a :第2貫通孔主面側被覆部
22b :第2貫通孔裏面側被覆部
31a :主面第1部
31b :裏面第1部
32a :主面第2部
32b :裏面第2部
33 :第1貫通孔導通部
33a :第1貫通孔主面側導通部
33b :第1貫通孔裏面側導通部
34 :第2貫通孔導通部
34a :第2貫通孔主面側導通部
34b :第2貫通孔裏面側導通部
59 :ワイヤ
71 :外壁部
72 :カバー部
73 :透光部
91 :マスク層
99 :支持部材
110a :主面側第1凹部
110b :裏面側第1凹部
120a :主面側第2凹部
120b :裏面側第2凹部
210 :第1絶縁膜
211,212:開口部
215 :絶縁膜第1貫通孔
220 :第2絶縁膜
221 :開口部
222 :開口部
225 :絶縁膜第2貫通孔
230 :第3絶縁膜
240 :第4絶縁膜
310 :第1導電膜
320 :第2導電膜
340 :第1導電性ペースト
350 :第2導電性ペースト
911,912:開口
Sc :スクリーン
Sc1,Sc2:マスク部
Sq :スキージ
α1a,α1b,α2a,α2b:角度