(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182251
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】半導体装置、および、半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089714
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 吾郎
(72)【発明者】
【氏名】中西 雅寿
(57)【要約】
【課題】製造工程が簡略化された半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置A10において、z方向において互いに反対側を向く基板主面211および基板裏面212を有する、絶縁性の基板21と、基板主面211に配置された接合材29と、接合材29を介して基板21に接合された導電体層22と、導電体層22に導通する複数の半導体素子11とを備えた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面を有する、絶縁性の基板と、
前記基板主面に配置された接合材と、
前記接合材を介して前記基板に接合された導電体層と、
前記導電体層に導通する複数の半導体素子と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記厚さ方向視において前記導電体層が前記基板に内包されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板は、Al2O3を含む、
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記接合材の前記厚さ方向の寸法は、5μm以上20μm以下である、
請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記接合材は、金属ペーストを含む、
請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記基板主面と前記接合材との間に介在する金属層をさらに備え、
前記接合材は、はんだを含む、
請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電体層の前記厚さ方向の寸法は、100μm以上2000μm以下である、
請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の半導体素子は、複数のスイッチング素子を含んでおり、
前記各スイッチング素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面と、前記素子主面に配置された第1電極および第2電極と、前記素子裏面に配置された第3電極と、を備えている、
請求項1ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記導電体層は、
前記各スイッチング素子の前記第1電極に導通する第1導電体層と、
前記各スイッチング素子の前記第2電極に導通する第2導電体層と、
前記各スイッチング素子の前記第3電極が導通接合されている第3導電体層と、
を含んでいる、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数のスイッチング素子は、前記厚さ方向に直交する第1方向に配列され、
前記第1導電体層、前記第2導電体層、および前記第3導電体層は、それぞれ、前記第1方向に沿って延びる部分を有する、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の半導体素子、前記接合材、および前記導電体層の全体と、前記基板の少なくとも一部とを覆う樹脂部材と、
前記導電体層に導通し、かつ、前記樹脂部材から露出する部分を含む複数の端子と、
をさらに備えている、
請求項9または10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の端子は、
前記第1導電体層に導通する第1端子と、
前記第2導電体層に導通する第2端子と、
前記第3導電体層に導通する第3端子と、
を含んでいる、
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の端子は、いずれも、前記導電体層に接合されている、
請求項11または12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記基板を収容する絶縁性のケースをさらに備え、
前記複数の端子のいずれかは、前記ケースに配置されている、
請求項11または12に記載の半導体装置。
【請求項15】
厚さ方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面を有する絶縁性の基板と、リードフレームと、を準備する工程と、
接合材を介して、前記基板に前記リードフレームを接合する工程と、
前記基板および前記リードフレームを切断する工程と、
前記リードフレームの切断により形成された導電体層に半導体素子を接合する工程と、
を備える、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、および、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を備えた半導体装置は、様々な構成が提案されている。特許文献1には、スイッチング機能を有する複数の半導体素子を搭載した半導体装置の一例が開示されている。当該半導体装置においては、セラミックスからなる基板の主面に導電体からなる搭載層および導電層などが配置され、複数のスイッチング素子が搭載層に電気的に接合されている。
【0003】
このような半導体装置において、基板に配置される導電体の層は、フォトリソグラフィによる配線パターンの形成が行われる。たとえば、導電体の層をめっきにより形成する場合、基板にスパッタリング法により下地層を形成し、フォトリソグラフィによりレジスト層を形成し、下地層を導電経路とした電解めっきによりめっき層を形成する。そして、レジスト層を除去し、めっき層に覆われていない不要な下地層をウェットエッチングにより除去する。また、基板に銅箔が直接接合されたDBC(Direct Bonding Copper)基板を用いる場合、DBC基板上にフォトリソグラフィによりレジスト層を形成し、ウェットエッチングにより不要な銅箔を除去する。これらの方法の場合、製造工程が複雑なので、製造に必要な時間が長く、また、製造コストが高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、製造工程が簡略化された半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提供される半導体装置は、厚さ方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面を有する、絶縁性の基板と、前記基板主面に配置された接合材と、前記接合材を介して前記基板に接合された導電体層と、前記導電体層に導通する複数の半導体素子とを備える。
【0007】
本開示にかかる半導体装置の製造方法は、厚さ方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面を有する絶縁性の基板と、リードフレームと、を準備する工程と、接合材を介して、前記基板に前記リードフレームを接合する工程と、前記基板および前記リードフレームを切断する工程と、前記リードフレームの切断により形成された導電体層に半導体素子を接合する工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる半導体装置は、製造工程が簡略化されている。
【0009】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す半導体装置の平面図であり、樹脂部材を透過した図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す半導体装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す半導体装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図1に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図1に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図1に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図12】
図12は、
図1に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図13】
図13は、
図1に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図14】
図14は、
図1に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態の第1変形例にかかる半導体装置を示す部分拡大断面図である。
【
図16】
図16は、
図15に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図17】
図17は、
図15に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図18】
図18は、
図15に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図19】
図19は、
図15に示す半導体装置の製造方法の一例にかかる工程を示す断面図である。
【
図20】
図20は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、
図20に示す半導体装置の平面図であり、天板および樹脂部材を取り除いた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1~
図7に基づき、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、複数の半導体素子11、複数の半導体素子12、支持部材2、複数の端子3、複数の接続部材41~45、および樹脂部材5を備えている。複数の端子3は、電力端子31,32、信号端子33、および検出端子34,35を含んでいる。
【0013】
図1は、半導体装置A10を示す斜視図である。
図2は、半導体装置A10の平面図である。
図2においては、理解の便宜上、樹脂部材5を透過して、樹脂部材5の外形を想像線(二点鎖線)で示している。
図3は、支持部材2を示す平面図である。
図4は、
図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図5は、
図2のV-V線に沿う断面図である。なお、
図4および
図5においては、複数の接続部材41~45を省略している。
図6は、
図4の一部を拡大した部分拡大図である。
図7は、半導体装置A10の回路構成の一例を示す回路図である。
【0014】
半導体装置A10の樹脂部材5に覆われた部分の厚さ方向視の形状は矩形状である。説明の便宜上、半導体装置A10の厚さ方向(平面視方向)をz方向とし、z方向に直交する半導体装置A10の電力端子31,32の突出する方向(
図2における左右方向)をx方向、z方向およびx方向に直交する方向(
図2における上下方向)をy方向とする。また、z方向の一方側(
図4および
図5における下側)をz1側とし、他方側(
図4および
図5における上側)をz2側とする。x方向の一方側(
図2における左側)をx1側とし、他方側(
図2における右側)をx2側とする。y方向の一方側(
図2における下側)をy1側とし、他方側(
図2における上側)をy2側とする。z方向が本開示の「厚さ方向」に相当し、x方向が本開示の「第1方向」に相当する。半導体装置A10の各寸法は特に限定されない。
【0015】
複数の半導体素子11は、半導体装置A10の電気的機能を発揮する要素である。各半導体素子11は、たとえばSi(シリコン)を主とする半導体材料を用いて構成されている。なお、当該半導体材料は、Siに限定されず、SiC(炭化ケイ素)、GaAs(ヒ化ガリウム)、GaN(窒化ガリウム)などであってもよい。各半導体素子11は、たとえばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などのスイッチング素子である。なお、各半導体素子11は、MOSFETに限定されず、MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor FET)を含む電界効果トランジスタ、あるいは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のようなバイポーラトランジスタなどであってもよい。複数の半導体素子11は、たとえば、各々がnチャネル型のMOSFETであって、いずれも同一素子である。なお、各半導体素子11は、pチャネル型のMOSFETであってもよい 。
【0016】
複数の半導体素子11は、
図2および
図5に示すように、x方向に等間隔で配列され、互いに並列に接続されている。本実施形態では、
図2に示すように、半導体装置A10は、5個の半導体素子11を備えている。なお、半導体素子11の個数は、これに限定されず、半導体装置A10に要求される性能に応じて自在に設定可能である。各半導体素子11は、支持部材2上に、導電性接合材110によって、接合されている。導電性接合材110は、たとえばはんだ、銀ペースト、または焼結金属などである。
【0017】
各半導体素子11は、素子主面11aおよび素子裏面11bを有している。素子主面11aおよび素子裏面11bは、z方向において互いに反対側を向いている。素子主面11aは、z方向z2側を向いている。素子裏面11bは、z方向z1側を向いている。素子裏面11bは、支持部材2に対向する。
【0018】
また、各半導体素子11は、第1電極111、第2電極112、および第3電極113を有している。第1電極111および第2電極112は、素子主面11aに配置されている。第1電極111は、平面視において、第2電極112よりも大きい。第3電極113は、素子裏面12bに配置されている。第3電極113は、素子裏面11bの略全面にわたっている。MOSFETである各半導体素子11において、第1電極111はソース電極であり、第2電極112はゲート電極であり、第3電極113はドレイン電極である。第3電極113は、導電性接合材110を介して、支持部材2の一部(後述の導電体層22の導電体層223)に導通接合されている。第3電極113は、導電性接合材110に接する。
【0019】
複数の半導体素子12は、たとえば、ショットキーバリアダイオードなどのダイオードである。各半導体素子12は、
図7に示すように、各半導体素子11に対して、逆並列に接続されている。
【0020】
各半導体素子12は、支持部材2上に、導電性接合材120によって、接合されている。導電性接合材120は、たとえばはんだ、銀ペースト、または焼結金属などである。半導体素子12の個数は、半導体素子11の個数に対応している。なお、半導体装置A10は、各半導体素子12を備えなくてもよい。
【0021】
各半導体素子12は、素子主面12aおよび素子裏面12bを有している。素子主面12aおよび素子裏面12bは、z方向において互いに反対側を向いている。素子主面12aは、z方向z2側を向いている。素子裏面12bは、z方向z1側を向いている。素子裏面12bは、支持部材2に対向する。
【0022】
各半導体素子12は、アノード電極121およびカソード電極122を有している。アノード電極121は、素子主面12aに配置されている。カソード電極122は、素子裏面12bに配置されている。カソード電極122は、導電性接合材120を介して、支持部材2の一部(後述の導電体層22の導電体層223)に導通する。カソード電極122は、導電性接合材120に接する。
【0023】
支持部材2は、それぞれ複数の半導体素子11,12を支持する部材であるとともに、各半導体素子11と複数の端子3との導通経路をなす。支持部材2は、絶縁基板21、導電体層22、裏面金属層23、および接合材29を含んでいる。
【0024】
絶縁基板21は、たとえば平板状であり、電気絶縁性を有する。絶縁基板21の構成材料は、たとえば熱伝導性に優れたセラミックスであり、本実施形態では、Al2O3(酸化アルミニウム)である。なお、絶縁基板21の構成材料は、限定されず、たとえばAlN(窒化アルミニウム)、SiN(窒化ケイ素)などの他のセラミックスであってもよい。また、絶縁基板21の構成材料は、セラミックスに限定されず、Siであってもよいし、合成樹脂であってもよい。絶縁基板21の構成材料は、絶縁性を有し、半導体素子11が発する熱に耐えられるものであればよい。
【0025】
絶縁基板21は、主面211および裏面212を有する。主面211および裏面212は、z方向において互いに反対側を向いている。主面211は、z方向z2側を向いている。裏面212は、z方向z1側を向いている。
【0026】
導電体層22は、絶縁基板21の主面211に配置されている。導電体層22は、金属からなり、好ましくはCuおよびNiのいずれか、またはこれらの合金や42アロイなどからなる。導電体層22は、z方向視において絶縁基板21からはみ出しておらず、z方向視において絶縁基板21に内包されている。また、導電体層22は、全体が樹脂部材5に覆われており、樹脂部材5から露出しない。
【0027】
導電体層22は、金属板にたとえば打ち抜き加工を施したリードフレームを、接合材29を介して絶縁基板21の主面211に接合することで形成される。つまり、接合材29は、絶縁基板21と導電体層22との間に介在しており、導電体層22は、絶縁基板21の主面211に配置された接合材29によって、絶縁基板21に接合されている。接合材29は、銀ペーストなどの金属ペーストからなる。なお、接合材29は、金属ペーストに限定されず、たとえば焼結金属またははんだなどの導電性接合材であってもよい。また、接合材29は、樹脂ペーストなどの絶縁性接合材であってもよい。接合材29の厚さ寸法(z方向の寸法)は、特に限定されないが、スパッタリングまたは無電解めっきにより形成された層と比較すると大きく、5μm以上20μm以下程度である。また、導電体層22の厚さ寸法(z方向の寸法)は、特に限定されないが、導電体層22がリードフレームから形成されるので、電解めっきにより形成された層と比較すると大きく、100μm以上2000μm以下程度である。なお、リードフレームは、金属板にエッチング処理を施すことにより形成されてもよい。
【0028】
導電体層22は、導電体層221~225を含んでいる。
図2および
図3に示すように、導電体層221~225は、互いに離間して配置されている。
【0029】
導電体層221は、帯状部221aおよび端子接合部221bを含む。帯状部221aは、x方向に沿って延びており、複数の接続部材41および接続部材42がそれぞれ接合されている。端子接合部221bは、帯状部221aのx方向x2側の端部につながっており、電力端子32の一部(後述のパッド部321)が接合されている。
【0030】
導電体層222は、帯状部222aおよび端子接合部222bを含む。帯状部222aは、x方向に沿って延びており、複数の接続部材43がそれぞれ接合されている。端子接合部222bは、帯状部222aのx方向x1側の端部につながっており、信号端子33の一部(後述のパッド部331)が接合されている。
【0031】
導電体層223は、帯状部223aおよび端子接合部223bを含む。帯状部223aは、x方向に沿って延びており、複数の半導体素子11,12がそれぞれ接合されている。帯状部223aに接合された複数の半導体素子11は、帯状部223aが延びる方向(x方向)に並んでいる。端子接合部223bは、帯状部223aのx方向x1側の端部につながっており、電力端子31の一部(後述のパッド部311)が接合されている。導電体層223は、
図4および
図5に示すように、各導電性接合材110を介して、各半導体素子11の第3電極113(ドレイン電極)に導通するとともに、各導電性接合材120を介して、各半導体素子12のカソード電極122に導通する。つまり、各半導体素子11の第3電極113と各半導体素子12のカソード電極122とは、導電体層223を介して、導通する。
【0032】
導電体層224は、帯状部224aおよび端子接合部224bを含む。帯状部224aは、x方向に沿って延びており、複数の接続部材44がそれぞれ接合されている。端子接合部224bは、帯状部224aのx方向x1側の端部につながっており、検出端子35の一部(後述のパッド部351)が接合されている。
【0033】
導電体層225は、接続部材接合部225aおよび端子接合部225bを含む。接続部材接合部225aは、接続部材42が接合されている。端子接合部225bは、接続部材接合部225aのy方向y1側の端部につながっており、検出端子34の一部(後述のパッド部341)が接合されている。
【0034】
導電体層22において、複数の帯状部221a,222a,223a,224aは、y方向に並んでおり、y方向視において互いに重なる。複数の帯状部221a,222a,223a,224aのy方向における並びは、特に限定されない。本実施形態では、
図2および
図3に示すように、y方向y1側からy方向y2側に向かって、帯状部224a、帯状部222a、帯状部221a、帯状部223aの順に並んでいる。よって、帯状部221aは、y方向において、帯状部222aと帯状部223aとの間に配置されており、帯状部222aは、y方向において、帯状部221aと帯状部224aとの間に配置されている。また、帯状部223aは、y方向において、帯状部221aを挟んで、帯状部222aの反対側に配置されている。
【0035】
帯状部221aは、y方向y1側に突出し、絶縁基板21のy方向y1側の端面まで延びる突出部を備えている。端子接合部221bは、x方向x2側に突出し、絶縁基板21のx方向x2側の端面まで延びる2個の突出部を備えている。帯状部222aは、y方向y1側に突出し、絶縁基板21のy方向y1側の端面まで延びる突出部を備えている。端子接合部222bは、y方向y1側に突出し、絶縁基板21のy方向y1側の端面まで延びる突出部(端子接合部222bが絶縁基板21のy方向y1側の端面まで延びているともいえる)を備えている。帯状部223aは、y方向y2側に突出し、絶縁基板21のy方向y2側の端面まで延びる突出部を備えている。端子接合部223bは、y方向y2側に突出し、絶縁基板21のy方向y2側の端面まで延びる突出部、およびx方向x1側に突出し、絶縁基板21のx方向x1側の端面まで延びる2個の突出部を備えている。帯状部224aは、y方向y1側に突出し、絶縁基板21のy方向y1側の端面まで延びる突出部を備えている。端子接合部224bは、y方向y1側に突出し、絶縁基板21のy方向y1側の端面まで延びる突出部を備えている。これらの突出部は、リードフレームにおいてフレームにつながるために設けられた部分である。
【0036】
なお、各導電体層221~225の配置および形状は、上記したものに限定されず、各端子3の配置位置などに応じて、適宜設計される。
【0037】
裏面金属層23は、絶縁基板21の裏面212に形成されている。裏面金属層23の構成材料は、たとえばCuを含む金属である。なお、当該構成材料は限定されない。裏面金属層23は、たとえば無電解めっき処理により形成される。なお、裏面金属層23の形成方法は限定されない。裏面金属層23は、
図4および
図5に示すように、z方向z1側を向く面が、樹脂部材5から露出している。なお、当該z方向z1側を向く面が樹脂部材5に覆われていてもよい。また、支持部材2は、裏面金属層23を含んでいなくてもよい。この場合、絶縁基板21の裏面212は、樹脂部材5に覆われていてもよいし、樹脂部材5から露出していてもよい。
【0038】
各端子3はそれぞれ、樹脂部材5の内部において、導電体層22に接合されている。各端子3はそれぞれ、z方向視において絶縁基板21からはみ出している。また、各端子3はそれぞれ、一部が樹脂部材5から露出している。各端子3は、たとえば同一のリードフレームから構成される。各端子3は、金属からなり、好ましくはCuおよびNiのいずれか、またはこれらの合金や42アロイなどからなる。
【0039】
電力端子31は、半導体装置A10におけるドレイン端子である。電力端子31は、板状の部材である。電力端子31は、導電体層223および導電性接合材110を介して、各半導体素子11の第3電極113(ドレイン電極)に導通している。
【0040】
電力端子31は、パッド部311および端子部312を含んでいる。パッド部311は、樹脂部材5に覆われている。パッド部311は、導電体層223に接合されている。この接合は、導電性接合材(はんだ、銀ペースト、または焼結金属など)を用いた接合、レーザ接合あるいは超音波接合などのいずれの手法であってもよい。端子部312は、樹脂部材5から露出する。端子部312は、
図2に示すように、z方向視において樹脂部材5からx方向x1側に延びている。なお、端子部312の表面には、たとえば銀めっきが施されていてもよい。
【0041】
電力端子32は、半導体装置A10におけるソース端子である。電力端子32は、板状の部材である。電力端子32は、導電体層221および複数の接続部材41を介して、各半導体素子11の第1電極111(ソース電極)に導通する。
【0042】
電力端子32は、パッド部321および端子部322を含んでいる。パッド部321は、樹脂部材5に覆われている。パッド部321は、導電体層221に接合されている。この接合は、導電性接合材を用いた接合、レーザ接合あるいは超音波接合などのいずれの手法であってもよい。端子部322は、樹脂部材5から露出する。端子部322は、
図2に示すように、z方向視において樹脂部材5からx方向x2側に延びている。なお、端子部322の表面には、たとえば銀めっきが施されていてもよい。
【0043】
信号端子33は、半導体装置A10におけるゲート端子である。信号端子33は、導電体層222および複数の接続部材43を介して、各半導体素子11の第2電極112(ゲート電極)に導通する。信号端子33には、各半導体素子11のオンオフ制御をするための駆動信号が入力される。信号端子33には、
図7に示すように、たとえばドライブ回路DRが接続される。ドライブ回路DRは、各半導体素子11のスイッチング動作を制御する駆動信号を生成する。信号端子33には、ドライブ回路DRから駆動信号が入力される。なお、
図7に示すドライブ回路DRは、一例であって、図示された回路構成のものに限定されない。
【0044】
信号端子33は、パッド部331および端子部332を含んでいる。パッド部331は、樹脂部材5に覆われている。パッド部331は、導電体層222に接合されている。この接合は、導電性接合材を用いた接合、レーザ接合あるいは超音波接合などのいずれの手法であってもよい。端子部332は、樹脂部材5から露出する。端子部332は、x方向視においてL字状である。
【0045】
検出端子34は、半導体装置A10におけるソースセンス端子である。検出端子34は、導電体層225、接続部材42、導電体層221、および複数の接続部材41を介して、半導体素子11の第1電極111(ソース電極)に導通する。検出端子34には、
図7に示すように、たとえばドライブ回路DRが接続される。検出端子34に印加される電圧は、帰還信号としてドライブ回路DRに入力される。
【0046】
検出端子34は、パッド部341および端子部342を含んでいる。パッド部341は、樹脂部材5に覆われている。パッド部341は、導電体層225に接合されている。この接合は、導電性接合材を用いた接合、レーザ接合あるいは超音波接合などのいずれの手法であってもよい。端子部342は、樹脂部材5から露出する。端子部342は、x方向視においてL字状である。
【0047】
検出端子35は、半導体装置A10におけるソースセンス端子である。検出端子35は、導電体層224および複数の接続部材44を介して、各半導体素子11の第1電極111(ソース電極)に導通する。検出端子35と信号端子33との間には、
図7に示すように、たとえば、半導体装置A10の外部のミラークランプ回路MCが接続される。ミラークランプ回路MCは、各半導体素子11の誤動作(ゲート誤オン)を防止するための回路であり、
図7に示すように、たとえばMOSFETを含む。当該MOSFETのソース端子は、検出端子35に接続され、当該MOSFETのドレイン端子は、信号端子33に接続される。半導体素子11がオフの時に、ミラークランプ回路MCのMOSFETをオンにすることで、半導体素子11のゲート-ソース間電圧を略0(ゼロ)Vまたは負バイアス電圧に強制し、半導体素子11のゲート電位の持ち上がりを排除する。
【0048】
検出端子35は、パッド部351および端子部352を含む。パッド部351は、樹脂部材5に覆われている。パッド部351は、導電体層224に接合されている。この接合は、導電性接合材を用いた接合、レーザ接合あるいは超音波接合などのいずれの手法であってもよい。端子部352は、樹脂部材5から露出する。端子部352は、x方向視においてL字状である。
【0049】
信号端子33、検出端子34および検出端子35は、
図2に示すようにx方向に並んでおり、かつ、
図4に示すようにx方向視において重なる。信号端子33は、
図2に示すように、x方向において、検出端子34と検出端子35との間に配置されている。信号端子33、検出端子34、および検出端子35は、y方向y1側の樹脂側面533から突出している。
【0050】
複数の接続部材41~45はそれぞれ、離間した2つの部位間を導通させる。各接続部材41~45は、いわゆるボンディングワイヤである。各接続部材41~45の構成材料は、たとえばAl、Au、Cu、または、これらのいずれかを含む合金などである。
【0051】
複数の接続部材41はそれぞれ、一端が各半導体素子11の第1電極111(ソース電極)に接合され、他端が導電体層221に接合されている。各接続部材41は、各第1電極111と導電体層221とを導通させる。
【0052】
接続部材42は、一端が導電体層221に接合され、他端が導電体層225に接合されている。接続部材42は、導電体層221と導電体層225とを導通させる。なお、接続部材42の上記他端は、導電体層225に接合されるのではなく、検出端子34のパッド部341に接合されていてもよい。
【0053】
複数の接続部材43はそれぞれ、一端が各半導体素子11の第2電極112(ゲート電極)に接合され、他端が導電体層222に接合されている。各接続部材43は、各第2電極112と導電体層222とを導通させる。
【0054】
複数の接続部材44はそれぞれ、一端が各半導体素子11の第1電極111(ソース電極)に接合され、他端が導電体層224に接合されている。各接続部材44は、各第1電極111と導電体層224とを導通させる。各接続部材44は、各半導体素子11の第1電極111(ソース電極)にケルビン接続されたセンス線である。
【0055】
複数の接続部材45はそれぞれ、一端が各半導体素子11の第1電極111(ソース電極)に接合され、他端が各半導体素子12のアノード電極121に接合されている。各接続部材45は、各第1電極111と各アノード電極121とを導通させる。
【0056】
樹脂部材5は、電気絶縁性の半導体封止材である。樹脂部材5は、複数の半導体素子11、複数の半導体素子12、絶縁基板21、導電体層22、接合材29、および複数の接続部材41~45の全体と、各端子3の一部ずつとを覆っている。樹脂部材5の構成材料は、たとえばエポキシ樹脂である。なお、樹脂部材5の構成材料は限定されない。樹脂部材5は、たとえば金型を用いたトランスファ成形により形成される。なお、樹脂部材5の形成方法は限定されない。樹脂部材5は、
図2、
図4、および
図5に示すように、樹脂主面51、樹脂裏面52および複数の樹脂側面531~534を有している。
【0057】
樹脂主面51および樹脂裏面52は、z方向において互いに反対側を向いている。樹脂主面51はz方向z2側を向いており、樹脂裏面52は、z方向z1側を向いている。裏面金属層23は樹脂裏面52から露出しており、樹脂裏面52と裏面金属層23のz方向z1側を向く面とは互いに面一になっている。複数の樹脂側面531~534の各々は、樹脂主面51および樹脂裏面52の双方につながり、かつ、これらに挟まれている。
図2に示すように、2つの樹脂側面531,532は、x方向において互いに反対側を向いている。樹脂側面531は、x方向x1側に配置されてx方向x1側を向く面である。樹脂側面532は、x方向x2側に配置されてx方向x2側を向く面である。2つの樹脂側面533,534は、y方向において互いに反対側を向いている。樹脂側面533は、y方向y1側に配置されてy方向y1側を向く面である。樹脂側面534は、y方向y2側に配置されてy方向y2側を向く面である。
【0058】
樹脂側面531~534は、それぞれ、樹脂主面51につながり、樹脂主面51に向かうほど互いに近づくように傾斜する面を備えている。つまり、樹脂部材5のうち、これらの樹脂主面51につながり傾斜する面に囲まれる部分は、xy平面での断面積が樹脂主面51に向かうほど小さくなるテーパ形状である。また、樹脂側面531~534は、それぞれ、樹脂裏面52につながり、樹脂裏面52に向かうほど互いに近づくように傾斜する面を備えている。つまり、樹脂部材5のうち、これらの樹脂主面51につながり傾斜する面に囲まれる部分は、xy平面での断面積が樹脂裏面52に向かうほど小さくなるテーパ形状である。なお、
図1~
図5に示す樹脂部材5の形状は一例である。樹脂部材5の形状は、例示された形状に限定されない。
【0059】
次に、半導体装置A10の製造方法の一例について、
図8~
図14を参照して以下に説明する。なお、以下に説明する製造方法は、半導体装置A10を実現するための一手段であり、これに限定されない。
図8は、半導体装置A10の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図9~
図14は、半導体装置A10の製造方法の一例にかかる工程を示す図である。
図9~
図14は断面図であり、
図4に対応する図である。なお、
図9~
図14に示すx方向、y方向、およびz方向は、
図1~
図6と同じ方向を示している。
【0060】
図8に示すように、半導体装置A10の製造方法は、支持部材形成工程(S1)、リードフレーム接合工程(S2)、半導体素子実装工程(S3)、ワイヤ接続工程(S4)、樹脂形成工程(S5)、およびフレーム切断工程(S6)を有する。
【0061】
支持部材形成工程(S1)は、支持部材2を形成する工程である。支持部材形成工程では、まず、絶縁基板91を準備する(S11)。絶縁基板91は、たとえばセラミックスからなり、z方向において互いに反対側を向く主面911および裏面912を有する。次いで、導電体層22になるリードフレーム92を準備する(S12)。リードフレーム92は、導電体層22になる部分を含んでおり、さらに複数の導電体層22がつながるフレームを有する。なお、リードフレーム92の形状等は、何ら限定されない。
【0062】
次いで、絶縁基板91の主面911に、リードフレーム92を接合する(S13)。まず、
図9に示すように、絶縁基板91の主面911に、接合ペースト93をたとえば印刷により配置する。接合ペースト93は、リードフレーム92が接合される領域に配置される。なお、フィルム状の接合ペーストを絶縁基板91の主面911に貼り付けてもよい。次いで、
図10に示すように、リードフレーム92を絶縁基板91の主面911に載置し、加熱した後に冷却する。これにより、接合ペースト93が接合材29になり、リードフレーム92が接合材29を介して絶縁基板91の主面911に接合される。なお、リードフレーム92に接合ペーストを配置して、絶縁基板91の主面911にリードフレーム92接合してもよい。
【0063】
次いで、
図11に示すように、絶縁基板91の裏面912に、裏面金属層23を形成する(S14)。裏面金属層23は、たとえば無電解めっき処理により形成される。次いで、絶縁基板91およびリードフレーム92を切断する(S15)。絶縁基板91が切断されることで絶縁基板21が形成され、リードフレーム92が切断されることで、導電体層22が形成される。したがって、絶縁基板21の断面と導電体層22の断面とは面一になり、z方向視において、導電体層22は、絶縁基板21からはみ出さず、絶縁基板21に内包されている。以上により、支持部材2が形成される。
【0064】
リードフレーム接合工程(S2)では、まず、各端子3になるリードフレーム94を準備する。リードフレーム94は、各端子3になる部分を含んでおり、さらに複数の各端子3がつながるフレームを有する。なお、リードフレーム94の形状等は、何ら限定されない。次いで導電体層22の各端子3が接合される位置に導電性の接合ペーストを配置し、
図12に示すように、リードフレーム94の各端子3になる部分を導電体層22に接合する。たとえば、リードフレーム94の検出端子35になる部分は導電体層224に接合される。なお、リードフレーム94の接合方法は限定されない。
【0065】
半導体素子実装工程(S3)では、まず、導電体層223の半導体素子11,12が配置される領域に、導電性接合ペースト95を配置する。導電性接合ペースト95は、たとえばはんだ、銀ペースト、または焼結金属などである。次いで、
図13に示すように、導電性接合ペースト95に、複数の半導体素子11および複数の半導体素子12を付着させ、加熱した後に冷却する。これにより、導電体層223と半導体素子11との間に介在する導電性接合ペースト95が導電性接合材110になり、半導体素子11が導電性接合材110を介して導電体層223に接合される。また、導電体層223と半導体素子12との間に介在する導電性接合ペースト95が導電性接合材120になり、半導体素子12が導電性接合材120を介して導電体層223に接合される。
【0066】
ワイヤ接続工程(S4)では、接続部材41~45を接続する。
図14に示すように、接続部材41が半導体素子11の第1電極111と導電体層221とを接続するように形成される。接続部材43が半導体素子11の第2電極112と導電体層222とを接続するように形成される。接続部材44が半導体素子11の第1電極111と導電体層224とを接続するように形成される。接続部材45が半導体素子11の第1電極111と半導体素子12のアノード電極121とを接続するように形成される。また、
図14に表れていないが、接続部材42が導電体層221と導電体層225とに接合される。
【0067】
樹脂形成工程(S5)では、たとえばリードフレーム94の一部、支持部材2の一部、それぞれ複数の半導体素子11,12、および複数の接続部材41~45を金型によって囲む。次いで、金型によって規定された空間に液状の樹脂材料を注入する。ついで、この樹脂材料を硬化させることにより、樹脂部材5が得られる。
【0068】
フレーム切断工程(S6)では、リードフレーム94のうち樹脂部材5から露出した部位の適所を切断する。これにより、各端子3が互いに分割される。この後は、必要に応じて、各端子3を折り曲げる等の処理を経ることにより、上述した半導体装置A10が得られる。
【0069】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0070】
本実施形態によると、半導体装置A10の支持部材2は、絶縁基板21の主面211に、接合材29を介して導電体層22を接合したものである。支持部材2は、金属板にたとえば打ち抜き加工を施したリードフレームを、接合ペースト93を介して絶縁基板91の主面911に接合し、切断することで形成される。したがって、半導体装置A10の製造方法は、基板に配置された導電体の層にフォトリソグラフィによって配線パターンを形成する従来の製造方法と比較して、製造工程を簡略化できる。これにより、半導体装置A10は、従来の半導体装置と比較して、製造に必要な時間を短縮でき、また、製造コストを抑制できる。なお、導電体層22のz方向視の大きさは、半導体素子11などと比較して十分大きく、
図3に示すように、導電体層22のz方向視の形状は単純な形状である。したがって、導電体層22は、打ち抜き加工によるリードフレームとして十分形成可能である。
【0071】
また、本実施形態によると、絶縁基板21の構成材料は、比較的安価なAl2O3である。本実施形態では、各半導体素子11は、たとえばSiを主とする半導体材料を用いて構成されているので、SiCなどを主とする場合と比較して、発する熱量が小さい。また、絶縁基板21の裏面212には裏面金属層23が配置され、裏面金属層23は樹脂部材5から露出している。したがって、半導体装置A10は、絶縁基板21の構成材料がAl2O3であっても、半導体素子11の熱を十分外部に放出できる。これにより、半導体装置A10は、半導体素子11の放熱と、絶縁基板21の材料費の抑制とを両立できる。
【0072】
なお、本実施形態では、接続部材41~45がいずれもボンディングワイヤである場合について説明したが、これに限られない。接続部材41~45のいずれかの代わりに、ボンディングワイヤ以外の接続部材(たとえば金属の板状部材または金属リボンなど)が用いられてもよい。たとえば、接続部材41および接続部材45に代えて、半導体素子12のアノード電極121、半導体素子11の第1電極111、および導電体層221に接合されてこれらを導通させる金属の板状部材が用いられてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、複数の端子3がいずれも導電体層22に接合されている場合について説明したが、これに限られない。複数の端子3のいずれかは、導電体層22から離間して絶縁基板21に接合されてもよい。この場合、当該端子3は、ボンディングワイヤなどの接続部材で導電体層22に導通接続される。
【0074】
図15~
図19は、第1実施形態にかかる支持部材2の変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0075】
〔第1変形例〕
図15~
図19は、第1実施形態の第1変形例にかかる半導体装置A11を説明するための図である。
図15は、半導体装置A11の部分拡大断面図であり、
図6に対応する図である。
図16~
図19は、半導体装置A11の製造方法の一例にかかる工程を示す図であり、
図9~
図11と同様の断面図である。半導体装置A11は、支持部材2において、絶縁基板21の主面211と接合材29との間に主面金属層25が介在している点で、半導体装置A10と異なる。
【0076】
主面金属層25は、絶縁基板21の主面211の導電体層22が配置される領域に形成されている。主面金属層25の構成材料は、たとえばNiを含む金属である。なお、当該構成材料は限定されない。主面金属層25は、たとえば無電解めっき処理により形成される。なお、主面金属層25の形成方法は限定されない。また、本実施形態では、接合材29は、はんだからなる。なお、接合材29の構成材料は限定されない。主面金属層25は、接合材29と絶縁基板21との接着性を向上させるために形成される。
【0077】
半導体装置A11の製造方法において、支持部材形成工程(S1)は、半導体装置A10の製造方法とは異なる方法を採用することができる。当該支持部材形成工程(S1)におけるステップS11~S12は、半導体装置A10の製造方法と同様である。
【0078】
次いで、
図16に示すように、絶縁基板91の主面911の全面に、主面金属層96を形成する。主面金属層96は、たとえばNiを含む金属を用いた無電解めっき処理により形成される。次いで、
図17に示すように、主面金属層96上にたとえばはんだペースト97を配置する。はんだペースト97は、リードフレーム92が接合される領域に配置される。次いで、
図18に示すように、リードフレーム92を絶縁基板91の主面911に載置し、加熱した後に冷却する。これにより、はんだペースト97が接合材29になり、リードフレーム92が接合材29を介して絶縁基板91の主面911に形成された主面金属層96に接合される。次いで、絶縁基板91の主面911側(z方向z2側)から、ウエットブラスト処理を行う。ウエットブラスト処理は、液体に研磨剤を混合させて全体を均一に撹拌したものを高速に噴射し、対象物に加工を行う処理である。これにより、
図19に示すように、主面金属層96のうち、リードフレーム92が接合されていない部分(不要部分)が除去される。リードフレーム92の厚さ寸法(z方向の寸法)は主面金属層96の厚さ寸法(z方向の寸法)と比較して十分大きいので、リードフレーム92に大きな影響を与えることなく、主面金属層96の不要部分だけが除去される。なお、主面金属層96の不要部分の除去は、エッチングなど他の方法で行ってもよい。その後の工程(ステップS14~S15)は、半導体装置A10の支持部材形成工程(S1)と同様である。
【0079】
図20~
図22は、本開示の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0080】
〔第2実施形態〕
図20~
図22は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置A20を説明するための図である。
図20は、半導体装置A20を示す斜視図であり、
図1に対応する図である。
図21は、半導体装置A20を示す平面図であり、
図2に対応する図である。なお、
図21においては、理解の便宜上、天板70(後述)および樹脂部材5を取り除いた状態を示している。
図22は、
図21のXXII―XXII線に沿う断面図である。
図22においては、理解の便宜上、天板70および樹脂部材5を透過して、想像線(二点鎖線)で示している。本実施形態にかかる半導体装置A20は、ハーフブリッジ型のスイッチング回路である点と、支持部材2がケース72に収容されている点とで、第1実施形態にかかる半導体装置A10と異なる。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0081】
本実施形態では、半導体装置A20は、半導体装置A10と同様に、複数の半導体素子11、複数の半導体素子12、支持部材2、電力端子31,32、信号端子33、検出端子34,35、複数の接続部材41~45、および樹脂部材5を備えている。また、半導体装置A20は、さらに、複数の半導体素子13、複数の半導体素子14、電力端子36、信号端子37、検出端子38,39,30、複数の接続部材46,47,48,49,40,81,82,83,84,85、放熱板71、およびケース72を備えている。半導体装置A20は、
図20および
図21に示すように、2個の電力端子31を備えており、理解の便宜上、2個の電力端子31をそれぞれ電力端子31A,31Bと区別する。
【0082】
電力端子31A,31Bは、半導体装置A20における出力端子である。電力端子32は、半導体装置A20における負極側の入力端子(N端子)である。電力端子36は、半導体装置A20における正極側の入力端子(P端子)である。電力端子32と電力端子36との間には、電源電圧が印加される。半導体装置A20は、複数の半導体素子11,13のスイッチング動作によって、電源電圧を交流電圧に変換し、電力端子31A,31Bから出力する。
【0083】
放熱板71は、z方向視矩形状の板状体であり、熱伝導率の高い材料で構成されている。放熱板71の構成材料は、たとえばCuを含む金属である。なお、放熱板71の表面にNiめっきが施されていてもよい。放熱板71のz方向z1側の表面には、必要に応じて、ヒートシンクなどの冷却手段が取り付けられる。
【0084】
ケース72は、略直方体形状に形成されている。ケース72は、たとえばPPS(ポリフェニレンサルファイド)など、電気絶縁性を有し、かつ耐熱性に優れた合成樹脂から構成される。ケース72は、z方向視において放熱板71と略同じ大きさの矩形状である。ケース72は、放熱板71のz方向z2側の表面に固定された枠部73と、この枠部73に固定された天板70とを備えている。天板70は、枠部73のz方向z2側を閉鎖し、枠部73のz方向z1側を閉鎖する放熱板71と対向している。天板70、放熱板71、および枠部73によって、回路収容空間(複数の半導体素子11~14および支持部材2などを収容する空間)がケース72の内部に区画されている。
【0085】
枠部73は、
図21に示すように、x方向に離間した一対の側壁731,732およびy方向に離間した一対の側壁733,734を有する。一対の側壁731,732はともに、z方向視において、y方向に延びる。側壁731は、x方向x1側に位置し、側壁732は、x方向x2側に位置する。一対の側壁733,734はともに、z方向視において、x方向に延びる。側壁733は、y方向y1側に位置し、側壁734は、y方向y2側に位置する。側壁733は、一対の側壁731,732のy方向y1側の各端縁部に繋がり、側壁734は、一対の側壁731,732のy方向y2側の各端縁部に繋がる。
【0086】
側壁731の外面には、
図20および
図21に示すように、2つの端子台771,772が形成されている。端子台771のz方向z2側の表面には、電力端子31Aが配置されており、端子台772のz方向z2側の表面には、電力端子31Bが配置されている。z方向視において、端子台771は、側壁731のy方向中央に対してy2側に配置されており、端子台772は、側壁731のy方向中央に対してy1側に配置されている。これらの端子台771,772は、側壁731と一体的に形成されている。
【0087】
側壁732の外面には、
図20および
図21に示すように、2つの端子台773,774が形成されている。端子台773のz方向z2側の表面には、電力端子36が配置されており、端子台774のz方向z2側の表面には、電力端子32が配置されている。平面視において、端子台773は、側壁732のy方向中央に対してy2側に配置されており、端子台774は、側壁732のy方向中央に対してy1側に配置されている。これらの端子台773,774は、側壁732と一体的に形成されている。各端子台771~774には、
図21に示すように、それぞれナットNTがそのネジ穴の中心軸線がz方向に一致する姿勢で埋設されている。
【0088】
側壁733には、
図21に示すように、信号端子33および検出端子34,35が取り付けられている。信号端子33および検出端子34,35は、それぞれ一部ずつが、側壁733のz方向z2側の表面からケース72の外方(z方向z2側)に突出している。信号端子33および検出端子34,35は、側壁733のx方向中央とx方向x2側端との間において、x方向に間隔をおいて配置されている。
【0089】
側壁734には、
図21に示すように、信号端子37および検出端子38,39,30が取り付けられている。信号端子37および検出端子38,39,30は、それぞれ一部ずつが、側壁734のz方向z2側の表面からケース72の外方(z方向z2側)に突出している。信号端子37および検出端子38,39は、側壁734のx方向中央とx方向x1側端との間において、x方向に間隔をおいて配置されている。検出端子30は、側壁734のx方向x1側の端部に配置されている。
【0090】
図21に示すように、枠部73のz方向z2側の表面における4つの角部分にはそれぞれ、凹部74が形成されている。凹部74の底壁は、底壁を貫通する取付用貫通孔75が形成されている。取付用貫通孔75には、筒状金属部材76が嵌め込まれた状態で固定されている。放熱板71には、取付用貫通孔75に連通する取付用貫通孔(図示略)が形成されている。半導体装置A20は、ケース72の取付用貫通孔75および放熱板71の取付用貫通孔を挿通する締結具(たとえばボルト)によって、取付対象の所定の固定位置に固定される。これらの取付用貫通孔75を利用して、上記ヒートシンクなどの冷却手段が取り付けられてもよい。
【0091】
本実施形態では、樹脂部材5は、ケース72および放熱板71により囲まれた空間に充填されている。樹脂部材5は、耐熱性および密着性に優れ、かつ電気絶縁性を有する合成樹脂であることが好ましい。樹脂部材5は、たとえば熱硬化性オルガノポリシロキサンを主成分としたシリコーンゲルである。なお、樹脂部材5の構成材料は限定されない。
【0092】
本実施形態では、支持部材2は、
図22に示すように、放熱板71のz方向z2側の表面に搭載されており、
図21に示すように、z方向視において、ケース72の内方(上記回路収容空間)に収容されている。
【0093】
本実施形態では、導電体層22は、
図21に示すように、導電体層221~224に加えて、導電体層226,227,229をさらに含んでいる。導電体層221~224,226,227,229は、互いに離間している。導電体層221~224,226,227,229は、x方向に沿って延びる部分を有する。導電体層221は、複数の接続部材41および接続部材42がそれぞれ接合されている。導電体層222は、複数の接続部材43および接続部材81がそれぞれ接合されている。導電体層223は、複数の半導体素子11,12、接続部材46、および複数の接続部材49がそれぞれ接合されている。導電体層224は、複数の接続部材44および接続部材82がそれぞれ接合されている。導電体層226は、複数の半導体素子13,14および接続部材85がそれぞれ接合されている。導電体層227は、複数の接続部材47および接続部材83がそれぞれ接合されている。導電体層229は、複数の接続部材48および接続部材84がそれぞれ接合されている。
【0094】
導電体層22において、導電体層221~224,226,227,229は、y方向に並んでおり、y方向視において互いに重なる。導電体層221~224,226,227,229のy方向における並びは、特に限定されない。本実施形態では、y方向y1側からy方向y2側に向かって、導電体層222、導電体層224、導電体層221、導電体層223、導電体層226、導電体層229、導電体層227の順に並んでいる。なお、各導電体層221~224,226,227,229の配置および形状は、上記したものに限定されず、各端子3の配置位置などに応じて、適宜設計される。
【0095】
複数の半導体素子13は、複数の半導体素子11と同様、スイッチング素子である。各半導体素子13はそれぞれ、各半導体素子11と同様に構成されている。各半導体素子13は、z方向z2側を向く素子主面13a、および、z方向z1側を向く素子裏面13bを有している。また、各半導体素子13は、第1電極131(ソース電極)、第2電極132(ゲート電極)、および第3電極133(ドレイン電極)を有している。第1電極131および第2電極132は、素子主面13aに配置されている。第3電極133は、素子裏面13bに配置されている。各半導体素子13の第3電極133(ドレイン電極)は、導電体層226に導通接合されている。第1電極131(ソース電極)は、接続部材49を介して導電体層223に導通し、接続部材48を介して導電体層229に導通している。第2電極132(ゲート電極)は、接続部材47を介して導電体層227に導通している。
【0096】
本実施形態では、
図21に示すように、半導体装置A20は、6個の半導体素子11と6個の半導体素子13とを備えている。なお、半導体素子11,13の個数は、これに限定されない。複数の半導体素子11は、導電体層223に接合されて、x方向に配列されている。複数の半導体素子13は、導電体層226に接合されて、x方向に配列されている。各半導体素子13は、半導体装置A20(スイッチング回路)における上アーム回路を構成し、複数の半導体素子11が下アーム回路を構成している。
【0097】
複数の半導体素子14は、複数の半導体素子12と同様、ダイオードである。各半導体素子14はそれぞれ、各半導体素子12と同様に構成されている。各半導体素子14は、z方向z2側を向く素子主面14a、および、z方向z1側を向く素子裏面14bを有している。また、各半導体素子14は、アノード電極141およびカソード電極142を有している。アノード電極141は、素子主面14aに配置されている。カソード電極142は、素子裏面14bに配置されている。各半導体素子14は、導電体層226に接合されて、各半導体素子13に対して逆並列に接続されている。各半導体素子14のカソード電極142は、導電体層226に導通接合されている。アノード電極141は、接続部材40を介して、各半導体素子13の第1電極131(ソース電極)に導通する。
【0098】
電力端子31Aは、
図21に示すように、先端部313A、基部314Aおよび立上部315Aを含む。先端部313Aは、端子台771のz方向z2側の表面に沿って形成されている。基部314Aは、先端部313Aのz方向z1側において、先端部313Aと平行に配置されている。立上部315Aは、先端部313Aのy方向y1側端縁部と基部314Aのy方向y1側端縁部とを連結している。基部314Aの大部分と立上部315Aとは、側壁731および端子台771の内部に埋め込まれている。基部314Aのx方向x2側端縁部には、ケース72の内方に向かって突出する櫛歯部316Aが形成されている。櫛歯部316Aは、導電体層223に接合されている。
【0099】
電力端子31Bは、
図21に示すように、先端部313B、基部314Bおよび立上部315Bを含む。先端部313Bは、端子台772のz方向z2側の表面に沿って形成されている。基部314Bは、先端部313Bのz方向z1側において、先端部313Bと平行に配置されている。立上部315Bは、先端部313Bのy方向y2側端縁部と基部314Bのy方向y2側端縁部とを連結している。基部314Bの大部分と立上部315Bとは、側壁731および端子台772の内部に埋め込まれている。基部314Bのx方向x2側端縁部には、ケース72の内方に向かって突出する櫛歯部316Bが形成されている。櫛歯部316Bは、導電体層223に接合されている。
【0100】
電力端子36は、
図21に示すように、先端部363、基部364および立上部365を含む。先端部363は、端子台773のz方向z2側の表面に沿って形成されている。基部364は、先端部363のz方向z1側において、先端部363と平行に配置されている。立上部365は、先端部363のy方向y1側端縁部と基部364のy方向y1側端縁部とを連結している。基部364の大部分と立上部365とは、側壁732および端子台773の内部に埋め込まれている。基部364のx方向x1側端縁部には、ケース72の内方に向かって突出する櫛歯部366が形成されている。櫛歯部366は、導電体層226に接合されている。
【0101】
電力端子32は、
図21に示すように、先端部323、基部324および立上部325を含む。先端部323は、端子台774のz方向z2側の表面に沿って形成されている。基部324は、先端部323のz方向z1側において、先端部323と平行に配置されている。立上部325は、先端部323のy方向y2側端縁部と基部324のy方向y2側端縁部とを連結している。基部324の大部分と立上部325とは、側壁732および端子台774の内部に埋め込まれている。基部324のx方向x1側端縁部には、ケース72の内方に向かって突出する櫛歯部326が形成されている。櫛歯部326は、導電体層221に接合されている。
【0102】
電力端子36の先端部363には挿通孔369が形成され、電力端子32の先端部323には挿通孔329が形成され、電力端子31Aの先端部313Aには挿通孔319Aが形成され、電力端子31Bの先端部313Bには挿通孔319Bが形成されている。これらの挿通孔369,329,319A,319Bにボルト(図示略)を挿通し、当該ボルトをナットNTに嵌めることで、半導体装置A20は、取付対象側に取り付けられる。これにより、各電力端子31A,31B,32,36は、取付対象側に備えられる電源装置や負荷などに、電気的に接続される。
【0103】
信号端子33は、x方向視においてクランク状である。
図21に示すように、信号端子33の基端部は、ケース72の内方に配置され、信号端子33の先端部は、側壁733のz方向z2側の表面からz方向z2側に突出している。信号端子33は、基端部と先端部とを繋ぐ中間部分が、側壁733に埋め込まれている。信号端子33は、基端部に接続部材81が接合されており、当該接続部材81を介して、導電体層222に導通している。
図21に示す例示においては、接続部材81は、ボンディングワイヤであるが、金属の板状部材などであってもよい。
【0104】
各検出端子34,35は、x方向視においてクランク状である。
図21に示すように、各検出端子34,35の各基端部は、ケース72の内方に配置され、各検出端子34,35の各先端部は、側壁733のz方向z2側の表面からz方向z2側に突出している。各検出端子34,35は、各基端部と各先端部とを繋ぐ中間部分が、側壁733に埋め込まれている。検出端子34は、基端部に接続部材42が接合されており、当該接続部材42を介して、導電体層221に導通する。検出端子35は、基端部に接続部材82が接合されており、当該接続部材82を介して、導電体層224に導通している。
図21に示す例示においては、接続部材82は、ボンディングワイヤであるが、金属の板状部材などであってもよい。
【0105】
信号端子37は、x方向視においてクランク状である。
図21に示すように、信号端子37の基端部は、ケース72の内方に配置され、信号端子37の先端部は、側壁734のz方向z2側の表面からz方向z2側に突出している。信号端子37は、基端部と先端部とを繋ぐ中間部分が、側壁734に埋め込まれている。信号端子37は、基端部に接続部材83が接合されており、当該接続部材83を介して、導電体層227に導通している。
図21に示す例示においては、接続部材83は、ボンディングワイヤであるが、金属の板状部材などであってもよい。
【0106】
各検出端子38,39は、x方向視においてクランク状である。
図21に示すように、検出端子38,39の各基端部は、ケース72の内方に配置され、各検出端子38,39の 各先端部は、側壁734のz方向z2側の表面からz方向z2側に突出している。各検出端子38,39は、各基端部と各先端部とを繋ぐ中間部分が、側壁734に埋め込まれている。検出端子38は、基端部に接続部材46が接合されており、当該接続部材46を介して、導電体層223に導通している。検出端子39は、基端部に接続部材84が接合されており、当該接続部材84を介して、導電体層229に導通している。
図21に示す例示においては、接続部材84は、ボンディングワイヤであるが、金属の板状部材などであってもよい。
【0107】
検出端子30は、x方向視においてクランク状である。
図21に示すように、検出端子30の基端部は、ケース72の内方に配置され、検出端子30の先端部は、側壁734のz方向z2側の表面からz方向z2側に突出している。検出端子30は、基端部と先端部とを繋ぐ中間部分が、側壁734に埋め込まれている。検出端子30は、基端部に接続部材85が接合されており、当該接続部材85を介して、導電体層226に導通している。
図21に示す例示においては、接続部材85は、ボンディングワイヤであるが、金属の板状部材などであってもよい。導電体層226が各半導体素子13の第3電極133(ドレイン電極)に導通しているので、検出端子30は、当該第3電極133に導通する。
【0108】
本実施形態においても、半導体装置A20の支持部材2は、絶縁基板21の主面211に、接合材29を介して導電体層22を接合したものである。支持部材2は、金属板にたとえば打ち抜き加工を施したリードフレームを、接合ペースト93を介して絶縁基板91の主面911に接合し、切断することで形成される。したがって、半導体装置A20の製造方法は、基板に配置された導電体の層にフォトリソグラフィによって配線パターンを形成する従来の製造方法と比較して、製造工程を簡略化できる。これにより、半導体装置A20は、従来の半導体装置と比較して、製造に必要な時間を短縮でき、また、製造コストを抑制できる。
【0109】
また、本実施形態においても、絶縁基板21の構成材料はAl2O3である。各半導体素子11,13は、たとえばSiを主とする半導体材料を用いて構成されているので、SiCなどを主とする場合と比較して、発する熱量が小さい。また、絶縁基板21の裏面212には裏面金属層23が配置され、裏面金属層23は樹脂部材5から露出して、放熱板71に接している。したがって、半導体装置A20は、絶縁基板21の構成材料がAl2O3であっても、半導体素子11,13の熱を十分外部に放出できる。これにより、半導体装置A20は、半導体素子11,13の放熱と、絶縁基板21の材料費の抑制とを両立できる。
【0110】
本開示にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示にかかる半導体装置の各部の具体的な構成、および、本開示にかかる半導体装置の製造方法の各工程の具体的な処理は、種々に設計変更自在である。
【0111】
〔付記1〕
厚さ方向において互いに反対側を向く基板主面(211)および基板裏面(212)を有する、絶縁性の基板(21)と、
前記基板主面に配置された接合材(29)と、
前記接合材を介して前記基板に接合された導電体層(22)と、
前記導電体層に導通する複数の半導体素子(11)と、
を備える半導体装置。
[付記2]
前記厚さ方向視において前記導電体層が前記基板に内包されている、
付記1に記載の半導体装置。
[付記3]
前記基板は、Al
2O
3を含む、
付記1または2に記載の半導体装置。
[付記4]
前記接合材の前記厚さ方向の寸法は、5μm以上20μm以下である、
付記1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
[付記5]
前記接合材は、金属ペーストを含む、
付記1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
[付記6、第1実施形態第1変形例、
図15]
前記基板主面と前記接合材との間に介在する金属層(25)をさらに備え、
前記接合材は、はんだを含む、
付記1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
[付記6-1]
前記金属層は、Niを含む、
付記6に記載の半導体装置。
[付記7]
前記導電体層の前記厚さ方向の寸法は、100μm以上2000μm以下である、
付記1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
[付記8]
前記複数の半導体素子は、複数のスイッチング素子を含んでおり、
前記各スイッチング素子は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面(11a)および素子裏面(11b)と、前記素子主面に配置された第1電極(111)および第2電極(112)と、前記素子裏面に配置された第3電極(113)と、を備えている、
付記1ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
[付記9]
前記導電体層は、
前記各スイッチング素子の前記第1電極に導通する第1導電体層(221)と、
前記各スイッチング素子の前記第2電極に導通する第2導電体層(222)と、
前記各スイッチング素子の前記第3電極が導通接合されている第3導電体層(223)と、
を含んでいる、
付記8に記載の半導体装置。
[付記9-1]
前記導電体層は、前記各スイッチング素子の前記第1電極に導通する第4導電体層(224)をさらに含んでいる、
付記9に記載の半導体装置。
〔付記10〕
前記複数のスイッチング素子は、前記厚さ方向に直交する第1方向に配列され、
前記第1導電体層、前記第2導電体層、および前記第3導電体層は、それぞれ、前記第1方向に沿って延びる部分(221a,222a,223a)を有する、
付記9に記載の半導体装置。
〔付記11〕
前記複数の半導体素子、前記接合材、および前記導電体層の全体と、前記基板の少なくとも一部とを覆う樹脂部材(5)と、
前記導電体層に導通し、かつ、前記樹脂部材から露出する部分を含む複数の端子(3)と、
をさらに備えている、
付記9または10に記載の半導体装置。
〔付記12〕
前記複数の端子は、
前記第1導電体層に導通する第1端子(32)と、
前記第2導電体層に導通する第2端子(33)と、
前記第3導電体層に導通する第3端子(31)と、
を含んでいる、
付記11に記載の半導体装置。
〔付記13〕
前記複数の端子は、いずれも、前記導電体層に接合されている、
付記11または12に記載の半導体装置。
〔付記14、第2実施形態、
図21〕
前記基板を収容する絶縁性のケース(72)をさらに備え、
前記複数の端子のいずれかは、前記ケースに配置されている、
付記11または12に記載の半導体装置。
〔付記15、
図9,
図10,
図13〕
厚さ方向において互いに反対側を向く基板主面(911)および基板裏面(912)を有する絶縁性の基板(911)と、リードフレーム(92)と、を準備する工程と、
接合材(93)を介して、前記基板に前記リードフレームを接合する工程と、
前記基板および前記リードフレームを切断する工程と、
前記リードフレームの切断により形成された導電体層に半導体素子を接合する工程と、
を備える、半導体装置の製造方法。
[付記15-1、第1実施形態第1変形例、
図16,
図19]
前記リードフレームを接合する工程の前に、前記基板主面の全面に主面金属層を形成する工程と、
前記リードフレームを接合する工程の後に、前記主面金属層のうち、リードフレームが接合されていない部分を除去する除去工程と、
をさらに備える、
付記15に記載の、半導体装置の製造方法。
[付記15-2]
前記除去工程では、ウエットブラスト処理により除去を行う、
付記15-1に記載の、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0112】
A10,A11,A20:半導体装置
11,12,13,14:半導体素子
11a,12a,13a,14a:素子主面
11b,12b,13b,14b:素子裏面
110,120:導電性接合材
111,131:第1電極
112,132:第2電極
113,133:第3電極
121,141:アノード電極
122,142:カソード電極
2 :支持部材
21 :絶縁基板
211 :主面
212 :裏面
22,221,222,223,224,225,226,227,229:導電体層
221a,222a,223a,224a:帯状部
225a:接続部材接合部
221b,222b,223b,224b,225b:端子接合部
23 :裏面金属層
25 :主面金属層
29 :接合材
3 :端子
31,31A,31B,32,36:電力端子
33,37:信号端子
34,35,38,39,30:検出端子
311,321,331,341,351:パッド部
312,322,332,342,352:端子部
313A,313B,323,363:先端部
314A,314B,324,364:基部
315A,315B,325,365:立上部
316A,316B,326,366:櫛歯部
319A,319B,329,369:挿通孔
40~49,81~85:接続部材
5 :樹脂部材
51 :樹脂主面
52 :樹脂裏面
531,532,533,534:樹脂側面
70 :天板
71 :放熱板
72 :ケース
73 :枠部
731~734:側壁
74 :凹部
75 :取付用貫通孔
76 :筒状金属部材
771~774:端子台
91 :絶縁基板
911 :主面
912 :裏面
92 :リードフレーム
93 :接合ペースト
94 :リードフレーム
95 :導電性接合ペースト
96 :主面金属層
97 :はんだペースト
DR :ドライブ回路
MC :ミラークランプ回路
NT :ナット