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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182253
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】空気浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/003 20210101AFI20221201BHJP
   F24F 8/10 20210101ALI20221201BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20221201BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20221201BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20221201BHJP
   E04B 1/92 20060101ALI20221201BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
F24F7/003
F24F8/10
F24F11/46
F24F11/77
A61L9/00 Z
E04B1/92
E04B1/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089718
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 大介
(72)【発明者】
【氏名】服巻 茉莉花
(72)【発明者】
【氏名】古橋 拓也
【テーマコード(参考)】
2E001
3L260
4C180
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001DH11
2E001FA14
2E001FA15
2E001NA02
2E001NB01
2E001ND05
3L260AB15
3L260AB18
3L260BA16
3L260CA02
3L260CA03
3L260CA15
3L260CA17
3L260CB54
3L260CB65
3L260FA07
3L260FA08
3L260FC04
3L260FC14
3L260GA14
3L260GA17
4C180AA07
4C180AA16
4C180CA10
4C180DD09
4C180DD20
4C180HH01
4C180HH05
4C180KK04
4C180LL11
4C180LL15
(57)【要約】
【課題】室内での感染を抑制する上で有利になる空気浄化システムを提供する。
【解決手段】空気浄化システムは、室内を換気する換気装置と、室内の空気調和を行う空調機と、室内の空気から粒子を除去する空気清浄機と、室内に送風する送風機と、室内を加湿する加湿機とのうちのいずれかに該当する浄化装置と、室内において、人が集まっている領域と、体温が平熱よりも高い人がいる領域との少なくとも一方を、浄化対象エリアとして検知可能であるとともに、浄化対象エリアが存在する場合に、浄化対象エリアの位置を検知する浄化対象エリア検知手段と、浄化対象エリアが存在する場合に、浄化対象エリアの位置に応じて、浄化対象エリアの風速または湿度が増加するように、浄化装置を自動で起動するか、浄化装置の動作を自動で調整するか、浄化装置を起動することを推奨する旨を通知するか、浄化装置の動作を調整することを推奨する旨を通知する制御手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を換気する換気装置と、前記室内の空気調和を行う空調機と、前記室内の空気から粒子を除去する空気清浄機と、前記室内に送風する送風機と、前記室内を加湿する加湿機とのうちのいずれかに該当する浄化装置と、
前記室内において、人が集まっている領域と、体温が平熱よりも高い人がいる領域との少なくとも一方を、浄化対象エリアとして検知可能であるとともに、前記浄化対象エリアが存在する場合に、前記浄化対象エリアの位置を検知する浄化対象エリア検知手段と、
前記浄化対象エリアが存在する場合に、前記浄化対象エリアの位置に応じて、前記浄化対象エリアの風速または湿度が増加するように、前記浄化装置を自動で起動するか、前記浄化装置の動作を自動で調整するか、前記浄化装置を起動することを推奨する旨を通知するか、前記浄化装置の動作を調整することを推奨する旨を通知する制御手段と、
を備える空気浄化システム。
【請求項2】
前記室内において互いに異なる位置に配置された複数の照明器具と、
前記複数の照明器具のそれぞれに設けられ、当該照明器具が光を照射する範囲にいる人の数と、当該照明器具が光を照射する範囲にいる人の体温との少なくとも一方を検知する検知器と、
を備え、
前記浄化対象エリア検知手段は、前記複数の照明器具の前記検知器により、前記浄化対象エリアの有無と前記浄化対象エリアの位置とを検知する請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項3】
前記浄化装置は、前記室内に通じる複数の通気口を備え、
前記浄化対象エリアが存在する場合に、前記制御手段は、前記複数の通気口のうち、前記浄化対象エリアに近い一部の通気口を通る空気の流量を自動で上げるか、前記一部の通気口を通る空気の流量を上げることを推奨する旨を通知する請求項1または請求項2に記載の空気浄化システム。
【請求項4】
前記一部の通気口を通る空気の流量を上げると、前記複数の通気口のうちの他の通気口を通る空気の流量を下げる請求項3に記載の空気浄化システム。
【請求項5】
複数の前記浄化装置を備え、
前記浄化対象エリアが存在する場合に、前記制御手段は、前記複数の前記浄化装置のうち、前記浄化対象エリアに近い一部の浄化装置を自動で起動するか、前記一部の浄化装置の動作速度を上げるか、前記一部の浄化装置を起動することを推奨する旨を通知するか、前記一部の浄化装置の動作速度を上げることを推奨する旨を通知する請求項1または請求項2に記載の空気浄化システム。
【請求項6】
前記一部の浄化装置の動作速度を上げた場合に、前記制御手段は、前記複数の前記浄化装置のうちの他の浄化装置の動作速度を自動で下げる請求項5に記載の空気浄化システム。
【請求項7】
前記浄化装置から前記室内に吹き出される風の向きである風向を変える風向可変手段を備え、
前記浄化対象エリアが存在する場合に、前記制御手段は、前記浄化対象エリアの風速が増加するように、前記風向を自動で調整するか、前記風向を調整することを推奨する旨を通知する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【請求項8】
前記浄化対象エリアが消滅した後、前記制御手段は、前記浄化装置を自動で停止させるか、前記浄化装置の動作速度を自動で下げるか、前記浄化装置を停止することを推奨する旨を通知するか、前記浄化装置の動作速度を下げることを推奨する旨を通知する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の空気浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルス感染症、インフルエンザウイルス感染症などの感染症の流行を抑制するために、室内の空気を浄化する必要性が増している。特に、例えば店舗、オフィスなど、多数の人が利用する場所では、より有効に、室内の空気を浄化することが求められている。
【0003】
下記特許文献1に開示された空調制御システムは、複数の照明と、複数の照明が設置された室内の温度を調整する空調装置を制御する空調制御装置とを備える。複数の照明のそれぞれは、温度を測定する温度測定部と、温度測定部により測定された温度を示す温度情報を出力する出力部とを有する。空調制御装置は、複数の照明の出力部が出力する複数の温度情報を取得する取得部と、複数の温度情報に基づいて、空調装置を制御する制御部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-228173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の空調制御システムは、室内のさまざまな位置における温度の調整精度を向上させることを目的としている。しかしながら、室内での感染を抑制することは困難である。
【0006】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、室内での感染を抑制する上で有利になる空気浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る空気浄化システムは、室内を換気する換気装置と、室内の空気調和を行う空調機と、室内の空気から粒子を除去する空気清浄機と、室内に送風する送風機と、室内を加湿する加湿機とのうちのいずれかに該当する浄化装置と、室内において、人が集まっている領域と、体温が平熱よりも高い人がいる領域との少なくとも一方を、浄化対象エリアとして検知可能であるとともに、浄化対象エリアが存在する場合に、浄化対象エリアの位置を検知する浄化対象エリア検知手段と、浄化対象エリアが存在する場合に、浄化対象エリアの位置に応じて、浄化対象エリアの風速または湿度が増加するように、浄化装置を自動で起動するか、浄化装置の動作を自動で調整するか、浄化装置を起動することを推奨する旨を通知するか、浄化装置の動作を調整することを推奨する旨を通知する制御手段と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、室内での感染を抑制する上で有利になる空気浄化システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1による空気浄化システムを示す図である。
図2図1に示す空気浄化システムが備えられた室内の一部を模式的に示す側面図である。
図3】実施の形態2による空気浄化システムを示す図である。
図4図3に示す空気浄化システムが備えられた室内の一部を模式的に示す側面図である。
図5】実施の形態3による空気浄化システムを示す図である。
図6図5に示す空気浄化システムが備えられた室内の一部を模式的に示す側面図である。
図7】実施の形態4による空気浄化システムを示す図である。
図8図7に示す空気浄化システムが備えられた室内の一部を模式的に示す側面図である。
図9】実施の形態5による空気浄化システムを示す図である。
図10図9に示す空気浄化システムが備えられた室内の一部を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。本開示では、ウイルスと細菌を総称して単に「ウイルス」と記載する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による空気浄化システム1を示す図である。図1には、空気浄化システム1が備えられた室内90の模式的な平面図が含まれている。図2は、図1に示す空気浄化システム1が備えられた室内90の一部を模式的に示す側面図である。
【0012】
室内90は、例えば、オフィス、店舗、会議室、教室、待合室、ロビー、食堂、病室などとして利用される空間でもよい。本開示において、室内90を換気する換気装置と、室内90の空気調和を行う空調機2と、室内90の空気から粒子を除去する空気清浄機と、室内90に送風する送風機と、室内90を加湿する加湿機とのそれぞれは、「浄化装置」とも呼ばれる。空調機2は、室内90を冷房する運転と、室内90を暖房する運転と、室内90を除湿する運転とのうちの少なくとも一つの運転を実行可能である。
【0013】
本開示による空気浄化システム1は、少なくとも一つの浄化装置と、システム制御部3とを備える。本実施の形態では、空気浄化システム1は、換気装置と、空調機2とを備える。図1に示すように、本実施の形態では、室内90に、4台の空調機2が、平面視において互いに異なる位置に、配置されている。
【0014】
平面視において室内90の一端側に、換気装置の排気口6が設けられている。換気装置が作動すると、室内90の空気は、排気口6を通って、室外へ排出される。本実施の形態では、二つの排気口6が、互いから離れた位置に、設けられている。平面視において室内90の他端側に、換気装置の給気口7が設けられている。本実施の形態では、二つの給気口7が、互いから離れた位置に、設けられている。換気装置が作動すると、室外の新鮮な空気が、給気口7から室内90に流入する。排気口6及び給気口7は、室内90に通じる通気口に相当する。
【0015】
換気装置は、排気口6から空気を室外へ排出するための排気ファンと、室外の空気を給気口7から室内90に送り込むための給気ファンとの少なくとも一方のファン(図示省略)を備える。図2に示す例では、室内90の天井に排気口6及び給気口7が設けられている。
【0016】
システム制御部3は、浄化装置に対して、直接的または間接的に、通信可能でもよい。空気浄化システム1は、システム制御部3が浄化装置の動作を制御可能であるように構成されていてもよい。浄化装置に対して、システム制御部3が、直接、動作指令を送信してもよい。あるいは、システム制御部3が、他の機器を介して、間接的に、浄化装置の動作を制御してもよい。例えば、室内90にいる人が操作するための、浄化装置のリモコン(図示省略)に対して、システム制御部3が指令を送信し、その指令を受けたリモコンが浄化装置に対して動作指令を送信してもよい。なお、本開示において、システム制御部3と、浄化装置または他の機器との間の通信方式は、無線通信でもよいし、有線通信でもよい。
【0017】
本実施の形態における空気浄化システム1は、室内90において互いに異なる位置に配置された複数の照明器具4を備える。照明器具4は、室内90の天井に設けられている。図1に示す例では、室内90に、16個の照明器具4が、平面視において互いに異なる位置に、配置されている。図示の例では、平面視において、複数の照明器具4が、実質的に等間隔で、配置されている。
【0018】
図2に示すように、複数の照明器具4のそれぞれに、検知器5が設けられている。図2中の照射範囲91は、それぞれの照明器具4が光を照射する範囲に相当する。検知器5は、その検知器5が属する照明器具4の照射範囲91にいる人Pの数と、その照射範囲91にいる人Pの体温との少なくとも一方を検知する。すなわち、検知器5の検知範囲92は、その検知器5が属する照明器具4の照射範囲91と、実質的に同等の範囲である。
【0019】
以下の説明では、それぞれの検知器5の検知範囲92に相当する領域を「区画93」と称する。図1に示す例では、照明器具4及び検知器5が16個ずつあることに対応して、室内90は、16個の区画93に分かれる。
【0020】
検知器5は、例えば、室内90にある熱源を検知する熱源センサを用いたものでもよい。検知器5は、赤外線により、室内90にある熱源を検知するものでもよい。検知器5は、区画93内を走査して赤外線を検知することで、区画93の熱画像を検知可能なものでもよい。検知器5は、区画93内の、特定の温度範囲にある熱源の数をカウントし、これを人Pと判断して、区画93内の人Pの数をカウントしてもよい。「特定の温度範囲」は、健康な人間の体温もしくは表面温度、あるいは発熱している人間の体温もしくは表面温度、がとりうる温度範囲に相当する。「特定の温度範囲」は、例えば、34℃~40℃の範囲でもよい。
【0021】
検知器5は、区画93内に、体温が平熱よりも高い人Pがいるかどうかを検知してもよい。体温が平熱よりも高い人Pを、以下、「発熱者」と呼ぶ。例えば、検知器5は、37.5℃以上の熱源を、発熱者として検知してもよい。
【0022】
それぞれの検知器5は、検知された情報と、その検知器5が属する照明器具4がどの区画93にあるかを示す位置情報とを、システム制御部3に送信する。システム制御部3は、検知器5から受信した情報によって、どの区画93に何人の人Pがいるか、あるいは、どの区画93に発熱者がいるかを、検知することができる。なお、それぞれの検知器5は、上記位置情報に代えて、その検知器5が属する照明器具4のID情報をシステム制御部3に送信してもよい。その場合、システム制御部3は、それぞれの照明器具4について、そのID情報と、どの区画93に位置するかとを対応付けた関係を予め記憶しておき、検知器5から受信したID情報を当該関係に照合することで、どの区画93に何人の人Pがいるか、あるいは、どの区画93に発熱者がいるかを、検知することができる。
【0023】
システム制御部3は、端末8と通信可能でもよい。端末8は、ヒューマンインターフェースに相当する。端末8は、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、テレビ、スマートスピーカのいずれかでもよい。端末8は、例えば、室内90を管理する管理者が利用するものでもよい。管理者とは、例えば、オフィス管理人、店舗従業員、教員、施設職員などでもよい。管理者は、室内90とは別の部屋にいる人でもよい。また、端末8は、室内90にいる人が利用するものでもよい。
【0024】
本開示による空気浄化システム1は、浄化対象エリア検知手段を備える。浄化対象エリア検知手段は、室内90において、人Pが集まっている領域と、発熱者がいる領域との少なくとも一方を、浄化対象エリアとして検知可能である。浄化対象エリア検知手段は、浄化対象エリアの有無と、浄化対象エリアの位置とを検知する。
【0025】
本実施の形態における浄化対象エリア検知手段は、複数の照明器具4のそれぞれに設けられた検知器5で検出された情報をシステム制御部3により処理することで、達成される。本実施の形態であれば、複数の照明器具4のそれぞれに設けられた検知器5を利用して浄化対象エリアを検知することで、室内90の全体を、網羅的に、効率良く、検知することが可能となる。
【0026】
浄化対象エリア検知手段は、例えば、一つの区画93にいる人Pの数が3以上である場合に、当該区画93を、人Pが集まっている領域とみなして、浄化対象エリアとして検知してもよい。あるいは、浄化対象エリア検知手段は、一つの区画93に、複数の人Pが、所定距離以内の間隔で存在する場合に、当該区画93を、人Pが集まっている領域とみなして、浄化対象エリアとして検知してもよい。この「所定距離」は、例えば、2mでもよい。
【0027】
浄化対象エリア検知手段は、例えば、一つの区画93に、発熱者が一人でもいる場合に、当該区画93を、発熱者がいる領域とみなして、浄化対象エリアとして検知してもよい。
【0028】
浄化対象エリア検知手段は、発熱者がいる領域を検知せず、人Pが集まっている領域だけを、浄化対象エリアとして検知するものでもよい。浄化対象エリア検知手段は、人Pが集まっている領域を検知せず、発熱者がいる領域だけを、浄化対象エリアとして検知するものでもよい。浄化対象エリア検知手段は、人Pが集まっている領域を浄化対象エリアとして検知するとともに、発熱者がいる領域を浄化対象エリアとして検知するものでもよい。
【0029】
本開示による空気浄化システム1は、浄化対象エリアが存在する場合に、浄化対象エリアの位置に応じて、浄化対象エリアの風速または湿度が増加するように、浄化装置を自動で起動するか、浄化装置の動作を自動で調整するか、浄化装置を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知するか、浄化装置の動作を調整することを推奨する旨を端末8により管理者に通知する制御手段を備える。本実施の形態では、システム制御部3が制御手段に相当する。本開示において、「湿度」とは、絶対湿度を意味するものとする。
【0030】
浄化対象エリアの空気中には、浄化対象エリア以外の領域の空気中に比べて、ウイルスを含んでいる可能性のある飛沫が、多く含まれる傾向があると考えられる。本開示による空気浄化システム1であれば、浄化対象エリアの風速または湿度を自動で増加させることができる。あるいは、上記の通知を受けた管理者が、浄化装置を起動するか、浄化装置の動作を調整することにより、浄化対象エリアの風速または湿度を増加させることが期待できる。浄化対象エリアの風速が増加した場合には、飛沫が風に流されて浄化対象エリアから除去されやすくなるので、ウイルスが人Pに感染することを予防する上で有利になる。また、湿度が高いと、ウイルスの感染を予防しうることが知られている。このため、浄化対象エリアの湿度が増加した場合には、ウイルスが人Pに感染することを予防する上で有利になる。
【0031】
浄化装置を、常時、高い能力で運転していれば、室内90における感染を抑制する上で有利にはなるが、浄化装置が騒音を発生したり、浄化装置の消費電力が高くなったりするという課題がある。また、冷房あるいは暖房を必要とする季節においては、換気装置を、常時、高い能力で運転していると、冷房負荷あるいは暖房負荷が高くなり、省エネルギーが図れない。これに対し、本開示による空気浄化システム1であれば、浄化対象エリアが存在する場合にだけ、その浄化対象エリアの風速または湿度を浄化装置により増加させることができる。それゆえ、必要以上に浄化装置を作動させることがないので、省エネルギーを図る上で有利になるとともに、浄化装置が発生する騒音も低減できる。
【0032】
システム制御部3は、浄化装置を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知する場合には、どの浄化装置を起動すべきかを併せて通知する。また、システム制御部3は、浄化装置の動作を調整することを推奨する旨を端末8により管理者に通知する場合には、どの浄化装置の動作を、どのように調整すべきかを併せて通知する。
【0033】
図1に示す例では、16個の区画93のうち、区画93Aに人Pが3人おり、区画93Bに人Pが3人いる。この例では、区画93Aの照明器具4の検知器5が3人の人Pを検知し、区画93Bの照明器具4の検知器5が3人の人Pを検知する。それらの検知器5から受信した情報を用いて、システム制御部3は、区画93Aと区画93Bを浄化対象エリアとする。
【0034】
本実施の形態においては、空気浄化システム1は、浄化装置としての換気装置により、浄化対象エリアの飛沫を低減させる。
【0035】
換気装置は、二つの排気口6を通る空気の流量を個別に調整できるように構成されていてもよい。例えば、換気装置は、ダンパを用いて風路を切り替えることで、一方の排気口6を通る空気の流量が、他方の排気口6を通る空気の流量よりも高くなるようにしたり、その反対に、他方の排気口6を通る空気の流量が、一方の排気口6を通る空気の流量よりも高くなるようにしたりすることができるように構成されていてもよい。あるいは、換気装置は、一方の排気口6に連通する排気ファンと、他方の排気口6に連通する排気ファンとを別々に備え、各排気ファンの動作速度を個別に調整できるように構成されていてもよい。
【0036】
また、換気装置は、二つの給気口7を通る空気の流量を個別に調整できるように構成されていてもよい。例えば、換気装置は、ダンパを用いて風路を切り替えることで、一方の給気口7を通る空気の流量が、他方の給気口7を通る空気の流量よりも高くなるようにしたり、その反対に、他方の給気口7を通る空気の流量が、一方の給気口7を通る空気の流量よりも高くなるようにしたりすることができるように構成されていてもよい。あるいは、換気装置は、一方の給気口7に連通する給気ファンと、他方の給気口7に連通する給気ファンとを別々に備え、各給気ファンの動作速度を個別に調整できるように構成されていてもよい。
【0037】
図示の例では、一方の排気口6と、浄化対象エリアである区画93A,93Bとの距離は、他方の排気口6と、浄化対象エリアである区画93A,93Bとの距離よりも短い。このような場合に、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一方の排気口6を通る空気の流量を自動で上げるか、浄化対象エリアに近い一方の排気口6を通る空気の流量を上げることを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。これにより、浄化対象エリアの風速を増加し、飛沫を低減することが可能となる。
【0038】
このように、室内90に通じる複数の通気口を浄化装置が備える場合において、浄化対象エリアが存在するときに、システム制御部3は、複数の通気口のうち、浄化対象エリアに近い一部の通気口を通る空気の流量を自動で上げるか、浄化対象エリアに近い一部の通気口を通る空気の流量を上げることを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。これにより、浄化対象エリアの風速を増加し、飛沫を低減することが可能となる。例えば、一方の給気口7と浄化対象エリアとの距離が、他方の給気口7と浄化対象エリアとの距離よりも短い場合において、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一方の給気口7を通る空気の流量を自動で上げるか、浄化対象エリアに近い一方の給気口7を通る空気の流量を上げることを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。
【0039】
複数の通気口のうち、浄化対象エリアに近い一部の通気口を通る空気の流量を上げた場合に、複数の通気口のうちの他の通気口を通る空気の流量を下げてもよい。これにより、総量として空気の流量を一定にしつつ、浄化対象エリアからの飛沫の除去を促進できるので、エネルギー消費の増加を抑制できる。
【0040】
例えば、図示の例のように、浄化対象エリアに近い一方の排気口6を通る空気の流量を上げた場合に、他方の排気口6を通る空気の流量を下げてもよい。これにより、総量として換気風量を一定にしつつ、浄化対象エリアからの飛沫の除去を促進できるので、エネルギー消費の増加を抑制できる。例えば、一方の排気口6に連通する排気ファンの動作速度を上げた場合に、システム制御部3は、他方の排気口6に連通する排気ファンの動作速度を下げてもよい。あるいは、一つの排気ファンが二つの排気口6に連通し、一方の排気口6の流量と他方の排気口6の流量との割合をダンパによって切り替え可能な構成を換気装置が有する場合には、一方の排気口6を通る空気の流量を上げると、他方の排気口6を通る空気の流量が自動的に下がる。
【0041】
本開示における浄化対象エリア検知手段の構成は、前述した例に限定されるものではない。例えば、浄化対象エリア検知手段の検知器5は、照明器具4とは別個に設けられたものでもよい。すなわち、空気浄化システム1は、必ずしも照明器具4を備えていなくてもよい。また、浄化対象エリア検知手段が、発熱者を検知せず、人Pが集まっている領域だけを浄化対象エリアとして検知するものである場合には、検知器5は、熱源センサでなくてもよい。すなわち、検知器5は、例えば、室内90を撮影する画像センサ、ドップラーセンサ、室内90の空気中の二酸化炭素濃度を検知するCOセンサ、音感知センサなど、他の方式のセンサに相当するものでもよい。
【0042】
システム制御部3は、単一箇所の検知器5からの情報に基づいて浄化対象エリアを検知してもよいし、複数個所の検知器5からの情報に基づいて浄化対象エリアを検知してもよい。例えば、システム制御部3は、隣接する複数の検知器5から送られてくる、人数カウントの合計あるいは平均値により、浄化対象エリアを検知してもよい。また、システム制御部3は、人Pが集まっている領域が存在している時間が基準を超えるのを待ってから、その領域を浄化対象エリアとして検知してもよい。また、システム制御部3は、発熱者が存在している時間が基準を超えるのを待ってから、その領域を浄化対象エリアとして検知してもよい。
【0043】
システム制御部3の各機能は、処理回路により達成されてもよい。システム制御部3の処理回路は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備えてもよい。処理回路が少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備える場合、システム制御部3の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより達成されてもよい。ソフトウェア及びファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述されてもよい。ソフトウェア及びファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリに格納されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、システム制御部3の各機能を達成してもよい。少なくとも1つのメモリは、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク等を含んでもよい。
【0044】
システム制御部3の処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェアを備えてもよい。処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェアを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものでもよい。システム制御部3の各部の機能がそれぞれ処理回路で達成されても良い。また、システム制御部3の各部の機能がまとめて処理回路で達成されても良い。システム制御部3の各機能について、一部を専用のハードウェアで達成し、他の一部をソフトウェアまたはファームウェアで達成してもよい。処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、システム制御部3の各機能を達成しても良い。
【0045】
また、システム制御部3は、浄化装置または照明器具4に内在または隣接して設けられていてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウドサーバ上にあってもよい。
【0046】
実施の形態2.
次に、図3及び図4を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。図3は、実施の形態2による空気浄化システム9を示す図である。図3には、空気浄化システム9が備えられた室内90の模式的な平面図が含まれている。図4は、図3に示す空気浄化システム9が備えられた室内90の一部を模式的に示す側面図である。
【0047】
本実施の形態においては、空気浄化システム9は、浄化装置としての空調機2により、浄化対象エリアの飛沫を低減させる。本実施の形態において、浄化対象エリアが存在する場合に、システム制御部3は、浄化対象エリアの位置に応じて、浄化対象エリアの風速が増加するように、空調機2を自動で起動するか、空調機2の動作を自動で調整するか、空調機2を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知するか、空調機2の動作を調整することを推奨する旨を端末8により管理者に通知する。
【0048】
例えば、すべての空調機2が停止していた場合には、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一部の空調機2を自動で起動するか、その空調機2を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。また、すべての空調機2が運転していた場合には、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一部の空調機2の風量あるいは動作速度を自動で上げるか、その空調機2の風量あるいは動作速度を上げることを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。これにより、浄化対象エリアの風速が増加し、飛沫が低減することを期待できる。
【0049】
図3に示す例では、4台の空調機2のうち、図中で左下の空調機2が、「浄化対象エリアに近い一部の空調機2」に相当する。
【0050】
本開示において、浄化装置から室内90に吹き出される風の向きを「風向」と称する。浄化装置は、風向を変える風向可変手段を備えていてもよい。風向可変手段は、例えば、フラップあるいはルーバの角度を変えることで風向を変えるものでもよい。
【0051】
図3に示すように、本実施の形態において、複数の空調機2のそれぞれは、平面視において、4方向へ送風可能であり、各方向への風量を風向可変手段により個別に変えることができるように構成されていてもよい。
【0052】
浄化対象エリアが存在する場合に、システム制御部3は、浄化対象エリアの風速が増加するように、少なくとも一つの空調機2の風向を自動で調整するか、少なくとも一つの空調機2の風向を調整することを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。
【0053】
例えば、システム制御部3は、図3に示す例のように、4台の空調機2のうち、図中で左上の空調機2と右下の空調機2について、浄化対象エリアである区画93A,93Bに向かう方向の風量が増加するように、風向を自動で変えるか、そのように風向を変えることを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。これにより、浄化対象エリアの風速が増加し、飛沫が低減することを期待できる。特に、空調機2の送風量が総量として一定の場合であっても、浄化対象エリアの風速を増加させることができるので、浄化対象エリアを中心に室内90の空気が攪拌され、浄化対象エリアの飛沫を効率良く低減することが可能となる。
【0054】
本開示において、空調機2には、通過する空気を濾過する集塵フィルタと、通過する空気中の粒子を除去する電気集塵機と、通過する空気にイオンを発生させるイオン発生機とのうちの少なくとも一つが組み込まれていてもよい。これらのうちの少なくとも一つを空調機2に搭載することで、空調機2に吸い込まれた空気中の飛沫を除去したり、飛沫に含まれる可能性があるウイルスを不活化したりすることが可能となる。
【0055】
実施の形態3.
次に、図5及び図6を参照して、実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。図5は、実施の形態3による空気浄化システム10を示す図である。図5には、空気浄化システム10が備えられた室内90の模式的な平面図が含まれている。図6は、図5に示す空気浄化システム10が備えられた室内90の一部を模式的に示す側面図である。
【0056】
これらの図に示すように、本実施の形態の空気浄化システム10は、室内90において互いに異なる位置に配置された複数の空気清浄機11を備える。例えば、平面視において、室内90の一端側に、一部の空気清浄機11が配置され、室内90の他端側に、別の空気清浄機11が配置されてもよい。
【0057】
本実施の形態において、空気浄化システム10は、浄化装置としての空気清浄機11により、浄化対象エリアの飛沫を低減させる。本実施の形態において、浄化対象エリアが存在する場合に、システム制御部3は、浄化対象エリアの位置に応じて、浄化対象エリアの風速が増加するように、空気清浄機11を自動で起動するか、空気清浄機11の動作を自動で調整するか、空気清浄機11を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知するか、空気清浄機11の動作を調整することを推奨する旨を端末8により管理者に通知する。
【0058】
例えば、すべての空気清浄機11が停止していた場合には、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一部の空気清浄機11を自動で起動するか、その空気清浄機11を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。また、すべての空気清浄機11が運転していた場合には、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一部の空気清浄機11の風量あるいは動作速度を自動で上げるか、その空気清浄機11の風量あるいは動作速度を上げることを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。これにより、浄化対象エリアの風速が増加するとともに、浄化対象エリアに近い空気清浄機11を時間当たりに通過する空気の量が増えるので、浄化対象エリアの飛沫が低減したり、飛沫に含まれる可能性のあるウイルスが不活性化したりすることを期待できる。
【0059】
図5に示す例では、2台の空気清浄機11のうち、図中で左側の空気清浄機11が、「浄化対象エリアに近い一部の空気清浄機11」に相当する。
【0060】
実施の形態4.
次に、図7及び図8を参照して、実施の形態4について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。図7は、実施の形態4による空気浄化システム12を示す図である。図7には、空気浄化システム12が備えられた室内90の模式的な平面図が含まれている。図8は、図7に示す空気浄化システム12が備えられた室内90の一部を模式的に示す側面図である。
【0061】
これらの図に示すように、本実施の形態の空気浄化システム12は、室内90において互いに異なる位置に配置された複数の送風機13を備える。例えば、平面視において、室内90の一端側に、一部の送風機13が配置され、室内90の他端側に、別の送風機13が配置されてもよい。
【0062】
本実施の形態において、空気浄化システム12は、浄化装置としての送風機13により、浄化対象エリアの飛沫を低減させる。本実施の形態において、浄化対象エリアが存在する場合に、システム制御部3は、浄化対象エリアの位置に応じて、浄化対象エリアの風速が増加するように、送風機13を自動で起動するか、送風機13の動作を自動で調整するか、送風機13を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知するか、送風機13の動作を調整することを推奨する旨を端末8により管理者に通知する。
【0063】
例えば、すべての送風機13が停止していた場合には、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一部の送風機13を自動で起動するか、その送風機13を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。また、すべての送風機13が運転していた場合には、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一部の送風機13の風量あるいは動作速度を自動で上げるか、その送風機13の風量あるいは動作速度を上げることを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。これにより、浄化対象エリアの風速が増加するので、浄化対象エリアの飛沫が低減することを期待できる。
【0064】
図7に示す例では、2台の送風機13のうち、図中で左側の送風機13が、「浄化対象エリアに近い一部の送風機13」に相当する。
【0065】
また、浄化対象エリアが存在する場合に、システム制御部3は、浄化対象エリアの風速が増加するように、少なくとも一つの送風機13の風向を自動で調整するか、少なくとも一つの送風機13の風向を調整することを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。例えば、システム制御部3は、少なくとも一つの送風機13の風向が、浄化対象エリアに向くように、送風機13の風向を自動で調整するか、送風機13の風向をそのように調整することを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。
【0066】
実施の形態5.
次に、図9及び図10を参照して、実施の形態5について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。図9は、実施の形態5による空気浄化システム14を示す図である。図9には、空気浄化システム14が備えられた室内90の模式的な平面図が含まれている。図10は、図9に示す空気浄化システム14が備えられた室内90の一部を模式的に示す側面図である。
【0067】
これらの図に示すように、本実施の形態の空気浄化システム14は、室内90において互いに異なる位置に配置された複数の加湿機15を備える。例えば、平面視において、室内90の一端側に、一部の加湿機15が配置され、室内90の他端側に、別の加湿機15が配置されてもよい。
【0068】
本実施の形態において、空気浄化システム14は、浄化装置としての加湿機15により、浄化対象エリアの湿度を増加させる。本実施の形態において、浄化対象エリアが存在する場合に、システム制御部3は、浄化対象エリアの位置に応じて、浄化対象エリアの湿度が増加するように、加湿機15を自動で起動するか、加湿機15の動作を自動で調整するか、加湿機15を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知するか、加湿機15の動作を調整することを推奨する旨を端末8により管理者に通知する。
【0069】
例えば、すべての加湿機15が停止していた場合には、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一部の加湿機15を自動で起動するか、その加湿機15を起動することを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。また、すべての加湿機15が運転していた場合には、システム制御部3は、浄化対象エリアに近い一部の加湿機15の加湿量あるいは動作速度を自動で上げるか、その加湿機15の加湿量あるいは動作速度を上げることを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。これにより、浄化対象エリアの湿度が増加するので、浄化対象エリアにおいてウイルス感染を予防することを期待できる。また、湿度が増加すると、飛沫の水分が増加し、飛沫の質量が増加することで、飛沫の沈降速度が速くなるので、浄化対象エリアの飛沫が低減することを期待できる。
【0070】
図9に示す例では、2台の加湿機15のうち、図中で左側の加湿機15が、「浄化対象エリアに近い一部の加湿機15」に相当する。
【0071】
以上説明した実施の形態2から実施の形態5において、浄化対象エリアに近い一部の浄化装置を自動でシステム制御部3が起動するか、通知を受けた管理者が、浄化対象エリアに近い一部の浄化装置を起動させた場合に、システム制御部3は、複数の浄化装置のうちの他の浄化装置の動作速度を自動で下げてもよい。これにより、全体としてのエネルギー消費が増加することを抑制できるので、さらに省エネルギーが図れる。
【0072】
また、実施の形態1から実施の形態5において、浄化対象エリアが消滅したことを浄化対象エリア検知手段が検知した場合に、システム制御部3は、浄化装置を自動で停止させるか、浄化装置の動作速度を自動で下げるか、浄化装置を停止することを推奨する旨を端末8により管理者に通知するか、浄化装置の動作速度を下げることを推奨する旨を端末8により管理者に通知してもよい。そのようにすることで、さらに省エネルギーが図れる。
【0073】
本開示による空気浄化システムは、換気装置と、空調機2と、空気清浄機11と、送風機13と、加湿機15とのうちの、2種以上の浄化装置を備え、その2種以上の浄化装置を用いて、浄化対象エリアの風速または湿度を増加させるようにしてもよい。
【0074】
なお、上述した複数の実施の形態のうち、組み合わせることが可能な二つ以上を組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 空気浄化システム、 2 空調機、 3 システム制御部、 4 照明器具、 5 検知器、 6 排気口、 7 給気口、 8 端末、 9 空気浄化システム、 10 空気浄化システム、 11 空気清浄機、 12 空気浄化システム、 13 送風機、 14 空気浄化システム、 15 加湿機、 90 室内、 91 照射範囲、 92 検知範囲、 93 区画、 93A 区画、 93B 区画
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10