(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182254
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
H02J3/38
H02J3/38 130
H02J3/38 160
H02J3/38 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089719
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】白井 諒
(72)【発明者】
【氏名】高椋 庄吾
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066CA04
5G066HB06
5G066HB07
(57)【要約】
【課題】接続先の電力系統の系統連系技術要件とは異なる逆変換装置を備えた発電ユニットを電力系統へ接続可能にするための工数やコストを低減可能な発電システムを提供する。
【解決手段】電力系統(30)に接続される発電システム(1)は、一次側直流電力を一次側交流電力に変換して出力する逆変換装置(13)であって接続先の電力系統(30)の系統連系技術要件を充足しない前記逆変換装置(13)を含む発電ユニット(10)と、発電ユニット(10)から出力される一次側交流電力を二次側直流電力に変換して出力するAC/DC変換器(21)と、接続先の電力系統(30)の系統接続技術要件を充足し、AC/DC変換器(21)から出力される二次側直流電力を二次側交流電力に変換して出力するDC/AC変換器(23)と、発電システム(1)を制御する制御装置(40)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統(30)に接続される発電システム(1, 2)において、
一次側直流電力を一次側交流電力に変換して出力する逆変換装置(13)であって接続先の前記電力系統(30)の系統連系技術要件を充足しない前記逆変換装置(13)を含む発電ユニット(10)と、
前記発電ユニット(10)から出力される前記一次側交流電力を二次側直流電力に変換して出力するAC/DC変換器(21)と、
接続先の前記電力系統(30)の系統接続技術要件を充足し、前記AC/DC変換器(21)から出力される前記二次側直流電力を二次側交流電力に変換して出力するDC/AC変換器(23)と、
前記発電システム(1)を制御する制御装置(40)と、
を備えた、発電システム。
【請求項2】
前記発電ユニット(10)は、前記一次側直流電力を出力する発電装置(11)を含み、
前記発電装置(11)は、燃料電池セル、太陽電池セル、風力発電装置又は水力発電装置のいずれか一つである、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記制御装置(40)は、
前記二次側直流電力の電圧値(V_dc)が、少なくとも前記逆変換装置(13)の電力変換効率(η1)及び前記DC/AC変換器(23)の電力変換効率(η2)の和が最大となる電圧値(V_op)となるように、前記逆変換装置(13)を制御する、請求項1又は2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記発電ユニット(10)は、接続先の前記電力系統(30)の系統電圧値とは異なる定格電圧の補機側交流電力により作動する補機類(15)を備え、
前記AC/DC変換器(21)と前記DC/AC変換器(23)とを接続する直流電力ライン(27)に接続され、前記二次側直流電力の電圧値を前記補機類(15)の定格電圧に変換して前記補機類(15)へ前記補機側交流電力を供給する補機用DC/AC変換器(25)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の発電システム。
【請求項5】
前記発電システム(2)は、
複数の前記発電ユニット(10a, 10b, 10c)と、
複数の前記発電ユニット(10a, 10b 10c)のそれぞれに接続された複数の前記AC/DC変換器(21a, 21b, 21c)と、
複数の前記AC/DC変換器(21a, 21b, 21c)に接続された一つの前記DC/AC変換器(23)と、
前記発電システム(2)を制御する制御装置(40)と、
を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に接続される発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭や企業等に備えられた発電ユニットで発電した電力を送配電事業者に売電する仕組みが確立されている。一般家庭や企業等に備えられた発電ユニットで発電した電力を送配電事業者の電力系統に供給するには、発電ユニットが系統連系技術要件を充足することが求められる。系統連系技術要件は、例えば電気方式要件(交流相数や電力ライン数)、発電装置の運転可能周波数要件、力率要件、発電出力要件及び電圧変動要件等の様々な要件を含む。この系統連系技術要件に対応するため、発電ユニットには系統連系技術要件を充足させるための逆変換装置が備えられている。逆変換装置は、例えば発電された直流電力を、系統連系技術要件を充足する交流電力に変換するインバータ回路からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、系統連系技術要件は、例えば電力系統の系統電圧値又は周波数の違い等に起因して、国や地域によって異なることが知られている。このため、接続先の電力系統の系統連系技術要件を充足しない逆変換装置を備えた発電ユニットを系統連系するためには、逆変換装置を改変したり、逆変換装置を系統連系技術要件を充足する仕様の装置に交換したり、逆変換装置と電力系統の間に外付けで保護装置を追加したりする必要がある。例えば発電ユニットの使用国とは異なる国の仕様に合わせて製造された発電ユニットを当該使用国の電力系統に接続するためには、使用国の仕様に合わせて逆変換装置を改変又は交換したり保護装置を追加したりする必要がある。
【0005】
しかしながら、逆変換装置は発電ユニットに一体化されて構成される場合があり、この場合には、逆変換装置の改変を発電ユニットの製造メーカが行う必要があるため現実的ではない。また、逆変換装置を交換するには、発電システムと逆変換装置との間の制御系統を改めて設計する必要があり、多大な工数及びコストを要するおそれがある。
【0006】
図4は、系統連系技術要件を充足しない逆変換装置63を備えて構成された発電ユニット60を電力系統70に接続するための構成例を示す参考図である。発電ユニット60は、燃料電池セルや太陽電池セル等の発電装置61と、発電装置61により発電された直流電力を所定の電圧値及び周波数の交流電力に変換する逆変換装置63と、発電装置61の駆動に用いられる補機類65とを備えている。
【0007】
逆変換装置63が電力系統70の系統連系技術要件を充足しない場合に、発電ユニット60の逆変換装置63のみを改変又は交換することが困難であるとすると、発電ユニット60から出力される交流電力の電圧値を電力系統70の系統電圧値に合わせるための変圧器51と保護装置53とを発電ユニット60の外部に接続する必要がある。また、補機類65に使用される外部電源の定格電圧値が電力系統70の系統電圧値と異なる場合、同様に変圧器55等を介して補機類65を電力系統70に接続する必要がある。しかしながら、保護装置53を外付けするには、保護装置53の選定や設計に多大な工数及びコストを要するおそれがあるとともに、改めてフィールドテスト等を行って動作確認を行う必要がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、接続先の電力系統の系統連系技術要件を充足しない仕様に構成された逆変換装置を備えた発電ユニットを電力系統へ接続可能にするための工数やコストを低減可能な発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、電力系統に接続される発電システムであって、一次側直流電力を一次側交流電力に変換して出力する逆変換装置であって接続先の電力系統の系統連系技術要件を充足しない仕様に構成された逆変換装置を含む発電ユニットと、発電ユニットから出力される一次側交流電力を二次側直流電力に変換して出力するAC/DC変換器と、接続先の電力系統の系統接続技術要件を充足する仕様に構成され、AC/DC変換器から出力される二次側直流電力を二次側交流電力に変換して出力するDC/AC変換器と、発電システムを制御する制御装置と、を備えた発電システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、接続先の電力系統の系統連系技術要件を充足しない仕様に構成された逆変換装置を備えた発電システムを電力系統へ接続可能にするための工数やコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る発電システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】本発明の第2の実施の形態に係る発電システムの構成例を示す説明図である。
【
図3】発電システムの電力変換効率を示す説明図である。
【
図4】従来の発電システムの構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<第1の実施の形態>
図1を参照して、第1の実施の形態に係る発電システム1の構成例を説明する。
図1は、発電システム1の全体構成を示す模式図である。発電システム1は、発電ユニット10、AC/DC変換器21、DC/AC変換器23、補機用DC/AC変換器25及び制御装置40を備え、電力系統30に接続される。
【0014】
電力系統30は、例えば送配電事業者により構築され、発電、変電、送電及び配電を統合した電力システムである。電力系統30は、それぞれ所定の電圧値の電力の発電、変電、送電及び配電を行う。電力系統30の系統電圧値は、国又は地域ごとに定められている。また、電力系統30で使用される電力の周波数は、国又は地域ごとに定められている。電力系統30には、発電システム1から安定かつ安全な電力の供給を受けるための系統連系技術要件が定められている。
【0015】
本実施形態では、発電ユニット10が第1の国の系統連系技術要件及び法令基準を充足する仕様に構成され、当該発電ユニット10を、系統連系技術要件及び法令基準の異なる第2の国の電力系統30に接続する例を説明する。ただし、発電ユニット10及び電力系統30の仕様の違いは、国の違いによるものに限られるものではなく、同一の国内の地域の違いによるものであってもよい。
【0016】
発電ユニット10は、発電装置11、逆変換装置13及び補機類15を備えている。発電装置11は、例えば燃料電池セル又は太陽電池セル等の発電機能を備えた装置である。発電装置11は、燃料電池セル又は太陽電池セルに限定されるものではなく、風力発電装置又は水力発電装置等の他の発電装置であってもよい。また、燃料電池セルは、車両に搭載された燃料電池システムであってもよい。さらに、発電装置11は、電力を蓄電し、蓄電した電力を放電可能な蓄電装置であってもよい。本実施形態では、発電装置11が燃料電池セルである場合を例に採って説明する。
【0017】
燃料電池セルは、供給される燃料ガスと酸化ガスを電気化学反応させることにより発電する装置である。燃料電池セルは、複数のセル構造を積層して構成された燃料電池スタックとして構成される。例えば燃料ガスとして水素ガスが用いられ、酸化ガスとして空気が用いられる。発電ユニット10の補機類15は、制御装置40により駆動される燃料ガス供給系及び酸化ガス供給系を含む。燃料ガス供給系は、一つ又は複数の電磁弁を含み、水素ガスタンク等の水素供給源から燃料電池スタックへ水素ガスを供給する。酸化ガス供給系は、コンプレッサ及び一つ又は複数の電磁弁を含み、燃料電池スタックへ空気を圧送する。制御装置40は、所望の目標発電電力に応じて燃料ガス及び酸化ガスの供給流量及び供給圧力を制御する。これにより、燃料電池セルによる発電が行われる。燃料電池セルは、発電した直流電力(一次側直流電力)を逆変換装置13へ出力する。
【0018】
なお、補機類15は、第1の国の仕様に合わせて構成されている。具体的に、補機類15の定格電圧値は、第2の国の電力系統30の系統電圧値とは異なっている。また、補機類15は、水素ガス供給系及び燃料ガス供給系以外に、発電ユニット10を動作させるための種々の機器を含んでいてもよい。
【0019】
逆変換装置13は、入力された一次側直流電力を交流電力(一次側交流電力)に変換してAC/DC変換器21へ出力する。逆変換装置13は、少なくとも複数のスイッチング素子を含むインバータ回路を備え、制御装置40によりスイッチング素子の駆動が制御されることによって一次側直流電力を一次側交流電力に変換する。また、逆変換装置13は、電力系の異常時に作動する図示しない保護装置を含むパワーコンディショナとして構成されていてもよい。
図1に示した逆変換装置13は、一次側直流電力を三相交流の一次側交流電力に変換して出力する。ただし、一次側交流電力は、三相の交流電力に限られない。
【0020】
本実施形態において、逆変換装置13は、第1の国の電力系統の系統連系技術要件及び法令基準を充足する仕様に構築され、発電装置11とともにユニット化されている。当該逆変換装置13は、接続先の第2の国の電力系統30の系統連系技術要件及び法令基準を充足しない仕様に構成されている。このため、逆変換装置13から出力される交流電力の電圧値及び周波数は、第2の国の電力系統30の系統電圧値及び周波数とは異なる。また、逆変換装置13が、保護装置を含むパワーコンディショナである場合、当該保護装置の仕様が第2の国の電力系統30の系統連系技術要件及び法令基準を充足しない仕様に構成されている。したがって、発電ユニット10は、そのまま電力系統30へ接続することが認められない仕様となっている。
【0021】
AC/DC変換器21は、入力される一次側交流電力を直流電力(二次側直流電力)に変換してDC/AC変換器23へ出力する。つまり、AC/DC変換器21は、第2の国の電力系統30の系統連系技術要件を充足しない逆変換装置13により変換された一次側交流電力を、再び直流電力に変換する機能を有する。AC/DC変換器21は、例えば一次側交流電力を整流し直流電力に変換する機能と、整流された直流電力を平滑化する機能を有する整流回路であってよい。より具体的に、AC/DC変換器21は、4つのダイオードを備えた単相ダイオードブリッジ整流回路に平滑キャパシタを設けたキャパシタインプット型整流器として構成されてもよい。AC/DC変換器21は、電圧値及び電流値が一定の二次側直流電力を出力する。
【0022】
なお、AC/DC変換器21は、複数のスイッチング素子を含み、制御装置40によりスイッチング素子の駆動が制御されることによって、一次側交流電力を二次側直流電力に変換するコンバータ回路であってもよい。ただし、AC/DC変換器21が上述の整流回路であれば、制御装置40による処理負荷を軽減することができ、かつ、コストの低減を図ることができる。また、スイッチング素子を用いない整流回路であれば、スイッチング素子の駆動による電力効率の低下を抑制することができる。
【0023】
DC/AC変換器23は、入力される二次側直流電力を交流電力(二次側交流電力)に変換して電力系統30へ出力する。DC/AC変換器23は、少なくとも複数のスイッチング素子を含むインバータ回路を備え、制御装置40によりスイッチング素子の駆動が制御されることによって、二次側直流電力を二次側交流電力に変換する。DC/AC変換器23は、第2の国の電力系統30の系統連系技術要件を充足する仕様に構成され、直流電力を所望の出力電圧及び周波数の交流電力に変換できる装置であれば好適に使用することができる。
【0024】
DC/AC変換器23は、直流電力を交流電力に変換するとともに電圧値の調整や周波数を安定させる機能を有するパワーコンディショナであってよい。例えばDC/AC変換器23は、第2の国で用いられる太陽光発電システムに適用されるパワーコンディショナであってもよい。このようなDC/AC変換器23であれば、第2の国の電力系統30の系統連系技術要件及び法令基準を充足する変換器を、比較的低コストで入手することができる。したがって、導入に要する工数及びコストの低減を図ることができる。
【0025】
補機用DC/AC変換器25は、AC/DC変換器21とDC/AC変換器23とを接続する直流電力ライン27に接続され、二次側直流電力を、補機類15の定格電圧値の補機側交流電力に変換して補機類15へ出力する。補機用DC/AC変換器25は、少なくとも複数のスイッチング素子を含むインバータ回路を備え、制御装置40によりスイッチング素子の駆動が制御されることによって二次側直流電力を単相の補機側交流電力に変換する。
【0026】
制御装置40は、少なくとも一つの演算処理装置と、当該演算処理装置と通信可能に接続された記憶素子とを含んで構成され、発電ユニット10、DC/AC変換器23及び補機用DC/AC変換器25の動作を制御する。制御装置40は、発電処理部41及び電力変換処理部43を備える。発電処理部41及び電力変換処理部43は、演算処理装置によるコンピュータプログラムの実行により実現される機能であってもよく、アナログ回路により構成されてもよい。
【0027】
発電処理部41は、第1の国の仕様に合わせて構成された発電ユニット10の制御処理を実行する。具体的に、発電処理部41は、所定の目標発電量に基づいて発電装置11の動作を制御し、発電を行う処理を実行する。発電装置11の動作の制御は、従来公知の制御であり、詳細な説明は省略する。また、発電処理部41は、逆変換装置13の動作を制御し、発電装置11により発電された一次側直流電力を一次側交流電力に変換する処理を実行する。具体的に、発電処理部41は、第1の国の仕様に合わせて設計された処理プログラムを実行することにより、一次側直流電力を、第1の国の電力系統の系統電圧値及び周波数の一次側交流電力に変換する。
【0028】
なお、出力される一次側交流電力は、AC/DC変換器21により二次側直流電力に変換されて直流電力ライン27に供給される。
【0029】
電力変換処理部43は、DC/AC変換器23の動作を制御し、二次側直流電力を二次側交流電力に変換する処理を実行する。具体的に、電力変換処理部43は、二次側直流電力を、接続先の第2の国の電力系統30の系統電圧値及び周波数の二次側交流電力に変換して、電力系統30へ供給する。また、電力変換処理部43は、補機用DC/AC変換器25の動作を制御し、直流電力ライン27の二次側直流電力を補機側交流電力に変換する処理を実行する。具体的に、電力変換処理部43は、二次側直流電力を、補機類15の定格電圧値及び周波数の補機側交流電力に変換して補機類15へ供給する。
【0030】
なお、発電処理部41及び電力変換処理部43が別体の制御ユニットとして構成されていてもよく、さらに発電処理部41及び電力変換処理部43がそれぞれ複数の制御ユニットに分割されていてもよい。また、発電処理部41及び電力変換処理部43が別体の制御ユニットとして構成される場合、複数の制御ユニットを協調制御する指令を出力する制御ユニットがさらに設けられていてもよい。
【0031】
このように構成された発電システム1は、発電ユニット10から出力される第1の国の電力系統の系統電圧値及び周波数の一次側交流電力を、AC/DC変換器21により一旦二次側直流電力に変換する。また、発電システム1は、接続先の電力系統30の系統連系技術要件及び法令基準を充足するDC/AC変換器23により、二次側直流電力を、電力系統30の系統電圧値及び周波数の要件を満たす二次側交流電力に変換して出力する。このため、発電ユニット10に搭載された逆変換装置13の出力が、接続先の電力系統30の系統電圧値及び周波数と異なる場合であっても、体積や重量が大きい変圧器を用いることなく系統連系技術要件を充足させて電力系統30へ接続することができる。また、発電ユニット10の発電装置11の制御と逆変換装置13の制御とが連携されて構成されている場合であっても、発電ユニット10の構成を改変又は交換することなく、電力系統30の系統連系技術要件を充足させることができる。したがって、接続先の電力系統30の系統連系技術要件とは異なる逆変換装置13を備えた発電ユニット10を電力系統30へ接続可能にするための工数やコストを低減することができる。
【0032】
また、発電システム1は、AC/DC変換器21とDC/AC変換器23とを接続する直流電力ライン27が存在するため、補機用DC/AC変換器25を直流電力ライン27に接続することで、定格電圧値が接続先の電力系統30の系統電圧値と異なる補機類15に対して電力を供給することができる。したがって、発電ユニット10の構成を改変又は交換することなく、第2の国の電力系統30に接続して発電ユニット10を使用することができる。
【0033】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る発電システムを説明する。上記の第1の実施の形態に係る発電システム1は、一つの発電ユニット10を電力系統30に接続するシステムとして構成されていた。第2の実施の形態に係る発電システムは、複数の発電ユニットを電力系統に接続するシステムとして構成される。
【0034】
図2は、第2の実施の形態に係る発電システム2の全体構成を示す模式図である。発電システム2は、発電ユニット10a,10b,10c及びAC/DC変換器21a,21b,21cをそれぞれ含む電源ユニット3a,3b,3cを備えて構成される。
図2には、3つの電源ユニット3a,3b,3cが図示されているが、電源ユニットの数は2つであってもよく4つ以上であってもよい。
【0035】
それぞれの発電ユニット10a,10b,10cの補機類15a,15b,15cは、一つの電源ユニット3cに設けられた補機用DC/AC変換器25を介して補機側交流電力の供給を受けて作動する。また、それぞれの電源ユニット3a,3b,3cのAC/DC変換器21a,21b,21cは、共通の直流電力ライン27に二次側直流電力を出力する。二次側直流電力を二次側交流電力に変換して電力系統30へ出力するDC/AC変換器23は、すべての電源ユニット3a,3b,3cに共通する変換器として設けられている。
【0036】
それぞれの発電ユニット10a,10b,10c、補機用DC/AC変換器25及びDC/AC変換器23の動作は、制御装置40により制御される。制御装置40の発電処理部41及び電力変換処理部43は、第1の実施の形態に係る発電システム1の制御装置40の各部と同様の機能を備える。それぞれの発電ユニット10a,10b,10cは、それぞれの電源ユニット3a,3b,3cから直流電力ライン27に出力される二次側直流電力の電圧値が同一の値となるように制御される。
【0037】
なお、それぞれの発電ユニット10a,10b,10cを制御する制御装置が別体の制御ユニットとして構成されていてもよい。それぞれの発電ユニット10a,10b,10cを制御する制御装置が別体の制御ユニットとして構成される場合、複数の制御ユニットを協調制御する指令を出力する制御ユニットがさらに設けられていてもよい。
【0038】
このように構成された発電システム2は、それぞれの電源ユニット3a,3b,3cにおいて、発電ユニット10a,10b,10cから出力される第1の国の電力系統の系統電圧値及び周波数の一次側交流電力を、AC/DC変換器21により一旦二次側直流電力に変換して共通の直流電力ライン27へ出力する。出力された二次側直流電力は、接続先の電力系統30の系統連系技術要件及び法令基準を充足する共通のDC/AC変換器23により、電力系統30の系統電圧値及び周波数の要件を満たす二次側交流電力に変換されて電力系統30へ出力される。また、本実施形態に係る発電システム2は、直流電力ライン27に接続された共通の補機用DC/AC変換器25を介して、定格電圧値が接続先の電力系統30の系統電圧値と異なる補機類15a,15b,15cに対してそれぞれ電力を供給することができる。
【0039】
このため、本実施形態に係る発電システム2では、第1の実施の形態に係る発電システム1により得られる効果と併せて、発電ユニット10a,10b,10cの数に対して、使用するDC/AC変換器23、補機用DC/AC変換器25及び制御装置40の数を少なくすることができる。したがって、接続先の電力系統30の系統連系技術要件とは異なる逆変換装置13を備えた発電ユニット10a,10b,10cを電力系統30へ接続可能にするための工数やコストの低減効果をより多く得ることができる。
【0040】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る発電システムを説明する。上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る発電システム1では、発電処理部41は、第1の国の仕様に合わせて設計された処理プログラムを実行することにより、発電ユニット10に備えられた逆変換装置13の動作を制御し、一次側直流電力を、第1の国の電力系統の系統電圧値及び周波数の一次側交流電力に変換していた。これに対し、第3の実施の形態に係る発電システム1では、二次側直流電力の電圧値が、逆変換装置13の電力変換効率η1及びDC/AC変換器23の電力変換効率η2の和が最大となる電圧値となるように、逆変換装置13の出力を制御するように構成される。
【0041】
以下、第1の実施の形態に係る発電システム1の構成を例に採って本実施形態に係る発電システムの適用例を説明する。ただし、本実施形態に係る発電システムは、第2の実施の形態に係る発電システム2の構成に対しても同様に適用することができる。
【0042】
一般的に、インバータ回路等の半導体電力変換回路は動作条件によってスイッチング素子の駆動回数あるいは駆動デューティ比が異なるため、電力変換効率が変化する特性を持つ。発電システム1において、発電ユニット10に設けられた逆変換装置13は、出力電圧値(一次側交流電力の電圧値)及び直流電力ライン27の電圧値(二次側直流電力の電圧値)の大きさによって電力変換効率が変化する。また、二次側直流電力を二次側交流電力に変換するDC/AC変換器23は、入力電圧である直流電力ライン27の電圧値(二次側直流電力の電圧値)の大きさによって電力変換効率が変化する。つまり、逆変換装置13及びDC/AC変換器23の電力変換効率は、いずれも二次側直流電力の電圧値によって変化する。
【0043】
そこで、本実施形態において、制御装置40は、逆変換装置13の電力変換効率η1及びDC/AC変換器23の電力変換効率η2の和が最大となるように、二次側直流電力の電圧値を制御する。
【0044】
図3は、逆変換装置13の電力変換効率η1及びDC/AC変換器23の電力変換効率η2の一例を示す。発電装置11の出力電圧値(一次側直流電力の電圧値)及びDC/AC変換器23の出力電圧値(二次側交流電力の電圧値)が一定の場合、逆変換装置13は、二次側直流電力V_dcの電圧値が大きくなるほど電力変換効率η1が増大し、二次側直流電力V_dcの電圧値が所定値を超えると電力変換効率η1が減少する特性を持つ。また、DC/AC変換器23は、二次側直流電力V_dcの電圧値が大きくなるほど電力変換効率η2が増大し、二次側直流電力V_dcの電圧値が所定値を超えると安定する特性を持つ。
【0045】
制御装置40の発電処理部41は、例えば発電装置11の出力を一定として発電装置11の発電電力を制御する。発電装置11の発電量は変動し得ることから、制御装置40の発電処理部41は、発電装置11の発電量に応じて、逆変換装置13の電力変換効率η1及びDC/AC変換器23の電力変換効率η2の和が最大となるように逆変換装置13の目標電圧値V_opを設定し、逆変換装置13の動作を制御する。例えば発電装置11の発電量に対応する逆変換装置13の電力変換効率η1及びDC/AC変換器23の電力変換効率η2の特性のデータがあらかじめ制御装置40の記憶素子に記憶され、発電処理部41は発電装置11の発電量に応じて逆変換装置13の目標電圧値V_opを設定する。逆変換装置13がインバータ回路である場合、発電処理部41は、逆変換装置13からAC/DC変換器21に出力される一次側交流電力の電圧値が目標電圧値V_opとなるように変調率を制御する。また、電力変換処理部43は、出力電圧値が電力系統30の系統電圧値となるようにDC/AC変換器23の動作を制御する。これにより、逆変換装置13及びDC/AC変換器23のスイッチング素子の駆動等に起因する電力損失が抑制され、発電システム1の電力変換効率を高めることができる。
【0046】
なお、AC/DC変換器21が、ダイオード整流回路を用いた整流器ではなく、スイッチング素子を用いたコンバータ回路により構成されている場合、逆変換装置13及びDC/AC変換器23と併せてAC/DC変換器21の電力変換効率の和が最大となるように逆変換装置13、AC/DC変換器21及びDC/AC変換器23の目標制御量を設定し、それぞれの動作を制御してもよい。
【0047】
このように、本実施形態に係る発電システム1によれば、接続先の電力系統30の系統連系技術要件とは異なる逆変換装置13を備えた発電ユニット10を電力系統30へ接続可能にするための工数やコストを低減することができるとともに、発電システム1の電力変換効率を高めることができる。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0049】
1,2…発電システム、3a,3b,3c…電源ユニット、10,10a,10b,10c…発電ユニット、11,11a,11b,11c…発電装置、13,13a,13b,13c…逆変換装置、15,15a,15b,15c…補機類、21,21a,21b,21c…AC/DC変換器、23…DC/AC変換器、25…補機用DC/AC変換器、27…直流電力ライン、30…電力系統、40…制御装置、41…発電処理部、43…電力変換処理部