(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182272
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】害獣回収判定装置、害獣回収判定システム、および害獣回収判定方法
(51)【国際特許分類】
A01M 23/00 20060101AFI20221201BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A01M23/00 Z
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089740
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥富 忠相
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】山地 隆生
(72)【発明者】
【氏名】吉田 朝明
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA11
2B121BA51
2B121BA58
2B121BA60
2B121EA26
(57)【要約】
【課題】害獣の罠の状態および罠の回収のタイミングを把握すること。
【解決手段】害獣回収判定装置は、作作物育成領域で育成される作物の状態に基づいて、作物の育成度を判定する育成度判定部と、作物育成領域の周辺に設置された捕獲装置に捕獲された動物の映像データに基づいて、動物の種類を特定する動物特定部と、育成度判定部が判定した作物の育成度と、動物特定部が特定した動物の種類とに基づいて、動物が害獣であるか否かを判定する害獣判定部と、害獣判定部の判定結果と、捕獲装置が設置されている位置とに基づいて、捕獲装置に対する行動の必要度を判定する必要度判定部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物育成領域で育成される作物の状態に基づいて、作物の育成度を判定する育成度判定部と、
前記作物育成領域の周辺に設置された捕獲装置に捕獲された動物の映像データに基づいて、前記動物の種類を特定する動物特定部と、
前記育成度判定部が判定した前記作物の育成度と、前記動物特定部が特定した前記動物の種類とに基づいて、前記動物が害獣であるか否かを判定する害獣判定部と、
前記害獣判定部の判定結果と、前記捕獲装置が設置されている位置とに基づいて、前記捕獲装置に対する行動の必要度を判定する必要度判定部と、
を備える、害獣回収判定装置。
【請求項2】
前記害獣判定部は、前記作物の育成度が高いほど、前記動物を前記害獣であると判定する、
請求項1に記載の害獣回収判定装置。
【請求項3】
前記必要度判定部は、前記捕獲装置が設置されている位置と、前記作物育成領域との距離が近いほど、前記必要度を高くする、
請求項1または2に記載の害獣回収判定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の害獣回収判定装置と、
作物育成領域周辺に設置された捕獲装置と、
前記作物育成領域の作物を監視する作物監視装置と、を含み、
前記捕獲装置は、
動物を捕獲するワナ部と、
前記ワナ部の動作を検知する動作検知センサと、
前記ワナ部に捕獲された動物を撮像する動物監視カメラ部と、を備え、
前記作物監視装置は、
作物育成領域の作物の状態を検知する作物センサと、
前記作物育成領域の作物の高さを計測する作物監視カメラ部と、
を備える、害獣回収判定システム。
【請求項5】
作物育成領域で育成される作物の状態に基づいて、作物の育成度を判定するステップと、
前記作物育成領域の周辺に設置された捕獲装置に捕獲された動物の映像データに基づいて、前記動物の種類を特定するステップと、
前記作物の育成度と、前記動物の種類とに基づいて、前記動物が害獣であるか否かを判定するステップと、
前記動物が害獣であるか否かの判定結果と、前記捕獲装置が設置されている位置とに基づいて、前記捕獲装置に対する行動の必要度を判定するステップと、
を含む、害獣回収判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害獣回収判定装置、害獣回収判定システム、および害獣回収判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物に被害を与える害獣の対策に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、農作物に害を与える害獣の種類や、害獣に対するワナの配置などを通知して害獣対策の支援を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、害獣の罠を設置した後、罠の状態の監視作業や、罠の回収作業は、ユーザの判断で行う必要がある。
【0005】
本発明は、害獣の罠の状態および罠の回収のタイミングを把握することのできる害獣回収判定装置、害獣回収判定システム、および害獣回収判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る害獣回収判定装置は、作物育成領域で育成される作物の状態に基づいて、作物の育成度を判定する育成度判定部と、前記作物育成領域の周辺に設置された捕獲装置に捕獲された動物の映像データに基づいて、前記動物の種類を特定する動物特定部と、前記育成度判定部が判定した前記作物の育成度と、前記動物特定部が特定した前記動物の種類とに基づいて、前記動物が害獣であるか否かを判定する害獣判定部と、前記害獣判定部の判定結果と、前記捕獲装置が設置されている位置とに基づいて、前記捕獲装置に対する行動の必要度を判定する必要度判定部と、を備える。
【0007】
本発明に係る害獣回収判定システムは、本発明に係る害獣回収判定装置と、作物育成領域周辺に設置された捕獲装置と、前記作物育成領域の作物を監視する作物監視装置と、を含み、前記捕獲装置は、動物を捕獲するワナ部と、前記ワナ部の動作を検知する動作検知センサと、前記ワナ部に捕獲された動物を撮像する動物監視カメラ部と、を備え、前記作物監視装置は、作物育成領域の作物の状態を検知する作物センサと、前記作物育成領域の作物の高さを計測する作物監視カメラ部と、を備える。
【0008】
本発明に係る害獣回収判定方法は、作物育成領域で育成される作物の状態に基づいて、作物の育成度を判定するステップと、前記作物育成領域の周辺に設置された捕獲装置に捕獲された動物の映像データに基づいて、前記動物の種類を特定するステップと、前記作物の育成度と、前記動物の種類とに基づいて、前記動物が害獣であるか否かを判定するステップと、前記動物が害獣であるか否かの判定結果と、前記捕獲装置が設置されている位置とに基づいて、前記捕獲装置に対する行動の必要度を判定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、害獣の罠の状態および罠の回収のタイミングを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る害獣回収判定システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る捕獲装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る捕獲装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る作物監視装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る作物監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る害獣回収判定装置の構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る害獣回収判定装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る作物の育成度を判定する方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る害獣を判定する方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る害獣を判定する方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る判定結果の表示映像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[実施形態]
(害獣回収判定システム)
図1を用いて、実施形態に係る害獣回収判定システムの構成例について説明する。
図1は、実施形態に係る害獣回収判定システムの構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すよう、害獣回収判定システム1は、捕獲装置10と、作物監視装置12と、害獣回収判定装置14と、を含む。捕獲装置10と、作物監視装置12と、害獣回収判定装置14とは、ネットワークNを介して、通信可能に接続されている。
図1に示す例では、捕獲装置10と、作物監視装置12とは1台のみしているが、実際には、害獣回収判定装置14には、複数の捕獲装置10と、複数の作物監視装置12とが通信可能に接続されている。
【0014】
捕獲装置10は、動物を捕獲する装置である。捕獲装置10は、例えば、箱罠であるが、これに限定されない。捕獲装置10は、例えば、各種の作物を育成する作物育成領域の周辺に複数設置される。捕獲装置10は、例えば、作物育成領域からの距離に応じて、複数設置される。捕獲装置10は、例えば、捕獲した動物を撮像し、撮像した動物の映像データを、ネットワークNを介して害獣回収判定装置14に送信する。
【0015】
作物監視装置12は、作物の育成を監視する装置である。作物監視装置12は、例えば、作物育成領域の周辺に複数設置される。作物監視装置12は、例えば、作物育成領域で育成される作物の状態を検出する。作物監視装置12は、例えば、作物育成領域の周辺で育成されている作物を撮像する。作物監視装置12は、作物の状態の検出結果と、作物の映像データとを、ネットワークNを介して害獣回収判定装置14に送信する。
【0016】
本実施形態において、作物には各種の作物が含まれる。例えば、作物は、果実、木の実、葉菜類及び根菜類を含む野菜などが含まれる。
【0017】
害獣回収判定装置14は、作物監視装置12から受信した作物の状態の検出結果と、作物の映像データとに基づいて、作物の育成度を判定する。害獣回収判定装置14は、判定した作物の育成度と、捕獲装置10から受信した動物の映像データとに基づいて、動物が害獣であるか否かを判定する。害獣回収判定装置14は、動物が害獣であると判定された場合には、害獣を回収する緊急度を判定する。
【0018】
(捕獲装置)
図2を用いて、実施形態に係る捕獲装置の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る捕獲装置の構成例を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、捕獲装置10は、ワナ部20と、動作検知センサ22と、撮像部24と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部26と、通信部28と、制御部30と、を備える。
【0020】
ワナ部20は、動物を捕獲する罠である。ワナ部20は、例えば、所謂、箱罠である。ワナ部20は、例えば、内部に動物の餌などが配置され、ワナ部20の内部に動物が入ると柵などを下すことで、動物を捕獲するように構成されている。本実施形態では、ワナ部20は、箱罠であるものとして説明するが、本発明を限定するものではない。
【0021】
動作検知センサ22は、ワナ部20の状態を検知する。動作検知センサ22は、ワナ部20の動作状態を検知する。動作検知センサ22は、ワナ部20がオン状態であるか、オフ状態であるかを判定する。ワナ部20がオン状態とは柵が下りている状態のことを意味し、オフ状態とは柵が上がっている状態のことを意味する。
【0022】
撮像部24は、ワナ部20の状態を撮像する。撮像部24は、例えば、ワナ部20の柵の状態を撮像する。撮像部24は、ワナ部20の内部を撮像する。撮像部24は、例えば、ワナ部20が捕獲した動物を撮像する。撮像部24は、動物監視カメラ部の一種である。
【0023】
GNSS受信部26は、図示しないGNSS衛星から、位置情報を特定するための情報を含むGNSS信号を受信する。GNSS受信部26は、例えば、GNSS受信回路またはGNSS受信装置で実現することができる。
【0024】
通信部28は、外部装置との間で情報の送受信を行う。通信部28は、例えば、ワナ部20の状態を示す情報、および撮像部24が撮像した映像データなどを害獣回収判定装置14に送信する。
【0025】
制御部30は、捕獲装置10の各部の動作を制御する。制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶部などに記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部30は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部30は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0026】
(捕獲装置の処理)
図3を用いて、実施形態に係る捕獲装置の処理の流れを説明する。
図3は、実施形態に係る捕獲装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0027】
制御部30は、ワナ状態情報を取得する(ステップS10)。具体的には、制御部30は、例えば、動作検知センサ22にワナ部20の動作状態を検知させて、ワナ部20の動作状態がオン状態であるかオフ状態であるかを示すワナ状態情報を取得する。そして、ステップS12に進む。
【0028】
制御部30は、ワナ部20の映像データを取得する(ステップS12)。具体的には、制御部30は、例えば、撮像部24を制御して、ワナ部20の内部を撮像させることで、ワナ部20の映像データを取得する。ワナ部20の映像データには、例えば、ワナ部20の状態の映像データと、ワナ部20の内部の映像データとが含まれる。そして、ステップS14に進む。
【0029】
制御部30は、捕獲装置10の現在の位置情報を取得する(ステップS14)。具体的には、制御部30は、例えば、GNSS受信部26を制御して、GNSS信号を受信することで、捕獲装置10の現在の位置情報を取得する。制御部30は、例えば、捕獲装置10の現在の位置情報を地球座標で取得する。そして、ステップS16に進む。
【0030】
制御部30は、ワナ状態情報、捕獲装置10の現在の位置情報、及びワナ部20の映像データを害獣回収判定装置14に通信部28を介して送信する(ステップS16)。そして、
図3の処理を終了する。
【0031】
(作物監視装置)
図4を用いて、実施形態に係る作物監視装置の構成例について説明する。
図4は、実施形態に係る作物監視装置の構成例を示すブロック図である。
【0032】
図4に示すように、作物監視装置12は、作物センサ40と、撮像部42と、通信部44と、制御部46と、を備える。
【0033】
作物センサ40は、作物の状態を検出する。作物センサ40は、例えば、作物の状態として、作物の匂いを検出する匂いセンサを含む。作物センサ40は、例えば、作物の状態として、作物の高さを検出する高さセンサを含む。作物センサ40は、その他のセンサを含んでもよい。
【0034】
撮像部42は、作物を撮像する。撮像部42は、例えば、作物の高さを測定するために、作物の全体を撮像する。撮像部42は、作物監視カメラ部の一種である。
【0035】
通信部44は、外部装置との間で情報の送受信を行う。通信部44は、例えば、作物の状態を示す情報、および撮像部42が撮像した映像データなどを害獣回収判定装置14に送信する。
【0036】
制御部46は、作物監視装置12の各部の動作を制御する。制御部46は、例えば、CPUやMPU等によって、図示しない記憶部などに記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部46は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。制御部46は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0037】
(作物監視装置の処理)
図5を用いて、実施形態に係る作物監視装置の処理の流れの一例について説明する。
図5は、実施形態に係る作物監視装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0038】
制御部46は、作物状態情報を取得する(ステップS20)。具体的には、制御部46は、例えば、作物センサ40に作物の状態を検知させて、作物の状態を示す作物状態情報を取得する。そして、ステップS22に進む。
【0039】
制御部46は、作物の映像データを取得する(ステップS22)。具体的には、制御部46は、例えば、撮像部42を制御して、作物を撮像させることで、作物の映像データを取得する。そして、ステップS24に進む。
【0040】
制御部46は、作物状態情報、及び作物の映像データを害獣回収判定装置14に通信部44を送信する(ステップS24)。そして、
図5の処理を終了する。
【0041】
(害獣回収判定装置)
図6を用いて、実施形態に係る害獣回収判定装置の構成例について説明する。
図6は、実施形態に係る害獣回収判定装置の構成例を示すブロック図である。
【0042】
図6に示すように、害獣回収判定装置14は、通信部50と、入力部52と、表示部54と、記憶部56と、制御部58と、を備える。
【0043】
通信部50は、外部装置との間で情報の送受信を行う。通信部50は、例えば、ワナ部20の状態を示す情報、および撮像部24が撮像した映像データなどを捕獲装置10から受信する。通信部50は、例えば、作物の状態を示す情報、および撮像部42が撮像した映像データなどを作物監視装置12から受信する。
【0044】
入力部52は、害獣回収判定装置14に対する各種の操作を受け付ける。入力部52は、例えば、マウス、キーボード、及びタッチパネルなどの入力装置で実現することができる。
【0045】
表示部54は、各種映像を表示する。表示部54は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイを含む。なお、タッチパネル等を用いて、入力部52と、表示部54とを一体に構成してもよい。
【0046】
記憶部56は、各種の情報を記憶するメモリである。記憶部56は、例えば、制御部58の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部56は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0047】
記憶部56は、データ記憶部56aと、ワナ状態記憶部56bと、位置情報記憶部56cと、作物育成状態記憶部56dと、害獣情報記憶部56eと、を備える。
【0048】
データ記憶部56aは、各種のデータを記憶する。データ記憶部56aは、例えば、制御部58の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。データ記憶部56aは、例えば、動物の種類を特定するための辞書データを記憶している。データ記憶部56aは、例えば、作物の種類を特定するための辞書データを記憶している。
【0049】
ワナ状態記憶部56bは、捕獲装置10のワナ部20の状態に関する情報を記憶する。ワナ状態記憶部56bは、例えば、捕獲装置10のワナ部20がオン状態であるかオフ状態であるかを示す情報を記憶する。
【0050】
位置情報記憶部56cは、捕獲装置10が設置されている位置に関する位置情報を記憶する。
【0051】
作物育成状態記憶部56dは、作物の育成度に関する情報を記憶する。作物育成状態記憶部56dは、例えば、作物の匂いに関する匂い情報、高さに関する高さ情報を育成度に関する情報として記憶する。
【0052】
害獣情報記憶部56eは、害獣に関する情報を取得する。害獣情報記憶部56eは、例えば、捕獲装置10のワナ部20に捕獲された害獣の画像データを記憶する。
【0053】
制御部58は、害獣回収判定装置14の各部の動作を制御する。制御部58は、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部56等に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部58は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。制御部58は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0054】
制御部58は、取得部60と、育成度判定部62と、ワナ動作判定部64と、動物特定部66と、害獣判定部68と、必要度判定部70と、表示制御部72と、を備える。
【0055】
取得部60は、各種のデータを取得する。取得部60は、例えば、通信部50を介して、ワナ部20の状態を示す情報、および撮像部24が撮像した映像データなどを捕獲装置10から取得する。取得部60は、例えば、通信部50を介して作物の状態を示す情報、および撮像部42が撮像した映像データなどを作物監視装置12から取得する。
【0056】
育成度判定部62は、作物の育成度を判定する。育成度判定部62は、作物の状態を示す情報、および撮像部42が撮像した映像データなどに基づいて、作物の育成度を判定する。
【0057】
ワナ動作判定部64は、捕獲装置10のワナ部20の動作状態を判定する。ワナ動作判定部64は、捕獲装置10のワナ部20の動作状態がオン状態であるかオフ状態であるか判定する。
【0058】
動物特定部66は、捕獲装置10が捕獲した動物の種類を特定する。動物特定部66は、例えば、撮像部24が撮像した映像データに対してデータ記憶部56aが記憶する辞書データを用いて、捕獲装置10が捕獲した動物の種類を判定する。
【0059】
害獣判定部68は、動物特定部66が特定した動物が害獣であるか否かを判定する。害獣判定部68は、例えば、育成度判定部62が判定した作物の育成度と、動物特定部66が特定した動物の種類とに基づいて、捕獲装置10が捕獲した動物が害獣であるか否かを判定する。
【0060】
必要度判定部70は、捕獲装置10に対する行動の必要度を判定する。必要度判定部70は、例えば、捕獲装置10が捕獲した動物を回収する必要性を示す必要度を判定する。必要度判定部70は、例えば、害獣判定部68の判定結果と、捕獲装置10が設置されている位置とに基づいて、捕獲装置10が捕獲した動物を回収する必要性を示す必要度を判定する。
【0061】
表示制御部72は、各種の情報を表示部54に表示させる。表示制御部72は、例えば、必要度判定部70の判定結果を表示させる。
【0062】
(害獣回収判定装置の処理)
図7を用いて、実施形態に係る害獣回収判定装置の処理の流れの一例について説明する。
図7は、実施形態に係る害獣回収判定装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0063】
取得部60は、作物状態情報及び作物の映像データを取得する(ステップS30)。具体的には、取得部60は、例えば、通信部50を介して作物の状態を示す情報、および撮像部42が撮像した映像データなどを作物監視装置12から取得する。そして、ステップS32に進む。
【0064】
育成度判定部62は、作物の育成度を判定する(ステップS32)。具体的には、育成度判定部62は、例えば、作物の状態を示す情報と、作物の高さとに基づいて作物の育成度を判定する。育成度判定部62は、例えば、作物の映像データに基づいて作物の高さを判定する。育成度判定部62は、例えば、高さセンサの検出結果に基づいて、作物の高さを判定する。育成度判定部62は、例えば、判定した作物の高さと、作物の匂いなどの作物の状態に基づいて、作物の育成度を判定する。
図8は、実施形態に係る作物の育成度を判定する方法を説明するための図である。育成度判定部62は、例えば、作物の高さを「高」、「中」、「低」のように3段階に分類する。育成度判定部62は、例えば、作物の匂いを「強」、「中」、「弱」のように3段階に分類する。育成度判定部62は、例えば、作物の高さが「高」、匂いが「強」である場合、作物の育成度を「終期」と判定する。育成度判定部62は、例えば、作物の高さが「中」、匂いが「中」である場合、作物の育成度を「中期」と判定する。育成度判定部62は、例えば、作物の高さが「低」、匂いが「弱」である場合、作物の育成度を「初期」と判定する。
【0065】
図8に示す例では、作物の高さ及び作物の匂いを、それぞれ3段階に分類しているが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。作物の高さ及び作物の匂いは、例えば、具体的な数値で示してもよい。
図8に示す例では、作物の状態として作物の匂いを示しているが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。作物の状態としては、作物の色を用いてもよい。作物の状態として、作物の色を用いる場合には、例えば、作物の色に応じて「濃」、「中」、「淡」などの3段階に分類すればよい。この場合、育成度判定部62は、作物の色と、作物の高さとに基づいて、作物の育成度を判定する。
【0066】
図7に戻る。取得部60は、ワナ状態情報及びワナ部20の映像データを取得する(ステップS34)。具体的には、取得部60は、例えば、通信部50を介して、ワナ部20の状態を示す情報、および撮像部24が撮像したワナ部20の映像データなどを捕獲装置10から取得する。そして、ステップS36に進む。
【0067】
ワナ動作判定部64は、ワナ部20がオン状態であるか否かを判定する(ステップS36)。具体的には、ワナ動作判定部64は、例えば、ワナ状態情報に基づいて、動作検知センサ22がオン状態である場合に、ワナ部20がオン状態であると判定する。ワナ動作判定部64は、例えば、ワナ部20の映像データに基づいて、柵が閉じている状態である場合、ワナ部20がオン状態であると判定する。ワナ部20がオン状態であると判定された場合(ステップS36;Yes)、ステップS38に進む。ワナ部20がオン状態であると判定されない場合(ステップS36;No)、ステップS48に進む。
【0068】
ステップS36でYesと判定された場合、動物特定部66は、動物が捕獲されているか否かを判定する(ステップS38)。具体的には、動物特定部66は、ワナ部20の映像データに動物が含まれている場合に、ワナ部20に動物が捕獲されていると判定する。動物が捕獲されていると判定された場合(ステップS38;Yes)、ステップS40に進む。動物が捕獲されていると判定されなかった場合(ステップS38;No)、ステップS44に進む。
【0069】
ステップS38でYesと判定された場合、害獣判定部68は、捕獲された動物が害獣であるか否かを判定する(ステップS40)。具体的には、害獣判定部68は、例えば、データ記憶部56aに記憶された辞書データに基づいて動物の種類を特定する。害獣判定部68は、特定した動物の種類と、作物の育成度とに基づいて、捕獲された動物が害獣であるか否かを判定する。
【0070】
図9は、実施形態に係る害獣を判定する方法を説明するための図である。害獣判定部68は、例えば、動物の種類が「サル」である場合、作物の育成度によらず「害獣」と判定する。害獣判定部68は、例えば、動物の種類が「イノシシ」である場合、作物の育成度が「終期」または「中期」である場合には「害獣」と判定し、「初期」である場合には害獣ではない対象外と判定する。害獣判定部68は、例えば、動物の種類が「タヌキ」である場合、作物の育成度が「終期」である場合には「害獣」と判定し、「中期」または「初期」である場合には対象外と判定する。害獣判定部68は、例えば、動物の種類が「天然記念物」である場合、作物の育成度によらず、対象外と判定する。害獣判定部68は、作物の害を与える恐れがある場合に、動物を害獣と判定する。すなわち、害獣判定部38は、例えば、作物の育成度合いに応じて、同じ動物であっても害獣と判定する度合いを変更する。例えば、作物の育成度が高いほど、同じ動物であっても害獣であると判定する。
【0071】
図7に戻る。動物が害獣であると判定された場合(ステップS40;Yes)、ステップS42に進む。動物が害獣であると判定されない場合(ステップS40;No)、ステップS46に進む。
【0072】
ステップS40でYesと判定された場合(ステップS42;Yes)、必要度判定部70は、害獣を回収する必要度を判定する。必要度判定部70は、例えば、害獣判定部68の判定結果と、捕獲装置10が設置されている位置とに基づいて、害獣を回収する必要性を示す必要度を判定する。
【0073】
図10は、実施形態に係る害獣を判定する方法を説明するための図である。
図10に示すように、必要度判定部70は、ワナ部20の状態と、害獣判定部68の判定結果と、設置エリアに基づいて、害獣を回収する必要度を判定する。必要度判定部70は、ワナ部20の状態がオンで、害獣と判定され、捕獲装置10の設置エリアが農作地エリアから近い近距離エリアである場合に、回収レベルは高いと判定する。必要度判定部70は、ワナ部20の状態がオンで、害獣と判定され、捕獲装置10の設置エリアが農作地エリアから中である中距離エリアである場合、回収レベルは中であると判定する。必要度判定部70は、ワナ部20の状態がオンで、害獣と判定され、捕獲装置10の設置エリアから遠い遠距離エリアである場合、回収レベルは低いと判定する。必要度判定部70は、ワナ部20の状態がオフで、動物が検出されなかった場合、全エリアで待機と判定する。必要度判定部70は、ワナ部20の状態がオンで、動物が検出されなかった場合、捕獲装置10の誤作動であると判定する。本実施形態では、近距離エリア、中距離エリア、および遠距離エリアは、ユーザの任意で設定してよい。例えば、近距離エリア、中距離エリア、および遠距離エリアは、例えば、害獣を回収するまでにかかる時間に応じて、ユーザの任意で設定してよい。必要度判定部70は、ワナ部20の状態がオンで、捕獲装置10に捕獲された動物が対象外である場合、対象外の動物をリリースすると判定する。そして、ステップS48に進む。
【0074】
図7に戻る。ステップS38でNoと判定された場合、必要度判定部70は、捕獲装置10が誤作動したと判定する(ステップS44)。そして、ステップS48に進む。
【0075】
ステップS40でNoと判定された場合、必要度判定部70は、捕獲装置10が捕獲した動物をリリースすると判定する(ステップS46)。必要度判定部70は、捕獲装置10が捕獲した動物が害獣でないと判定された場合や、天然記念物である場合に、動物をリリースすると判定する。そして、ステップS48に進む。
【0076】
ステップS36、ステップS42、ステップS44、またはステップS46の後、制御部58は、全ての捕獲装置10について判定処理が終了したか否かを判定する(ステップS48)。全ての捕獲装置10について判定処理が終了したと判定された場合(ステップS48;Yes)、ステップS50に進む。全ての捕獲装置10について判定処理が終了したと判定されない場合(ステップS48;No)、ステップS30に進む。
【0077】
表示制御部72は、判定結果を表示部54に表示させる(ステップS50)。具体的には、表示制御部72は、例えば、各捕獲装置10の回収の必要度の判定結果を表示部54に表示させる。
【0078】
図11は、実施形態に係る判定結果の表示映像の一例を示す図である。
図11に示すように、表示映像80は、エリアA1と、エリアA2と、エリアA3と、エリアA4と、を含む。エリアA1は、作物を育成する作物育成エリアである。エリアA2は、作物育成エリアからの距離が近距離である近距離エリアである。エリアA3は、作物育成エリアからの距離が中距離である中距離エリアである。エリアA4は、作物育成エリアからの距離が遠距離である遠距離エリアである。
【0079】
図11に示す例では、エリアA2には、捕獲装置10
1が設置されているものとする。エリアA3には、捕獲装置10
2と、捕獲装置10
3とが設置されているものとする。エリアA4には、捕獲装置10
4と、捕獲装置10
5とが設置されているものとする。
【0080】
表示制御部72は、例えば、エリアA1には、作物の育成度を示す判定結果90を表示させる。判定結果90は、作物の育成度が初期であることを示す。
【0081】
表示制御部72は、捕獲装置101の回収の必要度を示す判定結果91を示す。判定結果91は、回収レベルが高であること示す。この場合、ユーザは、判定結果91を参照することで、捕獲装置101の回収レベルが高いことを把握することができる。
【0082】
表示制御部72は、捕獲装置102の回収の必要度を示す判定結果92を示す。判定結果92は、回収レベルが中であることを示す。この場合、ユーザは、判定結果92を参照することで、捕獲装置102の回収レベルが中であることを把握することができる。
【0083】
表示制御部72は、捕獲装置103の回収の必要度を示す判定結果93を示す。判定結果93は、回収レベルが待機であることを示す。この場合、ユーザは、判定結果93を参照することで、捕獲装置103は回収が必要ではなく待機しておいてよいことを把握することができる。
【0084】
表示制御部72は、捕獲装置104の回収の必要度を示す判定結果94を示す。判定結果94は、回収レベルが低であることを示す。この場合、ユーザは、判定結果94を参照することで、捕獲装置104の回収レベルが低であることを把握することができる。
【0085】
表示制御部72は、捕獲装置105の回収の必要度を示す判定結果95を示す。判定結果95は、捕獲装置105が誤作動していることを示す。この場合、ユーザは、判定結果95を参照することで、捕獲装置105が誤作動していることを把握することができる。なお、害獣回収判定装置14は、通信部50を介して、捕獲装置105の誤作動を解除する機能を有していてもよい。
【0086】
上述のとおり、本実施形態は、害獣を捕獲するために設定された複数の捕獲装置10の状況を自動で判定することができる。これにより、本実施形態は、複数の捕獲装置10の状況を判定するための人的コストを削減することができる。
【0087】
また、本実施形態では、捕獲した動物が害獣であるか否かを判定して、害獣でないと判定された場合には、捕獲した動物を回収せずに逃がすと判定することができる。これにより、本実施形態は、回収する動物を必要最低限にすることができるので、動物を回収するために必要な費用及び人的コストを削減することができる。
【0088】
また、本実施形態では、捕獲した動物が害獣である場合には、捕獲した害獣の種類、害獣を捕獲した場所を判定することができる。これにより、本実施形態は、ユーザは、害獣を捕獲した捕獲装置10の状況を把握することができるので、害獣を回収するために必要な対応を予め準備することができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
10 捕獲装置
12 作物監視装置
14 害獣回収判定装置
20 ワナ部
22 動作検知センサ
24,42 撮像部
26 GNSS受信部
28,44,50 通信部
30,46,58 制御部
40 作物センサ
52 入力部
54 表示部
56 記憶部
56a データ記憶部
56b ワナ状態記憶部
56c 位置情報記憶部
56d 作物育成状態記憶部
56e 害獣情報記憶部
60 取得部
62 育成度判定部
64 ワナ動作判定部
66 動物特定部
68 害獣判定部
70 必要度判定部