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特開2022-182274飛行体制御システムおよび荷物管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182274
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】飛行体制御システムおよび荷物管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/08 20060101AFI20221201BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20221201BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20221201BHJP
   B64F 1/12 20060101ALI20221201BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G05D1/08 Z
B64C39/02
B64D47/08
B64F1/12
B65G1/137 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089743
(22)【出願日】2021-05-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】502369573
【氏名又は名称】ユーピーアール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】酒田 健治
(72)【発明者】
【氏名】中村 康久
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅史
(72)【発明者】
【氏名】福山 毅俊
(72)【発明者】
【氏名】稲本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】永山 佳範
【テーマコード(参考)】
3F522
5H301
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522CC09
3F522DD02
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE11
3F522EE15
3F522FF02
3F522FF12
3F522FF37
3F522GG03
3F522GG44
3F522KK05
3F522LL36
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB08
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC07
5H301DD08
5H301GG09
5H301KK10
(57)【要約】
【課題】倉庫内においても高い飛行安定性を有する飛行体制御システムを提供する。
【解決手段】本発明の飛行体制御システム10は、地上を移動する搬送車50と、搬送車50から空中に浮揚して飛行する飛行体40を備え、搬送車50は、飛行体40が着陸するための着陸用ポート59と、倉庫内に載置された荷物を撮像する撮像部51と、飛行体40をホバリングさせる制御部を備え、撮像部51で撮像した画像情報に基づいて飛行体40を上昇させるかを決定し、搬送車50が停止した状態で着陸用ポート上において飛行体40を上昇させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上を移動する搬送車と、前記搬送車から空中に浮揚して飛行する飛行体を備え、
前記搬送車は、前記飛行体が着陸するための着陸用ポートと、倉庫内に載置された荷物を撮像する第1の撮像部と、前記飛行体をホバリングさせる制御部を備え、
前記制御部は、前記第1の撮像部で撮像した画像情報に基づいて前記飛行体を上昇させるかを決定し、前記搬送車が停止した状態で前記着陸用ポートの上空において前記飛行体を上昇させる
飛行体制御システム。
【請求項2】
前記荷物は、複数段ラックに積載された状態で載置されており、
前記制御部は、前記複数段ラックの最下段における荷物の状態に基づいて、前記飛行体を上昇させるかを決定する
請求項1に記載の飛行体制御システム。
【請求項3】
前記搬送車は、前記飛行体を前記着陸用ポートに着陸させた状態、または前記飛行体を前記着陸用ポートの上空において所定の高さでホバリングさせた状態で前記倉庫内を移動するように構成されている
請求項1または2に記載の飛行体制御システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の飛行体制御システムを備えた荷物管理システムであって、
前記荷物に付与された識別コードと、前記荷物を管理する荷物管理装置とを備え、
前記飛行体は、
前記識別コードを撮像する第2の撮像部と、前記第2の撮像部で撮像した画像情報、または前記第2の撮像部で撮像した画像から読み取った前記識別コードの情報を前記搬送車に送信する送信部を備え、
前記搬送車は、
前記飛行体から受信した情報と、当該受信した情報の受信時間情報を関連付けて前記荷物管理装置に送信する送信部を備え、
前記荷物管理装置は、
前記倉庫内の前記搬送車の位置、及び前記受信時間情報に基づいて、前記倉庫内の前記荷物の位置を管理するように構成されている
荷物管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫内を飛行する飛行体を備えた飛行体制御システムおよびこの飛行体制御システムを用いて倉庫内の荷物を管理する荷物管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫における荷物を管理する技術として、荷物に付与した識別コードを読み取ることにより、倉庫内の荷物の有無や設置場所を管理する方法が提案されている。最近では、倉庫内を飛行する飛行体(ドローン)を用いて、倉庫内の高いラック上に保管された荷物の情報を取得することにより、倉庫内の荷物の点検や棚卸作業の負荷を低減する技術も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1、2では、倉庫内の荷物の画像を撮影するカメラが搭載されたドローンと、ドローンとケーブルで接続され倉庫内を移動する移動機とを備えた荷物管理システムが提案されている。移動機との間のケーブルを用いてドローンを駆動するための電源の充電を行うので、ドローンのカメラによる長時間に渡っての画像取得が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-218325号公報
【特許文献2】特開2019-167177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ドローンのカメラで撮影した画像を用いて荷物を管理する場合には、荷物に付与されたバーコード等の識別コードを正確に読み取る必要があるため、識別コードを撮影するドローンに対しては安定したホバリング制御が要求される。GPS信号が受信できない倉庫内において、オプティカルフローセンサーを用いてホバリング制御を行うドローンもあるが、ドローンの高度が高い場合等、地上の画像の取得が困難な場合や地上の移動機が大きく移動した場合等には、オプティカルフローセンサーを用いたドローンのホバリング制御が不安定になる場合があり、その結果、識別コードの読み取りが不正確になり、識別コードの読み取りに時間がかかるという問題があった。さらには、ホバリング制御が不安定になることで、倉庫内において荷物への衝突や墜落等の発生リスクが高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題を解消するためになされたものであり、倉庫内において荷物への衝突や墜落等の発生リスクが少なく、高い飛行安定性を有する飛行体制御システムを提供し、その飛行体制御システムを用いた荷物管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような課題を解決するために、本発明の飛行体制御システムは、地上を移動する搬送車と、前記搬送車から空中に浮揚して飛行する飛行体を備え、前記搬送車は、前記飛行体が着陸するための着陸用ポートと、倉庫内に載置された荷物を撮像する第1の撮像部と、前記飛行体をホバリングさせる制御部を備え、前記制御部は、前記第1の撮像部で撮像した画像情報に基づいて前記飛行体を上昇させるかを決定し、前記搬送車が停止した状態で前記着陸用ポートの上空において前記飛行体を上昇させる。
【0008】
また、本発明の荷物管理システムは、上記飛行体制御システムを備えた荷物管理システムであって、前記荷物に付与された識別コードと、前記荷物を管理する荷物管理装置とを備え、前記飛行体は、前記識別コードを撮像する第2の撮像部と、前記第2の撮像部で撮像した画像情報、または前記第2の撮像部で撮像した画像から読み取った前記識別コードの情報を前記搬送車に送信する送信部を備え、前記搬送車は、前記飛行体から受信した情報と、当該受信した情報の受信時間情報を関連付けて前記荷物管理装置に送信する送信部を備え、前記荷物管理装置は、前記倉庫内の前記搬送車の位置、及び前記受信時間情報に基づいて、前記倉庫内の前記荷物の位置を管理するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、倉庫内においても高い飛行安定性を有する飛行体制御システムを提供し、その飛行体制御システムを用いた荷物管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態における飛行体制御システムおよび荷物管理システムの構成の一例である。
図2図2は、本発明の実施の形態における飛行体制御システムを構成する飛行体及び搬送車の機能ブロックの一例である。
図3図3は、本発明の実施の形態における飛行体の上昇の判断条件の一例である。
図4図4は、本発明の実施の形態における飛行体の制御を説明するための図である。
図5図5は、本発明の実施の形態における搬送車の移動を説明するための図である。
図6図6は、本発明の実施の形態における荷物管理システムの動作シーケンスの一例である。
図7図7は、本発明の実施の形態における搬送車の制御フローの一例である。
図8図8は、本発明の実施の形態における荷物管理データの一例である。
図9図9は、本発明の実施の形態における飛行体制御システムおよび荷物管理システムの構成の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、本発明は、様々な実施の形態で実施することが可能であり、以下に説明する発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
<飛行体制御システム、荷物管理システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態における飛行体制御システムおよび荷物管理システムの構成の一例である。図1の飛行体制御システム10は、地上を移動する搬送車50と搬送車50から空中に浮揚して飛行する飛行体40とから構成されている。荷物管理システム20は、飛行体制御システム10で取得した情報を用いて、倉庫1内の複数段ラック3に複数段積載されている荷物4を管理するように構成されている。
【0013】
図1の構成例では、倉庫1内の複数段ラック3には、荷物4が積載された状態で配置されており、荷物4には、それぞれ荷物を識別するための固有の識別コード5が付与されている。飛行体40が搭載するカメラ部41(第2の撮像部)により撮像した画像から読み取った識別コード5により各荷物4が識別することができる。荷物管理システム20では、倉庫1内を飛行する飛行体40に搭載されたカメラ部41により撮像した画像から読み取った識別コード5を用いて、倉庫1内の荷物4の有無や設置位置の管理を行う。
【0014】
図1の構成例のような複数段ラック3では、1段目から順番に荷物4を搬出し、1段目の荷物4が全て搬出された場合に、2段目の荷物4を1段目に移動させる荷物の設置形態が採用される。このような荷物4の搬出形態の場合、1段目の荷物4の数を把握することが重要である。このような荷物の設置形態の場合、2段目以上の段の荷物4の数は、荷物4に付与された識別コード5を読み取ることで把握することが可能である。
【0015】
搬送車50は、ターゲット2に向かって倉庫1内を移動し、飛行体40は、搬送車50の上空をホバリングしながら荷物4に付与された識別コード5の画像を取得する。飛行体40は、搬送車50の上空をホバリングする際に、オプティカルフローセンサーを用いた自律制御を行うと共に、搬送車50からの制御信号による上昇および下降を行う。搬送車50は、カメラ部51(第1の撮像部)で撮像した荷物4の画像に基づいて飛行体40を上昇させるかを決定し、飛行体40の上昇および下降は、搬送車50が停止した状態で着陸用ポート59上において行われる。
【0016】
本実施の形態では、荷物4の画像に基づいて、搬送車50からの制御信号により飛行体40を上昇させるので、複数段ラック3の1段目(最下段)に荷物が無い場合や、2段目以上に荷物4が無いと判断できる場合には、飛行体40を上昇させる必要がなくなり、飛行体40を上昇させる機会を最小限にすることができるので、飛行体40を上昇させてホバリングの自律制御が不安定になるような状態を極力避けて、荷物4への衝突や墜落等の事故の発生リスクを低減することができる。
【0017】
さらに、飛行体40の上昇および下降は、搬送車50が停止した状態で着陸用ポート59上において行われるようにすることで、搬送車50が移動した場合に発生し得る飛行体40のホバリングの自律制御が不安定になる状態を回避することができる。
【0018】
荷物管理システム20は、倉庫1内を飛行する飛行体40に搭載されたカメラ部41により撮像した画像から読み取った識別コード5の情報により、倉庫1内の荷物4の有無や設置位置を管理する。倉庫1内の荷物4の有無は、識別コード5を把握することに管理することができ、荷物4の位置は、搬送車50の倉庫1内における位置と関連付けることにより管理することができる。
【0019】
図1の荷物管理システムは、荷物4が複数段ラック3に収容されている複数段ラック倉庫を対象としているが、これに限定されず、本発明は、荷物4が複数段積載されている平置き倉庫等の他の形態の倉庫に対しても適用することができる。平置き倉庫の場合には、複数段積載されている下段の荷物4の状態に応じて、飛行体40を上昇させるかを判断すればよい。
【0020】
<飛行体、搬送車の構成>
図2は、本発明の実施の形態における飛行体制御システムを構成する飛行体及び搬送車の機能ブロックの一例である。
【0021】
搬送車50は、倉庫1内を自走するための走行機能を備え、荷物4及びターゲット2の画像情報を取得するためのカメラ部51(第1の撮像部)、駆動部53の制御や情報の送受信等の処理を行うための中央処理部52、倉庫1内を走行するための駆動部53、飛行体40及び荷物管理装置60と信号を送受信するための無線部54、各種情報等を保存するためのメモリ55、各部を動作させるための電池56、カメラ部51により取得した荷物4の画像に基づいて、飛行体40を上昇させる飛行制御部58、及び飛行体40を着陸させるための着陸用ポート59を備える。搬送車50は、搭載されたカメラ部51により取得した荷物4の画像情報に基づいて飛行体40の上昇を制御するとともに、ターゲット2の画像情報に基づいて倉庫1内の所定の経路を自走することができる。
【0022】
飛行制御部58は、搬送車50は、カメラ部51(第1の撮像部)で撮像した荷物4の画像に基づいて飛行体40を上昇させるかを決定し、搬送車50が停止した状態で着陸用ポート59上において飛行体40を上昇および下降させる。飛行体40に搭載されたプロペラ47の駆動制御は、オプティカルフローセンサーを用いた自律制御に加えて、飛行制御部58からの制御信号に基づく制御が行われる。
【0023】
飛行体40は、荷物4の識別コードの画像情報を取得するためのカメラ部41、画像情報からの識別コード5の読み取りや識別コード5の送信等の処理を行うための中央処理部42、プロペラ47を駆動するための駆動部43、撮像した画像情報または撮像した画像から読み取った識別コード5の情報を送信する送信部として機能する無線部44、各種情報等を保存するためのメモリ45、各部を動作させるための電池46、及び飛行体40を飛行させるためのプロペラ47を備える。
【0024】
本実施の形態では、荷物4の画像に基づいて、搬送車50からの制御信号により飛行体40を上昇させるので、複数段ラック3の1段目に荷物が無い場合や、2段目以上に荷物4が無いと判断できる場合には、飛行体40を上昇させる必要がなくなり、飛行体40を上昇させる機会を最小限にすることができるので、飛行体40が上昇してホバリングの自律制御が不安定になるような状態を極力避けて、荷物4への衝突や墜落等の事故の発生リスクを低減することができる。
【0025】
<飛行体の上昇の判断条件>
図3は、本発明の実施の形態における飛行体の上昇の判断条件の一例である。図3の例は、複数段ラック3において、荷物4を搬出する場合は、1段目のラックから順番に荷物4の搬出を行う場合の判断条件の1例である。この搬出形態では、1段目の荷物4の全てが搬出された場合に、2段目の荷物を1段目に移動させる。このような荷物の搬出形態では、1段目において荷物4が一部存在する場合や、1段目において荷物4が全部存在している場合には、2段目に荷物4がある可能性があるので、飛行体40を上昇させる。一方、1段目に荷物4が無い場合には、2段目に荷物4が無いと判断できるので、飛行体40を上昇させる必要はない。
【0026】
このように、荷物4の状態に応じて、飛行体40を上昇させるかを判断するようにすれば、飛行体40を上昇させる機会を最小限にすることができ、荷物4への衝突や墜落等の事故の発生リスクを低減することができる。
【0027】
本発明における飛行体40を上昇させるかの判断条件は、図3の例に限定されるものではない。倉庫における荷物4の積み方や搬入/搬出方法に応じて適宜定めることができる。例えば、倉庫においては、頻繁に荷物の搬入/搬出が行われるので、前日の荷物の状態に応じて飛行体40を上昇させるかを判断するようにしてもよい。図3の例では、1段目の荷物4が全部有りの場合でも、前日の荷物の状態が2段目に荷物が無いことが分かっている場合には、飛行体40を上昇させないようにすることができる。
【0028】
<飛行体のホバリング制御>
図4は、本発明の実施の形態における飛行体の制御を説明するための図である。図4は、図3に例示した飛行体40の上昇の判断条件に基づく飛行体40の制御の一例である。図4に示すように、搬送車50は、カメラ部51で撮像した荷物4の画像に基づいて飛行体40を上昇させるかを決定し、飛行体40の上昇および下降は、搬送車50が停止した状態で着陸用ポート59上において行われる。
【0029】
図4の(1)では、搬送車50のカメラ部51によって取得された画像により、複数段ラック3の1段目に荷物4が無いと判断できるので、図3の判断条件に基づいて、飛行体40を上昇させる制御は行われず、飛行体40は、搬送車50の着陸用ポート59に着陸した状態である。
【0030】
図4の(2)では、搬送車50のカメラ部51によって取得された画像により、複数段ラック3の1段目に荷物4が一部有りと判断できるので、図3の判断条件に基づいて、飛行体40を上昇させる制御が行われる。1段目の荷物4の識別コード5の読み取りは、飛行体が着陸した状態で行われ、1段目の荷物4の識別コード5の読み取りが行われた後、飛行体40を上昇させて、2段目の荷物4の識別コード5の有無を判断し、荷物4が無い場合には、飛行体40を下降させる。
【0031】
図4の(3)では、搬送車50のカメラ部51によって取得された画像により、複数段ラック3の1段目に荷物4が全部有りと判断できるので、図3の判断条件に基づいて、飛行体40を上昇させる制御が行われる。1段目の荷物4の識別コード5の読み取りは、飛行体が着陸した状態で行われ、1段目の荷物4の識別コード5の読み取りが行われた後、飛行体40を上昇させて、2段目の荷物4の識別コード5の有無を判断し、荷物4が有る場合には、2段目の荷物4の識別コード5の読み取りが行われる。
【0032】
複数段ラック3における荷物4の有無および荷物4が全部有るか、一部有るかの判断は、荷物4に付与された識別コード5を読み取ることにより判断することができる。例えば、図4の例では、複数段ラック3の各段において、荷物4を2段積載できる場合、2つの識別コード5を読み取ることができれば、1段目に荷物4が全部有りと判断することができ、識別コード5を1つしか読み取ることができなければ、荷物4が1部有りと判断することができる。本発明における荷物4の有無および荷物4が全部有るか、一部有るかの判断条件は、これに限定されるものではなく、複数段ラック3における荷物4の大きさや荷物4の積み方に応じて適宜変更することができる。
【0033】
本実施の形態では、搬送車50のカメラ部51で撮像した荷物4の画像に基づいて、搬送車50からの制御信号により飛行体40を上昇させるので、複数段ラック3の1段目に荷物が無い場合や、2段目以上に荷物4が無いと判断できる場合には、飛行体40を上昇させる必要がなくなり、飛行体40を上昇させる機会を最小限にすることができるので、飛行体40が上昇してホバリングの自律制御が不安定になるような状態を極力避けて、荷物4への衝突や墜落等の事故の発生リスクを低減することができる。
【0034】
さらに、飛行体40の上昇および下降は、搬送車50が停止した状態で着陸用ポート59上において行われるようにすることで、搬送車50が移動した場合に発生し得る飛行体40のホバリングの自律制御が不安定になる状態を回避することができる。
【0035】
識別コード5を読み取る飛行体40のホバリング制御の安定性を高めることで、飛行体40のカメラ部41で撮像した画像を用いた識別コード5の読み取りを安全かつ確実に行うことができ、このような飛行体40で識別コード5の読み取りを行うことで、倉庫1内の荷物の管理を安全かつ確実に行うことができる荷物管理システムを提供することができる。
【0036】
<倉庫内における搬送車の移動>
図5は、本発明の実施の形態における搬送車の移動を説明するための図である。図5では、出発点において静止した状態からターゲット2に向けて移動し、ターゲット2に到着するまでの搬送車50の移動動作を説明する。尚、図5では、搬送車50における飛行体40のホバリング制御の説明については省略する。
【0037】
図5の(1)の段階では、カメラ部51により周囲の画像を取得して、取得された画像を用いてターゲット2を探索する。搬送車50は、探索の結果、補足されたターゲット2の画像の方向に向けて移動を開始する。
【0038】
図5の(2)の段階では、ターゲット2の画像を捕捉できたので、搬送車50は、ターゲット2の画像の大きさがより大きくなる方向に向けて移動する。搬送車50がターゲット2に接近するにつれて、ターゲット2の画像が大きくなるので、搬送車50は、ターゲット2に向けて移動していることを確認することができる。
【0039】
図5の(3)の段階では、ターゲット2の大きさが所定の大きさを超えたので、搬送車50は、ターゲット2の付近に到達したと判断し移動を停止する。
【0040】
図5では、円形のターゲット2を用いた場合を説明したが、ターゲット2としては、他の形のものを用いてもよく、バーコードや照明等の他の形態のターゲットを用いてもよい。また、搬送車50を移動させる方法として他の方法を用いることもできる。例えば、倉庫1の床に配置された線の画像を取得し、その画像に沿って搬送車50を移動させてもよい。
【0041】
<荷物管理システムの動作シーケンス>
図6を用いて、荷物管理システムにおける動作シーケンスを説明する。図6は、本発明の実施の形態における荷物管理システムの動作シーケンスの一例である。
【0042】
識別コード5が付与された荷物4は、倉庫1内に搬入され、倉庫1の複数段ラック3に載置される。飛行体40は、搬送車50の着陸用ポート59に設置され、搬送車50は、飛行体40を着陸用ポート59に設置した状態で倉庫1内の移動を開始する。
【0043】
搬送車50は、搭載されたカメラ部51により複数段ラック3の1段目の荷物4の画像を取得して、荷物の状態を判断した結果、1段目の荷物が有る(全部/一部)場合には、移動を中断して、飛行体40に対して1段目のコード情報の読取を指示する。1段目の荷物の有無は、荷物4に付与した識別コード5を読み取ることにより判断することができる。
【0044】
飛行体40は、搭載されたカメラ部41により、1段目の識別コード5を含む荷物4の画像を取得し、取得した画像情報から識別コード5を読み取り、読み取ったコード情報を搬送車50に送信する。
【0045】
飛行体40から1段目の荷物4のコード情報を読み取った後、飛行体40に対して上昇させるための制御信号を送信する。飛行体40は、着陸用ポート59から上昇を開始し、2段目の荷物4の識別コード5を読み取るためのホバリングを開始する。
【0046】
飛行体40は、搭載されたカメラ部41により、2段目の識別コード5を含む荷物4の画像を取得し、取得した画像情報から識別コード5を読み取り、読み取ったコード情報を搬送車50に送信する。飛行体40は、搬送車50の上空をホバリングしながら、複数段ラック3の2段目以上の荷物4の識別コード5の読み取りを行い、読み取ったコード情報を搬送車50に送信する。
【0047】
搬送車50は、識別コード5のコード情報を受信すると、識別コード5のコード情報とともに、コード情報の受信時間情報を保存する。ここで、飛行体40が、取得した画像情報を搬送車50に送信し、搬送車50において、取得した画像情報から識別コード5の情報を読み取るようにしてもよい。
【0048】
搬送車50は、飛行体40からコード信号や画像情報を受信しながら、コード情報等の受信時間情報を収集する。搬送車50は、特定の複数段ラック3の荷物4のコード情報の読み取りが終了すると、コード情報及び受信時間情報を関連付けて荷物管理装置60に送信し、飛行体40に対して飛行体40を下降させるための制御信号を送信する。搬送車50は、飛行体40のホバリングが終了し、搬送車50の着陸用ポート59への着陸が完了すると倉庫1内の移動を再開する。
【0049】
荷物管理装置60には、荷物4と対応する識別コード5のコード情報が予め登録されており、搬送車50から受信した情報を用いて、荷物4毎に、コード情報、及びコード情報の受信時間情報を管理する荷物管理データが構成される。
【0050】
ここで、搬送車50を、所定の時間における倉庫1内の位置が特定できるように倉庫1内の予め定めた移動経路に沿って移動させ、搬送車50におけるコード信号の受信時間情報に基づいて、その受信時間における搬送車50の倉庫1内の位置を特定し、その特定された搬送車50の位置に基づいて荷物4の倉庫1内における位置を特定することができる。
【0051】
飛行体40が搬送車50の上空で安定的にホバリングしている際に、識別コード5の画像情報を取得するようにすれば、より正確な荷物4の倉庫1内における位置を特定することが可能となる。
【0052】
<荷物管理システムの動作フロー>
図7を用いて、荷物管理システムの搬送車における動作フローを説明する。図7は、本発明の実施の形態における搬送車の制御フローの一例である。
【0053】
飛行体40は、搬送車50の着陸用ポート59に設置され、搬送車50は、飛行体40を着陸用ポート59に設置した状態で倉庫1内の移動を開始する(ステップS1-1)。
【0054】
搬送車50は、搭載されたカメラ部51により複数段ラック3の1段目の荷物4の画像を取得し(ステップS1-2)、複数段ラック3の1段目に荷物4が有る(全部/一部)場合には(ステップS1-3:YES)、移動を中断する(ステップS1-4)。一方、複数段ラック3の1段目に荷物4がない場合には(ステップS1-3:NO)、搬送車50は移動を継続する。
【0055】
1段目の荷物が有り(全部/一部)の場合には、飛行体40に対して、1段目の荷物4のコード情報の読取指示が送信される(ステップ1-5)。飛行体40から1段目の荷物4のコード情報の受信が行われた後(ステップS1-6)、飛行体40に対して上昇させるための制御信号を送信し(ステップS1-7)、2段目のコード情報の受信に移行する(ステップS1-8)。
【0056】
搬送車50は、飛行体40が読み取ったコード情報を受信し(ステップS1-8)、受信したコード情報とその受信時間情報を関連付けて保存する(ステップS1-9)。
【0057】
搬送車50は、特定の複数段ラック3の荷物4のコード情報の読み取りが終了すると、コード情報及び受信時間情報を関連付けて荷物管理装置60に送信し(ステップS1-10)、飛行体40に対して飛行体40を下降させるための制御信号を送信する(ステップS1-11)。搬送車50は、飛行体40のホバリングが終了し、搬送車50の着陸用ポート59への着陸が完了すると倉庫1内の移動を再開する(ステップS1-12)。
【0058】
<荷物管理データ>
図8は、本発明の実施の形態における荷物管理データの一例である。この荷物管理データは、荷物管理装置60に保存されている。
【0059】
荷物管理装置60では、搬送車50から受信するコード情報に基づき、識別コード5が付与された荷物4の有無と倉庫1内における位置を管理する。この荷物管理データでは、荷物毎に、荷物情報とコード情報、及びコード情報の受信時間情報を管理している。これらの情報に加えて倉庫1内における荷物4の位置を示す情報を登録するようにしてもよい。
【0060】
<他の実施の形態>
図9は、本発明の実施の形態における飛行体制御システムおよび荷物管理システムの構成の他の例である。図3の構成では、搬送車50は、飛行体40を着陸用ポート59に着陸した状態で移動していたが、図9の構成では、搬送車50は、飛行体40を着陸用ポート59の上空をホバリングさせた状態で移動するように構成されている。
【0061】
図9の構成では、搬送車50は、飛行体40を比較的低い高度でホバリングさせた状態で移動するので、飛行体40を離陸/着陸させる制御が不要となり、図3の構成と比較して、着陸の失敗等のリスクが軽減されるというメリットを有する。特に、荷物4が有るラックと荷物4の無いラックがあり、飛行体40を離陸/着陸が繰り返されるような状況においては、飛行体40を比較的低い高度でホバリング構成は、着陸の失敗等のリスクを軽減するためには有効である。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、倉庫内において荷物への衝突や墜落等の発生リスクが少なく、高い飛行安定性を有する飛行体システムを提供することができ、この高い飛行安定性を有する飛行体制御システムを用いて荷物の状態を管理することで、安全かつ確実に倉庫内の荷物の有無や位置を管理する荷物管理システムを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1…倉庫、2…ターゲット、3…複数段ラック、4…荷物、5…識別コード、10…飛行体制御システム、20…荷物管理システム、40…飛行体、41…カメラ部(第2の撮像部)、42…中央処理部、43…駆動部、44…無線部、45…メモリ、46…電池、47…プロペラ、50…搬送車、51…カメラ部(第1の撮像部)、52…中央処理部、53…駆動部、54…無線部、55…メモリ、56…電池、58…飛行制御部、59…着陸用ポート、60…荷物管理装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上を移動する搬送車と、前記搬送車から空中に浮揚して飛行する飛行体を備え、
前記搬送車は、前記飛行体が着陸するための着陸用ポートと、倉庫内に載置された荷物を撮像する第1の撮像部と、前記飛行体をホバリングさせる制御部を備え、
前記制御部は、前記第1の撮像部で撮像した画像情報に基づいて前記飛行体を上昇させるかを決定し、前記搬送車が停止した状態で前記着陸用ポートの上空において前記飛行体を上昇させる
飛行体制御システムであって、
前記荷物は、複数段ラックに積載された状態で載置されており、
前記制御部は、前記複数段ラックの最下段における荷物の状態に基づいて、前記飛行体を上昇させるかを決定する
行体制御システム。
【請求項2】
前記搬送車は、前記飛行体を前記着陸用ポートに着陸させた状態、または前記飛行体を前記着陸用ポートの上空において所定の高さでホバリングさせた状態で前記倉庫内を移動するように構成されている
請求項1に記載の飛行体制御システム。
【請求項3】
地上を移動する搬送車と、前記搬送車から空中に浮揚して飛行する飛行体を備え、前記搬送車は、前記飛行体が着陸するための着陸用ポートと、倉庫内に載置された荷物を撮像する第1の撮像部と、前記飛行体をホバリングさせる制御部を備え、前記制御部は、前記第1の撮像部で撮像した画像情報に基づいて前記飛行体を上昇させるかを決定し、前記搬送車が停止した状態で前記着陸用ポートの上空において前記飛行体を上昇させる飛行体制御システムを備えた荷物管理システムであって、
前記荷物に付与された識別コードと、前記荷物を管理する荷物管理装置とを備え、
前記飛行体は、
前記識別コードを撮像する第2の撮像部と、前記第2の撮像部で撮像した画像情報、または前記第2の撮像部で撮像した画像から読み取った前記識別コードの情報を前記搬送車に送信する送信部を備え、
前記搬送車は、
前記飛行体から受信した情報と、当該受信した情報の受信時間情報を関連付けて前記荷物管理装置に送信する送信部を備え、
前記荷物管理装置は、
前記倉庫内の前記搬送車の位置、及び前記受信時間情報に基づいて、前記倉庫内の前記荷物の位置を管理するように構成されている
荷物管理システム。
【請求項4】
前記搬送車は、前記飛行体を前記着陸用ポートに着陸させた状態、または前記飛行体を前記着陸用ポートの上空において所定の高さでホバリングさせた状態で前記倉庫内を移動するように構成されている
請求項3に記載の荷物管理システム。