(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182292
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】食材加工器具
(51)【国際特許分類】
A47J 43/046 20060101AFI20221201BHJP
A47J 43/08 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A47J43/046
A47J43/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089767
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】519157727
【氏名又は名称】マクセルイズミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 徹也
(72)【発明者】
【氏名】稲田 健一郎
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA01
4B053BA02
4B053BD03
4B053BF03
4B053BF16
4B053BL20
(57)【要約】
【課題】一台でミキサーおよびフードプロセッサーとして用いることが可能であると共に、部品の共通使用によって一貫性の有るデザインフォルムが実現可能な食材加工器具を提供する。
【解決手段】本発明に係る食材加工器具1は、ミキサー用の第1カッター刃11および第1容器12が第1ベース部13に取付けられるミキサーユニット10、およびフードプロセッサー用の第2カッター刃21および第2容器22が第2ベース部23に取付けられると共に前記第2ベース部23内に回転数の減速を行う減速ギヤ26が設けられるフードプロセッサーユニット20の二つのユニットと、モーター3が内部に設けられて、選択された一つのユニットが着脱可能に取付けられる本体部2と、いずれのユニットが取付けられる場合にも、共通で一つ設けられて、ユニットに被せる配置により本体部2の電源スイッチ6を押動するスイッチカバー5とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターによりカッター刃を回転させて容器に収容された食材の加工を行う食材加工器具であって、
択一的に選択されるユニットとして、ミキサー用の第1カッター刃および第1容器が第1ベース部に取付けられるミキサーユニット、およびフードプロセッサー用の第2カッター刃および第2容器が第2ベース部に取付けられると共に前記第2ベース部内に回転数の減速を行う減速ギヤが設けられるフードプロセッサーユニットの少なくとも二つのユニットと、
前記モーターが内部に設けられて、選択された一つの前記ユニットが着脱可能に取付けられる本体部と、
いずれの前記ユニットが取付けられる場合にも、共通で一つ設けられて、前記ユニットに被せる配置により前記本体部に設けられる電源スイッチを下端部もしくはその近傍部で押動するスイッチカバーと、を備えること
を特徴とする食材加工器具。
【請求項2】
前記スイッチカバーは、外径寸法が、前記本体部の外径寸法以下に構成されており、
前記第2容器は、内径寸法が高さ寸法よりも小さく構成されており、
前記第2カッター刃は、軸部材において、高さが異なる三箇所以上の位置にそれぞれ小刃が取付けられていること
を特徴とする請求項1記載の食材加工器具。
【請求項3】
前記第2カッター刃は、前記軸部材の両端部を除く外径寸法が、前記第2容器の内径寸法の4分の1以下に構成されており、且つ、最上部の前記小刃が、前記第2容器の3分の2以上の高さ位置に配設されていること
を特徴とする請求項2記載の食材加工器具。
【請求項4】
前記第2容器は、上端部および下端部共に底部要素の無い円筒状であって、上端部に蓋部材が嵌合可能に設けられており、且つ、前記蓋部材の嵌合シロ寸法が、前記スイッチカバーが押し下げられて前記電源スイッチを押動している状態において前記蓋部材の上面と前記スイッチカバーの下面との間に設定される隙間寸法よりも大きく構成されていること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の食材加工器具。
【請求項5】
前記減速ギヤは、前記第2ベース部に着脱可能なギヤユニットに組込まれており、
前記ギヤユニットは、減速比の異なる前記減速ギヤが組込まれた複数種類を有し、仕様に応じて選択される構成であること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の食材加工器具。
【請求項6】
前記ミキサーユニットは、前記第1カッター刃として、ミル用とジューサー用とを兼ねる兼用カッター刃が用いられると共に、前記第1容器として、相対的に浅いミル用容器が用いられる場合にミルユニットとなり、相対的に深いジューサー用容器が用いられる場合にジューサーユニットとなる構成であること
を特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の食材加工器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材加工器具に関する。
【背景技術】
【0002】
モーターによりカッター刃を回転させて容器に収容された食材の加工を行う食材加工器具として、ミキサーやフードプロセッサーが知られている。ここで、ミキサーは、食材を粉砕する、挽く、細かく切る、混ぜ合わせる等の加工(以下、「ミリング・ミキシング」と称する場合がある)を行う器具である(特許文献1:特開2016-73335号公報参照)。なお、ミキサーは、用途によりミルおよびジューサーに細分化され、それぞれが専用の器具も存在する。
【0003】
一方、フードプロセッサーは、食材を細かく切る、切り刻んで混ぜ合わせる等の加工、特に、野菜をみじん切りにする、肉をミンチにする、魚肉をすり身にする等の加工(以下、「フードプロセシング」と称する場合がある)を行う器具である(特許文献2:特開2016-73339号公報参照)。なお、ミキサーとフードプロセッサーとを一台で兼用する器具も開発されている(特許文献3:実開平4-28844号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-73335号公報
【特許文献2】特開2016-73339号公報
【特許文献3】実開平4-28844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に例示されるように、ミキサーとしてミルとジューサーとを兼用する食材加工器具は広く市場で普及している。これと比較して、ミキサーとフードプロセッサーとを兼用する食材加工器具は、さほど市場で普及しているとは言い難い。その理由として、ミキサーは、カッター刃を高速(2万回転前後)で回転させて加工を行うことが理想であるが、フードプロセッサーは、カッター刃の回転トルクを高めるために低速(2千回転前後)で回転させて加工を行うことが理想である。したがって、その両立を図ろうとすると、装置構成が複雑化してしまう等の課題が生じるためである。
【0006】
これに対し、特許文献3に例示される兼用器具においては、フードプロセッサーユニットの内部に減速ギヤを設ける構成によって、その実現を図っている。しかしながら、その一方で、フードプロセッサーユニットを搭載する場合、本体部の外径よりユニット径が大きくなり、スイッチカバー等の部品が共通使用できず、デザインフォルムの一貫性にも欠けるという課題があった。
【0007】
そこで、本願発明者は、スイッチカバー等の部品を共通使用でき、且つ、一貫性の有るデザインフォルムを実現するために、フードプロセッサーユニットをミキサーユニットと同程度のユニット径となるように試作したところ、容器が細身になったことによって、食材の加工(フードプロセシング)が困難になるという課題が新たに生じる結果となった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、一台でミキサーおよびフードプロセッサーとして用いることが可能であると共に、いずれの用途で用いる場合にも、スイッチカバー等の共通使用が可能で、一貫性の有るデザインフォルムが実現できる食材加工器具を提供することを目的とする。
【0009】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
開示の食材加工器具は、モーターによりカッター刃を回転させて容器に収容された食材の加工を行う食材加工器具であって、択一的に選択されるユニットとして、ミキサー用の第1カッター刃および第1容器が第1ベース部に取付けられるミキサーユニット、およびフードプロセッサー用の第2カッター刃および第2容器が第2ベース部に取付けられると共に前記第2ベース部内に回転数の減速を行う減速ギヤが設けられるフードプロセッサーユニットの少なくとも二つのユニットと、前記モーターが内部に設けられて、選択された一つの前記ユニットが着脱可能に取付けられる本体部と、いずれの前記ユニットが取付けられる場合にも、共通で一つ設けられて、前記ユニットに被せる配置により前記本体部に設けられる電源スイッチを下端部もしくはその近傍部で押動するスイッチカバーと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一台でミキサーおよびフードプロセッサーとして用いることができる。また、いずれの用途で用いる場合にも、スイッチカバー等の共通使用が可能となり、コストダウンが実現できるだけでなく、一貫性の有るスタイリッシュなデザインフォルムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る食材加工器具の例を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す食材加工器具の例を示す正面断面図である。
【
図3】
図1に示す食材加工器具のスイッチカバーの例を示す概略図であり、
図3(a)は正面図、
図3(b)は正面断面図である。
【
図4】
図1に示す食材加工器具のミキサーユニットの他の例(ミルユニットとして構成される例)を示す正面断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る食材加工器具のフードプロセッサーユニットの例を示す分解斜視図である。
【
図6】
図5に示すフードプロセッサーユニットの例を示す正面断面図である。
【
図7】
図5に示すフードプロセッサーユニットのカッター刃の例を示す平面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る食材加工器具のフードプロセッサーユニットの他の例におけるギヤユニットの例を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、食材加工器具1の例を示す分解斜視図(概略図)である。また、
図2は、食材加工器具1の例を示す正面断面図(概略図)である。なお、本器具の上下方向を
図2の紙面上下方向に対応させて説明を行う。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
本実施形態に係る食材加工器具1は、
図1、
図2に示すように、モーター3が内部に配設された本体部2と、本体部2に着脱可能に取付けられるユニットとを備えて構成されている。本体部2は、下部にモーター3を囲う配置で筒状の外側ケース2Aが設けられ、上部に外側ケース2Aよりも所定寸法小径に形成された筒状の内側ケース2Bが設けられている。
【0015】
本体部2に取付けられるユニットは、食材の加工用途に応じて複数のユニットから択一的に選択される構成である。具体的に、ミキサー用の第1カッター刃11および第1容器12が第1ベース部13に取付けられるミキサーユニット10、および、フードプロセッサー用の第2カッター刃21および第2容器22が第2ベース部23に取付けられると共に第2ベース部23内に回転数の減速を行う減速ギヤ26が設けられるフードプロセッサーユニット20、の少なくとも二つのユニットを備えている。
【0016】
先ず、ミキサーユニット10について説明する。本実施形態に係るミキサーユニット10は、第1ベース部13と、当該第1ベース部13に着脱可能に取付けられる第1容器12とを備えている。第1ベース部13には後述のジョイントを介してモーター3の回転駆動力が伝達されて回転駆動される駆動軸15が設けられている。ここで、駆動軸15は、第1ベース部13における容器側底面13bから上端部が第1容器12内に突出する配置で、当該第1ベース部13に回転可能に支持されている。この駆動軸15の上端部に第1カッター刃11が取付けられて、駆動軸15によって回転される。
【0017】
一例として、第1容器12はガラス等を用いてカップ状に形成されており、加工対象となる食材が内部に収容される。第1容器12の開口部の外周(あるいは、内周でもよい)にはネジ部12aが形成されており、当該ネジ部12aに対応するように第1ベース部13に形成されたネジ部13aと螺合可能となっている。
【0018】
第1ベース部13は、第1容器12を液密に着脱可能に保持し、その状態で本体部2に対して着脱可能に構成されている。一例として、第1ベース部13と本体部2との着脱(嵌合)は、ネジによる螺合ではなく、軸方向に挿抜する圧入固定構造としている。なお、第1ベース部13の外周には本体部2の上部に設けた三つの縦溝2aに係合する三つの縦長の突起13cが形成されており、突起13cと縦溝2aとが係合することにより、第1ベース部13の回転が規制される。
【0019】
第1カッター刃11は、連結構造を有する上刃11Aおよび下刃11Bと、それらを固定すると共にモーター3による回転駆動力が伝達されて回転する軸部材11Cとを備えて構成されている。一例として、上刃11Aはいわゆるミキサー用として切断処理を主たる目的とするものであり、上刃11Aの外周辺の所定位置には刃部が形成された構成を備えている。一方、下刃11Bはいわゆるミル用として粉砕処理を主たる目的とするものであり、下刃11Bの外周辺には刃部が形成されていない構成を備えている。ただし、第1カッター刃11の構成は上記に限定されるものではなく、様々な構成を採用し得る。
【0020】
ここで、モーター3の駆動軸3Aの上端部には、本体側ジョイント4が設けられており、ミキサーユニット10の駆動軸15の下端部には、本体側ジョイント4に係脱可能に係合されるユニット側ジョイント14が設けられている。これによれば、ミキサーユニット10が、本体部2上部の所定位置に取付けられることによって、本体側ジョイント4とユニット側ジョイント14とが回転の軸を一致させて係合され、本体側ジョイント4とユニット側ジョイント14との間で回転駆動力の伝達が可能となる。
【0021】
このような構成により、第1容器12内に食材を収容し、モーター3の回転駆動力を駆動軸3A、本体側ジョイント4、ユニット側ジョイント14、および駆動軸15を介して、第1容器12内に突出した状態で当該駆動軸15に固定される第1カッター刃11に伝達させ、当該第1カッター刃11を回転させることによって、第1容器12内に収容した食材の加工(ミリング・ミキシング)を行うことが可能となる。
【0022】
なお、本実施形態に係るミキサーユニット10は、第1カッター刃11として、ミル用とジューサー用とを兼ねる兼用カッター刃が用いられている。したがって、第1容器12として、相対的に深いジューサー用容器12Aが用いられる場合にジューサーユニットとなる構成(
図1、
図2参照)であり、相対的に浅いミル用容器12Bが用いられる場合にミルユニットとなる構成(
図4参照)である。
【0023】
次に、本体部2および当該本体部2に着脱可能に嵌合されるスイッチカバー5について説明する。ここで、スイッチカバー5の正面図(概略図)を
図3(a)に示し、正面断面図(概略図)を
図3(b)に示す。本実施形態に係るスイッチカバー5は、内部の視認が可能なように一部(あるいは、全体であってもよい)に透明な樹脂材料を用いてカップ状に形成されて、使用の際、本体部2に取付けられるユニットに被せる配置で、本体部2の内側ケース2Bの外側に嵌合される構成となる。また、開口部を有する下端部もしくはその近傍部において、本体部2に設けられた電源スイッチ6を押動する爪5aが設けられている。
【0024】
一方、本体部2の上部には、スイッチカバー5の各爪5aにそれぞれ対応する位置に、複数の(もしくは一つでもよい)電源スイッチ6が設けられている。当該電源スイッチ6は復帰バネ(不図示)によって上方への復帰習性が付されている。したがって、スイッチカバー5を復帰バネに抗して手で押し下げれば、爪5aによってスイッチが押動されて、電源がオンとなり、モーター3が始動する。スイッチカバー5を押し下げるのを止めれば、スイッチカバー5が上方に復帰して、爪5aによるスイッチの押動が解除されて、電源がオフとなり、モーター3が停止する。本実施形態においては、爪5aをスイッチカバー5の複数個所(一例として、三箇所)に相互に均等間隔で配置している。同様に、対応する電源スイッチ6を本体部2の複数個所(一例として、三箇所)に相互に均等間隔で配置している。なお、スイッチカバー5は、電源スイッチ6を押動する際に押し下げられた状態で下端部の外周縁が本体部2(ここでは、外側ケース2Aの上端部)と隙間無く密着する形状に形成されている。
【0025】
なお、本実施形態においては、前述のミキサーユニット10や、後述のフードプロセッサーユニット20等、いずれのユニットが取付けられる場合にも、スイッチカバー5は、共通で一つ設けられて、当該ユニットに被せる配置で本体部2に装着可能に構成されている。したがって、部品の共通使用によるコストダウンを図ることができると共に、一貫性の有るデザインフォルムを実現することができる。
【0026】
さらに、スイッチカバー5は、外径寸法が、本体部2の外側ケース2A(嵌合部分を除く)上部の外径寸法以下に構成されている。これによれば、特にフードプロセッサーを兼用する従来の器具と比較して、全体を細身に構成することができるため、スタイリッシュなデザインが実現でき、且つ、省スペースでの設置が可能となる。
【0027】
次に、フードプロセッサーユニット20について説明する。ここで、フードプロセッサーユニット20の分解斜視図(概略図)を
図5に示し、正面断面図(概略図)を
図6に示す。なお、本体部2およびスイッチカバー5は
図1~
図3と同一構成であるため、図示を省略する。
【0028】
本実施形態に係るフードプロセッサーユニット20は、前述のミキサーユニット10と基本的な構成が同様であるため、以下、相違点を中心に説明する。当該フードプロセッサーユニット20は、第2ベース部23と、当該第2ベース部23に着脱可能に取付けられる第2容器22とを備えている。
【0029】
先ず、第2ベース部23は、内部に減速ギヤ26が設けられた構成であると共に、第2容器22を液密に着脱可能に保持し、その状態で本体部2に対して着脱可能に構成されている。一例として、第2ベース部23と本体部2との着脱(嵌合)は、ネジによる螺合ではなく、軸方向に挿抜する圧入固定構造としている。なお、第2ベース部23の外周には本体部2の上部に設けた三つの縦溝2aに係合する三つの縦長の突起23cが形成されており、突起23cと縦溝2aとが係合することにより、第2ベース部23の回転が規制される。
【0030】
また、第2ベース部23には、本体側ジョイント4を介してモーター3の回転駆動力が伝達されて回転駆動される駆動軸25が設けられている。この駆動軸25の下端部には、本体側ジョイント4に係脱可能に係合されるユニット側ジョイント24が設けられている。
【0031】
本実施形態に係る駆動軸25は、ユニット側ジョイント24に連結される入力軸25Aと、容器側底面23bから上端部が第2容器22内に突出する出力軸25Bとが、減速ギヤ26を介して、それぞれ第2ベース部23に回転可能に支持された構成となっている。また、駆動軸25(具体的には、出力軸25B)の上端部に第2カッター刃21が取付けられて、駆動軸25によって回転される。
【0032】
この構成によれば、モーター3の駆動軸3Aから本体側ジョイント4およびユニット側ジョイント24を介して入力軸25Aに入力される回転駆動力を、減速ギヤ26によりその回転数の減速を行って、出力軸25Bから出力させる作用が生じる。したがって、駆動軸25(出力軸25B)により第2カッター刃21を回転させる際に、前述のミキサーユニット10を取付けて駆動軸15により第1カッター刃11を回転させる構成と比較して、回転数を下げ、且つ、回転トルクを高めることができる。第2カッター刃21をこのように回転させることができるため、第2容器22内に収容した食材の加工(フードプロセシング)を行うことが可能となる。
【0033】
ここで、第2容器22は、上端部および下端部共に底部要素の無い円筒状の収容部22Aを有し、その上端部に蓋部材22Bが嵌合可能な構成であり、樹脂もしくはガラス等を用いて形成されている。収容部22Aの下端部の開口部の外周(あるいは、内周でもよい)にはネジ部22aが形成されており、当該ネジ部22aに対応するように第2ベース部23に形成されたネジ部23aと螺合可能となっている。この構成によれば、第2カッター刃21を出力軸25Bに固定した状態で、収容部22Aを第2ベース部23に装着することができる。その状態で、収容部22A内に上端部の開口部から加工対象となる食材を内部に収容することができる。さらに、食材を内部に収容した状態で、上端部の開口部に蓋部材22Bを嵌合することができる。
【0034】
本実施形態においては、前述の通り、一つのスイッチカバー5をミキサーユニット10と共用化するために、第2容器22に関して、内径寸法が高さ寸法よりも小さい構成とすることで、その実現を図っている。また、当該構成によって、第2容器22内に収容可能となる食材の許容長さを大きくでき、且つ、収容量を増加させることができる。
【0035】
さらに、第2容器22は、蓋部材22Bの嵌合シロ寸法Lが、スイッチカバー5が押し下げられて電源スイッチ6を押動している状態において蓋部材22Bの上面とスイッチカバー5の下面との間に設定される隙間寸法よりも大きく構成されている。これによれば、収容部22Aと蓋部材22Bとの嵌合箇所にネジ構造等を採用しなくても、第2カッター刃21を回転させて食材の加工を行っている状態において、蓋部材22Bが外れて食材が飛び散ることが無い。
【0036】
前述の通り、第2容器22を細身に構成すると、食材の加工(フードプロセシング)が困難になるという課題が生じる。そこで、本実施形態に係る第2カッター刃21は、以下の特徴的な構成を備えて、当該課題の解決を図っている。ここで、第2カッター刃21の平面図(概略図)を
図7に示す。具体的に、第2カッター刃21は、駆動軸25(出力軸25B)に取付けられ、モーター3による回転駆動力が伝達されて回転する軸部材21Aと、当該軸部材21Aに取付けらえた複数の小刃21Bとを備えて構成されている。ここで、小刃21Bは、軸部材21Aにおいて、高さが異なる三箇所以上の位置にそれぞれが取付けられている。一例として、高さが異なる四箇所の位置において、平面視で均等間隔の放射状に取付けられている。このとき、第2カッター刃21は、軸部材21A(両端部を除く)の外径寸法が、第2容器22の内径寸法の4分の1以下に構成されており、且つ、最上部の小刃21Bが、第2容器22の下から3分の2以上の高さ位置に配設されている。ただし、この構成に限定されるものではない。
【0037】
この構成によれば、第2容器22が前述のように細身に形成される構成であっても、その容器内で食材の加工(フードプロセシング)を行うことが可能となる。特に、第2容器22内に、小刃21Bに遮られないようにして長尺の食材を収容するスペースを確保することができるため、例えば、スティック状の野菜を用いたみじん切り加工等を好適に行うことが可能となる。また、第2カッター刃21を回転させる際の振動を抑制する効果も得られる。
【0038】
なお、フードプロセッサーユニット20の変形例として、第2ベース部23に着脱可能なギヤユニット30(
図8参照)を備えて、前述の減速ギヤ26が当該ギヤユニット30に組込まれる構成としてもよい。このとき、ギヤユニット30の入力部31が第2ベース部23の入力軸25Aに接続され、減速ギヤ26を介して回転駆動力が伝達される出力部32が前述の第2ベース部23の出力軸25Bの役割をなす。
【0039】
さらに、当該ギヤユニット30として、減速比の異なる減速ギヤ26が組込まれた複数種類を準備して、仕様に応じて選択される構成としてもよい。これによれば、トルクを上げたい場合や、回転数を上げたい場合等、特に設計・製造段階において仕様変更を行うことが極めて容易となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0040】
以上、説明した通り、本発明によれば、一台で、ミル、ジューサー、フードプロセッサーの三役が可能であり、極めて利便性が高い食材加工器具が実現できる。また、いずれの用途で用いる場合にも、スイッチカバー等の共通使用が可能となり、コストダウンが実現できるだけでなく、一貫性の有るスタイリッシュなデザインフォルムが実現できる。
【0041】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 食材加工器具
2 本体部
3 モーター
5 スイッチカバー
6 電源スイッチ
10 ミキサーユニット
11 第1カッター刃
12 第1容器
13 第1ベース部
20 フードプロセッサーユニット
21 第2カッター刃
21A 軸部材
21B 小刃
22 第2容器
22A 収容部
22B 蓋部材
23 第2ベース部
26 減速ギヤ
30 ギヤユニット