(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182297
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】受注管理装置、受注管理方法、および、受注管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221201BHJP
【FI】
G06Q30/02 346
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089778
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 友教
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】荷物の荷数、納期、請求先、および、納入先を加味して、注文に対するインセンティブを設定することができる受注管理装置、受注管理方法、および、受注管理プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】
受注日、請求先、納入先、希望納期、および、商品の荷数を設定した注文データを取得し、注文データに基づいて、各請求先における納入先毎に、受注日および希望納期が同一の商品の荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出し、インセンティブテーブル、請求先マスタおよび納入先マスタに基づいて、当該集計荷物に対するインセンティブを設定した値引算出データを取得し、注文データ、および、値引算出データに基づいて、商品毎のインセンティブ適用売上金額を含む売上データを取得する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた受注管理装置であって、
前記記憶部は、
インセンティブが適用される荷物の荷数、前記インセンティブが適用されるリードタイム、および、前記インセンティブを紐付けて設定したインセンティブテーブルを記憶するインセンティブ記憶手段と、
請求先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した請求先マスタを記憶する請求先記憶手段と、
納入先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した納入先マスタを記憶する納入先記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
受注日、前記請求先、前記納入先、希望納期、および、商品の荷数を設定した注文データを取得する注文取得手段と、
前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出し、前記インセンティブテーブル、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した値引算出データを取得する集計手段と、
前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎のインセンティブ適用売上金額を含む売上データを取得する売上取得手段と、
を備えたことを特徴とする受注管理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記商品、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した商品マスタを記憶する商品記憶手段、
更に備え、
前記集計手段は、
前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した前記集計荷物の前記集計荷数を算出し、前記インセンティブテーブル、前記商品マスタ、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した前記値引算出データを取得することを特徴とする請求項1に記載の受注管理装置。
【請求項3】
前記インセンティブは、
値引率であり、
前記売上取得手段は、
前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎の値引適用売上金額を含む前記売上データを取得することを特徴とする請求項1または2に記載の受注管理装置。
【請求項4】
前記売上取得手段は、
前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎の値引額、および、前記値引適用売上金額を含む前記売上データを取得することを特徴とする請求項3に記載の受注管理装置。
【請求項5】
前記集計手段は、
前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した前記集計荷物の前記集計荷数、および、前記受注日から前記希望納期までの日数である希望リードタイムを算出し、前記集計荷数および前記希望リードタイムと、前記インセンティブテーブルに設定された前記荷数および前記リードタイムと、の比較に基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを特定し、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物の前記請求先および前記納入先が前記インセンティブの適用対象であると判定した場合、当該集計荷物に対する当該インセンティブを設定した前記値引算出データを取得することを特徴とする請求項1に記載の受注管理装置。
【請求項6】
前記集計手段は、
日次で、前記集計荷物の前記集計荷数を算出し、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した前記値引算出データを取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の受注管理装置。
【請求項7】
前記売上取得手段は、
前記商品の出荷処理後に、前記商品毎の前記インセンティブ適用売上金額を含む前記売上データを取得することを特徴とする請求項1または2に記載の受注管理装置。
【請求項8】
記憶部と制御部とを備えた受注管理装置に実行させるための受注管理方法であって、
前記記憶部は、
インセンティブが適用される荷物の荷数、前記インセンティブが適用されるリードタイム、および、前記インセンティブを紐付けて設定したインセンティブテーブルを記憶するインセンティブ記憶手段と、
請求先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した請求先マスタを記憶する請求先記憶手段と、
納入先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した納入先マスタを記憶する納入先記憶手段と、
を備え、
前記制御部で実行させる、
受注日、前記請求先、前記納入先、希望納期、および、商品の荷数を設定した注文データを取得する注文取得ステップと、
前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出し、前記インセンティブテーブル、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した値引算出データを取得する集計ステップと、
前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎のインセンティブ適用売上金額を含む売上データを取得する売上取得ステップと、
を含むことを特徴とする受注管理方法。
【請求項9】
記憶部と制御部とを備えた受注管理装置に実行させるための受注管理プログラムであって、
前記記憶部は、
インセンティブが適用される荷物の荷数、前記インセンティブが適用されるリードタイム、および、前記インセンティブを紐付けて設定したインセンティブテーブルを記憶するインセンティブ記憶手段と、
請求先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した請求先マスタを記憶する請求先記憶手段と、
納入先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した納入先マスタを記憶する納入先記憶手段と、
を備え、
前記制御部において、
受注日、前記請求先、前記納入先、希望納期、および、商品の荷数を設定した注文データを取得する注文取得ステップと、
前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出し、前記インセンティブテーブル、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した値引算出データを取得する集計ステップと、
前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎のインセンティブ適用売上金額を含む売上データを取得する売上取得ステップと、
を実行させるための受注管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受注管理装置、受注管理方法、および、受注管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、取引ロットの大きさによって価格インセンティブを適用し、商品別・各納期期間別の商品取引量や予約取引日から納期までの長さに応じた予約インセンティブを適用する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、インセンティブ対象の請求先、および、納入先を加味して、注文に対するインセンティブを決定することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、荷物の荷数、納期、請求先、および、納入先を加味して、注文に対するインセンティブを設定することができる受注管理装置、受注管理方法、および、受注管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る受注管理装置は、記憶部と制御部とを備えた受注管理装置であって、前記記憶部は、インセンティブが適用される荷物の荷数、前記インセンティブが適用されるリードタイム、および、前記インセンティブを紐付けて設定したインセンティブテーブルを記憶するインセンティブ記憶手段と、請求先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した請求先マスタを記憶する請求先記憶手段と、納入先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した納入先マスタを記憶する納入先記憶手段と、を備え、前記制御部は、受注日、前記請求先、前記納入先、希望納期、および、商品の荷数を設定した注文データを取得する注文取得手段と、前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出し、前記インセンティブテーブル、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した値引算出データを取得する集計手段と、前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎のインセンティブ適用売上金額を含む売上データを取得する売上取得手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る受注管理装置において、前記記憶部は、前記商品、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した商品マスタを記憶する商品記憶手段、更に備え、前記集計手段は、前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した前記集計荷物の前記集計荷数を算出し、前記インセンティブテーブル、前記商品マスタ、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した前記値引算出データを取得することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る受注管理装置において、前記インセンティブは、値引率であり、前記売上取得手段は、前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎の値引適用売上金額を含む前記売上データを取得することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る受注管理装置において、前記売上取得手段は、前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎の値引額、および、前記値引適用売上金額を含む前記売上データを取得することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る受注管理装置において、前記集計手段は、前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した前記集計荷物の前記集計荷数、および、前記受注日から前記希望納期までの日数である希望リードタイムを算出し、前記集計荷数および前記希望リードタイムと、前記インセンティブテーブルに設定された前記荷数および前記リードタイムと、の比較に基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを特定し、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物の前記請求先および前記納入先が前記インセンティブの適用対象であると判定した場合、当該集計荷物に対する当該インセンティブを設定した前記値引算出データを取得することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る受注管理装置において、前記集計手段は、日次で、前記集計荷物の前記集計荷数を算出し、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した前記値引算出データを取得することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る受注管理装置において、前記売上取得手段は、前記商品の出荷処理後に、前記商品毎の前記インセンティブ適用売上金額を含む前記売上データを取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る受注管理方法は、記憶部と制御部とを備えた受注管理装置に実行させるための受注管理方法であって、前記記憶部は、インセンティブが適用される荷物の荷数、前記インセンティブが適用されるリードタイム、および、前記インセンティブを紐付けて設定したインセンティブテーブルを記憶するインセンティブ記憶手段と、請求先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した請求先マスタを記憶する請求先記憶手段と、納入先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した納入先マスタを記憶する納入先記憶手段と、を備え、前記制御部で実行させる、受注日、前記請求先、前記納入先、希望納期、および、商品の荷数を設定した注文データを取得する注文取得ステップと、前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出し、前記インセンティブテーブル、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した値引算出データを取得する集計ステップと、前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎のインセンティブ適用売上金額を含む売上データを取得する売上取得ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る受注管理プログラムは、記憶部と制御部とを備えた受注管理装置に実行させるための受注管理プログラムであって、前記記憶部は、インセンティブが適用される荷物の荷数、前記インセンティブが適用されるリードタイム、および、前記インセンティブを紐付けて設定したインセンティブテーブルを記憶するインセンティブ記憶手段と、請求先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した請求先マスタを記憶する請求先記憶手段と、納入先、および、前記インセンティブの適用可否を紐付けて設定した納入先マスタを記憶する納入先記憶手段と、を備え、前記制御部において、受注日、前記請求先、前記納入先、希望納期、および、商品の荷数を設定した注文データを取得する注文取得ステップと、前記注文データに基づいて、前記各請求先における前記納入先毎に、前記受注日および前記希望納期が同一の前記商品の前記荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出し、前記インセンティブテーブル、前記請求先マスタおよび前記納入先マスタに基づいて、当該集計荷物に対する前記インセンティブを設定した値引算出データを取得する集計ステップと、前記注文データ、および、前記値引算出データに基づいて、前記商品毎のインセンティブ適用売上金額を含む売上データを取得する売上取得ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1回の注文において、複数の注文をまとめて受付を行うと同時に、余裕を持った納期で注文受付を行い、物流手配、調達手配の計画を円滑に行うことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、計算ミスの解消、および、値引判断の属人化解消が可能となることで、複雑な値引計算の自動化が可能となるという効果を奏する。また、本発明によれば、まとめ出荷による運送費、倉庫保管費および/または荷役作業費等の物流費の削減、車両手配の簡素化、大量ロット製造による生産業務の効率化、短納期への対応による工場従業員の業務負荷集中による過重労働防止、および、仕入先へのまとめ発注におけるリベート享受が可能となることで、余裕をもった納期設定による調達計画の改善を図ることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、注文量拡大、顧客満足度向上、および、取引定着率の向上が可能となることで、販売促進に繋げることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、グループ条件毎に受注データを集計し、リードタイムと集計単位別の受注量とを算出し、算出したリードタイムと受注量とを基にインセンティブマスタを特定し、値引率を取得し、値引算出データを作成することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、値引対象受注の売上時に自動的に値引データを作成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、従来の受注管理処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における受注管理処理の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における受注管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態におけるインセンティブテーブルを示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における請求先マスタを示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における納入先マスタを示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における商品マスタを示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における受注管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施形態における受注管理処理の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態における受注管理処理の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における受注管理処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
まず、
図1および
図2を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、従来の受注管理処理の一例を示す図である。
図2は、本実施形態における受注管理処理の一例を示す図である。
【0019】
「メーカー」-「卸売」-「小売」の流通取引においては、一定の期間で商品の売上高や取引高など一定の条件をクリアした流通業者(メーカー・卸売)に対して、支払処理または値引処理を行う報奨金制度(リベート・割戻・キックバック)がある。
【0020】
従来、多くの報奨金制度は、月単位で基準値が設定されており、サプライヤー(メーカー、卸売)側からの販売促進を促す点において、有益ではあったが、月末・期末集中型の取引の集中や、突発的な注文の発生の多発により、物流手配や調達が間に合わず、結果的に注文を受付できないといった事象が多く発生していた。
【0021】
例えば、
図1に示すように、従来は、販売インセンティブを行っていたため、月末に工場生産が追い付かなかったり、物流手配ができなかったりすることで、納品が間に合わないケースが生じていた。
【0022】
そこで、本実施形態においては、納期と数量とを加味したインセンティブテーブルを作成しておき、注文の登録があった場合、注文を請求先・納入先・納期毎に集計して受付番号を発行し、受付番号単位でインセンティブテーブルを参照して値引率を算出し、出荷処理後、売上計上のタイミングで値引データを作成する仕組みを提供している。
【0023】
例えば、
図2に示すように、本実施形態においては、販売インセンティブに物流/調達インセンティブを併用することで、1回の注文において数量・納期・請求先(得意先)・納入先に着目した取引を行い、サプライヤー側からの商品の供給を円滑に行えるようにしている。また、本実施形態においては、複数の注文をまとめて受け付け、余裕を持った納期で注文受付を行うことにより、サプライヤー側の物流手配、調達手配の計画を円滑に行うことができるようにしている。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る受注管理装置100の構成の一例について、
図3から
図7を参照して説明する。
図3は、本実施形態における受注管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図3に示すように、受注管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、受注管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
受注管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。受注管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、受注管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、受注管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、インセンティブテーブル106aと請求先マスタ106bと納入先マスタ106cと商品マスタ106dと取引データベース106eとを備えている。
【0030】
インセンティブテーブル106aは、インセンティブを設定したテーブルである。ここで、インセンティブテーブル106aは、インセンティブが適用される荷物の荷数、インセンティブが適用されるリードタイム、および、インセンティブが紐付けて設定されていてもよい。また、インセンティブは、値引率、値引額、割戻率、および/または、割戻額であってもよい。
【0031】
ここで、
図4を参照して、本実施形態におけるインセンティブテーブル106aを説明する。
図4は、本実施形態におけるインセンティブテーブル106aを示す図である。
【0032】
図4に示すように、本実施形態におけるインセンティブテーブル106aにおいては、インセンティブが適用される荷物の数量、インセンティブが適用されるリードタイム(LT)、および、値引率が紐付けて設定されていてもよい。このように、本実施形態におけるインセンティブテーブル106aは、納期と数量とを加味したテーブルであってもよい。
【0033】
図3に戻り、請求先マスタ106bは、請求先、および、インセンティブの適用可否を紐付けて設定したマスタである。
【0034】
ここで、
図5を参照して、本実施形態における請求先マスタ106bを説明する。
図5は、本実施形態における請求先マスタ106bを示す図である。
【0035】
図5に示すように、本実施形態における請求先マスタ106bにおいては、インセンティブ対象の請求先コード(CD)および請求先名称、ならびに、インセンティブ対象区分が紐付けて設定されていてもよい。このように、本実施形態における請求先マスタ106bにおいては、インセンティブ対象の請求先が登録されていてもよい。
【0036】
図3に戻り、納入先マスタ106cは、納入先、および、インセンティブの適用可否を紐付けて設定したマスタである。
【0037】
ここで、
図6を参照して、本実施形態における納入先マスタ106cを説明する。
図6は、本実施形態における納入先マスタ106cを示す図である。
【0038】
図6に示すように、本実施形態における納入先マスタ106cにおいては、インセンティブ対象の納入先コード(CD)および納入先名称、ならびに、インセンティブ対象区分が紐付けて設定されていてもよい。このように、本実施形態における納入先マスタ106cにおいては、インセンティブ対象の納入先が登録されていてもよい(遠方地はインセンティブ対象外等の条件をつけるため)。
【0039】
図3に戻り、商品マスタ106dは、商品、および、インセンティブの適用可否を紐付けて設定したマスタである。
【0040】
ここで、
図7を参照して、本実施形態における商品マスタ106dを説明する。
図7は、本実施形態における商品マスタ106dを示す図である。
【0041】
図7に示すように、本実施形態における商品マスタ106dにおいては、インセンティブ対象の商品コード(CD)および商品名称、ならびに、インセンティブ対象区分が紐付けて設定されていてもよい。このように、本実施形態における商品マスタ106dにおいては、インセンティブ対象の商品が登録されていてもよい(大型商品は対象外等の条件をつけるため)。
【0042】
図3に戻り、取引データベース106eは、取引データを記憶する。ここで、取引データは、注文データ、受注データ、受注テーブル、値引データ、値引算出データ、値引算出テーブル、売上データ、および/または、売上テーブル等を含んでいてもよい。
【0043】
制御部102は、受注管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、注文取得部102aと集計部102bと売上取得部102cとを備えている。
【0044】
注文取得部102aは、商品の注文データを取得する。ここで、注文取得部102aは、受注日、請求先、納入先、希望納期、および、商品の荷数を設定した注文データを取得してもよい。
【0045】
集計部102bは、各請求先における納入先毎に、受注日および希望納期が同一の商品の荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出する。ここで、集計部102bは、注文データに基づいて、各請求先における納入先毎に、受注日および希望納期が同一の商品の荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出し、インセンティブテーブル106a、請求先マスタ106bおよび納入先マスタ106cに基づいて、当該集計荷物に対するインセンティブを設定した値引算出データを取得してもよい。また、集計部102bは、注文データに基づいて、各請求先における納入先毎に、受注日および希望納期が同一の商品の荷数を集計した集計荷物の集計荷数を算出し、インセンティブテーブル106a、商品マスタ106d、請求先マスタ106bおよび納入先マスタ106cに基づいて、当該集計荷物に対するインセンティブを設定した値引算出データを取得してもよい。また、集計部102bは、注文データに基づいて、各請求先における納入先毎に、受注日および希望納期が同一の商品の荷数を集計した集計荷物の集計荷数、および、受注日から希望納期までの日数である希望リードタイムを算出し、集計荷数および希望リードタイムと、インセンティブテーブル106aに設定された荷数およびリードタイムと、の比較に基づいて、当該集計荷物に対するインセンティブを特定し、請求先マスタ106bおよび納入先マスタ106cに基づいて、当該集計荷物の請求先および納入先がインセンティブの適用対象であると判定した場合、当該集計荷物に対する当該インセンティブを設定した値引算出データを取得してもよい。また、集計部102bは、日次で、集計荷物の集計荷数を算出し、当該集計荷物に対するインセンティブを設定した値引算出データを取得してもよい。
【0046】
売上取得部102cは、商品の売上データを取得する。ここで、売上取得部102cは、注文データ、および、値引算出データに基づいて、商品毎のインセンティブ適用売上金額を含む売上データを取得してもよい。また、売上取得部102cは、注文データ、および、値引算出データに基づいて、商品毎の値引適用売上金額を含む売上データを取得してもよい。また、売上取得部102cは、注文データ、および、値引算出データに基づいて、商品毎の値引額、および、値引適用売上金額を含む売上データを取得してもよい。また、売上取得部102cは、商品の出荷処理後に、商品毎のインセンティブ適用売上金額を含む売上データを取得してもよい。
【0047】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図8から
図11を参照して説明する。
【0048】
[受注管理処理]
ここで、
図8を参照して、本実施形態における受注管理処理の一例について説明する。
図8は、本実施形態における受注管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0049】
図8に示すように、注文取得部102aは、ユーザにより入力装置112を介して受注項目が入力された場合、当該受注項目に基づいて、受注日、請求先、納入先、希望納期、および、商品の荷数を設定した注文データを取得する(ステップSA-1)。
【0050】
そして、集計部102bは、日次で、注文データに基づいて、各請求先における納入先毎に、受注日および希望納期が同一の商品の荷数を集計した集計荷物の集計荷数、および、受注日から希望納期までの日数である希望リードタイムを算出し、集計荷数および希望リードタイムと、インセンティブテーブル106aに設定された荷数およびリードタイムと、の比較に基づいて、当該集計荷物に対するインセンティブを特定し、請求先マスタ106bおよび納入先マスタ106cに基づいて、当該集計荷物の請求先および納入先がインセンティブの適用対象であると判定し、且つ、商品マスタ106dに基づいて、当該集計荷物の商品がインセンティブの適用対象であると判定した場合、当該集計荷物に対する当該インセンティブを設定した値引算出データを取得する(ステップSA-2)。
【0051】
そして、売上取得部102cは、商品の出荷処理が完了したか否かを判定する(ステップSA-3)。例えば、売上取得部102cは、出荷日付登録等に基づいて、出荷処理完了を判定してもよい。
【0052】
そして、売上取得部102cは、商品の出荷処理が完了していないと判定した場合(ステップSA-3:No)、処理をステップSA-3に移行させる。
【0053】
一方、売上取得部102cは、商品の出荷処理が完了したと判定した場合(ステップSA-3:Yes)、処理をステップSA-4に移行させる。
【0054】
そして、売上取得部102cは、注文データ、および、値引算出データに基づいて、商品毎の値引額、および、値引適用売上金額を含む売上データを取得し(ステップSA-4)、処理を終了する。
【0055】
ここで、
図9から
図11を参照して、本実施形態における受注管理処理の一例について説明する。
図9から
図11は、本実施形態における受注管理処理の一例を示す図である。
【0056】
図9に示すように、本実施形態においては、ユーザによる注文登録により、受注テーブルに注文データが登録される。
【0057】
そして、
図10に示すように、本実施形態においては、受付番号集計処理として、1日の終わりに、集計画面に受注日が設定された場合、設定済のグループ条件(例えば、担当事業所、請求先、得意先、納入先、受注日および/または希望納期)、ならびに、抽出条件(例えば、「
図9に示す受注ヘッダ.受注日≦
図10に示す集計画面.受注日」、「
図9に示す受注ヘッダ.受付番号=なし」、「
図9に示す受注明細.売上数=0(未売上)」および「
図5に示す請求先マスタ.インセンティブ対象区分=インセンティブ対象」)に基づいて、注文データが集計され、集計毎に受付番号が発行され、インセンティブテーブル106aに基づいて、受付番号毎に値引率が取得され、値引算出テーブルが作成される。
【0058】
そして、
図11に示すように、本実施形態においては、出荷処理後、売上計上のタイミングで、
図10に示す値引算出テーブルに基づいて、値引データを含む売上データが作成され、売上データを含む売上テーブルが作成される。
【0059】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0062】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0063】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0064】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0065】
また、受注管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0066】
例えば、受注管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて受注管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0067】
また、このコンピュータプログラムは、受注管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0068】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0069】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0070】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0071】
また、受注管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、受注管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0072】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、流通取引に卸売販売業が介在する、化学業界、食品業界、または、機械業界等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0074】
100 受注管理装置
102 制御部
102a 注文取得部
102b 集計部
102c 売上取得部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a インセンティブテーブル
106b 請求先マスタ
106c 納入先マスタ
106d 商品マスタ
106e 取引データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク