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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182302
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】付箋束および付箋束セット
(51)【国際特許分類】
   B42D 5/02 20060101AFI20221201BHJP
   B42D 9/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B42D5/02
B42D9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089794
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】518031147
【氏名又は名称】株式会社ケープランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】木下 良
(72)【発明者】
【氏名】木下 将
(57)【要約】
【課題】日にちごとに日付が付された付箋シートを使用することを可能とする付箋束であって、使用者の使用の意図がない日には付箋シートの無駄を発生させず、また同じ日付の付された付箋シートを複数枚使用したい場合に対応することができる上、日付を表す数字の見栄えが担保された日付表示機能を有した付箋シートを備える付箋束および付箋束セットを提供する。
【解決手段】付箋束100は、複数の付箋シート10が積層されてなり、付箋シート10の表面12に日付を示す数字を表示可能なデジタルフォント20が印刷されているとともに、付箋シート10の裏面14には、繰り返し貼り付け可能な粘着領域30が設けられており、デジタルフォント20が所望の日付を示すよう当該デジタルフォント20を構成するセグメント22を色付けすることで、付箋シート10それぞれが日付表示用の付箋シートとして使用可能であり、付箋束セット200は、付箋束10が、二以上に固定され支持されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の付箋シートが積層されてなる付箋束であって、
前記付箋シートの表面に日付を示す数字を表示可能なデジタルフォントが印刷されているとともに、前記付箋シートの裏面には、繰り返し貼り付け可能な粘着領域が設けられており、
前記デジタルフォントが所望の日付を示すよう当該デジタルフォントを構成するセグメントを色付けすることで、前記付箋シートそれぞれが日付表示用の付箋シートとして使用可能であることを特徴とする付箋束。
【請求項2】
一つの前記付箋束を構成する複数の前記付箋シートの表面には、前記デジタルフォントに加え、それぞれの付箋シートの表面に異なる絵柄が印刷されている請求項1に記載の付箋束。
【請求項3】
前記付箋シートの裏面には、前記粘着領域と、非粘着領域とが設けられ、
前記粘着領域の面積が、前記非粘着領域の面積よりも大きい請求項1または2に記載の付箋束。
【請求項4】
前記付箋シートが長方形であって、
当該長方形において対向する二辺の長辺のうちの少なくともいずれか一方に沿って、前記非接着領域が設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の付箋束。
【請求項5】
前記付箋シートが長方形の紙部材から構成されており、
前記紙部材を構成する紙繊維の配向方向が、前記長方形の付箋シートの短軸方向と同方向となるよう配置されている請求項4に記載の付箋束。
【請求項6】
前記付箋シートが紙部材から構成されており、
前記紙部材を構成する紙繊維の配向方向が、
前記接着領域を構成する接着剤を前記付箋シートの裏面に塗布した塗布方向と交差する請求項1から5のいずれか一項に記載の付箋束。
【請求項7】
一つの基材に、
請求項1から6のいずれか一項に記載する付箋束が、二以上に固定され支持されていることを特徴とする付箋束セット。
【請求項8】
前記二以上の前記付箋束において、
一の付箋束を構成する複数の付箋シートの表面には、第一のテーマに関連する絵柄が印刷されており、
前記一の付箋束に隣り合う他の付箋束を構成する複数の付箋シートの表面には、前記第一のテーマとは異なる第二のテーマに関連する絵柄が印刷されている請求項7に記載の付箋束セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付箋束および付箋束セットに関し、詳しくは、使用者の意図する日付を示しうる日付表示機能を有した付箋シートを備える付箋束および付箋束セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から付箋紙シートが積層されてなる付箋束が知られる。従来の付箋束は、たとえば任意の事項をメモして所定の箇所に貼りつけるシートメモ、あるいは本などのしおりとして所定の頁に貼るといった態様で使用される見出しインデクスといった用途に用いられるものが一般的であった。
【0003】
また付箋束にさらなる機能を付加する試みとして、下記特許文献1、2には、シートメモ、見出しインデックスといった用途だけでなく、日めくりカレンダー・週間予定表・月間予定表などのカレンダーとしても利用可能な付箋束が提案されている。
【0004】
具体的には、特許文献1は、付箋紙機能付のカレンダーが開示されており、たとえば同文献図1には、1か月ごとのカレンダーが印刷された付箋紙シートが積層されてなる1つの付箋束からなる月めくりカレンダー(月間カレンダー)が開示されている。また同文献図6には、週ごとのカレンダーが印刷された付箋紙シートが積層されてなる1つの付箋束からなる週めくりカレンダー(週間カレンダー)が開示されている。かかる月間カレンダーまたは週間カレンダー(以下、従来技術1ともいう)は、月ごとまたは週ごとにめくるタイプであって、月間または週間の予定を確認でき得る利点を有している。
【0005】
また下記特許文献2には、一日ごとの日付が印刷された付箋紙シートが積層されてなる付箋紙機能付きの日めくりカレンダー(以下、従来技術2ともいう)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-19880号公報
【特許文献2】公開実用平3-84168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述する従来技術1、2は、以下の課題を有していた。
即ち、日にちと連関する情報は、日にちごとに管理したい場合があり、従来技術1のように月または週という単位で構成された一枚の付箋紙では使い勝手が悪いという問題があった。
【0008】
これに対し、従来技術2の日めくりカレンダーであれば、日にちごとに所望の面に付箋紙を貼り付けることができ、日にちに連関する情報を日にちごとに管理可能である。しかしながら、毎日、日付の付された付箋紙を使用するのではなく、用事のある日や記録を残したい日など、使用者の使用の意図がある日だけ、日付の付された付箋紙を使用したい場合がある。このような場合、従来技術2では、使用者の使用の意図がない日付が付された付箋紙は、日めくりカレンダーの本体からめくられた後、実質的に付箋紙としての役割を果たすことなく廃棄されることになり、資源の無駄になるという問題があった。
また従来技術2は、1日一枚の付箋紙が365日分、積層されてなる構成であるため、同じ日付の付された付箋紙を複数枚使用したい場合があっても、この要望に応えられるものではなかった。
【0009】
上述のとおり、日にちごとに日付が付された付箋紙を使用したい場合であって、使用者の使用の意図がない日には無駄を発生させず、かつ同じ日付の付された付箋紙を複数枚使用したい場合に対応する手段として、カレンダー機能を有しない従来の付箋紙シートに使用者自らが日付を書き込んで使用するということが考えられる。
しかし、手書きの数字は、使用者の筆記の癖が表れ、また乱雑になるなどして見栄えが悪い場合がある。そのため、上記手段では、日付が表示された付箋紙を貼ってノートなどを綺麗に使用したいという使用者の要望に必ずしも応えられるものではなかった。
【0010】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、日にちごとに日付が付された付箋シートを使用することを可能とする付箋束であって、使用者の使用の意図がない日には付箋シートの無駄を発生させず、また同じ日付の付された付箋シートを複数枚使用したい場合に対応することができる上、日付を表す数字の見栄えが担保された日付表示機能を有した付箋シートを備える付箋束および付箋束セットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の付箋束は、複数の付箋シートが積層されてなる付箋束であって、上記付箋シートの表面に日付を示す数字を表示可能なデジタルフォントが印刷されているとともに、上記付箋シートの裏面には、繰り返し貼り付け可能な粘着領域が設けられており、上記デジタルフォントが所望の日付を示すよう当該デジタルフォントを構成するセグメントを色付けすることで、上記付箋シートそれぞれが日付表示用の付箋シートとして使用可能であることを特徴とする。
また本発明の付箋束セットは、一つの基材に、上記(1)から(6)のいずれか一項に記載する付箋束が、二以上に固定され支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記構成を備える本発明の付箋束は、各付箋シートの表面にデジタルフォントが印刷されているため、使用者は、当該デジタルフォントを構成するセグメントの適宜の箇所に色付けすることによって、特定の日付を表示させることがきる。したがって、本発明における付箋シートは、所望の日付が付された日付表示用の付箋シートとして使用可能である。
また上述のとおり、本発明における付箋シートは、使用者が使用の意図のある日にちをデジタルフォントで表示することができるため、従来技術2のように使用の意図のない日にも付箋シートをめくる必要がなく、まためくった付箋シートを付箋として使用せずに廃棄するといった無駄がない。加えて本発明は、使用者が本発明を構成する各付箋シートに同じ日付を表示させることもできるため、同じ日付の付された付箋紙を複数枚使用したい場合にも対応できる。
デジタルフォントにより表示される数字は、統一感があり、かつ使用者の筆記の癖が抑制されるため、美観が良好である。本発明は、かかるデジタルフォントの特性に着眼し、付箋シートの表面にデジタルフォントを印刷することによって、日付が表示された付箋シートを貼ってノートなどを綺麗に使用したいという使用者の要望に応えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(1A)は、本発明の付箋束の一実施形態を示す斜視図であり、(1B)は、(1A)に示す付箋束の最表面の付箋シートを剥がした状態を示す斜視図である。
図2】(2A)~(2C)は、本発明における付箋シートに印刷される2桁のデジタルフォントの例を示す説明図である。
図3】(3A)~(3D)は、本発明の一実施形態における付箋シートの裏面を観察した平面図である。
図4】(4A)(4B)は、本発明の一実施形態における紙部材からなる付箋シートの裏面を観察した平面図である。
図5】(5A)は、本発明の付箋束セットの一実施形態であって被覆部を開いた状態を示す正面図であり、(5B)は、(5A)に示す付箋束セットの被覆部を閉じた状態を示す正面図である。
図6】(6A)は、付箋束の最表面に位置する付箋シートをめくり始めた状態を示す側面図であり、(6B)は、付箋束の最表面に位置する付箋シートを中間部までめくった状態を示す側面図であり、(6C)は、付箋束の最表面に位置する付箋シートを当該付箋束から完全に剥離した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
本発明又は本明細書の記載に関し、特段の断りなく上下方向という場合には、使用状態における本発明を正面視した際の方向を指す。尚、正面視とは、本発明における付箋シートのデジタルフォントが印刷された側を見ることをいう。
【0015】
以下に、本発明の付箋束の実施形態について図1から図4、および図6を用いて説明する。図1Aは、本発明の一実施形態である付箋束100の斜視図であり、図1Bは、付箋束100の最表面の付箋シート10(10A)を剥がした状態を示す斜視図である。図2A図2Cは、付箋シート10に印刷される2桁のデジタルフォント20の例を示す説明図である。図3A図3Dは、付箋シート10の裏面14を観察した平面図である。図4A図4Bは、紙部材からなる付箋シート10の裏面14を観察した平面図であり、当該紙部材を構成する紙繊維62を概念的に示している。図6Aは、付箋束100の最表面に位置する付箋シート10をめくり始めた状態を示す側面図であり、図6Bは、付箋束100の最表面に位置する付箋シート10を中間部までめくった状態を示す側面図であり、図6Cは、付箋束100の最表面に位置していた付箋シート10を当該付箋束100から完全に剥離した状態を示す側面図である。
【0016】
はじめに、本実施形態の付箋束100の概要について説明する。
図1Aに示すとおり、本発明の一実施形態である付箋束100は、複数の付箋シート10が積層されてなる。付箋シート10の裏面14には、例えば図3Aに示すように、繰り返し貼り付け可能な粘着領域30が設けられており、これによって付箋としての機能が発揮される。
付箋シート10の表面12には、日付を示す数字を表示可能なデジタルフォント20が印刷されている。本実施形態では、2桁の数字を表し得るデジタルフォント20が斜線を介して上下に印刷されている。デジタルフォント20は、複数のセグメント22から構成されている。図1Bに示すように、デジタルフォント20が所望の日付を示すよう当該デジタルフォント20を構成するセグメント22の任意の箇所を色付けすることで、付箋シート10それぞれが日付表示用の付箋シートとして使用可能である。図1Bでは、6/20(6月20日)を示すよう付箋束100から剥離した第一番目の付箋シート10Aにおけるセグメント22を色付けしている。
【0017】
上述のとおり付箋束100は、裏面14に付箋機能を有し、表面12に日付を表示可能なデジタルフォント20が印刷されている。このように付箋束100は、予めカレンダーのように日にちが印刷されていないため、使用者は、使用したいタイミングで、デジタルフォント20を構成するセグメント22を色付けし、所望の日にちを表した付箋シート10を使用することができ、また同じ日付の付箋シート10を複数枚使用した場合にも対応することができる。
また、従来技術1、2のようにカレンダー機能を有する付箋は、使用時期が特定の1月から12月までなどと限定されるが、本発明は、使用時期が限定されず、年を跨いで使用することができる。
以下にさらに付箋束100の詳細について説明する。
【0018】
付箋束100を構成する複数の付箋シート10は、裏面14に粘着領域30を備え付箋機能を有したシートである。かかるシートは、表面にデジタルフォント20を印刷可能なシートであればよく、当該シートを構成する部材としては、たとえば紙部材、樹脂部材などのシート加工可能な任意の部材が挙げられる。紙部材から構成されたシートである付箋シート10は、鉛筆、ボールペン、サインペンなどの汎用のいずれの筆記用具を用いてもセグメント22を色付けすることができる点で好ましい。
【0019】
本発明において付箋シート10の積層枚数は特に限定されない。従来技術2のように付箋機能を有した日めくりカレンダーは、365枚の付箋紙シートを積層させて1つの付箋束を構成する必要がある。そのため従来技術2では、付箋束の厚みが非常に厚くなり、1年間使用している間に、束自体の重みに耐えかねて束の一部または全体が脱落する虞があった。これに対し、付箋束100は、付箋シート10の積層枚数を任意に決定することができる。そのため、本発明によれば、積層枚数を365枚に制限されることなく付箋束100を適度な厚みに調整することができ、使用勝手が良く、また使用期間中に付箋シート10の自重で、その一部または全部が脱落するといった不具合の発生を防止することが可能である。かかる観点から、付箋束100を構成する付箋シート10の積層枚数は、10枚以上100枚以下であることが好ましく、15枚以上50枚以下であることがより好ましく、20枚以上40枚以下であることがさらに好ましい。
【0020】
本発明において、デジタルフォント20とは、少なくとも10進法の数字であって0(
ゼロ)~9までを表示しうる数字の骨格を指す。図2Aに示す2桁のデジタルフォント20は、所定面積を有するセグメント22を7つ有する、所謂7セグメントと呼ばれるフォント(骨格)2つより構成されている。またデジタルフォント20の例はこれに限定されず、たとえば図2Bおよび図2Cに示すようにセグメント22が点または点線からなり、10進法の数字であって0(ゼロ)~9までを表示しうる数字の骨格であってもよい。
本発明において、セグメント22を色付けするとは、デジタルフォント20が任意の数字を表すよう、特定のセグメント22を他のセグメント22と区別可能に色を付すか、あるいは全てのセグメントに色を付すことをいう。したがって、上記色付けには、所定面積を有するセグメント22を塗りつぶすこと、あるいは点や点線から構成されるセグメント22をなぞることが含まれる。また上記色付けにおける色とは、有彩色だけではなく、白、灰色、および黒といった無彩色を含む。
付箋束100は、上述のとおりセグメント22を色付けし、デジタルフォント20で任意の数字を表すことで、統一感があり美観の良好な日付表示を可能とする。
【0021】
本実施形態では、印刷表示された斜線を介して月表示フォント20Aと日表示フォント20Bを配置することにより、日付を表示可能とする態様を採用しているが、本発明において日付の表し方はこれに限定されない。たとえば、後述で参照される図5Aにおいて示す付箋束100’に示されるように、月表示フォント20Aと日表示フォント20Bとの間にピリオドを印刷表示した態様、あるいは同図における付箋束100’’に示されるように、「月」と「日」という文字を各付箋シート10に印刷表示し、これにあわせて月表示フォント20Aと日表示フォント20Bを配置する態様などであってもよい。また、図示省略するが、月を示すデジタルフォント20を省略し日にちのみを表示可能なデジタルフォント20が印刷された付箋シート10、あるいは月日に加え、西暦や元号の数字を表示しうるデジタルフォント20も印刷された付箋シート10を、本発明は包含する。
【0022】
本実施形態の付箋束100は、積層される複数の付箋シート10の表面12に、デジタルフォント20だけではなく、絵柄40が印刷されていることが好ましい。このように絵柄40が印刷された付箋シート10を備える付箋束100は、日付表示という事務的な機能に加え、使用者に使用する楽しみを提供することができ、付箋束100の付加価値をより高めることができる。
付加価値をさらに上げるという観点からは、図1Bに示すとおり、一つの付箋束100において、第一番目の付箋シート10Aとこれに続く第二番目の付箋シート10Bとにおいて図柄40が異なっていることがより好ましく、付箋束100を構成する複数の付箋シート10の表面12それぞれに、異なる絵柄40が印刷されている態様が特に好ましい。かかる態様によれば、一枚の付箋シート10を使用するたびに次層の付箋シート10の異なる絵柄40が表出するため、使用者に、付箋束100を使用する楽しみ、付箋シート10をめくる楽しみを提供することができる。
【0023】
次に付箋シート10の裏面14について説明する。
上述するとおり、付箋シート10の裏面14には、付箋機能を発揮するために、繰り返し貼り付け可能な粘着領域30が設けられている。粘着領域30は、たとえば一般的な付箋紙における再剥離可能な粘着領域を構成するための接着剤を用いて構成することができる。
付箋束100における付箋シート10は、日付表示機能を有し、本体から剥離された後、任意の面に貼って使用されることが予定される。そのため、当該面に対し、しっかりと貼り付けられ、かつ一定期間、貼りつけられた状態が維持されることが好ましい。
かかる観点から、付箋シート10の裏面14には、粘着領域30と、非粘着領域32とが設けられるとともに、粘着領域30の面積が、非粘着領域32の面積よりも大きくなるよう構成されることが好ましい。より具体的には、裏面14の面積100%に対し、粘着領域30の面積が50%を超えて95%以下であることが好ましく、60%以上90%以下であることがより好ましい。裏面14の面積に対し粘着領域30の面積が95%を超えると、付箋シート10を剥がし難い場合がある。裏面14において、粘着領域30が複数の領域に亘る場合には、それらの面積の和が、上記数値範囲であることが好ましい。尚、非接着領域32とは、付箋シート10の裏面14において粘着領域30ではない領域を指し、次層の付箋シート10に対し接着してない領域を指す。
【0024】
図3(A)~(D)に、粘着領域30の面積が非粘着領域32の面積より大きい例を示す。図3Aは、短軸と長軸とを有する形状であって、短軸を上下方向とする向きで用いられる付箋シート10において、接着領域30と非接着領域32とが短軸方向において隣接するとともに接着領域30の面積>非接着領域32の面積である態様を示している。より具体的にはたとえば付箋シート10が横長の長方形であって、接着領域30よりも面積の小さい非接着領域32が、当該長方形の一方側の長辺50に沿って形成された態様を示す。かかる態様であれば、非接着領域32は、面積は小さいものの、非接着領域32の一部が、付箋シート10の角部34と重複するため、角部34をめくり始めの部分とすることで、付箋シート10を容易に剥離することができる。
また、図3Bに示すとおり、長方形の付箋シート10のいずれかの角部30近傍のみを非接着領域32とすることもできる。かかる態様によれば、付箋シート10のめくり易さを担保した上、粘着領域30の面積を大きくし、任意の面に対する貼り付け状態をより良好に維持することができる。
また、図3Cに示すとおり、裏面14に、複数の接着領域30および/または複数の非接着領域32を設けても良い。具体的にはたとえば、長方形である付箋シート10の裏面14において、長軸方向に沿って伸長する接着領域30と非接着領域32とを交互に複数形成してもよい。この場合にも、少なくとも長方形の一方側の長辺50に沿って非接着領域32を設けるとよい。図3Cでは横長の長方形である付箋シート10の長軸方向に沿って伸長する接着領域30と非接着領域32とを上下方向に交互に複数形成した態様を図示している。
また、図3Dに示すとおり、長軸と短軸とを有する形状であって、長軸を上下方向とする向きで用いられる付箋シート10において、非接着領域32が短辺56に沿って形成されるとともに、接着領域30の面積>非接着領域32の面積である態様であってもよい。
【0025】
ところで、本発明者らの検討によれば、接着領域30を大きくするほど、任意の面に対し付箋シート10を良好に貼り付けられるものの、一方で、接着領域30が大きくなると、付箋束100から剥離された付箋シート10がカールしやすくなることがわかった。接着領域30の面積が大きいため、カールした付箋シート10であっても、任意の面に良好に貼り付けることは可能であるが、当該面の汚れ具合、当該面を構成する部材の種類、また接着領域30を構成する接着剤の接着強度などによっては、貼り付けられた付箋シート10が時間の経過とともに剥がれやすくなる場合があった。上述するカールの形成は、以下のように推測された。
【0026】
付箋束100から最表面の付箋シート10を剥がす場合、図6Aに示すとおり、非接着領域32を指先などでつまみ上げながら接着領域30に向かって引っ張ることで付箋シート10が剥離される。剥離の作業は瞬時に行いうるが、この剥離の動作中、図6A図6Bに示すように、付箋シート10は、剥がされた部分とまだ付箋束100に積層した部分との間において境界330が発生する。境界330は、粘着領域30における粘着力と付箋シート10を剥がす力とが負荷され、剥がす方向に湾曲するよう緩やかに癖付けされながら、剥がす方向に連続的に移動する。これにより結果として付箋シート10がカールするものと思われた。
【0027】
上述するカールの発生を抑制するという観点から、付箋シート10の剥離距離を短くすることが好ましい。したがって、付箋シート10の形状を短軸と長軸を有する形状とし、短軸方向に向けて付箋シート10を剥離する態様が好ましい。使用者に詳しい説明なく、短軸方向に剥離を促すためには、長軸方向に沿った外縁に非接着領域32を設けるとよい。
尚、ここでいう剥離距離とは、剥離前の接着領域30と非接着領域32との境界から、剥離終端までの距離を指す。
より具体的には、たとえば、図3Aまたは図3Cに示すように、付箋シート10を長辺50と短辺56を有する長方形とし、当該長方形において対向する長辺50(第一長辺52、第二長辺54)のうちの少なくともいずれか一方に沿って、非接着領域32が設けられていることが好ましい。図3Aおよび図3Cはいずれも第二長辺54に沿って非接着領域32が設けられた態様を示しており、使用者は、第二長辺54に沿って設けられた非接着領域32をつまむことで、自然と短軸方向であって第一長辺52向かって付箋シート10を剥離しやすい。尚、図3Aおよび図3Cは、付箋シート10を横長の長方形とし、下側の長辺50(第二長辺54)から上側の長辺50(第一長辺52)に向かって剥離する態様を示したが、たとえば図示省略する他の態様として、剥離方向は上から下であってもよく、また付箋シート10を縦長の長方形とし、付箋シート10を正面視したとき、長辺50が左右方向において対向する態様であって、剥離方向を左右方向としてもよい。
対比として図3Dは、長方形である付箋シート10において短辺56に沿って非接着領域32が設けられている。そのため、図3Aおよび図3Cに示す態様に比べ、剥離距離が長くなり、その分カールが発生し易い傾向にあり、またカールの弧が長くなる。
【0028】
接着領域30の面積>非接着領域32の面積であって、上述するとおり、付箋シート10の形状を短軸と長軸を有する形状とし、短軸方向に向けて付箋シート10を剥離する態様がより好ましい。
【0029】
尚、図3では、いずれも長方形の付箋シート10を例示したが、短軸と長軸を有する付箋シート10の形状はこれに限定されず、たとえば楕円形やひし形などでもよく、また不定形ではあるが、全体として短軸方向と長軸方向を有する任意の形状でもよい。
【0030】
付箋シート10が紙部材から構成されている場合、上述するカールの発生の抑制に関し、当該紙部材を構成する紙繊維の配向方向に着眼してもよい。ここでいう紙繊維の配向方向とは、工業的に紙を製造する際の紙の巻き取り方向を意味する。
具体的には、図4Aおよび図4Bに示すとおり、紙部材からなる付箋シート10の剥離方向と紙繊維62の配向方向64とが同方向となるよう構成することが好ましい。かかる構成によれば、紙繊維62の配向方向64と、剥離の最中における境界330(図6A図6B参照)とが交差するため、境界330において付箋シート10を癖付けしようとする力に対し紙繊維62の反力が作用し、カールの発生が抑制される。
尚、本発明に関し、剥離方向と紙繊維62の配向方向64とが同方向とは、剥離する方向と、顕微鏡などで観察される繊維62の配向方向64(または紙の巻き取り方向が分かる場合にはその方向)とが、同一方向である場合または概ね同じ方向である場合を包含する。つまり、上述する境界330のラインと繊維62の配向方向64とが交差する範囲であればよい。
【0031】
図4Aは、長辺50に沿って形成された非接着領域32をつまんで短軸方向57に剥離されることが予定される付箋シート10を示しており、紙繊維62の配向方向64と短軸方向57(つまり剥離方向)とが同方向である態様を示している。
図4Bは、短辺56に沿って形成された非接着領域32をつまんで長軸方向51に剥離されることが予定される付箋シート10を示しており、紙繊維62の配向方向64と長軸方向51(つまり剥離方向)とが同方向である態様を示している。
【0032】
中でも、図4Aに参照されるとおり、付箋シート10が長方形の紙部材から構成されており、当該紙部材を構成する紙繊維62の配向方向64が、長方形の付箋シート10の短軸方向57と同方向となるよう配置されている態様が好ましい。かかる態様であれば、紙繊維62によって、付箋シート10の剥離時における癖付けが抑制されるとともに、剥離距離も短く抑えることができるため、上述するカールの発生を良好に抑制することができる。
【0033】
また上述するカールの発生の抑制に関し、別の観点からは、接着領域30を形成する接着剤の塗布方向66と紙繊維62の配向方向64に着目することができる。
即ち、図4に示すとおり、紙部材から構成された付箋シート10において、紙部材を構成する紙繊維62の配向方向64と、接着領域30を構成する接着剤を付箋シート10の裏面14に塗布した塗布方向66とが交差する態様は、上述するカールの発生を良好に抑制可能である。より良好にカールの発生を抑制するという観点からは、紙繊維62の配向方向64と塗布方向66とが実質的に直交していることがより好ましい。実質的に直交するとは、互いの交差角度が、概ね90度であると認められる程度であればよく、厳密に90度に限定するものではないことを意味する。
かかる理由は明らかではないが、紙繊維62の配向方向64にそって接着剤が塗布された場合、カールが発生し易い傾向にあることが試験的に確認された。
【0034】
次に、本発明の付箋束セット200について図5を用いて説明する。
図5は、本発明の付箋束セット200の一実施形態を示す正面図であり、図5Aは、被覆部220を開いた状態を示し、図5Bは、図5Aに示す付箋束セット200の被覆部220を閉じた状態を示している。
【0035】
本発明の付箋束セット200は、図5Aに示すとおり、1つの基材210に上述する本発明の付箋束100を二以上固定し支持することで構成される。かかる構成の付箋束セット200は、二以上の付箋束100をコンパクトに収容でき、持ち運びも便利であって、かつ付箋シート10を剥離する作業を安定して行うことができる。図5では具体的には1つの基材210に3つの付箋束100を固定し支持した例を示している。
より良好な収容性、持ち運び性を発揮させるために、さらに基材210に固定され支持された付箋束100を被覆する被覆部220が設けられてもよい。図5では基材210に対し連続して形成された被覆部220の例を示しているが、図示省略する他の態様として、被覆部220は、基材210とは分離された独立の部材であってもよい。
【0036】
基材210は、付箋束100を固定し支持可能な程度の強度を有する部材から構成されていればよい。本実施形態における基材210は、厚紙あるいは樹脂シートなどからなるシート状の部材から構成されており、複数の付箋束100はシート状の部材である基材210の一方側の面に固定され支持されている。ただし本発明において基材210の形状は、これに限定されず、複数の付箋束100を固定し支持することが可能な面領域を備える形状であればよい。上記面領域は、平面および曲面を含む。
被覆部220は、付箋束100を介して基材210と対向して設けられ、付箋束100を覆う。被覆部220を構成する部材および形状は特に限定されないが、たとえば図5に示すように基材210と連続して設けられてもよいし、図示省略するが基材210とは独立に設けられてもよい。図5には、シート状の部材である基材210と、これに連続する被覆部220が設けられており、被覆部220が表紙の役割を果たしている。基材210と被覆部220とは、同じ部材で構成されてもよいし異なる部材で構成されてもよい。
【0037】
1つの基材210に固定された複数の付箋束100は、互いに、日付表示(デジタルフォント20)、あるいはさらに図柄40のデザインが同じであっても良いが、使用者に付箋シート10を使用する楽しみを提供し、気分にあった図柄40が印刷された付箋シート10を選択可能とするという観点からは、上記デザインは異なっていても良い。
【0038】
たとえば、二以上の付箋束100において、一の付箋束100を構成する複数の付箋シート10の表面12には、第一のテーマに関連する絵柄40が印刷されており、一の付箋束100に隣り合う他の付箋束100を構成する複数の付箋シート10の表面12には、第一のテーマとは異なる第二のテーマに関連する絵柄40が印刷されている付箋束セット200は本発明の好ましい態様の一つである。
より具体的には、図5Aには、上下方向に3つの付箋束100、100’、100’’が配置された付箋束セット200が図示されており、上段の付箋束100には猫をテーマとした図柄40が印刷され、中段の付箋束100’には犬をテーマとした図柄40が印刷され、下段の付箋束100’’には鳥をテーマとした図柄40が印刷された例を示す。このように付箋束セット200における複数の付箋束100それぞれに設けられた図柄のテーマが異なるとともに各テーマが共通項(図5Aの場合には鳥獣類という共通項)を有していても良い。上記共通項があることによって、付箋束セット200を購入する際、自分の好みのテーマが揃った商品を選択し易い。
【0039】
また図示省略するが、上記共通項を「猫」などとし、それぞれの付箋束100のテーマを「遊んでいる猫」「食べている猫」「寝ている猫」などいった猫にまつわる別々のテーマとしてもよい。「猫」というキャラクターは一般的に人気が高いため、日付機能を発揮する文具である付箋束100に対しエンターテイメント性を良好に付与することができる。
【0040】
また、付箋束セット200において、一つの付箋束100を構成する複数の付箋シート10は、図柄40が同一であってもよいが、異なっている方が、使用者に使用の楽しみを提供することができるために好ましい。たとえば、図1Bに示すように、猫をテーマとした図柄40であって、それぞれの付箋シート10の猫の図柄40が異なっていることは好ましい。
【0041】
上述する図柄40に関する説明は、本発明を何ら限定するものではなく、本発明は、付箋束セット200における各付箋束100が図柄40を有しない態様、図柄40を有するとともに互いの図柄40が全く異なるテーマであって共通項がない態様、あるいは、図柄40を有するとともに互いの図柄40が同じである態様を包含する。
また付箋シート10の表面12において、絵柄40を除く部分の背景を、複数の付箋束100それぞれにおいて異なる色に着色してもよい。
【0042】
以上に、本発明の付箋束および付箋束セットを説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様を含む。たとえば本発明の付箋束1つだけを基材に固定し支持してもよく、またさらに被覆部を設けて付箋束の表面を当該被覆部で覆ってもよい。また上述では、長軸と短軸を有する形状の例として長方形の付箋シートを図示して本発明を説明したが、本発明における付箋シートの形状はこれに限定されず、正方形、円、三角形、星型などの長軸と短軸を有しない特定形状、あるいは不特定形状などのいずれの形状であってもよい。
【0043】
上述する本発明は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)複数の付箋シートが積層されてなる付箋束であって、
前記付箋シートの表面に日付を示す数字を表示可能なデジタルフォントが印刷されているとともに、前記付箋シートの裏面には、繰り返し貼り付け可能な粘着領域が設けられており、
前記デジタルフォントが所望の日付を示すよう当該デジタルフォントを構成するセグメントを色付けすることで、前記付箋シートそれぞれが日付表示用の付箋シートとして使用可能であることを特徴とする付箋束。
(2)一つの前記付箋束を構成する複数の前記付箋シートの表面には、前記デジタルフォントに加え、それぞれの付箋シートの表面に異なる絵柄が印刷されている上記(1)に記載の付箋束。
(3)前記付箋シートの裏面には、前記粘着領域と、非粘着領域とが設けられ、
前記粘着領域の面積が、前記非粘着領域の面積よりも大きい上記(1)または(2)に記載の付箋束。
(4)前記付箋シートが長方形であって、
当該長方形において対向する二辺の長辺のうちの少なくともいずれか一方に沿って、前記非接着領域が設けられている上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の付箋束。
(5)前記付箋シートが長方形の紙部材から構成されており、
前記紙部材を構成する紙繊維の配向方向が、前記長方形の付箋シートの短軸方向と同方向となるよう配置されている上記(4)に記載の付箋束。
(6)前記付箋シートが紙部材から構成されており、
前記紙部材を構成する紙繊維の配向方向が、
前記接着領域を構成する接着剤を前記付箋シートの裏面に塗布した塗布方向と交差する上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の付箋束。
(7)一つの基材に、
上記(1)から(6)のいずれか一項に記載する付箋束が、二以上に固定され支持されていることを特徴とする付箋束セット。
(8)前記二以上の前記付箋束において、
一の付箋束を構成する複数の付箋シートの表面には、第一のテーマに関連する絵柄が印刷されており、
前記一の付箋束に隣り合う他の付箋束を構成する複数の付箋シートの表面には、前記第一のテーマとは異なる第二のテーマに関連する絵柄が印刷されている上記(7)に記載の付箋束セット。
【符号の説明】
【0044】
10・・・付箋シート
10A・・・第一番目の付箋シート
10B・・・第二番目の付箋シート
10C・・・第三番目の付箋シート
12・・・表面
14・・・裏面
20・・・デジタルフォント
22・・・セグメント
20A・・・月表示フォント
20B・・・日表示フォント
30・・・粘着領域
32・・・非粘着領域
34・・・角部
40・・・絵柄
50・・・長辺
51・・・長軸方向
52・・・第一長辺
54・・・第二長辺
56・・・短辺
57・・・短軸方向
62・・・紙繊維
64・・・配向方向
66・・・塗布方向
100、100’、100’’ ・・・付箋束
200・・・付箋束セット
210・・・基材
220・・・被覆部
330・・・境界
図1
図2
図3
図4
図5
図6