(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182318
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】覗き見防止システム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/24 20060101AFI20221201BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20221201BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20221201BHJP
【FI】
G08B21/24
G08B25/00 510M
G06T7/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089821
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】助川 諒
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信範
(72)【発明者】
【氏名】松岡 正道
(72)【発明者】
【氏名】武田 唯
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L096
【Fターム(参考)】
5C086AA51
5C086AA60
5C086BA22
5C086BA23
5C086BA24
5C086CA06
5C086CA09
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086FA06
5C086FA17
5C086FA20
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA37
5C087AA51
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD14
5C087DD16
5C087DD17
5C087DD20
5C087DD35
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087FF23
5C087GG02
5C087GG06
5C087GG10
5C087GG70
5L096BA02
5L096CA02
5L096DA03
5L096FA59
5L096FA64
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】適正に画面の覗き見を防止できる「覗き見防止システム」を提供する。
【解決手段】車内カメラ11で撮影した映像から乗員の瞳内に写り込んでいるモバイル端末2の像300を検出する。そして、検出した像300の位置や大きさや向き、車内カメラ11で撮影した映像から求めた各乗員の位置等から、像300のモバイル端末2を使用している乗員を注意喚起候補ユーザとして特定する。注意喚起候補ユーザと、像300が写り込んでいる瞳を持つユーザである覗き見候補ユーザとが同一人物でなければ、注意喚起候補ユーザのモバイル端末2に覗き見に対する注意喚起を行わせる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが滞在する所定の空間内における、各ユーザが使用する情報端末の画面の覗き見を防止する覗き見防止システムであって、
前記空間内を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影した映像より、前記空間内に滞在する各ユーザの位置を検出するユーザ位置検出手段と、
前記カメラで撮影した映像より、前記空間内に滞在するユーザの瞳で反射した前記情報端末の像である情報端末反射像を検出する反射像検出手段と、
前記反射像検出手段が検出した前記情報端末反射像の位置と、前記ユーザ位置検出手段が検出した各ユーザの位置とに少なくとも基づいて、前記情報端末反射像として表れた情報端末を使用しているユーザを注意喚起候補ユーザとして算定し、所定の条件が満たされる場合に、前記注意喚起候補ユーザの情報端末が覗き見されていると判定する覗き見判定手段とを有し、
前記所定の条件は、少なくとも、算定した注意喚起候補ユーザと、前記情報端末反射像を反射した瞳を持つユーザである覗き見候補ユーザとが同一のユーザでないことを満たされるために必要とする条件であることを特徴とする覗き見防止システム。
【請求項2】
請求項1記載の覗き見防止システムであって、
前記所定の条件は、前記情報端末反射像の大きさが所定のサイズより大きいことを満たされるために必要とする条件であることを特徴とする覗き見防止システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の覗き見防止システムであって、
前記カメラが撮影した映像より、前記注意喚起候補ユーザと前記覗き見候補ユーザとが前記注意喚起候補ユーザの情報端末を共用しているかどうかを識別する共用有無識別手段を有し、
前記所定の条件は、前記共用有無識別手段が、前記注意喚起候補ユーザと前記覗き見候補ユーザとが前記注意喚起候補ユーザの情報端末を共用していないことを識別していることを満たされるために必要とする条件であることを特徴とする覗き見防止システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の覗き見防止システムであって、
前記覗き見判定手段が、前記注意喚起候補ユーザの情報端末が覗き見されていると判定した場合に、前記注意喚起候補ユーザに対して、覗き見に対する注意喚起を行う注意喚起手段を有することを特徴とする覗き見防止システム。
【請求項5】
請求項4記載の覗き見防止システムであって、
前記注意喚起手段は、前記情報端末反射像の瞳内の位置が当該瞳の中心に近い場合に、瞳内の位置が当該瞳の周辺部である場合よりも、より強く注意を喚起する形態で、前記注意喚起候補ユーザに対して、覗き見に対する注意喚起を行うことを特徴とする覗き見防止システム。
【請求項6】
請求項4または5記載の覗き見防止システムであって、
前記注意喚起手段は、前記注意喚起候補ユーザの情報端末に、注意喚起用の所定の動作を行わせることにより、前記注意喚起候補ユーザに対して、覗き見に対する注意喚起を行うことを特徴とする覗き見防止システム。
【請求項7】
請求項6記載の覗き見防止システムであって、
前記注意喚起用の所定の動作は、前記注意喚起候補ユーザの情報端末の注意喚起用の所定の表示出力と、前記注意喚起候補ユーザの情報端末の振動と、前記注意喚起候補ユーザの情報端末の注意喚起用の所定の音声出力とのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする覗き見防止システム。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7記載の覗き見防止システムであって、
前記空間は、車内の複数の座席が備えられた空間であり、
前記カメラは、前記各座席に着座したユーザを撮影することを特徴とする覗き見防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末の画面の覗き見を防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報端末の画面の覗き見を防止する技術としては、使用者の撮影用に情報端末に設けられているフロントカメラで撮影した映像から、映像中に含まれる顔の数もしくは画面に向けられる視線の数を算定し、算定した数が多いほど、より視認し難くなるように、画面の本来の表示内容の表示を制御する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したフロントカメラで撮影した映像を用いて覗き見を防止する技術によれば、フロントカメラの撮影範囲外からの覗き見を防止することができない。
また、フロントカメラで撮影した映像から視線を精度よく検出することは困難であると共に、視線が画面を向いていなくても視界の隅に画面を捕らえて覗き見を行うことは可能であるため、画面が覗き見されているかどうかを正確に検出することができない。
【0005】
したがって、この技術によれば、必ずしも適正に画面の覗き見を防止することができない。
そこで、本発明は、より適正に情報端末の画面の覗き見を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、ユーザが滞在する所定の空間内における、各ユーザが使用する情報端末の画面の覗き見を防止する覗き見防止システムに、前記空間内を撮影するカメラと、前記カメラで撮影した映像より、前記空間内に滞在する各ユーザの位置を検出するユーザ位置検出手段と、前記カメラで撮影した映像より、前記空間内に滞在するユーザの瞳で反射した前記情報端末の像である情報端末反射像を検出する反射像検出手段と、前記反射像検出手段が検出した前記情報端末反射像の位置と、前記ユーザ位置検出手段が検出した各ユーザの位置とに少なくとも基づいて、前記情報端末反射像として表れた情報端末を使用しているユーザを注意喚起候補ユーザとして算定し、所定の条件が満たされる場合に、前記注意喚起候補ユーザの情報端末が覗き見されていると判定する覗き見判定手段とを設けたものである。ここで、前記所定の条件は、少なくとも、算定した注意喚起候補ユーザと、前記情報端末反射像を反射した瞳を持つユーザである覗き見候補ユーザとが同一のユーザでないことを満たされるために必要とする条件とする。
【0007】
ここで、このような覗き見防止システムにおいて、前記所定の条件を、前記情報端末反射像の大きさが所定のサイズより大きいことを満たされるために必要とする条件としてもよい。
【0008】
また、このような覗き見防止システムに、前記カメラが撮影した映像より、前記注意喚起候補ユーザと前記覗き見候補ユーザとが前記注意喚起候補ユーザの情報端末を共用しているかどうかを識別する共用有無識別手段を設け、前記所定の条件を、前記共用有無識別手段が、前記注意喚起候補ユーザと前記覗き見候補ユーザとが前記注意喚起候補ユーザの情報端末を共用していないことを識別していることを満たされるために必要とする条件としてもよい。
【0009】
また、以上の覗き見防止システムに、前記覗き見判定手段が、前記注意喚起候補ユーザの情報端末が覗き見されていると判定した場合に、前記注意喚起候補ユーザに対して、覗き見に対する注意喚起を行う注意喚起手段を設けてもよい。
【0010】
また、この場合には、覗き見防止システムを、前記注意喚起手段において、前記情報端末反射像の瞳内の位置が当該瞳の中心に近い場合に、瞳内の位置が当該瞳の周辺部である場合よりも、より強く注意を喚起する形態で、前記注意喚起候補ユーザに対して、覗き見に対する注意喚起を行うように構成してもよい。
【0011】
また、この場合には、覗き見防止システムを、前記注意喚起手段において、前記注意喚起候補ユーザの情報端末に、注意喚起用の所定の動作を行わせることにより、前記注意喚起候補ユーザに対して、覗き見に対する注意喚起を行うよう構成してもよい。
【0012】
この場合、前記注意喚起用の所定の動作を、前記注意喚起候補ユーザの情報端末の注意喚起用の所定の表示出力と、前記注意喚起候補ユーザの情報端末の振動と、前記注意喚起候補ユーザの情報端末の注意喚起用の所定の音声出力とのうちの少なくとも1つを含むものとしてようい。
【0013】
また、以上の覗き見防止システムにおいて、前記空間を、車内の複数の座席が備えられた空間とし、前記カメラを、前記各座席に着座したユーザを撮影するものとしてもよい。
以上のような覗き見防止システムによれば、情報端末が備えるカメラの撮影範囲外からの覗き見も検出することができる。また、ユーザの瞳内の情報端末の像の有無に基づいて覗き見の有無を判定するので、より精度良く覗き見を検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、より適正に情報端末の画面の覗き見を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る覗き見防止システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車内カメラの配置を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る瞳反射像解析部の検出対像を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る覗き見注意喚起処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係るモバイル端末の共用の検出例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る注意喚起の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、自動車の車内における覗き見を防止する覗き見防止システムへの適用を例にとり説明する。
図1に覗き見防止システムの構成を示す。
覗き見防止システム1は自動車に搭載されたシステムであり、図示するように、複数の車内カメラ11、乗員状況監視部12、瞳反射像解析部13、覗き見注意喚起処理部14、乗員管理部15、無線通信装置16を備えている。
【0017】
車載システムは、無線通信装置16を用いて、車内に搭乗したユーザが携帯するモバイル端末2と無線通信を行うことができる。ここで、モバイル端末2は、たとえば、スマートフォンやタブレット装置等の情報端末である。
【0018】
モバイル端末2には、覗き見防止システム1と連携するアプリケーションである覗き見防止アプリが予めインストールされており、覗き見防止システム1が搭載された自動車の車内に搭乗したユーザのモバイル端末2の覗き見防止アプリは、無線通信を介して、モバイル端末2の車内における位置と、モバイル端末2の通信用アドレスを覗き見防止システム1に通知する。
【0019】
モバイル端末2の車内における位置は、たとえば、iBeacon(登録商標)などのビーコン技術を利用したビーコン測位を行うことにより検出することができる。すなわち、車内の各位置にビーコン送信機を配置し、モバイル端末2において、各ビーコン送信機から受信したビーコンの強度や強度の組み合わせと、各ビーコン送信機の位置とに基づいた測位を行うことにより、モバイル端末2の位置を検出することができる。
【0020】
そして、乗員管理部15は、各モバイル端末2の覗き見防止アプリからの通知に従って、車内に搭乗した各ユーザのモバイル端末2の位置と通信用アドレスを管理する。
次に、複数の車内カメラ11は、たとえば、
図2a、bに示すように、車内の各座席に着座した各ユーザの少なくとも顔と上半身のようすを撮影するように配置される。
図1に戻り、乗員状況監視部12は、車内カメラ11で撮影した映像より、各座席に着座した各ユーザを識別し、識別した各ユーザの位置、姿勢、目の位置や向きを検出すると共に、映像内に写り込んでいるモバイル端末2の位置、向き、大きさを検出する。
【0021】
瞳反射像解析部13は、乗員状況監視部12が検出した各ユーザの目の位置に基づいて、車内カメラ11で撮影した映像中の、各座席に着座した各ユーザの瞳の部分を識別すると共に、瞳内に写り込んでいる像、すなわち瞳の反射による像を解析する。
【0022】
そして、瞳反射像解析部13は、パターンマッチングなどの画像解析処理によって、たとえば
図3a、b、c、dのように、瞳内に写り込んでいるモバイル端末2の像であるモバイル端末2の瞳反射像300の有無や、モバイル端末2の瞳反射像300の、瞳内の位置、大きさ、向きを検出する。
【0023】
次に、覗き見注意喚起処理部14が行う覗き見注意喚起処理について説明する。
図4に、覗き見注意喚起処理の手順を示す。
図示するように、覗き見注意喚起処理において覗き見注意喚起処理部14は、瞳反射像解析部13によるモバイル端末2の瞳反射像の検出の発生を監視し(ステップ402)、モバイル端末2の瞳反射像が検出されたならば、モバイル端末2の瞳反射像が発生した瞳を持つユーザを覗き見候補ユーザに設定する(ステップ404)。
【0024】
そして、瞳反射像として瞳に写り込んだモバイル端末2を使用しているユーザを注意喚起候補ユーザに設定する(ステップ406)。
ここで、ステップ406では、乗員状況監視部12が検出している覗き見候補ユーザの目の位置や向きや、瞳反射像解析部13が検出しているモバイル端末2の瞳反射像の瞳内の位置等より、覗き見候補ユーザの目に対する、瞳に写り込んだモバイル端末2の方向を算定し、算定した方向にあるモバイル端末2を使用しているユーザを注意喚起候補ユーザとして設定する。各モバイル端末2の、覗き見候補ユーザの目に対する方向は、当該目の位置と、乗員状況監視部12が検出している各モバイル端末2の位置とより算定し、モバイル端末2を使用しているユーザは、乗員状況監視部12が検出している、ユーザの位置や姿勢とモバイル端末2の位置の関係より算定する。
【0025】
ただし、ステップ406では、乗員状況監視部12が検出している覗き見候補ユーザの目の位置、向きと、瞳反射像解析部13が検出しているモバイル端末2の瞳反射像の大きさと傾き等より、覗き見候補ユーザの目に対する瞳に写り込んだモバイル端末2の方向や、覗き見候補ユーザの目に対する瞳に写り込んだモバイル端末2の距離を推定し、推定した方向と距離に整合する大きさ、位置、向きが乗員状況監視部12によって検出されているモバイル端末2を、瞳反射像として瞳に写り込んだモバイル端末2として算定し、算定したモバイル端末2を使用しているユーザを注意喚起候補ユーザとして設定するようにしてもよい。
【0026】
そして、覗き見候補ユーザと注意喚起候補ユーザが同一のユーザであるかどうかを調べ(ステップ408)、同一のユーザであればステップ402からの処理に戻る。
一方、同一のユーザでなければ(ステップ408)、覗き見候補ユーザと注意喚起候補ユーザが、瞳反射像として瞳に写り込んだモバイル端末2を共用しているかどうかを調べる(ステップ410)。ステップ410では、乗員状況監視部12が検出している覗き見候補ユーザと注意喚起候補ユーザの位置、姿勢、瞳反射像として瞳に写り込んだモバイル端末2の位置や向きの関係より、モバイル端末2を共用しているかどうかを判定する。
【0027】
たとえば、
図5aに示すように、覗き見候補ユーザと注意喚起候補ユーザが左右に隣合う座席のユーザであり、瞳に写り込んだモバイル端末2の位置が、注意喚起候補ユーザから見て覗き見候補ユーザの反対側の位置であるときには、モバイル端末2を共用していないと判定し、
図5bに示すようには、瞳に写り込んだモバイル端末2の位置が、注意喚起候補ユーザの顔と覗き見候補ユーザの顔の間の位置であり、瞳に写り込んだモバイル端末2の画面の向きが、注意喚起候補ユーザの方向に所定レベル以上、傾いた向きでない場合には、モバイル端末2を共用していると判定する。
【0028】
なお、覗き見候補ユーザと注意喚起候補ユーザがモバイル端末2を共用しているかどうかは、覗き見注意喚起処理部14において、車内各席に配置したマイクでピックアップした音声から、覗き見候補ユーザと注意喚起候補ユーザが会話を行っているかどうかを検出し、会話を行っているときには、覗き見候補ユーザと注意喚起候補ユーザがモバイル端末2を共用していると判定するようにしてもよい。
【0029】
そして、モバイル端末2を共用している場合には(ステップ410)、ステップ402からの処理に戻る。
一方、モバイル端末2を共用していない場合には(ステップ410)、覗き見候補ユーザが、注意喚起候補ユーザのモバイル端末2を覗き見している確度を算定する(ステップ412)。
【0030】
覗き見の確度は、瞳反射像解析部13が検出したモバイル端末2の瞳反射像の大きさが大きくなるほど大きくなるように算定する。すなわち、たとえば、
図3aと
図3bの場合では、モバイル端末2の瞳反射像300がより大きい、
図3aの場合に、覗き見の確度をより大きく算定する。
【0031】
ここで、このように確度を算定するのは、モバイル端末2の瞳反射像の大きさがあるレベルよりも小さい場合には、覗き見候補ユーザがモバイル端末2の画面を見ても表示内容を認識できないため、覗き見候補ユーザが覗き見している可能性が小さいからである。
【0032】
また、覗き見の確度は、瞳反射像解析部13が検出したモバイル端末2の瞳反射像の位置が瞳の中心に近くなるほど大きくなるように算定する。すなわち、たとえば、
図3cと
図3dの場合では、モバイル端末2の瞳反射像300の位置がより瞳の中心に近い、
図3cの場合に、覗き見の確度をより大きく算定する。
【0033】
ここで、このように確度を算定するのは、モバイル端末2の瞳反射像の位置が瞳の中心から離れている場合には、モバイル端末2が覗き見候補ユーザの視界に入っているものの、覗き見候補ユーザがモバイル端末2を注視してはいないので、覗き見候補ユーザが覗き見している可能性が小さいからである。
【0034】
そして、算定した覗き見の確度が、所定のしきい値Thより大きいかどうかを調べ(ステップ414)、大きくなければ、ステップ402からの処理に戻る。ここで、上述したステップ412の覗き見の確度の算定は、モバイル端末2の瞳反射像の大きさが所定のサイズより大きい場合には、覗き見の確度が必ずしきい値Thより大きくなるように行う。
【0035】
一方、算定した覗き見の確度がしきい値Thより大きい場合には(ステップ414)、注意喚起候補ユーザに対する注意喚起を、覗き見の確度に応じた形態で実施する(ステップ416)。そして、ステップ402からの処理に戻る。
【0036】
ここで、ステップ416の、注意喚起候補ユーザに対する覗き見の確度に応じた形態での注意喚起は、たとえば、次のように行う。
すなわち、まず、乗員状況監視部12が検出している、瞳反射像として瞳に写り込んだモバイル端末2の位置と整合する位置が、モバイル端末2の位置として乗員管理部15によって管理されているモバイル端末2の、乗員管理部15が管理している通信用アドレスを取得する。
【0037】
そして、取得した通信用アドレスを用いて、注意喚起候補ユーザのモバイル端末2の覗き見防止アプリと通信を行い、覗き見防止アプリに注意喚起をモバイル端末2の画面に表示させる。
【0038】
また、画面への注意喚起の表示の形態は覗き見の確度に応じて異ならせる。たとえば、覗き見の確度が低い場合には、
図6aに示すように覗き見を注意喚起するアイコン600のみを表示し、確度が高い場合には、
図6bに示すように「!のぞき見されている可能性があります。注意してください。」といったような覗き見に対する注意を喚起するテキストメッセージ601をポップアップ表示させる。
【0039】
ただし、覗き見防止アプリによる注意喚起候補ユーザに対する注意喚起は、モバイル端末2を振動させたり、モバイル端末2の画面の輝度を低下させたり、モバイル端末2の画面を点滅させたり、モバイル端末2に「!のぞき見されている可能性があります。注意してください。」といったような覗き見に対する注意を喚起する音声を出力させるなどの他の形態で行うようにしてもよい。ただし、音声出力による注意喚起を行う場合には、モバイル端末2が、内蔵スピーカではなく、イヤホンやヘッドホンに音声を出力している場合にのみ音声出力による注意喚起を行い、内蔵スピーカに音声を出力している場合には、表示や振動による注意喚起を行うことが好ましい。
【0040】
また、注意喚起候補ユーザに対する注意喚起は、別途車内に設置した注意喚起装置を用いて行うようにしてもよい。
すなわち、たとえば、各座席に振動を発生する装置を設け、注意喚起候補ユーザが着座している座席を覗き見の確度に応じた強さで振動させることにより注意喚起を行うようにしてもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上では、自動車の車内における覗き見防止への適用について示したが、本実施形態は、列車、飛行機、旅客船、待合室、飲食店、教室などの任意の空間における覗き見防止に同様に適用できる。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、モバイル端末2が備えるカメラの撮影範囲外からの覗き見も検出することができる。また、ユーザの瞳内のモバイル端末2の像に基づいて覗き見の有無を判定するので、精度良く覗き見を検出することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…覗き見防止システム、2…モバイル端末、11…車内カメラ、12…乗員状況監視部、13…瞳反射像解析部、14…覗き見注意喚起処理部、15…乗員管理部、16…無線通信装置。