(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182325
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】モニタリングシステム及び付加製造システム
(51)【国際特許分類】
B22F 12/90 20210101AFI20221201BHJP
B22F 10/368 20210101ALI20221201BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20221201BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20221201BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20221201BHJP
【FI】
B22F12/90
B22F10/368
B22F10/28
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089831
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】坂井 哲男
(72)【発明者】
【氏名】塩見 康友
(57)【要約】
【課題】付加製造された物品の品質をより容易に把握可能な、モニタリングシステム及び付加製造システムを提供する。
【解決手段】実施形態に係るモニタリングシステムは、収集装置及び処理装置を含む。前記収集装置は、金属粉の溶融と凝固とを繰り返して複数の層を形成する付加製造中に、凝固した凝固部の情報を収集する。前記処理装置は、前記情報を用いて前記凝固部における欠陥の有無を判定し、前記欠陥の有無を示す品質データを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉の溶融と凝固とを繰り返して複数の層を形成する付加製造中に、凝固した凝固部の情報を収集する収集装置と、
前記情報を用いて前記凝固部における欠陥の有無を判定し、前記欠陥の有無を示す品質データを生成する処理装置と、
を備えたモニタリングシステム。
【請求項2】
前記収集装置は、撮像装置を含み、
前記情報は、画像を含み、
前記処理装置は、前記画像に基づいて前記凝固部における前記欠陥の有無を判定する請求項1記載のモニタリングシステム。
【請求項3】
前記情報は、前記凝固部に含まれる第1ビード及び第2ビードと、溶融している溶融池と、熱源と、を写した第1画像を含み、
前記処理装置は、
前記第1画像から、凝固直後の前記第1ビードの幅、前記第1ビードの輪郭、前記第1ビードの表面形状、前記第1ビードと隣り合う前記第2ビードの幅、前記第2ビードの輪郭、前記第2ビードの幅、前記溶融池の輪郭、及び前記熱源のサイズから選択される1つ以上のデータを含む第1データを取得し、
前記第1データに基づいて、前記凝固部における前記欠陥の有無を判定する、
請求項2記載のモニタリングシステム。
【請求項4】
前記処理装置は、前記第1データに対して予め設定された条件を参照し、前記第1データと前記条件との比較により前記欠陥の有無を判定する請求項3記載のモニタリングシステム。
【請求項5】
前記処理装置は、第1モデルに前記第1画像を入力することで、前記第1ビードの輪郭、前記溶融池の輪郭、及び前記熱源の輪郭を含む前記第1データを取得する請求項3又は4に記載のモニタリングシステム。
【請求項6】
前記処理装置は、複数の前記第1画像の間の差分を抽出し、前記差分に基づいて前記凝固部における前記欠陥の有無を判定する請求項3記載のモニタリングシステム。
【請求項7】
前記情報は、新たな前記金属粉の層が供給された後であって、前記金属粉が溶融される前に、前記金属粉が敷かれた粉末床を写した第2画像をさらに含み、
前記処理装置は、前記第2画像から、前記粉末床の表面形状を取得し、前記表面形状に基づいて前記凝固部における前記欠陥の有無を判定する請求項2記載のモニタリングシステム。
【請求項8】
前記情報は、前記金属粉が溶融されて凝固した後であって、新たな前記金属粉の層が供給される前に、前記凝固部を写した第3画像をさらに含み、
前記処理装置は、前記第3画像から、前記凝固部の表面形状を取得し、前記表面形状に基づいて前記凝固部における前記欠陥の有無を判定する請求項2記載のモニタリングシステム。
【請求項9】
前記処理装置は、前記欠陥が有ると判定したときに、その判定に使用された前記画像を、前記品質データに加える請求項2~8のいずれか1つに記載のモニタリングシステム。
【請求項10】
前記凝固部を照らす照明装置をさらに備えた請求項1~9のいずれか1つに記載のモニタリングシステム。
【請求項11】
前記収集装置は、温度センサを含み、
前記情報は、溶融している溶融池の温度、及び前記凝固部の温度を示す第2データを含み、
前記処理装置は、前記第2データに基づいて、前記凝固部における前記欠陥の有無を判定する請求項1~10のいずれか1つに記載のモニタリングシステム。
【請求項12】
前記収集装置は、前記複数の層のそれぞれの形成時に、前記凝固部の前記情報を収集する請求項1~11のいずれか1つに記載のモニタリングシステム。
【請求項13】
前記収集装置は、付加製造中に複数の前記情報を収集し、
前記処理装置は、前記凝固部の複数の領域における前記欠陥の有無を判定し、
前記品質データは、前記欠陥の有無と、前記欠陥を含む前記領域の位置と、を含む請求項1~12のいずれか1つに記載のモニタリングシステム。
【請求項14】
前記処理装置は、前記欠陥の有無の判定結果に基づいて、付加製造時の加工条件を変更する、請求項1~13のいずれか1つに記載のモニタリングシステム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1つに記載のモニタリングシステムと、
付加製造を実行する付加製造装置と、
を備えた付加製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、モニタリングシステム及び付加製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造により物品を製造する付加製造装置がある。付加製造では、金属粉の溶融及び凝固の繰り返しにより、一つずつ層が付加されていく。付加製造された物品について、品質をより容易に把握できる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、付加製造された物品の品質をより容易に把握可能な、モニタリングシステム及び付加製造システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るモニタリングシステムは、収集装置及び処理装置を含む。前記収集装置は、金属粉の溶融と凝固とを繰り返して複数の層を形成する付加製造中に、凝固した凝固部の情報を収集する。前記処理装置は、前記情報を用いて前記凝固部における欠陥の有無を判定し、前記欠陥の有無を示す品質データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る付加製造システムを表す模式図である。
【
図2】実施形態に係るモニタリングシステムの構成を表すブロック図である。
【
図3】付加製造装置の制御系を表すブロック図である。
【
図5】撮像装置により得られた画像を表す模式図である。
【
図7】実施形態に係るモニタリングシステムの動作を表すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る付加製造システムの構成を表すブロック図である。
【
図9】実施形態に係るモニタリングシステムの動作を表すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係るモニタリングシステムの動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る付加製造システムを表す模式図である。
図2は、実施形態に係るモニタリングシステムの構成を表すブロック図である。
図3は、付加製造装置の制御系を表すブロック図である。
図1に表したように、付加製造システム2は、モニタリングシステム1及び付加製造装置100を含む。
【0009】
図1に表したように、付加製造装置100は、第1容器110、第1ステージ111、第2容器120、第2ステージ121、コータ130、照射装置140、及び光学系141を含む。
【0010】
第1容器110の内部には、金属粉201が敷かれた粉末床(パウダーベッド)205が設けられている。付加製造装置100は、粉末床205上面に設けられた金属粉201を部分的に溶融させる。溶融した金属粉201が凝固し、凝固層が形成される。凝固層の上に別の凝固層が繰り返し付加され、接合されることで、凝固部210が形成される。最終的に、凝固部210からなる物品が製造される。
【0011】
照射装置140は、第1容器110の金属粉201にレーザ光150を照射する。照射装置140は、電子ビームを発しても良い。レーザ光150は、光学系141により反射され、粉末床205の一部に照射される。光学系141の駆動により、レーザ光150は、粉末床205の任意の位置に照射される。
【0012】
第2容器120は、第1容器110に供給される金属粉201を収納している。第1容器110の底部には、第1ステージ111が設けられている。第2容器120の底部には、第2ステージ121が設けられている。第1ステージ111及び第2ステージ121は、昇降可能である。第1ステージ111が上昇又は下降すると、粉末床205の上面の高さ及び凝固部210の上面の高さが変化する。第2ステージ121が上昇又は下降すると、第2容器120に収納された金属粉201の上面の高さが変化する。
【0013】
レーザ光150により金属粉201が溶融し、凝固部210に新たな凝固層が付加されると、第1ステージ111が下降する。粉末床205の上面及び凝固部210の上面が、第1容器110の上面よりも下方に位置する。その後、第2ステージ121が上昇する。第2容器120に収納された金属粉201の上面が、第2容器120の上面よりも上方に位置する。コータ130は、第2容器120から第1容器110に向けて移動する。コータ130は、第2容器120の上面よりも上方に位置する金属粉201を、第1容器110に向けて運ぶ。コータ130により、粉末床205及び凝固部210の上に、新たな金属粉201の層が供給される。
【0014】
モニタリングシステム1は、付加製造装置100による付加製造中の情報を収集する。モニタリングシステム1は、その情報を用いて、凝固部210における欠陥の有無を判定する。また、モニタリングシステム1は、判定結果に基づき、欠陥の有無を示す品質データを生成する。
図1に表したように、モニタリングシステム1は、撮像装置21、温度センサ22、及び照明装置23を含む。
【0015】
撮像装置21は、例えばカメラであり、付加製造中における第1容器110の様子を撮像する。撮像装置21は、粉末床205、凝固部210、金属粉201の溶融により生じる溶融池220、粉末床205表面に当たるレーザ光150などを撮像する。これにより、付加製造中の様子を表す画像が、前記情報として収集される。
【0016】
温度センサ22は、粉末床205、凝固部210、又は溶融池220の温度を計測する。これにより、付加製造中の各部の温度、全体の温度分布等が、前記情報として収集される。温度センサ22は、例えば、対象から放射される赤外線に基づき、対象の温度を計測する。
【0017】
照明装置23は、撮像装置21がより明瞭な画像を得られるように、粉末床205を照らす。撮像装置21による撮像位置及び照明装置23による照明位置を調整するための光学系が、適宜設けられても良い。
【0018】
図2は、実施形態に係るモニタリングシステムの構成を表す模式図である。
図2に表したように、実施形態に係るモニタリングシステム1は、処理装置11、入力装置12、表示装置13、及び記憶装置14をさらに含む。
【0019】
処理装置11は、撮像装置21及び温度センサ22によって収集された情報に基づいて、品質データを生成する。入力装置12は、ユーザが処理装置11にデータを入力する際に使用される。表示装置13は、処理装置11から出力されたデータをユーザに向けて表示する。記憶装置14は、データを記憶する。例えば、撮像装置21及び温度センサ22は、取得した情報を記憶装置14に保存する。処理装置11は、記憶装置14にアクセスし、情報を取得する。
【0020】
撮像装置21、温度センサ22、及び照明装置23のそれぞれの動作は、処理装置11によって制御されても良いし、別の制御装置によって制御されても良い。
【0021】
図3は、付加製造装置の制御系を表す模式図である。
例えば
図3に表したように、付加製造装置100は、制御装置101をさらに含む。第1ステージ111、第2ステージ121、コータ130、照射装置140、及び光学系141のそれぞれの動作は、制御装置101によって制御される。制御装置101は、予め設定された付加製造の条件を参照し、その条件に従って各構成要素を動作させる。
【0022】
図4は、付加製造の様子を表す模式図である。
図4では、熱源としてのレーザ光150が、粉末床205の一部に照射され、金属粉201が溶融している。熱源は、電子ビームであっても良い。溶融した金属粉201により、溶融池220が形成されている。また、溶融した金属粉201が凝固し、凝固部210が形成されている。
【0023】
凝固部210は、複数のビード211を含む。ビード211は、レーザ光150が走査される第1方向D1に沿って延びている。複数のビード211は、第1方向D1に対して垂直な第2方向D2に並んでいる。
【0024】
第1方向D1及び第2方向D2に沿って広がる1層の金属粉201に対して、1つ以上のビード211が形成されると、第3方向D3において新たな金属粉201の層が供給される。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2に対して垂直である。新たな金属粉201の層で、別のビードが形成される。
【0025】
撮像装置21は、レーザ光150の照射中に、1つ以上のビード211及び溶融池220を撮像する。撮像装置21は、レーザ光150の照射前に、粉末床205を撮像しても良い。撮像装置21は、レーザ光150の照射後であって、新たな金属粉201が供給される前に、粉末床205及び凝固部210を撮像しても良い。
【0026】
図5は、撮像装置により得られた画像を表す模式図である。
図5に表した画像(第1画像)には、レーザ光150、金属粉201、複数のビード211a~211c、及び溶融池220が写っている。ビード211b(第2ビード)は、ビード211a(第1ビード)よりも前に形成されている。ビード211cは、ビード211bよりも前に形成されている。ビード211bは、ビード211aと211cの間に位置し、ビード211a及び211cと隣り合っている。
【0027】
処理装置11は、
図5に表した画像を受信すると、付加製造の特徴となるデータを画像から抽出する。例えば、処理装置11は、凝固直後のビード211aの幅W1、ビード211aの輪郭、ビード211aの表面形状、ビード211bの幅W2、ビード211bの輪郭、ビード211bの表面形状、ビード211cの幅W3、ビード211cの輪郭、ビード211cの表面形状、溶融池220の輪郭、及びレーザ光150のサイズから選択される1つ以上のデータを含む第1データを抽出する。
【0028】
「凝固直後」は、レーザ光150が走査されているライン上のビード211を指す。凝固直後のビード211は、溶融池220と第1方向D1において並ぶ。ビード211a、211b、又は211cの幅は、第2方向D2におけるビード211a、211b、又は211cの長さに対応する。表面形状として、局所的な窪み(穴開き欠陥)のサイズ及び位置、表面粗さ、及び艶(輝度)から選択される少なくともいずれかが用いられる。レーザ光150のサイズは、レーザ光150の輪郭に囲われた領域の面積で表される。
【0029】
記憶装置14は、画像から第1データを抽出するための第1モデルを記憶しても良い。第1モデルは、例えばニューラルネットワークを含む。処理装置11は、画像を第1モデルに入力し、第1モデルから出力された第1データを取得する。例えば、第1モデルは、
図5に表した画像が入力されると、線分Li1~Li3を出力する。線分Li1は、ビード211aと金属粉201の境界線及びビード211aとビード211bの境界線であり、ビード211aの輪郭を示す。線分Li2は、レーザ光150の輪郭を示す。線分Li3は、溶融池220の輪郭を示す。
【0030】
処理装置11は、第1データを取得すると、記憶装置14に記憶されたデータベースを参照する。データベースは、第1データに基づいて欠陥の有無を判定するための条件を含む。
【0031】
一例として、欠陥が有る領域では、いずれかのビード211の幅が局所的に変化している。幅が予め設定された閾値未満のとき、その領域には欠陥が有ると判定される。別の例として、レーザ光150のサイズが小さいとき、十分な量の金属粉201が溶融されず、欠陥が発生し易い。サイズが予め設定された閾値未満のとき、その領域には欠陥が有ると判定される。
【0032】
例えば、処理装置11は、第1データとして、ビード211aの輪郭、溶融池220の輪郭、及びレーザ光150のサイズからなる複数のデータを抽出する。データベースは、ビード211aの輪郭、溶融池220の輪郭、及びレーザ光150のサイズのそれぞれに対する条件を含む。処理装置11は、複数のデータを複数の条件とそれぞれ比較し、欠陥の有無を判定する。
【0033】
データベースは、欠陥の種類に関する情報を含んでも良い。例えば、欠陥は、局所的に凝固部210が薄いアンダーカット、局所的に凝固部210が厚いオーバーラップ、又は、溶融した金属が飛散して形成されたスパッタなどである。1つのデータに対して、欠陥の複数の種類に対応した複数の条件がそれぞれ設定される。処理装置11は、データベースに含まれる複数の条件に基づき、欠陥の有無と欠陥の種類を判定する。
【0034】
欠陥の存在は、確率によって表されても良い。例えば、それぞれのデータに対して、1つ以上の条件が設定される。それぞれの条件に対して、欠陥の存在する確率が設定される。条件が満たされるとき、設定された確率で欠陥が存在すると判定される。複数の条件が満たされるとき、欠陥の存在する確率が上昇する。
【0035】
図6(a)及び
図6(b)は、撮像領域を説明するための模式図である。
図6(a)は、第1容器110に供給された金属粉201の最初の層A
1を表す。層A
1は、第1方向D1及び第2方向D2において複数の領域B
11~B
xyを含む。図示した例では、第1方向D1にx個の領域Bが並び、第2方向D2にy個の領域Bが並ぶ。撮像される範囲Cは、1つの領域Bよりも大きく設定される。撮像装置21は、領域B
11~B
xyのそれぞれにレーザ光150が照射されときに、レーザ光150、凝固部210、及び溶融池220を撮像する。これにより、層A
1について、x×y個の画像が取得される。
【0036】
撮像装置21は、それぞれの層に対して、同様に撮像を繰り返す。例えば、
図6(b)は、第1容器110に供給されたz番目の層A
zを表す。撮像装置21は、層A
zにおいて、層A
1と同様に、領域B
11~B
xyのそれぞれにレーザ光150が照射されときに撮像する。
【0037】
撮像装置21により、第1方向D1、第2方向D2、又は第3方向D3における撮像位置が互いに異なる、複数の画像が取得される。処理装置11は、複数の画像に基づいて、複数の撮像領域における欠陥の有無をそれぞれ判定する。
【0038】
処理装置11は、複数の画像間の差分に基づいて、欠陥の有無を判定しても良い。典型的には、欠陥が有ると判定される領域の数は、欠陥が無いと判定される領域の数に比べて少ない。欠陥が無いと判定される領域の画像同士の間では、差分は相対的に小さい。欠陥が無いと判定される領域の画像と、欠陥が有ると判定される領域の画像と、の間では、差分は相対的に大きい。
【0039】
例えば、処理装置11は、新たな画像と、1つ以上の過去の画像と、を第1モデルに入力し、それぞれの画像に対応する線分Li1~Li3を取得する。処理装置11は、線分Li1~Li3について、複数の画像の間での特徴量の差分を算出する。処理装置11は、差分を予め設定された条件と比較し、新たな画像に写された領域における欠陥の有無を判定する。
【0040】
又は、欠陥が無いときの参照画像が、予め記憶装置14に保存されても良い。処理装置11は、新たな画像と参照画像との間の差分を算出する。処理装置11は、差分に基づいて、新たな画像に写された領域における欠陥の有無を判定する。
【0041】
処理装置11は、層A1~Azの間において、第1方向D1及び第2方向D2における位置が同じ領域Bの画像同士の間の差分を、算出しても良い。例えば、処理装置11は、層Azの領域B11の画像と、層A1~Az-1の領域B11の画像と、の差分をそれぞれ算出する。
【0042】
例えば、処理装置11は、差分として、輝度の差及びコントラスト値の差の1つ又は2つを算出する。処理装置11は、差分の算出において、隣接する画素領域同士を微分してコントラストの勾配を算出、フーリエ変換で周期性を定量算出、単純に濃淡の差分を取る計算などを実行しても良い。画素領域は、1つ以上の画素からなる領域である。差分に対する条件として、閾値が予め設定される。処理装置11は、差分が閾値よりも大きいとき、新たな画像に写された領域に欠陥が有ると判定する。
【0043】
撮像装置21は、新たな金属粉201の層が供給された後であって、レーザ光150が照射される前に、粉末床205を撮像し、画像(第2画像)を取得しても良い。例えば、処理装置11は、得られた画像から、粉末床205の各点の第3方向D3における位置とそれらの平均位置を算出する。「点」は、「領域」の一部である。処理装置11は、各点の位置と平均位置の間の距離(差分)を計算する。距離に対する条件(閾値)が、予め設定される。距離が閾値を超える場合、その点に形成された凝固部210の表面が局所的に窪んでいる又は盛り上がっていることを示す。処理装置11は、距離が閾値を超えた点の直下の凝固部210に欠陥が有ると判定する。また、距離が閾値を超える点の金属粉201が凝固すると、欠陥が発生する可能性が高い。このため、距離が閾値を超えた点に欠陥が有る(発生する)と見なされても良い。第3方向D3における位置をより精度良く取得できるように、撮像装置21は、深度センサを含んでも良い。
【0044】
例えば、撮像装置21は、第1方向D1及び第2方向D2における複数の位置で粉末床205を撮像する。処理装置11は、得られた画像を第1方向D1及び第2方向D2に並べて繋ぎ合わせ、1つの全体画像を得る。処理装置11は、1つの全体画像において、各点の位置と平均位置の間の距離を計算する。
【0045】
撮像装置21は、レーザ光150の照射後であって、新たな金属粉201の層が供給される前に、凝固部210を撮像し、画像(第3画像)を取得しても良い。例えば、処理装置11は、凝固部210の各領域の画像を繋ぎ合わせ、1つの全体画像を得る。処理装置11は、得られた画像から、凝固部210の各点の第3方向D3における位置とそれらの平均位置を算出する。処理装置11は、各点の位置と平均位置の間の距離(差分)を計算する。距離に対する条件(閾値)が、予め設定される。処理装置11は、距離が閾値を超えた点に欠陥が有ると判定する。
【0046】
処理装置11は、全体画像から、凝固部210上に存在するスパッタを検出しても良い。例えば、第3方向D3における位置が平均位置に比べて、所定の閾値よりも高い領域が、スパッタとしてカウントされる。処理装置11は、スパッタが検出された領域を欠陥の有る領域と判定する。処理装置11は、予め設定された面積内に、規定数よりも多いスパッタが存在する領域を、欠陥の有る領域と判定しても良い。また、スパッタが存在する領域の上で金属粉201が凝固すると、欠陥が発生する可能性が高い。このため、スパッタが存在する領域の上に位置する領域に、欠陥が有る(発生する)と見なされても良い。
【0047】
撮像装置21は、複数設けられても良い。例えば、レーザ光150の照射中に各領域を撮像する撮像装置21と、レーザ光150の照射前又は照射後に粉末床205又は凝固部210を撮像する別の撮像装置21と、が設けられても良い。
【0048】
温度センサ22は、付加製造中に、各部の温度を計測する。例えば、温度センサ22は、
図5に表した、凝固直後のビード211aの温度、ビード211bの温度、ビード211cの温度、又は溶融池220の温度を計測し、温度を示す第2データを生成する。
【0049】
処理装置11は、第2データを取得すると、記憶装置14に記憶されたデータベースを参照する。データベースは、第2データに基づいて欠陥の有無を判定するための条件を含む。例えば、データベースは、ビード211aの温度、ビード211bの温度、ビード211cの温度、及び溶融池220の温度のそれぞれに対する条件(閾値)を含む。処理装置11は、第2データに含まれる複数の温度を複数の条件とそれぞれ比較し、欠陥の有無を判定する。一例として、凝固直後のビード211aの温度又は溶融池220の温度が閾値よりも低い場合、欠陥が有ると判定される。
【0050】
例えば、ビード211a、ビード211b、及びビード211cのいずれかの温度が閾値よりも低い場合、ビード211a、ビード211b、及びビード211cの間での温度差により、凝固部210に割れ又は熱歪みが発生する可能性がある。また、いずれかのビードの幅が変化すると、造形密度が変化する。造形密度の変化が大きいと、溶接不良、又は溶接不良に繋がる空隙が発生し、欠陥の原因となる。
【0051】
データベースは、欠陥の種類に関する情報を含んでも良い。例えば、ビード211a、ビード211b、又は溶融池220の温度に対して、欠陥の複数の種類に対応した複数の条件がそれぞれ設定される。処理装置11は、データベースに含まれる複数の条件に基づき、欠陥の有無と欠陥の種類を判定する。欠陥の存在は、確率によって示されても良い。例えば、複数のデータに複数の条件がそれぞれ設定される。それぞれの条件に対して、欠陥の存在する確率が予め設定される。条件が満たされるとき、設定された確率で欠陥が存在すると判定される。複数の条件が満たされるとき、欠陥の存在する確率が上昇する。
【0052】
温度センサ22は、撮像装置21と同様に、レーザ光150の照射に追従して、各層の各領域における温度を計測する。例えば
図6(a)に表した領域B
11~B
xyのそれぞれにレーザ光150が照射されときに、温度センサ22は、ビード211a、ビード211b、及び溶融池220の温度を計測する。
【0053】
温度センサ22は、新たな金属粉201の層が供給された後であって、レーザ光150が照射される前に、粉末床205の各領域の温度を計測しても良い。例えば、処理装置11は、複数の計測結果から、粉末床205における温度分布を生成する。処理装置11は、温度分布から、平均温度、温度のばらつきなどを算出する。処理装置11は、算出した値を、予め設定された条件(閾値)と比較し、欠陥の有無を判定する。
【0054】
温度センサ22は、レーザ光150の照射後であって、新たな金属粉201の層が供給される前に、各領域の温度を計測しても良い。処理装置11は、複数の計測結果から、粉末床205及び凝固部210における温度分布を生成する。
【0055】
例えば、温度分布が大きいと、その層の中で残留応力の偏り、形状の不均一などが発生しうる。温度分布が予め設定された閾値以上の場合、その層及び上下で隣接する層で造形の不良が発生する可能性が高い。処理装置11は、前記層及び前記隣接する層に、欠陥が有ると判定する。
【0056】
処理装置11は、判定結果を記憶装置14に保存する。欠陥が有ると判定されると、処理装置11は、欠陥の位置を記憶装置14に保存する。欠陥が有ると判定されたときに、処理装置11は、その判定に用いた画像を判定結果及び欠陥位置と紐付けても良い。例えば、品質データは、製造された物品について、欠陥の有無の判定結果と、欠陥の位置と、欠陥の存在の判定に用いられた画像と、を含む。
【0057】
図7は、実施形態に係るモニタリングシステムの動作を表すフローチャートである。
収集装置が、付加製造中の情報を収集する(ステップS1)。処理装置11は、収集された情報を取得する(ステップS2)。処理装置11は、情報を用いて、情報が収集された位置における欠陥の有無を判定する(ステップS3)。判定では、収集された情報に含まれる各データが、予め設定された条件と比較される。処理装置11は、欠陥の有無を示す品質データを生成する(ステップS4)。
【0058】
実施形態の利点を説明する。
付加製造により製造された物品に、欠陥が存在することがある。物品の欠陥は、例えばボイドである。欠陥の有無、欠陥の数は、物品の品質と関係する。欠陥が有る又は欠陥の数が多いと、品質が悪いと認定される。品質は、例えば、物品の価格、物品の適用対象などに影響する。又は、品質が悪い物品は、取引対象から除外される。換言すると、物品の価格、適用対象、取引の可否などを決定するために、製造された物品の品質を把握できることが好ましい。
【0059】
製造された物品を非破壊検査し、欠陥の有無、欠陥の数を調べる方法もある。しかし、この方法では、検査に時間と費用を要する。このため、より簡便に、物品の品質を把握できる技術が望まれている。
【0060】
実施形態に係るモニタリングシステム1によれば、収集装置が、付加製造中の情報を収集する。収集装置は、撮像装置21又は温度センサ22である。収集された情報を用いて、処理装置11は、欠陥の有無を判定する。また、処理装置11は、判定結果を含む品質データを生成する。
【0061】
付加製造中に情報を収集することで、物品の製造後に別途検査工程を設ける必要が無い。また、ユーザは、品質データを確認することで、製造された物品における欠陥の可能性を把握できる。例えば、ユーザは、欠陥の存在する可能性、存在しうる欠陥の数などを把握できる。実施形態によれば、付加製造された物品の品質を、より容易に把握できる。
【0062】
また、実施形態に係るモニタリングシステム1は、既に存在する付加製造装置100に、後から追加することができる。既に存在する付加製造装置100にモニタリングシステム1を追加することで、欠陥の判定機能が組み込まれた付加製造装置を新たに購入する場合に比べて、必要な費用を削減できる。
【0063】
品質データは、製造された物品について、欠陥の位置を含むことが好ましい。ユーザは、物品のどの位置に欠陥が存在しうるか、容易に把握できる。また、品質データは、欠陥の判定に使用された画像を含むことが好ましい。ユーザは、処理装置11による判定結果の確からしさを容易に確認できる。ユーザが画像中の欠陥の位置を容易に把握できるように、画像中に、欠陥の位置が印付けされても良い。
【0064】
処理装置11は、予め設定された条件に基づく判定に代えて、欠陥の有無を判定するための第2モデルを用いても良い。第2モデルは、例えばニューラルネットワークを含む。処理装置11は、第1データ又は第2データを取得すると、第2モデルに第1データ又は第2データを入力する。第2モデルは、欠陥の有無を示すデータを出力する。処理装置11は、第2モデルの出力を、判定結果として取得する。第2モデルは、複数の学習データを用いて学習される。学習データは、第1データ、第2データ、及びそれらのデータに対するラベルを含む。ラベルは、欠陥の有無及び欠陥の種類を示す。
【0065】
処理装置11は、予め設定された条件に基づく判定と、第2モデルによる判定と、を組み合わせて最終的な判定結果を取得しても良い。例えば、処理装置11は、予め設定された条件に基づいて欠陥が有ると判定される場合、その領域に欠陥が有ると判定する。処理装置11は、予め設定された条件に基づいて欠陥が無いと判定された場合であっても、第1データ又は第2データを第2モデルに入力する。第2モデルによって欠陥の存在が示されると、処理装置11は、その領域に欠陥が有ると判定する。第2モデルを組み合わせることで、条件のみでは判定が難しい欠陥の存在を、より精度良く判定可能となる。
【0066】
図8は、実施形態に係る付加製造システムの構成を表すブロック図である。
付加製造システム2において、モニタリングシステム1による判定結果に応じて、付加製造装置100の加工条件が変更されても良い。具体的には、欠陥が有ると判定されたときに、処理装置11は、付加製造の加工条件を変更する。処理装置11は、変更した加工条件を記憶装置14に保存する。制御装置101は、変更された加工条件に従って、付加製造装置100の各構成要素を制御する。
【0067】
例えば、ビード211の一部の領域に、欠陥が有ると判定される。その領域に隣接する別の領域にレーザ光150を照射する際に、加工条件が変更される。これにより、欠陥が修正される可能性がある。一例として、第1データに基づいてアンダーカットが有ると判定される場合、隣接する領域にレーザ光150を照射する際、照射時間を延ばす、又は照射エネルギーを大きくする。これにより、別の領域で溶融した金属粉201の一部が、アンダーカットが有る領域に流れ、アンダーカットが修正されうる。
【0068】
データベースは、付加製造における加工条件に関する情報を含む。データベースは、第1データの値と加工条件との対応を含む。欠陥が有ると判定されると、処理装置11は、データベースにアクセスする。処理装置11は、判定に用いられた第1データに対応する加工条件を取得する。処理装置11は、取得した加工条件を記憶装置14に保存する。これにより、予め設定された加工条件が、欠陥を修正するための加工条件に変更される。制御装置101は、変更された加工条件に従って付加製造装置100を制御する。
【0069】
加工条件は、欠陥の種類及び欠陥の程度に応じて変更されても良い。例えば、アンダーカットの窪みが大きい場合には、別の領域にレーザ光150を照射する際に、照射時間をさらに延ばす、又は照射エネルギーをさらに大きくする。これにより、溶融する金属粉201の量が大きくなり、アンダーカットへ溶融金属が流れ易くなる。欠陥が修正される可能性を、高めることができる。
【0070】
第1データの種類ごとに、修正の可否が設定されても良い。処理装置11は、欠陥が有ると判定されると、データベースにアクセスし、判定の根拠となった第1データについて、修正の可否を参照する。修正が可能である場合、処理装置11は、データベースから、欠陥を修正するための変更された加工条件を取得する。修正が不可能である場合、処理装置11は、加工条件を変更しない。
【0071】
付加製造装置100は、同じ物品を繰り返し製造しても良い。前の物品の製造時における判定結果に基づいて、次の物品の製造時の加工条件を変更しても良い。例えば、処理装置11は、前の物品の製造時に欠陥が有ると判定されると、次の物品の製造時に、欠陥が判定された位置での加工条件を変更する。これにより、次の物品の製造時に、欠陥の発生が抑制される。
【0072】
図9は、実施形態に係るモニタリングシステムの動作を表すフローチャートである。
図9を参照して、加工条件を変更する場合のモニタリングシステム1の動作を説明する。
図7に表したフローチャートと同様に、収集装置が、付加製造中の情報を収集する(ステップS1)。処理装置11は、情報を取得し(ステップS2)、欠陥の有無を判定する(ステップS3)。処理装置11は、欠陥の存在が判定されたか判定する(ステップS11)。欠陥の存在が判定された場合、処理装置11は、データベースを参照し、その欠陥が修正可能か判定する(ステップS12)。欠陥が修正可能である場合、処理装置11は、加工条件を変更する(ステップS13)。これにより、発生した欠陥が修正され得る。又は、次の物品において、欠陥の発生が抑制され得る。
【0073】
ステップS11にて欠陥が存在しないと判定された後、ステップS12にて修正不可能と判定された後、又はステップS13の後、処理装置11は、結果を記憶装置14に保存する(ステップS14)。具体的には、処理装置11は、欠陥の有無を判定した領域について、判定結果、欠陥の修正の可否、変更された加工条件などを保存する。処理装置11は、付加製造が完了したか判定する(ステップS15)。完了していない場合、ステップS1が再度実行される。又は、ステップS2以降は、付加製造中の各領域における情報が収集された後に実行されても良い。この場合、各情報に基づく処理が完了するまで、ステップS2~S12が繰り返される。各領域についての判定が完了すると、処理装置11は、品質データを生成する(ステップS4)。
【0074】
処理装置11は、各領域の判定結果に基づいて、物品の品質を判定しても良い。例えば、品質データは、物品の品質に関する情報をさらに含む。
【0075】
図10は、実施形態に係るモニタリングシステムの動作を表すフローチャートである。
処理装置11は、
図7又は
図9に表したフローチャートのステップS4において、
図10に表した処理を実行しても良い。処理装置11は、記憶装置14にアクセスし、各領域の判定結果を参照する(ステップS41)。処理装置11は、いずれかの領域にて欠陥の存在が判定されたか判定する(ステップS42)。いずれの領域においても欠陥の存在が判定されていない場合、処理装置11は、その物品の品質を優良と判定する(ステップS43)。
【0076】
例えば、データベースは、欠陥に関する情報と、欠陥モードと、の対応関係を含む。いずれの領域に欠陥の存在が判定された場合、処理装置11は、データベースにアクセスし、欠陥の数、欠陥の位置、欠陥の種類などの情報を、欠陥モードと照合する(ステップS44)。例えば、データベースは、それぞれの欠陥モードについて、許容可能か否かを示すデータを含む。処理装置11は、得られた欠陥モードが、許容可能か判定する(ステップS45)。欠陥モードが許容可能である場合、処理装置11は、品質を許容可能と判定する(ステップS46)。欠陥モードが許容不可能である場合、処理装置11は、品質を不良と判定する(ステップS47)。
【0077】
優良は、許容可能よりも優れていることを示す。許容可能は、不良よりも優れていることを示す。ここでは、品質を3つのグレードに分類する例を説明した。品質は、欠陥の有無、欠陥モードなどに応じて、4つ以上のグレードに分類されても良い。
【0078】
処理装置11は、品質データとしてレポートを生成する(ステップS48)。例えば、レポートは、欠陥の有無、欠陥の数、欠陥の種類、変更された加工条件、欠陥モード、欠陥が判定された領域の画像、及び品質を含む。処理装置11は、レポートを、表示装置13に表示させる(ステップS49)。又は、処理装置11は、レポートを、"Comma Separated Value(CSV)などの所定のファイル形式で出力し、SDカードなどの記録媒体に書き込んでも良い。処理装置11は、File Transfer Protocol(FTP)などを用いて外部のサーバへデータを送信しても良いし、データベース通信を行って、Open Database Connectivity(ODBC)などを用いて、外部のデータベースサーバへデータを挿入してもよい。
【0079】
図11は、ハードウェア構成を表す模式図である。
例えば、実施形態に係るモニタリングシステム1の処理装置11は、コンピュータであり、ROM(Read Only Memory)11a、RAM(Random Access Memory)11b、CPU(Central Processing Unit)11c、およびHDD(Hard Disk Drive)11dを有する。
【0080】
ROM11aは、コンピュータの動作を制御するプログラムを記憶している。ROM11aには、コンピュータに上述した各処理を実現させるために必要なプログラムが記憶されている。
【0081】
RAM11bは、ROM11aに記憶されたプログラムが展開される記憶領域として機能する。CPU11cは、処理回路を含む。CPU11cは、ROM11aに記憶された制御プログラムを読み込み、当該制御プログラムに従ってコンピュータの動作を制御する。また、CPU11cは、コンピュータの動作によって得られた様々なデータをRAM11bに展開する。HDD11dは、読み取りに必要なデータや、読み取りの過程で得られたデータを記憶する。HDD11dは、例えば、
図2に表した記憶装置14として機能する。
【0082】
処理装置11は、HDD11dに代えて、eMMC(embedded Multi Media Card)、SSD(Solid State Drive)、SSHD(Solid State Hybrid Drive)などを含んでも良い。処理装置11のそれぞれの処理及び機能は、より多くのコンピュータの協働により実現されても良い。
【0083】
入力装置12は、マウス、キーボード、及びタッチパッドの少なくともいずれかを含む。表示装置13は、モニタ及びプロジェクタの少なくともいずれかを含む。タッチパネルのように、入力装置12及び表示装置13の両方として機能する装置が用いられても良い。
【0084】
以上で説明したモニタリングシステム、処理装置、又はモニタリング方法によれば、付加製造された物品の品質を、より容易に把握できる。また、コンピュータを、処理装置として動作させるためのプログラムを用いることで、同様の効果を得ることができる。
【0085】
上記の種々のデータの処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、または、他の記録媒体に記録されても良い。
【0086】
例えば、記録媒体に記録されたデータは、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0087】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0088】
1:モニタリングシステム、 2:付加製造システム、 11:処理装置、 12:入力装置、 13:表示装置、 14:記憶装置、 21:撮像装置、 22:温度センサ、 23:照明装置、 100:付加製造装置、 101:制御装置、 110:第1容器、 111:第1ステージ、 120:第2容器、 121:第2ステージ、 130:コータ、 140:照射装置、 141:光学系、 150:レーザ光、 201:金属粉、 205:粉末床、 210:凝固部、 211,211a~211c:ビード、 220:溶融池、 D1:第1方向、 D2:第2方向、 D3:第3方向、 Li1~Li3:線分