(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182345
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】液体印字装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221201BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20221201BHJP
B41J 19/18 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/175 113
B41J2/175 307
B41J19/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089854
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】荒川 悠太
【テーマコード(参考)】
2C056
2C480
【Fターム(参考)】
2C056EB11
2C056EB52
2C056EC11
2C056EC31
2C056EC33
2C056HA37
2C056HA38
2C056KC21
2C480CA01
2C480CA10
2C480CA18
2C480CA30
2C480CA31
2C480CB02
2C480EA08
2C480EB15
(57)【要約】
【課題】印字品質の低下の抑制及び印字効率の向上を実現しつつ、過電流要求が生じてキャリッジの駆動制御が困難となることを抑制する。
【解決手段】プリンタ1は、搬送機構20と、インクジェットヘッド31と、インクを貯留するインクタンク61と、インクジェットヘッド31及びインクタンク61を支持するキャリッジ70と、走査機構71と、残量検出部80と、制御部40とを有している。制御部40は、残量検出部80により検出されたインクタンク61内のインク残量が多いほど、パス動作における走査方向のキャリッジ70の走査停止位置が当該パス動作又はその次のパス動作における印字領域(第1印字領域100a又は第2印字領域100b)から走査方向(左右方向)に離れた位置となるように走査機構71を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
前記搬送方向と交差する走査方向に沿った印字開始位置から印字終了位置までの印字領域において前記記録媒体に液体を吐出して印字を行う印字ヘッドと、
液体を貯留する液体貯留部と、
前記印字ヘッド及び前記液体貯留部を支持するキャリッジと、
前記キャリッジを、前記走査方向に沿って走査開始位置から走査停止位置まで移動させるパス動作を実行する走査機構と、
前記液体貯留部内に貯留された液体の残量を検出する残量検出部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記残量検出部により検出された前記液体貯留部内の液体残量が多いほど、前記パス動作における前記走査方向の前記キャリッジの走査停止位置が当該パス動作又はその次のパス動作における前記印字領域から離れた位置となるように前記走査機構を制御することを特徴とする液体印字装置。
【請求項2】
前記制御部は、
任意のパス動作の次のパス動作における前記印字開始位置から、前記液体貯留部内の液体残量が多いほど大きくなる距離であって前記キャリッジが前記次のパス動作における前記印字開始位置にあるときに前記キャリッジを前記印字領域での動作速度とさせるために必要な加速距離だけ離れた第1停止位置と、
前記任意のパス動作における前記印字終了位置から、前記液体貯留部内の液体残量が多いほど大きくなる距離であって前記動作速度の前記キャリッジを停止させるために必要な減速距離だけ離れた第2停止位置と、を取得し、
前記第1停止位置と前記第2停止位置のうち前記次のパス動作における前記印字領域からより離れた方の位置が前記任意のパス動作における前記走査方向の前記キャリッジの走査停止位置となるように前記走査機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体印字装置。
【請求項3】
前記加速距離は、前記第1停止位置から前記次のパス動作における前記印字開始位置に至るまでの間に、前記印字ヘッドの姿勢を前記次のパス動作における前記印字領域での理想印字姿勢とさせるために必要な距離であることを特徴とする請求項2に記載の液体印字装置。
【請求項4】
前記加速距離は、最大許容電流を前記走査機構に供給して前記第1停止位置にある前記キャリッジを加速させたときに、前記印字開始位置において前記キャリッジを前記動作速度とするために必要な距離であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液体印字装置。
【請求項5】
前記減速距離は、最大許容電流を前記走査機構に供給して前記印字終了位置にある前記キャリッジを減速させたときに、前記第2停止位置において前記キャリッジを停止させるために必要な距離であることを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の液体印字装置。
【請求項6】
前記制御部は、
任意のパス動作の次のパス動作において前記印字ヘッドによる前記記録媒体への印字が行われない場合、前記任意のパス動作における前記キャリッジの走査停止位置が前記第2停止位置となるように前記走査機構を制御することを特徴とする請求項2~5の何れか1項に記載の液体印字装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記残量検出部により検出された前記液体貯留部内の液体残量と、少なくとも1つの閾値との比較に基づいて、前記キャリッジの前記走査停止位置を決定することを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の液体印字装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドの重量を参照してキャリッジの走査停止位置を決定する液体印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出して用紙に印字を行う印字ヘッド及びインクを貯留するインクタンク(液体貯留部)がキャリッジに搭載されたオンキャリッジ構成の液体印字装置が知られている。このようなオンキャリッジ構成の液体印字装置では、インクタンクに貯留されたインク残量によってキャリッジに搭載された印字ヘッド及びインクタンクの集合体の重量や重心位置が変化する。前記集合体の重量や重心位置が変わると、印字中のヘッド姿勢やキャリッジの加速に必要な電流量が変動してしまうため、適切にキャリッジを制御できないおそれがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、インクタンク内のインク残量に応じて、キャリッジを駆動するモータを制御してインクの着弾位置を一定とするインクジェット記録装置(液体印字装置)が開示されている。この構成によれば、インクタンク内のインク残量が減少した場合でも、駆動するモータで使用する駆動データをインク残量に応じた適切なものとすることができ、インクタンク内のインク残量に関らず、インクの着弾位置を一定として良好な画像を形成することができる。
【0004】
また、特許文献2に開示されたインクジェットプリンタ(液体印字装置)は、キャリア駆動モータにブレーキ電圧を印加し始める位置を、キャリア(キャリッジ)の停止位置の補正値に応じて補正するものである。これにより、インク残量の変動に伴うキャリアの停止位置の変動を少なくし、キャリアの停止位置の精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-309110号公報
【特許文献2】特開2006-289876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1及び2に開示された装置では、印字動作を行う際に停止中のキャリッジを加速させて印字ヘッドが印字開始位置に至るまでに、印字ヘッドが適切な姿勢に戻らないことがある。そうすると、キャリッジが印字開始位置から印字領域を定速で移動しているときにおいて、印字ヘッドから適切な位置にインクを吐出することができず、印字品質が低下してしまうおそれがある。
【0007】
また、前記集合体の重量が増加した場合、キャリッジの加速時や減速時に、装置が許容できないほど過度に大きな電流が必要になってしまうことがある。この場合、キャリッジの駆動制御を適切に行うことができない。これを回避するために、加速時や減速時のキャリッジの移動距離を長めに設定しておくことが考えられる。しかしながら、この場合、前記集合体の重量の大小にかかわらず、キャリッジの移動距離が長くなっているため、印字効率が低下する。
【0008】
本発明の目的は、印字品質の低下の抑制及び印字効率の向上を実現しつつ、過電流要求が生じてキャリッジの駆動制御が困難となることを抑制することができる液体印字装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液体印字装置は、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、前記搬送方向と交差する走査方向に沿った印字開始位置から印字終了位置までの印字領域において前記記録媒体に液体を吐出して印字を行う印字ヘッドと、液体を貯留する液体貯留部と、前記印字ヘッド及び前記液体貯留部を支持するキャリッジと、前記キャリッジを、前記走査方向に沿って走査開始位置から走査停止位置まで移動させるパス動作を実行する走査機構と、前記液体貯留部内に貯留された液体の残量を検出する残量検出部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記残量検出部により検出された前記液体貯留部内の液体残量が多いほど、前記パス動作における前記走査方向の前記キャリッジの走査停止位置が当該パス動作又はその次のパス動作における前記印字領域から離れた位置となるように前記走査機構を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体印字装置によれば、液体貯留部内の液体残量が多いほど、パス動作におけるキャリッジの走査停止位置を印字領域から離れた位置としている。このため、印字品質の低下の抑制及び印字効率の向上を実現しつつ、過電流要求が生じてキャリッジの駆動制御が困難となることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【
図2】
図1のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】パス動作におけるインクジェットヘッドの印字領域を示す図である。
【
図4】インクジェットヘッドが理想印字姿勢のときのキャリッジを示す前面図である。
【
図5】インクジェットヘッドが理想印字姿勢のときのキャリッジを示す上面図である。
【
図6】変形例に係るプリンタ1の、パス動作におけるインクジェットヘッドの印字領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係るプリンタ1(本発明の液体印字装置)について、
図1~
図5を参照しつつ、以下に説明する。なお、
図1に示す上下方向、左右方向及び前後方向を、プリンタ1の上下方向、左右方向及び前後方向とする。
【0013】
(プリンタ1の構成)
プリンタ1は、概ね直方体の筐体11を有する。筐体11の前面には、開口12が形成されている。筐体11の上面には、操作部13が設けられている(
図2参照)。操作部13は、各種設定のために操作されるボタンや、各種情報が表示される液晶ディスプレイなどによって構成されている。本実施形態において、操作部13は、各種設定のために操作されるボタンによって構成されている。操作部13は、ボタン及び液晶ディスプレイの双方の機能を有するタッチパネルによって構成されていてもよい。
【0014】
プリンタ1は、
図1に示すように、給紙トレイ15と、排紙トレイ16と、搬送機構20と、記録部30と、残量検出部80(
図2参照)と、制御部40とを含む。給紙トレイ15、排紙トレイ16、搬送機構20、残量検出部80及び制御部40は、筐体11内に収容されている。
【0015】
給紙トレイ15は、複数の用紙P(本発明の記録媒体)を積層状態で支持して収容することが可能なものである。給紙トレイ15は、開口12から前後方向に挿抜可能、すなわち、筐体11から着脱可能に構成されている。給紙トレイ15の後端部には、傾斜板15aが設けられている。傾斜板15aは、給紙トレイ15に載置される用紙Pが給紙ローラ50a(後述)によって給送されるときに、用紙Pを搬送路52(後述)に案内する。
【0016】
排紙トレイ16は、記録部30の後述するインクジェットヘッド31により画像が印刷された用紙Pを収容する。排紙トレイ16は、給紙トレイ15の前方側の上方に配置されており、給紙トレイ15の筐体11に対する挿抜とともに移動するようになっている。
【0017】
搬送機構20は、給送部50と、搬送路52と、搬送ローラ対53と、排紙ローラ対54とを有する。給送部50は、
図1に示すように、給紙トレイ15に載置される用紙Pを搬送路52へ給送する。搬送ローラ対53は、給送部50によって給紙された用紙Pを記録部30に搬送する。記録部30は、例えば、インクジェット記録方式の構成を有し、搬送ローラ対53によって搬送された用紙Pに画像を記録する。排紙ローラ対54は、記録部30によって記録された用紙Pを排紙トレイ16に排紙する。
【0018】
給送部50は、
図1に示すように、給紙トレイ15の上側に設けられている。給送部50は、給紙ローラ50aとアーム50bとを有する。給紙ローラ50aは、アーム50bの先端に回転可能に支持されている。アーム50bは、支軸50cに回動可能に支持され、バネなどにより付勢されて給紙ローラ50aが給紙トレイ15に接触するように下側へ回動されている。また、アーム50bは、給紙トレイ15を着脱する際に上方へ退避可能に構成されている。給紙ローラ50aは、給紙モータ91M(
図2参照)によって駆動されて回転し、給紙トレイ15内に積載された用紙Pが、搬送路52へ給送される。
【0019】
搬送路52は、筐体11内に構成されており、
図1に示すように、給紙トレイ15の後側の端部から上方且つプリンタ1の前側へ曲がっている。給紙トレイ15から給送された用紙Pは、搬送路52により下方から上方へUターンするように案内されて記録部30に至る。
【0020】
搬送ローラ対53は、下側に配置された搬送ローラ53aと上側に配置されたピンチローラ53bとを有する。搬送ローラ53aは、搬送モータ92M(
図2参照)によって駆動されて回転する。ピンチローラ53bは、搬送ローラ53aの回転に伴って連れ回る。搬送ローラ53aとピンチローラ53bとは、協働して用紙Pを上下方向から挟持し、用紙Pを記録部30へ搬送する。
【0021】
排紙ローラ対54は、下側に配置された排紙ローラ54aと、上側に配置された拍車ローラ54bとを有する。排紙ローラ54aは、排紙モータ93M(
図2参照)によって駆動されて回転する。拍車ローラ54bは、排紙ローラ54aの回転に伴って連れ回る。排紙ローラ54aと拍車ローラ54bとは、協働して用紙Pを上下方向から挟持し、用紙Pを排紙トレイ16に搬送する。
【0022】
なお、本実施形態において、用紙Pの搬送方向とは、給紙トレイ15から搬送機構20によって搬送される方向であって、
図1中の実線矢印方向である。具体的には、用紙Pの搬送方向は、給紙ローラ50aによって前方から後方に送られ、搬送路52によってUターンするように案内され、さらに、搬送ローラ対53及び排紙ローラ対54によって後方から前方に送られる方向である。
【0023】
記録部30は、
図1に示すように、インクジェットヘッド31(本発明の印字ヘッド)と、4つのインクタンク61(本発明の液体貯留部)と、キャリッジ70と、走査機構71と、プラテン17とを有する。キャリッジ70は、走査方向(左右方向であって、用紙Pの搬送方向と交差する方向)へ往復移動する。インクジェットヘッド31及びインクタンク61は、キャリッジ70に支持されている。つまり、本実施形態におけるプリンタ1は、インクタンク61及びインクジェットヘッド31がキャリッジ70に搭載された所謂オンキャリッジ型である。本実施形態におけるインクタンク61は、その全体がインクジェットヘッド31よりも上方に位置する。しかし、これに限らず、インクタンク61の一部がインクジェットヘッド31の上面よりも上方に位置し、残りの部分が当該上面よりも下方に位置していてもよい。
【0024】
4つのインクタンク61のそれぞれには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック(M、C、Y、B)のインクが貯留される。それぞれのインクタンク61は、インク注入口(不図示)を開閉するためのバルブ63を有する。バルブ63は、例えば、ソレノイドが駆動されることで弁が移動して開閉する2方向電磁バルブである。バルブ63が開状態のとき、インク注入口を通ってインクタンク61の内部にインクを注入することが可能となる。また、バルブ63が閉状態のとき、インク注入口を通ってインクタンク61の内部にインクを注入することが規制される。
【0025】
インクジェットヘッド31は、インクタンク61からのインクが供給される内部流路(不図示)を有する。また、インクジェットヘッド31は、その下面に形成された複数のノズル(不図示)からインクを吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズルは、前後方向であって用紙Pの搬送方向に沿ったノズル列を形成している。複数のノズルからは、インクが吐出される。
【0026】
プラテン17は、インクジェットヘッド31の下方に配設されており、搬送ローラ対53によって搬送される用紙Pを下方から支持する。プラテン17は、キャリッジ70の往復移動範囲のうち、用紙Pが通過する部分に配設されている。プラテン17の幅は、搬送可能な用紙Pの最大幅より十分に大きいので、搬送路52を搬送される用紙Pは常にプラテン17上を通過する。
【0027】
走査機構71は、キャリッジ70を走査方向(左右方向)に沿って走査開始位置から走査停止位置まで移動させるパス動作を実行する。なお、任意のパス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置は、任意のパス動作の次のパス動作におけるキャリッジ70の走査開始位置となる。任意のパス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置は、後述する制御部40によって決定される。本実施形態では、パス動作において、キャリッジ70は走査方向に沿って往復移動する。走査機構71は、
図1に示すように、一対のガイドレール72、及び、ベルト伝達機構73(
図4参照)を含む。一対のガイドレール72は、前後方向に離隔して配置され、左右方向に互いに平行に延在している。キャリッジ70は、これら一対のガイドレール72を跨ぐように配置されている。キャリッジ70は、ベルト伝達機構73を介してキャリッジモータ94M(
図2参照)に接続されており、キャリッジモータ94Mを駆動させると、ベルト伝達機構73が駆動される。これにより、キャリッジ70が一対のガイドレール72に沿って走査方向(左右方向)に移動し、インクジェットヘッド31を左右方向に沿って移動させる。
【0028】
インクジェットヘッド31は、記録データに基づく制御部40の制御により、走査方向(左右方向)に沿った印字開始位置から印字終了位置までの印字領域(例えば、
図3の100a、100bを参照)において、複数のノズルからインクを吐出して用紙Pに印字を行う。つまり、キャリッジ70が左右方向へ往復移動することにより、インクジェットヘッド31が用紙Pに対して走査されると共に、ノズルからインクを吐出することで、プラテン17上を搬送される用紙Pの印字領域に画像が記録される。
【0029】
印字領域とは、1回のパス動作におけるインクジェットヘッド31の走査方向に沿った移動領域のうち、用紙Pに印字が行われる領域のことである。印字開始位置とは、印字領域においてインクジェットヘッド31による用紙Pへの印字が開始する位置のことである。印字終了位置とは、印字領域においてインクジェットヘッド31による用紙Pへの印字が終了する位置のことである。1回のパス動作において、走査機構71は、走査開始位置から印字開始位置までキャリッジ70を加速させる。続いて、走査機構71は、印字領域において、キャリッジ70を定速で移動させる。そして、走査機構71は、印字終了位置から走査停止位置までキャリッジ70を減速させる。本実施形態では、制御部40は、このようなパス動作を走査機構71に複数回実行させる。
【0030】
上述したように、本実施形態では、1回のパス動作において、キャリッジ70は走査方向に沿って往復移動する。すなわち、本実施形態では、任意のパス動作における印字開始位置と印字終了位置とは同じ位置である。なお、本実施形態において、1回のパス動作でインクジェットヘッド31からのインクの吐出が一時的に中断する位置は印字終了位置に含まれない。
【0031】
なお、プリンタ1内には、走査方向に間隔を空けて配列された多数の透光部(スリット)を有するリニアエンコーダ(不図示)が設けられている。一方、キャリッジ70には、発光素子と受光素子とを有する透過型の位置検出センサ(不図示)が設けられている。そして、プリンタ1は、キャリッジ70の移動中に位置検出センサが検出したリニアエンコーダの透光部の計数値から、キャリッジ70の走査方向に関する現在位置を認識できるようになっており、キャリッジモータ94Mの回転駆動が制御される。
【0032】
残量検出部80は、インクタンク61の内部に貯留されたインクの残量を検出するものである。残量検出部80は、それぞれのインクタンク61の内部に貯留されたインクの残量を検出する。本実施形態において、残量検出部80は、それぞれのインクタンク61の内部において、揺動可能なアームの先端に支持された浮き部材(不図示)と、浮き部材の位置を検知可能な光学センサ(不図示)とを含むセンサーアーム方式である。浮き部材は、インクタンク61の内部に貯留されたインクよりも比重が小さい部材であって、光学センサによって浮き部材の位置を検出することで、インクタンク61の内部のインクの残量を検出することが可能である。残量検出部80によって検出されたインクタンク61の内部のインクの残量の情報を含む信号は、制御部40に送信される。なお、残量検出部80は、インクタンク61の内部のインク残量を常時検出してもよく、インクを補給する際のインク補給指示の信号が制御部40に入力されたときのみ検出してもよい。
【0033】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)131、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)135、及び、メモリ140を含む。これらCPU131、ASIC135、メモリ140は内部バス137によって接続される。メモリ140は、ROM(Read Only Memory)132、RAM(Random Access Memory)133、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)134を含む。ROM132には、プリンタ1の各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。CPU131は、プログラムをRAM133やEEPROM134を使いつつ実行する。
【0034】
ASIC135は、インクジェットヘッド31、バルブ63、給紙モータ91M、搬送モータ92M、排紙モータ93M、キャリッジモータ94M等に制御信号を出力し、これらの動作を制御する。例えば、制御部40は、外部機器(例えばPCやスマートフォン)から送信された記録データに基づいて、インクジェットヘッド31、給紙モータ91M、搬送モータ92M、排紙モータ93M、キャリッジモータ94M等を制御して、搬送処理と記録処理とを交互に実行し、用紙Pに画像等を記録させる。また、ASIC135は、操作部13から送信される信号、残量検出部80から送信される信号などを受信可能である。
【0035】
(走査機構71によるキャリッジ70の駆動制御)
続いて、
図3~
図5を参照しつつ、プリンタ1において、走査機構71によってキャリッジ70の駆動制御が行われる際の、制御部40で行われる制御の一例について説明する。以下の説明において、
図3に示すように、任意のパス動作における印字領域を第1印字領域100aとし、任意のパス動作の次のパス動作における印字領域を第2印字領域100bと定義する。
【0036】
まず、制御部40は、走査機構71が任意のパス動作を実行する際に、次のパス動作における第2印字領域100bの印字開始位置S2から、加速距離rxだけ離れた第1停止位置L1を取得する。また、制御部40は、走査機構71が任意のパス動作を実行する際に、任意のパス動作における第1印字領域100aの印字終了位置E1から、減速距離ryだけ離れた第2停止位置L2を取得する。
【0037】
加速距離rxは、残量検出部80によって検出されたインクタンク61の内部のインク残量が多いほど大きくなる距離である。また、加速距離rxは、第1停止位置L1で停止中のキャリッジ70が加速を開始して第2印字領域100bの印字開始位置S2にあるときに、キャリッジ70を第2印字領域100bでの動作速度とさせるために必要な距離である。動作速度は、例えば、予め設定される一定速度である。
【0038】
また、加速距離rxは、キャリッジ70が第1停止位置L1から印字開始位置S2に至るまでの間に、インクジェットヘッド31の姿勢を第2印字領域100bでの理想印字姿勢とさせるために必要な距離である。理想印字姿勢とは、キャリッジ70が第2印字領域100bを上述する動作速度で移動しているときにおいて、インクジェットヘッド31から用紙Pの適切な位置にインクを吐出することができる姿勢である。
【0039】
以下、理想印字姿勢について、詳しく説明する。
図4に示すように、インクジェットヘッド31及びインクタンク61が搭載されたキャリッジ70は、バネ部材74を介してベルト伝達機構73に支持されている。インクジェットヘッド31を含むキャリッジ70の姿勢が傾いた場合、インクジェットヘッド31を理想印字姿勢に戻そうとする方向の力が、バネ部材74からキャリッジ70に働く。一方で、キャリッジ70の走査方向への加速時には、インクジェットヘッド31を理想印字姿勢から傾かせようとする力がキャリッジ70に働く。キャリッジ70の加速によって働く力は、加速度が大きいほど大きくなる。キャリッジ70の加速によって働く力が大きいと、キャリッジ70が、前後方向から見たときに走査方向に傾いたり(
図4の実線矢印参照)、上下方向から見たときに前後方向に傾いたりする(
図5の実線矢印参照)。この場合、インクジェットヘッド31を理想印字姿勢とすることができず、印字品質が低下するおそれがある。
【0040】
例えば、第1停止位置L1で停止中のキャリッジ70を、第2印字領域100bでの動作速度させるために短い距離で急激に加速させた場合、インクジェットヘッド31の傾きは大きくなる。また、動作速度に達したキャリッジ70について、印字開始位置S2に至るまでの間に定速で移動させる距離の長さが不十分である場合、キャリッジ70が印字開始位置S2に至るまでの間にバネ部材74から働く力によってインクジェットヘッド31を理想印字姿勢とすることができない。そこで、バネ部材74から働く力とキャリッジ70加速時に作用する力の大きさを考慮して、キャリッジ70が第1停止位置L1から印字開始位置S2に至るまでの間に、急激な加速とならず、且つ、インクジェットヘッド31の姿勢を理想印字姿勢とさせるために必要な定速での移動距離を十分に確保できる距離を加速距離rxとしている。なお、キャリッジ70の加速によって働く力は、インクタンク61内のインク残量が多いほど、すなわち、キャリッジ70の重量が大きいほど大きくなる。また、それぞれのインクタンク61内のインク残量によって決まるキャリッジ70の重心位置が偏っているほど、キャリッジ70は傾きやすくなる。したがって、加速距離rxは、インクタンク61内のインク残量によって決まるキャリッジ70の重量及び重心位置を考慮して設定されることが好ましい。
【0041】
また、加速距離rxは、最大許容電流を走査機構71に供給して第1停止位置L1にあるキャリッジ70を加速させたときに、印字開始位置S2においてキャリッジ70を第2印字領域100bでの動作速度とするために必要な距離である。最大許容電流とは、走査機構71に供給可能な最大電流であり、例えば、予め設定される。
【0042】
減速距離ryは、残量検出部80によって検出されたインクタンク61の内部のインク残量が多いほど大きくなる距離である。また、減速距離ryは、第1印字領域100aでの動作速度のキャリッジ70を停止させるために必要な距離である。さらに、減速距離ryは、最大許容電流を走査機構71に供給して第1印字領域100aの印字終了位置E1にあるキャリッジ70を減速させたときに、第2停止位置L2においてキャリッジ70を停止させるために必要な距離である。
【0043】
なお、本実施形態において、加速距離rxは、上述した条件を満たす範囲内において最小値であることが好ましい。また、減速距離ryは、上述した条件を満たす範囲内において最小値であることが好ましい。すなわち、キャリッジ70の加速及び減速を適切に行うことのできる範囲内において、第1停止位置L1は印字開始位置S2にできるだけ近い位置であり、第2停止位置L2は印字終了位置E1にできるだけ近い位置であることが好ましい。これにより、キャリッジ70の移動距離を必要以上に長くせずに済むため、印字効率を向上させることができる。
【0044】
続いて、制御部40は、第1停止位置L1と第2停止位置L2のうち、次のパス動作における第2印字領域100bから左右方向に離れた方の位置が、任意のパス動作における走査方向(左右方向)のキャリッジ70の走査停止位置となるように、走査機構71を制御する。例えば、
図3に示すように、第2停止位置L2よりも第1停止位置L1の方が第2印字領域100bから離れている場合、第1印字領域100aに印字を行う任意のパス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置は、第1停止位置L1となる。
【0045】
また、制御部40は、任意のパス動作の次のパス動作において、インクジェットヘッド31による用紙Pへの印字が行われない場合、任意のパス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置は第2停止位置L2とする。この場合、制御部40は、第1停止位置L1と第2停止位置のうち、次のパス動作における第2印字領域100bから離れている方の位置がいずれであるかの比較は行わない。
【0046】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ1は、搬送機構20と、インクジェットヘッド31と、インクを貯留するインクタンク61と、インクジェットヘッド31及びインクタンク61を支持するキャリッジ70と、走査機構71と、残量検出部80と、制御部40とを有している。制御部40は、残量検出部80により検出されたインクタンク61内のインク残量が多いほど、パス動作における走査方向のキャリッジ70の走査停止位置が当該パス動作又はその次のパス動作における印字領域から走査方向(左右方向)に離れた位置となるように走査機構71を制御する。本実施形態によれば、インクタンク61内のインク残量が多いほど、パス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置を印字領域から離れた位置としている。このため、印字品質の低下の抑制及び印字効率の向上を実現しつつ、過電流要求が生じてキャリッジ70の駆動制御が困難となることを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、制御部40は、任意のパス動作の次のパス動作における印字開始位置S2から加速距離rxだけ離れた第1停止位置L1と、任意のパス動作における印字終了位置E1から減速距離ryだけ離れた第2停止位置L2と、を取得する。加速距離rxは、インクタンク61内のインク残量が多いほど大きくなる距離であって、キャリッジ70が次のパス動作における印字開始位置S2にあるときにキャリッジ70を第2印字領域100bでの動作速度とさせるために必要な距離である。また、減速距離ryは、インクタンク61内のインク残量が多いほど大きくなる距離であって、第1印字領域100aでの動作速度のキャリッジ70を停止させるために必要な距離である。そして、制御部40は、第1停止位置L1と第2停止位置L2のうち次のパス動作における第2印字領域100bからより離れた方の位置が任意のパス動作における走査方向のキャリッジ70の走査停止位置となるように走査機構71を制御する。
【0048】
上記構成によれば、第1停止位置L1と第2停止位置L2のうち、次のパス動作における印字領域からより離れた方の位置を、任意のパス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置とすることができる。このため、任意のパス動作及び次のパス動作において、インクタンク61内のインク残量が多いほど大きくなるキャリッジ70の加速距離rx及び減速距離ryの両方を確実に確保することができる。これにより、印字品質の低下をさらに抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、加速距離rxは、第1停止位置L1から次のパス動作における印字開始位置S2に至るまでの間に、インクジェットヘッド31の姿勢を次のパス動作における第2印字領域100bでの理想印字姿勢とさせるために必要な距離である。本実施形態によれば、任意のパス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置を、次のパス動作における印字開始位置S2においてインクジェットヘッド31の姿勢が理想印字姿勢となるような位置とすることができる。これにより、キャリッジ70が印字開始位置S2から第2印字領域100bを移動しているときにおいて、インクジェットヘッド31から適切な位置にインクを吐出することができ、印字品質の低下をより確実に抑制することができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、加速距離rxは、最大許容電流を走査機構71に供給して第1停止位置L1にあるキャリッジ70を加速させたときに、印字開始位置S2においてキャリッジ70を動作速度とするために必要な距離である。本実施形態によれば、印字開始位置S2でキャリッジ70が動作速度となるようにキャリッジを加速させる際、走査機構71に供給する電流が最大許容電流を超えないようにすることができる。このため、過電流要求が生じてキャリッジ70の駆動制御が困難となることをさらに抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、減速距離ryは、最大許容電流を走査機構71に供給して印字終了位置E1にあるキャリッジ70を減速させたときに、第2停止位置L2においてキャリッジ70を停止させるために必要な距離である。本実施形態によれば、キャリッジ70を停止させるために印字終了位置E1からキャリッジ70を減速させる際、走査機構71に供給する電流が最大許容電流を超えないようにすることができる。このため、過電流要求が生じてキャリッジ70の駆動制御が困難となることをさらに抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、制御部40は、任意のパス動作の次のパス動作においてインクジェットヘッド31による用紙Pへの印字が行われない場合、任意のパス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置が第2停止位置L2となるように走査機構71を制御する。次のパス動作でインクジェットヘッド31による印字が行われない場合、キャリッジ70の走査停止位置を決定する際に、次のパス動作におけるキャリッジ70の加速距離rxを考慮する必要がない。本実施形態によれば、次のパス動作でインクジェットヘッド31による印字が行われない場合に、キャリッジ70の走査停止位置を、インクタンク61内のインク残量によって決まる減速距離ryのみを考慮して、決定することができる。このため、キャリッジ70の駆動制御が容易である。
【0053】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許発明の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0054】
本発明において、制御部40は、残量検出部80により検出されたインクタンク61内のインク残量と、少なくとも1つの閾値との比較に基づいて、キャリッジ70の走査停止位置を決定するものでもよい。所定の閾値、インクタンク61内のインク残量が所定の閾値以上のときの走査停止位置、及び、所定の閾値未満のときの走査停止位置は、予め設定される。例えば、
図6に示すように、制御部40は、任意のパス動作においてインクタンク61内のインク残量が所定の閾値以上のとき、キャリッジ70の走査停止位置が予め設定された走査停止位置L11となるように走査機構71を制御する。また、制御部40は、
図6に示すように、任意のパス動作においてインクタンク61内のインク残量が所定の閾値未満のとき、キャリッジ70の走査停止位置が予め設定された走査停止位置L12となるように走査機構71を制御する。
図6に示すように、走査停止位置L11は、走査停止位置L12よりも次のパス動作における第2印字領域100b又は任意のパス動作における第1印字領域100aから離れた位置である。所定の閾値は、1つでもよく、複数でもよい。上記構成によれば、インクタンク61内のインク残量と閾値との比較によって容易に走査停止位置を決定することができる。
【0055】
本発明において、制御部40は、任意のパス動作の次のパス動作においてインクジェットヘッド31による用紙Pへの印字が行われない場合でも、任意のパス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置が第2停止位置L2以外の停止位置となるように走査機構71を制御してもよい。例えば、任意のパス動作の次の動作が、インク補充動作やインク廃棄動作である場合、当該動作が行われる位置を考慮して任意のパス動作におけるキャリッジ70の走査停止位置を決定してもよい。
【0056】
本発明において、液体貯留部は、カートリッジでもよい。また、本発明に係る液体印字装置は、プリンタ1の他に、複合機やコピー機などにも適用することもできる。
【0057】
上記実施形態では、残量検出部80は、センサーアーム方式である。しかしながら、残量検出部80は、プリズム方式でもよい。プリズム方式の残量検出部80である場合、インクタンク61は樹脂製である。そして、残量検出部80は、インクタンク61の外部から内部に向かって赤外線を照射する赤外線照射部と、樹脂製のインクタンク61に反射する赤外線を検出する赤外線受光部とを有する。インクタンク61内の赤外線が照射される部分にインクがある場合、赤外線照射部から照射された赤外線は、樹脂とインクとの界面を通って直進する。このとき、赤外線受光部は、赤外線を検出しない。一方で、インクタンク61内の赤外線が照射される部分にインクがない場合、赤外線照射部から照射された赤外線は、樹脂と空気との界面で全反射して、赤外線受光部に検出される。赤外線照射部及び赤外線受光部を、インクタンク61に対する任意の位置に一つ又は複数配置することによって、インクタンク61内のインクの残量を検出することができる。
【0058】
また、残量検出部80は、ソフトカウント式のものでもよい。この場合、残量検出部80は、インクジェットヘッド31のノズルから吐出されたインク量に関する値をカウントするカウント部と、カウント部によってカウントされたインク量に関する値に基づいてインクタンク61内に貯留されたインクの残量を算出する算出部とを有する。例えば、算出部は、プリンタ1の出荷直後又はインクタンク61へのインク補給直後におけるインクタンク61内のインク残量から、ノズルから吐出されたインク量を差し引いた値を、インクタンク61内のインク残量として算出する。算出された値は、常にEEPROM134に上書き保存される。インクタンク61へのインク補給直後におけるインクタンク61内のインク残量は、例えば、インク補給前のインクタンク61内のインク残量の値に、補充されたインク量の値を足して算出される。
【0059】
本発明において、任意のパス動作と、任意のパス動作の次のパス動作とは、異なる用紙Pに対して行われてもよい。また、本発明において、1回のパス動作において、キャリッジ70は走査方向に沿って片道移動するものでもよい。この場合、任意のパス動作における印字領域の走査方向における一方側が印字開始位置となり、他方側が印字終了位置となる。
【符号の説明】
【0060】
1 プリンタ
20 搬送機構
31 インクジェットヘッド(印字ヘッド)
40 制御部
61 インクタンク(液体貯留部)
70 キャリッジ
71 走査機構
80 残量検出部
100a 第1印字領域(印字領域)
100b 第2印字領域(印字領域)
E1 印字終了位置
L1 第1停止位置
L2 第2停止位置
rx 加速距離
ry 減速距離
S2 印字開始位置
P 用紙