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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182357
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】天井パネル
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B62D25/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089872
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】丹下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】杉本 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】笹澤 和也
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB59
3D203CA53
3D203CA65
3D203CB30
3D203DA64
(57)【要約】
【課題】ルーフパネルと天井パネルの間を空気が流れるのに適した天井パネルの開発が求められている。
【解決手段】天井パネルは、車両のルーフパネルに下方から重ねられ、前記ルーフパネルとの間に空気の流路を形成する天井パネルであって、車両の前後方向に延びると共に、少なくとも上部が弾性変形可能な第1発泡樹脂で形成されている突条を上面に備える天井パネルである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルに下方から重ねられ、前記ルーフパネルとの間に空気の流路を形成する天井パネルであって、
車両の前後方向に延びると共に、少なくとも上部が弾性変形可能な第1発泡樹脂で形成されている突条を上面に備える天井パネル。
【請求項2】
前記突条には、前記ルーフパネルの下面の横梁に押されて圧縮変形する被圧縮部が備えられている、請求項1に記載の天井パネル。
【請求項3】
前記突条の前記被圧縮部の前後に、前記突条を横切るスリット又は切り込みが形成されている、請求項2に記載の天井パネル。
【請求項4】
前記突条は、前記第1発泡樹脂で形成される上部の第1発泡樹脂層の下に、該第1発泡樹脂より高硬度な第2発泡樹脂で形成される第2発泡樹脂層を有する積層構造をなしている、請求項1から3の何れか1の請求項に記載の天井パネル。
【請求項5】
前記突条の前記第1発泡樹脂で形成されている部分の両側部は、連続気泡構造をなしている、請求項1から4の何れか1の請求項に記載の天井パネル。
【請求項6】
前記第1発泡樹脂のJIS K6400-2 D法に準拠した硬さが、250N以下である、請求項1から5の何れか1の請求項に記載の天井パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のルーフパネルに下方から重ねられる天井パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
ルーフパネルと天井パネルの間に空気を流す技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-142089(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ルーフパネルと天井パネルの間を空気が流れるのに適した天井パネルの開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた発明の第1態様は、車両のルーフパネルに下方から重ねられ、前記ルーフパネルとの間に空気の流路を形成する天井パネルであって、車両の前後方向に延びると共に、少なくとも上部が弾性変形可能な第1発泡樹脂で形成されている突条を上面に備える天井パネルである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】車両に取り付けられてルーフパネルとの間に空気の流路を形成する天井パネルの側面図
図2】天井パネルの背断面図
図3】車両のルーフ構造の分解斜視図
図4】天井パネルの平面図
図5】(A)圧縮される前の突条の被圧縮部周辺の側断面図、(B)天井パネルが車両に固定されたときに横梁に圧縮された被圧縮部の側断面図
図6】他の実施形態の天井パネルの突条の被圧縮部周辺の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態の天井パネル10は、車両90のルーフパネル91に取り付けられる。図2に示すように、天井パネル10は、ルーフパネル91に下方から重ねられる内装材であり、車両90の車室の天井を構成する。図3に示すように、天井パネル10とルーフパネル91の間には、リインフォースメント80が配置される。リインフォースメント80は、ルーフパネル91に宛がわれて固定され、ルーフパネル91を補強する。
【0008】
なお、例えば、リインフォースメント80には、ルーフパネル91の側辺部に重ねられる1対のサイドレールリインフォースメント80Sが設けられると共に、それらサイドレールリインフォースメント80Sに差し渡されて車幅方向(左右方向)に延びる複数の横梁81が設けられている。横梁81は、ルーフパネル91の下面に宛がわれる(図2参照)。なお、図3に示すように、サイドレールリインフォースメント80Sの前端と後端は、それぞれAピラーリインフォースメント80A、Cピラーリインフォースメント80Cと連絡されると共に、サイドレールリインフォースメント80Sの途中位置からは、Bピラーリインフォースメント80Bが下側に延びている。
【0009】
図2に示すように、ルーフパネル91と天井パネル10との間には、空気の流路Rが形成されている。流路Rは、ルーフパネル91と天井パネル10の間を、車両90の前後方向に空気が通過可能に構成される(図4参照)。
【0010】
図3及び図4に示すように、本実施形態の例では、流路Rへは、送給ダクト30により前方から空気が送給される。送給ダクト30は、車両90の例えば前部に設けられる空調装置36(図1参照)からの空気を送給する。空調装置36は、車両90外の空気を取り込んで送給ダクト30に送給する。なお、空調装置36を設けずに、車両90外から取り込んだ空気が送給ダクト30に送給されてもよい。また、空調装置36により、車両90内の空気が送給ダクト30に送給されてもよい。
【0011】
流路Rの後端部(即ち、天井パネル10の後端部)は、例えば、排出ダクト37(図1参照)と連絡されている。流路Rを前側から後側に通過した空気は、排出ダクト37により、例えば、車両90外に排出される。
【0012】
このように、ルーフパネル91と天井パネル10との間に空気を流すことで、ルーフパネル91と車室との間の断熱性の向上を図ることが可能となる。例えば、夏場の直射日光によるルーフパネル91の熱を、車室側に伝え難くすることが可能となる。
【0013】
なお、図1及び図3に示すように、本実施形態の例では、送給ダクト30は、車両90内で車両90のAピラーに沿って配置される。また、本実施形態の例では、送給ダクト30は、車両90の左右に1対設けられる。具体的には、送給ダクト30は、空調装置36(図1参照)から後側に延びて、Aピラーに沿って天井パネル10の前端部の上方まで延びる(図3参照)。そして、送給ダクト30は、屈曲部33で屈曲して、天井パネル10の前端部のうち車幅方向の中央部の上方まで延び、その末端に設けられた末端吹出口31から、流路Rに向かって後側に空気を吹き出すようになっている。なお、例えば、図4に示すように、送給ダクト30のうち屈曲部33と末端吹出口31との間にも流路Rに向かって後側に空気を吹き出す途中吹出口32が設けられていてもよい。
【0014】
図2及び図3に示すように、天井パネル10の上面には、突条20が備えられている。突条20は、前後方向に延びている。本実施形態の例では、突条20は、ルーフパネル91と当接する突出高さになっている。そして、突条20により、流路Rが車両90の車幅方向に仕切られ、これにより、空気が流れる複数の区画流路R1が形成されている。突条20と区画流路R1は、上方から見ると、前後方向にストレート状に延びている(図4参照)。なお、詳細には、突条20の上端部は、ルーフパネル91か、又は、ルーフパネル91の下面のリインフォースメント80(例えば横梁81)に当接する。また、送給ダクト30における末端吹出口31及び途中吹出口32は、各区画流路R1に対応して設けられることが好ましい。
【0015】
図2及び図4に示すように、本実施形態の例では、突条20は、車幅方向に間隔をあけて複数設けられている。これら複数の突条20は、例えば、上方から見て互いに略平行な直線状になっている。これら複数の突条20は、例えば、略等間隔に配置されてもよい。なお、突条20は、1つだけ設けられていてもよい。
【0016】
図2に示すように、本実施形態の例では、突条20は、車室の天井面を構成するパネル本体11の上面に固定され、パネル本体11から突出している。パネル本体11は、例えば、シート材をプレス成形して得られる。なお、パネル本体11は、例えば、平面視略長方形状をなし(図4参照)、ルーフパネル91の形状に対応させて中央部が上側に緩やかに膨出する形状になっている(図3参照)。突条20は、本実施形態の例では、パネル本体11に接着されている。
【0017】
突条20は、少なくともその上部が弾性変形可能な発泡樹脂(以下、第1発泡樹脂という。)で形成されている。本実施形態では、突条20は、上下方向に複数の層が積層されている積層構造をなしていて、最上層が、第1発泡樹脂で形成される第1発泡樹脂層21になっている。第1発泡樹脂層21の下には、第1発泡樹脂よりも硬度が高い第2発泡樹脂で形成される第2発泡樹脂層22が設けられている。具体的には、本実施形態では、突条20は、第1発泡樹脂層21と第2発泡樹脂層22との2層構造になっている。従って、突条20の全体が弾性変形可能となっている。
【0018】
本実施形態の例では、第1発泡樹脂は、軟質発泡樹脂である。また、例えば、突条20のうち第1発泡樹脂で形成されている第1発泡樹脂層21の両方の側部21S(図2に示す流路Rに臨む部分)は、少なくとも連続気泡構造をなしている。これにより、流路R内の音を吸音することが可能となる。なお、第1発泡樹脂層21が全体的に連続気泡構造をなしていてもよい。第1発泡樹脂としては、例えば、軟質発泡ポリウレタンが挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、第1発泡樹脂層21を、独立気泡構造とすることもできる。
【0019】
本実施形態の例では、第2発泡樹脂は、硬質発泡樹脂である。第2発泡樹脂としては、例えば、発泡ポリプロピレンや、発泡ポリエチレン、硬質発泡ポリウレタン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、第2発泡樹脂層22は、独立気泡構造をなしていてもよいし、連続気泡構造をなしていてもよい。
【0020】
なお、発泡樹脂の硬度は、例えば、JIS K6400-2 6.7に規定されたD法で測定することができる。第1発泡樹脂のJIS K6400-2 D法に準拠した硬さは、250N以下であることが好ましい。第1発泡樹脂をこのような硬さとすれば、突条20を、ルーフパネル91側の凹凸に追従させ易くすることが可能となる。
【0021】
図2に示すように、本実施形態の例では、突条20は、断面が四角形状(例えば長方形状)になった角棒状をなしている。突条20は、シート材(例えば、積層構造のシート材)を略平行に細切りして形成してもよい。
【0022】
ここで、図2に示すように、リインフォースメント80がルーフパネル91の下側に張り出すので、突条20では、リインフォースメント80と当接する部分が特に圧縮される。本実施形態の例では、天井パネル10がルーフパネル91に取り付けられると、突条20は、リインフォースメント80のうち横梁81に当接する。図5(A)及び図5(B)に示すように、突条20が横梁81に当接すると、突条20の長手方向の一部に設けられた被圧縮部26が、横梁81に上側から押されて圧縮変形する。この被圧縮部26は、突条20のうち横梁81に対応した位置にある部分であり、本実施形態の例では、複数設けられる横梁81に対応して、突条20の長手方向(前後方向)の複数箇所に設けられている。
【0023】
なお、第1発泡樹脂層21の下端(第1発泡樹脂層21と第2発泡樹脂層22の境界)は、横梁81の下面よりも下側に配置されることが好ましい。これにより、第2発泡樹脂層22が変形し難いものであっても、第1発泡樹脂層21の変形により突条20を横梁81の上下方向の厚さ分、圧縮させることが可能となる。
【0024】
図5(A)に示すように、突条20のうち被圧縮部26の前後には、突条20を横切る切り込み27が形成されている。切り込み27の深さは、突条20の上下方向の途中位置までの深さとなっていてもよいし、突条20の下端までの深さとなっていてもよい(即ち、切り込み27が突条20を前後に分断していてもよい)。本実施形態では、切り込み27の深さは、第1発泡樹脂層21と第2発泡樹脂層22の境界部分までの深さとなっていて、第1発泡樹脂層21を分断している。なお、例えば、切り込み27の深さを、第1発泡樹脂層21の途中位置までの深さとすることもできるし、第2発泡樹脂層22の途中位置までの深さとすることもできる。
【0025】
本実施形態の例では、被圧縮部26を前後に挟む1対の切り込み27の間隔は、横梁81の前後方向の幅と同じか又はそれより大きくなっている。図5(B)に示すように、天井パネル10がルーフパネル91に取り付けられて横梁81により突条20が圧縮されるときには、1対の切り込み27が形成されていることで、突条20のうち1対の切り込み27に挟まれた部分を、局所的に圧縮させ易くすることが可能となる。なお、本実施形態の例では、上記1対の切り込み27の間の部分全体が、横梁81に圧縮される被圧縮部26になっている。
【0026】
上述のように、天井パネル10がルーフパネル91に固定され、車両90の空調装置36が作動すると、送給ダクト30を介して空気が流路Rにまで送給される。図3及び図4に示すように、本実施形態の例では、突条20が複数設けられ、それら突条20に仕切られた流路Rの区画流路R1に、送給ダクト30の末端吹出口31や途中吹出口32から空気が送給される。そして、この空気は、流路Rを前側から後側に通過し、排出ダクト37へと流出する。
【0027】
本実施形態の天井パネル10では、前後方向に延びる突条20により、ルーフパネル91と天井パネル10の間に流入した空気の整流を図ることが可能となる。そして、流路R内の空気を整流することで、流路R内の空気を前後方向に流れ易くすることが可能となる。このように、天井パネル10は、ルーフパネル91と天井パネル10の間を空気が流れるのに適した構成を有している。さらに、本実施形態では、突条20により流路Rが車幅方向に仕切られ、前後方向に延びる区画流路R1が形成されるので、前側から後側へ空気をより流し易くすることが可能となる。
【0028】
このように、流路Rを空気が流れ易くなって空気が滞留し難くなることで、流路Rの空気が、空調装置36からの新たな空気にスムーズに入れ替わるため、ルーフパネル91と車室との断熱性の向上を図ることが可能となる。例えば、夏場においては、炎天下で熱くなったルーフパネル91の熱による車室の温度の上昇を低減可能となる。また、例えば、冬場においては、外気による車室の温度の低下を低減可能となる。これにより、車両90の空調装置の電力消費量を、全体として低減することが可能となり、車両90の燃費や電費を良くすることが可能となる。なお、例えば、車両90が電気自動車である場合等には、充電中に流路Rに空調装置36から空気を流しておいてもよい。このようにすれば、夏場において、充電中に車室の温度上昇を抑えておくことが可能となり、走行時の空調装置等による電力消費を低減することが可能となる。また、冬場においては、ルーフパネル91上に降り積もる雪を融かすことが可能となり、雪下ろしの手間を省くことが可能となる。しかも、流路Rに空調装置36からの空気を流すことで、走行中にもルーフパネル91上に雪を積もり難くすることが可能となり、空気抵抗の悪化を抑えて走行距離を延ばすことが可能となる。
【0029】
本実施形態の天井パネル10では、突条20の少なくとも上部が弾性変形可能になっている。従って、突条20の高さを、ルーフパネル91とパネル本体11との隙間よりも大きくしておけば、突条20の上部を圧縮変形させることで、弾発力により突条20の上端をルーフパネルに密着させた状態にすることができる。これにより、空気の流路Rを車幅方向に仕切った状態を維持することができる。また、ルーフパネル91と天井パネル10との衝突が繰り返されて騒音が発生することも抑制可能となる。このように、本実施形態の天井パネル10によれば、突条20の高さを、ルーフパネル91とパネル本体11との隙間と丁度同じにしなくても、突条20の上部をルーフパネル91の形状に追従させて、突条20をルーフパネル91に密着させることが可能となる。
【0030】
本実施形態では、突条20に、横梁81に押されて圧縮変形する被圧縮部26が設けられているので、突条20と横梁81が干渉して天井パネル10が取り付け難くなることを防ぐことが可能となる。また、突条20が弾性変形可能となっていることで、リインフォースメント80等によるルーフパネル91側の凹凸に突条20を追従させることが可能となる。しかも、突条20の上部が、発泡樹脂、特に軟質発泡樹脂で形成されることにより、突条20をルーフパネル91側の凹凸に、より追従させ易くすることが可能となる。このように、突条20がルーフパネル91側の凹凸に追従し易くなることで、突条20をルーフパネル91に密着させて流路Rを突条20で仕切ることを容易にすることが可能となる。また、突条20が、ルーフパネル91とリインフォースメント80に前後方向で全体的に密着することで、ルーフパネル91の走行時の振動による騒音や、雨粒がルーフパネル91に衝突して発生する騒音等を、低減することが可能となる。また、突条20の第1発泡樹脂層21の両側部21Sが、連続気泡構造をなしているので、流路R内の音を吸音することが可能となる。
【0031】
本実施形態では、突条20を横切る切り込み27が被圧縮部26の前後に形成されているので、突条20を圧縮し易くすることが可能となる。また、被圧縮部26を前後に挟む1対の切り込み27の間隔を、横梁81の前後方向の幅に近づくように狭めることで、突条20をより局所的に圧縮し易くすることが可能となる。これにより、突条20のうち横梁81に圧縮される部分が前後方向に広がることを抑制可能となる。その結果、突条20とルーフパネル91との間の隙間が大きくなることを抑制可能となり、区画流路R1同士の間で空気が流通して乱流や滞留が生じることを抑制可能となる。
【0032】
本実施形態では、突条20のうち第1発泡樹脂層21の下に、第1発泡樹脂よりも高硬度な第2発泡樹脂で形成される第2発泡樹脂層22を有しているので、天井パネル10の強度をアップすることが可能となる。これにより、天井パネル10を車両90へ組付ける際に、天井パネル10をより破損し難くすることが可能となる。
【0033】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、突条20が、ルーフパネル91に当接する突出高さになっていたが、ルーフパネル91に当接しない突出高さになっていてもよい。また、突条20が、リインフォースメント80に当接しない突出高さになっていてもよい。これらの場合でも、突条20により、流路Rの空気の前後方向の流れの整流を図ることが可能となる。なお、突条20が、複数設けられる場合には、それら複数の突条20のうち一部の突条20のみが、ルーフパネル91又はリインフォースメント80に当接しない突出高さになっていてもよい。
【0034】
(2)上記実施形態では、突条20が、2層構造であったが、単層構造であってもよいし、3層以上の構造であってもよい。突条20は、単層構造の場合には、例えば、連続気泡構造の発泡樹脂で形成されていてもよいし、独立気泡構造の発泡樹脂で形成されていてもよい。例えば、単層構造の突条20が、軟質発泡樹脂で形成されていてもよい。突条20が積層構造の場合、突条20の少なくとも上部を構成する層が、弾性変形可能であればよい。突条20は、3層以上の構造の場合、例えば、第2発泡樹脂層22を、最上層の第1発泡樹脂層21の下の何れかの層に含んでいてもよい。
【0035】
(3)上記実施形態において、突条20の2層構造の上層の硬度を、下層の硬度以上にすることもできる。
【0036】
(4)上記実施形態では、突条20の少なくとも上部が弾性変形可能な部分となっていたが、この弾性変形可能な部分を、例えば、ゴム等のエラストマで形成することもできる。また、突条20のうち上下方向の途中部分又は下部を、発泡体等の弾性体で形成することもできる。
【0037】
(5)突条20の被圧縮部26の前後に、切り込み27の代わりに、突条20を横切るスリット27V(図6参照)等の凹部が形成されていてもよい。
【0038】
(6)突条20において、被圧縮部26と、被圧縮部26以外の部分とを、異なる材料で形成してもよい。例えば、突条20のうち被圧縮部26を被圧縮部26以外の部分に比べて、硬度の低い弾性体(例えば発泡体)を含むように構成してもよい。
【0039】
(7)突条20のうち被圧縮部26の前後に、切り込み27もスリット27Vも設けられていなくてもよい。
【0040】
(8)突条20は、パネル本体11と一体成形されていてもよい。
【0041】
(9)突条20は、上記実施形態では、断面四角形状をなしていたが、これに限定されるものではなく、突条20の上面が、略円弧状の膨出面になっていてもよいし、突条20の少なくとも上部が、断面三角形状をなしていてもよい。また、突条20が複数設けられる場合には、全ての突条20の断面形状が同じでなくてもよい。
【0042】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0043】
例えば、以下の特徴1~6は、「本開示は、車両のルーフパネルに下方から重ねられる天井パネル」に関し、「ルーフパネルと天井パネルの間に空気を流す技術が知られている(例えば、特開2000-142089(図1等)参照)。」という背景技術について、「ルーフパネルと天井パネルの間を空気が流れるのに適した天井パネルの開発が求められている。」という課題をもってなされたものと考えることができる。
【0044】
[特徴1]
車両のルーフパネルに下方から重ねられ、前記ルーフパネルとの間に、空気の流路を形成する天井パネルであって、
車両の前後方向に延びると共に、少なくとも上部が弾性変形可能な第1発泡樹脂で形成されている突条を上面に備える天井パネル。
【0045】
特徴1では、前後方向に延びる突条により、ルーフパネルと天井パネルの間に流入した空気の整流を図ることが可能となる。そして、流路内の空気を整流することで、流路内の空気を前後方向に流れ易くすることが可能となる。
【0046】
[特徴2]
前記突条には、前記ルーフパネルの下面の横梁に押されて圧縮変形する被圧縮部が備えられている、特徴1に記載の天井パネル。
【0047】
特徴2では、突条に、横梁に押されて圧縮変形する被圧縮部が設けられているので、突条と横梁が干渉して天井パネルが取り付け難くなることを防ぐことが可能となる。
【0048】
[特徴3]
前記突条の前記被圧縮部の前後に、前記突条を横切るスリット又は切り込みが形成されている、特徴2に記載の天井パネル。
【0049】
特徴3では、突条を横切るスリット又は切り込みが被圧縮部の前後に形成されているので、突条を圧縮し易くすることが可能となる。
【0050】
[特徴4]
前記突条は、前記第1発泡樹脂で形成される上部の第1発泡樹脂層の下に、該第1発泡樹脂より高硬度な第2発泡樹脂で形成される第2発泡樹脂層を有する積層構造をなしている、特徴1から3の何れか1の特徴に記載の天井パネル。
【0051】
特徴4では、突条のうち第1発泡樹脂層の下に、第1発泡樹脂よりも高硬度な第2発泡樹脂で形成される第2発泡樹脂層を有しているので、天井パネルの強度をアップすることが可能となる。これにより、天井パネルを車両へ組付ける際に、天井パネルをより破損し難くすることが可能となる。
【0052】
[特徴5]
前記突条の前記第1発泡樹脂で形成されている部分の両側部は、連続気泡構造をなしている、特徴1から4の何れか1の特徴に記載の天井パネル。
【0053】
特徴5によれば、流路内の音を吸音することが可能となる。
【0054】
[特徴6]
前記第1発泡樹脂のJIS K6400-2 D法に準拠した硬さが、250N以下である、特徴1から5の何れか1の特徴に記載の天井パネル。
【0055】
第1発泡樹脂のJIS K6400-2 D法に準拠した硬さは、250N以下であることが好ましい。第1発泡樹脂をこのような硬さとすれば、突条を、ルーフパネル側の凹凸に追従させ易くすることが可能となる。
【0056】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0057】
10 天井パネル
20 突条
21 第1発泡樹脂層
22 第2発泡樹脂層
26 被圧縮部
27 切り込み
27V スリット
81 横梁
90 車両
91 ルーフパネル
R 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6