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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018236
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】エアロゾルの滅菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20220120BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20220120BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20220120BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20220120BHJP
【FI】
A61C19/00 E
A61L2/18
A61L2/18 100
A61L101:10
A61L101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121196
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】501078650
【氏名又は名称】イマグノーシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 漢俊
【テーマコード(参考)】
4C052
4C058
【Fターム(参考)】
4C052AA20
4C052LL04
4C058AA30
4C058BB07
4C058BB10
4C058DD01
4C058DD12
4C058JJ07
4C058JJ24
4C058JJ28
4C058JJ30
(57)【要約】
【課題】治療にあたる術者に対し、患者口腔から至近距離における飛沫感染のより確実な対策が求められている。
【解決手段】本発明のエアロゾルの滅菌及び吸引装置は、口腔内から飛沫するエアロゾルを滅菌して吸引する装置であり、患者Pの口腔内から飛沫するエアロゾルASに対して殺菌・消毒成分を含む霧状体の殺菌・消毒液DSを噴霧する噴霧装置10の噴霧ヘッド11と、噴霧装置10の噴霧ヘッド11により噴霧された殺菌・消毒液の霧状体DS及びエアロゾルASを吸引するための吸引装置30とを含む。
【効果】診療空間の飛沫感染の抑止を図ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内から飛沫するエアロゾルの滅菌装置であって、
前記口腔内から飛沫するエアロゾルに対して殺菌・消毒成分を含む殺菌・消毒液を噴霧する噴霧装置を有し、
前記噴霧装置は、
口腔の上部近傍に配置される噴霧ヘッドと、
前記噴霧ヘッドとは離れた位置に設けられ、前記殺菌・消毒成分を含む殺菌・消毒液が貯留されたタンクと、
前記タンクに貯留された殺菌・消毒液を前記噴霧ヘッドに移送するために、前記タンク及び前記噴霧ヘッド間に接続されている管体と、を含むことを特徴とするエアロゾルの滅菌装置。
【請求項2】
前記噴霧ヘッドを、前記口腔の上部近傍に配置するための配置部材を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾルの滅菌装置。
【請求項3】
前記噴霧ヘッドは、噴霧ユニットと、前記噴霧ユニットが噴霧処理をする殺菌・消毒液を貯めるリザーブタンクとを備え、
前記リザーブタンクに常時一定量の殺菌・消毒液が確保されているように、前記管体を通して前記タンクから前記リザーブタンクへ液体を供給する供給手段、を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアロゾルの滅菌装置。
【請求項4】
前記供給手段は、
前記タンクの殺菌・消毒液を前記管体を通して前記リザーブタンクへ送り出すポンプと、
前記リザーブタンクの液量の変化を示す信号を出力するセンサと、
前記センサの出力信号に基づいて前記ポンプの駆動を制御するコントローラーと、を含むことを特徴とする、請求項3に記載のエアロゾルの滅菌装置。
【請求項5】
前記噴霧ユニットは、振動を発生するホーン振動子と、前記ホーン振動子の振動する部分に近接して配置された多数の微細孔を有するメッシュと、前記メッシュの前方に配置され、小径から大径へと拡径する筒状の噴霧口とを含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載のエアロゾルの滅菌装置。
【請求項6】
前記噴霧ユニットは、超音波振動子と、前記超音波振動子の振動の作用で霧化された殺菌・消毒液を所定の方向へ送り出す送風機とを含む超音波式噴霧ユニットを含む請求項3又は4に記載のエアロゾルの滅菌装置。
【請求項7】
前記噴霧ユニットは、圧縮空気の空気圧を利用して噴霧するジェット式の噴霧ユニットを含む、請求項3又は4に記載のエアロゾルの滅菌装置。
【請求項8】
前記噴霧ユニットは、ノズルに液体を所定の流量及び圧力で送り込んで霧状に噴射させるスプレーノズル式の噴霧ユニットを含む、請求項3又は4に記載のエアロゾルの滅菌装置。
【請求項9】
口腔内から飛沫するエアロゾルの滅菌装置であって、
前記口腔内から飛沫するエアロゾルに対して殺菌・消毒成分を含む殺菌・消毒液を噴霧する噴霧装置を有し、
前記噴霧装置は、
前記殺菌・消毒液が収容されたタンクが着脱可能に取り付けられるタンク受部、前記タンクから供給される殺菌・消毒液を一定量貯め、殺菌・消毒液を霧化する霧化装置、及び、前記霧化された殺菌・消毒液を送出口から送出する送風装置を含む噴霧部本体と、
前記送出口に一端が連結された長尺で伸縮及び曲げ自在なホースと、
前記ホースの他端に連結された小径から大径へと拡径する筒状の噴霧口とを有し、
前記噴霧口を所望の位置に保持するための支持アームを備えていることを特徴とする、エアロゾルの滅菌装置。
【請求項10】
口腔内から飛沫するエアロゾルの滅菌及び吸引装置であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載の噴霧装置と、
前記噴霧装置により噴霧された殺菌・消毒液の噴霧体及び前記エアロゾルを吸引するための吸引装置とを有し、
前記吸引装置は、吸引口と、前記吸引口に一端が連通され、他端は本体に接続された吸引ホースと、前記本体内に設けられ、前記吸引ホースを介して空気を吸い込むための吸引源、並びに、前記吸引ホースを介して吸い込まれた空気に対して殺菌及び消毒をする除菌ユニットとを含むことを特徴とする、エアロゾルの滅菌及び吸引装置。
【請求項11】
前記吸引口は、吸引面が対向する前方領域に存在する空気を効率良く吸引するために、吸引面の周囲に環状に延びるように配置された幅の狭い入口を有していることを特徴とする、請求項10に記載のエアロゾルの滅菌及び吸引装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のエアロゾルの滅菌及び吸引装置において、
前記噴霧装置及び前記吸引装置を連動させて制御するための制御部をさらに有し、
前記制御部には、診療ユニットに備えられた照明器及び各種の治療治具のオン/オフ信号が入力され、前記制御部は前記オン/オフ信号に応答して前記噴霧装置及び前記吸引装置の動作を自動制御することを特徴とする、エアロゾルの滅菌及び吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療時に、患者口腔内から飛沫するエアロゾルに対する感染防止を必要とする歯科や耳鼻咽喉科等の医療分野で用いられるエアロゾルの滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科医療現場において、歯や骨の削合、又は、歯周ポケットの洗浄時に、ハンドピースやスケーラーを使用する際に注水された水が、口腔内の唾液や血液と混ざって発生し飛沫するエアロゾルが、コロナウイルス等の感染拡大に大きな課題となっている。そのため、必要な歯科治療を控える患者も多く、慢性疾患になる進行性の歯周病や、齲蝕が重篤化し、歯を失う恐れが高くなる。
【0003】
一方、しっかりと鼻呼吸するための鼻咽頭の健康と、しっかりと食べるための口腔の健康は、感染症に対応する免疫力を高め、健康の維持及び管理に重要でもある。そこで、歯科では、口腔から生じるエアロゾルによる飛沫感染予防策として、口腔外バキュームが使用されている。(例えば、特許文献1及び特許文献2)
既存の口腔外バキュームは、掃除機のような吸引装置により、処置時に生じる唾液、血液を含むエアロゾルを口腔外で吸入することで、飛沫を減らす装置である。コロナ感染症などの命に係わる感染症リスクが高まっている昨今、今まで以上に十分な飛沫感染防止のためのシステムや装置が求められる。
【0004】
より具体的に説明する。
耳鼻咽喉科、歯科の治療などにおいて、口腔内でエア、水を噴霧する処置を行う際に生じる患者口腔内の唾液、血液などを含むエアロゾルが口腔外へ飛沫し、そのエアロゾルにより、術者の飛沫感染を、更に、そのエアロゾルが、診療空間内に拡がり、他の患者やスタッフの飛沫感染を引き起こす恐れがある。そのための対策として、口腔外バキューム装置があるが、吸引が行われる前に、口腔内から排出される濃厚なエアロゾルに術者が曝されるため、口腔外バキュームだけでは、術者の飛沫感染対策に十分に対応できているとは言えない。患者と術者間の感染を防ぐことが、院内感染防止において有効かつ重要であるが、口腔外バキュームが吸引するまでの間の感染対策が盲点となっている。治療にあたる術者に対し、患者口腔から至近距離における飛沫感染のより確実な対策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5627095号公報
【特許文献2】特開2002-159514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の口腔外バキュームの効果は、吸引力に掛かっているため、吸引力の低さがその効果を不確実なものにしている。そのため、より確実なエアロゾル感染対策を実現する装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、口腔内から飛沫するエアロゾルを、素早く滅菌するという新たな発想に基づいて成されたものである。
例えば、コロナウイルスの場合、次亜塩素酸や、オゾン、セチルビリジウム塩化物水和物により、殺菌もしくは不活化されることが知られている。これらの殺菌や消毒効果のある成分を含む殺菌・消毒液を、処置時に、口腔内から飛沫するエアロゾルが浮遊する空間へ噴霧して、エアロゾルの殺菌を行い、エアロゾルを無害化するものである。と同時に、無害化したエアロゾルをできるだけ早く取り除くために、口腔外に浮遊する汚染飛沫物と噴霧した滅菌水とを一緒に吸引する装置を備えていてもよい。
【0008】
更に、吸引したエアロゾルに対して十分な殺菌・消毒を行う殺菌・消毒システムを備えていてもよい。
表現を変えると、本発明は、歯科、耳鼻咽喉科などの医療分野において、患者と対面し、患者口腔内の処置を行う際に、口腔内から飛沫するエアロゾルを口腔外バキュームで吸引する既存の方法において、患者口腔内から至近距離にいる術者の飛沫感染を防ぐ目的で、口腔外から吸引口までの間の空間、すなわち、術者と口腔との間のエアロゾルの飛沫空間に殺菌・消毒液を噴霧して、エアロゾルを滅菌・消毒するものである。また、噴霧した殺菌・消毒液に曝されたエアロゾルを吸引し、吸引装置の内部で、再度、高濃度の殺菌・消毒液で滅菌消毒し、無害な状態の空気として排出するようにしてもよい。
【0009】
本発明の特徴は、口腔外バキュームによる吸引の前に、エアロゾルを滅菌することである。
口腔内で発生して口腔外へ飛沫した直後のエアロゾルは、濃厚で、その後、徐々に薄まり広がるため、口腔外へ飛沫した直後が、エアロゾルの塊が最も小さい。よって、口腔外へ飛沫した直後が、エアロゾル全体の殺菌及び消毒に最も有効なタイミングである。
【0010】
また、殺菌・消毒液を噴霧した際には、口腔外吸入装置を用い、吸引を同時に行うことが望ましい。
本発明では、口腔外に殺菌・消毒液を噴霧することで、エアロゾルが発生、排出される初期段階で、濃厚なエアロゾルを一塊として、感染源を滅菌消毒できる。本発明により、至近距離での濃厚なエアロゾルによる飛沫感染は抑止できる。
【0011】
吸引装置により吸引したエアロゾルを排出前に、再度、より高濃度の殺菌・消毒液を噴霧し、又は、紫外線照射や高温加熱滅菌、あるいは、フィルターを通してろ過することにより、より確実に、感染源の殺菌、消毒、除去を行う除菌装置を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、診療空間の飛沫感染の抑止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るエアロゾルの滅菌及び吸引装置1の構成を図解的に示す全体図である。
図2図2は、噴霧ヘッド11の具体的な構成を示す図解的な断面図である。
図3図3は、噴霧装置10の噴霧ヘッド11の他の構成例を示す図解的なブロック図である。
図4図4は、本発明の他の実施形態に係る噴霧装置10Aの構成を示す図解図である。
図5図5は、噴霧装置10Aの霧化ユニット22の具体的な構成例であり、(A)は、一槽式の超音波式霧化ユニット22Aを示す。(B)は、二層構造の超音波式霧化ユニット22Bを示す。(C)は、コンプレッサー式(ジェット式)の霧化ユニット22Cを示す。
図6図6(A)、(B)、(C)は、本発明の一実施形態に係る吸引装置30に含まれる吸引口31の形態の例を示す模式的な縦断面図である。
図7図7(A)、(B)は、本発明の一実施形態に係る吸引装置30に含まれる吸引口31の模式的な平面図であり、吸引口31が対向する前方領域側から見た吸引口31の入口31A,31B又は31Cの構成を示す図である。
図8図8(A)、(B)、(C)は、本発明の一実施形態に係る吸引装置30の本体33内に備えられる消毒ユニット36の構成例である。図8(D)は、図8(C)に示す消毒ユニット36の平面図である。
図9図9(A)、(B)、(C)は、本発明の一実施形態に係る吸引装置30の本体33内に備えられる吸引源35の構成に関する説明図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係るエアロゾルの滅菌及び吸引装置1の制御部のブロック図である。
図11図11は、制御部の信号タイミングチャートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、本発明の一実施形態に係るエアロゾルの滅菌及び吸引装置1の構成を図解的に示す全体図である。
エアロゾルの滅菌及び吸引装置1は、噴霧装置10及び吸引装置30を含んでいる。噴霧装置10は、診療台(診療チェア)8に横たわった患者Pの口腔内から飛沫するエアロゾルASに対して、噴霧ヘッド11の噴霧口12から霧状の殺菌・消毒液DSを放出するものである。
【0015】
診療ユニットにおいて使用される噴霧装置10の噴霧に係る部分は、照明や、術者の視野、処置の妨げとならないようできるだけ小型のものが求められる。また、エアロゾルASの拡散を抑える意味で、飛沫が発生する患者Pの口腔外の真上付近から噴霧することが求められる。これらから、噴霧装置10の噴霧に係る部分は、出来るだけ小型で、軽量である必要がある。例えば、携帯用ネブライザーのように軽量で、小型で、噴霧粒子が細かなものが適している。
【0016】
本実施形態では、噴霧装置10を、患者Pの口腔の真上付近の所望の位置に、自在に移動できる噴霧ヘッド11を単体で配備し、殺菌・消毒液の収容されたタンク(もしくは、パック又は容器)13は、床や診療ユニット内で安定かつ安全な場所に配備し、タンク13内の殺菌・消毒液を使用に合わせた適量を調整して送るポンプ14を使用するようにされている。
【0017】
より具体的には、診療ユニット内において立設された照明用支柱2及び照明アーム3によって照明器4が支持されている。照明器4にはガードフレーム5が備えられている。照明アーム3の長さ方向の途中部には、連結部15を介して支持アーム16の根元が取り付けられている。支持アーム16は、一例として、2つの関節161,162によって連結された3本の第1小アーム163,第2小アーム164及び第3小アーム165を備えていてもよい。支持アーム16(第3小アーム165)の先端には噴霧ヘッド11が保持されている。
【0018】
照明用支柱2には、吊下げ具17が取り付けられ、吊下げ具17にタンクの一例である樹脂製のパック13が逆さに吊り下げられている。パック13には、殺菌・消毒成分を含む殺菌・消毒液が収容されている。パック13の出口131には長手のチューブ18の一端が連通されている。そして、チューブ18は、照明用支柱2、照明アーム3及び支持アーム16に沿って引き回されていて、チューブ18の他端は、噴霧ヘッド11に連通されている。
【0019】
照明用支柱2には、また、載置台19が取り付けられていて、載置台19にはポンプ14が載置されている。ポンプ14は、一例として、チュービングポンプ14が用いられている。チュービングポンプは、チューブ18の途中部を長さ方向にしごくことで、パック13内の殺菌・消毒液を出口131からチューブ18へと取り出し、チューブ18内を噴霧ヘッド11に向かって移送する。
【0020】
また、噴霧ヘッド11には、ガードフレーム20が備えられているから、ガードフレーム20を握って噴霧ヘッド11の位置(高さ)や向きを、所望の位置及び向きに調整することができる。
なお、この実施形態のように、殺菌・消毒液を遮光性のビニールもしくは樹脂製のパック13に入れ、照明用支柱2に吊下げることにより、診療ユニット内の見えるところに吊るして配備することで、点滴液のように殺菌・消毒液の残量の確認がし易く、殺菌・消毒液の取り換えが簡便となる。また、パック13を噴霧ヘッド11より高位に配備することで、ポンプ14を用いない構成にすることもできる。
【0021】
殺菌・消毒液のタンク(パック又は容器)13を噴霧ヘッド11とは切り離した安定した場所に置き、噴霧ヘッド11を最小限に小型軽量化することで、噴霧口12の噴霧位置を照明や術者の視野を妨げず、エアロゾルを殺菌・消毒する上で最適な所望の位置に自在に配備できる。
エアロゾル飛沫が増える時など、状況に応じて、噴霧の量、間隔を調整し、必要にして十分な殺菌・消毒液の噴霧量を調整してもよい。
【0022】
口腔外に飛散する濃厚なエアロゾルが拡散する前に、エアロゾルを包囲する殺菌・消毒成分を噴霧するように、噴霧ヘッド11は構成されている。
本発明は、口腔内から濃厚に飛散する至近距離間の飛沫感染物に、殺菌・消毒に有効な成分を直接、かつ、十分な量を噴霧して殺菌・消毒することで、術者と患者間の飛沫感染を大幅に防ぐものである。すなわち、口腔内から生じた濃厚な飛沫感染源が広がる前に、そのエアロゾルをしっかりと包むように殺菌・消毒液を噴霧し、エアロゾルを殺菌・消毒することで、口腔外バキュームで吸引される前のエアロゾルを無害化することが期待できる。
【0023】
吸引装置30は、噴霧ヘッド11から噴霧された殺菌・消毒液の霧状体DS及び患者Pの口腔内から飛沫するエアロゾルASを吸引するための装置である。吸引装置30は、吸引口31と、吸引口31を所望の位置に支持するための支持アーム32と、支持アーム32を保持するために、支持アーム32の根元が取り付けられた本体33とを含んでいる。本実施形態では、吸引口31から吸い込まれた霧状体DS及びエアロゾルASを本体33内へ導くための吸引ホース34が、支持アーム32内に配設された構成を示すが、吸引ホース34が、支持アーム32に沿って配置されたものでもよい。また、支持アーム32は、診療ユニット内の支柱等に根本部が保持されていて、吸引装置30の本体33は、支持アーム32とは別に設けられていてもよい。
【0024】
本体33内には、吸引ホース34を介して霧状体DS及びエアロゾルASを含む空気を吸い込むための吸引力を生じる吸引源35並びに吸い込まれた空気に対して殺菌及び消毒を行う除菌ユニット36が設けられている。そして、除菌ユニット36を通って除菌された空気は、排気口37から診療ユニット内や診療室内へ排気される。
図2は、噴霧装置10の噴霧ヘッド11の具体的な構成例を示す図解的な断面図である。噴霧ヘッド11は、ケーシング111と、ケーシング111内に設けられたリザーブタンク112、ホーン振動子113、及び、多数の微細孔を有するメッシュ114と、ケーシング111の一表面に開口して、外方へ突出する噴霧口12とを有している。このうちのホーン振動子113、メッシュ114及び噴霧口12が噴霧ユニットを構成している。噴霧ヘッド11では、リザーブタンク112に貯留された殺菌・消毒液は、ホーン振動子113の振動する部分とメッシュ114との隙間を入り込み、隙間に入り込んだ殺菌・消毒液は、即時にホーン振動子113の振動によりメッシュ114の孔から押し出され、霧が発生する。ホーン振動子113の振動により霧は連続的に発生し、霧状の殺菌・消毒液DSは噴霧口12から放出される。
【0025】
リザーブタンク112には、貯留された殺菌・消毒液の量を検知するセンサ41が備えられていてもよい。そして、センサ41の検知信号はコントローラ42へ与えられ、コントローラ42によってポンプ14の駆動が制御される。これにより、リザーブタンク112には、常時一定量の殺菌・消毒液が確保される。センサ41は、例えば、リザーブタンク112の水位を検知する水位センサであってもよい。または、ホーン振動113の作動時間に比例して殺菌・消毒液が消費されるから、ホーン振動子113の作動時間に応じた信号を出力するセンサ41であってもよい。
【0026】
図3は、噴霧装置10の噴霧ヘッド11の他の構成例を示す図解的なブロック図である。この噴霧ヘッド11は、いわゆるスプレー方式と呼ばれるものである。
噴霧ヘッド11は、ケーシング51と、ケーシング51内に設けられたリザーブタンク52と、リザーブタンク52に貯められた殺菌・消毒液を汲み出す汲出管53と、ステージング54と、殺菌・消毒液を押し出す押出管55と、ケーシング51から外方へ臨んだスプレーノズル56とを含んでいる。汲出管53及び押出管55には、それぞれ、一方向弁57が介在され、汲み出し方向及び押し出し方向にだけ液体が流れるようにされ、逆方向には流れないようにされている。また、ステージング54には、例えばソレノイド58により作動されるピストン59が備えられている。ソレノイド58によってピストン59が作動されることにより、リザーブタンク52からステージング54に一定量単位で殺菌・消毒液が汲み出される。そして、ステージング54内の殺菌・消毒液は一定値以上の押し出し圧力でスプレーノズル56へ与えられ、殺菌・消毒液はスプレーノズル56からケーシング51の外方へ霧状に噴射される。
【0027】
図3に示す噴霧ヘッド11においても、リザーブタンク52に貯留された殺菌・消毒液の量を検知するセンサ41が備えられていてもよい。そして、センサ41の検知信号はコントローラ42へ与えられ、コントローラ42によってポンプ14の駆動が制御される。これにより、汲出管53を通じて一定量単位で殺菌・消毒液が汲み出され続けても、リザーブタンク52にはポンプ14の駆動によって殺菌・消毒液が補充されるから、常時一定量の殺菌・消毒液が確保される。この実施形態でも、センサ41は、例えば、リザーブタンク52の水位を検知する水位センサであってもよい。または、ソレノイド58の動作回数等に応じた信号を出力するセンサ41であってもよい。
【0028】
図4は、本発明の他の実施形態に係る噴霧装置10Aの構成を示す図解図である。
図4を参照して、噴霧装置10Aは、噴霧ハウジング21と、噴霧ハウジング21に対して着脱自在に設けられた殺菌・消毒液が収容されたタンク13と、タンク13から供給される殺菌・消毒液を霧化するための霧化ユニット22と、霧化ユニット22で生じる霧を外へ送り出すための送風機器23と、送り出される霧を導くホース24と、ホース24の先端に取り付けられた噴霧口25と、噴霧口25を所望の位置に支持するための支持アーム26とを含んでいる。先の噴霧装置10と同様に、ガードフレーム27を操作することにより、噴霧口25を患者の口腔上方部等の所望の位置に配置することができる。
【0029】
この実施形態では、霧を導くホース24が長いので、霧がホース24の内面に付着して液化し難いように、出来るだけホース24をまっすぐ上方へ立ち上げるようにしてもよい。また、ホース24の最上部から噴霧口25までの間は短くしてホース24の内面に付着して結露した殺菌・消毒液が噴霧口25から垂れ落ちないように結露受部を設けてもよい。
【0030】
本実施形態に係る噴霧装置10Aの特徴の一つは、噴霧ハウジング21を一例として床置きタイプにすることにより、霧化ユニット22を、大きさや重さを無制限にでき、大量の霧を発生できるようにしたことである。
図5に、噴霧装置10Aの噴霧ハウジング21内に設けられる霧化ユニット22の具体的な構成例を示す。
【0031】
図5(A)は、一槽構造の超音波式霧化ユニット22Aを示す。この霧化ユニット22Aは、貯留槽221の底に超音波振動子223が設けられている。そして、貯留槽221には殺菌・消毒液が貯められる。霧化の原理は、超音波振動子223が発生する超音波エネルギーが殺菌・消毒液の液表面に集中し、振動の作用(キャビテーション効果)で殺菌・消毒液が霧化されるものである。超音波振動のエネルギー量を変えることで、霧化量を変えることができる。
【0032】
図5(B)は、二槽構造の超音波式霧化ユニット22Bを示す。この霧化ユニット22Bは、外槽221と、外槽221内に配置された内槽222とを有し、外槽221の底には、超音波振動子223が設けられている。そして、外槽221には水が貯められ、内槽222内には殺菌・消毒液が貯められる。霧化の原理は、超音波振動子223が発生する超音波振動エネルギーが外槽221の水(冷却水)を通して内槽222内の殺菌・消毒液の液表面に集中し、振動の作用(キャビテーション効果)で殺菌・消毒液が霧化されるものである。超音波振動のエネルギー量を変えることで、霧化量を変えることができる。
【0033】
図5(C)は、コンプレッサー式(ジェット式)の霧化ユニット22Cを示す。コンプレッサー式霧化ユニット22Cは、圧縮空気の空気圧を利用して噴霧する。容器225の中央部にノズル226が設けられ、ノズル226の外周面に吸水管227が設けられている。そして、ノズル226の頂部にバッフル228を設ける。圧縮空気がノズル226の下方から送られ、ノズルの上端から空気が噴出されるとき、ノズル226と吸水管227との間に生じる負圧作用によって、容器225に貯められた殺菌・消毒液が吸い上げられる。吸い上げられた殺菌・消毒液は、上部のバッフル228に衝突し、細かい霧となって外部に噴出する仕組みである。圧縮空気の噴出量や噴出圧を変えることにより、霧化量を変えることができる。
【0034】
なお、図5(A),(B),(C)を参照して説明した霧化ユニットを、図1を参照して説明したエアロゾルの滅菌及び吸引装置1の噴霧ヘッド11として用いてもよい。
図6は、本発明の一実施形態に係る吸引装置30に含まれる吸引口31の形態の例を示す模式的な縦断面図である。
吸引口31は、従来の口腔外バキュームの吸引口と同様に、いわゆる漏斗(またはロウト)形状あってもよいが、吸引力を高めるという観点から、図6(A)、(B)又は(C)のような形状であってもよい。
【0035】
図6(A)及び(B)の形状では、吸引口31は、前方に位置する吸引すべき空気が存在する吸引空間と対向する吸引面38の周囲を(円)環状に延びるように配置された幅の狭い入口31A又は31Bを有している。幅の狭い入口31A又は31Bを吸引口31に設けた場合、幅の狭い入口31A又は31Bから吸い込まれる空気の流速が増加する。従って、環状になった幅の狭い入口31A又は31Bで囲まれた領域の内側(吸引面38)は、周囲の空気が幅の狭い入口31A又は31Bから勢い良く吸い込まれるため、負圧になり、領域の内側(吸引面38)へも前方から空気が流れ込み、流れ込んだ空気は環状に延びる幅の狭い入口31A又は31Bによって吸い込まれる。
【0036】
よって、吸引口31の吸引面38が対向する前方領域に存在する殺菌・消毒液の霧状体DS及びエアロゾルASを効率良く吸引することができる。
図6(C)の吸引口31は、吸引面38の周囲を(円)環状に延びる幅の狭い入口31Cを有することに加え、吸引面38の内部中央に小径の入口31Dを有する構成である。このような構成であっても、吸引口31(吸引面38)が対向する前方領域の空気は、幅の狭い入口31C及び小径の入口31Dを通して、効率良く吸引することができる。
【0037】
図7は、吸引口31(吸引面38)の図解的な平面図であり、吸引口31(吸引面38)が対向する前方領域側から見た吸引口31(吸引面38の周囲を(円)環状に延びるように配置された幅の狭い入口)の入口31A,31B又は31Cの平面形状を示す図である。
図7(A)に示すように、吸引口31に設けられた環状に延びる狭い入口は、(円)環状につながって延びる狭い入口31A,31B又は31Cであってもよい。
【0038】
また、図7(B)に示すように、狭い入口は、(円)環状につながっておらず、小径の小孔でできた多数の小入口が、全体として(円)環状をなすように設けられた狭い入口31A,31B又は31Cであってもよい。
なお、吸引口31に関する上記の説明で、「(円)環状」としたのは、幅の狭い入口31A,31B又は31Cが、円形の環状になっている場合に限らず、楕円、角の丸い矩形、多角形、又は任意の形状の環状であってもよいことを含んでいる。
【0039】
また、上述した吸引面38は、図6(A)に示すように、平面で形成されていてもよいし、図6(B)に示すように、前方に向かって凸湾曲した曲面によって形成されていたもよい。また、図6(C)に示すように、後方に向かって凹湾曲した曲面によって形成されていてもよい。
本発明は、口腔内から発生する感染性のエアロゾル(正確には、口腔外で噴霧された殺菌・消毒液で殺菌・消毒されたエアロゾル)を、吸引した後排出するまでの間に、更に、殺菌・消毒する殺菌・消毒装置を備えていてもよい。例えば、次亜塩素酸やオゾン等の殺菌・消毒成分を高濃度に含む殺菌・消毒液を噴霧し、又は紫外線照射や加熱、あるいは、これらを組み合わせた殺菌・消毒装置(これを、除菌装置という。)を備えていてもよい。これにより、吸入したエアロゾルに残る感染源を、確実に殺菌・消毒して、安全な空気として、排出することができる。
【0040】
図1を参照して説明したように、本実施形態に係るエアロゾルの滅菌及び吸引装置1の吸引装置30の本体33内には、除菌ユニット36が備えられていて、本体33から排気口37を通して排出される空気は完全に浄化された空気となる。
図8に、吸引装置30の本体33内に備えられる除菌ユニット36のいくつかの例を示す。
【0041】
図8(A)は、吸引したエアロゾルASに対し、高濃度の殺菌・消毒液を閉空間の処理槽42内で噴霧し、エアロゾルASの殺菌及び消毒を行う構成である。
図8(B)は、処理槽42内に、高温のメッシュ金属板43を多数枚配列し、吸引したエアロゾルASを高温のメッシュ金属板43に接触させて加熱殺菌・消毒をするものである。メッシュ金属板43は空気が通る細かなメッシュで、通過する空気は過熱殺菌される。
【0042】
図8(C)は、紫外線による殺菌・消毒槽44の構成例である。槽44は、透明樹脂等で形成し、例えば薄い板状の槽44とする。この槽44に、例えば上下から紫外線を照射することにより、槽44内を流れる吸引したエアロゾルASを殺菌・消毒するものである。なお、槽44内は、図8(D)の平面図に示すように、仕切壁によって空気の通過流路が長く形成されていてもよい。
【0043】
本実施形態の吸引装置30の本体33内には、除菌ユニット36が備えられているが、除菌ユニット36は、上記図8(A)(B)又は(C)に示したいずれかの構成や、これら構成を組み合わせたもので作ってもよい。
図9は、図1に示す本実施形態に係るエアロゾルの滅菌及び吸引装置1の吸引装置30の本体33内に備えられる吸引源35の構成に関する説明図である。吸引源35は、従来より知られている種々の機構を利用して構成することができる。
【0044】
例えば、図9(A)に示すように、吸引ファン51をモータ52によって回転させ、吸引力を生じさせてもよい。また、図9(B)に示すように、吸引ファン51を、圧縮空気CA流により回転させるものでもよい。あるいは、図9(C)に示すように、吸引流路53に、吸引方向に流れる圧縮空気CAを送り込み、吸引流路53内にエアロゾルASを吸い込む吸引力を生じさせるものでもよい。
【0045】
コンプレッサーによる空気圧を利用して、吸引力を発生させる吸引方式では、コンプレッサーによる空気圧を高めることで、吸引力を増強、調整することができる。コンプレッサーは、歯科や耳鼻科なら、通常、常備している設備であるため、図9(B)又は(C)に示すような圧縮空気CAを利用した吸引力の発生は、歯科や耳鼻咽喉科の設備としては適用しやすいものである。
【0046】
また、ハンドピースや3wayシリンジを使用したり、また、うがいをする場合等の患者の状態や処置の内容に応じて、診療ユニットから本発明の装置に信号を伝える仕組みを構築してもよい。それにより、噴霧のオン、オフや、間隔、量の強弱などをその信号に応じて自動調整する機能を付与してもよい。
図10は、本発明の一実施形態に係るエアロゾルの滅菌及び吸引装置1の制御部のブロック図であり、図11は、図10の制御部の信号タイミングチャートの一例を示す図である。
【0047】
図10に示すように、エアロゾルの滅菌及び吸引装置1は、噴霧ヘッド11及び吸引源35の動作を制御する制御部61を備えている。制御部61により、噴霧ヘッド11は、例えば、OFF,LOW,HIの3態様に動作が切り換えられるものとする。また、制御部61により、吸引源35は、例えば、OFF,LOW,HI,MAXの4態様に動作が切り換えられるものとする。
【0048】
制御部61には、診療台(診療チェア)8を含む診療ユニットに備えられた照明器4のオン/オフ信号、スリーウェイシリンジのオン/オフ信号、タービンのオン/オフ信号、フットコントローラーのオン/オフ信号、及び、生体センサの信号が入力されるものとする。
制御部61は、入力される信号に基づいて、噴霧ヘッド11及び吸引源35の動作状態を自動的に切換え、診療空間の飛沫感染の抑止に効果を発揮する。
【0049】
図1図10及び図11を参照して、歯科での運用の一例を具体的に説明する。なお、文中の(1)~(8)は、図11の丸で囲った数字で示す信号タイミングを意味している。
例えば、患者を診療台(診療チェア)8に着席させ、所定の姿勢にした後、術者は照明器4を点灯する。照明器4のオン信号に応答して、制御部61は、噴霧ヘッド11をLOWで動作させ、かつ、吸引源35をLOWで動作させる(1)。これにより、殺菌・消毒液の最小限の噴霧及び吸引が開始する。
【0050】
次に、術者が、スリーウェイシリンジにより水と圧縮エアを吹きかけ、口腔内で治療対象の歯の表面の汚れを洗浄する場合、患者の口腔からエアロゾルが発生する。そこで、スリーウェイシリンジが診療台(診療チェア)8の近傍に設けられたツールホルダーから取り出され、スリーウェイシリンジのオン信号が入力されることに応答して、制御部61は、噴霧ヘッド11の動作をHIに切り換え(2)、また、吸引源35もHIに切り換えて動作させる(2)。スリーウェイシリンジがツールホルダに戻されてオフになると、制御部61は、噴霧ヘッド11及び吸引源35の動作をLOWに切り換える(3)。
【0051】
次に、タービンで歯を切削する場合、術者はタービンをツールホルダから外す。すると、タービンのオン信号が制御部61に与えられ、噴霧ヘッド11の動作がHIに切り換えられ(4)、吸引源35の動作もHIに切り換えられる(4)。そして、術者が、フットコントローラーを踏んで注水切削を始めた際には、患者の口腔からエアロゾルの発生量が更に増えることが多い。そこで、フットコントローラーのON信号に応じて、制御部61は、吸引源35の動作をMAXにする(5)。その後、フットコントローラーの信号がOFFになると、制御部61は、所定時間tを遅らせて、吸引源35の動作をHIに戻す(6)。また、切削処理が終わり、タービンがツールホルダに戻されると、タービンからOFF信号が制御部61へ出力される。これに応じて、制御部61は、噴霧ヘッド11の動作をLOWにし(7)、吸引源35の動作をLOWにする(7)。
【0052】
診療が終わり、照明器4が消灯されると、照明器4のオフ信号に応答して、制御部61は、噴霧ヘッド11及び吸引源35の動作をOFFにする(8)。
さらに、制御部61には、例えば患者の喉の外表面に貼着した生体センサからの信号が入力されてもよい。生体センサは、例えば、患者の喉の動き等を検出するセンサであり、患者がエアロゾルを生じる直前には、喉が細かく震えるように動くこと等が知られている。生体センサは、患者の喉の動き等を検知して、エアロゾルの発生予告信号を制御部61へ与える(S1)。制御部61は、生体センサからの信号に応答して、所定の時間T1の間、噴霧ヘッド11及び吸引源35の動作をHI(又は、MAXでもよい。)にする。
【0053】
また、生体センサに替え、患者が操作できるボタンスイッチを患者に持たせ、患者が呼気を出す前にボタンスイッチを押してもよい。ボタンスイッチの信号は制御部61に与えられ、制御部61が信号に応答して噴霧ヘッド11及び吸引源35の動作を制御してもよい。
【0054】
以上のように、エアロゾルの発生に合わせて、自動で噴霧及び吸引量を適切に調整すれば、噴霧のタイミングが遅れたり、噴霧量が不足することがなく、エアロゾルを良好に滅菌することができる。また、発生直後のエアロゾル及び噴霧された殺菌・消毒液を吸引することができる。
さらに、本発明の装置を診療台(診療チェア)8や診療用ユニットに一体化することで、診療ユニットと本発明装置相互間で、操作や状態を信号化し、その信号を伝達し、操作及び運用をスムーズにしてもよい。また、装置の運用、管理、確認を一元化して自動化してもよい。
【0055】
この発明は、以上説明した実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 エアロゾルの滅菌及び吸引装置
2 照明用支柱
3 照明アーム
4 照明器
5、20、27 ガードフレーム
8 診療台(診療チェア)
10、10A 噴霧装置
11 噴霧ヘッド
12、25 噴霧口
13 タンク(パック又は容器)
14 ポンプ
15 連結部
16、26、32 支持アーム
17 吊下げ具
18 チューブ
19 載置台
21 噴霧ハウジング
22、22A、22B 霧化ユニット
23 送風機器
24 ホース
30 吸引装置
31 吸引口
33 本体
34 吸引ホース
35 吸引源
36 除菌ユニット
37 排気口
38 吸引面
41 センサ
43 メッシュ金属板
52、112 リザーブタンク
53 汲出管
54 ステージング
56 スプレーノズル
58 ソレノイド
61 制御部
111 ケーシング
113 ホーン振動子
114 メッシュ
161、162 関節
163、164、165 小アーム
221 外槽
222 内槽
223 超音波振動子
225 容器
226 ノズル
227 吸水菅
228 バッフル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11