(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182367
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】作業指示システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20221201BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089885
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛村 真人
(72)【発明者】
【氏名】関根 淳紀
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】業者の負担を軽減し、実際の作業の進捗状況や作業内容の不具合を第三者が容易に把握することができる作業指示システムを提供する。
【解決手段】端末機器10と、情報収集部6と、情報判断部2と、情報提示部5と、を備えている。情報収集部6は、端末機器10から作業者M1が実際に行った作業内容に関する作業内容情報を収集し、記録する。情報判断部2は、情報収集部6に記録された作業内容情報を整理及び分析する。情報提示部5には、情報判断部2が整理及び分析した加工済み作業内容情報が記録される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に指示する作業内容を伝達する端末機器と、
前記端末機器から前記作業者が実際に行った作業内容に関する作業内容情報を収集し、記録する情報収集部と、
前記情報収集部に記録された前記作業内容情報を整理及び分析する情報判断部と、
前記情報判断部が整理及び分析した加工済み作業内容情報が記録される情報提示部と、
を備えた作業指示システム。
【請求項2】
前記情報提示部は、前記加工済み作業内容情報を前記作業者とは異なる第三者に閲覧可能に表示する
請求項1に記載の作業指示システム。
【請求項3】
前記情報収集部は、前記端末機器から前記作業者が行った作業完了までの応答時間を算出し、
前記情報判断部は、前記応答時間に基づいて、作業の進捗状況を作成し、前記情報提示部に記録する
請求項1に記載の作業指示システム。
【請求項4】
前記端末機器に接続され、作業の詳細な手順を示すマニュアルが記憶されている情報記憶部をさらに備え、
前記情報収集部は、前記作業者が前記マニュアルの閲覧回数、閲覧時間を収集し、
前記情報判断部は、前記応答時間、前記閲覧回数や前記閲覧時間に基づいて、作業の改善箇所を示す情報を作成し、前記情報提示部に記録する
請求項3に記載の作業指示システム。
【請求項5】
前記作業者に関する作業者情報が格納された作業者情報記憶部と、
前記作業者に指示する複数の作業指示の内容が格納された作業内容記憶部と、を備え、
前記情報判断部は、前記作業者情報に基づいて、複数の作業指示の内容から作業指示の内容を選定し、選定した前記作業指示の内容を前記端末機器に送信する
請求項1に記載の作業指示システム。
【請求項6】
複数の前記作業指示の内容は、前記作業者の習熟度に応じて作成されており、
前記情報判断部は、前記作業者情報に基づいて前記作業者の習熟度を算出し、算出した前記習熟度に基づいて、複数の作業指示の内容から作業指示の内容を選定する
請求項5に記載の作業指示システム。
【請求項7】
前記作業者情報は、前記作業者を識別するID情報と紐付けて前記作業者情報記憶部に格納されている
請求項5に記載の作業指示システム。
【請求項8】
前記情報判断部は、前記情報収集部に記録された前記作業内容情報に基づいて、前記作業者情報記憶部に格納された前記作業者情報を更新する
請求項5に記載の作業指示システム。
【請求項9】
前記端末機器から前記作業者へ、前記作業指示の内容を複数のステップに分けて伝達し、
前記情報収集部は、前記作業者が実際に行った作業内容に関する前記作業内容情報を、前記ステップごとに収集する
請求項1に記載の作業指示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業指示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、エレベーターや乗客コンベアの据え付け作業や点検作業を行う際に、作業時間の短縮を図るために、作業を行う作業者に対して音声や画像で作業内容を指示することが行われている。このような技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
【0003】
特許文献1には、エレベーターの点検作業を支援するエレベーター点検支援システムに関する技術が記載されている。特許文献1には、作業者の位置及び方向を検出する位置検出部と、点検対象機器を撮影するために作業者が備えるカメラと、カメラで撮影した点検画像を記録する点検記録部と、を備えることが記載されている。そして、特許文献1に記載された技術は、作業者を誘導する音声を出力する音声発生部と、音声発生部により作業者を所定の点検対象機器に誘導する音声の出力を指示し、カメラと所定の点検対象機器が対向したことを検出すると、カメラにより所定の点検対象機器を撮影する作業管理部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の作業の進捗状況や作業内容の不具合を、作業を発注した発注者や管理者が把握するためには、作業を行っている作業者が発注者や管理者に報告する必要があり、作業者の負担が増大していた。
【0006】
本目的は、上記の問題点を考慮し、作業者の負担を軽減し、実際の作業の進捗状況や作業内容の不具合を第三者が容易に把握することができる作業指示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本目的を達成するため、端末機器と、情報収集部と、情報判断部と、情報提示部と、を備えている。端末機器には、作業者に指示する作業内容が表示される。情報収集部は、端末機器から作業者が実際に行った作業内容に関するで作業内容情報を収集し、記録する。情報判断部は、情報収集部に記録された作業内容情報を整理及び分析する。情報提示部には、情報判断部が整理及び分析した加工済み作業内容情報が記録される。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の作業指示システムによれば、作業者の負担を軽減し、実際の作業の進捗状況や作業内容の不具合を第三者が容易に把握することができる
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態例にかかる作業指示システムを示す概略構成図である。
【
図2】実施の形態例にかかる作業指示システムにおける作業者が備える端末機器を示す説明図である。
【
図3】実施の形態例にかかる作業指示システムにおける作業者の習熟度の違いにより作業指示の違いを示す説明図であり、
図3Aは習熟度が高い作業者に対して行われる作業指示であり、
図3Bは習熟度が低い作業者に対して行われる作業指示である。
【
図4】実施の形態例にかかる作業指示システムにおける作業指示の内容選定処理を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態例にかかる作業指示システムにおける作業内容報告処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態例にかかる作業指示システムについて、
図1~
図5を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0011】
1.実施の形態例
1-1.作業指示システムの構成例
まず、実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる作業指示システムの構成について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、作業指示システムの構成例を示す概略構成図である。
図2は、作業指示システムにおいて作業者が保持するデバイスを示す説明図である。
【0012】
図1に示す作業指示システム1は、エレベーターの据え付け作業時に作業者M1に対して作業内容を指示すると共に、作業者M1が実際に行った作業内容を取得するシステムである。作業指示システム1は、情報判断部2と、作業者情報記憶部3と、作業内容記憶部4と、情報提示部5と、情報収集部6と、情報記憶部7とを備えている。また、作業指示システム1は、作業者M1が有するデバイス端末10と、音声デバイス11とを備えている。デバイス端末10及び音声デバイス11により端末機器が構成される。
【0013】
図1及び
図2に示すように、デバイス端末10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末からなる携帯情報端末である。デバイス端末10は、情報判断部2、情報収集部6及び情報記憶部7と情報を送信及び受信可能に接続される。デバイス端末10は、表示部13と、入力部14とを有している。表示部13には、情報判断部2から出力された作業指示の内容が表示される。また、表示部13には、情報記憶部7から出力された作業の手順を示すマニュアルが表示される。デバイス端末10は、入力部14に入力された情報を情報判断部2や情報収集部6に出力する。
【0014】
音声デバイス11は、デバイス端末10に接続されている。音声デバイス11としては、例えば、ヘッドホン、イヤホンや骨伝導スピーカ等により構成されている。また、音声デバイス11には、作業者M1の音声を取得するマイクを有している。音声デバイス11は、デバイス端末10が情報判断部2や情報記憶部7から受信した作業指示やマニュアル等の音声情報を出力する。また、音声デバイス11は、マイクにより取得した作業者M1の音声をデバイス端末10に出力する。なお、音声デバイス11にタッチボタンやタッチセンサ等からなる入力部を設けてもよい。
【0015】
作業者情報記憶部3、作業内容記憶部4、情報提示部5、情報収集部6及び情報記憶部7としては、クラウドやサーバー等の各種記憶装置が適用される。作業者情報記憶部3には、作業者M1に関する各種情報が格納される。作業者M1に関する情報(以下、単に「作業者情報」と称する)としては、例えば、経験年数、所属会社、年齢、性別、被災歴や専門資格等である。作業者情報は、作業者M1を識別する情報であるID情報と紐付けて作業者情報記憶部3に格納されている。ID情報としては、例えば、数字、作業者M1の指紋、顔、声等が挙げられる。
【0016】
作業内容記憶部4には、作業工程ごとに複数の作業内容A、Bが格納されている。また、作業内容記憶部4には、複数の作業内容A、Bごとに、作業者M1に作業内容や手順を指示する複数の作業指示の内容A、B、Cが格納されている。作業指示の内容A、B、Cは、作業者M1における該当する作業の習熟度に合わせて作成される。
【0017】
図3は、作業者M1の習熟度の違いにより出力される作業指示の違いを示す説明図である。
図1に示す作業指示の内容Aは、習熟度が高い作業者M1に向けた作業指示である。
図3Aに示すように、習熟度が高い作業者M1に向けた作業指示の内容Aは、音声デバイス11から作業指示を示す音声が出力されるのみである。また、
図1に示す作用指示内容Cは、習熟度が低い作業者M1に向けた作業指示である。
図3Bに示すように、習熟度が低い作業者M1に向けた作業指示の内容Cは、デバイス端末10の表示部13に作業指示の内容が画像で表示されるだけなく、音声デバイス11から作業指示を示す音声が出力される。
【0018】
また、作業指示の内容としては、後述する情報記憶部7に格納されたマニュアルへの案内がデバイス端末10に表示される。そして、デバイス端末10や音声デバイス11から出力された作業指示では分からない場合、作業者M1は、デバイス端末10の表示部13に表示された案内を操作することで、情報記憶部7に格納されたマニュアルを閲覧することができる。
【0019】
なお、複数の作業指示の内容A、B、Cが作業者M1の習熟度に応じて作成された例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、複数の作業指示の内容A、B、Cを経験年数や専門資格、作業者M1の過去の被災歴等に応じて作成してもよい。
【0020】
情報収集部6は、デバイス端末10から作業者M1が実際に作業を行った情報(作業内容情報)が出力される。作業内容情報は、作業者M1がデバイス端末10を操作した情報や、音声デバイス11が取得した作業者M1の音声情報から作成される。情報収集部6は、作業内容情報を記録する。
【0021】
作業内容情報としては、例えば、作業完了までの応答時間やマニュアル閲覧情報である。情報収集部6は、各作業指示における作業者M1がデバイス端末10や音声デバイス11に対して行った特定の操作の時間から応答時間を算出し、格納する。特定の操作としては、例えば、デバイス端末10の入力部14を入力操作や、音声デバイス11にマイクに発した特定の音声操作である。また、マニュアル閲覧情報としては、例えば、作業者M1が作業中にマニュアルを閲覧した内容や閲覧時間、閲覧回数である。情報収集部6に格納された作業内容情報は、情報判断部2により整理及び分析され、加工される。
【0022】
情報提示部5には、情報判断部2が整理及び分析した作業内容情報が格納される。以下、整理及び分析した作業内容情報を加工済み作業内容情報と称する。情報提示部5には、不図示の表示部や入力部が設けられている。情報提示部5は、作業を発注した発注者や作業を管理する管理者(以下、第三者と称する。)M2によって加工済み作業内容情報が閲覧可能に構成されている。加工済み作業内容情報としては、作業の進捗状況や、作業や製品の改善箇所を示す情報等である。
【0023】
情報記憶部7には、作業内容ごとに作業の詳細な手順を示すマニュアルが記憶されている。情報記憶部7は、デバイス端末10に接続されている。そして、作業者M1がデバイス端末10又は音声デバイス11を操作することで、情報記憶部7に記憶されたマニュアルが表示部13から表示されたり、音声デバイス11から音声として出力されたりする。なお、作業者M1がデバイス端末10又は音声デバイス11を操作することでマニュアルを閲覧した情報は、情報収集部6に記録される。
【0024】
情報判断部2は、作業者情報記憶部3と、作業内容記憶部4と、情報提示部5と、情報収集部6及びデバイス端末10と情報を送受信可能に接続される。情報判断部2は、CPU(Central Processing Unit)や、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を有しており、取得した情報を分析及び整理するAI(artificial intelligence)である。
【0025】
情報判断部2は、デバイス端末10に入力されたID情報に基づいて、作業者情報記憶部3から作業者情報を取得する。情報判断部2は、取得した作業者情報に基づいて、各作業内容における作業者M1の習熟度を算出する。作業者M1の習熟度は、例えば、経験年数、専門資格や被災歴等に基づいて算出される。また、情報判断部2は、作業内容記憶部4から作業者M1の習熟度に合わせた作業指示の内容を選定する。そして、情報判断部2は、選定した作業指示の内容をデバイス端末10に出力する。
【0026】
なお、作業者情報記憶部3に格納された作業者情報として、各作業内容における作業者M1の習熟度を格納してもよい。これにより、情報判断部2による習熟度の算出処理を軽減することができる。また、作業者情報を作業者情報記憶部3に記憶し、作業指示の内容を作業内容記憶部4に別々に格納させた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、作業者情報と作業指示の内容を合わせて1つの記憶部に格納してもよい。
【0027】
また、情報判断部2は、情報収集部6に記録された作業内容情報を吸い上げて、整理及び分析する。そして、情報判断部2は、情報収集部6に記録された作業内容情報を整理及び分析することで、例えば、作業の進捗情報や、作業や製品の改善箇所を示す情報(加工済み作業内容情報)に変換する。情報判断部2は、作業の進捗状況や改善箇所を示す情報である加工済み作業内容情報を情報提示部5に記録する。
【0028】
なお、上述した作業指示システム1を構成する各構成要素、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路の設計などによりハードウエアで実現してもよい。また、上記の各構成要素、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0029】
2.作業指示システムの動作例
次に上述した構成を有する作業指示システム1の動作例について
図4及び
図5を参照して説明する。
【0030】
2-1.作業指示の内容選定処理
まず、
図4を参照して作業者M1が作業を行う際の作業指示の内容を選定する処理である作業指示の内容選定処理について説明する。
図4は、作業指示の内容選定処理を示すフローチャートである。
【0031】
図4に示すように、まず作業者M1は、各人に割り当てられたID情報をデバイス端末10に入力部14を介して入力する(ステップS11)。なお、ステップS11のID情報の入力処理は、作業者M1が音声デバイス11に所定の音声を入力してもよい。ステップS11のID情報の入力処理が行われることで、作業者M1は、本例の作業指示システム1の使用が可能となる(ステップS12)。
【0032】
次に、デバイス端末10は、入力された作業者M1のID情報を情報判断部2に送信する(ステップS13)。情報判断部2は、入力されたID情報に基づいて、作業者情報記憶部3に記憶されている作業者M1に関する情報、すなわち作業者情報を取得する。さらに、情報判断部2は、作業者情報に基づいて、各作業内容A、B、Cにおける作業者M1の習熟度を算出する。そして、情報判断部2は、算出した習熟度に応じて、作業内容記憶部4に記録されている作業指示の内容A、B、Cから作業指示の内容を選定する(ステップS14)。
【0033】
次に、情報判断部2は、ステップS14の処理で選定した作業指示の内容をデバイス端末10に送信する(ステップS15)。これにより、本例の作業指示システム1における作業指示の内容選定処理が終了する。
【0034】
このように、本例の作業指示システム1によれば、情報判断部2が作業者情報に基づいて、作業者M1の習熟度に合わせた作業指示の内容を自動的に選定している。これにより、作業者M1が作業指示の内容を選定する手間を省くことができる。
【0035】
なお、上述した作業指示の内容選定処理では、ステップ14の処理で情報判断部2が作業指示の内容を選定する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、作業内容記憶部4に格納されている複数の作業指示の内容A、B、Cをデバイス端末10の表示部13に表示させ、作業者M1自身が習熟度に合わせた作業指示の内容を選択してもよい。
【0036】
2-2.作業内容報告処理
次に、
図5を参照して実際の作業内容を第三者に報告する作業内容報告処理について説明する。
図5は、作業内容報告処理を示すフローチャートである。
【0037】
まず、
図5に示すように、作業者M1は、デバイス端末10に送信された作業指示の内容を作業工程や作業手順に応じて選択する(ステップS21)。ステップS21に示す選択処理が実行されると、デバイス端末10及び/又は音声デバイス11は、作業指示の内容に応じた情報を作業者M1に指示及び伝達する(ステップS22)。
【0038】
図3Aに示すように作業者M1の習熟度が高い場合、音声デバイス11を用いた作業指示が行われる。これに対して、
図3Bに示すように作業者M1の習熟度が低い場合、デバイス端末10の表示部13による画像による作業指示と、音声デバイス11を用いた音声による作業指示が行われる。これにより、作業者M1の習熟度に応じて適切な作業指示を行うことができ、作業者M1が作業内容を迷ったり、考えたりする時間を無くすことができる。その結果、作業効率の向上を図ることができる。
【0039】
次に、作業者M1は、デバイス端末10や音声デバイス11から出力された作業指示に対して、回答する(ステップS23)。ステップS23の回答処理にかかるが、一つの作業内容における作業時間に相当する。ステップS23の回答処理としては、作業者M1がデバイス端末10や音声デバイス11に対して予め設定された特定の操作を行うことで達成される。
【0040】
回答処理としては、例えば、まず作業指示の内容を理解した場合、作業者M1は、入力部14を操作して「了解」をタップ、又は音声デバイス11を介して「了解」を口頭で回答する。次に、指示された作業が完了した場合、作業者M1は、入力部14を操作して「完了」をタップ、又は音声デバイス11を介して「完了」を口頭で回答する。また、作業者M1が再度、指示内容を確認したい場合は、作業者M1は、入力部14を操作して「もう一度」をタップ、又は音声デバイス11を介して「もう一度」を口頭で回答する。
【0041】
また、ステップS23の回答処理の間、作業者M1は、デバイス端末10を用いて、情報記憶部7に格納されたマニュアルを閲覧することができる。
【0042】
そして、ステップS23に作業者M1がデバイス端末10や音声デバイス11に対して実行された情報、応答時間、マニュアルの閲覧内容、閲覧している時間、回数の情報である作業内容情報が情報収集部6に記録される(ステップ24)。情報収集部6は、例えば、作業者M1がデバイス端末10や音声デバイス11を操作した「了解」から「完了」までの時間を応答時間として記録する。また、情報収集部6は、ステップS23の処理の間、すなわち作業中に、作業者M1がマニュアルを閲覧した情報を記録する。
【0043】
次に、情報判断部2は、情報収集部6に記録された作業内容情報を吸い上げて、分析及び整理する(ステップS25)。ステップS25の分析及び整理処理において、情報判断部2は、例えば作業完了までの応答時間やマニュアルの閲覧内容や閲覧時間、閲覧回数に基づいて、作業の進捗状況を示す情報や、作業や製品の改善箇所を示す情報を作成する。
【0044】
情報判断部2は、作業完了までの応答時間を取得することで、作業者M1の時間がかかっている作業内容を把握することができる。そして、応答時間が予め設定した基準作業時間を超えた場合、作業や製品に改善箇所があると情報判断部2は判断する。また、マニュアルの閲覧時間、閲覧回数が予め設定した基準閲覧時間や基準閲覧回数を超えた場合、作業や製品に改善箇所がある、またはマニュアルに不備があると情報判断部2は判断する。
【0045】
そして、情報判断部2は、分析及び整理した情報である加工済み作業内容情報を情報提示部5に記録する(ステップS26)。これにより、本例の作業指示システム1における作業内容報告処理が終了する。
【0046】
情報判断部2によって、作業者M1が実際に行った作業内容を整理及び分析することで、作業者M1が実際に作業した内容を第三者M2に報告する手間を省くことができ、作業者M1の負担を軽減することができる。また、実施に行った作業内容は、情報収集部6により作業者M1がデバイス端末10や音声デバイス11を操作した情報から収集される。これにより、作業内容の収集に人の判断が介入することを軽減することができ、実際の作業内容を客観的に判断することができる。
【0047】
また、第三者M2に提示する情報は、一度情報収集部6に記録された作業内容に関する情報を情報判断部2が整理及び分析している。これにより、第三者M2に対して必要な情報のみを提示することができ、第三者M2は、実際の作業の進捗状況や作業内容の不具合を容易に把握することができる。さらに、上述したように、作業者M1と第三者M2との間に、他の人が介入することなく情報を収集し、整理及び分析している。これにより、作業者M1が行った作業内容を、迅速、かつ正確に第三者が把握することができ、作業者M1が手間取っている作業を把握することができる。
【0048】
さらに、作業者M1が交代する際、情報判断部2は、任の作業者M1が行った作業内容、すなわち情報提示部5に記録された加工済み作業内容情報を後任の作業者M1が有するデバイス端末10に送信する。これにより、後任の作業者M1は、前任の作業者M1が行った作業内容を容易に把握することができる。その結果、作業者M1の引き継ぎ作業を容易に行うことができ、作業者M1の交代作業時に行われる報告の手間を軽減させることができる。
【0049】
また、情報判断部2は、加工済み作業内容情報に基づいて、作業者情報記憶部3に格納された作業者情報を更新してもよい。例えば、応答時間が基準作業時間よりも短縮された場合、情報判断部2は、作業者M1におけるその作業内容に関する習熟度を上げる。また、マニュアルの閲覧時間、閲覧回数が基準閲覧時間や基準閲覧回数を下回った場合、情報判断部2は、作業者M1におけるその作業内容に関する習熟度を上げる。これにより、作業者M1の習熟度が実際の作業内容に基づいて更新されるため、次に同様の作業を行う際に、より適切な習熟度を選定することができる。
【0050】
デバイス端末10及び音声デバイス11は、作業者M1に指示する作業内容を複数のステップに分けて伝達してもよい。そして、情報収集部6は、実際に作業者M1が行った作業内容を、複数のステップごとに、収集してもよい。これにより、ステップごとに、必要な情報をタイミングよく作業者M1に伝達することができ、作業の抜けや、確認に余計な手間が発生することを防止することができる。
【0051】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0052】
上述した実施の形態例では、作業指示システムとしてエレベーターの据え付け作業時に用いられる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、エレベーターの点検作業や、乗客コンベアの据え付け作業、点検作業や、その他各種の作業に適用されるものである。
【0053】
例えば、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するためにシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換することも可能である。
【0054】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…作業指示システム、 2…情報判断部、 3…作業者情報記憶部、 4…作業内容記憶部、 5…情報提示部、 6…情報収集部、 7…情報記憶部、 10…デバイス端末(端末機器)、 11…音声デバイス、 13…表示部、 14…入力部、 M1…作業者、 M2…第三者