(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182371
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ボックスビットおよびこれを備えた自動締結機
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20221201BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B23P19/06 E
B23P19/06 J
B25B21/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089892
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】寺井 俊朗
(57)【要約】
【課題】
締結部品と嵌合しやすいボックスビットを提供する。
【解決手段】
締結部品Bに形成された多角柱形状の嵌合部と嵌合可能な嵌合穴11を有し、前記嵌合穴11は、締結部品Bの嵌合部の頂点より径方向外側に位置する嵌合凹部12と、この嵌合凹部12に連続し、径方向内側に突き出す嵌合凸部13とが周方向交互に所定の個数形成された花弁状に構成されており、前記嵌合穴11は、嵌合凸部13の開口縁部に径方向内側あるいは、回転方向上流側に向かうにつれて徐々に嵌合穴の奥方に向かうように傾斜する逃がし面142が形成されていることを特徴とするボックスビット10による。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部品に形成された多角柱形状の嵌合部と嵌合可能な嵌合穴を有し、
前記嵌合穴は、締結部品の嵌合部の頂点より径方向外側に位置する嵌合凹部と、この嵌合凹部に連続し、径方向内側に突き出す嵌合凸部とが周方向交互に所定の個数形成された花弁状に構成されているボックスビットにおいて、
前記嵌合凸部の端面には、径方向内側あるいは、回転方向上流側に向かうにつれて徐々に嵌合穴の奥方に向かうように傾斜する逃がし面が形成されていることを特徴とするボックスビット。
【請求項2】
前記逃がし面は、嵌合凸部の内側尖端部より径方向内側かつ回転方向上流側に中心点が位置するよう形成された略円錐形状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のボックスビット。
【請求項3】
前記逃がし面は、嵌合凸部の内側尖端部より径方向内側かつ回転方向上流側に中心点が位置するよう形成された略球面形状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のボックスビット。
【請求項4】
前記嵌合穴は、その開口縁部から奥方へ向かうに連れて縮径しながら傾斜するよう形成された呼び込み面を備えて成ることを特徴とする呼び込み面が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のボックスビット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のボックスビットと、
前記ボックスビットを回転駆動させる回転駆動源および前記ボックスビットを移動させる移動手段を備えたことを特徴とする自動締結機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、六角ボルトあるいはナット等の締結部品の嵌合部に嵌合させて締付けを行うボックスビットおよびこれを備えた自動締結機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、六角ボルト等を締め付けるボルト締め機に用いられる締結工具として、一端に六角柱形状の嵌合穴を備えたボックスビットが知られている。このボックスビットは、回転しながらボルトに向かって前進することで、嵌合穴内にボルトの頭部を嵌合させることが可能であり、前記ボルト締め機は、ボルトが嵌合した状態のボックスビットを所定の締結位置まで移送させたり、当該ボックスビットに回転駆動力を付与してボルトをワークに締め付けたりすることが可能に構成されていた。しかしながら、従来のボックスビットは、嵌合穴が六角柱形状であり、その開口する端面が平坦な形状のため、嵌合時にボックスビットの位相とボルトの位相とが少しずれると、ボックスビットの端面とボルトの頭部端面とが面接触する。このように、ボックスビットの端面とボルトの頭部端面とが面接触すると、当該ボックスビットは、これらの接触面に生じる摩擦抵抗等により、ボルトを供回りさせることがあった。つまり、上述したボックスビットには、嵌合穴とボルトとの位相が合わず、嵌合不良が頻繁に生じるという問題があった。また、このような嵌合不良が発生すると、一旦ボックスビットを後退させた後、再度、嵌合動作を実施する必要があるため、ボルト締め機のサイクルタイムが延びるという問題もあった。
【0003】
このような嵌合不良の問題を解決するため、先行特許1に示すようなボックスビットが創成されている。この先行特許1のボックスビットは、当該ボックスビットの軸線を中心とする円弧状の嵌合凹部を嵌合穴の開口面に配しており、この嵌合凹部が、嵌合穴の奥方へ向かって傾斜するよう形成されている。また、この嵌合凹部は、放射状に6個配置されており、この嵌合凹部と隣り合う嵌合凹部との間には、前記ボルト頭部側面と当接してトルク伝達可能な嵌合凸部が形成されている。このように構成された従来のボックスビットは、ボルトの頭部との位相が多少ずれていても当該頭部の角部を前記嵌合凹部から前記嵌合凸部へと案内でき、嵌合不良の発生を低減可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先行特許1に記載のボックスビットにおいても、ボルトの頭部に高い推力が作用した状態で嵌合凸部とボルトの頭部端面とが当接した際、嵌合凸部とボルトとの間に生じる摩擦力やボルトの頭部頂点とボルトの内側尖端部とが噛み合うことにより、ボルトが供回りすることがあった。このため、先行特許1に記載のボックスビットでも依然として嵌合不良を生じ易いという問題があった。また、ボルトの供回り対策として、待機するボルトの軸部等を所定の保持機構で挟持することによりボルトが回転しないよう固定する方法もあるが、この場合、保持機構を備えることでボルト締め機の構造や制御が複雑になるという別の問題が発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、締結部品と容易に嵌合可能なボックスビットの提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、締結部品に形成された多角柱形状の嵌合部と嵌合可能な嵌合穴を有し、前記嵌合穴は、締結部品の嵌合部の頂点より径方向外側に位置する嵌合凹部と、この嵌合凹部に連続し、径方向内側に突き出す嵌合凸部とが周方向交互に所定の個数形成された花弁状に構成されているボックスビットにおいて、前記嵌合凸部の端面には、径方向内側あるいは、回転方向上流側に向かうにつれて徐々に嵌合穴の奥方に向かうように傾斜する逃がし面が形成されていることを特徴とする。なお、前記逃がし面は、嵌合凸部の内側尖端部より径方向内側かつ回転方向上流側に中心点が位置するよう形成された略円錐面形状に構成されていることまたは、前記逃がし面が略球面形状に構成されていることが望ましい。また、前記嵌合穴の開口縁部には、径方向内側に向かうにつれて、徐々に嵌合穴の奥方へ向かうよう傾斜する呼び込み面が形成されていることが好ましい。
【0007】
また、本発明の提供を第2の目的は、上記ボックスビットを備えた自動締結機の提供を目的とし、この自動締結機は、前記ボックスビットと、前記ボックスビットを回転駆動させる回転駆動源および前記ボックスビットを移動させる移動手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のボックスビットによれば、嵌合凸部の一端に形成された逃がし面により、嵌合穴と締結部品とが何れの位相で当接しても、当該締結部品を供回りさせることなく、相対回転できるため、嵌合穴と締結部品とを容易に嵌合させることができる等の利点がある。なお、前記逃がし面が略錐体形状あるいは、略球面形状に構成されていることにより、比較的安価かつ容易に製造可能等の利点もある。さらに、呼び込み面が形成されていることにより、接触面積がさらに小さくなり、相対回転し易くなるため、ボルトがより嵌合し易くなる等の利点もある。しかも、前記ボックスビットを、回転駆動源および移動手段を備えた自動締結機に適用すると、ボルトをボックスビットに嵌合させる嵌合動作を複数回実施する必要がなくなり、サイクルタイムが向上する等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る自動締結機の構造を示す概略図である。
【
図2】本発明に係るボックスビットの構造を示す要部拡大斜視図である。
【
図3】本発明に係るボックスビットの構造を示す要部拡大底面図である。
【
図4】ボックスビットとボルトとの状態を示す動作説明図であり、(a)は、ボルトが嵌合穴と嵌合した状態を示し、(b)は、ボルトが呼び込み面と当接した状態を示し、(c)は、ボルトが逃がし面と当接した状態を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1において1は、締結部品の一例である頭部が六角柱形状のボルトBを締結するボルト締め機であり、ボルトBと嵌合するボックスビット10と、このボックスビット10に連結された連結軸20と、この連結軸20を回転駆動させる回転駆動源30と、この回転駆動源30を連結軸20の軸方向に往復駆動させる移動手段40とを有している。このため、ボックスビット10は、回転駆動源30の駆動を受けて回転可能かつ、移動手段40の駆動を受けて移動可能となる。なお、このボルト締め機1は、前記移動手段40が別途設けられる移動操作機構の一例である水平多関節ロボット(図示せず)に支持されており、この水平多関節ロボットの駆動を受けて水平方向に移動可能に構成されている。
【0011】
前記ボックスビット10は、
図2に示すようにその一端にボルトBの頭部と嵌合可能な嵌合穴11が形成されており、その他端には、前記連結軸20に連結される連結部16が作成されている。このボックスビット10の嵌合穴11は、当該ボックスビット10の軸芯を中心とする円弧形状の嵌合凹部12と、この嵌合凹部12に連続し、径方向内側に突き出す嵌合凸部13とが6個ずつ周方向交互に形成されており、略花弁形状に構成されている。この嵌合穴11の嵌合凹部12は、前記六角ボルトBの頭部の外接円より若干大きい径に構成されている。一方、前記嵌合凸部13は、前記ボルトBの内接円より若干外側となる位置に内側尖端部131が設定されており、この内側尖端部131からボックスビット10の回転方向の上流側および下流側それぞれの嵌合凹部12に向かって広がる上流側壁面132および下流側壁面133を有している。また、嵌合穴11の奥方には、磁石(図示せず)が固定されており、この磁石により、嵌合穴11内に収容したボルトBを吸着保持可能に構成されている。なお、本実施形態において、前記嵌合凹部12は、その中心角が24度に設定された円弧形状に構成されるとともに、前記内側尖端部131の角度(上流側壁面132および下流側壁面133の間の角度)が150度に設定されている。
【0012】
また、ボックスビット10の一端には、
図3に示すよう呼び込み面141および逃がし面142が形成されている。まず、呼び込み面141は、嵌合穴11の開口縁部から奥方へ向かうに連れて縮径しながら傾斜するよう形成された略円錐形状のテーパ面であり、その最大径部が前記嵌合凹部12の円弧形状と同径に設定されている。一方、逃がし面142は、前記嵌合凸部13の一端に形成された傾斜面であり、前記呼び込み面141より傾斜が急になるように設定されている。この逃がし面142は、ボックスビット10の径方向内側かつボックスビット10の回転方向上流側(矢印Rと逆方向)に向かうにつれて徐々に嵌合穴11の奥方に向かうように傾斜しており、当該逃がし面142に当接したボルトBの頭部がその傾斜に沿って摺動するように設定されている。なお、本実施形態において、逃がし面142は、前記呼び込み面141と一部重複して形成された略円錐形状のテーパ面であり、その中心点143が前記内側尖端部131より径方向内側かつボックスビット10の回転方向上流側に所定の角度ずれた位置に設定されている。この逃がし面142は、その最大径部が前記上流側壁面132と嵌合凹部12との境界点15を包含するように寸法設定されている。また、前記呼び込み面141はその傾斜角度が45度に設定されており、逃がし面142はその傾斜角度が60度に設定されている。さらに前記中心点143は、内側尖端部131より10度回転方向上流側にずれて設けられている。
【0013】
なお、前記回転駆動源30は、後述するボルトBの締結時、ボックスビット10を
図3および
図4に示す矢印R方向(底面視反時計回り)に回転させるよう構成されている。また、前記移動手段40は、駆動源の一例であるACサーボモータ41と、このACサーボモータ41の駆動を受けて回転するボールねじ42と、このボールねじ42と螺合し、これの回転により、昇降する駆動ナット43とを有しており、駆動ナット43には、前記回転駆動源30が連結されている。これらにより、前記移動手段40のACサーボモータ41が駆動することにより前記回転駆動源30および前記ボックスビット10は、連結軸20の軸方向に往復移動可能となる。これら回転駆動源30および移動手段40と、前記水平多関節ロボットは、制御装置(図示せず)にその駆動を制御されており、水平多関節ロボットの駆動により、前記ボックスビット10を所定の待機位置と、ボルトBの軸線上に設定される受取位置と、締結位置とを移動させるように構成されている。
【0014】
次に上記のように構成されたボルト締め機1の作用を説明する。
駆動信号が入力されると、水平多関節ロボットは、ボックスビット10を所定の待機位置から所定の治具(図示せず)に保持されたボルトBの軸線上に設定される受取位置に向けて移動させる。ボックスビット10が受取位置に到達すると、水平多関節ロボットが停止する。水平多関節ロボットが停止した後、前記回転駆動源30が作動してボックスビット10を矢印R方向に回転駆動させるとともに移動手段40が駆動して、ボックスビット10をボルトBに向けて移動させる。
【0015】
上述のように回転しながら移動するボックスビット10の一端がボルトBの頭部端面に達した際、
図4の(a)に示すように前記嵌合穴11の嵌合凹部12がボルトBの頭部の頂点に重なれば、ボックスビット10は、その端面にボルトBの頭部端面を当接させることなく嵌合穴11内に収容する。この時、前述の様に嵌合凹部12が円弧状に構成されており、
図4の(a)の二点鎖線に示すようにボックスビット10と多少位相が異なっていても嵌合凹部12をボルトBの頭部の頂点に重ねることができ、比較的円滑にボルトBと嵌合することができる。
【0016】
しかしながら、
図4の(b),(c)に示すように前記嵌合穴11の嵌合凸部13がボルトBの頭部の頂点に重なれば、前記呼び込み面141または逃がし面142がボルトBの頭部端面に当接する。まず
図4の(b)に示すように呼び込み面141がボルトBに当接した時、前述のように呼び込み面141が径方向内側に向かうにつれて徐々に嵌合穴11の奥方に向かうように傾斜しているため、呼び込み面141は、ボルトBの頭部の頂点あるいはその付近のみと当接可能となる。これにより、呼び込み面141とボルトBとの接触面積が比較的小さくなるため、これらの間に生じる摩擦抵抗が小さくなり、ボルトBと円滑に相対回転可能となる。このため、ボルトBが摩擦によって供回りし始めるより前に、呼び込み面141は、ボルトBの頭部から外れ、それと同時に呼び込み面141の上流に位置する逃がし面142がボルトBに接触する。
【0017】
逃がし面142がボルトBに当接した際、前記逃がし面142は、ボックスビット10の回転方向上流側に向かうにつれて徐々に嵌合穴11の奥方に向かうように傾斜しており、その傾斜をボルトBの頭部に沿わせながら相対回転できるため、ボルトBの供回りが防止される。この時、逃がし面142が径方向内側に向かうにつれて徐々に嵌合穴11の奥方に向かうように傾斜しているため、呼び込み面141と同様、逃がし面142は、ボルトBの頭部の頂点あるいはその付近のみと当接でき、ボルトBと円滑に摺動する。また、内側尖端部131においても傾斜しているため、ボルトBの頭部の頂点と内側尖端部131とが重なる位置であっても噛み合うことがない。結果、逃がし面142も供回りさせることなくボルトBから外れる。この時、逃がし面142の最大径部が上流側壁面132と上流側の嵌合凹部12との境界点15を包含するように寸法設定されていることにより、当該境界点15部分がボルトBの頭部の頂点に引っ掛ることが防止される。このように逃がし面142がボルトBから外れると同時に、当該逃がし面142の回転方向上流側に位置する嵌合凹部12がボルトBの頭部の頂点と重なるため、ボックスビット10は、嵌合穴11内にボルトBを収容する。
【0018】
上述のように逃がし面142等が形成されていることにより、ボックスビット10は、ボルトBと何れの位相で接触しても、当該ボルトBを供回りさせることなく、嵌合凹部12が当該ボルトBと重なる位相まで相対回転し、ボルトBを嵌合穴11内に収容することができる。このため、嵌合動作を複数回実施する必要がなく、ボルト締め機1のサイクルタイムが短縮される。また、嵌合穴11内に収容されたボルトBは、嵌合穴11の奥方に設けられた前記磁石により着磁保持され、その頭部側面に前記嵌合凸部13の上流側壁面132が当接した状態でボックスビット10と一体に回転する。嵌合穴内にボルトを収容すると、前記回転駆動源30が停止し、その後、前記水平多関節ロボットは、受取地位から締結位置までボックスビット10およびボルトBを移動させる。ボルトが締結位置に達すると、水平多関節ロボットが停止する。水平多関節ロボットが停止した後、前記回転駆動源30が作動してボックスビット10を矢印R方向に回転駆動させるとともに移動手段40が駆動して、ボックスビット10を所定のワークに向けて移動させて、ボルトBを締結する。
【0019】
本実施形態のボックスビット10は、逃がし面142が上述のように略円錐形状に構成されているため、前記中心点143上に先端が錐体形状のドリル等を配置し、切削加工によって先端の錐体形状を転写することで容易製造できる。そのため、フライス盤や複合工作機を用いて所定の傾斜面を削り出すのと比べ、安価かつ短時間に製造できる。なお、逃がし面142が回転方向上流側に形成されているため、締結過程にてボルトBの側面と当接し、これを押圧する下流側壁面133の面積が大きく減少しない。このため、締結過程において、下流側壁面133およびボルトBの側面にかかる圧力が増大せず、これら当接箇所の破損が防止される。また、逃がし面142が形成されているため、嵌合凹部12を極端に大きくする必要がない。このため、締結時、ボルトBと当接する嵌合凸部13が極端に小さく、締結トルクにより破損するあるいは、締付け時にボルトが嵌合凸部から外れ、ボックスビットが空回りすること等が防止される。同時に、呼び込み面141が形成されていることにより、嵌合凸部13の端面全てに逃がし面142で形成されている場合に比して嵌合凸部13が切削される量が少なくなる。このため、ボックスビット10の強度が向上し、より破損しにくく成る。しかも、逃がし面142等により嵌合し易くすることにより、ボルトBの軸部等を保持する機構等を要しない。このため、前記移動手段40等を制御する制御装置の構成が単純なものでよく、ボルト締め機1が比較的容易かつ安価に製造可能となる。
【0020】
なお、本発明に係るボックスビット10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態のボックスビット10は、嵌合穴11に磁石を備えた着磁式のもので合ったが、これに限定されず、嵌合穴11の底面に吸気穴を備え、ボルトBの頭部端面を吸着保持可能な吸気式のボックスビットや、仮止めされたボルトBを増し締めする増し締め用のボックスビット、または嵌合穴11の底面におねじの出代用の逃げを備えたナット締結用のボックスビット等であっても何ら問題ない。また、前記逃がし面142は、略円錐形状に限定されず、その中心軸が前記中心点143と同軸上設定された略球面形状等その他形状であってもよい。さらに、呼び込み面141の傾斜角度や、逃がし面142の傾斜角度および前記中心点143と内側尖端部131との角度差等は、使用するボルトBの頭部形状やナットの外形により、適宜設定可能である。しかも、前記回転駆動源30、前記移動機構40、前記水平多関節ロボットの構成も上述のものに限定されず、他の構成であっても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0021】
1 … 自動締結機
10 … ボックスビット
11 … 嵌合穴
12 … 嵌合凹部
13 … 嵌合凸部
141 … 呼び込み面
142 … 逃がし面
143 … 中心点
B … 締結部品