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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182372
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】支持部材
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/35 20160101AFI20221201BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20221201BHJP
【FI】
A61B90/35
G03B15/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089893
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 清
(57)【要約】
【課題】照明ユニットを支持可能かつ筋鈎への着脱を容易にした支持部材の提供。
【解決手段】本発明の支持部材1は、幅方向に一部張り出した張出部9に連結された軸状の取手部8からほぼ直角に向きを変え延びる鈎部7を備えて成る筋鈎5への着脱を可能に形成された着脱部と、執刀者による手術を補助するための照明ユニット40を支持可能な支持部12,23a,23bとを備える。着脱部は、張出部9に嵌合する一端が開口した嵌合溝21,22を備えた嵌合部20と、取手部8に係合する一端が開口した係合溝11を備えた係合部10とから構成される。係合部10および嵌合部20は、取手部8に接する突出部31を備えた連結部材30に連結されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に一部張り出した張出部に連結された軸状の取手部からほぼ直角に向きを変え延びる鈎部を備えて成る筋鈎への着脱を可能に形成された着脱部と、執刀者による手術を補助するための補助ユニットを支持可能な支持部とを備えた支持部材であって、
前記着脱部は、前記張出部に嵌合する一端が開口した嵌合溝を備えた嵌合部と、前記取手部に係合する一端が開口した係合溝を備えた係合部とから構成され、
前記係合部および嵌合部は、前記取手部に接する突出部を備えた連結部材に連結されて成ることを特徴とする支持部材。
【請求項2】
前記突出部は、板状の前記連結部材を曲げ加工によって一体に成形されて成ることを特徴とする請求項1に記載の支持部材。
【請求項3】
前記支持部は、前記係合部または嵌合部の一方の上部あるいは係合部および嵌合部の両方の上部に成形されて成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の支持部材。
【請求項4】
前記支持部は、前記補助ユニットを同一直線上に支持しないよう複数箇所に配置されて成ることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の支持部材。
【請求項5】
前記支持部は、その一端が開口した長穴状の支持溝であることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の支持部材。
【請求項6】
前記支持部は、前記補助ユニットを複数の支持位置に調整可能にする波打つような内面を形成されて成ることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の支持部材。
【請求項7】
前記支持溝は、他の支持溝の開口の向きに対して異なる角度で開口の向きを設定されて成ることを特徴とする請求項5または請求項6の何れかに記載の支持部材。
【請求項8】
前記連結部材は、前記係合溝の開口を塞がないようオフセットさせて配置されており、
前記嵌合部の支持部は、前記オフセットさせた方向へ寄せて配されることを特徴とする請求項3ないし請求項8の何れかに記載の支持部材。
【請求項9】
前記補助ユニットは、光を照射する照射手段と、この照射手段を一端に備え軸状に成形された柔軟に可動する可動部を備えた照明ユニットであることを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れかに記載の支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明などの各種ユニットを支持可能かつ術具への着脱を容易にした支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の支持部材は、特許文献1に示すように、術具の一例である筋鈎に着脱可能な着脱部と、光ファイバを支持可能なユニット取付部とを備えて成る。前記着脱部は、対向配置された爪と、これら爪を常時閉じる方向へ付勢する付勢部材とを備えており、所謂クリップのような形態を成している。また、前記ユニット取付部は、光ファイバを上下左右方向へ可動自在な可動部と、当該光ファイバを挿通可能な挿通穴とを備えて成る。このように構成された従来の支持部材は、前記着脱部を備えるため、筋鈎への着脱が容易という特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-015311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の支持部材は、前記挿通穴と光ファイバとの隙間や、上下左右へ可動する前記可動部の僅かな隙間に手術時の汚れ等が入り込み易いという問題があった。また、このような汚れは、感染症の観点から手術の後に都度洗浄されるが、従来の支持部材は、可動部や挿通穴といった込み入った箇所に汚れが入り込むので、これを除去するための洗浄作業に時間を要するという問題もあった。さらに、従来の支持部材は、これに取り付けた光ファイバの位置を調整する際、当該光ファイバを可動部から引っ張り出したり押し込んだりと僅かな出代の微調整が煩わしいという問題もあった。
【0005】
さらに、筋鈎が軸状に成形される場合、従来の支持部材は、当該軸を2つの爪で狭持するが、当該爪に外力が加わると軸周りへ回転する恐れがある。このような支持部材の回転が発生すると光ファイバの先端の位置も変化し易く、必要な光を安定して照射し難いという問題もあった。また、このような支持部材の軸周りの回転を防止するには、前記付勢部材の付勢力を高めることが考えられる。しかし、前記付勢部材の付勢力を高いものに置き換えると、執刀医などが爪を開く方向へ操作し難くなり、筋鈎への着脱が困難になるという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、幅方向に一部張り出した張出部に連結された軸状の取手部からほぼ直角に向きを変え延びる鈎部を備えて成る筋鈎への着脱を可能に形成された着脱部と、執刀者による手術を補助するための補助ユニットを支持可能な支持部とを備えた支持部材であって、前記着脱部は、前記張出部に嵌合する一端が開口した嵌合溝を備えた嵌合部と、前記取手部に係合する一端が開口した係合溝を備えた係合部とから構成され、前記係合部および嵌合部は、前記取手部に接する突出部を連結部材に連結されて成ることを特徴とする。なお、前記突出部は、板状の前記連結部材を曲げ加工によって一体に成形されて成ることが望ましい。また、前記支持部は、前記係合部または嵌合部の一方の上部あるいは係合部および嵌合部の両方の上部に成形されて成ることが望ましい。さらに、前記支持部は、前記補助ユニットを同一直線上に支持しないよう複数箇所に配置されて成ることが望ましい。また、前記支持部は、その一端が開口した長穴状の支持溝であることが望ましい。さらに、前記支持部は、前記補助ユニットを複数の支持位置に調整可能にする波打つような内面を形成されて成ることが望ましい。また、前記支持溝は、他の支持溝の開口の向きに対して異なる角度で開口の向きを設定されて成ることが望ましい。さらに、前記連結部材は、前記係合溝の開口を塞がないようオフセットさせて配置されており、前記嵌合部の支持部は、前記オフセットさせた方向へ寄せて配されることが望ましい。また、前記補助ユニットは、光を照射する照射手段と、この照射手段を一端に備え軸状に成形された柔軟に可動する可動部を備えた照明ユニットであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る支持部材は、係合部および嵌合部を連結する連結部材に突起部を備えるので、取手部が係合部、突起部、嵌合部の3箇所に接する。しかも、この3箇所が取手部に接する状態では、連結部材のしなりが常時生じるので、本発明に係る支持部材は、取手部を挟持して当該取手部から脱落し難いという利点がある。また、本発明に係る支持部材は、連結部材のしなりに抗する反発力を利用した簡便な構成でありながら、筋鈎への取り付けを容易にするという利点もある。さらに、本発明に係る支持部材は、板状の連結部材を曲げて突起部を成形して成るため、連結部材に別部材を溶接するなどの必要がない。よって、板状の連結部材を曲げ加工するだけで突出部を当該連結部材に一体に構成できるため、安価かつ軽量に仕上げられるという利点もある。また、本発明に係る支持部材は、支持部を係合部または嵌合部の一方の上部あるいは係合部および嵌合部の両方の上部に配置しているので、取手部よりも上方に補助ユニットを装着でき、当該補助ユニットの着脱操作が行い易いという利点もある。さらに、本発明に係る支持部材は、補助ユニットを同一直線上に支持しないよう支持部を複数箇所に配置して成るので、支持されていない補助ユニットを捻じって回転させようとしても当該回転力が伝達され難い。よって、本発明に係る支持部材は、これに支持される補助ユニットを安定的に支持でき、例えば補助ユニットが照明ユニットで構成されその先端が鈎部の先端に延びるよう配置されている場合、振り子のように揺動し難いという利点もある。また、本発明に係る支持部材は、支持部を一端が開口する長穴状の支持溝としているので、当該開口部から補助ユニットを差し込み易く着脱し易いという利点もある。さらに、本発明に係る支持部材は、支持部の内面を波打つように形成するので、補助ユニットの取付位置を段階的に調整できるという利点もある。これにより、例えば、補助ユニットが照明ユニットであり鈎部の先端付近まで延びるよう配置されている場合、鈎部先端の中央や右端など任意の位置に調整でき取り回しに優れるという利点もある。また、本発明に係る支持部材は、他の支持溝の開口の向きに対して異なる角度で開口の向きを設定しているので、補助ユニットが誤って一方向へ引き抜かれた場合であっても、この引き抜き方向には開口しない支持溝によって脱落が防止されるという利点もある。さらに、本発明に係る支持部材は、係合溝の開口箇所を塞がないよう左右一方へ寄ってオフセット配置され、かつ嵌合部の支持部も当該オフセットした方へ寄って配置されているため、補助ユニットを支持している状態でも筋鈎から着脱し易いという利点もある。これは、支持部材から筋鈎を取り外す際、取手部が前記支持部から離反する方向へ移動するからであり、前記支持部材が支持部側への筋鈎の移動規制の役割を果たすからである。また、本発明に係る支持部材は、補助ユニットを柔軟に可動する照明ユニットとしているので、鈎部の先端に照射手段を配置することで執刀者の術野を明るく保てるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る支持部材を示す概略説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は上方から見た斜視図、(d)は下方から見た斜視図である。
図2図1の支持部材の使用状態を示す概略説明図であり、(a)は平面図、(b)は背面図、(b)は正面斜め後方から見た斜視図であり、(c)は、支持部材を取り付ける筋鈎の一例を示す斜視図である。
図3】本発明に係る別の支持部材を示す概略説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図であり、(d)は上方から見た斜視図である。
図4図3の別の支持部材の使用状態を示す概略説明図であり、(a)は前方上方から見た斜視図、(b)は前方下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る支持部材を図1ないし図4に基づいて説明する。本発明に係る支持部材1は、図2(d)に示す切開箇所を開口する際に多用される術具の一例である筋鈎5への着脱を可能に構成されている。この筋鈎5は、執刀者(図示せず)に把持される把持部6と、この把持部6からほぼ直角に向きを変えて延びる鈎部7とから構成されており、ステンレスなどの材質から成る。また、前記把持部6は、前記鈎部7に連設され軸状に延びる取手部8と、この取手部8に対して幅方向に張り出すリング形状の張出部9とを一体に備えて成る。
【0010】
また、本発明に係る支持部材1は、図2(a)ないし図2(c)、図4(a),(b)に示すように、鈎部7の先端に光を照射する補助ユニットの一例である照明ユニット40を取り付け可能に構成されている。この照明ユニット40は、光を照射する照射手段41と、この照射手段41を一端に備え軸状に成形された柔軟に可動する可動部42を備えて成る。前記可動部42は、前記照射手段41へ伝送する電力や光を伝送可能な伝送線(図示せず)と、この伝送線に沿って配置され当該照明ユニット40の自重のみでは湾曲せず人力で容易に湾曲する銅線(図示せず)とを内蔵して成り、外力により柔軟に変形可能でかつ外力を除いても任意の形状を維持する形状維持機能を備える。このように、形状維持機能を有する照明ユニット40は、図示するよう直角に曲がる筋鈎5に沿って配置することができる。
【0011】
本発明に係る支持部材1は、前記把持部6に着脱可能な着脱部を備えて成る。前記着脱部は、前記取手部6に係合する係合部10と、前記張出部9に嵌合する嵌合部20と、これら係合部10および嵌合部20を一体に接続する連結部材30とから構成される。
【0012】
前記係合部10は、前記取手部6を下方から差し込み可能な係合溝11と、前記照明ユニット40の可動部42を取り付け支持可能な支持部を備えて成る。また、前記係合溝11は、図2(b),(c)に示すように、これに係合した取手部6の上方と両側面とをガイド可能に構成されている。
【0013】
前記嵌合部20は、図1(a),(b),(c)、図3(a),(d)に示すように2部材により構成されており、後述する連結部材30の後端上面に固定配置されて成る。また、前記2部材は、前記取手部8を挿通可能に所定の間隔を空けて配置されており、リング状の張出部9を水平方向から差し込み可能な嵌合溝21,22を構成して成る。これにより、前記張出部9は、図2(a),(b)および図4(a),(b)に示すようにその外形の一部が嵌合溝21,22に嵌まり込むので、上下左右方向へ抜け出さないように規制される。さらに、前記2部材の一方の上部には、照明ユニット40の可動部42を取り付け支持可能な支持部が形成されている。
【0014】
前記係合部10の支持部は、図1および図2に示すように、前記係合溝11の上方に配されており、当該係合部10の上面から係合溝11へ向かい開口した縦長の長穴状に成形された支持溝12として構成されている。
【0015】
前記嵌合部20の支持部は、図1および図2に示すように、前記嵌合溝21側の上方に複数配されており、当該嵌合部20の上面から嵌合溝21へ向かい開口した縦長の長穴状に成形された支持溝23a,23bとして構成されている。
【0016】
なお、前記支持溝12,23a,23bの溝幅は、深さに応じて設定されており、開口箇所が可動部42を案内可能な幅広に設定され、この開口箇所から深くなるに連れて幅狭かつ可動部42の直径よりも僅かに小さな幅寸法に設定され、ここからさらに深くなるに連れて幅広かつ可動部42を挿通可能な幅寸法に設定されている。つまり、支持溝12は、一旦取り付けられた可動部42を容易には取り外せないよう幅狭な返し部を備えている。
【0017】
一方、図3に示す別形態の係合部の支持溝12は、係合部10の右側方から係合溝11の上方へ向かい開口し斜め上方へ延びる横長の長穴状に成形される。また、この支持溝12は、図3(c)に示すように、その内面が連続的に波打つように形成され、可動部42の支持位置を任意に設定可能に構成されている。これにより、図4に示すとおり、可動部42を支持溝12の奥側にて支持したり、あるいは、支持溝12の開口側にて支持することができ、照射手段41の位置を鈎部7の中央あるいは側方へ任意に配置でき、執刀者の手術の妨げにならない位置へと容易に変更できるという利点がある。
【0018】
また、図3に示す別形態の係合部の支持溝23a,23bは、嵌合部21側の上方から開口する縦長の長穴状あるいは、上方側面から開口する横長の長穴状に成形されている。
【0019】
したがって、この図3に示す支持部材1は、鈎部7に近い係合部10の前記支持溝12(横長)、次に近い嵌合部20の支持溝23a(縦長)、最も遠い支持溝23b(横長)と前記可動部42を横縦と交互に支持するので、仮に執刀者が誤って可動部42を上方へ引っ張ったとしても、上部に内面を有する支持溝12、23bによって可動部42の脱落が防止される。
【0020】
前記連結部材30は、板状を成しており、上述した2部品で構成される嵌合部20と、係合部10とを溶接やねじ止め、接着あるいは一体成形などの方法によってそれぞれ固定して成る。また、連結部材30は、その中間付近に上方へ突出した突出部31を備えて成り、この突出部31は、固定された係合部10および嵌合部20側となる上方に突出するよう曲げ加工が施されて成形されている。これにより、本発明に係る支持部材1は、図2に示す筋鈎に取り付けられた状態であると、把持部6の下部を突出部31により上方へ押圧する一方、当該把持部6の上部を係合部10および嵌合部20により下方へ押圧して連結部材30の反りを利用して筋鈎5への装着状態を安定させることができる。
【0021】
さらに、前記連結部材30は、その先端が幅方向に偏るよう成形されており、ここへ取り付ける係合部10の係合溝11を下方から塞がないようオフセット配置されて成る。よって、図2(b)および図4(b)に示すように取手部8を係合部10の下方から案内して、当該係合溝11へセットすることができる。
【0022】
次に、本発明に係る支持部材1の作用について説明する。執刀者は、まず、筋鈎5を図1および図3に示す支持部材1の係合溝11に係合させるため、当該取手部8を連結部材30の上方から係合部10の下方へと斜めに差し入れる。
【0023】
斜めに差し入れた取手部8は、連結部材30に沿うよう水平に戻されるが、この時、前記張出部9が嵌合部20の上部と干渉しないように、当該張出部9を嵌合部20の後方側に位置するよう引かれる。
【0024】
執刀者は、上述のように連結部材30に沿うよう取手部8を水平に戻せば、張出部9の位相を嵌合溝21,22の位相に一致させ、当該張出部9を前方へ押し込み嵌合溝21,22に嵌合させる。
【0025】
これにより、図2(b)に示すように、把持部6は、取手部8の先端側上部が係合溝11、当該取手部8の後端側下部が突起部31の上端、張出部9の上部が嵌合溝21,22と、支持部材1の複数箇所に接して当該支持部材1に挟持される状態となる。また、この時、前記連結部材30には、取手部8と接する突起部31を支点に曲げモーメントが生じる。このように支持部材1を筋鈎5へ装着できれば、照明ユニット40を支持部に装着する。
【0026】
このように、筋鈎5に装着された状態の支持部材1への照明ユニット40の装着手順に合わせて作用および効果について説明する。なお、図1および図2に示す支持部材1の作用および効果を述べた後、図3および図4に示す別形態の支持部材1の作用および効果の順で述べる。
【0027】
まず、図1および図2に示す支持部材1の作用および効果を説明する。執刀者は、照明ユニット40の照射手段41の位置を図2(b),(c)に示すように鈎部7の中央かつ先端から若干突出する位置に配置するため、鈎部7の直角な曲げに沿うよう可動部42を90度に曲げ、ここから取手部8に沿うよう配置して縦長の支持溝12の開口した箇所に合わせる。
【0028】
続いて、執刀者は、可動部42を縦長の前記支持溝12の上方から押し込み装着した後、可動部42を縦長の前記支持溝23aの上方から押し込み装着する。この時、支持溝23aは、図2(a)などに示すように、前記支持溝12に対して同一直線上に配置されていない。これにより、支持溝12および支持溝23aに支持された可動部42は、前記支持溝12を境にして、取手部8に沿って水平に延びる箇所と、徐々に斜めに延びる箇所とに分かれて姿勢を変化させる。さらに、縦長の支持溝23bは、支持溝23aに対して約90度向きを変えており、先ほどの支持溝12に対しても同一直線上に配置されていない。
【0029】
このように複数の支持溝12,23a,23bを同一直線上に配置しないことで、例えば、これら支持溝12,23a,23bに支持され、支持溝23b以降に位置する可動部42を軸周りへ回転させたとしても、この回転力が向きの異なる支持溝によって打ち消され、先端に位置する照射部41を鈎部7に沿って揺動させるようなことも起こり難い。したがって、本発明に係る支持部材1は、支持溝12,23a,23bの配置を同一直線上に並ばないよう配置しているので、前記照射部41を振り子のように揺動することを防止でき、執刀者が誤って可動部42に触れ回転させるようなことがあっても、照射箇所に変化を生じさせ難いという利点がある。
【0030】
次に、図3および図4に示す別形態の支持部材1の作用および効果を説明する。執刀者は、照明ユニット40の照射手段41の位置を図4(a),(b)に示すように鈎部7の前方中央へ配置するため、鈎部7の直角な曲げに沿うよう可動部42を90度に曲げ、ここから取手部8に沿うよう配置して支持溝12の開口した箇所に合わせる。
【0031】
続いて、執刀者は、可動部42を横長の前記支持溝12へ側方から押し込み装着する。また、同様に、可動部42を縦長の前記支持溝23aの上方から押し込み装着する。この支持溝23aは、図3(a)に示すように、横長の前記支持溝12に対して同一直線上に配置されていないので、前記取手部8に対して徐々に斜めになって支持される姿勢となる。
【0032】
また、横長の前記支持溝23bは、前記支持溝23aに対して約45度向きを変えて配されており、先ほどの支持溝12に対しても同一直線上に配置されていない。このため、図3および図4に示す別形態の支持部材1は、図1および図2に示すの支持部材1と同様に照射手段41が振り子のように揺動し難い。
【0033】
さらに、この図3,4に示す支持部材1の支持溝12,23a,23bは、それぞれの支持溝の開口の向きに対して異なる角度で開口の向きを設定されているので、執刀者が誤って装着されている照明ユニット40に触れるなどして可動部42に力が加わっても何れかの支持溝の内面で当該力を受けることができる。よって、図3および図4に示す別形態の支持部材1は、同一方向に開口する図1および図2に示す支持部材1と比較すると、可動部42を脱落させ難い。
【0034】
加えて、図3,4に示す支持部材1は、支持溝12,23a,23bに照明ユニット40を装着した状態のまま前記筋鈎5から着脱し易いという利点がある。これは、前記連結部材30が、係合溝11の開口を塞がないようオフセットさせて配置されており、しかも、嵌合部20の支持溝23a,23bが、連結部材30のオフセット方向に寄せて配置されているからである。
【0035】
前述した連結部材30のオフセット配置の利点について、具体的に前記支持部材1を筋鈎5から取り外す手順に沿って説明する。まず、張出部9を後方へ引き嵌合溝21,22から取り外し、張出部9を上方へ引き上げる。ここで把持部6は、支持部材1に対して水平な姿勢から斜めに傾き、連結部材30に生じていた曲げモーメントが解消される。
【0036】
また、この傾いた姿勢の把持部6は、傾いた状態のまま係合溝11を支点に旋回操作され、前記取手部8が係合溝11から下方へと抜き取られる。この傾いた状態の把持部6を旋回操作する際、その旋回方向が前記係合溝23a,23bから離反する方向となるため、傾き旋回する取手部8が可動部42に交差するよう接触することがない。このように、図3および図4に示す支持部材1は、筋鈎5から取り外す際、照明ユニット40を支持溝12,23a,23bに装着したままであっても容易に取り外すことができるという利点がある。
【0037】
なお、前記補助ユニットは、形状維持機能を有する可動部42を備えていればよく、前記照射手段41を手術内容に合わせて水やエア等を噴出する噴出手段、あるいは、体内から異物などを吸引する吸引手段などに置き換えてもよい。また、前記突出部31は、曲げ加工により成形するものに限定されるものではなく、取手部8に干渉する干渉部材を固定配置されて成るものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 … 支持部材
5 … 筋鈎
7 … 鈎部
8 … 取手部
9 … 張出部
10 … 係合部
11 … 係合溝
12 … 支持部
20 … 嵌合部
21,22 … 嵌合溝
23a,23b … 支持部
30 … 連結部材
31 … 突出部
40 … 補助ユニット
図1
図2
図3
図4