(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182375
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20221201BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 305
B41J2/16 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089896
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】水田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】奥井 宏明
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF93
2C057AG91
2C057AP25
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】圧電素子列ごとの液体の吐出特性にばらつきが生じるおそれがある。
【解決手段】液体吐出ヘッドは、複数の第1圧力室と、複数の第2圧力室と、が形成される圧力室基板と、複数の第1圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第1圧電素子列と、複数の第2圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第2圧電素子列と、第1圧電素子列と第2圧電素子列との間に配置され、複数の圧電素子に電圧を供給するための配線基板と、圧力室基板と複数の圧電素子との間に配置された振動板と、を備えた液体吐出ヘッドであって、配線基板と圧力室基板又は振動板との接合部分のうち、第1圧電素子列側には、第1量の接着剤が存在し、接合部分のうち、配線基板の第2圧電素子列側には、第1量より多い第2量の接着剤が存在し、第1圧電素子列に関する第1吐出要素と、第2圧電素子列に関する第2吐出要素とは、互いに異なる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1圧力室と、複数の第2圧力室と、が形成される圧力室基板と、
前記複数の第1圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第1圧電素子列と、
前記複数の第2圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第2圧電素子列と、
前記第1圧電素子列と前記第2圧電素子列との間に配置され、前記第1圧電素子列の前記複数の圧電素子及び前記第2圧電素子列の前記複数の圧電素子に電圧を供給するための配線基板と、
前記圧力室基板の厚さ方向において、前記圧力室基板と前記複数の圧電素子との間に配置された振動板と、を備えた液体吐出ヘッドであって、
前記配線基板と前記圧力室基板又は前記振動板との接合部分のうち、前記第1圧電素子列側には、第1量の接着剤が存在し、
前記接合部分のうち、前記配線基板の前記第2圧電素子列側には、前記第1量より多い第2量の接着剤が存在し、
前記第1圧電素子列に関する第1吐出要素と、前記第2圧電素子列に関する第2吐出要素とは、互いに異なる液体吐出ヘッド。
【請求項2】
互いに交差する方向を第1方向、第2方向とし、
前記第1圧電素子列及び前記第2圧電素子列は、それぞれ前記複数の圧電素子が前記第1方向に沿って配列され、
前記第1圧電素子列及び前記第2圧電素子列は、前記第2方向に離間する請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1吐出要素は、前記第1圧力室の前記第1方向に沿う長さを含み、
前記第2吐出要素は、前記第2圧力室の前記第1方向に沿う長さを含み、
前記第2圧力室の前記第1方向に沿う長さは、前記第1圧力室の第1方向に沿う長さよりも長い請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記複数の圧電素子は、
前記複数の圧電素子に対して個別に設けられた個別電極と、
前記複数の圧電素子に対して共通に設けられた共通電極と、
前記個別電極と前記共通電極との間に配置された圧電体層と、を有し、
前記第1吐出要素は、前記第1圧電素子列の前記圧電素子における前記個別電極の前記第1方向に沿う長さを含み、
前記第2吐出要素は、前記第2圧電素子列の前記圧電素子における前記個別電極の前記第1方向に沿う長さを含み、
前記第2圧電素子列の前記圧電素子における前記個別電極の前記第1方向に沿う長さは、前記第1圧電素子列の前記圧電素子における前記個別電極の前記第1方向に沿う長さよりも長い請求項2又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記複数の圧電素子は、
前記複数の圧電素子に対して個別に設けられた個別電極と、
前記複数の圧電素子に対して共通に設けられた共通電極と、
前記個別電極と前記共通電極との間に配置された圧電体層と、を有し、
前記第1吐出要素は、前記第1圧電素子列の前記圧電素子における前記圧電体層の前記第1方向に沿う長さを含み、
前記第2吐出要素は、前記第2圧電素子列の前記圧電素子における前記圧電体層の前記第1方向に沿う長さを含み、
前記第2圧電素子列の前記圧電素子における前記圧電体層の前記第1方向に沿う長さは、前記第1圧電素子列の前記圧電素子における前記圧電体層の前記第1方向に沿う長さよりも短い請求項2~4の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第1吐出要素は、前記第1圧力室の前記第2方向に沿う長さを含み、
前記第2吐出要素は、前記第2圧力室の前記第2方向に沿った長さを含み、
前記第2圧力室の前記第2方向に沿う長さは、前記第1圧力室の前記第2方向に沿う長さよりも長い請求項2~5の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第1圧力室よりも上流側の外部から前記第1圧力室を通って液体を吐出する第1ノズルまで液体が流通可能な第1流路と、
前記第2圧力室よりも上流側の外部から前記第2圧力室を通って液体を吐出する第2ノズルまで液体が流通可能な第2流路と、を含み、
前記第1吐出要素は、前記第1流路内の液体の流通方向に見たときの最小断面積を含み、
前記第2吐出要素は、前記第2流路内の液体の流通方向に見たときの最小断面積を含み、
前記第2流路内の液体の流通方向に見たときの前記第2流路の最小断面積は、前記第1流路内の液体の流通方向からみたときの最小断面積よりも大きい請求項2~6の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第1圧力室と連通し、液体を吐出する第1ノズルと、
前記第2圧力室と連通し、液体を吐出する第2ノズルと、を含み、
前記第1吐出要素は、前記第1ノズルの径を含み、
前記第2吐出要素は、前記第2ノズルの径を含み、
前記第2ノズルの径は、前記第1ノズルの径よりも大きい請求項2~7の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記第1圧力室及び前記第2圧力室の両方に共通に連通し、液体を吐出するノズルを備える、請求項1~6何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記配線基板は、
前記圧力室基板の厚さ方向に延在する本体部分と、
前記本体部分の前記圧力室基板側の端部から前記第2圧電素子列側に屈曲された端子と、を含む請求項1~9の何れか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
複数の第1圧力室と、複数の第2圧力室と、が形成される圧力室基板と、
前記複数の第1圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第1圧電素子列と、
前記複数の第2圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第2圧電素子列と、
前記第1圧電素子列と前記第2圧電素子列との間に配置され、前記第1圧電素子列の前記複数の圧電素子及び前記第2圧電素子列の前記複数の圧電素子に電圧を供給するための配線基板と、
前記圧力室基板の厚さ方向において、前記圧力室基板と前記複数の圧電素子との間に配置された振動板と、を備えた液体吐出ヘッドであって、
前記配線基板は、
前記圧力室基板の厚さ方向に延在する本体部分と、
前記本体部分の前記圧力室基板側の端部から前記第2圧電素子列側に屈曲された端子と、を含み、
前記配線基板と前記圧力室基板又は前記振動板との接合部分のうち、前記第1圧電素子列側には、第1量の接着剤が存在し、
前記接合部分のうち、前記配線基板の前記第2圧電素子列側には、前記第1量の接着剤が存在する、液体吐出ヘッド。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドによる液体の吐出を制御する制御部と、を備える液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インク等の液体を吐出する液体吐出ヘッドがある。液体吐出ヘッドは、液体を吐出する複数のノズルと、複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、圧力室上に配置され、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる複数の圧電素子と、複数の圧電素子に電圧を供給するための配線基板と、を備える。複数のノズルは、所定の方向に並べられてノズル列を形成する。同様に、複数の圧電素子は、ノズル列が延在する方向に並べられて、圧電素子列を形成する。
【0003】
特許文献1に記載の液体吐出ヘッドは、複数のノズル列を有する。この液体吐出ヘッドでは、複数のノズル列に対応して、複数の圧電素子列が設けられ、複数の圧電素子に対応して、複数の配線基板が設けられている。1つの圧電素子列に対して、1つの配線基板が設けられている。配線基板の端子は、圧電素子に接続されたリード電極に接続される。配線基板の端子は、例えばポッティング剤によって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の液体吐出ヘッドでは、1つの圧電素子列に対して、1つの配線基板が設けられ、配線基板ごとにポッティング剤が設けられている。これに対して、複数の圧電素子列の間に、1つの配線基板が設けられた構造の場合、複数の圧電素子列ごとの液体の吐出特性にばらつきが生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る液体吐出ヘッドは、複数の第1圧力室と、複数の第2圧力室と、が形成される圧力室基板と、複数の第1圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第1圧電素子列と、複数の第2圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第2圧電素子列と、第1圧電素子列と第2圧電素子列との間に配置され、第1圧電素子列の複数の圧電素子及び第2圧電素子列の複数の圧電素子に電圧を供給するための配線基板と、圧力室基板の厚さ方向において、圧力室基板と複数の圧電素子との間に配置された振動板と、を備えた液体吐出ヘッドであって、配線基板と圧力室基板又は振動板との接合部分のうち、第1圧電素子列側には、第1量の接着剤が存在し、接合部分のうち、配線基板の第2圧電素子列側には、第1量より多い第2量の接着剤が存在し、第1圧電素子列に関する第1吐出要素と、第2圧電素子列に関する第2吐出要素とは、互いに異なる。
【0007】
本発明の一態様に係る液体吐出ヘッドは、複数の第1圧力室と、複数の第2圧力室と、が形成される圧力室基板と、複数の第1圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第1圧電素子列と、複数の第2圧力室に対応してそれぞれ設けられた複数の圧電素子が配列された第2圧電素子列と、第1圧電素子列と第2圧電素子列との間に配置され、第1圧電素子列の複数の圧電素子及び第2圧電素子列の複数の圧電素子に電圧を供給するための配線基板と、圧力室基板の厚さ方向において、圧力室基板と複数の圧電素子との間に配置された振動板と、を備えた液体吐出ヘッドであって、配線基板は、圧力室基板の厚さ方向に延在する本体部分と、本体部分の圧力室基板側の端部から第2圧電素子列側に屈曲された端子と、を含み、配線基板と圧力室基板又は振動板との接合部分のうち、第1圧電素子列側には、第1量の接着剤が存在し、接合部分のうち、配線基板の第2圧電素子列側には、第1量の接着剤が存在する。
【0008】
本発明の一態様に係る液体吐出装置は、上記の液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドによる液体の吐出を制御する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る液体吐出ヘッドを示す断面図である。
【
図3】A列側の圧力室及び圧電素子を示す断面図である。
【
図4】B列側の圧力室及び圧電素子を示す断面図である。
【
図6】圧力室が形成された圧力室基板を示す平面図である。
【
図7】圧力室基板の断面図であり、A列側の圧力室CAを拡大して示す図である。
【
図8】圧力室基板の断面図であり、B列側の圧力室CBを拡大して示す図である。
【
図9】A列側の圧力室及び圧電素子を示す断面図であり、Y-Z面に沿う断面を示す図である。
【
図10】B列側の圧力室及び圧電素子を示す断面図であり、Y-Z面に沿う断面を示す図である。
【
図11】振動板及び圧電素子の要部を拡大して示す断面図であり、X-Z面に沿う断面を示す図である。
【
図12】封止板の開口部内に配置されたCOF及び接着剤を示す断面図である。
【
図13】
図12中のXIII-XIII線に沿う断面を示す断面図である。
【
図14】第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの圧電素子の電極を示す平面図である。
【
図15】液体吐出ヘッドのA列側の圧電素子を示す断面図である。
【
図16】液体吐出ヘッドのB列側の圧電素子を示す断面図である。
【
図17】第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの圧電素子の電極を示す平面図である。
【
図18】液体吐出ヘッドのA列側の圧電素子を示す断面図である。
【
図19】液体吐出ヘッドのB列側の圧電素子を示す断面図である。
【
図20】第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの圧力室が形成された圧力室基板の部分を示す平面図である。
【
図21】A列側の圧力室及び圧電素子を示す断面図である。
【
図22】B列側の圧力室及び圧電素子を示す断面図である。
【
図23】第5実施形態に係る液体吐出ヘッドの圧力室が形成された圧力室基板を示す断面図である。
【
図24】第5実施形態に係る液体吐出ヘッドの圧力室が形成された圧力室基板を示す断面図である。
【
図25】A列側の圧力室及び圧電素子を示す断面図である。
【
図26】B列側の圧力室及び圧電素子を示す断面図である。
【
図29】第6実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズルプレートを示す底面図である。
【
図30】第7実施形態に係る液体吐出ヘッドの封止板の開口部内に配置されたCOF及び接着剤を示す断面図である。
【
図31】第8実施形態に係る液体吐出ヘッドを示す断面図である。
【
図32】実施形態に係る液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0011】
以下の説明において、互いに交差する3方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する場合がある。X軸方向は、互いに反対の方向であるX1方向及びX2方向を含む。Y軸方向は、互いに反対の方向であるY1方向及びY2方向を含む。Z軸方向は、互いに反対の方向であるZ1方向及びZ2方向を含む。Z1方向は、下向きの方向であり、Z2方向は、上向きの方向である。また、本明細書において、「上」及び「下」を用いる。「上」及び「下」は、液体吐出装置1のノズルが下である通常の使用状態における「上」及び「下」に対応する。
【0012】
X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、直交している。Z軸方向は、通常上下方向に沿う方向であるが、Z軸方向は、上下方向に沿う方向でなくてもよい。Y軸方向は、第1方向の一例である。X軸方向は、第2方向の一例である。Z軸方向は、第3方向の一例である。
【0013】
図1は、第1実施形態に係る液体吐出ヘッド10を示す断面図である。液体吐出ヘッド10は、ノズルプレート21、コンプライアンス基板23、連通板24,圧力室基板25、振動板26、封止板27、及び圧電素子50を備える。また、液体吐出ヘッド10は、ケース28、及びCOF60を備える。COFは、Chip on Filmの略称である。本実施形態では、液体の一例であるインクを吐出する液体吐出ヘッド10について説明する。液体は、インクに限定されず、液体吐出ヘッド10は、その他の液体を吐出することができる。
【0014】
ノズルプレート21、コンプライアンス基板23、連通板24、圧力室基板25、振動板26、封止板27、及びケース28の厚さ方向は、Z軸方向に沿う。ノズルプレート21及びコンプライアンス基板23は、液体吐出ヘッド10の底部に配置される。ノズルプレート21及びコンプライアンス基板23のZ2方向には、連通板24が配置される。連通板24のZ2方向には、圧力室基板25が配置される。圧力室基板25のZ2方向には、振動板26が配置される。振動板26上には、複数の圧電素子50が形成される。振動板26のZ2方向には、封止板27が配置される。封止板27は、複数の圧電素子50を覆う。ケース28は、連通板24上に配置される。
【0015】
図2は、ノズルプレート21を示す平面図である。液体吐出ヘッド10は、複数のノズル列NA1,NB1を有する。ノズル列NA1は、Y軸方向に並んで配置された複数のノズルNAを含む。ノズル列B1は、Y軸方向に並んで配置された複数のノズルNBを含む。ノズルNAは、第1ノズルの一例である。ノズルNBは、第2ノズルの一例である。ノズルNA,NBは、ノズルプレート21をZ軸方向に貫通する貫通孔である。ノズル列NA1及びノズル列NB1は、X軸方向に離間する。ノズル列NA1は、Z軸方向に見て、ノズルプレート21の中心線O21のX1方向に位置する。ノズル列NB1は、Z軸方向に見て、ノズルプレート21の中心線O21のX2方向に位置する。
【0016】
中心線O21は、ノズルプレート21のX軸方向における中心を通り、Y軸方向に延在する仮想の直線である。ノズルプレート21の中心線O21は、X軸方向において、
図1に示される液体吐出ヘッド10の中心線Oに重なる位置に配置される。液体吐出ヘッド10の中心線Oは、X軸方向において液体吐出ヘッド10の中心を通り、Z軸方向に延在する仮想の直線である。中心線Oは、X軸方向においてケース28の中心を通り、Z軸方向に延在する仮想の直線でもよい。
【0017】
液体吐出ヘッド10には、インクが流れる流路40が形成されている。流路40は、流路40A及び流路40Bを含む。流路40Aは、ノズルNAに連通する流路を含む。流路40Bは、ノズルNBに連通する流路を含む。流路40Aは、供給口42A、共通液室RA、中継流路43A、圧力室CA、連通流路45A、及びノズルNAを含む。流路40Aは、複数の個別流路41Aを含む。個別流路41Aは、中継流路43A、圧力室CA、及び連通流路45Aを含む。共通液室RAは、複数の個別流路41Aに共通に連通し、複数の個別流路41Aにインクを供給する。
【0018】
圧力室CAは、第1圧力室の一例である。個別流路41Aは、第1流路の一例である。第1流路は、液体が流通可能な流路であり、圧力室CAよりも上流側の外部から、圧力室CAを通り、ノズルNAまでの流路である。中継流路43Aは、圧力室CAの上流側の外部の一例である。「ノズルNAまで液体が流通可能な流路」は、ノズルNAを含まない。例えば、連通板24に形成された連通流路45Aは、第1流路に含まれ、ノズルプレート21に形成された流路は、第1流路に含まれない。
【0019】
同様に、流路40Bは、供給口42B、共通液室RB、中継流路43B、圧力室CB、連通流路45B、及びノズルNBを含む。流路40Bは、複数の個別流路41Bを含む。個別流路41Bは、中継流路43B、圧力室CB、連通流路45B、及びノズルNBを含む。共通液室RBは、複数の個別流路41Bに共通に連通し、複数の個別流路41Bにインクを供給する。
【0020】
圧力室CBは、第2圧力室の一例である。個別流路41Bは、第2流路の一例である。第2流路は、液体が流通可能な流路であり、圧力室CBよりも上流側の外部から、圧力室CBを通り、ノズルNAまでの流路である。中継流路43Bは、圧力室CBの上流側の外部の一例である。「ノズルNBまで液体が流通可能な流路」は、ノズルNBを含まない。例えば、連通板24に形成された連通流路45Bは、第2流路に含まれ、ノズルプレート21に形成された流路は、第2流路に含まれない。
【0021】
なお、「流路40A」と「流路40B」とを区別しない場合には、「流路40」と記す場合がある。同様に、「流路40A」に含まれる「供給口42A」、「共通液室RA」、「中継流路43A」、「圧力室CA」、「連通流路45A」、及び「ノズルNA」を「供給口42」、「共通液室R」、「中継流路43」、「圧力室C」、「連通流路45」、及び「ノズルN」と記す場合がある。「流路40B」に含まれる「供給口42B」、「共通液室RB」、「中継流路43B」、「圧力室CB」、「連通流路45B」、及び「ノズルNB」を「供給口42」、「共通液室R」、「中継流路43」、「圧力室C」、「連通流路45」、及び「ノズルN」と記す場合がある。
【0022】
また、流路40Aを流れる液体の吐出に関して、「A列側」と記載する場合がある。例えば、「A列側のノズルNA」、「A列側の圧力室CA」、「A列側の圧電素子50A」などと記載する場合がある。同様に、流路40Bを流れる液体の吐出に関して、「B列側」と記載する場合がある。
【0023】
図3は、A列側の圧力室CA及び圧電素子50Aを示す断面図である。
図3は、
図1中のA列側の流路40Aの要部を拡大して示す。流路40Aを流れるインクは、
図1に示される供給口42Aを通り、共通液室RAに流入する。共通液室RAの一部は、連通板24に形成され、共通液室RAの一部は、ケース28に形成される。共通液室RA内のインクは、中継流路43Aを通り、圧力室CAに供給される。圧力室CA内のインクは、連通流路45Aを通り、ノズルNAから吐出される。なお、液体吐出ヘッド10は、インクを循環させる循環方式を採用することができる。
【0024】
図4は、B列側の圧力室CB及び圧電素子50Bを示す断面図である。
図4は、
図1中のB列側の流路40Bの要部を拡大して示す。流路40Bを流れるインクは、
図1に示される供給口42Bを通り、共通液室RBに流入する。共通液室RBの一部は、連通板24に形成され、共通液室RBの一部は、ケース28に形成される。共通液室RB内のインクは、中継流路43Bを通り、圧力室CBに供給される。圧力室CB内のインクは、連通流路45Bを通り、ノズルNBから吐出される。
【0025】
図1,
図3及び
図4に示されるように、コンプライアンス基板23は、X軸方向において、ノズルプレート21の両側に配置される。コンプライアンス基板23は、可撓性を有する膜を含む。コンプライアンス基板23は、共通液室RA,RBの底面を構成する。コンプライアンス基板23は、インクの圧力を受けて変形可能である。コンプライアンス基板23は、インクの圧力によって変形し、液体吐出ヘッド20内のインクの圧力変動を吸収できる。
【0026】
連通板24には、共通液室RA,RBの一部、中継流路43A,43B、及び連通流路45A,45Bが形成されている。連通板24には、貫通孔、溝、又は凹部等が形成されている。これらの貫通孔、溝、又は凹部等により、共通液室RA,RBの一部、中継流路43、及び連通流路45が形成されている。
【0027】
図5は、連通板24及び封止板27を示す平面図である。共通液室RA,RBは、Y軸方向に長尺である。共通液室RA,RBは、Y軸方向において、複数のノズルNA,NBの配置に対応している。
図1に示されるように、共通液室RA,RBの上側の部分は、ケース28に形成され、共通液室RA,RBの下側の部分は、連通板24に形成されている。連通板24に形成された共通液室RA,RBの下側の部分は、Z軸方向に貫通している。共通液室RAのノズルNAに近い方の部分は、Z軸方向に見て、圧力室CAに重なる位置まで形成されている。同様に、共通液室RBのノズルNBに近い方の部分は、Z軸方向に見て、圧力室CBに重なる位置まで形成されている。
【0028】
中継流路43Aは、圧力室CAと共通液室RAとを連通する。中継流路43Aは、複数の圧力室CAに対して各々設けられている。複数の中継流路43Aは、Y軸方向に所定の間隔で配置されている。中継流路43Bは、圧力室CBと共通液室RBとを連通する。中継流路43Bは、複数の圧力室CBに対して各々設けられている。複数の中継流路43Bは、Y軸方向に所定の間隔で配置されている。
【0029】
連通流路45Aは、Z軸方向に延在し、圧力室CAとノズルNAとを連通する。連通流路45Aは、複数の圧力室CAに対して各々設けられている。複数の連通流路45Aは、Y軸方向に所定の間隔で配置されている。連通流路45Bは、Z軸方向に延在し、圧力室CBとノズルNBとを連通する。連通流路45Bは、複数の圧力室CBに対して各々設けられている。複数の連通流路45Bは、Y軸方向に所定の間隔で配置されている。
【0030】
連通流路45A,45Bは、連通板24をZ軸方向に貫通する。連通流路45A,45Bは、X軸方向に互いに離間する。連通流路45Aは、Z軸方向に見て、圧力室CAと重なる位置に配置されている。連通流路45Bは、Z軸方向に見て、圧力室CBと重なる位置に配置されている。
【0031】
図6は、圧力室基板25を示す平面図である。
図6では、ノズルNA,NBに対応する位置が仮想線で示されている。圧力室基板25には、複数の圧力室CA,CBが形成されている。圧力室CA,CBは、圧力室基板25をZ軸方向に貫通する。圧力室CA,CBは、X軸方向に互いに離間する。複数の圧力室CAは、複数のノズルNAに対してそれぞれ設けられている。複数の圧力室CAは、Y軸方向に所定の間隔で配置されている。複数の圧力室CBは、複数のノズルNBに対してそれぞれ設けられている。複数の圧力室CBは、Y軸方向に所定の間隔で配置されている。圧力室基板25は、例えばシリコンの単結晶基板から製造できる。圧力室基板25は、その他の材料から製造されていてもよい。
【0032】
図7は、圧力室基板25の断面図であり、A列側の圧力室CAを拡大して示す。
図7に示される断面は、X-Y面に沿う断面である。圧力室CAの上流には、中継室46A及び供給口47Aが設けられている。圧力室CAの下流には、連通室48Aが設けられている。これらの中継室46A、供給口47A、及び連通室48Aは、圧力室基板25に形成されている。中継室46Aは、中継流路43Aと連通する。供給口47Aは、中継室46Aと圧力室CAとを連通する。連通室48Aは、圧力室CAと、連通流路45Aと連通する。供給口47のY軸方向に沿う幅W47は、圧力室CAのY軸方向に沿う幅WCAより狭い。中継室46AのY軸方向に沿う幅W46は、圧力室CAの幅WCAと同程度の長さである。連通室48AのY軸方向に沿う幅W48は、圧力室CAの幅WCAより狭い。
【0033】
図8は、圧力室基板25の断面図であり、B列側の圧力室CBを拡大して示す。
図8に示される断面は、X-Y面に沿う断面である。圧力室CBの上流には、中継室46B及び供給口47Bが設けられている。圧力室CBの下流には、連通室48Bが設けられている。これらの中継室46B、供給口47B、及び連通室48Bは、圧力室基板25に形成されている。中継室46Bは、中継流路43Bと連通する。供給口47Bは、中継室46Bと圧力室CBとを連通する。連通室48Bは、圧力室CBと、連通流路45Bと連通する。供給口47BのY軸方向に沿う幅W47は、圧力室CBのY軸方向に沿う幅WCBより狭い。中継室46BのY軸方向に沿う幅W46は、圧力室CBの幅WCBと同程度の長さである。連通室48BのY軸方向に沿う幅W48は、圧力室CBの幅WCBより狭い。
【0034】
液体吐出ヘッド10では、B列側の圧力室の幅WCBは、A列側の圧力室CAの幅WCAより長い。詳しくは、後述する。
【0035】
図9は、A列側の圧力室CA及び圧電素子50Aを示す断面図であり、Y-Z面に沿う断面を示す図である。
図10は、B列側の圧力室CB及び圧電素子50Bを示す断面図であり、Y-Z面に沿う断面を示す図である。
図11は、振動板26及び圧電素子50の要部を拡大して示す断面図であり、X-Z面に沿う断面を示す図である。振動板26は、圧力室基板25の上面に配置される。振動板26は、圧力室基板25の開口を覆う。振動板26のうち、圧力室基板25の開口を覆う部分は、圧力室CA,CBの上側の壁面を構成する。
【0036】
振動板26上には、複数の圧電素子50A,50Bが形成されている。圧電素子50Aは、Z軸方向に見て圧力室CAに重なる位置に配置される。圧電素子50Aは、複数の圧力室CAに対してそれぞれ設けられている。圧電素子50Bは、Z軸方向に見て圧力室CBに重なる位置に配置される。圧電素子50Bは、複数の圧力室CBに対してそれぞれ設けられている。複数の圧電素子50Aは、複数の圧力室CAの配置に対応して、中心線OYに沿って配列された第1圧電素子列L50Aを形成する。複数の圧電素子50Bは、複数の圧力室CAの配置に対応して、中心線OYに沿って配列された第2圧電素子列L50Bを形成する。第1圧電素子列L50A及び第2圧電素子列L50Bは、
図17に図示されている。中心線OYは、液体吐出ヘッド10のX軸方向における中心を通り、Y軸方向に延在する仮想の直線である。中心線OYは、第1仮想線及び第2仮想線の一例である。
【0037】
振動板26は、弾性層26aと、絶縁層26bとを含む。弾性層26aは、例えば二酸化シリコン(SiO2)からなる。絶縁層26bは、例えば二酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる。弾性層26aは、圧力室基板25上に成膜され、絶縁層26bは、弾性層26a上に成膜される。
【0038】
振動板26は、圧電素子50によって駆動され、Z軸方向に振動する。圧力室CAの上側の壁面を成す振動板26は、圧電素子50Aによって駆動される。圧力室CBの上側の壁面を成す振動板26は、圧電素子50Bによって駆動される。振動板26の合計の厚さは、例えば、2μm以下である。振動板26の合計の厚さは、15μm以下でもよく、40μm以下でもよく、100μm以下でもよい。例えば、振動板26の合計の厚さが、15μm以下の場合には、樹脂層を含んでいてもよい。振動板26は、金属から形成されたものでもよい。金属としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル等が挙げられる。振動板26が金属製である場合、振動板26の板厚は、15μm以上、100μm以下でもよい。
【0039】
圧電素子50A,50Bは、電極51,52、及び圧電体層53を有する。電極51、圧電体層53、及び電極52は、振動板26上でこの順で積層されている。圧電体層53は、電極51と電極52とによって挟まれている。電極51は、個別電極であり、電極52は共通電極である。なお、圧力室Cに近い方の電極51が共通電極でもよく、圧力室Cから遠い方の電極52が個別電極でもよい。電極51は、Z軸方向に見て、複数の圧力室CA,CBに重なる位置にそれぞれ配置されている。
【0040】
電極51は、下地層と、電極層とを含む。下地層は、例えば、チタン(Ti)を含む。電極層は、例えば、白金(Pt)又はイリジウム(Ir)等の低抵抗な導電材料を含む。当該電極層は、例えばルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3)、及びニッケル酸ランタン(LaNiO3)等の酸化物で形成されてもよい。圧電体層53は、複数の電極51を覆うように配置されている。圧電体層53は、Y軸方向に延びる帯状の誘電膜である。圧電体層53は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)またはセラミック等の公知の圧電材料で形成される。
【0041】
電極52は、下地層と、電極層とを含む。下地層は、例えば、チタンを含む。電極層は、例えば、白金又はイリジウム等の低抵抗な導電材料を含む。当該電極層は、例えばルテニウム酸ストロンチウム、及びニッケル酸ランタン等の酸化物で形成されてもよい。圧電体層53のうち、電極51,52間の領域が駆動領域となる。複数の圧力室CA,CB上には、駆動領域が各々形成されている。
【0042】
図11に示されるように、圧電素子50には、リード電極54が電気的に接続されている。複数の個別電極51に対して、リード電極54がそれぞれ接続されている。複数のリード電極54は、X軸方向に延在し、封止板27の開口部65内まで引き出されている。なお、
図1,
図3及び
図4において、リード電極54の図示が省略されている。開口部65は、Z軸方向に封止板27を貫通する。Z軸方向に見て、開口部65に対応する位置で、COF60と電気的に接続されている。リード電極54は、電極51よりも低抵抗な導電材料で形成される。例えば、リード電極54は、ニクロム(NiCr)で形成された導電膜の表面に金(Au)の導電膜を積層した構造の導電パターンである。
【0043】
図5に示されるように、封止板27はZ軸方向に見て矩形状を成している。封止板27は、複数の圧電素子50A,50Bを保護するとともに圧力室基板25及び振動板26の機械的な強度を補強する。封止板27は、例えば、接着剤によって、振動板26に接着されている。封止板27は、振動板26を介して、圧力室基板25に対して固定される。
【0044】
図1に示されるように、COF60は、フレキシブル配線基板61、及び駆動回路62を備える。フレキシブル配線基板61は、可撓性を有する配線基板である。フレキシブル配線基板61は、例えばFPCである。フレキシブル配線基板61は、例えばFFCでもよい。FPCは、Flexible Printed Circuitの略称である。FFCは、Flexible Flat Cableの略称である。
【0045】
フレキシブル配線基板61は、リード電極54を介して、圧電素子50A,50Bと接続されている。フレキシブル配線基板61は、図示しない回路基板と電気的に接続されている。回路基板は、
図33に示される駆動信号生成回路32を含む。
【0046】
駆動回路62は、フレキシブル配線基板61に対して実装されている。駆動回路62は、圧電素子50A,50Bを駆動するためのスイッチング素子を含む。駆動回路62は、フレキシブル配線基板61、及び回路基板を介して、
図33に示される制御部30と電気的に接続されている。駆動回路62は、駆動信号生成回路32から出力された駆動信号Comを受信する。駆動回路62のスイッチング素子は、駆動信号生成回路32で生成された駆動信号Comを圧電素子50A,50Bに供給するか否かを切り替える。駆動回路62は、圧電素子50A,50Bに対して、駆動電圧又は電流を供給して、振動板26を振動させる。
【0047】
次に、
図12及び
図13を参照して、COF60とリード電極54との接続構造について説明する。
図12は、封止板27の開口部65内に配置されたCOF60及び接着剤68A,68Bを示す断面図である。
図13は、
図12中のXIII-XIII線に沿う断面を示す断面図である。封止板27の開口部65は、X軸方向に離間する壁面65aと壁面65bとの間の空間である。COF60のフレキシブル配線基板61は、Z軸方向に延在する本体部分61aと、本体部分61aから屈曲する端子61bとを含む。本体部分61aは、Y軸方向に見て、液体吐出ヘッド10の中心線Oよりも、A列側に位置する。換言すれば、本体部分61aは、X軸方向において、壁面65bよりも壁面65aに近い位置に配置されている。X軸方向において、本体部分61aから壁面65bまでの長さLBは、本体部分61aから壁面65aまでの長さLAより長い。端子61bは、屈曲点61cから壁面65bに向かってX2方向に張り出す。なお、中心線Oは、X軸方向において、開口部65の中心を通りZ軸方向に延在する。
図13に示される中心線OYは、X軸方向において、開口部65の中心を通り、Y軸方向に延在する。
【0048】
端子61bは、本体部分61aの下端部から屈曲されて、B列側に張り出している。端子61bは、液体吐出ヘッド10の中心線OよりもB列側に張り出している。換言すれば、端子61bは、X軸方向において、中心線OYよりも壁面65bに位置まで張り出している。本体部分61aの厚さ方向は、X軸方向に沿う。端子61bの厚さ方向は、Z軸方向に沿う。端子61bは、端子61bのZ1方向に位置するリード電極54と電気的に接続される。
【0049】
封止板27の開口部65には接着剤68A,68Bが配置されている。フレキシブル配線基板61の下端部は、接着剤68A,68Bによって覆われている。接着剤68Aは、フレキシブル配線基板61の本体部分61aと壁面65aとの間に存在する。接着剤68Bは、フレキシブル配線基板61の本体部分61aと壁面65bとの間に存在する。接着剤68Bは、フレキシブル配線基板61の端子61b上に配置されている。端子61bは、接着剤68Bによって覆われている。接着剤68Bの体積は、接着剤68Aの体積より大きい。また、開口部65内に接着剤68A,68Bが充填されているので、Z軸方向に見て、開口部65内に存在するリード電極54、電極51、及び振動板26等は、封止板27の外部に露出していない。
【0050】
接着剤68A,68Bは、例えば導電粒子等の導体を含まない非導電性接着剤である。接着剤68A,68Bは、例えば非導電性接着ペースト(NCP:Non-Conductive Paste)である。また、接着剤68A,68Bは、非導電性接着フィルム(NCF:Non-Conductive Film)でもよい。また、接着剤68A,68Bは、複数の導電粒子が分散された異方性導電接着剤でもよい。異方性導電接着剤は、例えば、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)でもよい。異方性導電接着剤は、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)でもよい。接着剤68A,68Bが非導電性接着剤であると、ACF又はACPよりも高密度実装が容易となる。接着剤68A,68Bは、例えばポッティング剤又は封止剤でもよい。接着剤68Aは、複数種類の接着剤を含んでもよい。接着剤68Bは、複数種類の接着剤を含んでもよい。
【0051】
フレキシブル配線基板61は、接着剤68A,68Bによって、封止板27に対して接着されている。フレキシブル配線基板61は、接着剤68A,68Bによって接着され、振動板26及びリード電極54を介して、圧力室基板25に対して固定される。なお、フレキシブル配線基板61は、圧着又は半田等を用いて、リード電極54と電気的に接続されていてもよい。このような接続構造を覆うように接着剤68A,68Bが設けられていてもよい。開口部65内に接着剤68A,68Bを設けることで、フレキシブル配線基板61は、圧力室基板25及び封止板27に対して固定される。フレキシブル配線基板61は、接着剤68A,68Bによって、圧力室基板25又は封止板27に固定される構造でもよい。接着剤68Aは、フレキシブル配線基板61と圧力室基板25又は振動板26との接合部分のうち、第1圧電素子列側に存在する第1量の接着剤の一例である。接着剤68Bは、フレキシブル配線基板61と圧力室基板25又は振動板26との接合部分のうち、第2圧電素子列側に存在する第2量の接着剤の一例である。フレキシブル配線基板61と圧力室基板25又は振動板26との接合部分の接着剤は、例えば、封止板27の開口部
65内の接着剤である。また、開口部65内において、振動板26が存在しない部分があり、圧力室基板25と接着剤68A,68Bとが直接接触してもよい。
【0052】
次に、
図7~
図10を参照して、圧力室CAの幅WCAと、圧力室CBの幅WCBとについて説明する。圧力室CBの幅WCBは、圧力室CAの幅WCAよりも広い。圧力室CAは、Y軸方向に離間する壁面71a,71b間の空間である。壁面71aは、壁面71bよりもY1方向に位置する。圧力室CAの幅WCAは、Y軸方向における壁面71aと壁面71bとの距離である。
【0053】
圧力室CBは、Y軸方向に離間する壁面72a,72b間の空間である。壁面72aは、壁面72bよりもY1方向に位置する。圧力室CBの幅WCBは、Y軸方向における壁面72aと壁面72bとの距離である。圧力室CBの容積は、圧力室CAの容積よりも大きい。圧力室CB内に貯留可能な液体の量は、圧力室CA内に貯留可能な液体の量よりも多い。
【0054】
液体吐出ヘッド10では、開口部65に配置された接着剤68Aの体積と、接着剤68Bの体積とが異なっている。接着剤68Bの体積の方が、接着剤68Aの体積よりも大きい。フレキシブル配線基板61の圧電素子50A側には、第1量の接着剤68Aが存在し、フレキシブル配線基板61の圧電素子50B側には、第1量より多い第2量の接着剤68Bが存在する。接着剤68A,68Bの体積が異なる場合において、A列側の吐出部の共振周波数と、B列側の吐出部の共振周波数とに違いが生じる。共振周波数に差分が生じ、これにより、A列側の圧電素子50Aによる液体の吐出性能と、B列側の圧電素子50Bによる液体の吐出性能とに差が生じるおそれがある。
【0055】
なお、「共振周波数」は、固有振動周期Tcと共振する周波数である。固有振動周期Tcは、例えば下記式(1)を用いて算出される。式(1)において、単位長さの方向は、例えばインクの振動方向に沿う。Msは、圧力室Cにインクを供給する中継流路43内における等価慣性質量[kg/m4]である。Ciは、圧力室C内における単位圧力あたりのインクの容積変化[m3/Pa]である。Cvは、圧力室C内における単位圧力あたりの圧力室Cの容積変化[m3/Pa]である。
Tc=2π{Ms×(Ci+Cv)}1/2…(1)
【0056】
例えば、従来技術に係る液体吐出ヘッドにおいて、フレキシブル配線基板61とリード電極54との接続部を覆うように配置された接着剤が硬化収縮する場合、フレキシブル配線基板61の両側に配置された接着剤の収縮に差が生じるおそれがある。この場合には、接着剤の量が多い方が、接着剤の量が少ない方に比べて、収縮量が高くなるおそれがある。そのため、この収縮量の差により、振動板26の応力が生じるおそれがある。これにより、共振周波数がA列側とB列側とで異なり、A列側の圧電素子による液体の吐出特性と、B列側の圧電素子による液体の吐出特性とに差が生じるおそれがある。
【0057】
本実施形態の液体吐出ヘッド10では、圧力室CBの幅WBは、圧力室CAの幅WAよりも広い。これにより、A列側の吐出部における共振周波数と、B列側の吐出部における共振周波数との差を小さくできる。その結果、A列側の吐出部における吐出性能と、B列側の吐出部における吐出性能との差を小さくできる。その結果、ノズルNA,NBから吐出される液体の吐出性能を同程度とすることができる。
【0058】
次に、
図14~
図16を参照して、第2実施形態に係る液体吐出ヘッド10Bについて説明する。
図14は、第2実施形態に係る液体吐出ヘッド10Bの圧電素子50A,50Bの電極51A,51Bを示す平面図である。
図15は、液体吐出ヘッド10Bの圧電素子50Aを示す断面図である。
図16は、液体吐出ヘッド10Bの圧電素子50Bを示す断面図である。
図15及び
図16では、圧電素子50A,50BのY-Z面に沿う断面を示す。第2実施形態に係る液体吐出ヘッド10Bが、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と違う点は、圧電素子50Aの電極51Aの幅W51Aと、圧電素子50Bの電極51Bの幅51Bとが異なる点、及び、圧力室CAの幅WCAと、圧力室CAの幅WCBとが同じである点である。電極51Aの幅W51Aは、第1吐出要素の一例である。電極51Bの幅W51Bは、第2吐出要素の一例である。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0059】
液体吐出ヘッド10Bは、A列側の圧電素子50Aと、B列側の圧電素子50Bとを備える。圧電素子50Aは、電極51A,52及び圧電体層53を有する。圧電素子50Bは、電極51B,52及び圧電体層53を有する。電極51BのY軸方向に沿う幅W51Bは、電極51AのY軸方向に沿う幅W51Aよりも広い。例えば、幅W51Bは、幅51Aの101%~110%程度でもよい。
【0060】
液体吐出ヘッド10Bでは、B列側の電極51Bの幅W51Bが、A列側の電極51Aの幅W51Aよりも広い。換言すれば、電極51Bと電極52との間の圧電体層53の駆動領域55Bは、電極51Aと電極52との間の圧電体層53の駆動領域55Aよりも大きい。圧電素子50Bによって駆動される振動板26の変位量は、圧電素子50Aによって駆動される振動板26の変位量よりも大きい。
【0061】
液体吐出ヘッド10Bでは、B列側の電極51Bの幅W51Bを、A列側の電極51Aの幅W51Aより広くすることで、A列側の圧電素子50Aによる液体の吐出特性と、B列側の圧電素子50Bによる液体の吐出特性とのばらつきを抑制できる。液体吐出ヘッド10Bでは、A列側の吐出部の共振周波数と、B列側の吐出部の共振周波数とを変えずに、A列側の吐出特性と、B列側の吐出特性とのばらつきを抑制できる。
【0062】
なお、液体吐出ヘッド10Bにおいて、圧力室CA,CBの幅WCA,WCBが同じであるとして説明しているが、幅WCA,WCBは、互いに異なっていてもよい。例えば、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と同様に、圧力室CBの幅WCBが、圧力室CAの幅WCAよりも大きくてもよい。
【0063】
次に、
図17~
図19を参照して、第3実施形態に係る液体吐出ヘッド10Cについて説明する。
図17は、第3実施形態に係る液体吐出ヘッド10Cの圧電素子50A,50Bの電極52A,52Bを示す平面図である。
図18は、液体吐出ヘッド10Cの圧電素子50Aを示す断面図である。
図19は、液体吐出ヘッド10Cの圧電素子50Bを示す断面図である。
図18及び
図19では、圧電素子50A,50BのY-Z面に沿う断面を示す。第3実施形態に係る液体吐出ヘッド10Cが、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と違う点は、圧電素子50Aの電極52Aの幅W52Aと、圧電素子50Bの電極52Bの幅52Bとが異なる点、圧電素子50Aの圧電体層53Aの幅W53Aと、圧電素子50Bの圧電体層53Bの幅W53Bとが異なる点、及び、圧力室CAの幅WCAと、圧力室CAの幅WCBとが同じである点である。電極52Aの幅W52Aは、第1吐出要素の一例である。電極52Aの幅W52Bは、第2吐出要素の一例である。圧電体層53Aの幅W53Aは、第1吐出要素の一例である。圧電体層53Bの幅W53Bは、第2吐出要素の一例である。なお、第3実施形態の説明において、上記の実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0064】
液体吐出ヘッド10Cは、A列側の圧電素子50Aと、B列側の圧電素子50Bとを備える。圧電素子50Aは、電極51,52A及び圧電体層53Aを有する。圧電素子50Bは、電極51,52B及び圧電体層53Bを有する。電極52AのY軸方向に沿う幅W52Aは、電極52BのY軸方向に沿う幅W52Bよりも広い。幅W52Bは、幅W52Aより短い。例えば、幅W52Aは、幅52Bの101%~110%程度でもよい。電極52Aの幅W52Aは、例えば、振動板26からZ2方向に離間し、且つ、X-Y面に平行な部分のY軸方向に沿う長さである。電極52Bの幅W52Bは、例えば、振動板26からZ2方向に離間し、且つ、X-Y面に平行な部分のY軸方向に沿う長さである。
【0065】
液体吐出ヘッド10Cでは、A列側の電極52Aの幅W52Aが、B列側の電極52Bの幅W52Bよりも広い。電極52A,52Bは、例えば成膜により圧電体層53A,53B上に形成される。電極52A,52Bの幅W52A,W52Bは、成膜により高精度で形成できる。
【0066】
液体吐出ヘッド10Cでは、A列側の電極52Aの幅W52Aを、B列側の電極52Bの幅W52Bより広くすることで、A列側の吐出部の共振周波数を増加させることができる。これにより、A列側の吐出部の吐出特性と、B列側の吐出部の吐出特性とのばらつきを抑制できる。電極52A,52Bの幅W52A,W52Bは、圧力室CA,CBの幅WCA,WCBと比較して精度よく形成できる。そのため、液体吐出ヘッド10Cでは、電極52A,52Bの幅W52A,W52Bを調整して、精度よく共振周波数を調整できる。
【0067】
液体吐出ヘッド10Cでは、A列側の圧電体層53AのY軸方向に沿う幅W53Aは、B列側の圧電体層53BのY軸方向に沿う幅W53Bより広い。幅W53Bは、幅W53Aより短い。例えば、幅W53Aは、幅53Bの101%~110%程度でもよい。これにより、圧電体層53A,53Bの幅W53A,W53Bの大きさに応じて、圧電体層53A,53B上に、電極52A,52Bを形成できる。なお、圧電体層53Aの幅W53Aは、圧電体層53Aのうち、電極52Aが形成される面のY軸方向に沿う幅である。また、液体吐出ヘッド10Cでは、A列側の圧電体層53Aの体積を、B列側の圧電体層53Bの体積より大きくできる。このように、圧電体層53A,53Bの異なるようにすることで、共振周波数を調整してもよい。
【0068】
なお、液体吐出ヘッド10Cにおいて、圧力室CA,CBの幅WCA,WCBが同じであるとして説明しているが、幅WCA,WCBは、互いに異なっていてもよい。例えば、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と同様に、圧力室CBの幅WCBが、圧力室CAの幅WCAよりも大きくてもよい。また、液体吐出ヘッド10Cにおいて、上記の実施形態の液体吐出ヘッド10Bと同様に、電極51A,51Bの幅W51A,W51Bを変えてもよい。
【0069】
次に、
図20~
図22を参照して、第4実施形態に係る液体吐出ヘッド10Dについて説明する。
図20は、第4実施形態に係る液体吐出ヘッド10Dの圧力室CA,CBを示す平面図である。
図20では、圧力室CA,CBが形成された圧力室基板25の一部を示す。
図21は、A列側の圧力室CA及び圧電素子50Aを示す断面図である。
図22は、B列側の圧力室CB及び圧電素子50Bを示す断面図である。第4実施形態に係る液体吐出ヘッド10Dが、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と違う点は、圧力室CAの長さLCAと、圧力室CBの長さLCBとが異なる点、及び、圧力室CAの幅WCAと、圧力室CAの幅WCBとが同じである点である。圧力室CAの長さLCAは、第1吐出要素の一例である。圧力室CBの長さLCBは、第2吐出要素の一例である。なお、第4実施形態の説明において、上記の実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0070】
液体吐出ヘッド10Dは、圧力室CA,CBが形成される圧力室基板25を備える。B列側の圧力室CBのX軸方向に沿う長さLCBは、A列側の圧力室CAのX軸方向に沿う長さLCAよりも長い。例えば、長さLCBは、長さLCAの101%~110%程度でもよい。圧力室CAの長さは、例えば壁面71aと壁面71bとがX軸方向に延在する部分の長さでもよい。圧力室CAの長さは、供給口47Aと連通室48Aとの間の距離でもよい。圧力室CBの長さは、例えば壁面72aと壁面72bとがX軸方向に延在する部分の長さでもよい。圧力室CBの長さは、供給口47Bと連通室48Bとの間の距離でもよい。
【0071】
液体吐出ヘッド10Dでは、B列側の圧力室CBの長さLCBが、A列側の圧力室CAの長さLCAよりも長い。これにより、圧力室CBの容積は、圧力室CAの容積よりも大きい。圧力室CB内に貯留可能な液体の量は、圧力室CA内に貯留可能な液体の量よりも多い。B列側の圧電素子50Bの圧電体層53の駆動領域の長さは、A列側の圧電素子50Aの圧電体層53の駆動領域の長さよりも長くてもよい。
【0072】
このような液体吐出ヘッド10Dでは、圧電素子50Bの駆動領域の長さを、圧電素子50Aの駆動領域の長さよりも長くして、圧力室CBの壁面を成す振動板26による液体の排除変位を、圧力室CAの壁面を成す振動板26による液体の排除変位よりも増やすことができる。液体吐出ヘッド10Dでは、圧力室CBの長さLCBを圧力室CAの長さLCAより長くすることで、A列側の圧電素子50Aによる液体の吐出特性と、B列側の圧電素子50Bによる液体の吐出特性とのばらつきを抑制できる。液体吐出ヘッド10Bでは、A列側の吐出部の共振周波数と、B列側の吐出部の共振周波数とを変えずに、A列側の吐出特性と、B列側の吐出特性とのばらつきを抑制できる。
【0073】
なお、液体吐出ヘッド10Dにおいて、圧力室CA,CBの幅WCA,WCBが同じであるとして説明しているが、幅WCA,WCBは、互いに異なっていてもよい。例えば、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と同様に、圧力室CBの幅WCBが、圧力室CAの幅WCAよりも大きくてもよい。また、液体吐出ヘッド10Dにおいて、上記の実施形態の液体吐出ヘッド10B,10Cと同様に、電極51A,51Bの幅W51A,W51Bを変えてもよく、電極52A,52Bの幅W52A,W52Bを変えてもよい。
【0074】
次に、
図23~
図28を参照して、第5実施形態に係る液体吐出ヘッド10Eについて説明する。
図23は、第5実施形態に係る液体吐出ヘッド10Eの圧力室CAが形成された圧力室基板25を示す断面図である。
図24は、第5実施形態に係る液体吐出ヘッド10Eの圧力室CBが形成された圧力室基板25を示す断面図である。
図25は、A列側の圧力室CA及び圧電素子50Aを示す断面図である。
図26は、B列側の圧力室CB及び圧電素子50Bを示す断面図である。
図27は、A列側の供給口47Aを示す断面図である。
図28は、B列側の供給口47Bを示す断面図である。
【0075】
第5実施形態に係る液体吐出ヘッド10Eが、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と違う点は、供給口47Aの幅W47Aと、供給口47Bの幅47Bとが異なる点、連通室48Aの幅W48Aと、連通室48Bの幅W48Bとが異なる点、中継流路43Aの幅W43Aと、中継流路43Bの幅W43Bとが異なる点、連通流路45Aの幅W45Aと、連通流路45Bの幅W45Bとが異なる点、及び、圧力室CAの幅WCAと、圧力室CAの幅WCBとが同じである点である。
【0076】
供給口47Aの幅W47Aは、第1吐出要素の一例である。供給口47Bの幅W47Bは、第2吐出要素の一例である。連通室48Aの幅W48Aは、第1吐出要素の一例である。連通室48Bの幅W48Bは、第2吐出要素の一例である。中継流路43Aの幅W43Aは、第1吐出要素の一例である。中継流路43Bの幅W43Bは、第2吐出要素の一例である。連通流路45Aの幅W45Aは、第1吐出要素の一例である。中継流路43Bの幅W43Bは、第2吐出要素の一例である。なお、第5実施形態の説明において、上記の実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0077】
図23及び
図25に示されるように、液体吐出ヘッド10Eの圧力室基板25には、圧力室CA、中継室46A,供給口47A,及び連通室48Aが形成されている。
図24及び
図26に示されるように、圧力室CB、中継室46B,供給口47B,及び連通室48Bが形成されている。
図27では、供給口47AのY-Z面に沿う断面が示され、
図28では、供給口47BのY-Z面に沿う断面が示されている。供給口47BのY軸方向に沿う長さである幅W47Bは、供給口47AのY軸方向に沿う長さである幅W47Aより広い。換言すると、供給口47Bの断面積S47Bは、供給口47Aの断面積S47Aよりも大きい。供給口47Aの断面積S47Aは、第1流路の最小断面積の一例である。供給口47Bの断面積S47Bは、第2流路の最小断面積の一例である。
【0078】
図27に示される供給口47Aの幅W47Aは、Y軸方向に離間する壁面73aと壁面73bとの間の距離である。
図28に示される供給口47Bの幅W47Bは、Y軸方向に離間する壁面74aと壁面74bとの間の距離である。圧力室基板25のZ軸方向の厚さは、X軸方向において同じであるので、供給口47Bの断面積S47Bは、供給口47Aの断面積S47Aよりも大きい。
【0079】
図24に示される連通室48BのY軸方向に沿う長さである幅W48Bは、
図23に示される連通室48AのY軸方向に沿う長さである幅W48Aより広い。換言すると、連通室48BのY-Z面に沿う断面の断面積は、連通室48AのY-Z面に沿う断面の断面積よりも大きい。
【0080】
図26に示される中継流路43BのX軸方向に沿う長さである幅W43Bは、
図25に示される中継流路43AのX軸方向に沿う長さである幅W43Aより広い。換言すると、中継流路43BのX-Y面に沿う断面の断面積は、中継流路43AのX-Y面に沿う断面の断面積よりも大きい。
【0081】
連通流路45BのX軸方向に沿う長さである幅W45Bは、連通流路45AのX軸方向に沿う長さである幅W45Aより広い。換言すると、連通流路45BのX-Y面に沿う断面の断面積は、連通流路45AのX-Y面に沿う断面の断面積よりも大きい。
【0082】
このような液体吐出ヘッド10Eでは、B列側の個別流路41Bの流路の断面積が、A列側の個別流路41Aの流路の断面積よりも大きいので、B列側のノズルNBから吐出される液体の吐出量を、A列側のノズルNAから吐出される液体の吐出量よりも増やすことができる。液体吐出ヘッド10Eでは、A列側の圧電素子50Aによる液体の吐出特性と、B列側の圧電素子50Bによる液体の吐出特性とのばらつきを抑制できる。液体吐出ヘッド10Eでは、A列側の吐出部の共振周波数と、B列側の吐出部の共振周波数とを変えずに、A列側の吐出特性と、B列側の吐出特性とのばらつきを抑制できる。
【0083】
なお、液体吐出ヘッド10Eにおいて、圧力室CA,CBの幅WCA,WCBが同じであるとして説明しているが、幅WCA,WCBは、互いに異なっていてもよい。例えば、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と同様に、圧力室CBの幅WCBが、圧力室CAの幅WCAよりも大きくてもよい。また、液体吐出ヘッド10Eにおいて、上記の実施形態の液体吐出ヘッド10B,10C,10Dと同様に、電極51A,51Bの幅W51A,W51Bを変えてもよく、電極52A,52Bの幅W52A,W52Bを変えてもよく、電極51A,51Bの長さLCA,LCBを変えてもよい。
【0084】
次に、
図29を参照して、第6実施形態に係る液体吐出ヘッド10Fについて説明する。
図29は、第6実施形態に係る液体吐出ヘッド10Fのノズルプレート21を示す底面図である。第6実施形態に係る液体吐出ヘッド10Fが、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と違う点は、A列側のノズルNAの径DNAと、B列側のノズルNBの径DNBとが異なる点、及び、圧力室CAの幅WCAと、圧力室CAの幅WCBとが同じである点である。ノズルNAの径DNAは、第1吐出要素の一例である。ノズルNBの径DNBは、第2吐出要素の一例である。なお、第6実施形態の説明において、上記の実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0085】
液体吐出ヘッド10Fは、ノズルNA,NBが形成されたノズルプレート21を備える。B列側のノズルNBの径DNBは、A列側のノズルNAの径DNAよりも大きい。B列側のノズルNBの開口の面積は、A列側のノズルNAの開口の面積よりも大きい。
【0086】
このような液体吐出ヘッド10Fでは、B列側のノズルNBの径DNBが、A列側のノズルNAの径DNAよりも大きいので、B列側のノズルNBから吐出される液体の吐出量を、A列側のノズルNAから吐出される液体の吐出量よりも増やすことができる。液体吐出ヘッド10Fでは、A列側の圧電素子50Aによる液体の吐出特性と、B列側の圧電素子50Bによる液体の吐出特性とのばらつきを抑制できる。液体吐出ヘッド10Fでは、A列側の吐出部の共振周波数と、B列側の吐出部の共振周波数とを変えずに、A列側の吐出特性と、B列側の吐出特性とのばらつきを抑制できる。
【0087】
なお、液体吐出ヘッド10Fにおいて、圧力室CA,CBの幅WCA,WCBが同じであるとして説明しているが、幅WCA,WCBは、互いに異なっていてもよい。例えば、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と同様に、圧力室CBの幅WCBが、圧力室CAの幅WCAよりも大きくてもよい。また、液体吐出ヘッド10Fにおいて、上記の実施形態の液体吐出ヘッド10B,10C,10D,10Eと同様に、電極51A,51Bの幅W51A,W51Bを変えてもよく、電極52A,52Bの幅W52A,W52Bを変えてもよく、電極51A,51Bの長さLCA,LCBを変えてもよく、個別流路41A,41Bの断面積を変えてもよい。
【0088】
次に、
図30を参照して、第7実施形態に係る液体吐出ヘッド10Gについて説明する。
図30は、第7実施形態に係る液体吐出ヘッド10Gの封止板27の開口部65内に配置されたCOF60及び接着剤68A,68Bを示す断面図である。第7実施形態に係る液体吐出ヘッド10Gが、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と違う点は、A列側の接着剤68Aの体積と、B列側の接着剤68Bの体積とが同じである点である。なお、第7実施形態の説明において、上記の実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0089】
封止板27の開口部65のX軸方向における中心は、液体吐出ヘッド10GのX軸方向における中心線Oと重なる位置に配置されている。開口部65は、壁面65aと壁面65bとの間の空間を含む。開口部65のX軸方向における中心は、X軸方向に離間する壁面65aと壁面65bとの間の中心に位置する。A列側の接着剤68Aは、X軸方向において、フレキシブル配線基板61と壁面65aとの間に存在する。B列側の接着剤68Bは、X軸方向において、フレキシブル配線基板61と壁面65bとの間に存在する。
図30に示される断面において、A列側の接着剤68Aの断面積と、B列側の接着剤68Bの断面積とは等しい。「等しい」とは、略等しい場合を含む。
【0090】
このような液体吐出ヘッド10Gでは、A列側の接着剤68Aの体積と、B列側の接着剤68Bの体積を等しくすることで、A列側の圧電素子50Aによる液体の吐出特性と、B列側の圧電素子50Bによる液体の吐出特性とのばらつきを抑制できる。
【0091】
例えば、従来技術に係る液体吐出ヘッドにおいて、フレキシブル配線基板61とリード電極54との接続部を覆うように配置された接着剤が硬化収縮する場合、フレキシブル配線基板61の両側に配置された接着剤の収縮に差が生じるおそれがある。この場合には、接着剤の量が多い方が、接着剤の量が少ない方に比べて、収縮量が高くなるおそれがある。そのため、この収縮量の差により、振動板26の応力が生じるおそれがある。これにより、A列側の圧電素子による液体の吐出特性と、B列側の圧電素子による液体の吐出特性とに差が生じるおそれがある。
【0092】
本実施形態の液体吐出ヘッド10Gでは、A列側の接着剤68Aの体積と、B列側の接着剤68Bの体積とを等しくすることができるので、接着剤68A,68Bの収縮差を軽減できる。これにより、液体吐出ヘッド10Gでは、振動板26に残留する応力を軽減して、A列側の吐出特性と、B列側の吐出特性とのばらつきを抑制できる。A列側の振動板26の共振周波数と、B列側の振動板26の共振周波数とのばらつきを抑制できる。
【0093】
次に、
図31を参照して、第8実施形態に係る液体吐出ヘッド10Hについて説明する。
図31は、第8実施形態に係る液体吐出ヘッド10Hを示す断面図である。第8実施形態に係る液体吐出ヘッド10Hが、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と違う点は、圧力室CA及び圧力室CBの両方に連通するノズルNを備える点である。なお、第8実施形態の説明において、上記の実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0094】
液体吐出ヘッド10Hでは、A列側の圧力室CAと、B列側の圧力室CBとに連通する共通のノズルNが形成されている。このように、ノズルNは、A列側とB列側とで別々に形成されていなくてもよい。液体吐出ヘッド10Hでは、A列側の圧電素子50Aによる吐出特性と、B列側の圧電素子50Bによる吐出特性とのばらつきを抑制できる。
【0095】
第8実施形態の液体吐出ヘッド10Hにおいて、上記の液体吐出ヘッド10B~10Eと同様に、電極51A,51Bの幅W51A,W51Bなど、その他の吐出要素が互いにことなる構成でもよい。また、液体吐出ヘッド10Hにおいて、液体吐出ヘッド10Gと同様に、A列側の接着剤68Aの体積と、B列側の接着剤68Bの体積とが等しくでもよい。
【0096】
次に、変形例1に係る液体吐出ヘッド10について説明する。変形例1に係る液体吐出ヘッド10では、封止板27の開口部65を画成する壁面の位置が、上記の液体吐出ヘッド10と異なる。例えば、
図12に示されるように、液体吐出ヘッド10では、X軸方向において、A列側の壁面65Aと中心線Oとの距離と、B列側の壁面65Bと中心線Oとの距離とが等しい。変形例1に係る液体吐出ヘッド10では、A列側の壁面65aと中心線Oとの距離と、B列側の壁面65bと中心線Oとの距離とが互いに異なる。例えば、B列側の壁面65bと中心線Oとの距離は、A列側の壁面65aと中心線Oとの距離よりも短い。変形例に係る液体吐出ヘッド10の壁面65bの位置は、
図12に示される第1実施形態の液体吐出ヘッド10の壁面65bと比較して、中心線Oに近い位置に配置されていてもよい。このように、変形例に係る液体吐出ヘッド10では、B列側の壁面65bと中心線Oとの距離を、A列側の壁面65aと中心線Oとの距離よりも短くすることで、B列側の接着剤68Bの体積を、第1実施形態の液体吐出ヘッド10と比較して減らしてもよい。このように接着剤68Bの体積を変えることで、A列側の圧電素子50Aによる液体の吐出性能と、B列側の圧電素子50Bによる液体の吐出性能とのばらつきを抑制できる。
【0097】
次に、変形例2に係る液体吐出ヘッド10について説明する。変形例2に係る液体吐出ヘッド10では、A列側の壁面65aが、
図12に示される第1実施形態の液体吐出ヘッド10の壁面65aと比較して、中心線Oから離れた位置に配置されている。このように、A列側の壁面65aとフレキシブル配線基板61との距離を広げてもよい。これにより、変形例2に係る10では、第1実施形態の液体吐出ヘッド10の場合と比較して、A列側の接着剤68Aの体積を増加させることで、A列側の圧電素子50Aによる液体の吐出性能と、B列側の圧電素子50Bによる液体の吐出性能とのばらつきを抑制してもよい。
【0098】
次に、変形例3に係る液体吐出ヘッド10について説明する。変形例3に係る液体吐出ヘッド10では、封止板27の開口部65のY軸方向における端部の幅が、開口部65のY軸方向における中央部の幅よりも広くなっている。なお、開口部65の幅とは、開口部65のX軸方向に沿う幅である。例えば、
図5に示される第1実施形態では、封止板27の開口部65のX軸方向に沿う幅は、開口部65のY軸方向において同じである。変形例3に係る液体吐出ヘッド10では、開口部65のY軸方向の両端部における幅が、開口部65のY軸方向の中央部における幅よりも広い。このように、変形例3に係る液体吐出ヘッド10において、開口部65の端部における幅を広げてもよい。例えば、Y軸方向において、圧電素子50A,50Bが配置されていない領域の開口部65の幅を広げることができる。圧電素子50A,50Bが配置されていない領域とは、例えば、Y軸方向において、リード電極54が配置されていない領域でもよい。このように、開口部65の幅を変えることで、圧力室基板25と封止板27との接着における応力の影響を緩和できる。変形例3に係る液体吐出ヘッド10では、圧力室基板25と封止板27との接着における応力の影響を緩和して、Y軸方向における端部に配置された圧電素子50A,50Bにおける共振周波数の増加を緩和できる。
【0099】
次に、変形例4に係る液体吐出ヘッド10について説明する。変形例4に係る液体吐出ヘッド10では、封止板27に形成された開口部65の壁面65a,65bが傾斜している。例えば、
図12に示される第1実施形態では、封止板27の開口部65を画成する壁面65a,65bは、Z軸方向に沿って形成されている。変形例4に係る10では、壁面65a,65bは、中心線Oに対して傾斜している。このように、変形例4に係る液体吐出ヘッド10では、傾斜面として壁面65a,65bを形成することで、接着剤68A,68Bを流入させやすくすることができる。接着剤が斜面に沿って流れるので、接着剤を適切な位置に配置することができる。
【0100】
次に、
図32及び
図33を参照して、液体吐出ヘッド10を備える液体吐出装置1について説明する。
図32は、液体吐出ヘッド10を備える液体吐出装置1を示す概略図である。液体吐出装置1は、上記の液体吐出ヘッド10を備える。
図32は、液体吐出装置1を示すブロック図である。液体吐出装置1は、「液体」の一例であるインクを液滴として媒体PAに吐出するインクジェット方式の印刷装置である。液体吐出装置1は、シリアル型の印刷装置である。媒体PAは、典型的には印刷用紙である。なお、媒体PAは、印刷用紙に限定されず、例えば、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象でもよい。
【0101】
液体吐出装置1は、インクを吐出する液体吐出ヘッド10、インクを貯留する液体容器2、液体吐出ヘッド10を搭載するキャリッジ3、キャリッジ3を搬送するキャリッジ搬送機構4、媒体PAを搬送する媒体搬送機構5、及び、制御部30を備える。制御部30は、液体の吐出を制御する制御部である。
【0102】
液体容器2の具体的な態様としては、例えば、液体吐出装置1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、及び、インクを補充可能なインクタンクが挙げられる。なお、液体容器2に貯留されるインクの種類は任意である。液体吐出装置1は、例えば、4色のインクに対応して複数の液体容器2を備える。4色のインクとしては、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、及び、ブラックがある。液体容器2は、キャリッジ3に搭載されるものでもよい。
【0103】
液体吐出装置1は、液体容器2のインクを液体吐出ヘッド10に供給する液体供給流路8を有する。液体供給流路8には、インクを移送するポンプ83が設けられている。
【0104】
キャリッジ搬送機構4は、キャリッジ3を搬送するための搬送ベルト4a及びモーターを有する。媒体搬送機構5は、媒体PAを搬送するための搬送ローラー5a及びモーターを有する。キャリッジ搬送機構4及び媒体搬送機構5は、制御部30によって制御される。液体吐出装置1は、媒体搬送機構5によって媒体PAを搬送させながら、キャリッジ搬送機構4によってキャリッジ3を搬送させて、媒体PAにインク滴を吐出して印刷する。
【0105】
液体吐出装置1は、
図32に示されるように、リニアエンコーダー6を備える。キャリッジ3の位置を検出可能な位置に設けられている。リニアエンコーダー6は、キャリッジ3の位置に関する情報を取得する。リニアエンコーダー6は、キャリッジ3の移動に伴って、制御部30にエンコーダー信号を出力する。
【0106】
制御部30は、1又は複数のCPU31を含む。制御部30は、CPU31の代わりに、又は、CPU31に加えて、FPGAを備えるものでもよい。制御部30は、記憶部35を含む。記憶部35は、例えばROM36及びRAM37を備える。記憶部35は、EEPROM、又はPROMを備えていてもよい。記憶部35は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgを記憶できる。記憶部35は、液体吐出装置1の制御プログラムを記憶する。
【0107】
CPUは、Central Processing Unitの略称である。FPGAは、field-programmable gate arrayの略称である。RAMは、Random Access Memoryの略称である。ROMは、Read Only Memoryの略称である。EEPROMEは、Electrically Erasable Programmable Read-Only Memoryの略称である。PROMは、Programmable ROMの略称である。
【0108】
制御部30は、液体吐出装置1の各部の動作を制御するための信号を生成する。制御部30は、印刷信号SI及び波形指定信号dComを生成できる。印刷信号SIは、液体吐出ヘッド20の動作の種類を指定するためのデジタル信号である。印刷信号SIは、圧電素子50に対して駆動信号Comを供給するか否かを指定できる。波形指定信号dComは、駆動信号Comの波形を規定するデジタル信号である。駆動信号Comは、圧電素子50を駆動するためのアナログ信号である。
【0109】
液体吐出装置1は、駆動信号生成回路32を備える。駆動信号生成回路32は、制御部30と電気的に接続されている。駆動信号生成回路32は、DA変換回路を含む。駆動信号生成回路32は、波形指定信号dComにより規定される波形を有する駆動信号Comを生成する。制御部30は、リニアエンコーダー6からエンコーダー信号を受信すると、駆動信号生成回路32に、タイミング信号PTSを出力する。タイミング信号PTSは、駆動信号Comの生成タイミングを規定する。駆動信号生成回路32は、タイミング信号PTSを受信するごとに、駆動信号Comを出力する。
【0110】
駆動回路62は、制御部30及び駆動信号生成回路32と電気的に接続されている。駆動回路62は、印刷信号SIに基づいて、駆動信号Comを圧電素子50に供給するか否かを切り替える。駆動回路62は、制御部30から供給される印刷信号SI、ラッチ信号LAT、及び、チェンジ信号CHに基づいて、駆動信号Comが供給される圧電素子50を選択できる。ラッチ信号LATは、印刷データImgのラッチタイミングを規定する。チェンジ信号CHは、駆動信号Comに含まれる駆動パルスの選択タイミングを規定する。
【0111】
制御部30は、液体吐出ヘッド20によるインクの吐出動作を制御する。制御部30は、上述の通り、圧電素子50を駆動することにより、圧力室C内のインクの圧力を変動させて、ノズルNからインクを吐出する。制御部30は、印刷動作を行う際に、吐出動作を制御する。
【0112】
このような液体吐出装置1において、上記の液体吐出ヘッド10を適用できる。液体吐出ヘッド10では、上述したように、A列側の圧電素子50Aによる吐出特性と、B列側の圧電素子50Bによる吐出特性とのばらつきを抑制できる。なお、液体吐出装置1において、液体吐出ヘッド10B~10Gを適用してもよい。
【0113】
なお、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【0114】
前述の実施形態では、液体吐出ヘッド20を搭載したキャリッジ3を媒体PAの幅方向に往復させるシリアル方式の液体吐出装置1について例示しているが、液体吐出ヘッド10が所定の方向に並べられて配置されたラインヘッドを備えたライン方式の液体吐出装置に本発明を適用してもよい。
【0115】
前述の実施形態で例示した液体吐出装置1は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を吐出する液体吐出装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0116】
1…液体吐出装置、10,10B~10H…液体吐出ヘッド、25…圧力室基板、26…振動板、30…制御部、41A…個別流路(第1流路)、41B…個別流路(第2流路)、50A…圧電素子(第1圧電素子列の圧電素子)、50B…圧電素子(第2圧電素子列の圧電素子)、51,51A,51B…電極(個別電極)、52,52A,52B…電極(共通電極)、53…圧電体層、60…COF、61…フレキシブル配線基板(配線基板)、61a…本体部分、61b…端子、61c…屈曲点、68A…接着剤(第1圧電素子列側の接着剤)、68B…接着剤(第2圧電素子列側の接着剤)、CA…圧力室(第1圧力室)、CB…圧力室(第2圧力室)、DNA…ノズルNAの径(第1ノズルの径)、DNB…ノズルNBの径(第2ノズルの径)、LCA…圧力室CAの長さ(第1吐出要素、第1圧力室の第2方向に沿う長さ)、LCB…圧力室CBの長さ(第2吐出要素、第2圧力室の第2方向に沿う長さ)、NA…ノズル(第1ノズル)、NB…ノズル(第2ノズル)、N…ノズル、OY…Y軸方向に沿う中心線(第1仮想線、第2仮想線)、S47A…断面積(第1吐出要素、第1流路の断面積)、S47B…断面積(第2吐出要素、第2流路の最小断面積)、W51A…電極の幅(第1吐出要素、個別電極の第1方向に沿う長さ)、W51B…電極の幅(第2吐出要素、個別電極の第1方向に沿う長さ)、W53A…圧電体層の幅(第1吐出要素、圧電体層の第1方向に沿う長さ)、W53B…圧電体層の幅(第2吐出要素、圧電体層の第1方向に沿う長さ)、WCA…圧力室CAの幅(第1吐出要素、第1圧力室の第1方向に沿う長さ)、WCB…圧力室CBの幅(第2吐出要素、第2圧力室の第1方向に沿う長さ)、X…X軸方向(第2方向)、Y…Y軸方向(第1方向)、Z…Z軸方向(第3方向、圧力室基板の厚さ方向)。