(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182407
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】麺の個包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 11/54 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B65B11/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089941
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】591210932
【氏名又は名称】株式会社大和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光喜
(72)【発明者】
【氏名】脇 啓人
(72)【発明者】
【氏名】グエン ヴー ロイ
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA03
3E051AB02
3E051AB09
3E051BA01
3E051BA05
3E051CA08
3E051DA05
3E051EA02
3E051EB03
3E051GA03
3E051HD01
3E051HE07
(57)【要約】
【課題】飲食店舗などで麺を簡易に個包装することができる麺の個包装装置を提供する。
【解決手段】個包装装置100は、生麺200をひと塊にまとめる麺纏め部10と、フィルムロール22に巻かれたシート状のラップフィルム23を巻取り軸21に巻き取り、フィルムロール22と巻取り軸21との間で、ラップフィルム23を平面状に張った状態とするラップフィルム張り部20と、ひと塊にまとめられた生麺200の麺玉Nを、平面状に張った状態のラップフィルム23に押し付けて、ラップフィルム23ごと麺玉Nを押し付け方向に突出させる麺押圧部30と、突出した麺玉Nを回転させることにより捩じって、ラップフィルム23の、麺押圧部30の側の部分23aを閉じるラップフィルム閉じ部40と、ラップフィルム23の閉じた部分23aを切断する切断部50と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺をひと塊にまとめる麺纏め部と、
繰出し側のロールに巻かれたシート状のラップフィルムを巻取り側のロールに巻き取り、前記繰出し側のロールと前記巻取り側のロールとの間で、前記ラップフィルムを平面状に張った状態とするラップフィルム張り部と、
前記麺纏め部でひと塊にまとめられた前記麺の塊を、前記ラップフィルム張り部において平面状に張った状態の前記ラップフィルムに押し付けて、前記ラップフィルムごと前記麺の塊を押し付け方向に突出させる麺押圧部と、
前記押し付け方向に突出した前記麺の塊を、前記ラップフィルごと回転させることにより捩じって、前記ラップフィルムの、前記麺押圧部の側の部分を閉じるラップフィルム閉じ部と、
前記ラップフィルムの閉じた部分を切断する切断部と、を備えた麺の個包装装置。
【請求項2】
前記麺纏め部は、3つ以上の回転する丸めローラを有し、
前記3つ以上の丸めローラで囲まれた空間領域に前記麺を配置した状態で、前記丸めローラの外周面との接触により、前記麺を、前記空間領域で回転させてひと塊にまとめる、請求項1に記載の麺の個包装装置。
【請求項3】
前記丸めローラは、回転したとき前記空間領域に配置された前記麺に対して、下方に押すように、前記外周面に螺旋状に設けられた帯板を有する、請求項2に記載の麺の個包装装置。
【請求項4】
前記ラップフィルム閉じ部は、前記ラップフィルム張り部において張られた平面から、前記麺押圧部により前記麺の塊を押し付けられて突出した部分を、回転させる3つ以上の回転する捩じりローラを有し、
前記3つ以上の捩じりローラで囲まれた空間領域に配置された前記麺の塊を前記ラップフィルムごと、前記捩じりローラの回転で回転させることにより、前記ラップフィルムを捩じって、前記ラップフィルム同士の密着により、前記麺押圧部の側の部分を閉じる、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の麺の個包装装置。
【請求項5】
前記ラップフィルム閉じ部は、前記麺の塊が押し付けられて通過した位置で前記突出した部分を形成する固定孔が形成された固定孔板と、前記固定孔を塞がない開放位置と前記固定孔の大部分を塞ぐ閉じ位置との間で移動可能の2つの絞り板と、を有し、
前記麺の塊が前記固定孔を通過した状態で、前記絞り板を前記閉じ位置に移動させて、前記麺押圧部の側の部分を絞る、請求項4に記載の麺の個包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺の個包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
拉麺等の麺類を提供する飲食店舗において、顧客がテイクアウトを希望する場合、麺を小分けにして個包装することが必要である。ここで、製造された麺を機械で大量に包装する工場などで使用される包装装置では、小分けにした麺を、予め成形された袋に入れて包装したり、麺の上下に配置した2枚のシートの全周囲を接合して包装(ピロー包装)したりする(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3160167号公報
【特許文献2】実用新案登録第3088839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した工場などで用いられる包装装置は、商品を厳重に個包装するため、設備が大規模なものとなり、スペースの限られた飲食店の店舗に設置するのは難しい。また、飲食店舗でテイクアウトした麺は、自宅等ですぐに消費されるため、簡易な包装であればよく、工場のように厳重に包装されることまで求められていない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、飲食店舗などで麺を簡易に個包装することができる麺の個包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、麺をひと塊にまとめる麺纏め部と、繰出し側のロールに巻かれたシート状のラップフィルムを巻取り側のロールに巻き取り、前記繰出し側のロールと前記巻取り側のロールとの間で、前記ラップフィルムを平面状に張った状態とするラップフィルム張り部と、前記麺纏め部でひと塊にまとめられた前記麺の塊を、前記ラップフィルム張り部において平面状に張った状態の前記ラップフィルムに押し付けて、前記ラップフィルムごと前記麺の塊を押し付け方向に突出させる麺押圧部と、前記押し付け方向に突出した前記麺の塊を、前記ラップフィルごと回転させることにより捩じって、前記ラップフィルムの、前記麺押圧部の側の部分を閉じるラップフィルム閉じ部と、前記ラップフィルムの閉じた部分を切断する切断部と、を備えた麺の個包装装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る面の個包装装置は、飲食店舗などで麺を簡易に個包装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態である麺の個包装装置を示す斜視図である。
【
図2】個包装装置における麺押さえ部を透視した平面図である。
【
図5】個包装装置における主に投入部、麺押さえ部及び案内板を透視した斜視図である。
【
図6】底板の下方に配置された丸め筒等を示す斜視図である。
【
図7】ラップフィルム張り部及び搬送板の配置を示す斜視図である。
【
図8】固定孔板と絞り板によるラップフィルムを絞る作用を説明する模式図であり、絞り板が開放位置にある状態を示す。
【
図9】固定孔板と絞り板によるラップフィルムを絞る作用を説明する模式図であり、絞り板が閉じ位置にある状態を示す。
【
図10】固定孔板の下方に配置された捩じりローラの配置を示すため、個包装装置を、下方から見上げて透視した模式図である。
【
図11】麺玉をラップフィルムで包装する様子を示す要部断面図であり、押圧板が丸め筒に進入する前の状態を示す。
【
図12】麺玉をラップフィルムで包装する様子を示す要部断面図であり、絞り板が開放位置にあり、押圧板が麺玉を丸め筒から押し出してラップフィルムごと固定孔板から下方に突出させた状態を示す。
【
図13】麺玉をラップフィルムで包装する様子を示す要部断面図であり、絞り板が絞り位置に移動した状態を示す。
【
図14】麺玉をラップフィルムで包装する様子を示す要部断面図であり、ラップフィルムごと麺玉を回転させてラップフィルムの上側の部分を捩じって閉じた状態を示す。
【
図15】ラップフィルムで個包装された麺玉が、底板が退避した孔板の孔を通じて下方の回収箱に回収される様子を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る麺の個包装装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は麺の個包装装置100を示す斜視図、
図2は個包装装置100における麺押さえ部12を透視した平面図、
図3は個包装装置100の左側から見た左側面図、
図4は個包装装置100の前側から見た正面図、
図5は個包装装置100における主に投入部11、麺押さえ部12及び案内板13を透視した斜視図、である。
【0011】
(全体構成)
図示の個包装装置100は、本発明に係る麺の個包装装置の一実施形態である。個包装装置100は、例えば製麺装置に連結されている。個包装装置100は、製麺装置によって製造された、例えば一人分の生麺200をひと塊の麺玉Nに丸め、この麺玉Nをラップフィルム23で個包装する。個包装装置100は、麺纏め部10と、ラップフィルム張り部20と、麺押圧部30と、ラップフィルム閉じ部40と、切断部50と、を備えている。
【0012】
(麺纏め部)
麺纏め部10は、製麺装置によって切断された生麺200の例えば一人分を丸めた塊(以下、麺玉Nという)にまとめる。麺纏め部10は、投入部11と、麺押さえ部12と、案内板13と、丸めローラ14と、底板15と、丸め筒16と、搬送部17と、を備えている。
【0013】
投入部11は、製麺装置のベルトコンベアに載って送られてきた一人分の生麺200を受け取る部分である。投入部11は、下側出口11bが上側入口11aよりも狭く形成された漏斗状に形成されていて、上側入口11aから投入された一人分の生麺200を、ひと塊にして下側出口11bから下方に搬出する。下側出口11bは、案内板13に形成された丸孔13a(
図5参照)に接続されていて、下側出口11bから搬出されたひと塊の生麺200は、この丸孔13aを通過して、下方に搬出される。
【0014】
案内板13の下方には、
図5に示すように、底板15上に、4つの丸めローラ14が矩形に配置されている。そして、丸孔13aの下方には、4つの丸めローラ14と底板15で囲まれた空間領域14fが形成されていて、丸孔13aを通過して下方に落下したひと塊の生麺200は、この空間領域14fに配置される。なお、丸めローラ14は4つに限定されるものではなく、3つ以上であればよい。
【0015】
4つの丸めローラ14の回転軸はチェーンやベルトで連結されていて、このチェーンやベルトを駆動する単一のモータ(図示省略)の回転により、4つの丸めローラ14は同一方向、同一角速度で回転する。本実施形態においては、4つの丸めローラ14は、平面視で反時計回りに回転する。
【0016】
なお、4つの丸めローラ14は、同一の半径であるが、異なる半径で形成されていてもよい。また、4つの丸めローラ14は、単一のモータで回転するものでなくてもよい。また、4つの丸めローラ14は、配置や半径に応じて、必ずしも同一方向及び同一角速度で回転するものでなくてもよく、したがって、一部の丸めローラ14が他の丸めローラ14と異なる回転方向や角速度で回転してもよい。
【0017】
各丸めローラ14は、外周面14aに螺旋状に巻き付いた帯板14bが設けられている。帯板14bは、外周面14aから半径方向に厚さ分だけ突出している。各帯板14bは、右ねじの向きの螺旋となっている。
【0018】
つまり、丸めローラ14が回転することにより、空間領域14fに配置された生麺200は、丸めローラ14の外周面14aに接触して回転するが、このとき、外周面14aに設けられた螺旋状の帯板14bが生麺200を下方に押すように、螺旋の向きが設定されている。
【0019】
空間領域14fに配置されたひと塊の生麺200は、4つの丸めローラ14の反時計回りの回転と、帯板14bによる下方への押圧及び後述する押圧板12aによる下方への押圧により、平面視で時計回り方向に回転しながら、略円柱状の塊の麺玉Nに形成される。
【0020】
麺押さえ部12は、支柱12fにより支持されて、投入部11の上方に、鉛直方向に沿って配置されている。麺押さえ部12は、例えばエアシリンダにより構成されていて、麺押さえ部12の最下部には、エアシリンダの作動により下方に突出する円板状の押圧板12aが設けられている。
【0021】
押圧板12aは、エアシリンダの作動によって下方に移動し、投入部11の下側出口11bまで移動し、空間領域14fにおいて回転する麺玉Nを上方から下方に向けて押圧し、回転する麺玉Nが上方に逃げるのを阻止している。
【0022】
一定時間の4つの丸めローラ14の回転と押圧板12aの押圧とによって、略円柱状の塊の麺玉Nが形成されると、丸めローラ14の回転は停止し、押圧板12aもエアシリンダの動作により上方の位置に戻る。その後、底板15の、空間領域14fに対応した部分が開口して、麺玉Nは底板15の下方に落下する。
【0023】
図6は、底板15の下方に配置された丸め筒16等を示す斜視図である。底板15の下方には、
図6に示すように、麺玉Nの円柱と略同じ直径で形成された円筒状の丸め筒16が、配置されていて、底板15の開口を通って下方に落下した麺玉Nは、
図6の二点鎖線で示す位置の丸め筒16の内側に収容される。
【0024】
丸め筒16は搬送部材17bに接合され、搬送部材17bは、前後方向に伸縮するエアシリンダ17cに連結されている。エアシリンダ17cの作動により、搬送部材が前後に移動し、これにより、丸め筒16は搬送板17a上を前後に移動可能とされている。したがって、空間領域14fの下方において丸め筒16(
図6の二点鎖線で示す)に収容された麺玉Nは、エアシリンダ17cの作動により、丸め筒16ごと前方に移動される(
図6の実線で示す)。
【0025】
丸め筒16は、エアシリンダ17cに連結された搬送部材17bに接合されていて、エアシリンダ17cの作動により、搬送板17a上を前後に滑って前後方向に移動可能とされている。したがって、丸め筒16に収容された麺玉Nは、エアシリンダ17cの作動により、丸め筒16ごと、前方に移動される。
【0026】
図7は、ラップフィルム張り部20及び搬送板17aの配置を示す斜視図である。搬送板17aの、丸め筒16の移動範囲の前端に対応する部分には、
図7に示すように、開口17eが形成されている。また、搬送板17aの、丸め筒16の移動範囲の前端に対応する部分には、搬送板17aの下側に、ラップフィルム閉じ部40の固定孔板41が重ねられている。
【0027】
(ラップフィルム張り部)
ラップフィルム張り部20は、フィルムロール22と、巻取り軸21と、巻取りモータ24と、を備えている。
【0028】
ラップフィルム張り部20は、繰出し側のロールであるフィルムロール22に巻かれたシート状のラップフィルム23を、巻取り側のロールである巻取り軸21に巻き取り、フィルムロール22と巻取り軸21との間で、ラップフィルム23を平面状に張った状態とする。
【0029】
フィルムロール22は、長尺のシート状のラップフィルム23をロール状に巻回したものである。フィルムロール22は、搬送板17aの開口17eよりも後方に配置されている。フィルムロール22に巻かれているラップフィルム23は、開口17eの直径、すなわち麺玉Nの円柱の直径よりも十分広い幅(左右方向に沿った寸法)である。
【0030】
巻取り軸21は、搬送板17aの開口17eよりも後方に配置されている。巻取り軸21は、巻取りモータ24の作動によって軸回りに回転する。フィルムロール22に巻かれているラップフィルム23は、搬送板17aと固定孔板41との間を通過して巻取り軸21に巻き付けられている。
【0031】
そして、巻取り軸21の回転により、ラップフィルム23はフィルムロール22から巻き解かれて、搬送板17aと固定孔板41との間を前方に移動し、巻取り軸21に巻き取られる。ラップフィルム23は、フィルムロール22と巻取り軸21との間で水平方向に平面状に張られた状態となっている。
【0032】
(麺押圧部)
麺押圧部30は、例えば上下方向に伸縮するエアシリンダにより構成されていて、麺押圧部30の最下部には、エアシリンダの作動により下方に突出する円板状の押圧板31aが設けられている。押圧板31aは、丸め筒16の内側及び開口17eを通過できる程度の直径で形成されている。
【0033】
麺押圧部30は、麺纏め部10でひと塊にまとめられた生麺200の塊である麺玉Nを、ラップフィルム張り部20において平面状に張った状態のラップフィルム23に押し付けて、麺玉Nごとラップフィルム23を押し付け方向に突出させる。
【0034】
押圧板31aは、開口17eの上方に配置されていて、エアシリンダの作動によって下方に移動し、開口17e上に配置されている状態の丸め筒16の内側の麺玉Nを開口17eの下方まで押圧する。
【0035】
(ラップフィルム閉じ部)
図8,9は、固定孔板41と絞り板42,43によるラップフィルム23を絞る作用を説明する模式図である。ラップフィルム閉じ部40は、固定孔板41と、2つの絞り板42,43と、図示を略した絞り板駆動モータと、4つの捩じりローラ45と、を備えている。
【0036】
ラップフィルム閉じ部40は、押圧方向に突出した麺玉Nを、ラップフィルム23ごと回転させることにより捩じって、麺玉Nを包んだラップフィルム23の、麺押圧部30の側である上側の部分23aを閉じる。
【0037】
固定孔板41は、
図8,9に示すように、円形の固定孔41aが形成されている。この固定孔41aは、搬送板17aの開口17eと重なって、同じ大きさで形成されている。
【0038】
絞り板42は、固定孔板41の下側に重ねられている。絞り板42は、三角形状に切り欠かれて輪郭がV字状に形成された切り欠き42aが形成されている。絞り板43も絞り板42と同様に、固定孔板41の下側に重ねられている。ただし、絞り板43は、固定孔板41との間に、絞り板42の厚さ分だけ間隔を空けて配置されている。絞り板43も、V字状の切り欠き43aが形成されている。
【0039】
絞り板42と絞り板43とは、
図8に示すように、固定孔41aを塞がない位置で、固定孔41aを挟んで切り欠き42a,43aが互いに対向する姿勢で配置されている。
【0040】
絞り板42,43は、絞り板駆動モータによって、
図8に示す開放位置と、
図9に示す閉じ位置との間で、各絞り板42,43の面内で移動可能とされている。開放位置は、前述したように、絞り板42と絞り板43とが固定孔41aを塞がない位置であり、閉じ位置は、絞り板42と絞り板43とが互いに重なるように反対方向に移動して、固定孔41aの大部分を塞ぎ、切り欠き42a,43aと固定孔41aとが重なって、固定孔41aを小さい孔49に絞った状態とする位置である。
【0041】
なお、閉じ位置の絞り板42,43は、絞り板駆動モータによって、
図9の矢印方向に移動して開放位置に戻る。
【0042】
図10は、固定孔板41の下方に配置された4つの捩じりローラ45の配置を示すため、個包装装置100を、下方から見上げて透視した模式図である。4つの捩じりローラ45は、
図10に示すように、固定孔板41の下方に配置されている。4つの捩じりローラ45は、矩形に配置されている。そして、固定孔41aの下方には、4つの捩じりローラ45で囲まれた空間領域46が形成されている。なお、捩じりローラは4つに限定されるものではなく、3つ以上であればよい。
【0043】
4つの捩じりローラ45の回転軸は、リンクが連結されていて、4つの捩じりローラ45の配置の矩形が大きい初期位置と、配置の矩形を小さくした絞り位置との間で移動可能となっている。初期位置は、4つの捩じりローラ45が、固定孔41aの下方を全く塞がない位置であり、空間領域46が相対的に大きい配置である。
【0044】
一方、絞り位置は、空間領域46が相対的に小さい配置であり、この小さい空間領域46に配置された、後述のラップフィルム23で包まれた麺玉Nに周囲から接する位置(固定孔41aの下方の一部を塞ぐ位置)である。
図10は初期位置の状態を示している。
【0045】
また、4つの捩じりローラ45の回転軸は、チェーンやベルトで連結されていて、このチェーンやベルトを駆動する単一のモータ(図示省略)の回転により、4つの捩じりローラ45は同一方向、同一角速度で回転する。本実施形態においては、4つの捩じりローラ45は、平面視で時計回り(
図10の底面視では反時計回り)に回転する。各捩じりローラ45は、外周面45aに、軸方向に延びたセレーション45bが形成されている。
【0046】
なお、4つの捩じりローラ45は、同一の半径であるが、異なる半径で形成されていてもよい。また、4つの捩じりローラ45は、単一のモータで回転するものでなくてもよい。また、4つの捩じりローラ45は、配置や半径に応じて、必ずしも同一方向及び同一角速度で回転するものでなくてもよく、したがって、一部の捩じりローラ45が他の捩じりローラ45と異なる回転方向や角速度で回転してもよい。
【0047】
図11,12,13,14は、麺玉Nをラップフィルム23で包装する様子を示す要部断面図であり、
図11は押圧板31aが丸め筒16に進入する前の状態、
図12は絞り板42,43が開放位置にあり、押圧板31aが麺玉Nを丸め筒16から押し出してラップフィルム23ごと固定孔板41から下方に突出させた状態、
図13は絞り板42,43が絞り位置に移動した状態、
図14はラップフィルム23ごと麺玉Nを回転させてラップフィルム23を捩じって閉じた状態をそれぞれ示す。
【0048】
麺玉Nが収容された丸め筒16が開口17eの上方に配置された状態で、かつ絞り板42,43が開放位置にある状態で、しかも、捩じりローラ45が初期位置にあるとき、麺押圧部30の押圧板31aが、麺押圧部30のエアシリンダの作動により下方に移動する。これにより、押圧板31aは、
図11に示すように、丸め筒16の内側に収容された麺玉Nを下方に押圧する。
【0049】
そして、押圧板31aは、
図12に示すように、麺玉Nを、搬送板17aと固定孔板41との間に平面状に張られたラップフィルム23ごと、固定孔41aを通して、固定孔板41の下方の、初期位置に対応した空間領域46まで押圧する。
【0050】
これにより、麺押圧部30により押し付けられた麺玉Nは、ラップフィルム張り部20において平面状に張られたラップフィルム23ごと、ラップフィルム23が張られていた平面から下方に突出して、上側以外の周囲がラップフィルム23で包まれた状態で、初期位置の空間領域46に配置される。
【0051】
そして、押圧板31aがエアシリンダに作動により、上方の位置に戻った後、4つの捩じりローラ45が絞り位置まで移動して空間領域46を狭め、ラップフィルム23で包まれた麺玉Nに、4つの捩じりローラ45が周囲から接した状態とする。
【0052】
この状態で、絞り板駆動モータによって絞り板42,43が、
図13に示すように閉じ位置に移動する。これにより、麺玉Nを包んでいるラップフィルム23の上側の部分23aは、小さい孔49によって絞られ、略閉じられた状態となる。
【0053】
続いて、4つの捩じりローラ45が全て時計回りに回転し、空間領域46に配置された、ラップフィルム23に包まれた麺玉Nは、ラップフィルム23に接している捩じりローラ45の外周面45aのセレーション45bとの摩擦により、反時計回りに回転する。これにより、小さい孔49を通っているラップフィルム23の上側の部分23aは捩じられる。
【0054】
続いて、捩じりローラ45の回転が停止し、捩じりローラ45が初期位置に戻るとともに、2つの絞り板42,43が、絞り板駆動モータによって、
図8に示す開放位置に戻る。このとき、ラップフィルム23の上側の部分23aは、小さい孔49よりも大きい固定孔41aに戻るが、捩じられたときのラップフィルム23同士の密着によって閉じた状態で維持され、麺玉Nはラップフィルム23により簡易的に個包装された状態となる。
【0055】
(切断部)
切断部50は、
図10に示すように、絞り板42,43の下側に配置された、例えば鋏51によって形成されている。切断部50は、ラップフィルム23の閉じた部分である上側の部分23aを切断する。
【0056】
鋏51は、2枚の刃51a,51bが開いた状態(
図10において二点鎖線で示す)では、固定孔41aを塞がず、また、上述したラップフィルム23の上側の部分23aを切断するときは、2枚の刃51a,51bが、固定孔41aの下方で重なり(
図10において実線で示す)、
図14に示すように、捩じられた上側の部分23aを切断する。鋏51は、上側の部分23aを切断した後、開いた状態に戻る。
【0057】
ここで、ラップフィルム23は、捩じられた上側の部分23aが切断されて切り離されたため、搬送板17aと固定孔板41との間で孔が開いた状態となる。そこで、巻取り軸21が巻取りモータ24の作動によって軸回りに回転して、ラップフィルム23の、孔の空いた部分を巻き取り、搬送板17aと固定孔板41との間に、フィルムロール22から巻き解かれてラップフィルム23を平面状に張った状態とする。
【0058】
図15は、ラップフィルム23で個包装された麺玉Nが、底板47が退避した孔板48の孔48aを通じて下方の回収箱300に回収される様子を示す要部断面図である。ラップフィルム23の上側の部分23aが切断された麺玉Nは、
図15に示すように、捩じりローラ45の下方の底板47上に配置された状態となる。
【0059】
そして、底板47が矢印方向にスライドして、底板47に重ねて配置された孔板48の孔48aから底板47が退避することで、ラップフィルム23で個包装された麺玉Nは、孔48aを通過して下方に落下し、回収箱300に回収される。
【0060】
以上、詳細に説明したように、本実施形態の麺の個包装装置100によれば、例えば、一人前の生麺200をひと塊の麺玉Nに丸めて、シート状のラップフィルム23に押し付け、捩じることでラップフィルム23で、小分けにした生麺200を、簡易的に個包装することできる。
【0061】
したがって、予め成形された袋に生麺200を入れて包装したり、生麺200の上下に配置した2枚のシートの全周囲を接合して包装したりする、工場などで用いられ包装装置とは異なり、生麺200を簡易に個包装することができる。
【0062】
そして、本実施形態の麺の個包装装置100は、工場などで用いられ包装装置のように大規模なものではないため、スペースの限られた飲食店の店舗にも設置することができる。
【0063】
具体的には、本実施形態の麺の個包装装置100は、幅方向(左右方向)の寸法を、製麺装置のベルトコンベアの幅と同程度にすることができる。また、本実施形態の麺の個包装装置100は、前後方向の長さもラップフィルムを平面状に広げた程度の長さとすることができる。
【0064】
また、本実施形態の麺の個包装装置100は、生麺200を小分けにし、その小分けにした生麺200を丸めてひと塊の麺玉Nに形成し、その麺玉Nをラップフィルム23に押し付けて包み、捩じって切断し、これによりラップフィルム23で個包装された麺玉Nとして回収箱300に排出されてくる工程を、店舗内でテイクアウトを待つ顧客に見せることができ、見た目のエンターテイメント性により、顧客の目を楽しませることもできる。
【0065】
本実施形態の麺の個包装装置100は、個包装する麺玉Nを、例えば一人前としたが、一人前に限らず、二人前や三人前に設定することもできる。また、個包装する麺玉Nを、例えば、100g~150gの重量で設定することもできる。
【0066】
本実施形態の麺の個包装装置100は、個包装する麺として、例えば拉麺の生麺200を例示したが、本発明に係る麺の個包装装置が個包装する対象の麺は、拉麺の生麺200に限定されず、拉麺の半生麺であってもよい。また、本発明に係る麺の個包装装置は、拉麺以外の、そばの生麺や半生麺であってもよいし、うどんの生麺や半生麺、パスタの生麺や半生麺などであってもよい。
【0067】
また、本発明に係る麺の個包装装置は、麺を包装するシート状のラップフィルムは、例えば、透明又は半透明の塩化ビニル樹脂であるが、本発明におけるラップフィルムは、押圧したり捩じったりしても破損しない材料であれば、塩化ビニル樹脂に限定されず、他の材料であってもよいし、また、他の色や不透明であってもよい。
【0068】
なお、本実施形態の麺の個包装装置100は、麺玉Nを個包装したラップフィルム23の捩じられて切断された上側の部分23aが外力によって容易に開かないよう、テープ等を貼って、閉じた状態を強固に維持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 麺纏め部
20 ラップフィルム張り部
21 巻取り軸
22 フィルムロール
23 ラップフィルム
23a 上側の部分
30 麺押圧部
40 ラップフィルム閉じ部
50 切断部
100 個包装装置
200 生麺
N 麺玉