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  • 特開-住宅 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182417
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089960
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】松岡 ちさと
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA23
2E025AA24
2E025AA25
2E025AA26
(57)【要約】
【課題】玄関の意匠性が損なわれるのを回避しながら、ウイルスや汚れ等が玄関よりも室内側に持ち込まれるのをより確実に防止することができる住宅を提供する。
【解決手段】住宅10には、玄関空間11と、廊下12と、居室13と、玄関収納室14とが設けられている。玄関空間11は、床面が土間により形成された玄関土間空間16と、床面が玄関土間空間16よりも高くされた玄関ホール17とを有している。玄関収納室14は、玄関土間空間16に隣接しており、玄関土間空間16から玄関収納室14には出入口23を通じて出入り可能とされている。玄関収納室14は、床面が土間により形成され出入口23に隣接する土間空間部41と、床面が土間空間部41よりも高くされた床上空間部42とを有している。玄関収納室14において、土間空間部41には洗面台31が設置され、床上空間部42にはシャワー室32が設置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関口を通じて屋外から出入り可能な玄関空間と、
前記玄関空間に隣接し、前記玄関空間から出入口を通じて出入り可能な玄関収納空間と、を備え、
前記玄関収納空間には、洗面台が設置されているとともに、シャワー室が設けられている、住宅。
【請求項2】
前記玄関空間は、前記玄関口に隣接し床面が土間により形成された玄関土間空間と、前記玄関土間空間と連続し床面が前記玄関土間空間よりも高くされた玄関ホールとを有し、
前記玄関収納空間は、前記玄関土間空間に隣接し、前記玄関土間空間から前記出入口を通じて出入り可能となっており、
前記玄関収納空間の少なくとも一部は、前記出入口に隣接し床面が土間により形成された土間空間部となっており、
前記土間空間部に前記洗面台が設置されている、請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記玄関収納空間は、前記土間空間部に加え、床面が前記土間空間部よりも高くされた床上空間部を有しており、
前記床上空間部には、前記シャワー室が配置されているとともに、前記シャワー室に隣接して脱衣可能な脱衣スペースが設けられている、請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
前記玄関土間空間から前記玄関ホールを通じて行き来可能とされている居室空間を備え、
前記出入口は第1出入口であり、
前記玄関収納空間の出入口として、前記第1出入口に加え、前記床上空間部に隣接する第2出入口が設けられており、
前記第2出入口は、前記床上空間部から前記居室空間へ前記玄関土間空間を経由せずに移動可能とする出入口となっている、請求項3に記載の住宅。
【請求項5】
前記玄関収納空間の四方を囲む複数の壁部には、前記玄関収納空間を挟んで互いに対向する一対の第1壁部と、前記第1壁部の壁幅方向において前記玄関収納空間を挟んで互いに対向する一対の第2壁部と、が含まれており、
前記一対の第1壁部のうち、一方の第1壁部の壁際に前記洗面台と前記シャワー室とが隣接して配置され、他方の第1壁部の壁際に収納棚が設置され、
前記一対の第2壁部のうち、一方の第2壁部に前記第1出入口が形成され、他方の第2壁部に前記第2出入口が形成されている、請求項4に記載の住宅。
【請求項6】
前記土間空間部と前記床上空間部とは、前記第1壁部の壁幅方向に並んでいるとともに、前記第2壁部の壁幅方向全域に亘って延びており、
前記一対の第1壁部の間の間隔は、前記一対の第2壁部の間の間隔よりも大きくなっている、請求項5に記載の住宅。
【請求項7】
前記床上空間部には、前記第2壁部の壁幅方向において前記シャワー室から離間した位置に洗濯機を設置可能な洗濯機設置部が設けられており、
前記洗濯機設置部と前記シャワー室との間は前記脱衣スペースとなっており、
前記脱衣スペースは前記第2出入口と隣接している、請求項6に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅の玄関部分には、玄関口から出入り可能な玄関土間空間と、玄関土間空間に隣接する玄関ホールとが設けられている。特許文献1には、玄関ホールに洗面台が設けられた住宅が開示されている。この特許文献1の住宅では、居住者が帰宅して玄関口から玄関土間空間に入った後、玄関ホールに移動して洗面台で手洗いを行うことができる。そのため、手に付着したウイルスや汚れ等が玄関ホールよりも室内側に持ち込まれるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-202224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ウイルスや汚れ等は、手だけでなく、手以外の部分にも付くことが考えられる。例えば、子供が砂遊びをして帰宅した場合には、足等、手以外の部分が泥等で汚れていることが考えられる。そのような場合、特許文献1の住宅では、玄関ホールの洗面台で洗うことが難しいため、玄関ホールから浴室に移動して洗うことになる。しかしながら、その場合、浴室への移動に伴い、ウイルスや汚れ等が室内側に持ち込まれるおそれがある。
【0005】
また、特許文献1の住宅では、玄関ホールに洗面台が設けられているため、それにより、玄関の意匠性が損なわれるおそれもある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、玄関の意匠性が損なわれるのを回避しながら、ウイルスや汚れ等が玄関よりも室内側に持ち込まれるのをより確実に防止することができる住宅を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の住宅は、玄関口を通じて屋外から出入り可能な玄関空間と、前記玄関空間に隣接し、前記玄関空間から出入口を通じて出入り可能な玄関収納空間と、を備え、前記玄関収納空間には、洗面台が設置されているとともに、シャワー室が設けられている。
【0008】
第1の発明によれば、玄関空間から出入り可能とされた玄関収納空間に洗面台が設置されている。この場合、居住者が外出先から帰宅して玄関空間に入った後、玄関収納空間に移動して洗面台で手洗いを行うことができる。そのため、手に付着したウイルスや汚れ等が玄関空間よりも室内側に持ち込まれるのを防止することができる。また、玄関収納空間には、洗面台に加え、シャワー室が設けられている。これにより、居住者が帰宅した際には、手だけでなく、シャワー室で体を洗うこともできる。そのため、体に付着したウイルスや汚れ等についても室内側に持ち込まれるのを防止することができる。また、洗面台とシャワー室とは玄関収納空間に配置されているため、これらにより玄関空間の意匠性が損なわれることはない。よって、以上より、玄関空間の意匠性が損なわれるのを回避しながら、玄関空間よりも室内側にウイルスや汚れ等が持ち込まれるのをより確実に防止することができる。
【0009】
第2の発明の住宅は、第1の発明において、前記玄関空間は、前記玄関口に隣接し床面が土間により形成された玄関土間空間と、前記玄関土間空間と連続し床面が前記玄関土間空間よりも高くされた玄関ホールとを有し、前記玄関収納空間は、前記玄関土間空間に隣接し、前記玄関土間空間から前記出入口を通じて出入り可能となっており、前記玄関収納空間の少なくとも一部は、前記出入口に隣接し床面が土間により形成された土間空間部となっており、前記土間空間部に前記洗面台が設置されている。
【0010】
第2の発明によれば、玄関収納空間には玄関土間空間から出入り可能となっている。また、玄関収納空間の少なくとも一部は出入口に隣接した土間空間部となっており、その土間空間部に洗面台が設置されている。この場合、帰宅した際、靴を履いたまま玄関土間空間から土間空間部に移動し、洗面台で手洗いを行うことができる。つまり、この場合、靴を脱いで玄関ホールに上がる前に手洗いを行うことができるため、ウイルスや汚れ等が玄関空間よりも室内側に持ち込まれるのをより一層確実に防止することが可能となる。
【0011】
第3の発明の住宅は、第2の発明において、前記玄関収納空間は、前記土間空間部に加え、床面が前記土間空間部よりも高くされた床上空間部を有しており、前記床上空間部には、前記シャワー室が配置されているとともに、前記シャワー室に隣接して脱衣可能な脱衣スペースが設けられている。
【0012】
第3の発明によれば、玄関収納空間が土間空間部に加え、床上空間部を有しており、その床上空間部にシャワー室と脱衣スペースとが設けられている。これにより、土間空間部において靴を履いたまま手洗い可能とされた上述の構成にあって、シャワー室で体を洗う際には、床上で衣服を脱ぎ体を洗うことが可能となる。
【0013】
第4の発明の住宅は、第3の発明において、前記玄関土間空間から前記玄関ホールを通じて行き来可能とされている居室空間を備え、前記出入口は第1出入口であり、前記玄関収納空間の出入口として、前記第1出入口に加え、前記床上空間部に隣接する第2出入口が設けられており、前記第2出入口は、前記床上空間部から前記居室空間へ前記玄関土間空間を経由せずに移動可能とする出入口となっている。
【0014】
第4の発明によれば、シャワー室で体を洗った後、床上空間部から第2出入口を通じて居室空間へ移動することができる。そのため、シャワー室で体を洗った後、再び靴を履いて玄関土間空間に戻り、それから靴を脱いで居室空間に移動する煩わしさを回避することができる。
【0015】
第5の発明の住宅は、第4の発明において、前記玄関収納空間の四方を囲む複数の壁部には、前記玄関収納空間を挟んで互いに対向する一対の第1壁部と、前記第1壁部の壁幅方向において前記玄関収納空間を挟んで互いに対向する一対の第2壁部と、が含まれており、前記一対の第1壁部のうち、一方の第1壁部の壁際に前記洗面台と前記シャワー室とが隣接して配置され、他方の第1壁部の壁際に収納棚が設置され、前記一対の第2壁部のうち、一方の第2壁部に前記第1出入口が形成され、他方の第2壁部に前記第2出入口が形成されている。
【0016】
第5の発明によれば、互いに対向する一対の第1壁部のうち、一方の第1壁部の壁際に洗面台とシャワー室とが隣接して配置されているため、洗面台で手を洗ってからシャワー室で体を洗うにあたり、すぐに移動することができ都合がよい。また、他方の第1壁部の壁際には収納棚が設置され、それにより、洗面台及びシャワー室からなるサニタリエリアが収納棚から離間されている。収納棚には、屋外で用いる物品(例えば、タイヤや子供の遊び道具など)が置かれることが想定されるため、収納棚から離してサニタリエリアを設定することで衛生性の面で好ましい構成とすることができる。
【0017】
また、一対の第2壁部のうち、一方の第2壁部には第1出入口が形成され、他方の第2壁部には第2出入口が形成されている。この場合、第1出入口及び第2出入口のいずれもが、サニタリエリアと収納棚との中間部に位置するため、玄関収納空間においてサニタリエリアを利用する際も収納棚を利用する際も、移動がし易い。
【0018】
第6の発明の住宅は、第5の発明において、前記土間空間部と前記床上空間部とは、前記第1壁部の壁幅方向に並んでいるとともに、前記第2壁部の壁幅方向全域に亘って延びており、前記一対の第1壁部の間の間隔は、前記一対の第2壁部の間の間隔よりも大きくなっている。
【0019】
第6の発明によれば、一対の第1壁部の間の間隔が一対の第2壁部の間の間隔よりも大きくなっているため、サニタリエリアと収納棚とをより離間させることができる。そのため、衛生性の面でより好ましい構成とすることができる。また、土間空間部を第2壁部の壁幅方向に長い空間とすることができるため、土間空間部に自転車等を置いておく際に好都合となる。
【0020】
第7の発明の住宅は、第6の発明において、前記床上空間部には、前記第2壁部の壁幅方向において前記シャワー室から離間した位置に洗濯機を設置可能な洗濯機設置部が設けられており、前記洗濯機設置部と前記シャワー室との間は前記脱衣スペースとなっており、前記脱衣スペースは前記第2出入口と隣接している。
【0021】
第7の発明によれば、床上空間部に設けられた洗濯機設置部に洗濯機を設置することができる。これにより、帰宅した際に玄関収納空間で汚れた衣類を脱ぎ、洗濯機で洗濯することができる。そのため、衣類に付着したウイルスや汚れ等が室内側に持ち込まれるのを防止することができる。
【0022】
また、洗濯機とシャワー室との間が脱衣スペースとなっているため、シャワー室で体を洗う際に脱いだ衣類を隣りの洗濯機に入れてそのまま洗濯することができる。また、脱衣スペースは第2出入口と隣接しているため、体を洗って脱衣スペースで服を着た後、すぐに第2出入口を通じて居室空間に移動することができる。これにより、床上空間部で体を洗って洗濯をし、それから居室空間へ移動する上で、好適な構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】住宅の玄関周辺の間取りを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は、住宅の玄関周辺の間取りを示す平面図である。
【0025】
図1に示すように、住宅10(戸建て住宅)には、屋内空間として、玄関空間11と、廊下12と、居室13と、玄関収納室14とが設けられている。玄関空間11は、玄関土間空間16と、玄関ホール17とを有している。玄関土間空間16は、床面が土間により形成されており、玄関口18に隣接している。玄関土間空間16には、玄関口18を通じて屋外から出入り可能となっている。また、玄関口18には玄関扉19が設けられている。玄関扉19は、例えば親子式の開き戸とされている。
【0026】
玄関ホール17は、玄関土間空間16を挟んで玄関口18とは反対側に設けられている。玄関ホール17は、玄関土間空間16と連続する空間となっており、床面が玄関土間空間16よりも高くされている。なお、玄関土間空間16と玄関ホール17との床段差部分には上がり框21が設けられている。
【0027】
廊下12は、玄関ホール17と連続しており、居室13に通じている。居室13は、例えばLDK(リビングダイニングキッチン)となっている。なお、居室13が居室空間に相当する。
【0028】
玄関収納室14は、玄関土間空間16に隣接して設けられている。詳しくは、玄関収納室14は、玄関土間空間16と玄関ホール17とが並ぶ方向と直交する方向において玄関土間空間16と隣接している。また、玄関収納室14は、玄関土間空間16側とは反対側において居室13と隣接している。なお、玄関収納室14が玄関収納空間に相当する。
【0029】
玄関収納室14と玄関土間空間16との間には、第1出入口としての出入口23が設けられている。この出入口23を通じて玄関土間空間16から玄関収納室14への出入りが可能となっている。出入口23には、出入口23を開閉する開閉体24が設けられている。開閉体24は、引き戸からなり、例えば片引込戸からなる。本実施形態では、開閉体24が2枚の片引込戸からなり、全開状態(図1において点線で示す)において出入口23全域を開放させることが可能となっている。そのため、玄関収納室14には、自転車や大きなサイズのアウトドア用品等を収納可能となっている。また、開閉体24は、採光性を有する素材により形成され、例えば乳白色の素材により形成されている。
【0030】
ここで、本住宅10では、玄関収納室14の内部に洗面台31が設置されているとともに、シャワー室32が設けられている。これにより、本住宅10では、外出先から帰宅した際に、玄関収納室14に入って洗面台31で手を洗うことができ、さらにはシャワー室32で体を洗うことができるようになっている。本住宅10では、このような玄関収納室14の構成に特徴を有しており、以下では、かかる玄関収納室14の構成について詳しく説明する。
【0031】
玄関収納室14は、平面視において矩形形状をなしている。詳しくは、玄関収納室14は、平面視において、玄関土間空間16と玄関収納室14とが並ぶ並び方向と直交する方向に長い長方形状をなしている。玄関収納室14の長手方向の長さは、同方向における玄関土間空間16の長さよりも長くなっている。また、玄関収納室14の短手方向の長さは、同方向における玄関土間空間16の長さと略同じとなっている。
【0032】
玄関収納室14は、その4方が仕切壁34~37により囲まれている。それら複数の仕切壁34~37には、玄関収納室14の長手方向において玄関収納室14を挟んで対向する一対の仕切壁34,35と、玄関収納室14の短手方向において玄関収納室14を挟んで対向する一対の仕切壁36,37とが含まれている。この場合、各仕切壁34,35の間の間隔L1は、各仕切壁36,37の間の間隔L2よりも大きくなっている。詳しくは、各仕切壁34,35の間の間隔L1は、各仕切壁36,37の間の間隔L2の2倍よりも大きくなっている。
【0033】
なお、複数の仕切壁34~37が「複数の壁部」に相当する。また、一対の仕切壁34,35が「一対の第1壁部」に相当し、一対の仕切壁36,37が「一対の第2壁部」に相当する。また、玄関収納室14の長手方向が「第2壁部の壁幅方向」に相当し、玄関収納室14の短手方向が「第1壁部の壁幅方向」に相当する。
【0034】
一対の仕切壁34,35のうち、一方の仕切壁34(「一方の第1壁部」に相当)は、玄関収納室14を廊下12と仕切る壁部であり、他方の仕切壁35(「他方の第1壁部」に相当)は、玄関収納室14を屋外と仕切る壁部である。仕切壁34は、玄関土間空間16と玄関ホール17とが並ぶ方向において玄関土間空間16よりも玄関ホール17側に位置しており、仕切壁35は、玄関土間空間16と玄関ホール17とが並ぶ方向において玄関土間空間16よりも反玄関ホール17側に位置している。また、一対の仕切壁36,37のうち、一方の仕切壁36(「一方の第2壁部」に相当)は、玄関収納室14を玄関空間11及び屋外と仕切る壁部であり、他方の仕切壁37(「他方の第2壁部」に相当)は、玄関収納室14を居室13と仕切る壁部である。
【0035】
仕切壁36には、上述の出入口23が形成されている。一方、仕切壁37には、第2出入口としての出入口38が形成されている。この出入口38を通じて玄関収納室14から居室13への出入りが可能となっている。出入口38は、玄関収納室14を挟んで出入口23と対向している。また、出入口38には、出入口38を開閉する開閉体39が設けられている。開閉体39は、例えば引き戸からなる。開閉体39には、開閉体39を施解錠可能な施錠装置39aが設けられている。施錠装置39aは、居室13側から施解錠操作することが可能となっている。
【0036】
玄関収納室14は、床面が土間により形成された土間空間部41と、床面が土間空間部41よりも高くされた床上空間部42とを有している。土間空間部41は、出入口23に隣接して設けられ、床上空間部42は、出入口38に隣接して設けられている。土間空間部41と床上空間部42とは、玄関収納室14の短手方向に並んでおり、いずれも玄関収納室14の長手方向全域に亘って延びている。本実施形態では、土間空間部41の幅(詳しくは、玄関収納室14の短手方向における土間空間部41の長さ)と、床上空間部42の幅とが略同じとなっている。また、土間空間部41と床上空間部42との床段差部には上がり框49が設けられている。
【0037】
玄関収納室14において仕切壁35の壁際には、収納棚43が設置されている。収納棚43は、床面から上方に離間した状態で、対向する各仕切壁36,37に架け渡されて設けられている。収納棚43には、例えばタイヤや子供の遊び道具等が収納されている。また、収納棚43の下方スペースも収納スペースとなっている。なお、収納棚43が、特許請求の範囲に記載の「収納棚」に相当する。
【0038】
一方、玄関収納室14において仕切壁34の壁際には、上述した洗面台31とシャワー室32とが隣接して設けられている。洗面台31は土間空間部41に配置され、シャワー室32は床上空間部42に配置されている。この場合、仕切壁34の壁際には、洗面台31とシャワー室32とを含むサニタリエリア44が形成されている。サニタリエリア44は、仕切壁36を挟んで玄関ホール17と隣接している。なお、シャワー室32は、シャワー設備(図示略)が設けられたシャワー専用室であり、浴槽やトイレ等は設けられていない。
【0039】
シャワー室32は、その2面が各仕切壁34,37により区画され、残りの2面が壁部45,46により区画されている。各壁部45,46のうち、壁部45はシャワー室32を挟んで仕切壁34と対向しており、壁部46はシャワー室32を挟んで仕切壁37と対向している。壁部45には、シャワー室32へ出入りするための出入口47が設けられている。出入口47は、壁部45において仕切壁37側に設けられている。また、出入口47には、折り戸からなるドア48が設けられている。また、壁部46は、洗面台31を挟んで仕切壁36と対向しており、その仕切壁36との間に洗面コーナを形成している。
【0040】
床上空間部42には、シャワー室32に隣接して脱衣可能な脱衣スペース51が設けられている。シャワー室32を使用する際には、この脱衣スペース51で脱衣することが可能となっている。脱衣スペース51は、シャワー室32の出入口47側に隣接している。したがって、シャワー室32と脱衣スペース51とは、床上空間部42において玄関収納室14の長手方向(換言すると、床上空間部42の長さ方向)に並んでいる。また、脱衣スペース51は、出入口38に隣接している。
【0041】
シャワー室32の壁部45には、脱衣スペース51を土間空間部41と仕切ることが可能なパーテーション53が設けられている。これにより、脱衣スペース51で脱衣する際に土間空間部41側から見えないようすることができる。パーテーション53は、折り畳み可能な2枚の仕切板部53a,53bを有して構成されている。各仕切板部53a,53bは、矩形の枠部に板材が嵌め込まれて形成されている。各仕切板部53a,53bのうち、一方の仕切板部53aには、板材として鏡板54が嵌め込まれている。
【0042】
壁部45には、出入口47よりも土間空間部41側にパーテーション53を収納可能な収納凹部56が設けられている。収納凹部56は、脱衣スペース51に向けて開口されており、その収納凹部56にパーテーション53が折り畳み状態(図1において点線で示す)で収納されるようになっている。この場合、パーテーション53は、鏡板54の表面が脱衣スペース51に向くように収納され、その収納状態で鏡板54の表面と壁部45の壁面とが略面一とされる。また、パーテーション53は、幅方向の一端部において壁部45にヒンジ(図示略)を介して回動可能に取り付けられている。これにより、パーテーション53を収納凹部56から回動して引き出し、その後各仕切板部53a,53bを展開して脱衣スペース51と土間空間部41とを仕切る位置に配置することが可能となっている。
【0043】
床上空間部42には、脱衣スペース51を挟んでシャワー室32とは反対側に防水パン61が設置されている。防水パン61の上には洗濯機62が設置されている。洗濯機62は、仕切壁37の壁際に配置されている。この場合、シャワー室32と脱衣スペース51と洗濯機62とは、床上空間部42において玄関収納室14の長手方向に並んでいる。なお、防水パン61が洗濯機設置部に相当する。
【0044】
床上空間部42には、洗濯機62を挟んで脱衣スペース51とは反対側に収納棚63が設置されている。収納棚63は、仕切壁37の壁際において洗濯機62と隣接して設置されている。収納棚63には、例えば洗剤等の洗濯用品が収納されている。また、収納棚63は、洗濯機62とは反対側の端部において収納棚43の下方に入り込んでいる。
【0045】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0046】
玄関空間11から出入り可能とされた玄関収納室14に洗面台31が設置されているため、外出先から帰宅して玄関空間11に入った後、玄関収納室14に移動して洗面台31で手洗いを行うことができる。そのため、手に付着したウイルスや汚れ等が玄関空間11よりも室内側に持ち込まれるのを防止することができる。また、玄関収納室14には、洗面台31に加え、シャワー室32が設けられているため、帰宅した際には、シャワー室32で体を洗うこともできる。そのため、体に付着したウイルスや汚れ等についても室内側に持ち込まれるのを防止することができる。また、洗面台31とシャワー室32とは玄関収納室14に配置されているため、これらにより玄関空間11の意匠性が損なわれることはない。よって、以上より、玄関空間11の意匠性が損なわれるのを回避しながら、玄関空間11よりも室内側にウイルスや汚れ等が持ち込まれるのをより確実に防止することができる。
【0047】
玄関収納室14には玄関土間空間16から出入口23を通じて出入り可能となっている。玄関収納室14の一部は出入口23に隣接した土間空間部41となっており、その土間空間部41に洗面台31が設置されている。この場合、帰宅した際、靴を履いたまま玄関土間空間16から土間空間部41に移動し、洗面台31で手洗いを行うことができる。つまり、この場合、靴を脱いで玄関ホール17に上がる前に手洗いを行うことができるため、ウイルスや汚れ等が玄関空間11よりも室内側に持ち込まれるのをより一層確実に防止することが可能となる。
【0048】
また、靴を履いたまま玄関土間空間16から洗面台31まで移動することができるため、来客者があった場合に、来客者に洗面台31で手洗いすることを促し易いという利点もある。例えば、玄関土間空間16で来客者と話し合う場合にも、その来客者に手洗いを促すことが可能となる。また、来客者に居住者が普段使用している室内側の洗面台を使用されることがないため、プライバシが守られるという利点もある。
【0049】
玄関収納室14が土間空間部41に加え、床上空間部42を有しており、その床上空間部42にシャワー室32と脱衣スペース51とが隣接して設けられている。これにより、土間空間部41において靴を履いたまま手洗い可能とされた上記の構成にあって、シャワー室32で体を洗う際には、床上で衣服を脱ぎ体を洗うことが可能となる。
【0050】
シャワー室32で体を洗った後、床上空間部42から出入口38を通じて居室13へ移動することができる。そのため、シャワー室32で体を洗った後、再び靴を履いて玄関土間空間16に戻り、それから靴を脱いで居室13に移動する煩わしさを回避することができる。
【0051】
仕切壁34の壁際に洗面台31とシャワー室32とが隣接して配置されているため、洗面台31で手を洗ってからシャワー室32で体を洗うにあたり、すぐに移動することができ都合がよい。また、仕切壁34と玄関収納室14を挟んで対向する仕切壁35の壁際には収納棚43が設置され、それにより、洗面台31及びシャワー室32からなるサニタリエリア44が収納棚43から離間されている。収納棚43には、屋外で用いる物品(例えば、タイヤや子供の遊び道具など)が置かれるため、収納棚43から離してサニタリエリア44を設定することで衛生性の面で好ましい構成とすることができる。
【0052】
また、各仕切壁34,35の壁幅方向に対向する一対の仕切壁36,37のうち、一方の仕切壁36には出入口23が形成され、他方の仕切壁37には出入口38が形成されている。この場合、各出入口23,38のいずれもが、サニタリエリア44と収納棚43との中間部に位置するため、玄関収納室14においてサニタリエリア44を利用する際も収納棚43を利用する際も、移動がし易い。
【0053】
対向する各仕切壁34,35の間の間隔L1が、対向する各仕切壁36,37の間の間隔L2よりも大きくなっているため、サニタリエリア44と収納棚43とをより離間させることができる。そのため、衛生性の面でより好ましい構成とすることができる。また、土間空間部41を仕切壁36,37の壁幅方向に長い空間とすることができるため、土間空間部41に自転車等を置いておく際に好都合となる。
【0054】
床上空間部42に防水パン61が設けられているため、防水パン61に洗濯機62を設置することができる。これにより、帰宅した際に玄関収納室14で汚れた衣類を脱ぎ、洗濯機62で洗濯することができる。そのため、衣類に付着したウイルスや汚れ等が室内側に持ち込まれるのを防止することができる。
【0055】
また、洗濯機62とシャワー室32との間が脱衣スペース51となっているため、シャワー室32で体を洗う際に脱いだ衣類を隣りの洗濯機62に入れてそのまま洗濯することができる。また、脱衣スペース51は出入口38と隣接しているため、体を洗って脱衣スペース51で服を着た後、すぐに出入口38を通じて居室13に移動することができる。これにより、床上空間部42で体を洗って洗濯をし、それから居室13へ移動する上で、好適な構成となっている。
【0056】
シャワー室32の壁部45に設けられた収納凹部56にパーテーション53を収納可能とするとともに、そのパーテーション53を収納凹部56から引き出して土間空間部41と脱衣スペース51とを仕切る位置に配置可能とした。この場合、通常はパーテーション53を収納凹部56に収納することにより、土間空間部41から脱衣スペース51を経由して出入口38より居室13へ移動し易くすることができる。また、シャワー室32を利用する際は、パーテーション53を引き出してパーテーション53により脱衣スペース51を土間空間部41側と仕切ることにより、人目を気にすることなく脱衣を行うことができる。
【0057】
出入口23の開閉体24が採光性を有する素材で形成されているため、玄関土間空間16や玄関収納室14から見て圧迫感を感じさせないようにすることができる。
【0058】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、玄関収納室14を土間空間部41と床上空間部42とを有して構成したが、これを変更して、玄関収納室14の全部を土間空間部41としたり、又は床上空間部42としたりしてもよい。
【0060】
・例えば、玄関収納室14を玄関ホール17に隣接させ、その玄関ホール17から出入口(第1出入口に相当)を介して玄関収納室14に出入り可能としてもよい。この場合にも、帰宅した際、玄関ホール17から玄関収納室14に入って洗面台31で手洗いを行うことができるため、玄関空間11よりも室内側にウイルスや汚れ等が持ち込まれるのを防止することができる。なお、この場合には、玄関収納室14の全部を床上空間部42とすることが考えられる。
【0061】
・上記実施形態では、玄関収納室14に隣接して居室13を設けたが、居室13を玄関収納室14と隣接しない位置に設けてもよい。この場合、例えば玄関収納室14に隣接した位置には、居室13に代えて、廊下等、他の屋内空間を設けることになる。かかる構成においても、玄関収納室14から出入口38と上記他の屋内空間とを経由して居室13に移動可能とすれば、シャワー室32で体を洗った後、玄関土間空間16を経由せずに居室13へ移動することができる。
【0062】
・上記実施形態では、戸建ての住宅に本発明を適用したが、アパートやマンション等の集合住宅に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…住宅、11…玄関空間、13…居室空間としての居室、14…玄関収納空間としての玄関収納室、16…玄関土間空間、17…玄関ホール、18…玄関口、23…第1出入口としての出入口、31…洗面台、32…シャワー室、34…第1壁部としての仕切壁、35…第1壁部としての仕切壁、36…第2壁部としての仕切壁、37…第2壁部としての仕切壁、41…土間空間部、42…床上空間部、43…収納棚、51…脱衣スペース、61…洗濯機設置部としての防水パン、62…洗濯機。
図1