IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝エネルギーシステムズ株式会社の特許一覧

特開2022-182448A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法
<>
  • 特開-A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法 図1
  • 特開-A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法 図2
  • 特開-A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法 図3
  • 特開-A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法 図4
  • 特開-A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法 図5
  • 特開-A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182448
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/10 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
H03M1/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090010
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 大樹
(72)【発明者】
【氏名】前原 宏之
【テーマコード(参考)】
5J022
【Fターム(参考)】
5J022AA01
5J022AC04
5J022BA06
(57)【要約】
【課題】各系統へ電源電圧を供給する内部電源を共通としつつ、当該内部電源が故障した場合に確実に故障を検出することができる、A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法を提供すること。
【解決手段】1つのアナログ入力に対して並列に設けられた複数のA/D変換器と、前記複数のA/D変換器に共通に設けられた電源と、前記電源から前記複数のA/D変換器のそれぞれに印加される電圧を異ならせる電圧調整部と、前記複数のA/D変換器による出力結果に基づいて、前記電源の故障を検出する故障検出部と、を備える、A/D変換システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのアナログ入力に対して並列に設けられた複数のA/D変換器と、
前記複数のA/D変換器に共通に設けられた電源と、
前記電源から前記複数のA/D変換器のそれぞれに印加される電圧を異ならせる電圧調整部と、
前記複数のA/D変換器による出力結果に基づいて、前記電源の故障を検出する故障検出部と、を備える、
A/D変換システム。
【請求項2】
前記電圧調整部は、前記複数のA/D変換器のうちの1つと前記電源との間に設けられるダイオードを含む、
請求項1に記載のA/D変換システム。
【請求項3】
前記電圧調整部は、前記複数のA/D変換器と前記電源との間に設けられ、かつ異なる電圧降下を有する複数のダイオードを含む、
請求項1に記載のA/D変換システム。
【請求項4】
前記電圧調整部は、前記複数のA/D変換器のうちの1つと前記電源との間に設けられるダイオード及びコンデンサを含む、
請求項1に記載のA/D変換システム。
【請求項5】
前記電圧調整部は、前記複数のA/D変換器と前記電源との間に設けられ、かつ異なる電圧降下を有する複数のダイオードと、前記複数のA/D変換器と前記電源との間に設けられ、かつ異なる容量を有する複数のコンデンサとを含む、
請求項1に記載のA/D変換システム。
【請求項6】
1つのアナログ入力に対して並列に設けられた複数のA/D変換器と、
前記複数のA/D変換器に共通に設けられた電源と、
前記電源から前記複数のA/D変換器のそれぞれに印加される電圧を異ならせる電圧調整部と、を備えるAD変換装置の故障検出方法であって、
前記複数のA/D変換器による出力結果に基づいて、前記電源の故障を検出する、
AD変換装置の故障検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逐次比較形のA/D変換器を適用したA/D変換装置において、複数のアナログ信号を入力する場合、回路規模を合理化するためマルチプレクサを用いて各入力信号を切り替え、一つのA/D変換器へ順次入力して変換することが一般的である。例えば、特許文献1には、電圧値が既知である監視用電圧をマルチプレクサ経由でA/D変換器へ入力し、A/D変換器の変換結果が所定範囲にあるか否かに応じて、A/D変換装置の健全性を判定する技術が記載されている。
【0003】
一方、ΔΣ形のようなオーバサンプリング型のA/D変換器においては、入力信号を連続してオーバサンプリングする必要が有り、マルチプレクサが適用できない場合が多い。そのため入力信号のそれぞれに対してA/D変換器を設けることが必須となり、監視用電圧とマルチプレクサを用いてA/D変換装置の健全性を確認することが困難となる。この場合には、特許文献2に記載の通り、1つの入力信号を2系統に分岐し、それぞれの系統にアナログ部およびA/D変換器を接続して両者のデジタル出力結果を比較することにより、A/D変換装置の健全性を判断することができる。
【0004】
特許文献2に記載の技術によれば、アナログ部またはA/D変換器の1箇所に故障が発生した場合、その故障を検出することができる。しかしながら、両系統に電源電圧を供給する内部電源が共通である場合、当該電源の故障を検出できないという課題がある。例えば、内部電源の出力電圧が故障により徐々に低下した時、2系統の回路の動作下限電圧が同じである場合、両方のA/D変換器が類似した異常結果を出力することとなる。その結果、両者の出力を比較しても、電源の故障を正しく検出できない場合がある。
【0005】
この課題を解決する1つの方法として、内部電源を共通化せず、各系統にそれぞれ専用の電源を設けることが考えられるが、A/D変換装置内部の電源数が倍増するので、装置コストの増大と故障率の増大という新たな課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3446755号公報
【特許文献2】特開2000-151405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、各系統へ電源電圧を供給する内部電源を共通としつつ、当該内部電源が故障した場合に確実に故障を検出することができる、A/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のA/D変換システムは、複数のA/D変換器と、電源と、電圧調整部と、故障検出部とを持つ。複数のA/D変換器は、1つのアナログ入力に対して並列に設けられる。電源は、複数のA/D変換器に共通に設けられる。電圧調整部は、電源から複数のA/D変換器のそれぞれに印加される電圧を異ならせる。故障検出部は、複数のA/D変換器による出力結果に基づいて、電源の故障を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るA/D変換システム1の構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態における、電源30が故障した際に第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧の時間的推移の一例を示す図である。
図3】第1実施形態の変形例に係るA/D変換システム1の構成の一例を示す図である。
図4】第2実施形態に係るA/D変換システム2の構成の一例を示す図である。
図5】第2実施形態における、電源30が故障した際に第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧の時間的推移の一例を示す図である。
図6】第2実施形態の変形例に係るA/D変換システム2の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態のA/D変換システム、およびAD変換装置の故障検出方法を、図面を参照して説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るA/D変換システム1の構成の一例を示す図である。図1に示す通り、A/D変換システム1は、アナログ回路10-1及び10-2(以下、「アナログ回路10」と総称する場合がある)と、AD変換器20-1及び20-2(以下、「AD変換器20」と総称する場合がある)と、電源30と、ダイオード40と、故障検出器50と、を備える。以下、アナログ回路10-1とAD変換器20-1との組み合わせを「第1系統」と称する場合があり、アナログ回路10-2とAD変換器20-2との組み合わせを「第2系統」と称する場合がある。図1において、点線は信号線を示し、実線は電圧の供給線を示す。すなわち、第1系統と第2系統とは、1つのアナログ信号の入力に対して並列に設けられた複数のA/D変換器として機能するものである。
【0012】
アナログ回路10は、例えば、増幅回路であり、入力したアナログ信号を増幅する。アナログ回路10は、増幅したアナログ信号をAD変換器20に出力する。またはフィルタ回路であり、不要な周波数成分を除去したアナログ信号を出力する。
【0013】
AD変換器20は、例えば、ΔΣ形のAD変換器であり、AD変換器20から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。AD変換器20は、変換したデジタル信号を外部に出力すると同時に、故障検出器50にも出力する。なお、本実施形態において、AD変換器20の動作下限電圧は3Vであるものとする。
【0014】
電源30は、アナログ回路10及びAD変換器20に電源電圧を供給する内部電源である。すなわち、電源30は、第1系統のアナログ回路10-1及びAD変換器20-1と、第2系統のアナログ回路10-2及びAD変換器20-2の双方に共通して電源電圧を供給する。本実施形態において、電源30は、アナログ回路10及びAD変換器20に5Vの電源電圧を供給するものとする。また、本実施形態において、アナログ回路10は増幅回路であるため、電源30はアナログ回路10に電源電圧を供給しているが、アナログ回路10が増幅回路ではない場合、アナログ回路10の構成によっては、電源30は、アナログ回路10に電源電圧を供給しなくともよい。
【0015】
ダイオード40は、例えば、pn接合ダイオードであり、アナログ回路10-2及びAD変換器20-2と電源30との間に設けられる。すなわち、ダイオード40は、図1に示す通り、電源30からアナログ回路10-2及びAD変換器20-2の方向にのみ電流を流し、逆方向の電流を阻害する(整流する)。ダイオード40は、所定の電圧降下を有するため、電源30からダイオード40を介して第2系統に供給される電源電圧は、電源30から第1系統に供給される電源電圧よりも小さい値を取る。本実施形態において、電源30の正常時に電源30から第1系統に供給される電源電圧は5Vであり、電源30から第2系統に供給される電源電圧は4.3Vであるものとする。ダイオード40は、「電圧調整部」の一例である。
【0016】
故障検出器50は、例えば、プログラムを実行するCPU又はICなどの専用回路であり、AD変換器20-1から出力されたデジタル信号と、AD変換器20-2から出力されたデジタル信号とに基づいて、電源30の故障を検出する。より具体的には、故障検出器50は、AD変換器20-1から出力されたデジタル信号とAD変換器20-2から出力されたデジタル信号とを比較し、二つのデジタル信号の差分が所定範囲外にあるときに、電源30が故障したと判定する。
【0017】
上述した通り、電源30の正常時には、電源30から第1系統に5Vの電源電圧が供給され、電源30から第2系統に4.3Vの電源電圧が供給され、これらの電源電圧はいずれもAD変換器20の動作下限電圧である3Vを上回っているため、AD変換器20-1が出力するデジタル信号と、AD変換器20-2が出力するデジタル信号は略同一となる。そのため、故障検出器50は、二つのデジタル信号の差分は所定範囲内にあると判定し、電源30は正常であると判定する。
【0018】
一方、電源30が故障し、電源30が供給する電源電圧が徐々に低下した場合、ある時点において、電源30から第1系統に供給される電源電圧は3Vを上回ると同時に、電源30から第2系統に供給される電源電圧は3Vを下回る。このとき、アナログ回路10-2及びAD変換器20-2は正常な動作が不可能となり、AD変換器20-2が出力するデジタル信号は、AD変換器20-1が出力するデジタル信号(すなわち、本来出力されるべきデジタル信号)とは異なるものとなる。すなわち、故障検出器50は、二つのデジタル信号の差分が所定範囲外にあると判定し、電源30の故障を検知する。
【0019】
図2は、第1実施形態における、電源30が故障した際に第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧の時間的推移の一例を示す図である。図2において、太い実線は、電源30から第1系統に供給される電源電圧を示し、細い実線は、電源30から第2系統に供給される電源電圧を示す。時点t1において、電源30が故障した場合、第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧の双方が徐々に低下するが、AD変換器20の動作下限電圧は3Vであるため、AD変換器20-1が出力するデジタル信号と、AD変換器20-2が出力するデジタル信号はいずれも正常となり、故障検出器50は、電源30が正常であると判定する。
【0020】
その後、時点t2において、電源30から第2系統に供給される電源電圧は3Vに到達し、それ以降は、3Vを下回る。一方、時点t2において、電源30から第1系統に供給される電源電圧は3V以上であり、時点t3に到達するまでは3V以上を維持する。そのため、時点t2と時点t3の間の時間区間において、AD変換器20-1が出力するデジタル信号とAD変換器20-2が出力するデジタル信号とは乖離し、故障検出器50は、電源30の故障を検知することができる。
【0021】
なお、図2は、第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧が、電源30の故障に起因して、線形かつ同一の傾きで低下する例を示しているが、本実施形態はこのような例に限定されない。少なくとも、第2系統に供給される電源電圧が、第1系統に供給される電源電圧よりも先に動作下限電圧を下回る場合であれば、本実施形態の構成により、電源30の故障を検出することができる。
【0022】
以上の通り説明した第1実施形態の構成により、AD変換器20がΔΣ形のAD変換器であることに起因してマルチプレクサが適用できない場合であっても、A/D変換システム1がダイオード40を備えることによって、少ない部品点数かつ低コストで電源30の故障を検出することができる。
【0023】
<第1実施形態の変形例>
図3は、第1実施形態の変形例に係るA/D変換システム1の構成の一例を示す図である。図1で示した構成とは異なり、本変形例に係るA/D変換システム1では、ダイオード40-1が、アナログ回路10-1及びAD変換器20-1と電源30との間に設けられ、ダイオード40-2が、アナログ回路10-2及びAD変換器20-2と電源30との間に設けられる。
【0024】
ダイオード40-1とダイオード40-2は、それぞれ第1系統と第2系統に供給される電源電圧が3V以上となる範囲内で、異なる電圧降下を有するものとする。これにより、第1実施形態と同様に、第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧は異なり、電源30が故障した際には、第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧のいずれか一方が先に3Vを下回ることによって、故障検出器50は、電源30の故障を検出することができる。
【0025】
<第2実施形態>
第1実施形態では、電源30の故障が発生した際に、第2系統に供給される電源電圧が、第1系統に供給される電源電圧よりも先に動作下限電圧を下回ることに基づいて、電源30の故障を検出している。しかしながら、電源30の故障により、例えば、電源30が0Vにショートした場合、第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧は、同時に動作下限電圧を下回ることになるため、その場合、第1実施形態の構成では、電源30の故障を検出することができない。第2実施形態は、このような状況においても、電源30の故障を検出することを可能にさせるものである。
【0026】
図4は、第2実施形態に係るA/D変換システム2の構成の一例を示す図である。図4に示す通り、A/D変換システム2は、アナログ回路10-1及び10-2と、AD変換器20-1及び20-2と、電源30と、ダイオード40と、コンデンサ42と、故障検出器50と、を備える。アナログ回路10-1及び10-2と、AD変換器20-1及び20-2と、電源30と、ダイオード40と、故障検出器50の構成は第1実施形態の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
コンデンサ42は、アナログ回路10-2及びAD変換器20-2とダイオード40との間に設けられ、電源30から第2系統に供給される電源電圧により充電する。すなわち、図4において、電源30から第2系統には4.3Vの電源電圧が供給されるため、コンデンサ42は、4.3Vに相当する電荷を蓄積する。
【0028】
コンデンサ42の充電が完了した後に、電源30が故障により0Vにショートした場合、電源30から第1系統に供給される電圧は0Vとなる一方、コンデンサ42からは第2系統に4.3Vの電圧が供給される。これにより、AD変換器20-1が出力するデジタル信号には異常が発生する一方、AD変換器20-2が出力するデジタル信号は、コンデンサ42から供給される電圧が3V以上である限り、正常のままとなる。そのため、故障検出器50は、二つのデジタル信号の差分が所定範囲外にあると判定し、電源30の故障を検出することができる。
【0029】
電源30の故障により、電源30から供給される電源電圧が徐々に低下する場合は、第1実施形態と同様の仕組みにより、故障検出器50は、電源30の故障を検出することができる。すなわち、第1系統に供給される電源電圧が、第2系統に供給される電源電圧よりも先に3Vを下回ることにより、故障検出器50は、二つのデジタル信号の差分が所定範囲外にあると判定し、電源30の故障を検出することができる。
【0030】
図5は、第2実施形態における、電源30が故障した際に第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧の時間的推移の一例を示す図である。図5において、太い実線は、電源30から第1系統に供給される電源電圧を示し、細い実線は、電源30から第2系統に供給される電源電圧を示す。時点t1において、電源30が故障により0Vにショートした場合、電源30から第1系統に供給される電源電圧は0Vとなり動作下限電圧である3Vを下回る一方、コンデンサ42から第2系統に供給される電源電圧は4.3から徐々に低下し、時点t2において3Vを下回る。そのため、時点t1と時点t2の間の時間区間において、AD変換器20-1が出力するデジタル信号とAD変換器20-2が出力するデジタル信号とは乖離し、故障検出器50は、電源30が故障したと判定することができる。
【0031】
以上の通り説明した第2実施形態の構成により、電源30の故障により、電源30から供給される電源電圧が徐々に低下する場合と、電源30が0Vにショートする場合の双方において、電源30の故障を検出することができる。さらに、AD変換器20がΔΣ形のAD変換器であることに起因してマルチプレクサが適用できない場合であっても、A/D変換システム2がダイオード40とコンデンサ42を備えることによって、少ない部品点数かつ低コストで電源30の故障を検出することができる。
【0032】
<第2実施形態の変形例>
図6は、第2実施形態の変形例に係るA/D変換システム2の構成の一例を示す図である。図4で示した構成とは異なり、本変形例に係るA/D変換システム2では、ダイオード40-1とコンデンサ42-1が、アナログ回路10-1及びAD変換器20-1と電源30との間に設けられ、ダイオード40-2とコンデンサ42-2が、アナログ回路10-2及びAD変換器20-2と電源30との間に設けられる。
【0033】
ダイオード40-1とダイオード40-2は、それぞれ第1系統と第2系統に供給される電源電圧が3V以上となる範囲内で異なる電圧降下を有し、また、コンデンサ42-1とコンデンサ42-2は異なる容量を有する。これにより、第2実施形態と同様に、第1系統に供給される電源電圧と第2系統に供給される電源電圧は異なり、電源30が故障により0Vにショートした場合も含めて、コンデンサ42-1から第1系統に供給される電源電圧とコンデンサ42-2から第2系統に供給される電源電圧のいずれか一方が先に3Vを下回ることによって、故障検出器50は、電源30の故障を検出することができる。さらに、コンデンサ42-1とコンデンサ42-2の容量を異ならせる、例えば、一方のコンデンサ42の容量を他方のコンデンサ42の容量よりも小さく設定することにより、短絡が発生した際の放電スピードの差を大きくし、電源30の故障をより確実に検出することができる。
【0034】
以上の通り説明した各実施形態によれば、ダイオード40を用いて、電源30から第1系統と第2系統とに供給される電源電圧を異ならせることにより、電源30の故障の検知を可能にさせる。すなわち、各系統へ電源電圧を供給する内部電源を共通としつつ、当該内部電源が故障した場合に確実に故障を検出することができる。
【0035】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0036】
10…アナログ回路、20…AD変換器、30…電源、40…ダイオード、42…コンデンサ、50…故障検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6