(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182451
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】仮固定用組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 123/26 20060101AFI20221201BHJP
C09J 9/00 20060101ALI20221201BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20221201BHJP
C09J 171/10 20060101ALI20221201BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
C09J123/26
C09J9/00
C09J163/00
C09J171/10
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090016
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】冨山 映子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰典
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DA001
4J040DA161
4J040EC052
4J040EC072
4J040EE062
4J040KA23
4J040KA38
4J040MA04
4J040NA20
4J040PA42
(57)【要約】
【課題】耐熱性、レーザー光吸収性、および密着性に優れた仮固定用組成物を提供する。
【解決手段】本発明の仮固定用組成物は、仮固定したマイクロ光デバイスまたはミニ光デバイスをレーザー光照射により分離する仮固定膜を形成するために用いられる仮固定用組成物であって、分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーと、感光剤および紫外線吸収剤の少なくとも一方を含む光吸収剤と、ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが1,000以上10,000以下であるフェノキシ樹脂と、を含むものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮固定したマイクロ光デバイスまたはミニ光デバイスをレーザー光照射により分離する仮固定膜を形成するために用いられる仮固定用組成物であって、
分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーと、
感光剤および紫外線吸収剤の少なくとも一方を含む光吸収剤と、
ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが1,000以上10,000以下であるフェノキシ樹脂と、を含む、
仮固定用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の仮固定用組成物であって、
前記環状オレフィン由来の構造単位が、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aを含む、仮固定用組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の仮固定用組成物であって、
前記ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aが、下記の式(A11)で表される構造単位を含む、仮固定用組成物。
【化1】
(式(A11)中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して水素原子、水酸基または炭素数1~30の有機基である。nは0、1または2である。)
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の仮固定用組成物であって、
前記ポリマーが、分子中に、無水マレイン酸、マレイミドまたはこれらの誘導体由来の構造単位Bを有する、仮固定用組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の仮固定用組成物であって、
前記フェノキシ樹脂が、50℃で液状の成分を含む、仮固定用組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の仮固定用組成物であって、
フェノール化合物を含む、仮固定用組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の仮固定用組成物であって、
エポキシ樹脂を含む、仮固定用組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の仮固定用組成物であって、
界面活性剤を含む、仮固定用組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の仮固定用組成物であって、
密着助剤を含む、仮固定用組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の仮固定用組成物であって、
溶剤を含む、仮固定用組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の仮固定用組成物であって、
以下の手順で測定される接着強度が、40N/25mm2以下である、仮固定用組成物。
(手順)
1.厚さ0.725mmのシリコンウェハ上に、当該仮固定用組成物をスピンコートにより塗布する。
2.上記の樹脂膜が形成されたウェハを、ホットプレートを用いてプリベークする。プリベークは110℃で3分間行う。プリベーク後の樹脂膜の膜厚は5.2μmとする。
3.上記のウェハの、プリベーク後の樹脂膜がある部分を、ダイシングソーを用いて切り出し、10mm×10mm角の正方形の評価用基板(下チップ)を作製する。
また、5mm×5mm角の正方形の評価用基板(上チップ)として、SiO2チップを準備する。
次に、ステージ上に、下チップを、プリベーク後の樹脂膜がある面を上にして静置する。そして、下チップのプリベーク後の樹脂膜と上チップのSiO2膜とが密着するように、下チップの上に上チップを静置する。
その後、静置した下チップおよび上チップの上下から加熱・押圧する。
このとき、下からの加熱温度は30℃に設定した。市販の半導体組立用ボンディングツールを用い、加熱したボンディングヘッドを上チップに押し当てることで熱と圧力を加える。ボンディングヘッドの温度を100℃とし、時間10秒、圧力25Nの条件で、下チップに上チップをボンディングし、接着済みサンプルを得る。
ここで、「25N」とは、5mm×5mmの上チップに対して25Nの力をかけたということであり、単位面積あたりの力(すなわち圧力)としては、1N/mm2すなわち1MPaである。
4.その後、接着済みサンプルの上チップに、エポキシ樹脂付きAlピン(Φ5.2mm、株式会社フォトテクニカ製)を立て、100℃で1時間熱処理し、Alピン付き接着サンプルAを得る。
得られたAlピン付き接着サンプルAを、引張試験機(テンシロンRTC-1210A、オリエンテック社製)を用いて1mm/minで引張試験を行い、破壊時の破断強度を測定する。測定はN=5で行い、平均値を算出した。破断強度の平均値を接着強度とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮固定用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで半導体素子の実装プロセスで使用される仮固定用組成物について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、レーザー分解型接着層に半導体素子を配置した後、レーザー分解型接着層にレーザー光を選択的に照射し、選択的に半導体素子をピックアップする、半導体素子の実装方法が記載されている(特許文献1の請求項など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のレーザー分解型接着層において、耐熱性、レーザー光吸収性、および密着性の点で改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はさらに検討したところ、分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー、感光剤および紫外線吸収剤の少なくとも一方を含む光吸収剤、およびポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが1,000以上10,000以下であるフェノキシ樹脂を含む仮固定用組成物により形成することにより、耐熱性、レーザー光吸収性、および密着性に優れた仮固定膜を実現でき、このような仮固定膜が、仮固定膜に固定した光デバイスをレーザー光照射により分離する実装プロセスにおいて好適に用いられることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明によれば、
仮固定したマイクロ光デバイスまたはミニ光デバイスをレーザー光照射により分離する仮固定膜を形成するために用いられる仮固定用組成物であって、
分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーと、
感光剤および紫外線吸収剤の少なくとも一方を含む光吸収剤と、
ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが1,000以上10,000以下であるフェノキシ樹脂と、を含む、
仮固定用組成物が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐熱性、レーザー光吸収性、および密着性に優れた仮固定用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】光デバイスの実装方法の一例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
なお、本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。したがって、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0010】
本実施形態の仮固定用組成物は、仮固定したマイクロ光デバイスまたはミニ光デバイスをレーザー光照射により分離する仮固定膜を形成するために用いられる組成物である。
この仮固定用組成物は、分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーと、感光剤および紫外線吸収剤の少なくとも一方を含む光吸収剤と、ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが1,000以上10,000以下であるフェノキシ樹脂と、を含む。
【0011】
本発明者の知見によれば、詳細なメカニズムは定かではないが、(i)上記環状オレフィンポリマーを用いることにより、仮固定膜の耐熱性を向上でき、(ii)上記光吸収剤を含むことにより、レーザー波長領域(例えば、355nm)における仮固定膜のレーザー光吸収性を向上でき、(iii)上記フェノキシ樹脂を含むことにより、光デバイスと仮固定膜との密着性を適度に高められる。
このため、光デバイス(半導体素子)の実装プロセスにおいて、本実施形態の仮固定用組成物からなる仮固定膜を、光デバイスの実装プロセスにおける接着部材として使用することにより、レーザートランスファ性や製造安定性を向上させることが可能になる。
【0012】
本実施形態の仮固定用組成物が用いられる光デバイスの実装方法の一例を説明する。
図1は、本実施形態の光デバイスの実装方法の一例を示す工程断面図である。
【0013】
光デバイスの実装方法の一例は、固定膜形成工程、仮固定工程、および移送工程を有してもよい。
【0014】
固定膜形成工程は、
図1(a)に示すように、透明基板10上に、仮固定用組成物を塗布して、仮固定膜20を形成する。
仮固定膜20は、例えば、ワニス状の仮固定用組成物を基材上に塗布して得られた塗布膜(仮固定膜)に対して、80℃~120℃、1分間~30分間の条件等で溶剤除去処理を行うことにより得ることができる。
透明基板10は、レーザー光を透過する基板が好ましく、例えば、ガラス基板、石英基板、透明樹脂製基板が挙げられる。
【0015】
仮固定工程は、
図1(b)(c)に示すように、基板40上に設けられた、マイクロ光デバイスまたはミニ光デバイスの少なくとも一方を含む複数の光デバイス30の少なくとも一部を、基板40から分離して、透明基板10上の仮固定膜20に仮固定する。
光デバイス30は、次のようにチップサイズに応じて分類できる。ミニ光デバイス(ミニLED)は、縦、横、高さの少なくとも一つが100μm超300μm以下のチップサイズを有する。マイクロ光デバイス(マイクロLED)は、縦、横、高さの少なくとも一つが数μm(例えば、5μm)以上100μm以下のチップサイズを有する。なお、従来のLEDは300μm超350μm以下のチップサイズを有する。
基板40は、エピタキシャル成長用基板であり、例えば、シリコン、ガリウムヒ素、サファイア等で構成されてもよい。
【0016】
移送工程は、
図1(d)に示すように、レーザートランスファ法を用いて、仮固定膜20上に仮固定された複数の光デバイス30を、レーザー光照射により仮固定膜20から分離し、回路基板50上に移送する。レーザー光照射の照射エリアを適切に選択することで、複数の光デバイス30を選択的にピックアップすることが可能である。
【0017】
以下、仮固定用組成物の各成分について詳述する。
【0018】
<環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー>
仮固定用組成物は、分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーを1種または2種以上含む。これにより、仮固定膜の耐熱性(Tg)を向上できる。また、仮固定膜における密着性や加工性を向上できる。
【0019】
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー(以下、単に「環状オレフィンポリマー」と呼称することもある。)とは、環状構造(脂環又は芳香環)と炭素-炭素二重結合とを有する環状オレフィン骨格を有するモノマー由来の構造単位を有するポリマーを意味する。
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、環状オレフィン単量体以外の単量体から導かれる単位を有していてもよい。環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、環状オレフィン単量体の単独重合体(開環重合体を含む)又は共重合体(開環共重合体を含む)である。
【0020】
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aを含むことが好ましい。
【0021】
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーの原料となるノルボルネン系モノマーは、下記式(a-1)で表されることが好ましい。
【0022】
【0023】
上記式(a-1)中、nは、0~2であることが好ましく、R1~R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~30の有機基であることが好ましい。また、R1~R4のうち、任意の2つが互いに結合して、アルキリデン基、単環又は多環構造を形成してもよい。式(a-1)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。有機基は、炭素数1~10であることが好ましく、R1~R4を構成する有機基は、その構造中にO、N、S、PおよびSiから選択される1以上の原子を含んでいてもよい。
【0024】
炭素原子数1~10の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基、などが挙げられる。極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1~10のアルコキシル基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、エポキシ基、カルボニルオキシカルボニル基(ジカルボン酸の酸無水物残基)、アルコキシ基、カルボニル基、第三級アミノ基、スルホン基、アクリロイル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
【0025】
上記式(a-1)で表されるモノマーとしては、2-ノルボルネン;5-メチル-2-ノルボルネン、5,5-ジメチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネンなどのアルキル基(C1~C10アルキル基)を有するノルボルネン類;5-エチリデン-2-ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5-メトキシカルボニル-2-ノルボルネン、5-メチル-5-メトキシカルボニル-2-ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5-シアノ-2-ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5-フェニル-2-ノルボルネン、5-フェニル-5-メチル-2-ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6-エチル-オクタヒドロナフタレンなどのアルキル基を有する、オクタリン8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-n-プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-n-ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-(1-ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-(2-ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-(4-フェニルフェノキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-n-プロポキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-イソプロポキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-n-ブトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-フェノキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン8-メチル-8-(1-ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-(2-ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-(4-フェニルフェノキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン等を挙げることができる。
【0026】
上記した中でも、ノルボルネン系モノマーとして、2-ノルボルネン;5-メチル-2-ノルボルネン、5,5-ジメチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネンなどのアルキル基(C1~C10アルキル基)を有するノルボルネン類;5-エチリデン-2-ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5-メトキシカルボニル-2-ノルボルネン、5-メチル-5-メトキシカルボニル-2-ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5-シアノ-2-ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5-フェニル-2-ノルボルネン、5-フェニル-5-メチル-2-ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6-エチル-オクタヒドロナフタレンなどのアルキル基を有するオクタリンなどが好ましい。
【0027】
これらのノルボルネン系モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのノルボルネン系モノマーのうち、二環式オレフィンが好ましく、このうち、ノルボルネンやアルキル基(メチル基、エチル基などのC1~C10アルキル基)を有するノルボルネンなどのノルボルネン類が好ましい。
【0028】
ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aは、下記の式(A11)で表される構造単位A11を含んでもよい。
【0029】
【0030】
また、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aは、下記の式(A12)で表される構造単位A12を含んでもよい。例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合により形成することにより、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー中に、構成単位(A12)を含めることができる。
【0031】
【0032】
構造単位式(A11)、式(A12)は、それぞれ、これらの構造単位を単独で用いても2種以上を組み合わせて、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー中に含まれていてもよい。
【0033】
上記式(A11)、式(A12)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して水素原子、水酸基または炭素数1~30の有機基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~10の有機基である。これらの有機基はカルボキシル基、グリシジル基、オキセタニル基等の官能基を有していてもよく、グリシジル基を有することが好ましい。架橋しうる官能基を含むことにより、ポリマーを含む仮固定用組成物から構成される膜の硬化度を向上させることができる。
また、式(A11)、式(A12)中、nは、例えば、0、1または2であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることがより好ましい。
【0034】
R1~R4を構成する有機基は、その構造中にO、N、S、PおよびSiから選択される1以上の原子を含んでいてもよい。
【0035】
式(A11)、(A12)中のR1、R2、R3およびR4は、式(a-1)中のR1~R4に準じたものがあげられるが、R1~R4を構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられる。
【0036】
アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
【0037】
さらに、R1~R4を構成するアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基は、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。また、ハロアルキルアルコール基とすることで、耐熱変色性を向上させることができる。
【0038】
なお、環状オレフィンポリマーを含んで構成される膜の光透過性を高める観点からは、R1~R4のいずれかが水素であることが好ましく、たとえば、式(A11)、(A12)の構造単位を採用する場合にあっては、R1~R4すべてが水素であることが好ましい。
【0039】
本実施形態の環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aを含むポリマーであることが好ましい。構造単位Aを有し、ノルボルネン骨格を有することで、より密着性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態の一つとして、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、無水マレイン酸、マレイミドまたはこれらの誘導体由来の構造単位Bを含んでもよい。これにより、加工性を一層向上させることができる。
【0041】
無水マレイン酸、マレイミドまたはこれらの誘導体由来の構造単位Bは、無水マレイン酸または無水マレイン酸誘導体(無水マレイン酸系モノマー)に由来する構造単位を含むことができる。
【0042】
無水マレイン酸または無水マレイン酸誘導体として、たとえば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ジメチル無水マレイン酸またはこれらの誘導体が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。このように構造単位Bは、分子内に環状構造を有する不飽和カルボン酸無水物に由来する構造単位を備えることができる。
【0043】
無水マレイン酸または無水マレイン酸誘導体に由来する構造単位Bは、下記の式(1)で示される構造単位を含ことができる。
【0044】
【0045】
上記式(1)中、RX、RYは、それぞれ独立して水素または炭素数1~3の有機基であることが好ましく、それぞれ独立して水素又は炭素数1の有機基であることがより好ましく、RXが水素かつRYが水素又は炭素数1の有機基であることが更に好ましく、RXとRYが水素であることが一層好ましい。
【0046】
上記式(1)中、RX及びRYを構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられる。また、アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばシクロプロピル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
【0047】
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、上記の構造単位Aまたは構造単位Bのいずれか一方を少なくとも含んでもよく、構造単位Aおよび構造単位Bの両者を含む共重合体であってもよい。
また、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、上記の式(1)で示される構造単位中の酸無水環が開環したエステル化合物由来の構造単位を有することができ、好ましくは、無水マレイン酸の酸無水環が開環したエステル化合物由来の構造単位Cを有することができる。
【0048】
上記構造単位Cは、たとえば、下記式(B2)により示される構造単位を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
【0050】
一般式(B2)中のRB1は、水素または炭素数1~30の有機基を含むものである。このRB1は、エステル結合、アミド結合、ケトン結合、ウレア結合、ウレタン結合等で結合基を介して結合する有機基であってもよい。
【0051】
上記一般式(B2)中のRB1を構成する有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基およびヘテロ環基が挙げられる。
【0052】
上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基及びt-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基が挙げられる。ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
【0053】
上記一般式(B2)中のRB1としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、及び、アルキニル基からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、アルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。これにより、RB1中の結合が開裂することを抑制できる。したがって、共重合体の耐熱性を向上できる。
【0054】
上記一般式(B2)中、RB1としては、例えば、エステル結合を介して結合する、水素原子及び炭素原子からなる群より選択される1種以上の原子によって形成される脂肪族基であることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましい。
【0055】
上記無水マレイン酸、マレイミドまたはこれらの誘導体由来の構造単位Bは、マレイミドまたはマレイミド誘導体由来の構造単位を含むことができる。これにより、加工性、耐熱性を高めることができる。
【0056】
上記マレイミドまたはマレイミド誘導体由来の構造単位は、下記式(8)で表されるマレイミド系モノマーに由来する構造単位を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
【0058】
R12は、水素原子またはC1~C30の有機基である。R12を構成するC1~C30の有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、もしくはシクロアルキル基等の炭化水素基が挙げられる。アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、およびナフチル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。なお、R5に含まれる一以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素等のハロゲン原子によって置換されていてもよい。
【0059】
また上記共重合体は、上述の構造単位A~構造単位Cに加えて、その他のエチレン性二重結合を有する化合物に由来する構造単位Dを含んでいてもよい。その他のエチレン性二重結合を有する化合物としては、例えば、スチレン、ヒドロキシスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素数2~20のα-オレフィン;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ジエン;アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸等のアクリル酸類;マレイン酸、ジメチルマレイン酸、ジエチルマレイン酸、ジブチルマレイン酸等のマレイン酸類などが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0060】
ポリマー中の、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aの含有比率は、ポリマー中の全構造単位を基準として、好ましくは30mol%以上であり、より好ましくは、50mol%以上である。上記範囲にすることにより、仮固定膜として十分な耐熱性を得ることができる。
【0061】
本実施形態の仮固定用組成物において、上記環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーの含有量は、当該仮固定用組成物の不揮発成分100質量%に対して、20質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上60質量%以下である。このような数値範囲とすることにより、密着性と加工性とのバランスを図ることが可能である。
【0062】
本実施形態において、仮固定用組成物の不揮発成分とは、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。仮固定用組成物の不揮発成分全体に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、仮固定用組成物のうちの溶媒を除く不揮発成分全体に対する含有量を指す。
【0063】
本実施形態の仮固定用組成物は、感光剤および紫外線吸収剤の少なくとも一方を含む光吸収剤を含む。
【0064】
<感光剤>
仮固定用組成物は、1種または2種以上の感光剤を含むことができる。これにより、仮固定膜のレーザー光吸収性を向上できる。
【0065】
感光剤として、光または熱分解性を有するものを用いることができる。これにより、仮固定用組成物からなる仮固定膜に対して、所定の感光剤分解処理(いわゆる、ブリーチング)を実施することにより、当該樹脂膜中に残存する感光剤を除去(分解)することができ、それにより、光デバイスとの密着性を制御できる。
【0066】
上記感光剤は、たとえばジアゾキノン化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩もしくはスルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2-ニトロベンジルエステル化合物、N-イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン化合物、またはジヒドロピリジン化合物を用いることができる。この中でも、感度や溶剤溶解性に優れるジアゾキノン化合物を用いることがとくに好ましい。
【0067】
仮固定用組成物中の感光剤の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。
また、仮固定用組成物中の感光剤の含有量の上限は、環状オレフィンポリマー100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。感光剤の含有量が上記範囲内であることで適度なレーザー光吸収性を発揮することができる。
【0068】
<紫外線吸収剤>
仮固定用組成物は、1種または2種以上の紫外線吸収剤を含むことができる。
これにより、仮固定膜のレーザー光吸収性を向上できる。
紫外線吸収剤として、100nm~400nm、好ましくは200nm~380nm、より好ましくは230nm~370nmの少なくとも一部の波長を吸収する物質であれば、とくに限定されない。
【0069】
使用可能な紫外線吸収剤は特に限定されない。波長355nmの光の透過率を制御可能なものを任意に用いることができる。
紫外線吸収剤は、環状オレフィンポリマーや架橋剤との相溶性、後のエッチングによる除去性などの観点から、紫外線吸収剤は、無機粒子などではなく有機化合物であること(紫外線吸収剤は、有機紫外線吸収剤を含むこと)が好ましい。
【0070】
紫外線吸収剤としてより具体的には、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アントラセン系化合物、トリアジン系化合物などを挙げることができる。これらは、波長355nmの光の透過率の制御のしやすさ、ポリマーや架橋剤との相溶性、入手容易性などの観点で好ましい。
【0071】
ベンゾフェノン系化合物の具体例としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,4,4'-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
【0072】
ベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイビジルメチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(3-オン-4-オキサ-ドデシル)-6-tert-ブチル-フェノール、2-{5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル}-4-(3-オン-4-オキサ-ドデシル)-6-tert-ブチル-フェノール、2-{5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル}-4-メチル-6-tert-ブチル-フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-{5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル}-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-n-ドデシルフェノール、2,2'-メチレンビス[4-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)-6-[(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]]などを挙げることができる。
【0073】
アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジプロポキシアントラセン、4'-ニトロベンジル-9,10-ジメトキシアントラセン-2-スルホネート、4'-ニトロベンジル-9,10-ジエトキシアントラセン-2-スルホネート、4'-ニトロベンジル-9,10-ジプロポキシアントラセン-2-スルホネートなどを挙げることができる。
【0074】
トリアジン系化合物の具体例としては、2-(4-フェノキシ-2-ヒドロキシ-フェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オキサ-ヘキサデシロキシ)-4,6-ジ(2,4-ジメチル-フェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オキサ-ヘプタデシロキシ)-4,6-ジ(2,4-ジメチル-フェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-iso-オクチロキシ-フェニル)-4,6-ジ(2,4-ジメチル-フェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどを挙げることができる。
【0075】
紫外線吸収剤として、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、BASF社のUvinul(登録商標)シリーズ、大塚化学株式会社のRUVA-93、川崎化成工業株式会社のアントラキュアー(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
参考までに、感光性樹脂組成物の分野で知られている「増感剤」の中には、波長355nmの光を適度に吸収し、本実施形態における紫外線吸収剤として使用可能なものがある。
【0076】
仮固定用組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、樹脂組成物の全固形分中、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%、さらに好ましくは1~10質量%である。組成物中の紫外線吸収剤の割合を調整することで、他の性能を維持しつつ、波長355nmの光の吸収性を最適化できる。
樹脂組成物の「全固形分」とは、樹脂組成物中の不揮発成分のことを意味する。通常、樹脂組成物の全固形分は、樹脂組成物中の有機溶剤以外の成分を指す。
【0077】
<フェノキシ樹脂>
仮固定用組成物は、フェノキシ樹脂として、ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが1,000以上10,000以下である第一フェノキシ樹脂を1種または2種以上含む。これにより、仮固定膜の密着性を向上できる。
【0078】
第一フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、1000~10000、1500~8000、より好ましくは2000~6000、さらに好ましくは2000~4500である。
第一フェノキシ樹脂の重量平均分子量において、上記下限値以上とすることにより、引張り伸び率を向上でき、一方、上記上限値以下とすることにより、低温接着性を向上できる。
【0079】
重量平均分子量(Mw)は、たとえばGPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めた、ポリスチレン換算値を用いる。
測定条件は、たとえば以下の通りである。
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
カラム:東ソー社製TSK-GEL Supermultipore HZ-M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
【0080】
本明細書において、フェノキシ樹脂とは、低分子量エポキシ化合物を、ヒドロキシポリエーテル結合により高分子化させた樹脂をいう。フェノキシ樹脂は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂をヒドロキシポリエーテル結合により高分子化させることにより、熱可塑性の性質を有する。フェノキシ樹脂は、その末端及び/又は内部に官能基を有することが好ましく、その両末端にエポキシ基を有する、2官能の樹脂であることがより好ましい。
【0081】
フェノキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるヒドロキシポリエーテルであっても、ビスフェノール類と2官能エポキシ化合物より合成されるヒドロキシポリエーテルであっても、ビスフェノール型エポキシ化合物と2価アルコール化合物より合成されるヒドロキシポリエーテルであってもよい。
また、フェノキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ノボラック骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの骨格を複数種類有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーに、フェノキシ樹脂を組み合わせることで、エポキシ化合物に起因する剛直性と、ヒドロキシポリエーテル結合に起因する柔軟性とが寄与し、低温で接着可能であり、なおかつ、接着強度に優れ、耐薬品性に優れる仮固定用組成物が得られるものと推定される。
【0082】
これらの中でも、第一フェノキシ樹脂として、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂を用いることができる。ビスフェノール骨格を有する第一フェノキシ樹脂と、分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーとの組み合わせにより、より低温で接着可能であり、なおかつ、接着強度に優れ、耐薬品性に優れる仮固定用組成物とすることができる。
【0083】
第一フェノキシ樹脂は、炭素数3~30のアルキレン基を有することが好ましく、より好ましくは炭素数2~10のアルキレン基、特に好ましくは炭素数4~8のアルキレン基を有することが好ましい。これにより、仮固定膜の伸張性を得つつ、仮固定膜の耐久性向上を図ることができる。
【0084】
第一フェノキシ樹脂は、その繰り返し単位中に、上記した炭素数のアルキレン基、及び、ビスフェノール骨格を有することが特に好ましい。
ビスフェノール骨格、及び、アルキレン基を有する第一フェノキシ樹脂は、第一フェノキシ樹脂中におけるアルキレン基の位置は特に限定されないが、分子末端のエポキシ基と分子中のビスフェノール骨格との間に、炭素数3~30のアルキレン基を有するものが好ましい。
【0085】
仮固定用組成物中の第一フェノキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、環状オレフィンポリマー100質量%に対して、5~50質量%。好ましくは10~30質量%である。
第一フェノキシ樹脂の含有量が上記下限値以上とすることにより密着性を向上できる。一方、第一フェノキシ樹脂の含有量が上記上限値以下とすることにより、他の特性とのバランスを図ることができる。
【0086】
第一フェノキシ樹脂は、例えば、50℃で液状の成分、好ましくは25℃で液状の成分を含んでもよい。これにより、100℃における密着性を向上できる。
【0087】
また、第一フェノキシ樹脂は50℃における粘度が、1~20Pa・sであることが好ましく、3~10Pa・sであることが好ましい。
粘度を上記範囲内とすることにより、機械的特性と低温接着性のバランスに優れたものとすることができる。なお、フェノキシ樹脂の粘度は、例えば、E型粘度計を用いて測定することができる。
【0088】
仮固定用組成物は、第一フェノキシ樹脂の他に、他の第二フェノキシ樹脂を含んでもよい。
第二フェノキシ樹脂は、例えば、ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが10,000超の成分を含んでもよい。また、第二フェノキシ樹脂は、50℃で固形の成分を含んでもよい。
【0089】
<架橋剤>
仮固定用組成物は、1種または2種以上の架橋剤を含んでもよい。
架橋剤は、上記環状オレフィンポリマーと架橋反応できるものであれば、特に限定されない。これにより、密着性を高めることができる。
【0090】
上記架橋剤は、1種または2種以上の環状エーテル基を有する化合物を含むことができる。
上記環状エーテル基を有する化合物は、たとえば、エポキシ樹脂またはオキセタン化合物を含むことができる。
【0091】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。エポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
【0092】
また、エポキシ樹脂としては、3官能以上の多官能エポキシ樹脂(つまり、1分子中にエポキシ基が3個以上あるもの)を含むことができる。多官能エポキシ樹脂としては、3官能以上20官能以下のものがより好ましい。
【0093】
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-([2,3-エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパン、フェノールノボラック型エポキシ、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、α-2,3-エポキシプロポキシフェニル-ω-ヒドロポリ(n=1~7){2-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンジリデン-2,3-エポキシプロポキシフェニレン}、1-クロロ-2,3-エポキシプロパン・ホルムアルデヒド・2,7-ナフタレンジオール重縮合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが用いられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いても良い。
【0094】
オキセタン化合物は、オキセタニル基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、1,4-ビス{[(3-エチルー3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4'-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3-[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタンー3-イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
エポキシ樹脂は25℃で固形であることが好ましい。
本実施形態の一例として、仮固定用組成物は、50℃で液状の第一フェノキシ樹脂と、25℃で固形のエポキシ樹脂を含むことが好ましく、25℃で液状の第一フェノキシ樹脂と、25℃で固形のエポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
液状のフェノキシ樹脂と、25℃で固形のエポキシ樹脂を組み合わせることにより、接着に要する温度を下げることができ、かつ、密着力を向上することができる。
【0096】
上記架橋剤の含有量の下限は、仮固定用組成物の不揮発成分100質量%中、例えば、10質量%以上であり、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。これにより、仮固定膜における耐熱性や機械的強度を向上させることができる。
一方、架橋剤の含有量の上限は、仮固定用組成物の不揮発成分100質量%中、例えば、50質量%以下であり、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。これにより、仮固定用組成物において、成膜性を向上させることができる。
【0097】
<フェノール化合物>
仮固定用組成物は、1種または2種以上のフェノール化合物を含んでもよい。
フェノール化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
【0098】
詳細なメカニズムは定かでないが、フェノール化合物を含むことにより、ワニス状の仮固定用組成物中において、環状オレフィンポリマーと他の成分(例えば、感光剤や紫外線吸収剤)との相溶性を高めることができ、接着性、加工性を向上できるものと考えられる。
【0099】
フェノール化合物は、分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物を含むことが好ましい。
【0100】
フェノール化合物として、下記のフェノール樹脂や低分子のフェノール化合物を用いることができる。
フェノール樹脂の具体例は、公知のもののなかから適宜選択することができるが、たとえばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、トリスフェニルメタン型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂を用いることができる。この中でも、ノボラック型フェノール樹脂を用いることができる。
低分子のフェノール化合物の具体例としては、ビフェノール、4-エチルレソルシノール、2-プロピルレソルシノール、4-ブチルレソルシノール、4-ヘキシルレソルシノール、2-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'-ジヒドロキシジフェニルジスルフィド、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2'-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビフェノール、4,4'-(1,3-ジメチルブチリデン)ジフェノール、4,4'-(2-エチルヘキシリデン)ジフェノール、4,4'-エチリデンビスフェノール、2,2'-エチレンジオキシジフェノール、3,3'-エチレンジオキシジフェノール、1,5-ビス(o-ヒドロキシフェノキシ)-3-オキサペンタン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フロログルシド、α,α,α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン等を挙げることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0101】
仮固定用組成物中のフェノール化合物の含有量は、環状オレフィンポリマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上30質量部以下であり、好ましくは3質量部以上25質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上20質量部以下である。上記の範囲内で配合することで仮固定膜の耐熱性や強度が向上する。
【0102】
<界面活性剤>
仮固定用組成物は、1種または2種以上の界面活性剤を含んでもよい。
これにより、均一な樹脂膜を得られること(塗布性の向上)や、接着強度の向上にも寄与する。
【0103】
界面活性剤は、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含む界面活性剤を含むことが好ましい。
【0104】
界面活性剤としてより具体的には、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤として使用可能な市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F-251、F-253、F-281、F-430、F-477、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-572、F-574、F-575、F-576、R-40、R-40-LM、R-41、R-94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0105】
フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤により、接着強度の向上が図れる理由については明らかではないが、推定される原因として、たとえば(i)膜表面が平滑になる結果、膜を加熱押圧して接着する際の接着面積が増すこと、(ii)界面活性剤が仮固定膜の表面に偏在することで、仮固定膜の表面が熱で部分的に融解しやすくなること、等が考えられる。
【0106】
界面活性剤の含有量は、仮固定用組成物の不揮発性成分100質量%中、通常0.001~1質量%、好ましくは0.003~0.5質量%、より好ましくは0.005~0.3質量%、さらに好ましくは0.008~0.1質量%、特に好ましくは0.01~0.05質量%である。この範囲とすることで、上述の接着強度の向上の効果をより一層得ることが期待できる。
【0107】
<密着助剤>
仮固定用組成物は、1種または2種以上の密着助剤を含んでもよい。
これにより、仮固定膜の密着性を向上できる。
【0108】
密着助剤として、例えば、シランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤は、官能基として酸無水物を含有するシランカップリング剤(以下、省略して「酸無水物含有シランカップリング剤」ともいう。)を含んでもよい。これにより、無機材料に対する密着性を向上できる。すなわち、貫通配線や半導体チップ等に対する密着性が良好な仮固定膜が得られる。
このような酸無水物含有シランカップリング剤は、官能基である酸無水物が無機酸化物を溶解させるとともに、陽イオン(金属陽イオン等)と配位結合する。
【0109】
一方、酸無水物含有シランカップリング剤に含まれるアルコキシ基は、加水分解して例えばシラノールとなる。このシラノールは、無機材料の表面水酸基と水素結合する。これらの結合機構に基づいて、無機材料に対する密着性が良好な仮固定用組成物が得られると考えられる。
【0110】
酸無水物含有シランカップリング剤として、具体的には、アルコキシシリル基を含む化合物が好ましく用いられ、アルコキシシリル基含有アルキルカルボン酸無水物が好ましく用いられる。このようなカップリング剤によれば、無機材料に対する密着性がより良好な仮固定用組成物が得られる。
【0111】
アルコキシシリル基を含む化合物の具体例としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物のようなコハク酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物のようなジカルボン酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルフタル酸無水物のようなフタル酸無水物等のアルコキシシリル基含有アルキルカルボン酸無水物が挙げられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
【0112】
これらの中でもコハク酸無水物が好ましく、アルコキシシリル基含有コハク酸無水物がより好ましく用いられ、特に3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物がより好ましく用いられる。かかるカップリング剤によれば、分子長や分子構造が最適化されるため、前述した密着性がより良好になる。
【0113】
密着助剤の添加量は、特に限定されないが、仮固定用組成物の不揮発性成分100質量%中、0.3~5質量%程度であるのが好ましく、0.5~4.5質量%程度であるのがより好ましく、0.7~4質量%程度であるのがさらに好ましい。密着助剤の添加量を前記範囲内に設定することにより、例えば無機材料に対する密着性が特に良好な仮固定膜が得られる。
【0114】
また、酸無水物含有シランカップリング剤に代えて/加えて、他のカップリング剤を使用してもよい。
酸無水物含有シランカップリング剤以外の他のシランカップリング剤としては、例えば、官能基としてアミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、ビニル基、ウレイド基、スルフィド基等を含むシランカップリング剤が挙げられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
【0115】
このうち、アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えばビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノ-プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0116】
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0117】
アクリル基含有シランカップリング剤としては、例えばγ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基含有シランカップリング剤としては、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0118】
ビニル基含有カップリング剤としては、例えばビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基含有カップリング剤としては、例えば3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0119】
スルフィド基含有シランカップリング剤としては、例えばビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
【0120】
その他のシランカップリング剤の添加量は、特に限定されないが、酸無水物含有シランカップリング剤の1~600質量%程度であるのが好ましく、3~400質量%程度であるのがより好ましく、5~300質量%程度であるのがさらに好ましい。添加量をこの範囲内に設定することにより、酸無水物含有シランカップリング剤による前述した作用が損なわれることなく、その他のカップリング剤の添加によって別の作用が追加されることとなる。その結果、双方のカップリング剤によってもたらされる効果の両立を図ることができる。
【0121】
仮固定用組成物は、1種または2種以上の溶剤を含んでもよい。
【0122】
上記溶剤としては、仮固定用組成物の各成分を溶解可能なもので、且つ、各構成成分と化学反応しないものであれば特に制限なく用いることができる。
【0123】
溶剤は、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ラクトン系溶剤、カーボネート系溶剤などの有機溶剤を挙げることができる。
【0124】
溶剤の一例としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γブチロラクトン、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル-1,3-ブチレングリコールアセテート、1,3-ブチレングリコール-3-モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びメチル-3-メトキシプロピオネート等の有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0125】
仮固定用組成物が溶剤を含む場合、その量は特に限定されないが、組成物中の不揮発成分の濃度が例えば10~70質量%、好ましくは15~60質量%となるような量で使用される。溶剤の量を適当に調整することで、例えば仮固定用組成物を塗布して製膜する際の膜厚を調整することができる。
【0126】
本実施形態の仮固定用組成物には、上記の成分に加えて、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、酸化防止剤、シリカ等の充填材、増感剤、フィルム化剤等が挙げられる。
【0127】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0128】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0129】
<仮固定用組成物の調製>
下記の表1に従い配合された各成分の原料をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させて、不揮発成分が40質量%の混合溶液を得た。その後、混合溶液を1μmのポリエチレン中空糸フィルターで濾過し、仮固定用組成物を得た。
【0130】
(環状オレフィンポリマー)
・環状オレフィン樹脂A-1:下記合成例1で合成された環状オレフィン樹脂
<合成例1:環状オレフィンポリマーの合成>
撹拌機、冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸122.4g(1.25mol)、2-ノルボルネン117.6g(1.25mol)およびジメチル2、2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート11.5g(0.05mol)を計量し、メチルエチルケトン150.8gおよびトルエン77.7gに溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃で16時間、加熱した(重合工程)。
その後、この溶解液に、MEK320gを加えた後、水酸化ナトリウム12.5g0.31mol)、ブタノール463.1g(6.25mol)、トルエン480gの懸濁液に加え、無水マレイン酸由来の環状の構造体の繰り返し単位のうち、50%以上の繰り返し単位が閉環した状態となるように、45℃で3時間混合した。そして、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸88質量%水溶液、49.0g(0.94mol)で処理してプロトン付加した(開環工程)。
その後、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。次いで、メタノール、ヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらにプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセタート(PGMEA)を添加し、系内のメタノール及びブタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。これにより、重量平均分子量Mwが13,700である、下記式(A-1)により示される繰り返し単位を有する環状オレフィン樹脂(共重合体)のPGMEA溶液を得た。
【0131】
【0132】
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂B-1:下記式で表される多官能エポキシ樹脂(プリンテック株式会社製、VG3101L、25℃で固体)
【化8】
【0133】
・エポキシ樹脂B-2:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、EPPN-201、25℃で固形)
【0134】
【0135】
(フェノキシ樹脂)
・フェノキシ樹脂C-1:下記合成例2で合成されたフェノキシ樹脂
<合成例2:フェノキシ樹脂の合成>
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを100質量部、ビスフェノールFを69.3質量部、トリフェニルホスフィン(触媒)を0.15質量部準備した。これらをシクロヘキサノン溶媒と混合し、耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気の下、180℃で5時間、重合反応を行い、下記式で表されるフェノキシ樹脂を得た。
なお、得られたフェノキシ樹脂は25℃および50℃で液状であり、重量平均分子量は4000前後(ポリスチレン換算値)であった。
【0136】
【0137】
(光吸収剤)
・感光剤D-1:下記式で表されるジアゾキノン化合物(GPA-250、ダイトーケミックス社製)
【0138】
【0139】
・紫外線吸収剤D-2:Uvinul(登録商標)3049(BASFジャパン株式会社製、以下構造)
【0140】
【0141】
・紫外線吸収剤D-3:RUVA-93(大塚化学株式会社製、以下構造)
【化13】
【0142】
【0143】
得られた仮固定用組成物について、以下の項目について評価を行った。
【0144】
<接着強度>
(1)厚さ0.725mmのシリコンウェハ上に、得られた仮固定用組成物をスピンコートにより塗布し、樹脂膜を形成した。
(2)(1)で得られた樹脂膜が形成されたウェハを、ホットプレートを用いてプリベークした。プリベークは110℃で3分間行った。プリベーク後の樹脂膜の膜厚は5.2μmであった。
(3)(2)で得られたウェハの、プリベーク後の樹脂膜がある部分を、ダイシングソーを用いて切り出し、10mm×10mm角の正方形の評価用基板(下チップ)を作製した。
また、5mm×5mm角の正方形の評価用基板(上チップ)として、SiO2チップを準備した。
次に、ステージ上に、下チップを、プリベーク後の樹脂膜がある面を上にして静置した。そして、下チップのプリベーク後の樹脂膜と上チップのSiO2膜とが密着するように、下チップの上に上チップを静置した。
その後、静置した下チップおよび上チップの上下から加熱・押圧した。
このとき、下からの加熱温度は30℃に設定した。市販の半導体組立用ボンディングツールを用い、加熱したボンディングヘッドを上チップに押し当てることで熱と圧力を加えた。ボンディングヘッドの温度を100℃とし、時間10秒、圧力25Nの条件で、下チップに上チップをボンディングし、接着済みサンプルを得た。
ここで、「25N」とは、5mm×5mmの上チップに対して25Nの力をかけたということであり、単位面積あたりの力(すなわち圧力)としては、1N/mm2すなわち1MPaである。
(4)その後、接着済みサンプルの上チップに、エポキシ樹脂付きAlピン(Φ5.2mm、株式会社フォトテクニカ製)を立て、100℃で1時間熱処理し、Alピン付き接着サンプルAを得た。
得られたAlピン付き接着サンプルAを、引張試験機(テンシロンRTC-1210A、オリエンテック社製)を用いて1mm/minで引張試験を行い、破壊時の破断強度を測定する。測定はN=5で行い、平均値を算出した。破断強度の平均値を接着強度とした。
【0145】
<レーザートランスファ性>
ガラス基板上に、仮固定用組成物をスピンコートにより塗布し、樹脂膜を形成した。
樹脂膜が形成されたガラス基板を、ホットプレートを用いてプリベークした。プリベークは110℃で3分間行った。プリベーク後の樹脂膜の膜厚は5.2μmであった。
樹脂膜上に複数のSiO2チップを載せ、ガラス基板とチップとを上下から、市販の半導体組立用ボンディングツールを用い、ボンディングした。ボンディング条件は、下からの加熱温度を30℃、ボンディングヘッドの温度100℃、時間10秒、圧力25Nとした。
続いて、100℃で1時間熱処理した後、ガラス基板の下から、波長355nm、出力800mW、積算光量5000mJ/cm2のレーザーを照射した。
レーザー照射後、樹脂膜から複数のSiO2チップをピックアップした。
表1のレーザートランスファ性について、10個中10個のチップをピックアップ可能の場合を○、10個中5個以上9個以下の場合を△、10個中4個以下の場合を×と評価した。
【0146】
<光の透過率:レーザー光吸収性>
以下手順により測定した。
(1)得られた仮固定用組成物をガラス板(コーニングEagle XG, 0.7mmt)にスピンコートした。回転数などについては、膜厚が25μmとなるように適宜調整した。その後、100℃で3分乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。これによりシリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。
(2)(1)で得られた樹脂膜を、N2雰囲気のオーブン内で、130℃、30分間加熱し、その後室温まで放冷した。これを光の透過率の測定用サンプルとした。
(3)(2)で得られた測定用サンプルを、日本分光株式会社製の紫外可視近赤分光光度計「JASCOV-670」にセットし、波長200~2000nm範囲の透過率を測定した。この測定結果より、膜厚5μmの樹脂膜の光の透過率(波長355nm、266nm、248nm)を得た。
【0147】
<視認性>
上記<光の透過率の測定>の(1)~(3)のようにして測定用サンプルを得た。
測定用サンプル下の文字の見え方を、目視にて評価した。
表1の視認性について、文字が明確に見えて読める場合を○、文字は読めるが、にじんだりぼやけたりする部分がある場合を△、文字が読めない場合を×と評価した。
【0148】
(ガラス転移温度:耐熱性)
(1)得られた仮固定用組成物をシリコンウエハ上にスピンコートした。回転数などについては、膜厚が10μmとなるように適宜調整した。その後、100℃で3分乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。これによりシリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。
(2)(1)で得られた樹脂膜を、N2雰囲気のオーブン内で、200℃、90分間加熱し、その後室温まで放冷した。
(3)(2)で得られた樹脂膜を、シリコンウェハごと、1質量%フッ酸水溶液に浸漬し、樹脂膜をウェハから剥離した。その後、樹脂膜に付着したフッ酸水溶液を十分に水洗した。
(4)(3)で剥離・水洗された樹脂膜を、オーブンを用いて60℃で10時間乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。その後、樹脂膜を20mm×4mmサイズにカットした。これをガラス転移温度の測定用サンプルとした。
測定用サンプルを、日立ハイテクサイエンスの熱機械分析装置TMA-6000にセットした。そして、サンプルに引張荷重30mNをかけつつ、昇温速度5℃/分で10℃から400℃まで昇温して、横軸:温度、縦軸:伸び量のグラフを描いた。このグラフにおける高温側の直線部分と低温側の直線部分の延長線の交点を、Tgとした。
【0149】
実施例1~3の仮固定用組成物は、比較例1と比べてガラス転移温度が高く、比較例2と比べて透過率が小さく、比較例3と比べて接着強度が高いことから、耐熱性、レーザー光吸収性および接着性に優れた仮固定膜が得られる結果を示した。このような実施例の仮固定膜は、仮固定膜に固定した光デバイスをレーザー光照射により分離する実装プロセスにおいて好適に用いることが可能である。