(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182456
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】多孔質ソルビトール
(51)【国際特許分類】
A61K 47/26 20060101AFI20221201BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221201BHJP
A23L 5/00 20160101ALN20221201BHJP
【FI】
A61K47/26
A61K9/20
A23L5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090025
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】516089979
【氏名又は名称】株式会社ウエノフードテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】西村 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】古川 陽二郎
【テーマコード(参考)】
4B035
4C076
【Fターム(参考)】
4B035LE01
4B035LG19
4B035LP02
4B035LP21
4B035LP24
4B035LP55
4C076AA37
4C076BB01
4C076DD38
4C076FF04
4C076GG14
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、低い打錠圧による直接打錠で十分な硬度を有する錠剤を提供し得るソルビトールを提供することにある。
【解決手段】BET式一点法による比表面積が5.0m2/g以上であり、水銀圧入法による細孔容積が0.45ml/g以上であることを特徴とする多孔質ソルビトールを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BET式一点法による比表面積が5.0m2/g以上であり、水銀圧入法による細孔容積が0.45ml/g以上であることを特徴とする多孔質ソルビトール。
【請求項2】
平均粒子径が1~600μmである、請求項1に記載の多孔質ソルビトール。
【請求項3】
下記計算式で表される圧縮度が10~45%である、請求項1または2に記載の多孔質ソルビトール。
圧縮度(%)=[固めかさ密度(g/cm3)-ゆるめかさ密度(g/cm3)]/固めかさ密度(g/cm3)×100
【請求項4】
ゆるめかさ密度が0.10~0.45g/ml、固めかさ密度が0.15~0.55g/mlである、請求項1~3のいずれかに記載の多孔質ソルビトール。
【請求項5】
a)溶融ソルビトールとエタノールを混練装置内に供給する工程、
b)混練装置内の溶融ソルビトールとエタノールとを50~78℃に保持しながら混練する工程、および
c) b)で得られた混練物を25~90℃、100~30000Paで減圧乾燥することによりエタノールを除去する工程
を含む、多孔質ソルビトールの製造方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載の多孔質ソルビトールを含有する錠剤。
【請求項7】
錠剤硬度が80N以上である、請求項6に記載の錠剤。
【請求項8】
請求項1~4のいずれかに記載の多孔質ソルビトールを含む錠剤成分を打錠することを含む、錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接打錠に適した多孔質ソルビトールに関する。
【背景技術】
【0002】
ソルビトールは、従来から食品分野や医薬品分野において、甘味料や賦形剤として利用されている。
【0003】
一般的に流通するソルビトール粉末は、結晶粉末であるため、結着力が弱く、例えば錠剤に用いた場合には、成形後に容易に崩壊するという問題があった。そこで、このような用途に用いる場合、ソルビトール粉末を造粒した後に打錠する顆粒圧縮法と呼ばれる方法が採用されている。しかしながら、顆粒圧縮法は、製造工程が複雑になると共に、製造コストが増大するという課題があった。
【0004】
また、錠剤の製造においては、一定以上の圧力で打錠する必要があるが、圧力が高圧になると打錠機本体や金型に大きな負担が掛かるため、可能な限り低圧で打錠される傾向にある。
【0005】
しかし、低圧での打錠は、得られる錠剤の一部あるいは全体が欠けて杵へ付着するピッキングやスティッキングといった打錠障害が発生しやすいという問題点を有していた。
【0006】
特許文献1には、グルコース含有溶液の水素添加によりソルビトール溶液を製造し、このソルビトール溶液を噴霧乾燥することにより、比表面積が0.7~1.5m2/gの錠剤化特性を有する改質ソルビトールの製造方法が記載されている。しかし、このような比表面積を有するソルビトールを錠剤化する場合、一定以上の圧力で打錠する必要があり、圧力が高圧になると打錠機本体や金型に大きな負担が掛かるという課題があった。
【0007】
特許文献2には、糖アルコール粉末を遠心転動造粒コーティング装置に仕込み、糖アルコール溶液を噴霧し、その後、流動層造粒コーティング装置で乾燥することにより得られる、直接圧縮加工用糖アルコール粒子造粒物が記載されている。しかしながら、上記したとおり、造粒後に打錠する顆粒圧縮法は、製造工程が複雑になると共に、製造コストが増大するという課題があった。
【0008】
特許文献3には、空気流動床造粒機内でソルビトールを濃縮し、そのソルビトール融解物にソルビトール溶液を噴霧することにより得られる、比表面積が2.5~3.5m2/gの粒状化ソルビトールが記載されているが、低圧で打錠した場合でも十分な硬度を有する錠剤が製造可能であるとは言い難く、製造工程も煩雑であった。
【0009】
そのため造粒工程や煩雑な製造工程を必要とせず、直接打錠による成形が可能であり、低圧で打錠した場合でも十分な硬度を有する錠剤が製造可能なソルビトールが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭59-118058号公報
【特許文献2】特開2001-10979号公報
【特許文献3】特表2009-544674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、低い打錠圧による直接打錠で十分な硬度を有する錠剤を提供し得るソルビトールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の結果、BET(ブルナウアー・エメット・テラー)式一点法による比表面積が5.0m2/g以上であり、水銀圧入法による細孔容積が0.45ml/g以上である多孔質ソルビトールが上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち本発明は、BET式一点法による比表面積が5.0m2/g以上であり、水銀圧入法による細孔容積が0.45ml/g以上であることを特徴とする多孔質ソルビトールを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の多孔質ソルビトールの比表面積は、5.0m2/g以上であり、好ましくは6.0~50.0m2/gであり、より好ましくは7.0~30.0m2/gである。
【0016】
尚、本発明でいう比表面積は、例えばMONOSORB(ユアサアイオニクス株式会社製)またはこれと同等の比表面積測定装置において、BET式一点法で測定される値を意味する。例えば、比表面積は以下の測定条件で測定し得る。
[測定条件]
方法:BET式一点法
キャリアガス:N2:30%+He:70%
測定ガス流量:15cc/分
脱気条件:60℃、20分間
【0017】
本発明の多孔質ソルビトールの細孔容積は0.45ml/g以上であり、好ましくは0.50~3.00ml/gであり、より好ましくは0.55~2.50ml/gである。
【0018】
尚、本発明でいう細孔容積は、例えばPascal 240(Thermo Fisher Scientific社製)またはこれと同等の細孔容積測定装置において、水銀圧入法で測定される値を意味する。
【0019】
本発明の多孔質ソルビトールの平均粒子径は、1~600μmが好ましく、20~550μmがより好ましく、30~500μmがさらに好ましい。
【0020】
本発明の多孔質ソルビトールの均一性は、5.00以下が好ましく、4.80以下がより好ましく、0.40~4.60がさらに好ましい。
【0021】
多孔質ソルビトールの平均粒子径および均一性は、それぞれレーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー(登録商標)3000、マルバーン社製)で測定した値である。尚、本発明における平均粒子径は、特に断りがない場合、レーザー回折法により測定した粒度分布における累積50%粒子径(D50)を指すものとする。
【0022】
本発明の多孔質ソルビトールの安息角は、25~50°が好ましく、26~48°がより好ましく、27~47°がさらに好ましい。安息角が25°未満の場合、飛散性が高くなる傾向があり、50°を超える場合、多孔質ソルビトールの流動性が低くなりハンドリング性が悪くなる傾向がある。
【0023】
本発明の多孔質ソルビトールの圧縮度は、10~45%が好ましく、13~43%がより好ましく、15~40%がさらに好ましい。圧縮度が10%未満の場合、飛散性が高くなる傾向があり、45%を超える場合、多孔質ソルビトールの流動性が低くなりハンドリング性が悪くなる傾向がある。圧縮度は、下記計算式により、算出された数値である。
圧縮度(%)=[固めかさ密度(g/cm3)-ゆるめかさ密度(g/cm3)]/固めかさ密度(g/cm3)×100
【0024】
本発明の多孔質ソルビトールのゆるめかさ密度および固めかさ密度は、好ましくは、ゆるめかさ密度が0.10~0.45g/ml、固めかさ密度が0.15~0.55g/mlであり、より好ましくは、ゆるめかさ密度が0.12~0.40g/ml、固めかさ密度が0.20~0.50g/mlである。
【0025】
上記、安息角、ゆるめかさ密度および固めかさ密度は、パウダテスタ(PT-X、ホソカワミクロン株式会社製)により測定した数値である。
【0026】
このような物性を示す多孔質ソルビトールは、例えば、溶融したソルビトールとエタノールを混練し、次いで減圧乾燥することにより製造することができる。一つの好ましい態様において、本発明の多孔質ソルビトールの製造方法は、以下の工程:
a)溶融ソルビトールとエタノールを混練装置内に供給する工程、
b)混練装置内の溶融ソルビトールとエタノールとを50~78℃に保持しながら混練する工程、および
c) b)で得られた混練物を25~90℃、100~30000Paで減圧乾燥することによりエタノールを除去する工程
を含む方法である。
【0027】
さらに、上記の製造方法をより具体的に説明する。まず、工程a)において、10~70重量部の溶融ソルビトールと30~90重量部のエタノールを混練装置内に供給する。混練装置内への供給量は、好ましくは15~68重量部の溶融ソルビトールと32~85重量部のエタノールであり、より好ましくは20~65重量部の溶融ソルビトールと35~80重量部のエタノールである。エタノールの供給量が90重量部を超える場合、ソルビトールとエタノールの混練物の物性が悪化し、製造効率が低下してしまう傾向がある。エタノールの供給量が30重量部未満である場合、製造される多孔質ソルビトールの比表面積が低下してしまう傾向がある。
【0028】
工程a)において使用するエタノールに含まれる水分量は、例えば10重量%以下である。エタノールに含まれる水分量は、好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好ましくは0重量%(エタノールのみ)である。エタノールに含まれる水分量が少ない程、製造される多孔質ソルビトールの比表面積が向上する傾向がある。エタノールに含まれる水分量が20重量%以上になると、水に溶解するソルビトールの量が増加して、製造される多孔質ソルビトールの比表面積が低下するなど、後述する工程b)およびc)において多孔質化し難い傾向がある。
【0029】
次いで、工程b)において、混練装置内の溶融ソルビトールとエタノールとを50~78℃に保持しながら混練する。混練装置内の温度を50~78℃に保持することにより、混練装置内の溶融ソルビトールが急速に固化することなく、かつエタノールの揮発を抑制しながら溶融ソルビトールとエタノールとを混練できる。混練装置内の温度は、好ましくは55~78℃であり、より好ましくは60~75℃である。混練装置内の温度が50℃未満の場合、多孔質化し難い傾向があり、温度が78℃を超える場合、エタノールが揮発し易い傾向がある。
【0030】
工程c)において、工程b)で得られた混練物を25~90℃、100~30000Paで減圧乾燥することによりエタノールを除去し、多孔質ソルビトールを得る。減圧乾燥は、例えばエバポレーターなどの減圧乾燥機を用いて行う。工程c)において常圧乾燥を行うと、多孔質ソルビトールの比表面積が低下する傾向がある。また、90℃を超える温度で乾燥すると、ソルビトールが溶融して製造されるソルビトールの比表面積および細孔容積が低下する傾向がある。尚、工程c)において得られる多孔質ソルビトールは、ブレンダー等により粉砕または整粒してもよい。
【0031】
上述した多孔質ソルビトールの製造に用いる混練装置としては、竪型ニーダー、横型バッチニーダー、KRCニーダー等の混練機が採用される。
【0032】
横型バッチニーダーは、上述した多孔質ソルビトールの製造工程b)において、溶融ソルビトールとエタノールを混練した際に、溶融混練物を短時間で結晶化でき、工程c)を経て得られた多孔質ソルビトールが高い比表面積および細孔容積を示すため、製造効率および品質の点から好ましい。
【0033】
KRCニーダーは、上述した多孔質ソルビトールの製造工程b)において、溶融ソルビトールとエタノールを混練した際に、溶融混練物を非常に短時間で結晶化できるため、生産性および経済性の点から好ましい。
【0034】
本発明の多孔質ソルビトールは、飲食品、化粧品、医薬部外品および医薬品などの様々な分野で利用することができ、比表面積および細孔容積が大きいため、造粒等の前処理を行わずとも、低い打錠圧での直接打錠により十分な硬度を有する錠剤を提供し得る。
【0035】
本発明の多孔質ソルビトールは、医薬錠剤、サプリメント錠、錠菓などの錠剤を製造するための賦形剤やテクスチャー剤としても使用でき、滑沢剤、医薬活性成分のような機能性成分や食品材料のような栄養成分などの他の錠剤成分と共に混合して、直接打錠により打錠しても結合力が強く、錠剤硬度の高い錠剤となる。尚、本発明の多孔質ソルビトールを使用して錠剤を製造する場合、特別な装置や設備は必要なく、従来から一般的に使用されている単発式または連続式の打錠機が使用可能であり、本発明の多孔質ソルビトールを用いることにより、低い打錠圧、例えば、0.20~0.40kNでの錠剤化が可能である。
【0036】
本発明の多孔質ソルビトールを用いて製造される錠剤は、錠剤の大きさや錠剤の重量、打錠圧によって異なるが、例えば打錠圧0.25kNにおける錠剤硬度が80N以上、好ましくは82~180Nであり、より好ましくは85~170Nであり、打錠圧0.33kNにおける錠剤硬度が100N以上、好ましくは105~220Nであり、より好ましくは110~210Nである。
【0037】
尚、本発明でいう錠剤硬度は、例えば木屋式デジタル硬度計(KHT-20N、株式会社藤原製作所製)またはこれと同等の硬度測定装置において測定される値を意味する。
【0038】
錠剤の製造に使用する本発明の多孔質ソルビトールの量は特に限定されず、目的に応じて適宜調整すればよい。錠剤成分における多孔質ソルビトールの含有量は、例えば20~99重量%であり、好ましくは50~99重量%である。
【0039】
本発明の多孔質ソルビトールを用いて錠剤を製造する際に滑沢剤を配合してもよい。採用可能な滑沢剤は特に限定されず、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムおよびグリセリン脂肪酸エステル等の食品添加物に指定されている一般的なものが挙げられる。その中でもショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムが滑沢性に優れる点で好ましい。滑沢剤の量は特に限定されず、錠剤の目的に応じて適宜調整すればよいが、錠剤硬度の点で10重量%以下が好ましく、0.1~5重量%がより好ましい。
【0040】
本発明の多孔質ソルビトールを用いて製造される錠剤は、錠菓およびサプリメント錠などの食品であってもよく、ミント、フルーツ等のフレーバーを有したもの、口臭予防、虫歯予防の機能を有したもののような錠菓およびサプリメント錠が例示される。錠菓は舐めて味わうものでも、噛んで食べるものであってもよい。
【0041】
本発明の多孔質ソルビトールを用いて製造される錠剤には、他の食品材料を配合してもよい。食品材料は特に限定されず、例えば、従来より錠菓の材料として提供されているものを制限無く使用することができる。食品材料としては、例えば、乾燥餡、粉末茶、粉末果汁および乾燥果実等が挙げられる。
【0042】
本発明の多孔質ソルビトールを用いて製造される錠剤は、医薬錠剤であってもよい。医薬錠剤に用いられる医薬活性成分としては特に制限はなく、例えば、従来より医薬錠剤に提供されている成分のいずれを用いてもよい。本発明において提供される医薬錠剤において、医薬活性成分は単独で含まれていても2種以上の成分の組合せが含まれていてもよい。
【0043】
本発明の多孔質ソルビトールを用いて製造される医薬錠剤に含まれる医薬活性成分の量は、該成分の種類、治療対象疾患、治療対象者の年齢や体重、治療期間および目的とする治療効果等に基づき適宜定めればよい。
【0044】
本発明の多孔質ソルビトールを用いて製造される錠剤には、さらに1種以上の添加物を配合してもよい。打錠に際して配合される添加物としては特に限定されず、従来より錠剤に用いられてきたものを配合することができる。添加物の例としては結晶セルロース、結晶セルロース誘導体、化工デンプン等の崩壊剤、α化デンプン、プルラン等の結合剤、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の糖アルコール以外の賦形剤、香料、着色料、酸味料などが例示される。添加物の配合量は、目的とする錠剤の性状に応じて適宜定められる。
【0045】
本発明の多孔質ソルビトールを用いて製造される錠剤における多孔質ソルビトールおよび滑沢剤以外の成分の配合量は、例えば79.9重量%以下であり、好ましくは0.1~50重量%である。
【0046】
また、本発明の多孔質ソルビトールは、多数の細孔を有するという物理的特性を生かして、有用物質を安定化したり、香料や油状物質の粉末化基材としても好適に用いることもできる。
【0047】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例0048】
実施例1~11および比較例1~9
下記に示す材料を表1に示す割合および条件で溶融混練し、結晶化した混練物を表1に示す条件でローターリーエバポレーターにより減圧乾燥して多孔質ソルビトールを得た。得られた多孔質ソルビトールは、下記に示すブレンダーで15,700rpm、30秒間粉砕した。製造した多孔質ソルビトール、下記に示すソルビトール1およびソルビトール2について、比表面積、細孔容積、粒度分布、均一性、安息角、ゆるめかさ密度、固めかさ密度および錠剤硬度を測定した。尚、上記製造において、溶融混練の際に混練物が結晶化しなかったものは、下記測定を実施することなく評価を終了した(比較例4~9)。
<材料>
・ソルビトール1:粉末ソルビトール「ウエノ」20M(株式会社ウエノフードテクノ製、ソルビトール純度92%)
・ソルビトール2:パーテック(登録商標)SI 150(メルク社製、ソルビトール純度98.4%)
・マルチトール:粉末マルチトール「ウエノ」60M(株式会社ウエノフードテクノ製)
・キシリトール:1級キシリトール(試薬、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・エタノール1:1級エタノール(試薬、富士フイルム和光純薬株式会社製、エタノール99.5重量%)
・エタノール2:発酵エタノール(95度、第一アルコール株式会社製、エタノール92.3重量%)
・イオン交換水
<混練装置>
・横型:横型ニーダー(準KC-6型、サタケ株式会社製)
・竪型:竪型ニーダー(5NDM-Qr型、株式会社品川工業所製)
・KRC:KRCニーダー(S2型、株式会社栗本鐵工所製)
<ブレンダー>
・ブレンダー(16Speed Blender、Oster製)
【0049】
比表面積の測定
上記実施例および比較例で得られたソルビトール粉末を測定セル内部の体積の1/2程度(0.1~1.0g)入れ、BET型比表面積計(MONOSORB、ユアサアイオニクス株式会社製)により以下の条件で測定した。結果を表2に示す。
[測定条件]
方法:BET式一点法
キャリアガス:N2:30%+He:70%
測定ガス流量:15cc/分
脱気条件:60℃、20分間
【0050】
細孔容積の測定
細孔容積は、水銀ポロシメーター(Pascal 240、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0051】
粒度分布および均一性の測定
平均粒子径および均一性は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー(登録商標)3000、マルバーン社製)で測定した。結果を表2に示す。
【0052】
安息角、ゆるめかさ密度および固めかさ密度の測定
パウダテスタ(PT-X、ホソカワミクロン株式会社製)により測定した。安息角は、目開き710μmの篩を用い、振動時間180秒間の条件で測定した。ゆるめかさ密度は、目開き710μmの篩を用い、静置した100mL容円筒形容器に、直上からサンプルを振幅1.5mm、動作時間30秒間の条件で供給し、過剰サンプルは摺り切り、内容量を精秤することにより求めた。固めかさ密度は、ストローク幅18mmで180回タッピングした後の比重である。結果を表2に示す。
【0053】
錠剤硬度の測定
上記実施例および比較例で得られたソルビトール粉末を、8mmの直径および12mmの曲率半径を有する円形凹面型パンチ杵を備えた卓上型ロータリー式打錠機(PICCOLA B-10、株式会社エステック製)に滑沢剤としてステアリン酸カルシウム(キシダ化学株式会社)を1%の割合で混合したサンプルを投入し、打錠圧0.25kNおよび0.33kN、打錠速度10rpmの条件で直径8mm、高さ3mm、0.15g/個の錠剤を製造した。硬度測定は木屋式デジタル硬度計(KHT-20N、株式会社藤原製作所製)を用い、錠剤10個の硬度を測定し、その平均値を硬度とした。結果を表2に示す。
【0054】
本発明の実施例1~11の多孔質ソルビトールは、比較例1~3の粉末ソルビトールに比べ比表面積および細孔容積が高く、低圧で打錠した場合の錠剤硬度が高いことが確認された。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】