(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182459
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】補正装置、蓄電装置、補正方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/3828 20190101AFI20221201BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221201BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G01R31/3828
H01M10/48 P
H02J7/00 P
H02J7/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090028
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今中 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】高井 誠治
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216AA03
2G216AB01
2G216BA02
2G216BA03
2G216BA15
2G216BA16
2G216BA41
2G216BA64
2G216BA65
2G216BB01
2G216CB34
2G216CB55
2G216CC04
2G216CC05
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA08
5G503EA05
5G503FA06
5H030AA01
5H030AS06
5H030AS08
5H030FF42
(57)【要約】
【課題】蓄電セル又は組電池の電流の計測値を補正する。
【解決手段】蓄電セル又は組電池の電流の計測値を補正する補正装置は、前記電流の計測値の積算値に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第1SOCと、前記蓄電セル又は前記組電池の電圧に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第2SOCと、の差であるSOC差に基づいて前記電流の計測値の補正値を算出し、算出した前記補正値に基づいて前記電流の計測値を補正する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電セル又は組電池の電流の計測値を補正する補正装置であって、
前記電流の計測値の積算値に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第1SOCと、前記蓄電セル又は前記組電池の電圧に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第2SOCと、の差であるSOC差に基づいて前記電流の計測値の補正値を算出し、算出した前記補正値に基づいて前記電流の計測値を補正する、補正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の補正装置であって、
前記第2SOCを推定する処理は、前記蓄電セル又は前記組電池を満充電まで充電して、SOCを推定する処理である、補正装置。
【請求項3】
蓄電装置であって、
請求項1又は請求項2に記載の補正装置と、
前記蓄電セル又は前記組電池と、
前記蓄電セル又は前記組電池の電流を計測する電流計測部と、
前記蓄電セル又は前記組電池の補正後の前記電流の計測値の積算値に基づいて、前記蓄電セル又は前記組電池の第1SOCを推定するSOC推定部と、を備える蓄電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の蓄電装置であって、
前記補正装置は、前記SOC差が閾値を超えている場合に、前記電流の計測値を補正する、蓄電装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の蓄電装置であって、
前記補正装置は、前記SOC差の単位時間あたりの変化量が閾値を超えている場合に、前記電流の計測値を補正する、蓄電装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の蓄電装置であって、
前記補正装置は、前記SOC差の単位時間あたりの変化量に基づいて算出した前記補正値を用いて前記電流の計測値を補正する、蓄電装置。
【請求項7】
請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の、車両用の蓄電装置。
【請求項8】
蓄電セル又は組電池の電流の計測値を補正する補正装置であって、
前記電流の計測値の積算値に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第1残存電気量と、前記蓄電セル又は前記組電池の電圧に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第2残存電気量と、の差である残存電気量差に基づいて前記電流の計測値の補正値を算出し、算出した前記補正値に基づいて前記電流の計測値を補正する、補正装置。
【請求項9】
蓄電セル又は組電池の電流の計測値を補正する補正方法であって、
前記電流の計測値の積算値に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第1SOCと、前記蓄電セル又は前記組電池の電圧に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第2SOCと、の差であるSOC差に基づいて、前記電流の計測値の補正値を算出し、算出した前記補正値に基づいて前記電流の計測値を補正する、補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流の計測値を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電セル又は組電池の電流や電圧を計測して、これらの計測結果から蓄電セル又は組電池のSOC(State of Charge:充電状態)を推定する技術が知られている。SOCの推定精度を高めるため、2つ以上の異なる推定手段を組み合わせてSOCの推定精度を高める技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電セル又は組電池の電流の計測値は、電流センサに起因する計測誤差を含む。電流の計測値の積算値に基づいて推定した蓄電セル又は組電池のSOC推定値には、蓄電セル又は組電池の通電にともなって電流の計測誤差が累積される。
【0005】
本発明は、補正値を算出して電流の計測値を補正する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
蓄電セル又は組電池の電流の計測値を補正する補正装置は、前記電流の計測値の積算値に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第1SOCと、前記蓄電セル又は前記組電池の電圧に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第2SOCと、の差であるSOC差に基づいて前記電流の計測値の補正値を算出し、算出した前記補正値に基づいて前記電流の計測値を補正する。
【0007】
この発明は、蓄電装置、及び車両用の蓄電装置に適用することができ、電流の計測値を補正する補正方法、及び電流の計測値を補正するプログラムにも適用することができる。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によると、電流の計測誤差とSOC推定値の関係に着目し、補正値を求めて電流の計測値を補正することにより、蓄電セル又は組電池の電流の計測精度を高めることができる。電流計測精度の向上により、電流積算に基づくSOC推定の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図7】LFP/Gr系電池のSOC-OCV相関特性
【
図8】SOC推定のフローチャートを示す図(実施形態1)
【
図9】SOC推定のフローチャートを示す図(実施形態2)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<補正装置、蓄電装置の概要>
蓄電セル又は組電池の電流の計測値を補正する補正装置は、前記電流の計測値の積算値に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第1SOCと、前記蓄電セル又は前記組電池の電圧に基づいて推定した前記蓄電セル又は前記組電池の第2SOCと、の差であるSOC差に基づいて前記電流の計測値の補正値を算出し、算出した前記補正値に基づいて前記電流の計測値を補正する。
【0011】
第2SOCは、蓄電セル又は組電池の電圧に基づいて推定されるため、電流の計測値に含まれる計測誤差が累積されない。したがって、第1SOCと第2SOCの差であるSOC差は、第1SOCに含まれる計測誤差の累積分であると考えられる。そのため、このSOC差に基づき、電流の計測値に含まれる計測誤差を算出することができる。算出した計測誤差を補正値として、電流の計測値を補正することにより、電流の計測値を真値に近付けて、電流計測精度を高めることができる。
【0012】
電流の計測誤差には、ゲイン誤差とオフセット誤差が含まれる。ゲイン誤差によるSOC推定値の誤差は充放電により相殺されるため、SOC推定精度向上のためにはオフセット誤差の影響を小さくすることが求められる。オフセット誤差は、蓄電セル又は組電池を無電流にしなければ、検出することが難しいと一般的に考えられている。上記構成では、蓄電セル又は組電池を無電流にすることなく、SOC差を利用して計測誤差(オフセット誤差)を算出し、計測誤差を補正値として電流の計測値を補正することができる。
【0013】
第2SOCを推定する処理は、前記蓄電セル又は前記組電池を満充電まで充電して、SOCを100%又はそれに近い値に推定する処理(満充電検出法)でもよい。満充電検出法は、蓄電セル又は組電池が所定の電圧値に到達したときに、蓄電セル又は組電池のSOCを所定値に設定する処理である。計測誤差の累積がない満充電検出法で求めた第2SOCを、第1SOCの比較対象とすることで、計測誤差の累積分を精度よく求めることができ、電流の計測値を適正に補正できる。
【0014】
蓄電装置は、前記補正装置と、前記蓄電セル又は前記組電池と、前記蓄電セル又は前記組電池の電流を計測する電流計測部と、前記蓄電セル又は前記組電池の補正後の前記電流の計測値の積算値に基づいて、前記蓄電セル又は前記組電池の第1SOCを推定するSOC推定部と、を備える。
【0015】
この構成では、補正後の電流の計測値を積算してSOCを推定するため、計測誤差の累積が少なく、第1SOCの推定精度を高めることができる。第1SOCの推定精度の向上により、蓄電セル又は組電池の使用可能範囲(下限と上限との間のSOC範囲)を広く設定できる。第1SOCの推定精度が低い場合は、推定誤差を考慮する必要があるため使用可能範囲が狭くなるが、推定精度が高い場合は、蓄電セル又は組電池の性能を最大限に活用できる。
【0016】
前記補正装置は、前記SOC差が閾値を超えている場合に、前記電流の計測値を補正してもよい。この構成では、SOC差が大きくなると補正を行うため、SOC差の拡大を抑制して、第1SOCの推定精度の低下を抑制できる。SOC差を閾値以下に抑えることで、蓄電セル又は組電池が使用可能範囲を超えて使用されることを抑制することができる。例えば、蓄電セル又は組電池が移動体用である場合、回生充電の受け入れ性を確保することができる。
【0017】
前記補正装置は、前記SOC差の単位時間あたりの変化量が閾値を超えている場合に、前記電流の計測値を補正してもよい。
【0018】
SOC差の単位時間あたりの変化量が大きい場合、第1SOCの推定精度が短時間で低下し、第2SOCとの差が増大する。SOC差が閾値を超えるよりも先に、SOC差の単位時間あたりの変化量が閾値を超えると補正を行うため、早期に電流の計測値を補正できる。これにより、第1SOCの推定精度の低下を抑制することができる。
【0019】
前記補正装置は、前記SOC差の単位時間あたりの変化量に基づいて算出した前記補正値を用いて前記電流の計測値を補正してもよい。例えば、SOC差の単位時間あたりの変化量を相殺するように補正値を算出し、電流の計測値を補正して、第1SOCの推定精度の低下を抑制することができる。
【0020】
<実施形態1>
1.バッテリの説明
図1は自動車10の側面図、
図2はバッテリ50の分解斜視図である。自動車10は、エンジン駆動車であり、バッテリ50を備えている。自動車10は、エンジン(内燃機関)に代えて、車両駆動装置としての蓄電装置や燃料電池を備えていてもよい。
図1では、自動車10とバッテリ50のみ示し、自動車10を構成する他の部品は図示を省略している。自動車10は「車両」の一例、バッテリ50は「蓄電装置」の一例である。
【0021】
図2に示すように、バッテリ50は、組電池60と、回路基板ユニット65と、収容体71を備える。
【0022】
収容体71は、合成樹脂材料からなる本体73と蓋体74とを備えている。本体73は有底筒状である。本体73は、底面部75と、4つの側面部76とを備えている。4つの側面部76によって上端部分に上方開口部77が形成されている。
【0023】
収容体71は、組電池60と回路基板ユニット65を収容する。
図2に示す形態では、組電池60は12個の二次電池セル62を有する。二次電池セル62は、「蓄電セル」の一例である。
【0024】
12個の二次電池セル62は、3並列で4直列に接続されている。回路基板ユニット65は、組電池60の上部に配置されている。後述する
図6のブロック図では、並列に接続された3つの二次電池セル62が1つの電池記号で表される。
【0025】
図2に示す蓋体74は、本体73の上方開口部77を閉鎖する。蓋体74の周囲には外周壁78が設けられている。蓋体74は、平面視略T字形の突出部79を有する。蓋体74の前部(
図2における左手前側)のうち、一方の隅部に正極の外部端子52が固定され、他方の隅部に負極の外部端子51が固定されている。
【0026】
図3及び
図4に示すように、二次電池セル62は、直方体形状のケース82内に電極体83を非水電解質と共に収容したものである。本実施形態における二次電池セル62は、リチウムイオン二次電池である。ケース82は、ケース本体84と、その上方の開口部を閉鎖する蓋85とを有している。
【0027】
二次電池セル62は、
図3及び
図4に示したプリズマティックセルに限定されず、円筒型セルであってもよいし、ラミネートフィルムケースを有するパウチセルであってもよい。
【0028】
電極体83は、例えば銅箔からなる基材に活物質を塗布した負極要素と、アルミニウム箔からなる基材に活物質を塗布した正極要素との間に、多孔性の樹脂フィルムからなるセパレータを配置したものである。これらはいずれも帯状で、セパレータに対して負極要素と正極要素とを幅方向の反対側にそれぞれ位置をずらした状態で、ケース本体84に収容可能となるように扁平状に巻回されている。
【0029】
電極体83は、巻回タイプのものに代えて、積層タイプのものであってもよい。
【0030】
正極要素には正極集電体86を介して正極端子87が、負極要素には負極集電体88を介して負極端子89がそれぞれ接続されている(
図4参照)。正極集電体86及び負極集電体88は、平板状の台座部90と、この台座部90から延びる脚部91とからなる。台座部90には貫通孔が形成されている。脚部91は正極要素又は負極要素に接続されている。
【0031】
正極端子87及び負極端子89は、端子本体部92と、その下面中心部分から下方に突出する軸部93とからなる。そのうち、正極端子87の端子本体部92と軸部93とは、アルミニウム(単一材料)によって一体成形されている。負極端子89においては、端子本体部92がアルミニウム製で、軸部93が銅製であり、これらを組み付けたものである。正極端子87及び負極端子89の端子本体部92は、蓋85の両端部に絶縁材料からなるガスケット94を介して配置され、このガスケット94から外方へ露出されている。
【0032】
蓋85は、圧力開放弁95を有している。圧力開放弁95は、
図3に示すように、正極端子87と負極端子89の間に位置している。圧力開放弁95は、ケース82の内圧が制限値を超えた時に、開放して、ケース82の内圧を下げる。
【0033】
図5は自動車10の電気的構成を示すブロック図、
図6はバッテリ50の電気的構成を示すブロック図である。
【0034】
自動車10は、
図5に示すように、駆動装置であるエンジン20、エンジン制御部21、エンジン始動装置23、車両発電機であるオルタネータ25、電気負荷27、車両ECU(電子制御装置:Electronic Control Unit)30、バッテリ50を備えている。
【0035】
バッテリ50は、電力線37に接続されている。バッテリ50には、電力線37を介して、エンジン始動装置23、オルタネータ25、電気負荷27が接続されている。
【0036】
エンジン始動装置23は、スターターモータを含む。イグニッションスイッチ24をオンにすると、バッテリ50からクランキング電流が流れ、エンジン始動装置23が駆動する。エンジン始動装置23の駆動により、クランクシャフトが回転し、エンジン20を始動することがきる。
【0037】
電気負荷27は、エンジン始動装置23以外の、自動車10に搭載された電気負荷である。電気負荷27は、定格12Vであり、エアコン、オーディオシステム、カーナビゲーション、補機類などである。
【0038】
オルタネータ25は、エンジン20の動力により発電する車両発電機である。オルタネータ25の発電量が自動車10の電気負荷による電力消費量を上回っている場合、オルタネータ25によりバッテリ50は充電される。オルタネータ25の発電量が自動車10の電気負荷による電力消費量よりも小さい場合、バッテリ50は放電し、発電量の不足を補う。
【0039】
車両ECU30は、通信線L1を介してバッテリ50と通信可能に接続されており、通信線L2を介してオルタネータ25と通信可能に接続されている。車両ECU30は、バッテリ50からSOCの情報を受け、オルタネータ25の発電量を制御することで、バッテリ50のSOCをコントロールする。
【0040】
車両ECU30は、通信線L3を介してエンジン制御部21と通信可能に接続されている。エンジン制御部21は、自動車10に搭載されており、エンジン20の動作状態を監視する。エンジン制御部21は、速度計測器などの計器類の計測値から、自動車10の走行状態を監視する。車両ECU30は、エンジン制御部21から、イグニッションスイッチ24の入り切りの情報、エンジン20の動作状態の情報及び自動車10の走行状態(走行中、走行停止、アイドリングストップなど)の情報を得る。
【0041】
バッテリ50は、
図6に示すように、電流遮断装置53と、組電池60と、電流計測部54と、管理装置100と、を備える。バッテリ50は、定格12Vのバッテリである。
【0042】
電流遮断装置53、組電池60及び電流計測部54は、パワーライン55P、55Nを介して、直列に接続されている。パワーライン55Pは、正極の外部端子52と組電池60の正極とを接続する。パワーライン55Nは、負極の外部端子51と組電池60の負極とを接続する。
【0043】
電流遮断装置53は正極のパワーライン55Pに設けられている。電流計測部54は、負極のパワーライン55Nに設けられている。
【0044】
電流遮断装置53として、リレーなどの有接点スイッチ(機械式)や、FETなどの半導体スイッチを用いることができる。電流遮断装置53は常時はCLOSEに制御される。バッテリ50に異常がある場合、電流遮断装置53をOPENして電流を遮断することで、バッテリ50を保護する。
【0045】
電流計測部54は、組電池60の電流I[A]を計測して、電流の計測値Imを制御部120に出力する。
【0046】
管理装置100は、回路基板ユニット65(
図2参照)に設けられている。管理装置100は、電圧計測部110と制御部120とを備える。制御部120は、「補正装置」及び「SOC推定部」の一例である。
【0047】
電圧計測部110は、信号線によって各二次電池セル62の両端にそれぞれ接続され、各二次電池セル62のセル電圧Vを計測する。電圧計測部110は、各二次電池セル62の電圧Vと、それら全ての電圧Vを合計して得られる組電池60の端子間電圧VBを、制御部120に出力する。
【0048】
制御部120は、演算機能を有するCPU121と、記憶部であるメモリ123と、を含む。
【0049】
制御部120は、各計測部54、110より計測される電流I(電流の計測値Im)、各二次電池セル62の電圧V、及び組電池60の電圧VBの情報をモニタして、バッテリ50の状態を監視する。
【0050】
メモリ123は、フラッシュメモリやEEPROM等の不揮発性の記憶媒体である。メモリ123には、組電池60の状態を監視するプログラム、電流の計測値Imの補正やSOCを推定する際の判断フローの実行プログラム、及び各プログラムの実行に必要なデータが記憶されている。
【0051】
2.二次電池セル(組電池)の特性及びSOCの推定方法
本実施形態における二次電池セル62は、正極活物質にリン酸鉄リチウム(LiFePO
4)、負極活物質にグラファイトを用いたLFP/Gr系(リン酸鉄系)のリチウムイオン二次電池セルである。
図2に示した12個の二次電池セル62を、3並列で4直列に接続することに代えて、4個の二次電池セル62を直列に接続して1つの組電池60を構成してもよい。
【0052】
組電池60を構成する各二次電池セル62には同じ大きさの電流Iが流れ、組電池60の電圧VBは4直列された各二次電池セル62の電圧Vを合計した値である。以下に説明するSOCの推定では、組電池60のSOCを推定している。
【0053】
SOC推定は、4直列された二次電池セル62を含む組電池60以外の、他の構成の組電池について行ってもよい。図示しないが、バッテリ50が単一の二次電池セル62を有する場合、その二次電池セル62のSOCを制御部120は推定してもよい。
【0054】
SOCは、組電池60の満充電容量Coに対する残存容量Crの比率[%]であり、以下の(1)式により表される。満充電容量Coは、完全充電された組電池60から放電可能な電気量である。
SOC=(Cr/Co)×100・・・(1)
【0055】
組電池60(又は二次電池セル62)のSOCを推定する方法として、組電池60(二次電池セル62)の電流に基づく推定方法と、組電池60(二次電池セル62)の電圧に基づく推定方法がある。
【0056】
電流に基づくSOCの推定方法として、電流積算法がある。本実施形態では、電流積算法を用いて第1SOCを推定する。
【0057】
電流積算法は、(2)式に示すように、電流Iの時間積分値に基づいて、SOCを推定する。電流Iの符号を、充電時はプラス、放電時はマイナスとする。
SOC=SOCo+100×(∫Idt/Co)・・・(2)
SOCoは、SOCの初期値、Iは電流、tは積算時間である。
【0058】
正極にリン酸鉄リチウム、負極にグラファイトを使用したLFP/Gr系のリチウムイオン二次電池セルは、
図7に示すように、SOC-OCVの相関特性において、OCV(Open Circuit Voltage:開放電圧)の変化が小さいプラトー領域を有している。プラトー領域内では、SOCとOCVの相関性を用いたSOCの推定は困難であり、電流積算法によるSOC推定が一般的に用いられる。
【0059】
LFP/Gr系のリチウムイオン二次電池セル又はそれを用いた組電池は、使用可能範囲の大半をプラトー領域が占めるため、電流積算法によるSOC推定精度を維持することが重要である。
【0060】
組電池60の端子間電圧VBに基づくSOCの推定方法として、満充電検出法がある。本実施形態では、満充電検出法により、第2SOCを推定する。満充電検出法は、組電池60が満充電に相当する電圧まで充電されたことを制御部120が検出すると、そのときのSOCを、100%又はそれに近い所定の設定値と推定する方法である。
【0061】
組電池60が満充電まで充電されたか否かの判断は、定電圧充電の場合、組電池60の電圧VBが所定の目標電圧に到達した以降の充電時間や垂下する電流値を、閾値(満充電完了条件)と比較することより行う。
【0062】
上述した電流積算法及び満充電検出法を実行するプログラムは、制御部120のメモリ123内に記憶されており、後述するフローチャートにおいてSOCの推定処理を実行する際には、これらのプログラムが適宜メモリ123からCPU121に読み込まれる。
【0063】
3.電流の計測値に含まれる誤差とその補正
下記(3)式に示すように、電流計測部54の出力する電流の計測値Imには計測誤差εが含まれている。計測誤差εは、後述するように電流の計測値Imの補正に用いられる「補正値」の一例である。
Im=Ic+ε・・・(3)
Imは補正前の電流の計測値、Icは補正後の電流、εは計測誤差である。
【0064】
電流積算法を用いたSOCの推定では、通電にともなう計測誤差εの累積により、SOC推定値の誤差(後述するSOC推定誤差Se)が増大する。電流の計測値Imの計測誤差εとしては、主に、ゲイン誤差とオフセット誤差が知られている。ゲイン誤差によるSOC推定値の誤差は充放電により相殺されるため、オフセット誤差が支配的と考えられる。
【0065】
本実施形態では、制御部120は、組電池60のSOCを、電流積算法と満充電検出法の2つの方法で推定する。電流積算法により求めた第1SOCと、満充電検出法により求めた第2SOCとから、それら2つのSOCの差であるSOC差Sxを求める。
【0066】
満充電検出法により求めた第2SOCは、計測誤差εの累積がないため、電流積算法により求めた第1SOCと比べて誤差が小さい。SOC差Sxは、第1SOCに含まれる計測誤差εの累積分であると考えられる。そのため、SOC差Sxに基づき、電流の計測値Imに含まれる計測誤差εを算出することができる。積算時間tが一定の場合、SOC差Sxが大きいほど計測誤差εは大きく、第1SOCの推定精度が低い。SOC差Sxが小さいほど計測誤差εは小さく、第1SOCの推定精度が高い。
【0067】
(3)式を変形した下記(4)式により、計測誤差εを補正値として、電流の計測値Imの補正を行う。補正後の電流Icを用いて電流積算法を実行することにより、計測誤差εが第1SOCに及ぼす影響を抑制して、精度の高い第1SOCを算出できる。
Ic=Im-ε・・・(4)
【0068】
4.SOC推定処理の説明
図8は、SOC推定処理のフローチャートである。SOC推定処理は、S10~S19のステップから構成されており、制御部120の起動後、所定の演算周期Tで実行される。メモリ123には、SOCの初期値SOCoと、計測誤差εの経験値ε0が記憶されている。
【0069】
制御部120は、SOC推定処理が始まると、組電池60の電圧VBに基づいて、組電池60が満充電であるか否かを判断する(S10)。SOCが上述した満充電完了条件を満たしていなければ、組電池60が満充電ではないと判断する。
【0070】
満充電でないと判断した場合、(S10:NO)、制御部120は電流積算法を実行して組電池60の第1SOCを推定する。具体的には、制御部120は、(2)式に示すように、電流計測部54により計測した電流の計測値Imを積算し、SOCの初期値SOCoに加減算することで第1SOCを推定して、その結果をメモリ123に記憶する。
【0071】
次に、制御部120は、SOC推定誤差Seを算出する(S12)。SOC推定誤差Seは、第1SOCに含まれると推定される、誤差の大きさである。下記(5)式に従い計測誤差ε0(経験値)を積算し、SOC推定誤差Seを算出する。
Se=∫ε0dt/Co×100・・・(5)
【0072】
次に、制御部120は、SOC推定誤差Seと閾値TH1の大きさを比較する(S13)。閾値TH1は、第1SOCに要求される推定精度に応じて設定することができる任意の値である。SOC推定誤差Seが閾値TH1より小さい場合(S13:NO)、S11に移行し、再度電流積算法により第1SOCを推定する。SOC推定誤差Seは、積算時間tが長くなるほど計測誤差ε0が累積されて大きくなるため、やがて閾値TH1より大きくなる。
【0073】
制御部120は、SOC推定誤差Seが閾値TH1より大きいと判断すると(S13:YES)、車両ECU30に対して組電池60の充電を要求する(S14)。
【0074】
組電池60の充電中も、制御部120は、組電池60が満充電になるまで、電流積算法による第1SOCの推定を継続し、その結果を逐一メモリ123に記憶する。上述した満充電完了条件を満たすと、制御部120は、組電池60が満充電であると判断し(S10:YES)、満充電検出法により第2SOCを100%又はそれに近い値と推定する(S15)。
【0075】
次に、制御部120は、下記の(6)式に基づき、SOC差Sxの絶対値を算出する(S16)。
Sx=|第2SOC-第1SOC|・・・(6)
【0076】
SOC差Sxは、組電池60を満充電まで充電した時点における、第2SOCと第1SOCの差である。
【0077】
例えば、電流の計測値Im=1A、演算周期T=0.1s、満充電容量Co=60Ahの場合には、SOC差Sxは以下のように算出される。
【0078】
電流積算法の開始時点の残存容量を59.5Ahとする。演算周期Tが1000周期(100sec)繰り返されたときに満充電を検出した場合、満充電検出時点の残存容量は、59.5+1×100/3600=59.528Ahである。この残存容量をSOCに換算すると、第1SOCとして、59.528/60×100=99.21%が得られる。
【0079】
従って、S15において第2SOCを100%と推定した場合、SOC差Sxは、100-99.21=0.79%となる(S16)。
【0080】
次に、制御部120は、第1SOCを100%又はそれに近い設定値に補正し、SOC推定誤差Seを0%にする(S17)。
【0081】
次に、制御部120は、SOC差Sxが、閾値TH2よりも大きいか否かを判断する(S18)。
【0082】
SOC差Sxが閾値TH2よりも小さい場合(S18:NO)、S11に移行し、制御部120は、電流計測部54の電流の計測値Imを補正することなくそのまま積算して、第1SOCを推定する。
【0083】
SOC差Sxが閾値TH2よりも大きい場合(S18:YES)、制御部120は、S19に移行して、電流の計測値Imに含まれる計測誤差εを算出する(S19)。
【0084】
計測誤差εは、SOC差Sxの単位時間あたりの変化量Sx1に基づき、以下の(7)式から算出することができる。
ε=Sx1×Co/100・・・(7)
Sx1は、(第2SOC-第1SOC)/tであり、SOC差Sxの単位時間あたりの変化量である。
【0085】
制御部120は、算出した計測誤差εをメモリ123に記憶する。制御部120は、S19にて計測誤差εを算出するとS11に移行し、算出した計測誤差εに基づいて、(4)式により、電流計測部54の電流の計測値Imを補正する。その後、補正後の電流Icを用いて電流積算法を実行し、第1SOCを推定する(S11)。
【0086】
計測誤差εの算出と補正は1回に限らず、SOC差Sxが閾値TH2を超えた場合、その都度実行するとよい。つまり、電流計測部54の状態変化や経時変化により、計測誤差εが前回補正時からΔεだけ変化した場合、補正後の電流Icに基づいて第1SOCを求めても、計測誤差εの変化量Δε分の誤差が累積する。
【0087】
累積した変化量ΔεはSOC差Sxとなって表れるので、SOC差Sxに基づき計測誤差εの変化量Δεを求めることが可能である。そのときの電流の計測値ImをΔεで補正することで、計測誤差の影響を抑制して、第1SOCを高精度に推定することができる。
【0088】
5.効果説明
この構成では、制御部120は、組電池60に流れる電流の計測値Imの積算値に基づいて第1SOCを推定し(電流積算法)、組電池60の端子間電圧VBに基づいて第2SOCを推定する。
【0089】
電流の計測値Imには計測誤差εが含まれており、第1SOCには計測誤差εが累積している。一方、第2SOCには計測誤差εが累積していない。したがって、制御部120は、第1SOCと第2SOCの差であるSOC差Sxに基づき、電流の計測値Imに含まれる計測誤差εを算出することができる。
【0090】
算出した計測誤差εを補正値として、電流の計測値Imを補正することにより、電流の計測値Imを真値に近付けて、電流計測精度を高めることができる。電流計測精度の向上により、第1SOCの推定精度を高めることができる。
【0091】
電流の計測誤差εには、ゲイン誤差とオフセット誤差が含まれる。ゲイン誤差によるSOC推定値の誤差は、組電池60を充放電することで相殺される。SOC差Sxを利用して、電流の計測値Imに含まれる計測誤差εを算出することで、ゲイン誤差及びオフセット誤差を直接測定しなくても電流の計測値Imを補正できる。
【0092】
この構成では、制御部120は、満充電検出法により、第2SOCを推定する。計測誤差εの累積がない満充電検出法で推定した第2SOCを、第1SOCの比較対象とすることで、SOC差Sxに含まれる計測誤差εを、精度よく求めることができる。これにより、電流の計測値Imを適正に補正し、第1SOCの推定精度を高めることができる。
【0093】
計測誤差εの値は、電流計測部54の周辺環境の変化や経時変化により変動する場合がある。計測誤差εを算出して電流の計測値Imを補正しても、その後計測誤差εが変動すれば、SOC差Sxが増大して、第1SOCの推定精度が低下する。
【0094】
この構成では、制御部120は、電流の計測値Imの補正後でも、SOC差Sxが増大して閾値TH2を超えた場合、電流の計測値Imを再度補正する。これにより、補正後に計測誤差εが変動しても、第1SOCの推定精度の低下を抑制できる。
【0095】
この構成では、制御部120は、SOC差Sxの単位時間あたりの変化量Sx1に基づいて計測誤差εを算出し、算出した計測誤差εを補正値として電流の計測値Imを補正する。単位時間あたりの変化量Sx1を相殺するように計測誤差εを算出することで、補正後の電流Icを積算して算出した第1SOCの推定精度を高めることができる。
【0096】
<実施形態2>
実施形態1では、S18において、制御部120は「SOC差Sx」が閾値TH2を超えた場合、電流の計測値Imを補正した。
【0097】
実施形態2におけるSOC推定のフローチャートを
図9に示す。
図9のフローチャートは、実施形態1(
図8)のS18をS118に変更した点のみ異なる。S118において、制御部120は、SOC差Sxから、単位時間あたりの変化量Sx1を算出し、算出した変化量Sx1を閾値TH3と比較する。制御部120は、変化量Sx1が閾値TH3を超えた場合(S118:YES)、計測誤差εを算出し、電流の計測値Imを補正する(S19)。閾値TH3は、許容できる最大のSx1の値として、任意の値を設定する。
【0098】
SOC差Sxの単位時間あたりの変化量Sx1が大きい場合、電流の計測値Imに含まれる計測誤差εが大きい。計測誤差εが大きい場合、時間の経過に伴い計測誤差εが累積して第1SOCの推定精度が低下し、SOC差Sxが大きくなる。
【0099】
実施形態2の構成では、単位時間あたりの変化量Sx1の増大を検出して、早期に電流の計測値Imを補正することができる。これにより、第1SOCの推定精度の低下を抑制できる。
【0100】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0101】
(1)上記実施形態では、満充電検出法により第2SOCを推定した。これ以外にも、第2SOCの推定方法は、
図7に示すSOC-OCV相関特性を利用して、組電池60のOCVに基づき第2SOCを推定する方法でもよい。
【0102】
(2)上記実施形態では、(4)式により、電流の計測値Imを補正した。電流の計測値Imの補正式は、(4)式に限らず、計測誤差εを用いた式であれば、他の式でもよい。例えば、(8)式に示すように、補正値として、計測誤差εに1未満の正の値をとる定数Kを乗じた値を用いた式でもよい。
Ic=Im-ε×K・・・(8)
【0103】
このようにすると、電流の計測値Imや電圧VB等の計測値として、外乱等に起因して一時的に計測誤差εとは無関係な異常値が計測された場合であっても、これらの異常値が、補正後の電流Icへ与える影響を低減できる。
【0104】
(3)二次電池セル62は、リチウムイオン二次電池に限らず、他の非水電解質二次電池でもよい。二次電池セル62は、複数を直並列に接続する場合に限らず、直列の接続や、単セルでもよい。二次電池セル62に代えて、キャパシタを用いることもできる。キャパシタは、蓄電セルの一例である。
【0105】
(4)上記実施形態では、バッテリ50を自動車用としたが、自動二輪用でもよい。船舶、AGV、航空機など他の移動体にバッテリ50を使用してもよい。
【0106】
(5)上記実施形態では、制御部120をバッテリ50の内部に設けた。制御部120はバッテリ50の外部に設けてもよい。つまり、バッテリ50の外部に設けた制御部120で、電流の計測値Imの補正を行ってもよい。この場合、制御部120は、バッテリ50の内部に設けた電流計測部54と電圧計測部110とから、電流の計測値Im及び電圧VBの情報を通信により取得して、計測誤差εを算出して電流の計測値Imを補正すればよい。
【0107】
(6)上記実施形態では、SOC差Sxが閾値TH2を超えているときに電流の計測値Imを補正する構成(実施形態1)と、SOC差Sxの単位時間あたりの変化量Sx1が閾値TH3を超えているときに電流の計測値Imを補正する構成(実施形態2)について例示した。制御部120は、SOC差Sxが閾値TH2を超えたとき、又は単位時間あたりの変化量Sx1が閾値TH3を超えたときのいずれかの場合において、電流の計測値Imを補正してもよい。
【0108】
このようにすると、単位時間あたりの変化量Sx1が小さい場合は、時間の経過に伴い計測誤差εが累積してSOC差Sxは増大し、閾値TH2を超えたときに補正が行われる。単位時間あたりの変化量Sx1が大きい場合は、累積時間が短くてSOC差Sxが小さくても、Sx1が閾値TH3を超えたときに補正が行われる。したがって、Sx1の大小に関わらず、適時に補正を行うことができる。
【0109】
(7)上記実施形態では、組電池60のSOC(第1SOC、第2SOC)を推定し、第1SOCと第2SOCのSOC差に基づき、計測誤差εを算出した。SOCの推定と同様の手段を用いて、組電池60の残存容量(第1残存容量、第2残存容量)を推定し、第1残存容量と第2残存容量の残存容量差に基づき、計測誤差εを算出してもよい。
【0110】
第1残存容量[Ah]及び第1SOC[%]は、二次電池セル62又は組電池60の、「第1残存電気量」の一例である。第2残存容量[Ah]及び第2SOC[%]は、二次電池セル62又は組電池60の、「第2残存電気量」の一例である。残存容量差[Ah]及びSOC差[%]は、二次電池セル62又は組電池60の、「残存電気量差」の一例である。
【符号の説明】
【0111】
10: 自動車(「車両」の一例)
50: バッテリ(「蓄電装置」の一例)
54: 電流計測部
60: 組電池
62: 二次電池セル(「蓄電セル」の一例)
110: 電圧計測部
120: 制御部(「補正装置」及び「SOC推定部」の一例)
Sx: SOC差
ε: 計測誤差(「補正値」の一例)
Im: 電流の計測値