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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182463
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】運転支援方法及び運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221201BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090034
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 洋平
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA12
3D241BA43
3D241BB16
3D241BB37
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DC35Z
3D241DC37Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】運転支援制御に用いる車線情報の記憶容量の増大を抑制しつつ、自車両が目標走行経路から外れても運転支援制御を継続する。
【解決手段】運転支援方法では、自車両1よりも前方の範囲における、自車両1が走行する第1道路R1の第1車線L1の車線情報を取得し、自車両1の前方で第1車線L1から分岐する第2車線L2であって、第1道路R1から分岐する第2道路へと伸びる第2車線L2の車線情報を取得し、自車両1の車線幅方向位置が第1車線L1と第2車線L2との間の車線境界線Lbを超えて所定長以上進んだか否かを判定し、車線幅方向位置が車線境界線Lbを超えて所定長以上進んだと判定した場合に、第1車線L1の車線情報を破棄する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線情報に基づいて、現在位置から目的地までの目標走行経路に沿った自車両の走行を支援する運転支援方法であって、
前記自車両よりも前方の範囲における、前記自車両が走行する第1道路の第1車線の前記車線情報を取得する処理と、
前記自車両の前方で前記第1車線から分岐する第2車線であって、前記第1道路から分岐する第2道路へと伸びる前記第2車線の前記車線情報を取得する処理と、
前記自車両の車線幅方向位置が前記第1車線と前記第2車線との間の車線境界線を超えて所定長以上進んだか否かを判定する処理と、
前記車線幅方向位置が前記車線境界線を超えて前記所定長以上進んだと判定した場合に、前記第1車線の前記車線情報を破棄する処理と、
をコントローラに実行させることを特徴とする運転支援方法。
【請求項2】
前記第1車線から分岐した前記第2車線の車線幅が増加して閾値以上に達する地点である車線増加完了地点を、前記第1車線を走行する前記自車両が通過したか否かを判定する処理と、
前記自車両が前記第1車線を走行して前記車線増加完了地点を通過したと判定した場合に、前記第2車線の前記車線情報を破棄する処理と、
を前記コントローラに実行させることを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記目標走行経路に基づいて、前記第1車線から前記第2車線へ車線変更する必要があるか否かを判定する処理と、
前記第2車線へ車線変更する必要があると判定した場合に、前記第2車線へ車線変更するか否かを判定する処理と、
を実行し、前記第2車線へ車線変更すると判定した場合に、前記自車両の前記車線幅方向位置が前記車線境界線を超えて前記所定長以上進んだか否かを判定する請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記目標走行経路に基づいて、前記第1車線から前記第2車線へ車線変更する必要があるか否かを判定する処理と、
前記第2車線へ車線変更する必要があると判定した場合に、前記第2車線へ車線変更するか否かを判定する処理と、
を実行し、前記第2車線へ車線変更しないと判定した場合に、前記自車両が前記第1車線を走行して前記車線増加完了地点を通過したか否かを判定する請求項2に記載の運転支援方法。
【請求項5】
前記コントローラは、前記目標走行経路に基づいて、前記第1車線から前記第2車線へ車線変更する必要があるか否かを判定する処理を実行し、
前記第2車線へ車線変更する必要があると判定しない場合に、前記自車両が前記第1車線を走行して前記車線増加完了地点を通過したか否かを判定する請求項2に記載の運転支援方法。
【請求項6】
前記コントローラは、乗員の操舵により前記自車両が前記第2車線へ向かって進行しているか否かを判定する処理を実行し、
前記自車両が前記第2車線へ向かって進行していると判定した場合に、前記自車両の前記車線幅方向位置が前記車線境界線を超えて前記所定長以上進んだか否かを判定する請求項5に記載の運転支援方法。
【請求項7】
車線情報に基づいて、現在位置から目的地までの目標走行経路に沿った自車両の走行を支援する運転支援装置であって、
前記自車両よりも前方の範囲における、前記自車両が走行する第1道路の第1車線の前記車線情報を取得する処理と、
前記自車両の前方で前記第1車線から分岐する第2車線であって、前記第1道路から分岐する第2道路へと伸びる前記第2車線の前記車線情報を取得する処理と、
前記自車両の車線幅方向位置が前記第1車線と前記第2車線との間の車線境界線を超えて所定長以上進んだか否かを判定する処理と、
前記車線幅方向位置が前記車線境界線を超えて所定長以上進んだと判定した場合に、前記第1車線の前記車線情報を破棄する処理と、
を実行するコントローラを備えることを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の自動運転制御に用いるために生成される地図情報の容量を削減する地図情報生成装置が提案されている。この地図情報生成装置は、車両の現在位置から第1距離の範囲の経路情報と、車両の現在位置から第1距離よりも短い第2距離の範囲の第1地図情報とを生成して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-184499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自車両が走行する予定の目標走行経路のみの車線情報を取得すると、自車両が目標走行経路から外れた場合に車線情報を利用できなくなるため、運転支援制御を継続できなくなる。一方で、目標走行経路以外の車線情報を保持し続けると、車線情報を保持するための記憶容量が増大してしまう。
本発明は、運転支援制御に用いる車線情報の記憶容量の増大を抑制しつつ、自車両が目標走行経路から外れても運転支援制御を継続することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、車線情報に基づいて、現在位置から目的地までの目標走行経路に沿った自車両の走行を支援する運転支援方法が提供される。運転支援方法では、自車両よりも前方の範囲における、自車両が走行する第1道路の第1車線の車線情報を取得する処理と、自車両の前方で第1車線から分岐する第2車線であって、第1道路から分岐する第2道路へと伸びる第2車線の車線情報を取得する処理と、自車両の車線幅方向位置が第1車線と第2車線との間の車線境界線を超えて所定長以上進んだか否かを判定する処理と、車線幅方向位置が車線境界線を超えて所定長以上進んだと判定した場合に、第1車線の車線情報を破棄する処理と、をコントローラに実行させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車両の運転支援制御に用いる車線情報の記憶容量の増大を抑制しつつ、自車両が目標走行経路から外れても運転支援制御を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の運転支援装置を搭載する車両の概略構成の一例を示す図である。
図2図1の入力装置の一部を示す図である。
図3】第1車線の車線情報を破棄する条件の一例の説明図である。
図4】第2車線の車線情報を破棄する条件の一例の説明図である。
図5】ルート走行支援機能の機能構成の一例のブロック図である。
図6】実施形態の運転支援方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
図1は、実施形態の運転支援装置を搭載する車両の概略構成の一例を示す図である。車両1に搭載された運転支援装置10は、センサ11と、測位装置12と、地図データベース(地図DB)13と、車載機器14と、ナビゲーションシステム15と、表示装置16と、音声出力装置17と、入力装置18と、車両挙動制御装置19と、コントローラ20を備える。これらの装置は、相互に情報の送受信を行うために、たとえばCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
【0010】
センサ11は、車両1の走行状態を検出する。たとえば、センサ11は、車両1の前方を撮像する前方カメラ、車両1の後方を撮像する後方カメラ、車両1の左右の側方を撮像する側方カメラ等のカメラを含む。また、センサ11は、車両1の前方の障害物を検出する前方レーダ、車両1の後方の障害物を検出する後方レーダ、車両1の左右の側方に存在する障害物を検出する側方レーダ等のレーダを含む。さらに、センサ11は、車両1の車速を検出する車速センサ、乗員(例えば運転者)によるハンドルの保持を検出するタッチセンサ(静電容量センサ)および乗員を撮像する車内カメラなどを含む。
【0011】
測位装置12は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサなどを備える。測位装置12は、GPSユニットにより複数の衛星通信から送信される電波を検出し、車両1の位置情報を周期的に取得する。また、測位装置12は、取得した車両1の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、車両1の現在位置を検出する。
【0012】
地図データベース13は、各種施設や特定の地点の位置情報を含む三次元高精度地図情報を格納し、コントローラ20からアクセス可能とされたメモリである。三次元高精度地図情報は、データ取得用車両を用いて実際の道路を走行した際に検出された道路形状に基づく三次元地図情報である。三次元高精度地図情報は、地図情報とともに、カーブ路及びそのカーブの大きさ(たとえば曲率又は曲率半径)、道路の合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置などの詳細かつ高精度の位置情報が、三次元情報として関連付けられた地図情報である。
【0013】
また、三次元高精度地図情報は、車線単位の情報(すなわち車線情報)として、車線基準線(例えば車線内の中央の線)上の基準点を示す車線ノードの情報と、車線ノード間の車線の区間態様を示す車線リンクの情報を含む。
車線ノードの情報は、その車線ノードの識別番号、位置座標、接続される車線リンク数、接続される車線リンクの識別番号を含む。車線リンクの情報は、その車線リンクの識別番号、車線の種類、車線の幅員、車線境界線の種類、車線の形状、車線区分線の形状、車線基準線の形状を含む。三次元高精度地図情報は、更に車線上又はその近傍に存在する信号機、停止線、標識、建物、電柱、縁石、横断歩道等の地物の種類及び位置座標と、地物の位置座標に対応する車線ノードの識別番号及び車線リンクの識別番号等の地物の情報を含んでもよい。
【0014】
車載機器14は、車両1に搭載された各種機器であり、乗員の操作により動作する。このような車載機器としては、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、方向指示器、ワイパー、ライト、クラクション、その他の特定のスイッチなどが挙げられる。
ナビゲーションシステム15は、測位装置12から車両1の現在の位置情報を取得し、ナビゲーション用の地図情報に車両1の位置を重ね合わせてディスプレイなどに表示する。また、ナビゲーションシステム15は、目的地が設定された場合に、その目的地までのルートを設定し、設定したルートを乗員に案内するナビゲーション機能を備える。このナビゲーション機能は、ディスプレイの地図上にルートを表示し、音声等によってルートを乗員に知らせる。ナビゲーションシステム15で設定されたルートは、コントローラ20が備えるルート走行支援機能でも利用される。ルート走行支援機能は、設定されたルートに基づいて、車両1を目的地まで自律走行させる機能である。
【0015】
表示装置16は、たとえば、ナビゲーションシステム15が備えるディスプレイ、ルームミラーに組み込まれたディスプレイ、メータ部に組み込まれたディスプレイ、フロントガラスに映し出されるヘッドアップディスプレイ等の各種ディスプレイを含む。表示装置16は、コントローラ20の制御に従って、各種の提示情報を乗員に報知する。
音声出力装置17は、ナビゲーションシステム15が備えるスピーカ、オーディオ装置のスピーカ、ブザー等の聴覚的情報を出力する装置である。音声出力装置17は、コントローラ20の制御に従って、各種の提示情報を乗員に報知する。
【0016】
入力装置18は、たとえば、乗員の手動操作による入力が可能なボタンスイッチ、ディスプレイ画面上に配置されたタッチパネル、又は乗員の音声による入力が可能なマイクなどの装置である。乗員が入力装置18を操作することで、表示装置16や音声出力装置17により提示された提示情報に対する設定情報を入力することができる。
図2は、本実施形態の入力装置18の一部を示す図である。入力装置18は、例えばハンドルのスポーク部などに配置されたボタンスイッチ群であってよい。入力装置18は、コントローラ20が備える自律走行制御機能のオン/オフ等を設定する際に使用する。入力装置18は、メインスイッチ181と、リジューム・アクセラレートスイッチ182と、セット・コーストスイッチ183と、キャンセルスイッチ184と、車間調整スイッチ185と、車線変更支援スイッチ186とを備える。
【0017】
メインスイッチ181は、コントローラ20の自律走行制御機能をオン/オフするスイッチである。リジューム・アクセラレートスイッチ182は、自律走行制御機能をオフしたのちオフ前の設定速度で自律走行制御機能を再開することを設定したり、設定速度を上げるスイッチである。セット・コーストスイッチ183は、自律走行制御機能を開始するスイッチである。自律走行制御機能を開始するには、メインスイッチ181により自律走行制御機能をオンした後に、セット・コーストスイッチ183を押下する。またセット・コーストスイッチ183は、設定速度を下げるスイッチである。キャンセルスイッチ184は、自律走行制御機能を解除するスイッチである。車間調整スイッチ185は、先行車両との車間距離を設定するためのスイッチである。車線変更支援スイッチ186は、コントローラ20が車線変更の開始を乗員に確認した場合に車線変更の開始を指示する(承諾する)ためのスイッチである。
なお、図2に示すボタンスイッチ群以外にも、方向指示器の方向指示レバーやその他の車載機器14のスイッチを入力装置18として用いることができる。例えば、コントローラ20から自動で車線変更を行うか否かを提案された場合に、乗員が方向指示レバーを操作すると、提案された車線変更ではなく、方向指示レバーが操作された方向に向かって車線変更を行う。
【0018】
車両挙動制御装置19は、車両1の車両挙動を制御する。たとえば、車両挙動制御装置19は、自律走行制御機能により車両1が設定速度で定速走行する場合には、車両1が設定速度となるように、加減速度および走行速度を実現するための駆動機構の動作およびブレーキ動作を制御する。また、車両挙動制御装置19は、自律走行制御機能により車両1が先行車両に追従走行する場合にも、同様に駆動機構及びブレーキの動作を制御する。なお、駆動機構の動作制御は、エンジン自動車にあっては内燃機関の動作、電気自動車系にあっては走行用モータの動作を含む。また、ハイブリッド自動車にあっては、内燃機関と走行用モータとのトルク配分を含む。
また車両挙動制御装置19は、自律走行制御機能により、後述するレーンキープ制御、車線変更支援機能、追い越し支援機能又はルート走行支援機能を実行する場合に、駆動機構とブレーキの動作制御に加えて、ステアリングアクチュエータの動作を制御することで、車両1の操舵制御を実行する。
【0019】
コントローラ20は、車両1の走行を制御するための1つ又は複数の電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)であり、プロセッサ21と、記憶装置22等の周辺部品とを含む。プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置22は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置22は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
以下に説明するコントローラ20の機能は、例えばプロセッサ21が、記憶装置22に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ20を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、コントローラ20は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ20はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
【0020】
コントローラ20は、車両1の走行状態に関する情報を取得する走行情報取得機能と、車両1の走行速度及び/又は操舵を自律制御する自律走行制御機能とを実現する。コントローラ20の走行情報取得機能は、車両1の走行状態に関する走行情報を取得する機能である。たとえば、コントローラ20は、走行情報としてセンサ11の前方カメラ、後方カメラ及び側方カメラにより撮像された車両外部の画像情報を取得してよい。また、コントローラ20は、走行情報として前方レーダ、後方レーダ及び側方レーダによる検出結果を取得する。さらに、コントローラ20は、走行情報としてセンサ11の車速センサにより検出された車両1の車速情報や、車内カメラにより撮像された乗員の顔の画像情報も取得する。
【0021】
さらに、コントローラ20は、走行情報として、車両1の現在の位置情報を測位装置12から取得する。また、コントローラ20は、走行情報として、設定された目的地及び目的地までのルートをナビゲーションシステム15から取得する。
さらに、コントローラ20は、走行情報として、カーブ路及びそのカーブの大きさ(たとえば曲率又は曲率半径)、合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置などの位置情報や、車線の車線情報といった地図情報を地図データベース13から取得する。
加えて、コントローラ20は、走行情報として、乗員による車載機器14の操作情報を、車載機器14から取得する。
【0022】
コントローラ20の自律走行制御機能は、車両1の走行を乗員の操作に依ることなく自律制御する機能である。コントローラ20の自律走行制御機能は、車両1の走行速度を自律制御する自律速度制御機能と、車両1の操舵を自律制御する自律操舵制御機能とを含む。以下、本実施形態の自律速度制御機能と自律操舵制御機能について説明する。
《自律速度制御機能》
自律速度制御機能は、先行車両を検出しているときは、乗員が設定した車速を上限にして、車速に応じた車間距離を保つように車間制御を行いつつ先行車両に追従走行する機能である。一方、先行車両を検出していない場合には、自律速度制御機能は、乗員が設定した車速で定速走行を行う。前者を車間制御、後者を定速制御ともいう。なお、自律速度制御機能は、センサ11により道路標識から走行中の道路の制限速度を検出し、あるいは地図データベース13の地図情報から制限速度を取得して、その制限速度を自動的に設定車速にする機能を含んでもよい。
【0023】
定速制御は、センサ11の前方レーダ等により、自車線の前方に先行車両が存在しないことが検出された場合に実行される。定速制御では、設定された走行速度を維持するように、車速センサによる車速データをフィードバックしながら、車両挙動制御装置19によりエンジンやブレーキなどの駆動機構の動作を制御する。
車間制御は、センサ11の前方レーダ等により、自車線の前方に先行車両が存在することが検出された場合に実行される。車間制御では、設定された走行速度を上限にして、設定された車間距離を維持するように、前方レーダにより検出した車間距離データをフィードバックしながら、車両挙動制御装置19によりエンジンやブレーキなどの駆動機構の動作を制御する。
【0024】
《自律操舵制御機能》
自律操舵制御機能は、走行情報取得機能によって取得した走行情報に基づいてステアリングアクチュエータの動作を制御することで、車両1の操舵制御を実行する機能である。
自律操舵制御機能は、例えば、レーンキープ機能、車線変更支援機能、追い越し支援機能、及びルート走行支援機能などを含む。
レーンキープ機能とは、例えば車線の中央付近を走行するようにステアリングアクチュエータを制御して、乗員のハンドル操作を支援する機能である。
【0025】
メインスイッチ181により自律走行制御機能をオンした後に、セット・コーストスイッチ183が押下されると、コントローラ20は所定の自律走行制御開始条件が成立するか否かを判定する。自律走行制御開始条件が成立すると判定した場合に、コントローラ20は、自律操舵制御機能のレーンキープ機能を実行する。
または、メインスイッチ181により自律走行制御機能をオンした後に、自律走行制御開始条件が成立すると、コントローラ20は、セット・コーストスイッチ183が押下されるのを待つ。セット・コーストスイッチ183が押下されると、コントローラ20は、自律走行制御を開始して自律操舵制御機能のレーンキープ機能を実行する。
【0026】
《車線変更支援機能》
車線変更支援機能は、乗員が方向指示レバーを操作すると方向指示器を点灯し、所定の車線変更開始条件を満たした場合に、自動車線変更の一連の処理である車線変更操作を開始する。車線変更支援機能は、走行情報取得機能により取得した各種の走行情報に基づいて、所定の車線変更開始条件が成立したか否かを判断する。
車線変更支援機能は、車線変更開始条件を満たした場合に車線変更操作を開始する。車線変更操作では、車両1を隣接車線へ横移動させ、隣接車線への移動が完了すると方向指示器を消灯し、隣接車線でのレーンキープ機能の実行を開始する。
【0027】
《追い越し支援機能》
追い越し支援機能は、自車線の前方に車両1よりも遅い先行車両が存在し、かつ、所定の追い越し提案条件を満たした場合に、追い越し情報を表示装置16により乗員に提示する。ここで、追い越し情報とは、先行車両の追い越しを行なうことを乗員に提案するための情報である。追い越し支援機能は、追い越し情報の提示に対し、乗員が入力装置18の車線変更支援スイッチ186を操作して承諾し、かつ、予め設定された追い越し開始条件を満たした場合に、方向指示器を点灯して上述した車線変更操作を開始する。追い越し支援機能は、走行情報取得機能により取得した各種走行情報に基づいて、追い越し提案条件及び追い越し開始条件が成立したか否かを判断する。
【0028】
《ルート走行支援機能》
ルート走行支援機能は、設定されたルートに分岐地点や合流地点、出口や料金所等の走行方向変更地点が存在し、走行方向変更地点までの距離が所定距離以内であり、かつ、所定のルート走行提案条件を満たした場合に、ルート走行情報を表示装置16により提示し、走行方向変更地点への車線変更を提案する。また、ルート走行支援機能は、車線変更の提案が車線変更支援スイッチ186の操作により承諾され、かつ、所定のルート走行開始条件を満たした場合に車線変更操作を開始する。
ルート走行支援機能は、走行情報取得機能により取得した各種走行情報に基づいて、ルート走行提案条件及びルート走行開始条件が成立したか否かを判断する。
【0029】
これらの自律操舵制御機能では、走行情報取得機能によって取得した地図情報に基づいて車両1の操舵制御を実行することにより車両1の運転支援制御を行う。したがって、車両1が走行する予定のルートの車線のみの地図情報を取得すると、車両1がルートから外れた場合に地図情報を利用できなくなり運転支援制御を継続できなくなる。
このため、車両1が走行する予定のルートの車線の地図情報に加えて、車両1の走行が予定されているルートの車線以外の車線の地図情報も取得する。
【0030】
図2を参照する。いま、車両1が第1道路R1の第1車線L1上を走行している状態を想定する。
車両1の前方の地点において、第1車線L1が第2車線L2と第1車線L1とに分かれることによって車線数が増加している。例えば、第2車線L2は、第1道路R1から分岐して第1道路R1と異なる方向へ向かう第2道路(図示せず)へ伸びる車線であってよく、第1車線L1と第2車線L2とが分かれる地点から、それほど長くない距離(例えば1.5[km])走行することにより、第2道路に到達することができる。
以下の説明において、第1車線L1が第2車線L2と第1車線L1とに分かれることによって車線数が増加する区間を「車線増加区間S1」と表記する。
【0031】
ナビゲーションシステム15によって設定された、車両1が走行する予定のルートが、第2道路に向かわずに第1道路R1を走行し続けることを推奨している場合、コントローラ20は、第1車線L1だけでなく第2車線L2についても、車両1の前方の所定距離(例えば7km)の範囲の地図情報(例えば車線情報)を取得する。
同様に、車両1が走行する予定のルートが第2道路の方へ走行することを推奨している場合も、第2車線L2だけでなく第1車線L1についても、車両1の前方の所定距離の範囲の地図情報を取得する。
【0032】
しかしながら、第1車線L1及び第2車線L2の両方について地図情報を取得及び保持し続けると、地図情報を保持するための記憶容量が増大してしまう。
例えば、第1車線L1と第2車線L2とが分れて車線変更できなくなる地点まで両方の地図情報を保持し続け、この地点に到達した時に、車両1が走行していない方の車線の地図情報を削除する場合を想定する。この場合には、両方の車線の地図情報を保持し続けている間に、更にルートが分かれる地点が前方で見つかると、新たな車線の地図情報を追加して保持しなければならなくなるために記憶容量が増大する。
【0033】
記憶容量を低減するために、例えば第1車線L1から第2車線L2への車線変更のための方向指示器が点灯した時点で、第1車線L1の地図情報を削除することも考えられる。しかしながら、運転者の運転操作により方向指示器が点灯した後も第1車線L1を走行し続けると、第1車線L1の地図情報を再取得することが必要となり、再取得のための処理負荷が増加してしまう。
【0034】
そこで、本実施形態のコントローラ20は、地図情報を保持するための記憶容量の増加を抑制しつつ上記の処理負荷を削減するために、車両1が、第1車線L1から第2車線L2へ車線変更する際に、第1車線L1と第2車線L2との間の車線境界線Lbを跨いだタイミングで第1車線L1の地図情報を削除する。
このようなタイミングで第1車線L1の地図情報を削除することにより、上記のように第1車線L1と第2車線L2の地図情報を保持し続ける場合と比較して、地図情報を保持するための記憶容量を低減できる。
また、車両1が車線境界線Lbを超えて所定長以上進んでいることから、その後に運転者の運転操作により第1車線L1を走行する状況は発生しにくい。このため、第1車線L1の地図情報の削除後に第1車線L1を走行し続けることで地図情報の再取得の処理負荷が発生するのを抑制できる。
【0035】
例えばコントローラ20は、車両1が、第1車線L1から第2車線L2へ車線変更する際に、車両1の位置P1が車線境界線Lbを超えて、位置P1の車線幅方向位置が第2車線L2の方へ所定長以上進んだタイミング(すなわち、位置P1が第2車線L2内にあり位置P1と車線境界線Lbとの間の車線幅方向距離d2が所定長以上に増加したタイミング)で、第1車線L1の地図情報を削除する。例えば、車両1の位置P1は車両1の中心(例えば重心位置や車体の幾何中心)であってよい。所定長は例えば30[cm]等の値であってよい。
【0036】
図4を参照する、車両1が第2車線L2に車線変更せずに、第1車線L1を走行し続けた際には、車線増加区間S1において増加する第2車線L2の車線幅w1が増加して閾値以上に達する地点である車線増加完了地点P2を、車両1の位置P1が通過したタイミングで第2車線L2の地図情報を削除する。例えば閾値は、第1車線L1の車線幅に応じて設定してよい。例えば閾値を、第1車線L1の車線幅と等しい値に設定してもよく、1車線L1の車線幅から所定のマージンを減算して得られる値に設定してもよい。
このようなタイミングで第2車線L2の地図情報を削除することにより、上記のように第1車線L1と第2車線L2の地図情報を保持し続ける場合と比較して、地図情報を保持するための記憶容量を低減できる。
また、車線増加完了地点P2を通過しても車両1が第1車線L1を走行し続けていることから、その後に運転者の運転操作により車両1が第2車線L2へ車線変更する状況は発生しにくい。このため、第2車線L2の地図情報の削除後に第2車線L2への車線変更が行われることで地図情報の再取得の処理負荷が発生するのを抑制できる。
【0037】
図5は、ルート走行支援機能の機能構成の一例のブロック図である。コントローラ20は、地図情報取得部30、ナビゲーション情報取得部31、自己位置情報取得部32、地図情報処理部33、車線変更要求判断部34、周辺状況認識部35、車線変更可否判断部36、車線変更状態管理部37として機能する。
地図情報取得部30は、地図データベース13又は図示しない通信装置により地図情報を取得する。例えば地図情報取得部30は、地図情報として三次元高精度地図情報とナビゲーション用の地図情報とを取得してよい。
ナビゲーション情報取得部31は、ナビゲーションシステム15から現在位置の目的地までのルートに関するルート情報を取得する。
自己位置情報取得部32は、測位装置12から車両1の現在位置に関する現在位置情報を取得する。
【0038】
地図情報処理部33は、地図情報取得部30から、車両1の現在位置付近の所定範囲の三次元高精度地図情報を取得する。
車線変更要求判断部34は、ルート走行支援機能による車線変更の要求の有無を判定する。
周辺状況認識部35は、車両1の周辺状況を認識する。例えば周辺状況認識部35は、車両1の周辺に存在する物体(例えば、隣接車線を走行する他車両である隣接車両や、車両1の先行車両、後続車、車線上の障害物)や、車線境界線(例えばレーンマークなど)を周辺状況として認識する。周辺状況認識部35は、車線変更可否判断部36と車線変更状態管理部37に周辺環境情報を出力する。
【0039】
車線変更可否判断部36は、車両1の周辺状況や車両1の内部状態に基づいてルート走行支援機能による車線変更の可否を判定する。例えば、車線変更可否判断部36は、上記のルート走行開始条件が成立するか否かを判定する。ルート走行開始条件が成立する場合にルート走行支援機能による車線変更を許可し、成立しない場合には禁止する。
ルート走行開始条件は、例えば次の条件が全て成立することであってよい。
・レーンキープ機能が実行されている。
・ハンズオン判定中である。
・速度60km/h以上で走行している。
・車線変更方向に車線がある。
・車線変更先の車線に車線変更可能なスペースがある。
・レーンマークの種別が車線変更可能である。
・分岐地点まで所定距離以内の区間を走行している。
・道路の曲率半径が250m以下である。
【0040】
車線変更状態管理部37は、車線変更要求判断部34の判定結果に基づいて、ルート走行支援機能による車線変更が要求された場合に、上記のルート走行提案条件を満たすか否かを判定する。
ルート走行提案条件は、例えば次の条件が全て成立することであってよい。
・レーンキープ機能が実行されている。
・ナビゲーションシステム15で目的地が設定されている。
・速度60km/h以上で走行している。
・車線変更方向に車線がある。
・レーンマークの種別が車線変更可能である。
・道路の曲率半径が250m以上である。
【0041】
ルート走行提案条件を満たす場合に車線変更状態管理部37は、ルート走行情報を表示装置16や音声出力装置17により提示して車線変更を提案する。
車線変更の提案が車線変更支援スイッチ186の操作により承諾され、かつ、所定のルート走行開始条件を満たした場合に、車線変更可否判断部36は、車線変更の可否を判定する。車線変更が許可されると車線変更状態管理部37は車線変更操作を開始する。
乗員が車線変更を承諾しない場合、又は車線変更可否判断部36が車線変更を許可しない場合には、車線変更状態管理部37は車線変更操作を行わずに現在の走行車線を維持する。
車両挙動制御装置19は、車線変更状態管理部37からの指令に基づいて、ステアリングアクチュエータの動作を制御することで、車両1の操舵制御を実行する。
【0042】
図6は、実施形態の運転支援方法の一例のフローチャートである。
ステップS1において地図情報処理部33は、ナビゲーション情報取得部31が取得したルート情報と自己位置情報取得部32が取得した自己位置情報とに基づいて、地図情報取得部30から、車両1の現在位置付近の所定範囲の三次元高精度地図情報を取得する。具体的には、現在位置から所定距離前方までの範囲における、車両1が現在走行している第1車線L1の三次元高精度地図情報を取得する。所定距離は例えば7[km]であってよい。
【0043】
ステップS2において地図情報処理部33は、取得した地図情報に基づいて、第1車線上の車両1の現在位置から前方の所定距離d1[km]以内に、車線増加区間S1が存在するか否かを判定する。所定距離d1は例えば2[km]であってよい。車線増加区間S1が存在する場合(ステップS2:Y)に処理はステップS4へ進む。
車線増加区間S1が存在しない場合(ステップS2:N)には、第1車線L1のみの三次元高精度地図情報が取得されている状態である。この場合に処理はステップS3に進み、地図情報処理部33は、第1車線L1のみの三次元高精度地図情報を保持する。その後に処理は終了する。
【0044】
ステップS4において地図情報処理部33は、現在位置から所定距離前方までの範囲における、第2車線L2の三次元高精度地図情報を取得する。所定距離は例えば7[km]であってよい。
ステップS5において地図情報処理部33は、ナビゲーション情報取得部31が取得したルート情報が、第1車線L1又は第2車線L2のいずれを走行することを推奨しているかを判定する。第2車線L2が推奨されている場合(ステップS5:Y)に処理はステップS6へ進む。第1車線L1が推奨されている場合(ステップS5:N)に処理はステップS11へ進む。
【0045】
ステップS6において車線変更要求判断部34は、地図情報処理部33の判定結果に基づいて第2車線L2へ車線変更する要求があると判定する。車線変更状態管理部37は、ルート走行提案条件を満たすか否かを判定し、ルート走行提案条件を満たす場合に第2車線L2への車線変更を乗員に提案する。
車線変更状態管理部37は、第2車線L2への車線変更に対する乗員の干渉があるか否かを判定する。
【0046】
例えば、車線変更状態管理部37は、車線変更の提案を乗員が承諾したか否かを判定する。乗員が提案を承諾しない場合には乗員の干渉があると判定し、承諾した場合には乗員の干渉がないと判定する。例えば、車線変更を提案した後、所定時間(例えば30[秒])や所定距離(例えば700[m])走行している間に乗員が車線変更支援スイッチ186を操作しない場合に、乗員が提案を承諾しないと判定してよい。
また例えば、乗員が操舵介入をしたり不適切なタイミングで方向指示器を操作した場合に乗員の干渉があると判定してもよい。
乗員の干渉がない場合(ステップS6:N)に処理はステップS7へ進む。乗員の干渉がある場合(ステップS6:Y)に処理はステップS11へ進む。
【0047】
ステップS7において車線変更可否判断部36は、第2車線L2へ進行すべきでない理由があるか否かを判定する。例えば車線変更可否判断部36は、ルート走行開始条件が成立するか否かを判定してよい。車線変更可否判断部36は、ルート走行開始条件が成立しない場合に第2車線L2へ進行すべきでない理由があると判定し、成立する場合に理由がないと判定してよい。
第2車線L2へ進行すべきでない理由がない場合(ステップS7:N)に処理はステップS8へ進む。第2車線L2へ進行すべきでない理由がある場合(ステップS7:Y)に処理はステップS11へ進む。
【0048】
ステップS8において車線変更状態管理部37は、第1車線L1から第2車線L2への車線変更操作を開始する。第2車線L2へ進むための地図情報及び周辺環境情報が車両挙動制御装置19へ送られ、車両挙動制御装置19は目標操舵角を算出し、ステアリングアクチュエータの動作を制御することで、車両1を車線変更させる
ステップS9において地図情報処理部33は、車両1の位置P1が車線境界線Lbを超えて、位置P1の車線幅方向位置が第2車線L2の方へ所定長以上進んだか否かを判定する。位置P1が車線境界線Lbを超えて車線幅方向位置が第2車線L2の方へ所定長以上進んだ場合(ステップS9:Y)に処理はステップS10へ進む。進んでいない場合(ステップS9:N)に処理はステップS9へ戻る。この場合、位置P1が車線境界線Lbを超えて車線幅方向位置が第2車線L2の方へ所定長以上進むまで、第1車線L1及び第2車線L2の両方の地図情報が保持される。
【0049】
ステップS10において地図情報処理部33は、第1車線L1の地図情報を削除する。その後に処理は終了する。なお、ステップS9及びステップS10の処理は、周辺環境情報を車線変更状態管理部37が実行してもよい。
一方で、第1車線L1が推奨されている場合(ステップS5:N)、乗員の干渉がある場合(ステップS6:Y)又は第2車線L2へ進行すべきでない理由がある場合(ステップS7:Y)には、ステップS11において車線変更状態管理部37は、第1車線L1を走行すること(すなわち第2車線に車線変更しないこと)を決定する。
【0050】
ステップS12において地図情報処理部33は、車両1が第1車線L1を走行して車線増加完了地点P2を通過したか否かを判定する。車両1が車線増加完了地点P2を通過した場合(ステップS12:Y)に処理はステップS13へ進む。まだ車両1が車線増加完了地点P2を通過していない場合(ステップS12:N)に処理はステップS12へ戻る。この場合、車両1が車線増加完了地点P2を通過するまで、第1車線L1及び第2車線L2の両方の地図情報が保持される。
ステップS13において地図情報処理部33は、第2車線L2の地図情報を削除する。その後に処理は終了する。なお、ステップS12及びステップS13の処理は、周辺環境情報を車線変更状態管理部37が実行してもよい。
【0051】
なお、第1車線L1が推奨されている場合(ステップS5:N)であっても、乗員の運転操作により車両1が第2車線L2へ進行した場合には、車両1の位置P1が車線境界線Lbを超えて、位置P1の車線幅方向位置が第2車線L2の方へ所定長以上進んだか否かを判定してもよい。位置P1の車線幅方向位置が第2車線L2の方へ所定長以上進んだタイミングで、第1車線L1の地図情報を削除してよい。
【0052】
(実施形態の効果)
(1)運転支援装置10は、車線情報に基づいて、現在位置から目的地までの目標走行経路に沿った車両1の走行を支援する。コントローラ20は、車両1よりも前方の範囲における、車両1が走行する第1道路の第1車線の車線情報を取得する処理と、車両1の前方で第1車線から分岐する第2車線であって、第1道路から分岐する第2道路へと伸びる第2車線の車線情報を取得する処理と、車両1の車線幅方向位置が第1車線と第2車線との間の車線境界線を超えて所定長以上進んだか否かを判定する処理と、車線幅方向位置が車線境界線を超えて所定長以上進んだと判定した場合に、第1車線の車線情報を破棄する処理と、を実行する。
【0053】
これにより、第1車線と第2車線の地図情報を保持し続ける場合と比較して、地図情報を保持するための記憶容量を低減できる。
また、車両1が車線境界線を超えて所定長以上進んでいることから、その後に運転者の運転操作により第1車線を走行する状況は発生しにくい。このため、第1車線の地図情報の削除後に第1車線を走行し続けることで地図情報の再取得の処理負荷が発生するのを抑制できる。
【0054】
(2)コントローラ20は、第1車線から分岐した第2車線の車線幅が増加して閾値以上に達する地点である車線増加完了地点を、第1車線を走行する車両1が通過したか否かを判定する処理と、車両1が第1車線を走行して車線増加完了地点を通過したと判定した場合に、第2車線の車線情報を破棄する処理と、を実行してよい。
これにより、第1車線と第2車線の地図情報を保持し続ける場合と比較して、地図情報を保持するための記憶容量を低減できる。
また、車線増加完了地点を通過しても車両1が第1車線を走行し続けていることから、その後に運転者の運転操作により車両1が第2車線へ車線変更する状況は発生しにくい。このため、第2車線の地図情報の削除後に第2車線への車線変更が行われることで地図情報の再取得の処理負荷が発生するのを抑制できる。
【0055】
(3)コントローラ20は、目標走行経路に基づいて、第1車線から第2車線へ車線変更する必要があるか否かを判定する処理と、第2車線へ車線変更する必要があると判定した場合に、第2車線へ車線変更するか否かを判定する処理と、を実行し、第2車線へ車線変更する場合に、車両1の車線幅方向位置が車線境界線を超えて所定長以上進んだか否かを判定してよい。
これにより、目標走行経路に従って第2車線へ車線変更したときに、第1車線の地図情報を削除して、地図情報を保持するための記憶容量を低減できる。
【0056】
(4)コントローラ20は、目標走行経路に基づいて、第1車線から第2車線へ車線変更する必要があるか否かを判定する処理と、第2車線へ車線変更する必要があると判定した場合に、第2車線へ車線変更するか否かを判定する処理とを実行し、第2車線へ車線変更しない場合に、車両1が第1車線を走行して車線増加完了地点を通過したか否かを判定してよい。
これにより、目標走行経路に従わずに第1車線の走行を続けたときに、第2車線の地図情報を削除して、地図情報を保持するための記憶容量を低減できる。
【0057】
(5)コントローラ20は、目標走行経路に基づいて、第1車線から第2車線へ車線変更する必要があるか否かを判定する処理を実行し、第2車線へ車線変更する必要があると判定しない場合に、車両1が第1車線を走行して車線増加完了地点を通過したか否かを判定してよい。
これにより、目標走行経路に従って第1車線の走行を続けたときに、第2車線の地図情報を削除して、地図情報を保持するための記憶容量を低減できる。
【0058】
(6)コントローラ20は、乗員の操舵により車両1が第2車線へ向かって進行しているか否かを判定する処理を実行し、車両2が第2車線へ向かって進行していると判定した場合に、車両1の車線幅方向位置が車線境界線を超えて所定長以上進んだか否かを判定してよい。
これにより、目標走行経路に従わずに第2車線へ車線変更したときに、第1車線の地図情報を削除して、地図情報を保持するための記憶容量を低減できる。
【符号の説明】
【0059】
1…車両、10…運転支援装置、11…センサ、12…測位装置、13…地図データベース、14…車載機器、15…ナビゲーションシステム、16…表示装置、17…音声出力装置、18…入力装置、19…車両挙動制御装置、20…コントローラ、21…プロセッサ、22…記憶装置、30…地図情報取得部、31…ナビゲーション情報取得部、32…自己位置情報取得部、33…地図情報処理部、34…車線変更要求判断部、35…周辺状況認識部、36…車線変更可否判断部、37…車線変更状態管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6