(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182481
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】マイクロ光デバイスのマストランスファ方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20221201BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20221201BHJP
C09J 171/10 20060101ALI20221201BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20221201BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H01L21/56 J
C09J5/00
C09J171/10
C09J163/00
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090065
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】冨山 映子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰典
【テーマコード(参考)】
4J040
5F061
【Fターム(参考)】
4J040DA001
4J040EC051
4J040EC071
4J040EE061
4J040KA35
4J040LA01
4J040LA08
4J040MA04
4J040NA20
4J040PA42
5F061AA01
5F061CA10
5F061CB12
5F061FA01
(57)【要約】
【課題】レーザートランスファ性に優れたマイクロ光デバイスのマストランスファ方法を提供する。
【解決手段】本発明のマイクロ光デバイスのマストランスファ方法は、透明基板上に、熱分解性を有する感光剤を含む仮固定用組成物を塗布して、仮固定膜を形成する固定膜形成工程と、エピタキシャル成長用基板上に設けられた複数のマイクロ光デバイスの少なくとも一部を、エピタキシャル成長用基板から分離して、透明基板上の仮固定膜に仮固定する仮固定工程と、仮固定膜上に仮固定されたマイクロ光デバイスの少なくとも一部を、レーザー光照射により、仮固定膜から分離して、回路基板上に移送する移送工程と、を含み、仮固定工程の前に、仮固定膜中の感光剤を熱分解する前ブリーチング工程を実施しないものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に、熱分解性を有する感光剤を含む仮固定用組成物を塗布して、仮固定膜を形成する固定膜形成工程と、
エピタキシャル成長用基板上に設けられた複数のマイクロ光デバイスの少なくとも一部を、前記エピタキシャル成長用基板から分離して、前記透明基板上の前記仮固定膜に仮固定する仮固定工程と、
前記仮固定膜上に仮固定された前記マイクロ光デバイスの少なくとも一部を、レーザー光照射により、前記仮固定膜から分離して、回路基板上に移送する移送工程と、を含み、
前記仮固定工程の前に、前記仮固定膜中の前記感光剤を熱分解する前ブリーチング工程を実施しない、
マイクロ光デバイスのマストランスファ方法。
【請求項2】
請求項1に記載のマストランスファ方法であって、
前記仮固定工程の後、前記移送工程の前に、前記仮固定膜中の前記感光剤を熱分解する後ブリーチング工程を含む、マストランスファ方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマストランスファ方法であって、
前記仮固定工程は、レーザー光照射により、前記エピタキシャル成長用基板上に設けられた前記マイクロ光デバイスを分離するものである、マストランスファ方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のマストランスファ方法であって、
前記仮固定工程の前に、前記マイクロ光デバイスをチップサイズに分割して、マイクロLEDを形成する、マイクロLED形成工程を含む、マストランスファ方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のマストランスファ方法であって、
前記エピタキシャル成長用基板が、サファイア基板である、マストランスファ方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のマストランスファ方法であって、
前記仮固定用組成物が、分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーを含む、マストランスファ方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のマストランスファ方法であって、
前記仮固定用組成物が、ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが1,000以上10,000以下であるフェノキシ樹脂を含む、マストランスファ方法。
【請求項8】
請求項7に記載のマストランスファ方法であって、
前記フェノキシ樹脂が、50℃で液状の成分を含む、マストランスファ方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のマストランスファ方法であって、
前記仮固定用組成物が、エポキシ樹脂を含む、マストランスファ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ光デバイスのマストランスファ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで半導体素子の実装方法について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、レーザー分解型接着層に半導体素子を配置した後、光吸収剤を含むレーザー分解型接着層にレーザー光を選択的に照射し、選択的に半導体素子をピックアップする、半導体素子の実装方法が記載されている(特許文献1の請求項など)。
上記特許文献1の実装方法において、光吸収剤は、レーザー光を吸収し、レーザー分解型接着層における構成成分の分解などの変質を発生させるとの記載されている(段落0024など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載の半導体素子の実装方法において、レーザートランスファ性の点で改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はさらに検討したところ、感光剤を添加して光吸収特性を高めることにより、仮固定膜にレーザーを照射したときのマイクロ光デバイスの分離しやすさ(レーザートランスファ性)を向上できることに加えて、ボンディング前の加熱による感光剤除去処理(いわゆるブリーチング)を実施しないことより、熱分解性の感光剤の熱分解によって、過度に仮固定膜とマイクロ光デバイスの密着性が高くなることを抑制できるため、レーザートランスファ性を一層向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明によれば、
透明基板上に、熱分解性を有する感光剤を含む仮固定用組成物を塗布して、仮固定膜を形成する固定膜形成工程と、
エピタキシャル成長用基板上に設けられた複数のマイクロ光デバイスの少なくとも一部を、前記エピタキシャル成長用基板から分離して、前記透明基板上の前記仮固定膜に仮固定する仮固定工程と、
前記仮固定膜上に仮固定された前記マイクロ光デバイスの少なくとも一部を、レーザー光照射により、前記仮固定膜から分離して、回路基板上に移送する移送工程と、を含み、
前記仮固定工程の前に、前記仮固定膜中の前記感光剤を熱分解する前ブリーチング工程を実施しない、
マイクロ光デバイスのマストランスファ方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レーザートランスファ性に優れたマイクロ光デバイスのマストランスファ方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】光デバイスの実装方法の一例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
なお、本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。したがって、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0010】
本実施形態のマイクロ光デバイスのマストランスファ方法は、透明基板上に、熱分解性を有する感光剤を含む仮固定用組成物を塗布して、仮固定膜を形成する固定膜形成工程と、エピタキシャル成長用基板上に設けられた複数のマイクロ光デバイスの少なくとも一部を、エピタキシャル成長用基板から分離して、透明基板上の仮固定膜に仮固定する仮固定工程と、仮固定膜上に仮固定されたマイクロ光デバイスの少なくとも一部を、レーザー光照射により、仮固定膜から分離して、回路基板上に移送する移送工程と、を含む。
このマイクロトランスファ方法は、上記の仮固定工程の前に、仮固定膜中の感光剤を熱分解する前ブリーチング工程を実施しないように構成される。
【0011】
本発明者によれば、光デバイスの実装方法について、以下のような知見が得られた。
感光剤を含む仮固定用組成物からなる仮固定膜を用いることにより、仮固定膜の光吸収特性(すなわち、レーザー光吸収性)を高めることができ、上記移送工程中、レーザー照射による仮固定膜から光デバイスを分離しやすくなる。このため、マイクロ光デバイスのレーザートランスファ性を向上させることが可能になる事が判明した。
また、熱分解性の感光剤を用いることにより、実装プロセス中において付与される熱によって、熱分解性の感光剤を分解することで、仮固定膜とマイクロ光デバイスとの密着性を適度に制御することが可能になる。
ただし、上記の仮固定工程の前に、仮固定膜中の感光剤をブリーチングした場合、感光剤の熱分解に伴う発泡を膜外に除去することができるが、その結果、膜中に発泡が留まらない状態となる仮固定膜の密着性が予想以上に高くなってしまうことが判明した。
本明細書中、仮固定工程の前、すなわちボンディングの前に行われる感光剤の除去処理を、『前ブリーチング』と呼称する。
【0012】
一方、前ブリーチングを実施しない実装方法では、前ブリーチングを実施した場合と比べて、マイクロ光デバイスと仮固定膜との密着性を低くすることができるため、レーザートランスファ性を向上できる。仮固定膜の密着性が過度に高くなってしまうことを抑制できるためである。
【0013】
本実施形態の実装方法は、仮固定工程の後、移送工程の前に、仮固定膜中の感光剤を熱分解する後ブリーチング工程を含んでもよい。
ここで、本明細書中、上記の仮固定工程の後、すなわちボンディングの後、レーザー照射の前に行われる感光剤の除去処理を、『後ブリーチング』と呼称する。
【0014】
後ブリーチングを実施し、前ブリーチングを実施しない実装方法では、前ブリーチングを実施した場合やブリーチングを行わない場合と比べて、さらに密着性を低くできる。このため、レーザー照射直前において、仮固定膜からのマイクロ光デバイスの分離が容易となり、さらにレーザートランスファ性を向上できることが判明した。
【0015】
詳細なメカニズムは定かではないが、次のように推定される。
まず、ブリーチングによって、仮固定膜中の感光剤が分解し発泡する。感光剤として、ジアゾキノン系の感光剤を用いた場合、N2ガスの発泡が確認される。続いて、膜中で発生した発泡は、膜表面から膜外に移動しようとするが、膜表面に配置されたマイクロ光デバイスによって膜外へ移動が妨げられ、仮固定膜中に留まることになる。その結果、膜中に多くの発泡を含む仮固定膜は、マイクロ光デバイスとの接着強度を大幅に低減することになる、と考えられる。
【0016】
本実施形態では、たとえば仮固定膜中に含まれる各成分の種類や配合量、仮固定膜の調製方法等を適切に選択することにより、上記実装プロセス中の仮固定膜の密着強度を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、熱分解性の感光剤の添加量、ボンディング温度、後ブリーチングの加熱温度や加熱時間などを適度に調整すること等が、上記仮固定膜の密着強度を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
【0017】
本実施形態では、レーザー照射に加えて、加熱手段によって、感光剤を含む仮固定膜における密着性を適切に制御できるため、レーザートランスファ性に優れた実装方法を実現できる。
【0018】
以下、本実施形態光デバイスの実装方法について詳述する。
【0019】
図1は、本実施形態の光デバイスの実装方法の一例を示す工程断面図である。
【0020】
光デバイスの実装方法の一例は、固定膜形成工程、仮固定工程、および移送工程を有する。
【0021】
固定膜形成工程は、
図1(a)に示すように、透明基板10上に、仮固定用組成物を塗布して、仮固定膜20を形成する。
【0022】
仮固定膜20は、例えば、ワニス状の仮固定用組成物を基材上に塗布して得られた塗布膜(仮固定膜)に対して、溶剤除去処理を行うことにより得ることができる。
仮固定膜20は、仮固定用組成物が溶剤を含む場合、溶剤含有率が全体に対して10質量%以下とすることができる。
溶剤除去処理は、たとえば80℃~120℃、1分間~30分間の条件で行うことができる。
これにより、仮固定用組成物中の感光剤の熱分解を抑制しつつ、十分に溶剤を除去することが可能となる。
【0023】
塗布方法については、特に限定されないが、コーター装置を用いて樹脂組成物を基材に塗工した後、これを乾燥する方法、スプレー装置を用いて樹脂組成物を基材に噴霧塗工した後、これを乾燥する方法、などが挙げられる。コーター装置は、例えば、スピンコーター、コンマコーター、ダイコーターなどが用いられる。
なお、仮固定用組成物について、後述にて説明する。
【0024】
仮固定膜20の厚みは、例えば、1μm~100μm、好ましくは2μm~50μm、より好ましくは3μm~30μmである。上記下限値以上とすることで仮固定膜20の機械的強度を高められる。上記上限値以下とすることで面内方向における厚みバラツキを抑制できる。
本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
【0025】
仮固定工程は、
図1(b)(c)に示すように、エピタキシャル成長用基板40上に設けられた複数のマイクロ光デバイス30の少なくとも一部を、エピタキシャル成長用基板40から分離して、透明基板10上の仮固定膜20に仮固定する。
【0026】
仮固定工程では、まず、エピタキシャル成長用基板40上に配列された複数のマイクロ光デバイス30を準備する。
【0027】
マイクロ光デバイス30は、通常、エピタキシャル成長用基板40上に二次元状に複数個配列して形成されている。例えば、マイクロ光デバイス30は、格子状に配列していてもよい。
【0028】
エピタキシャル成長用基板40は、通常、厚み方向の上面視において、円形状、または四角形状を有する。エピタキシャル成長用基板40の構成材料は、例えば、シリコン、ガリウムヒ素、サファイアなどが挙げられる。
【0029】
図1(b)のエピタキシャル成長用基板40は、サファイア基板であってもよい。このサファイア基板上に、エピタキシャル成長法によって、窒化ガリウム層を有するマイクロ光デバイス30が形成されてもよい。
【0030】
マイクロ光デバイス30は、チップサイズに分割されたマイクロLEDチップでもよく、複数のマイクロLEDチップが連結したものであってもよい。
【0031】
なお、マイクロ光デバイス30の分割時期は、特に限定されないが、仮固定工程の前に分割してもよいが、仮固定工程の後に分割してもよい。
本実施形態の実施方法の一例は、仮固定工程の前に、マイクロ光デバイス30をチップサイズに分割して、マイクロLEDを形成する、マイクロLED形成工程を含んでもよい。これにより、仮固定膜20上に固定されたマイクロ光デバイス30の位置ずれや仮固定膜20の破損を抑制できる。
【0032】
分割方法は、エピタキシャル成長用基板40上の分割予定ラインに沿って、例えば、ダイシング装置によりダイシングする方法が用いられる。
【0033】
マイクロLEDチップは、例えば、0.5μm~200μmの幅、0.5μm~200μmの長さ、および0.5μm~200μmの高さを有してもよい。
マイクロLEDチップは、後述の回路基板50と電気的に接続するための、バンプなどの接続電極を有してもよい。
【0034】
続いて、エピタキシャル成長用基板40上に形成された複数のマイクロ光デバイス30を、所定面が向くようにして、透明基板10上に設けられた仮固定膜20の対向面に接するように転写する。
複数のマイクロ光デバイス30を、一括して転写させることが可能である。
【0035】
マイクロ光デバイス30の転写には、例えば、ボンディングツールを用いて、ボンディング方法が用いられる。ボンディング時に、透明基板10の下面やエピタキシャル成長用基板40の上面を加熱してもよい。マイクロ光デバイス30が配置された基板(エピタキシャル成長用基板40)の加熱温度をボンディング温度としたとき、ボンディング温度は、例えば、100℃~200℃としてもよい。
【0036】
また、仮固定工程は、レーザーリフトオフ法を用いて、レーザー光照射により、エピタキシャル成長用基板40上に設けられたマイクロ光デバイス30を分離するものであってもよい。
具体的には、
図1(b)のボンディングを行った後、
図1(c)に示すように、エピタキシャル成長用基板40の上面側からレーザー光照射を行い、マイクロ光デバイス30を仮固定膜20に転写させる。レーザーリフトオフ法によって、製造安定性および歩留まりに優れた光デバイスの実装方法を提供できる。
【0037】
仮固定工程の後には、移送工程の前に、仮固定膜20中の感光剤を熱分解する後ブリーチングを実施することができる。これにより、仮固定膜20の接着強度を適度に小さくすることができるため、マイクロ光デバイス30が仮固定膜20から分離しやすくなる。
【0038】
移送工程は、
図1(d)に示すように、レーザートランスファ法を用いて、仮固定膜20上に仮固定されたマイクロ光デバイス30の少なくとも一部を、レーザー光照射により、仮固定膜20から分離して、回路基板50上に移送する。
【0039】
移送工程では、まず、レーザー光を、透明基板10を介して、仮固定膜20に照射する。
【0040】
透明基板10は、レーザー光を透過する基板が好ましく、例えば、ガラス基板、石英基板、透明樹脂製基板が挙げられる。
透明基板10において、レーザー波長における光の透過率は、例えば、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。光の透過率は、分光光度計で測定できる。
【0041】
レーザー光として、仮固定膜20の密着性を低減できるものであれば特に限定されないが、例えば、YAGレーザー、ルビーレーザー、ガラスレーザー、YVO4レーザー、LDレーザー、ファイバーレーザー、光励起半導体レーザーを用いた全固体レーザー等の固体レーザー;色素レーザー等の液体レーザー;CO2レーザー、エキシマレーザー、Arレーザー、He-Neレーザー等の気体レーザーが挙げられる。
また、レーザー光の波長としては、発振波長が紫外線領域から赤外線領域までのいずれかの波長のレーザーが挙げられ、これらの中でも短波長、具体的には400nm以下、より好ましくは360nm以下の波長を用いてよい。
レーザー照射の条件は、光源等の種類によって異なるが、出力が通常は10mW~100W、積算光量が通常は10~10,000mJ/cm2としてもよい。
【0042】
ここで、仮固定膜20の全面にレーザー光を照射して全てのマイクロ光デバイス30を一括してピックアップしてもよいが、ピックアップを予定しているマイクロ光デバイス30に対応する箇所にレーザー光を照射し、選択的にピックアップしてもよい。
【0043】
移送工程では、続いて、仮固定膜20からマイクロ光デバイス30を分離(ピックアップ)し、マイクロ光デバイス30を回路基板50に移送させる。
ここでピックアップされるマイクロ光デバイス30は、1個であっても、例えば数百個から数百万個のように同時に複数個であってもよい。マイクロ光デバイス30の所定列(アレイ)をピックアップしてもよい。
【0044】
ピックアップには、例えば、コレットなどの、通常のキャリアツールを用いてもよい。
キャリアツールは、静電作用や真空吸着などによってマイクロ光デバイス30をピックアップし、移送し、回路基板50上に配置することができる。
【0045】
回路基板50として、例えば、ディスプレイ基板、照明基板、トランジスタまたは集積回路(IC)等の機能デバイスを有する基板などのように、配線等を有する回路基板が挙げられる。
【0046】
その後、移送されたマイクロ光デバイス30を回路基板50に電気的に接続する。例えば、半田材料で電気接続を行ってもよい。電気接続部位は、例えば、アンダーフィル材で封止されてもよい。
【0047】
以上により、回路基板50上にマイクロ光デバイス30が実装された電子装置が得られる。
【0048】
以下、上記の仮固定膜形成工程で使用される仮固定用組成物の各成分について詳述する。
【0049】
<環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー>
仮固定用組成物は、分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーを1種または2種以上含んでもよい。これにより、仮固定膜の耐熱性(Tg)を向上できる。また、仮固定膜における密着性や加工性を向上できる。
【0050】
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー(以下、単に「環状オレフィンポリマー」と呼称することもある。)とは、環状構造(脂環又は芳香環)と炭素-炭素二重結合とを有する環状オレフィン骨格を有するモノマー由来の構造単位を有するポリマーを意味する。
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、環状オレフィン単量体以外の単量体から導かれる単位を有していてもよい。環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、環状オレフィン単量体の単独重合体(開環重合体を含む)又は共重合体(開環共重合体を含む)である。
【0051】
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aを含むことが好ましい。
【0052】
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーの原料となるノルボルネン系モノマーは、下記式(a-1)で表されることが好ましい。
【0053】
【0054】
上記式(a-1)中、nは、0~2であることが好ましく、R1~R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~30の有機基であることが好ましい。また、R1~R4のうち、任意の2つが互いに結合して、アルキリデン基、単環又は多環構造を形成してもよい。式(a-1)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。有機基は、炭素数1~10であることが好ましく、R1~R4を構成する有機基は、その構造中にO、N、S、PおよびSiから選択される1以上の原子を含んでいてもよい。
【0055】
炭素原子数1~10の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基、などが挙げられる。極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1~10のアルコキシル基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、エポキシ基、カルボニルオキシカルボニル基(ジカルボン酸の酸無水物残基)、アルコキシ基、カルボニル基、第三級アミノ基、スルホン基、アクリロイル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
【0056】
上記式(a-1)で表されるモノマーとしては、2-ノルボルネン;5-メチル-2-ノルボルネン、5,5-ジメチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネンなどのアルキル基(C1~C10アルキル基)を有するノルボルネン類;5-エチリデン-2-ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5-メトキシカルボニル-2-ノルボルネン、5-メチル-5-メトキシカルボニル-2-ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5-シアノ-2-ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5-フェニル-2-ノルボルネン、5-フェニル-5-メチル-2-ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6-エチル-オクタヒドロナフタレンなどのアルキル基を有する、オクタリン8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-n-プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-n-ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-(1-ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-(2-ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-(4-フェニルフェノキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-n-プロポキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-イソプロポキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-n-ブトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-フェノキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン8-メチル-8-(1-ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-(2-ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-(4-フェニルフェノキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン等を挙げることができる。
【0057】
上記した中でも、ノルボルネン系モノマーとして、2-ノルボルネン;5-メチル-2-ノルボルネン、5,5-ジメチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネンなどのアルキル基(C1~C10アルキル基)を有するノルボルネン類;5-エチリデン-2-ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5-メトキシカルボニル-2-ノルボルネン、5-メチル-5-メトキシカルボニル-2-ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5-シアノ-2-ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5-フェニル-2-ノルボルネン、5-フェニル-5-メチル-2-ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6-エチル-オクタヒドロナフタレンなどのアルキル基を有するオクタリンなどが好ましい。
【0058】
これらのノルボルネン系モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのノルボルネン系モノマーのうち、二環式オレフィンが好ましく、このうち、ノルボルネンやアルキル基(メチル基、エチル基などのC1~C10アルキル基)を有するノルボルネンなどのノルボルネン類が好ましい。
【0059】
ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aは、下記の式(A11)で表される構造単位A11を含んでもよい。
【0060】
【0061】
また、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aは、下記の式(A12)で表される構造単位A12を含んでもよい。例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合により形成することにより、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー中に、構成単位(A12)を含めることができる。
【0062】
【0063】
構造単位式(A11)、式(A12)は、それぞれ、これらの構造単位を単独で用いても2種以上を組み合わせて、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー中に含まれていてもよい。
【0064】
上記式(A11)、式(A12)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して水素原子、水酸基または炭素数1~30の有機基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~10の有機基である。これらの有機基はカルボキシル基、グリシジル基、オキセタニル基等の官能基を有していてもよく、グリシジル基を有することが好ましい。架橋しうる官能基を含むことにより、ポリマーを含む仮固定用組成物から構成される膜の硬化度を向上させることができる。
また、式(A11)、式(A12)中、nは、例えば、0、1または2であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることがより好ましい。
【0065】
R1~R4を構成する有機基は、その構造中にO、N、S、PおよびSiから選択される1以上の原子を含んでいてもよい。
【0066】
式(A11)、(A12)中のR1、R2、R3およびR4は、式(a-1)中のR1~R4に準じたものがあげられるが、R1~R4を構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられる。
【0067】
アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
【0068】
さらに、R1~R4を構成するアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基は、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。また、ハロアルキルアルコール基とすることで、耐熱変色性を向上させることができる。
【0069】
なお、環状オレフィンポリマーを含んで構成される膜の光透過性を高める観点からは、R1~R4のいずれかが水素であることが好ましく、たとえば、式(A11)、(A12)の構造単位を採用する場合にあっては、R1~R4すべてが水素であることが好ましい。
【0070】
本実施形態の環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aを含むポリマーであることが好ましい。構造単位Aを有し、ノルボルネン骨格を有することで、より密着性を向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態の一つとして、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、無水マレイン酸、マレイミドまたはこれらの誘導体由来の構造単位Bを含んでもよい。これにより、加工性を一層向上させることができる。
【0072】
無水マレイン酸、マレイミドまたはこれらの誘導体由来の構造単位Bは、無水マレイン酸または無水マレイン酸誘導体(無水マレイン酸系モノマー)に由来する構造単位を含むことができる。
【0073】
無水マレイン酸または無水マレイン酸誘導体として、たとえば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ジメチル無水マレイン酸またはこれらの誘導体が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。このように構造単位Bは、分子内に環状構造を有する不飽和カルボン酸無水物に由来する構造単位を備えることができる。
【0074】
無水マレイン酸または無水マレイン酸誘導体に由来する構造単位Bは、下記の式(1)で示される構造単位を含ことができる。
【0075】
【0076】
上記式(1)中、RX、RYは、それぞれ独立して水素または炭素数1~3の有機基であることが好ましく、それぞれ独立して水素又は炭素数1の有機基であることがより好ましく、RXが水素かつRYが水素又は炭素数1の有機基であることが更に好ましく、RXとRYが水素であることが一層好ましい。
【0077】
上記式(1)中、RX及びRYを構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられる。また、アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばシクロプロピル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
【0078】
環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、上記の構造単位Aまたは構造単位Bのいずれか一方を少なくとも含んでもよく、構造単位Aおよび構造単位Bの両者を含む共重合体であってもよい。
また、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーは、上記の式(1)で示される構造単位中の酸無水環が開環したエステル化合物由来の構造単位を有することができ、好ましくは、無水マレイン酸の酸無水環が開環したエステル化合物由来の構造単位Cを有することができる。
【0079】
上記構造単位Cは、たとえば、下記式(B2)により示される構造単位を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】
【0081】
一般式(B2)中のRB1は、水素または炭素数1~30の有機基を含むものである。このRB1は、エステル結合、アミド結合、ケトン結合、ウレア結合、ウレタン結合等で結合基を介して結合する有機基であってもよい。
【0082】
上記一般式(B2)中のRB1を構成する有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基およびヘテロ環基が挙げられる。
【0083】
上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基及びt-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基が挙げられる。ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
【0084】
上記一般式(B2)中のRB1としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、及び、アルキニル基からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、アルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。これにより、RB1中の結合が開裂することを抑制できる。したがって、共重合体の耐熱性を向上できる。
【0085】
上記一般式(B2)中、RB1としては、例えば、エステル結合を介して結合する、水素原子及び炭素原子からなる群より選択される1種以上の原子によって形成される脂肪族基であることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましい。
【0086】
上記無水マレイン酸、マレイミドまたはこれらの誘導体由来の構造単位Bは、マレイミドまたはマレイミド誘導体由来の構造単位を含むことができる。これにより、加工性、耐熱性を高めることができる。
【0087】
上記マレイミドまたはマレイミド誘導体由来の構造単位は、下記式(8)で表されるマレイミド系モノマーに由来する構造単位を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0088】
【0089】
R12は、水素原子またはC1~C30の有機基である。R12を構成するC1~C30の有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、もしくはシクロアルキル基等の炭化水素基が挙げられる。アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、およびナフチル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。なお、R5に含まれる一以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素等のハロゲン原子によって置換されていてもよい。
【0090】
また上記共重合体は、上述の構造単位A~構造単位Cに加えて、その他のエチレン性二重結合を有する化合物に由来する構造単位Dを含んでいてもよい。その他のエチレン性二重結合を有する化合物としては、例えば、スチレン、ヒドロキシスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素数2~20のα-オレフィン;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ジエン;アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸等のアクリル酸類;マレイン酸、ジメチルマレイン酸、ジエチルマレイン酸、ジブチルマレイン酸等のマレイン酸類などが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0091】
ポリマー中の、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位Aの含有比率は、ポリマー中の全構造単位を基準として、好ましくは30mol%以上であり、より好ましくは、50mol%以上である。上記範囲にすることにより、仮固定膜として十分な耐熱性を得ることができる。
【0092】
本実施形態の仮固定用組成物において、上記環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーの含有量は、当該仮固定用組成物の不揮発成分100質量%に対して、20質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上60質量%以下である。このような数値範囲とすることにより、密着性と加工性とのバランスを図ることが可能である。
【0093】
本実施形態において、仮固定用組成物の不揮発成分とは、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。仮固定用組成物の不揮発成分全体に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、仮固定用組成物のうちの溶媒を除く不揮発成分全体に対する含有量を指す。
【0094】
<感光剤>
仮固定用組成物は、1種または2種以上の感光剤を含む。これにより、仮固定膜のレーザー光吸収性を向上できる。
【0095】
感光剤として、熱分解性を有するものを用いることができる。これにより、仮固定用組成物からなる仮固定膜に対して、所定の感光剤分解処理(いわゆる、ブリーチング)を実施することにより、当該樹脂膜中に残存する感光剤を除去(分解)することができ、それにより、光デバイスとの密着性を制御できる。
【0096】
上記感光剤は、たとえばジアゾキノン化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩もしくはスルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2-ニトロベンジルエステル化合物、N-イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン化合物、またはジヒドロピリジン化合物を用いることができる。この中でも、感度や溶剤溶解性に優れるジアゾキノン化合物を用いることがとくに好ましい。
【0097】
仮固定用組成物中の感光剤の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマー100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。
また、仮固定用組成物中の感光剤の含有量の上限は、環状オレフィンポリマー100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。感光剤の含有量が上記範囲内であることで適度なレーザー光吸収性を発揮することができる。
【0098】
<フェノキシ樹脂>
仮固定用組成物は、フェノキシ樹脂として、ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが1,000以上10,000以下である第一フェノキシ樹脂を1種または2種以上含んでもよい。これにより、仮固定膜の密着性を向上できる。
【0099】
第一フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、1000~10000、1500~8000、より好ましくは2000~6000、さらに好ましくは2000~4500である。
第一フェノキシ樹脂の重量平均分子量において、上記下限値以上とすることにより、引張り伸び率を向上でき、一方、上記上限値以下とすることにより、低温接着性を向上できる。
【0100】
重量平均分子量(Mw)は、たとえばGPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めた、ポリスチレン換算値を用いる。
測定条件は、たとえば以下の通りである。
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
カラム:東ソー社製TSK-GEL Supermultipore HZ-M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
【0101】
本明細書において、フェノキシ樹脂とは、低分子量エポキシ化合物を、ヒドロキシポリエーテル結合により高分子化させた樹脂をいう。フェノキシ樹脂は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂をヒドロキシポリエーテル結合により高分子化させることにより、熱可塑性の性質を有する。フェノキシ樹脂は、その末端及び/又は内部に官能基を有することが好ましく、その両末端にエポキシ基を有する、2官能の樹脂であることがより好ましい。
【0102】
フェノキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるヒドロキシポリエーテルであっても、ビスフェノール類と2官能エポキシ化合物より合成されるヒドロキシポリエーテルであっても、ビスフェノール型エポキシ化合物と2価アルコール化合物より合成されるヒドロキシポリエーテルであってもよい。
また、フェノキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ノボラック骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの骨格を複数種類有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーに、フェノキシ樹脂を組み合わせることで、エポキシ化合物に起因する剛直性と、ヒドロキシポリエーテル結合に起因する柔軟性とが寄与し、低温で接着可能であり、なおかつ、接着強度に優れ、耐薬品性に優れる仮固定用組成物が得られるものと推定される。
【0103】
これらの中でも、第一フェノキシ樹脂として、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂を用いることができる。ビスフェノール骨格を有する第一フェノキシ樹脂と、分子中に環状オレフィン由来の構造単位を含有するポリマーとの組み合わせにより、より低温で接着可能であり、なおかつ、接着強度に優れ、耐薬品性に優れる仮固定用組成物とすることができる。
【0104】
第一フェノキシ樹脂は、炭素数3~30のアルキレン基を有することが好ましく、より好ましくは炭素数2~10のアルキレン基、特に好ましくは炭素数4~8のアルキレン基を有することが好ましい。これにより、仮固定膜の伸張性を得つつ、仮固定膜の耐久性向上を図ることができる。
【0105】
第一フェノキシ樹脂は、その繰り返し単位中に、上記した炭素数のアルキレン基、及び、ビスフェノール骨格を有することが特に好ましい。
ビスフェノール骨格、及び、アルキレン基を有する第一フェノキシ樹脂は、第一フェノキシ樹脂中におけるアルキレン基の位置は特に限定されないが、分子末端のエポキシ基と分子中のビスフェノール骨格との間に、炭素数3~30のアルキレン基を有するものが好ましい。
【0106】
仮固定用組成物中の第一フェノキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、環状オレフィンポリマー100質量%に対して、5~50質量%。好ましくは10~30質量%である。
第一フェノキシ樹脂の含有量が上記下限値以上とすることにより密着性を向上できる。一方、第一フェノキシ樹脂の含有量が上記上限値以下とすることにより、他の特性とのバランスを図ることができる。
【0107】
第一フェノキシ樹脂は、例えば、50℃で液状の成分、好ましくは25℃で液状の成分を含んでもよい。これにより、100℃における密着性を向上できる。
【0108】
また、第一フェノキシ樹脂は50℃における粘度が、1~20Pa・sであることが好ましく、3~10Pa・sであることが好ましい。
粘度を上記範囲内とすることにより、機械的特性と低温接着性のバランスに優れたものとすることができる。なお、フェノキシ樹脂の粘度は、例えば、E型粘度計を用いて測定することができる。
【0109】
仮固定用組成物は、第一フェノキシ樹脂の他に、他の第二フェノキシ樹脂を含んでもよい。
第二フェノキシ樹脂は、例えば、ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwが10,000超の成分を含んでもよい。また、第二フェノキシ樹脂は、50℃で固形の成分を含んでもよい。
【0110】
<架橋剤>
仮固定用組成物は、1種または2種以上の架橋剤を含んでもよい。
架橋剤は、上記環状オレフィンポリマーと架橋反応できるものであれば、特に限定されない。これにより、密着性を高めることができる。
【0111】
上記架橋剤は、1種または2種以上の環状エーテル基を有する化合物を含むことができる。
上記環状エーテル基を有する化合物は、たとえば、エポキシ樹脂またはオキセタン化合物を含むことができる。
【0112】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。エポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
【0113】
また、エポキシ樹脂としては、3官能以上の多官能エポキシ樹脂(つまり、1分子中にエポキシ基が3個以上あるもの)を含むことができる。多官能エポキシ樹脂としては、3官能以上20官能以下のものがより好ましい。
【0114】
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-([2,3-エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパン、フェノールノボラック型エポキシ、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、α-2,3-エポキシプロポキシフェニル-ω-ヒドロポリ(n=1~7){2-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンジリデン-2,3-エポキシプロポキシフェニレン}、1-クロロ-2,3-エポキシプロパン・ホルムアルデヒド・2,7-ナフタレンジオール重縮合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが用いられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いても良い。
【0115】
オキセタン化合物は、オキセタニル基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、1,4-ビス{[(3-エチルー3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4'-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3-[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタンー3-イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0116】
エポキシ樹脂は25℃で固形であることが好ましい。
本実施形態の一例として、仮固定用組成物は、50℃で液状の第一フェノキシ樹脂と、25℃で固形のエポキシ樹脂を含むことが好ましく、25℃で液状の第一フェノキシ樹脂と、25℃で固形のエポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
液状のフェノキシ樹脂と、25℃で固形のエポキシ樹脂を組み合わせることにより、接着に要する温度を下げることができ、かつ、密着力を向上することができる。
【0117】
上記架橋剤の含有量の下限は、仮固定用組成物の不揮発成分100質量%中、例えば、10質量%以上であり、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。これにより、仮固定膜における耐熱性や機械的強度を向上させることができる。
一方、架橋剤の含有量の上限は、仮固定用組成物の不揮発成分100質量%中、例えば、50質量%以下であり、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。これにより、仮固定用組成物において、成膜性を向上させることができる。
【0118】
<フェノール化合物>
仮固定用組成物は、1種または2種以上のフェノール化合物を含んでもよい。
フェノール化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
【0119】
詳細なメカニズムは定かでないが、フェノール化合物を含むことにより、ワニス状の仮固定用組成物中において、環状オレフィンポリマーと他の成分(例えば、感光剤や紫外線吸収剤)との相溶性を高めることができ、接着性、加工性を向上できるものと考えられる。
【0120】
フェノール化合物は、分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物を含むことが好ましい。
【0121】
フェノール化合物として、下記のフェノール樹脂や低分子のフェノール化合物を用いることができる。
フェノール樹脂の具体例は、公知のもののなかから適宜選択することができるが、たとえばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、トリスフェニルメタン型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂を用いることができる。この中でも、ノボラック型フェノール樹脂を用いることができる。
低分子のフェノール化合物の具体例としては、ビフェノール、4-エチルレソルシノール、2-プロピルレソルシノール、4-ブチルレソルシノール、4-ヘキシルレソルシノール、2-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'-ジヒドロキシジフェニルジスルフィド、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2'-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビフェノール、4,4'-(1,3-ジメチルブチリデン)ジフェノール、4,4'-(2-エチルヘキシリデン)ジフェノール、4,4'-エチリデンビスフェノール、2,2'-エチレンジオキシジフェノール、3,3'-エチレンジオキシジフェノール、1,5-ビス(o-ヒドロキシフェノキシ)-3-オキサペンタン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フロログルシド、α,α,α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン等を挙げることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0122】
仮固定用組成物中のフェノール化合物の含有量は、環状オレフィンポリマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上30質量部以下であり、好ましくは3質量部以上25質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上20質量部以下である。上記の範囲内で配合することで仮固定膜の耐熱性や強度が向上する。
【0123】
<界面活性剤>
仮固定用組成物は、1種または2種以上の界面活性剤を含んでもよい。
これにより、均一な樹脂膜を得られること(塗布性の向上)や、接着強度の向上にも寄与する。
【0124】
界面活性剤は、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含む界面活性剤を含むことが好ましい。
【0125】
界面活性剤としてより具体的には、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤として使用可能な市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F-251、F-253、F-281、F-430、F-477、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-572、F-574、F-575、F-576、R-40、R-40-LM、R-41、R-94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0126】
フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤により、接着強度の向上が図れる理由については明らかではないが、推定される原因として、たとえば(i)膜表面が平滑になる結果、膜を加熱押圧して接着する際の接着面積が増すこと、(ii)界面活性剤が仮固定膜の表面に偏在することで、仮固定膜の表面が熱で部分的に融解しやすくなること、等が考えられる。
【0127】
界面活性剤の含有量は、仮固定用組成物の不揮発性成分100質量%中、通常0.001~1質量%、好ましくは0.003~0.5質量%、より好ましくは0.005~0.3質量%、さらに好ましくは0.008~0.1質量%、特に好ましくは0.01~0.05質量%である。この範囲とすることで、上述の接着強度の向上の効果をより一層得ることが期待できる。
【0128】
<密着助剤>
仮固定用組成物は、1種または2種以上の密着助剤を含んでもよい。
これにより、仮固定膜の密着性を向上できる。
【0129】
密着助剤として、例えば、シランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤は、官能基として酸無水物を含有するシランカップリング剤(以下、省略して「酸無水物含有シランカップリング剤」ともいう。)を含んでもよい。これにより、無機材料に対する密着性を向上できる。すなわち、貫通配線や半導体チップ等に対する密着性が良好な仮固定膜が得られる。
このような酸無水物含有シランカップリング剤は、官能基である酸無水物が無機酸化物を溶解させるとともに、陽イオン(金属陽イオン等)と配位結合する。
【0130】
一方、酸無水物含有シランカップリング剤に含まれるアルコキシ基は、加水分解して例えばシラノールとなる。このシラノールは、無機材料の表面水酸基と水素結合する。これらの結合機構に基づいて、無機材料に対する密着性が良好な仮固定用組成物が得られると考えられる。
【0131】
酸無水物含有シランカップリング剤として、具体的には、アルコキシシリル基を含む化合物が好ましく用いられ、アルコキシシリル基含有アルキルカルボン酸無水物が好ましく用いられる。このようなカップリング剤によれば、無機材料に対する密着性がより良好な仮固定用組成物が得られる。
【0132】
アルコキシシリル基を含む化合物の具体例としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物のようなコハク酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物のようなジカルボン酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3-ジメチルエトキシシリルプロピルフタル酸無水物のようなフタル酸無水物等のアルコキシシリル基含有アルキルカルボン酸無水物が挙げられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
【0133】
これらの中でもコハク酸無水物が好ましく、アルコキシシリル基含有コハク酸無水物がより好ましく用いられ、特に3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物がより好ましく用いられる。かかるカップリング剤によれば、分子長や分子構造が最適化されるため、前述した密着性がより良好になる。
【0134】
密着助剤の添加量は、特に限定されないが、仮固定用組成物の不揮発性成分100質量%中、0.3~5質量%程度であるのが好ましく、0.5~4.5質量%程度であるのがより好ましく、0.7~4質量%程度であるのがさらに好ましい。密着助剤の添加量を前記範囲内に設定することにより、例えば無機材料に対する密着性が特に良好な仮固定膜が得られる。
【0135】
また、酸無水物含有シランカップリング剤に代えて/加えて、他のカップリング剤を使用してもよい。
酸無水物含有シランカップリング剤以外の他のシランカップリング剤としては、例えば、官能基としてアミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、ビニル基、ウレイド基、スルフィド基等を含むシランカップリング剤が挙げられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
【0136】
このうち、アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えばビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノ-プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0137】
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0138】
アクリル基含有シランカップリング剤としては、例えばγ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基含有シランカップリング剤としては、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0139】
ビニル基含有カップリング剤としては、例えばビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基含有カップリング剤としては、例えば3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0140】
スルフィド基含有シランカップリング剤としては、例えばビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
【0141】
その他のシランカップリング剤の添加量は、特に限定されないが、酸無水物含有シランカップリング剤の1~600質量%程度であるのが好ましく、3~400質量%程度であるのがより好ましく、5~300質量%程度であるのがさらに好ましい。添加量をこの範囲内に設定することにより、酸無水物含有シランカップリング剤による前述した作用が損なわれることなく、その他のカップリング剤の添加によって別の作用が追加されることとなる。その結果、双方のカップリング剤によってもたらされる効果の両立を図ることができる。
【0142】
仮固定用組成物は、1種または2種以上の溶剤を含んでもよい。
【0143】
上記溶剤としては、仮固定用組成物の各成分を溶解可能なもので、且つ、各構成成分と化学反応しないものであれば特に制限なく用いることができる。
【0144】
溶剤は、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ラクトン系溶剤、カーボネート系溶剤などの有機溶剤を挙げることができる。
【0145】
溶剤の一例としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γブチロラクトン、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル-1,3-ブチレングリコールアセテート、1,3-ブチレングリコール-3-モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びメチル-3-メトキシプロピオネート等の有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0146】
仮固定用組成物が溶剤を含む場合、その量は特に限定されないが、組成物中の不揮発成分の濃度が例えば10~70質量%、好ましくは15~60質量%となるような量で使用される。溶剤の量を適当に調整することで、例えば仮固定用組成物を塗布して製膜する際の膜厚を調整することができる。
【0147】
本実施形態の仮固定用組成物には、上記の成分に加えて、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、酸化防止剤、シリカ等の充填材、増感剤、フィルム化剤等が挙げられる。
【0148】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0149】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0150】
<仮固定用組成物の調製>
原料として、環状オレフィンポリマーA-1 100質量部、エポキシ樹脂B-1 50質量部、フェノキシ樹脂C-1 25質量部、および感光剤D-1 30質量部を混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させて、不揮発成分が40質量%の混合溶液を得た。その後、混合溶液を1μmのポリエチレン中空糸フィルターで濾過し、仮固定用組成物を得た。
【0151】
(環状オレフィンポリマー)
・環状オレフィン樹脂A-1:下記合成例1で合成された環状オレフィン樹脂
<合成例1:環状オレフィンポリマーの合成>
撹拌機、冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸122.4g(1.25mol)、2-ノルボルネン117.6g(1.25mol)およびジメチル2、2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート11.5g(0.05mol)を計量し、メチルエチルケトン150.8gおよびトルエン77.7gに溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃で16時間、加熱した(重合工程)。
その後、この溶解液に、MEK320gを加えた後、水酸化ナトリウム12.5g0.31mol)、ブタノール463.1g(6.25mol)、トルエン480gの懸濁液に加え、無水マレイン酸由来の環状の構造体の繰り返し単位のうち、50%以上の繰り返し単位が閉環した状態となるように、45℃で3時間混合した。そして、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸88質量%水溶液、49.0g(0.94mol)で処理してプロトン付加した(開環工程)。
その後、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。次いで、メタノール、ヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらにプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセタート(PGMEA)を添加し、系内のメタノール及びブタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。これにより、重量平均分子量Mwが13,700である、下記式(A-1)により示される繰り返し単位を有する環状オレフィン樹脂(共重合体)のPGMEA溶液を得た。
【0152】
【0153】
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂B-1:下記式で表される多官能エポキシ樹脂(プリンテック株式会社製、VG3101L、25℃で固体)
【化8】
【0154】
(フェノキシ樹脂)
・フェノキシ樹脂C-1:下記合成例2で合成されたフェノキシ樹脂
<合成例2:フェノキシ樹脂の合成>
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを100質量部、ビスフェノールFを69.3質量部、トリフェニルホスフィン(触媒)を0.15質量部準備した。これらをシクロヘキサノン溶媒と混合し、耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気の下、180℃で5時間、重合反応を行い、下記式で表されるフェノキシ樹脂を得た。
なお、得られたフェノキシ樹脂は25℃および50℃で液状であり、重量平均分子量は4000前後(ポリスチレン換算値)であった。
【0155】
【0156】
(光吸収剤)
・感光剤D-1:下記式で表されるジアゾキノン化合物(GPA-250、ダイトーケミックス社製)
【0157】
【0158】
【0159】
得られた仮固定用組成物について、以下の項目について評価を行った。
【0160】
<接着強度>
(1)厚さ0.725mmのシリコンウェハ上に、得られた仮固定用組成物をスピンコートにより塗布し、樹脂膜を形成した。
(2)(1)で得られた樹脂膜が形成されたウェハを、ホットプレートを用いてプリベークした。プリベークは110℃で3分間行った。プリベーク後の樹脂膜の膜厚は5.2μmであった。
(3)(2)で得られたウェハの、プリベーク後の樹脂膜がある部分を、ダイシングソーを用いて切り出し、10mm×10mm角の正方形の評価用基板(下チップ)を作製した。
また、5mm×5mm角の正方形の評価用基板(上チップ)として、SiO2チップを準備した。
次に、ステージ上に、下チップを、プリベーク後の樹脂膜がある面を上にして静置した。そして、下チップのプリベーク後の樹脂膜と上チップのSiO2膜とが密着するように、下チップの上に上チップを静置した。
その後、静置した下チップおよび上チップの上下から加熱・押圧した。
このとき、下からの加熱温度は30℃に設定した。市販の半導体組立用ボンディングツールを用い、加熱したボンディングヘッドを上チップに押し当てることで熱と圧力を加えた。ボンディングヘッドの温度を、表1のボンディングトップツール温度とし、時間10秒、圧力25Nの条件で、下チップに上チップをボンディングし、接着済みサンプルを得た。
ここで、「25N」とは、5mm×5mmの上チップに対して25Nの力をかけたということであり、単位面積あたりの力(すなわち圧力)としては、1N/mm2すなわち1MPaである。
(4)その後、接着済みサンプルの上チップに、エポキシ樹脂付きAlピン(Φ5.2mm、株式会社フォトテクニカ製)を立て、100℃で1時間熱処理し、Alピン付き接着サンプルAを得た。
得られたAlピン付き接着サンプルAを、引張試験機(テンシロンRTC-1210A、オリエンテック社製)を用いて1mm/minで引張試験を行い、破壊時の破断強度を測定する。測定はN=5で行い、平均値を算出した。破断強度の平均値を接着強度とした。
ただし、実施例3~5では、上記(3)の100℃で1時間熱処理の後、窒素雰囲気下、表1の後ブリーチング温度で、10分の加熱を追加して行った。比較例1では、上記(2)と(3)との間に、窒素雰囲気下、100℃で30分、130℃で30分の加熱を追加して行った(前ブリーチング温度)。
【0161】
<レーザートランスファ性>
ガラス基板上に、仮固定用組成物をスピンコートにより塗布し、樹脂膜を形成した。
樹脂膜が形成されたガラス基板を、ホットプレートを用いてプリベークした。プリベークは110℃で3分間行った。プリベーク後の樹脂膜の膜厚は5.2μmであった。
樹脂膜上に複数のSiO2チップを載せ、ガラス基板とチップとを上下から、市販の半導体組立用ボンディングツールを用い、ボンディングした。ボンディング条件は、下からの加熱温度を30℃、表1のボンディングトップツール温度、時間10秒、圧力25Nとした。
続いて、100℃で1時間熱処理した後、ガラス基板の下から、波長355nm、出力800mW、積算光量5000mJ/cm2のレーザーを照射した。
レーザー照射後、樹脂膜から複数のSiO2チップをピックアップした。
ただし、実施例3~5では、上記の100℃で1時間熱処理の後、窒素雰囲気下、表1の後ブリーチング温度で、10分の加熱を追加して行った(後ブリーチング)。比較例1では、上記のプリベークとボンディングの間に、窒素雰囲気下、100℃で30分、130℃で30分の加熱を追加して行った(前ブリーチング)。
表1のレーザートランスファ性について、10個中10個のチップをピックアップ可能の場合を○、10個中5個以上9個以下の場合を△、10個中4個以下の場合を×と評価した。
【0162】
<光の透過率:レーザー光吸収性>
以下手順により測定した。
以下手順により測定した。
(1)得られた仮固定用組成物をガラス板(コーニングEagle XG, 0.7mmt)にスピンコートした。回転数などについては、膜厚が25μmとなるように適宜調整した。その後、100℃で3分乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。これによりシリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。
(2)(1)で得られた樹脂膜を、N2雰囲気のオーブン内で、130℃、30分間加熱し、その後室温まで放冷した。これを光の透過率の測定用サンプルとした。
(3)(2)で得られた測定用サンプルを、日本分光株式会社製の紫外可視近赤分光光度計「JASCOV-670」にセットし、波長200~2000nm範囲の透過率を測定した。この測定結果より、膜厚5μmの樹脂膜の光の透過率(波長355nm、266nm、248nm)を得た。
【0163】
<視認性>
上記<光の透過率の測定>の(1)~(3)のようにして測定用サンプルを得た。
測定用サンプル下の文字の見え方を、目視にて評価した。
表1の視認性について、文字が明確に見えて読める場合を○、文字は読めるが、にじんだりぼやけたりする部分がある場合を△、文字が読めない場合を×と評価した。
【0164】
実施例1~5のマイクロLEDの実装方法(プロセス)では、比較例1と比べて、仮固定膜から半導体素子(マイクロ光デバイス)を引き剥がす時の仮固定膜の接着強度を適度の低くすることが可能となり、レーザートランスファ性に優れる得られる結果を示した。