(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182482
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】植栽基盤
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
E03F1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090067
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA11
(57)【要約】
【課題】雨水が表面排水として敷地外へと流出することを抑制する。
【解決手段】植栽基盤100は、植物を配置可能な土壌10と、土壌10の一部に設けられ、土壌10の表面を流れる雨水を貯留可能な貯留領域20と、土壌10のうち平面視における貯留領域20の周囲であって貯留領域20から溢れた雨水が流入する位置に配置され、流入した雨水を土壌10の内部へ浸透させる浸透領域30とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を配置可能な土壌と、
前記土壌の一部に設けられ、前記土壌の表面を流れる雨水を貯留可能な貯留領域と、
前記土壌のうち平面視における前記貯留領域の周囲であって前記貯留領域から溢れた雨水が流入する位置に配置され、流入した雨水を前記土壌の内部へ浸透させる浸透領域と
を備える植栽基盤。
【請求項2】
前記土壌は、前記貯留領域と前記浸透領域との間に前記浸透領域の上面よりも上方に突出した土手部を有する
請求項1に記載の植栽基盤。
【請求項3】
前記土壌は、前記土壌の表面を流れる雨水を前記貯留領域に導く導水路を有する
請求項1又は請求項2に記載の植栽基盤。
【請求項4】
前記導水路は、前記浸透領域よりも低い位置に配置される
請求項3に記載の植栽基盤。
【請求項5】
前記浸透領域は、平面視において前記貯留領域を中心とした環状に設けられる
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の植栽基盤。
【請求項6】
前記土壌は、前記浸透領域の外側の領域から前記貯留領域に向けて徐々に高さが低くなるように形成される
請求項5に記載の植栽基盤。
【請求項7】
前記貯留領域の底部は、前記浸透領域の表面よりも低い位置に配置される
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の植栽基盤。
【請求項8】
前記貯留領域の底部は、前記浸透領域の表面よりも高い位置に配置される
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の植栽基盤。
【請求項9】
前記浸透領域は、前記土壌との境界部分に、株元から林立する葉を有する植物が配置される
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の植栽基盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽基盤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の都市では、コンクリート舗装化や多発する豪雨により、雨水が表面排水として敷地外へ流出して、河川又は下水道等の排水路の処理量を超過し、下水の河川流出による河川汚染や河川の氾濫や引き起こすことが懸念されている。これに対して、雨水が敷地外に流出することを抑制可能な技術として、例えば雨水を地盤内部に浸透させる浸透排水部を地盤中に配置する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、地盤を流れる雨水に含まれる懸濁物等により浸透排水部が目詰まりする可能性がある。この場合、雨水を地盤内部に十分に浸透させることが困難となり、雨水が表面排水として敷地外へ流出される可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、雨水が表面排水として敷地外へと流出することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る植栽基盤は、植物を配置可能な土壌と、前記土壌の一部に設けられ、前記土壌の表面を流れる雨水を貯留可能な貯留領域と、前記土壌のうち平面視における前記貯留領域の周囲であって前記貯留領域から溢れた雨水が流入する位置に配置され、流入した雨水を前記土壌の内部へ浸透させる浸透領域とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明係る植栽基盤は、雨水が表面排水として敷地外へと流出することを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る植栽基盤の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、植栽基盤の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、植栽基盤の他の例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、浸透領域の断面構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、浸透領域の断面構成の他の例を示す図である。
【
図6】
図6は、浸透領域の断面構成の他の例を示す図である。
【
図7】
図7は、浸透領域の断面構成の他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、植栽基盤に雨水が流れる様子を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る植栽基盤を示す断面図である。
【
図10】
図10は、変形例に係る植栽基盤を示す平面図である。
【
図12】
図12は、変形例に係る植栽基盤を示す断面図である。
【
図13】
図13は、変形例に係る植栽基盤を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る植栽基盤の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る植栽基盤100の一例を示す平面図である。
図2は、植栽基盤100の一例を示す断面図である。
図2は、
図1におけるA-A断面に沿った構成を示している。
【0011】
図1及び
図2に示すように、植栽基盤100は、土壌10と、貯留領域20と、浸透領域30とを有する。植栽基盤100は、例えば都市におけるオフィスビル、商業施設、教育施設等の施設内に設置可能である。
【0012】
土壌10は、植物を配置可能である。土壌10を構成する土としては、例えば、マサ土、砂、鹿沼土、関東ローム等が挙げられる。土壌10は、施設の敷地における所定の範囲に設けられる。土壌10は、例えば平面視において円形状に区画される。なお、土壌10の平面視における形状は、円形に限定されず、他の形状であってもよい。
【0013】
貯留領域20は、土壌10の一部に設けられ、土壌10の表面を流れる雨水を貯留可能である。貯留領域20は、例えば土壌10に形成された凹部を有し、当該凹部の底部に遮水シート又は粘土等の浸水抑制層が形成された構成とすることができる。貯留領域20は、土壌10において、浸透領域30よりも低い位置に配置される。より具体的には、貯留領域20の底部20aは、浸透領域30の表面30aよりも低い位置に配置される。この構成により、土壌10の表面を流れる雨水が貯留領域20に集まりやすくなる。
【0014】
浸透領域30は、土壌10のうち平面視における貯留領域20の周囲であって、貯留領域20から溢れた雨水が流入する位置に配置される。浸透領域30は、流入した雨水を土壌10の内部へ浸透させる。浸透領域30は、平面視において貯留領域20を中心とした環状(例えば、円環状)に設けられる。
図1において、浸透領域30は、周方向に分離された構成であるが、これに限定されず、周方向に連続した構成であってもよい。また、浸透領域30は、円環状に限定されず、矩形、三角形等の多角形の環状であってもよいし、楕円形の環状であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。また、浸透領域30は、貯留領域20を中心とする放射方向の外側に向けて複数段に設けられてもよい。
【0015】
本実施形態において、土壌10は、
図2に示すように、浸透領域30の外側の外周領域13から貯留領域20に向けて徐々に高さが低くなるように形成される。この構成により、土壌10の表面の雨水は、土壌10の低い位置に配置される貯留領域20に向けて流れるため、貯留領域20に雨水が溜まりやすい構成となる。さらに、本実施形態において、土壌10は、外周領域13が浸透領域30に向けて下方に傾斜した形状である。この形状により、雨水の流れに勢いが形成されるため、雨水に含まれる懸濁物が浸透領域30に落下することが抑制され、雨水の流れにより懸濁物が貯留領域20まで運ばれやすい構成となる。
【0016】
なお、
図2に示す土壌10では、浸透領域30の内側の内周領域14が水平又はほぼ水平に形成された構成であるが、これに限定されない。
図3は、植栽基盤100の他の例を示す断面図である。
図3に示すように、土壌10は、内周領域14が貯留領域20に向けて下方に傾斜した形状であってもよい。この構成により、雨水がより貯留領域20に流入しやすくなる。
【0017】
図4は、浸透領域30の断面構成の一例を示す図である。
図4に示すように、浸透領域30は、例えば植栽土壌層31と、促進層32と、排水層33と、浸透層34とを有する複数層の構成である。植栽土壌層31、促進層32および排水層33は、上下に積層して配置されることで多層構造部36を形成する。
【0018】
植栽土壌層31は、多層構造部36の最上層であり、その表面が土壌10の表面と連続している。植栽土壌層31は、その表面が大気に面する。植栽土壌層31には、植物35が植えられる。植栽土壌層31に植えられる植物35は、多様な生育環境下(湿地~乾燥地)で生息する植物種であれば特に限定されない。
【0019】
植物35は、根の量、形状、根の到達深度等を考慮し、例えば、地被植物、低木、中木、高木等を合わせて用いてもよい。植栽土壌層31の深さは、植えられる植物35によって調節される。植栽土壌層31は、植物35を生育する土壌環境を提供できるように、肥料成分を含んでもよい。
【0020】
例えば、植栽土壌層31は、土壌10との境界部分に、株元から林立する葉を有する植物35が配置されてもよい。この植物35により、浸透領域30に流入しようとする懸濁物をせき止め可能となる。このような植物35としては、例えばあやめ、花しょうぶ等が挙げられる。
【0021】
植栽土壌層31は、土壌10とは異なる材料で形成される。植栽土壌層31は、例えば黒土及びシルトを含む。植栽土壌層31は、例えば、主として黒土、赤玉土、鹿沼土、マサ土、腐葉土、堆肥、ピートモス、バーミキュライト、くん炭、パーライト、ココピート、ゼオライト、バーク、人工培養土、副産物資材、リサイクル資材等で形成されてもよい。本実施形態において、植栽土壌層31は、主たる土壌粒子の粒径が不均一な、いわゆる団粒構造となるように形成される。それにより、粒径が不均一な土壌粒子の塊が混ざり合うため、塊の間に複数の隙間が生じることになる。その結果、植栽土壌層31は、通気性、排水性が向上すると共に、微生物が繁殖しやすく、植物35を適切に生育することができる。植栽土壌層31は、20g/kg以上の腐植を含んでもよい。
【0022】
促進層32は、植栽土壌層31と土壌10との間に配置される。つまり、促進層32は、植栽土壌層31の下側、かつ、土壌10の上側に配置される。促進層32は、植栽土壌層31から土壌10への排水を促進するための層である。促進層32は、土壌10および植栽土壌層31とは異なる材料で形成される。促進層32は、例えば、主として細砂で形成される。促進層32は、例えば、主として黒土、赤玉土、鹿沼土、マサ土、腐葉土、堆肥、ピートモス、バーミキュライト、くん炭、パーライト、ココピート、ゼオライト、バーク、人工培養土、副産物資材、リサイクル資材等で形成されてもよい。
【0023】
排水層33は、促進層32と土壌10との間に配置される。つまり、排水層33は、促進層32の下側、かつ、土壌10の上側に配置される。したがって、多層構造部36は、土壌10の上に排水層33が積層され、排水層33の上に促進層32が積層され、促進層32の上に植栽土壌層31が積層される。排水層33は、植栽土壌層31および促進層32から土壌10へと排水をさらに促進するための層である。排水層33は、土壌10、植栽土壌層31および促進層32とは異なる材料で形成される。排水層33は、例えば、主として礫で形成される。排水層33は、例えば、主として砂、砂利、砕石、クリンカ、軽量気泡コンクリート、安定処理路盤材料、成型物、焼成物等で形成されてもよい。
【0024】
浸透層34は、多層構造部36を包囲する側壁を形成する。浸透層34は、
図3に示すように、植栽土壌層31、促進層32および排水層33の側面を覆い、植栽土壌層31、促進層32および排水層33を側方から支持する。なお、浸透層34は、排水層33の底面を覆うものであってもよい。浸透層34は、例えば、主として細砂で形成される。浸透層34は、例えば、主として黒土、赤玉土、鹿沼土、マサ土、腐葉土、堆肥、ピートモス、バーミキュライト、くん炭、パーライト、ココピート、ゼオライト、バーク、高吸水性樹脂、人工培養土、副産物資材、リサイクル資材等で形成されてもよい。本実施形態において、浸透層34は、促進層32と同様に、少なくとも植栽土壌層31に比べて、主たる土壌粒子の粒径が均一に形成されることが好ましい。
【0025】
浸透層34は、透水性の部材に覆われている。透水性の部材は、例えば、不織布といった透水シートである。浸透層34は、透水性の部材の内部に細砂といった土壌粒子を詰め込んだ土嚢を複数積層することにより形成されてもよい。それにより、浸透層34を容易に形成することができる。また、浸透層34の形状を安定的に維持し、ひいては、植栽土壌層31、促進層32および排水層33を安定的に支持することができる。
【0026】
なお、浸透領域30は、上記した構成に限定されない。
図5から
図7は、浸透領域30の断面構成の他の例を示す図である。
図5に示すように、浸透領域30は、排水層33が設けられない構成であってもよい。つまり、浸透領域30は、多層構造部36が植栽土壌層31及び促進層32から形成された構成であってもよい。この場合、上記同様に、植栽土壌層31に植物35を配置することができる。
【0027】
また、
図6に示すように、浸透領域30は、植栽土壌層31が設けられない構成であってもよい。つまり、浸透領域30は、多層構造部36が促進層32及び排水層33から形成された構成であってもよい。この場合では、浸透領域30の表面には、植物が設けられない構成となる。
【0028】
また、
図7に示すように、浸透領域30は、多層構造部36が上層側から植栽土壌層31、排水層33、促進層32の順に配置された構成であってもよい。つまり、浸透領域30は、促進層32と排水層33とが上下方向に逆の順序で配置であってもよい。この場合、上記同様に、植栽土壌層31に植物35を配置することができる。
【0029】
なお、上記した
図4に示す浸透領域30、又は
図5から
図7に示す浸透領域30においては、浸透層34が設けられない構成であってもよい。
【0030】
図8は、植栽基盤100に雨水が流れる様子を示す図である。上記のように構成された植栽基盤100では、例えば雨が降った場合、
図8に示すように、土壌10の表面に雨水Qが流れる。この雨水Qは、土壌10の表面の細かい粒子等の懸濁物を含んだ状態で土壌10の表面を流れ、貯留領域20に流れ込む(
図8:ST1)。貯留領域20に流れ込んだ雨水Qは、懸濁物と共に貯留領域20に貯留される。貯留領域20では、時間と共に雨水Qの水位が上昇すると共に、雨水Qに含まれる懸濁物Rが沈降する(
図8:ST2)。
【0031】
雨水Qの水位が貯留領域20を超えると、貯留領域20から雨水Qが溢れ出す。貯留領域20から溢れた雨水Qは、貯留領域20の周囲に配置される浸透領域30に流入する(
図8:ST3)。浸透領域30に流入した雨水Qは、浸透領域30を介して土壌10の内部に浸透する。貯留領域20から溢れて浸透領域30に流入る雨水Qは、懸濁物の含有量が少ない、いわば上澄みの状態である。このため、浸透領域30では、懸濁物による目詰まりが抑制され、雨水Qが十分に土壌10に浸透される。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る植栽基盤100は、植物を配置可能な土壌10と、土壌10の一部に設けられ、土壌10の表面を流れる雨水を貯留可能な貯留領域20と、土壌10のうち平面視における貯留領域20の周囲であって貯留領域20から溢れた雨水が流入する位置に配置され、流入した雨水を土壌10の内部へ浸透させる浸透領域30とを備える。
【0033】
この構成により、土壌10の表面を流れる雨水は、懸濁物と共に貯留領域20に貯留され、懸濁物が貯留領域20に沈降する。このため、貯留領域20から溢れた雨水が浸透領域30に流入する際、浸透領域30に懸濁物が流入することを抑制できる。したがって、浸透領域30が懸濁物により目詰まりすることを抑制でき、雨水を土壌10に十分に浸透させることができる。これにより、雨水が表面排水として敷地外へと流出することを抑制することができる。
【0034】
本実施形態に係る植栽基盤100において、浸透領域30は、平面視において貯留領域20を中心とした環状に設けられる。この構成により、貯留領域20から溢れた雨水を効率的に浸透領域30に流入させることができる。
【0035】
本実施形態に係る植栽基盤100において、土壌10は、浸透領域30の外側の領域から貯留領域20に向けて徐々に高さが低くなるように形成される。この構成により、土壌10の表面を流れる雨水を効率的に貯留領域20に流入させることができる。
【0036】
本実施形態に係る植栽基盤100において、貯留領域20は、浸透領域30よりも低い位置に配置される。この構成により、土壌10に含まれる懸濁物を低い位置に貯留させることができるため、浸透領域30に懸濁物が流入することを効率的に抑制できる。
【0037】
本実施形態に係る植栽基盤100において、浸透領域30は、土壌10との境界部分に、株元から林立する葉を有する植物35が配置される。この構成により、浸透領域30に流入しようとする懸濁物を植物35の葉でせき止めることができる。これにより、浸透領域30に懸濁物が流入することを抑制できる。
【0038】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0039】
図9は、変形例に係る植栽基盤100Aを示す断面図である。
図9に示す植栽基盤100Aにおいて、土壌10Aは、土手部11を有する。土手部11は、貯留領域20と浸透領域30との間に配置され、浸透領域30の表面30aよりも上方に突出した構成である。なお、
図9に示す例では、貯留領域20の底部20aが浸透領域30の表面30aよりも低い位置に配置される。
【0040】
土壌10Aに土手部11が設けられることにより、土手部11が設けられない構成に比べて、貯留領域20においてより多くの雨水を貯留することができる。このため、貯留領域20において雨水に含まれるより多くの懸濁物を沈降させることができる。これにより、浸透領域30に懸濁物が流入することをより確実に抑制することができる。
【0041】
図10は、変形例に係る植栽基盤100Bを示す平面図である。
図11は、変形例に係る植栽基盤100Bを示す断面図であり、
図10のB-B断面に沿った構成を示す図である。
図10及び
図11に示す植栽基盤100Bにおいて、土壌10Bは、導水路12を有する。導水路12は、土壌10Bの表面に例えば溝状に形成される。導水路12は、土壌10Bの表面を流れる雨水を貯留領域20に導く。
【0042】
図10に示すように、導水路12は、例えば平面視において貯留領域20を中心とする放射方向に形成される。導水路12は、浸透領域30を横切るように設けられる。この構成により、土壌10Bの表面を流れる雨水を効率的に貯留領域20に効率的に流入させることができる。また、
図11に示すように、導水路12は、例えば浸透領域30よりも低い位置に配置される。この構成により、土壌10Bの表面を流れる雨水が浸透領域30に直接流入することを抑制できる。なお、浸透領域30に雨水が直接流れ込むことを抑制するため、例えば浸透領域30に対して、
図10の貯留領域20を中心とする放射方向の外側及び側方の少なくとも一方に、雨水の浸透を防止する防止層が形成されてもよい。
【0043】
このように、土壌10Bに導水路12が設けられることにより、土壌10の表面を流れる雨水Qが浸透領域30へ浸入することを抑制しつつ、当該雨水Qを貯留領域20に効率的に導くことができる。また、導水路12が浸透領域30よりも低い位置に配置されることにより、土壌10の表面を流れる雨水が浸透領域30に流入することをより確実に抑制できる。
【0044】
また、上記実施形態では、土壌10が浸透領域30の外側の領域から貯留領域20に向けて徐々に高さが低くなるように形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。また、上記実施形態では、浸透領域30が貯留領域20を中心とした環状に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0045】
図12は、変形例に係る植栽基盤100Cを示す断面図である。
図12に示すように、土壌10Cが貯留領域20側から浸透領域30側に向けて高さが低くなる構成であってもよい。つまり、貯留領域20が浸透領域30よりも高い位置に配置されてもよい。換言すると、浸透領域30が貯留領域20よりも低い位置に配置されてもよい。
図12に示す例では、浸透領域30の表面30aが貯留領域20の底部20aよりも低い位置に配置される。この構成により、貯留領域20から溢れる雨水を浸透領域30に効率的に流入させることができる。
【0046】
図13は、変形例に係る植栽基盤100Dを示す断面図である。
図13に示すように、土壌10Dが貯留領域20側から浸透領域30側に向けて高さが低くなる構成において、貯留領域20よりも浸透領域30の面積を大きくした構成であってもよい。
図13に示す例では、浸透領域30の表面30aが貯留領域20の底部20aよりも低い位置に配置される。この構成により、浸透領域30において単位時間あたりに浸透させる雨水の量を多くすることができる。したがって、雨水を土壌に浸透させる浸透領域30の能力を十分に活用することができる。
【0047】
図9から
図13に示す変形例に係る植栽基盤100A~100Dの構成は、適宜組み合わせることが可能である。例えば、
図10及び
図11に示す植栽基盤100Bの導水路12の構成と、
図9に示す植栽基盤100A、
図12に示す植栽基盤100C、又は
図13に示す植栽基盤100Dに設けられる土手11の構成とは、組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0048】
10,10A,10B,10C,10D 土壌
11 土手部
12 導水路
13 外周領域
14 内周領域
20 貯留領域
20a 底部
30 浸透領域
30a 表面
31 植栽土壌層
32 促進層
33 排水層
34 浸透層
35 植物
36 多層構造部
100,100A,100B,100C,100D 植栽基盤
Q 雨水
R 懸濁物