(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182487
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】収容箱
(51)【国際特許分類】
B65D 21/032 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B65D21/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090073
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 諒
【テーマコード(参考)】
3E006
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA01
3E006CA04
3E006DA01
3E006DB03
(57)【要約】
【課題】 重ねて係止することができる収容箱を提供する。
【解決手段】 収容箱1は、胴部2を備え、胴部2は、右面板3、前面板4、左面板5、後面板6及び底部7を備える。各面板3~6は、互いに重なる各内板3a~6aと各外板3b~6bとを備える。各内板3a~6aに形成された各突起部23~26は、底部7の四隅に形成された隅開口部27に挿通され、底部7の下面から突出する。同じ隅開口部27に挿通される各突起部23~26は、係止部8を構成する。係止部8は、複数の収容箱1を上下に積み重ねたときに、下方に重ねられた他の収容箱1の胴部2の上端側の四隅に係止される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる四角筒状の胴部と、該胴部の下方開口を閉塞する底部とを備える段ボール製の収容箱において、
前記胴部は、第1方向に互いに対向する一対の第1面板と、前記第1方向に交差する第2方向で互いに対向する一対の第2面板とからなり、
前記底部の四隅には、該底部を上下方向に貫通する隅開口部がそれぞれ形成され、
前記第1面板は、前記第1方向において重なって上端で接続される第1内板及び第1外板を備え、
前記第2面板は、前記第2方向において重なって上端で接続される第2内板及び第2外板を備え、
前記第1内板は、その下端の前記第2方向の両端側にそれぞれ形成され、前記隅開口部に挿通されて前記底部の下面から突出する第1突起部を有し、
前記第2内板は、その下端の前記第1方向の両端側にそれぞれ形成され、前記隅開口部に挿通されて前記底部の下面から突出する第2突起部を有し、
同じ前記隅開口部に挿通される前記第1突起部及び前記第2突起部は、複数の前記収容箱を上下に積み重ねたときに、下方に重ねられた他の収容箱の前記胴部の上端側の四隅に係止される係止部を構成することを特徴とする収容箱。
【請求項2】
請求項1に記載の収容箱において、
前記第2面板は、前記第2内板の上端及び前記第2外板の上端を前記第1方向の中間部のみで接続する接続片を備え、
前記第2内板は、前記第1方向の長さが該収容箱の第1方向の内寸より大に形成され、上下方向に延びる一対の縦折目線を有し、
前記縦折目線は、該第2内板の上端のうち前記接続片と接続されている領域の外側から、該第2内板の下端のうち両第2突起部に挟まれた領域を結ぶように形成され、
前記第2内板は、前記縦折目線で折り曲げられて、その側縁が前記胴部の四隅に当接されることを特徴とする収容箱。
【請求項3】
請求項1または2に記載の収容箱において、
前記第1内板は、前記第1突起部の内側縁から該第1突起部に隣接する該第1内板の側縁まで延びる第1突起折目線を有し、
前記第2内板は、前記第2突起部の内側縁から該第2突起部に隣接する該第2内板の側縁まで延びる第2突起折目線を有することを特徴とする収容箱。
【請求項4】
請求項3に記載の収容箱において、
前記第1突起折目線は、前記第1内板の側縁のうち前記第1突起部の基端より上側に向かって延び、
前記第2突起折目線は、前記第2内板の側縁のうち前記第2突起部の基端より上側に向かって延びていることを特徴とする収容箱。
【請求項5】
請求項3または4に記載の収容箱において、
前記第1内板は、前記第1突起部の先端に向かって該第1内板の幅方向の長さが漸次小さくなる傾斜側縁を有することを特徴とする収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製の収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工場等で各種部品を収容して運搬する有底四角筒状の収容箱として、プラスチックコンテナが知られている。この種のプラスチックコンテナは、上下に重ねて積み上げたときに上下のプラスチックコンテナ同士の四隅がずれないように、下部の四隅に下方に向かって凸状の係止部が設けられており、この係止部が、下方に積み重ねられたプラスチックコンテナの周壁の内周面の上端部に係止される。
【0003】
これに対し、コンテナ同様に部品を収容できる収容箱として特許文献1に記載されたものが知られている。この収容箱は、多数の折目線などが形成された段ボール板紙を、折目線に沿って折り曲げることで形成される。
【0004】
特許文献1に記載の収容箱では、四角形状の底面板の周縁から起立した4枚の側面板によって、四角筒状の胴部を構成されるが、この側面板はそれぞれ外板と内板とからなり、内板の下側端に形成された係止舌片を、底面板に形成された開口に挿入することで、内板を係止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の収容箱では、プラスチックコンテナのように収容箱同士を互いに係止する構造(所謂スタッキング)がないため、収容箱を重ねたときに収容箱同士の四隅がずれる可能性がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、重ねて係止することができる段ボール製の収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の収容箱は、上下方向に延びる四角筒状の胴部と、該胴部の下方開口を閉塞する底部とを備える段ボール製の収容箱において、前記胴部は、第1方向に互いに対向する一対の第1面板と、前記第1方向に交差する第2方向で互いに対向する一対の第2面板とからなり、前記底部の四隅には、該底部を上下方向に貫通する隅開口部がそれぞれ形成され、前記第1面板は、前記第1方向において重なって上端で接続される第1内板及び第1外板を備え、前記第2面板は、前記第2方向において重なって上端で接続される第2内板及び第2外板を備え、前記第1内板は、その下端の前記第2方向の両端側にそれぞれ形成され、前記隅開口部に挿通されて前記底部の下面から突出する第1突起部を有し、前記第2内板は、その下端の前記第1方向の両端側にそれぞれ形成され、前記隅開口部に挿通されて前記底部の下面から突出する第2突起部を有し、同じ前記隅開口部に挿通される前記第1突起部及び前記第2突起部は、複数の前記収容箱を上下に積み重ねたときに、下方に重ねられた他の収容箱の前記胴部の上端側の四隅に係止される係止部を構成することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、収容箱の四隅には、隅開口部から下方に向かって第1突起部及び第2突起部が突出する。この突出した第1突起部及び第2突起部は、複数の収容箱を上下に積み重ねたときに、下方に重ねられた他の収容箱の胴部の上端側の四隅の係止される係止部となる。本発明の収容箱は、この係止部を有するため、段ボール製の収容箱を重ねたときに係止することができる。
【0010】
また、本発明において、前記第2面板は、前記第2内板の上端及び前記第2外板の上端を前記第1方向の中間部のみで接続する接続片を備え、前記第2内板は、前記第1方向の長さが該収容箱の第1方向の内寸より大に形成され、上下方向に延びる一対の縦折目線を有し、前記縦折目線は、該第2内板の上端のうち前記接続片と接続されている領域の外側から、該第2内板の下端のうち両第2突起部に挟まれた領域を結ぶように形成され、前記第2内板は、前記縦折目線で折り曲げられて、その側縁が前記胴部の四隅に当接されることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第2内板の側縁は胴部の四隅に当接されるため、第2内板の側縁の延長線上にある第2突起部の外側縁は、下方に重ねられた他の収容箱の胴部の上端側の四隅に当接させることができるため、段ボール製の収容箱を重ねたときにより確実に係止することができる。
【0012】
また、本発明の収容箱において、前記第1内板は、前記第1突起部の内側縁から該第1突起部に隣接する該第1内板の側縁まで延びる第1突起折目線を有し、前記第2内板は、前記第2突起部の内側縁から該第2突起部に隣接する該第2内板の側縁まで延びる第2突起折目線を有することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、最下方の収容箱は、地面に置くだけで、第1突起部及び第2突起部が横方向に延びる第1突起折目線及び第2突起折目線に沿って水平に折り曲げられ、胴部の内部に収容することができる。
【0014】
さらに、第1突起折目線及び第2突起折目線を有する収容箱において、前記第1突起折目線は、前記第1内板の側縁のうち前記第1突起部の基端より上側に向かって延び、前記第2突起折目線は、前記第2内板の側縁のうち前記第2突起部の基端より上側に向かって延びていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、第1突起部及び第2突起部は、折り曲げられたときに、外側縁同士が離れる方向に折り曲げられるので、互いに当接することがなく折り曲げることができる。よって、第1突起部及び第2突起部が、その外側縁同士が当接しあうことで支え合い、折れにくくなることを回避することができる。
【0016】
また、第1突起折目線及び第2突起折目線を有する収容箱において、前記第1内板は、前記第1突起部の先端に向かって該第1内板の幅方向の長さが漸次小さくなる傾斜側縁を有することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、第2突起部は、傾斜側縁で滑りながら、第1突起部の外周側に回り込んで、第1突起部を外側から押し込んで折り曲げることができるため、折り曲がる順序を確定させることができ、第1突起部及び第2突起部の外側縁同士が当接ししあうことで支え合い、折れにくくなることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】右面板、前面板、左面板及び後面板を折り曲げた状態を示す斜視図。
【
図5】右内板、前内板、左内板及び後内板を折り曲げた状態を示す平面図。
【
図7】収容箱を上下に2個積み重ねるときの状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の収容箱1は、商品を収容するものであり、有底四角筒状に形成され、上下に積み重ね可能となっている。
【0021】
収容箱1は、四角筒状の胴部2を備え、この胴部2は、右面板3、前面板4、左面板5、後面板6及び底部7を備える。これらの4つの面板3~6はいずれも、互いに同じ高さで、矩形状に形成され、一体に形成されている。さらに、右面板3及び左面板5は互いに同じ形状で対に形成され、前面板4及び後面板6は互いに同じ形状で対に形成されている。これにより、胴部2は、中空の筒状に構成されている。
なお、図中、左右方向は本発明の「第1方向」に相当し、前後方向は本発明の「第2方向」に相当し、右面板3及び左面板5は本発明の「第1面板」に相当し、前面板4及び後面板6は本発明の「第2面板」に相当する。
【0022】
右面板3は、左右方向に互いに重なる右内板3aと右外板3bとを備え、前面板4は、前後方向に互いに重なる前内板4aと前外板4bとを備える。同様に、左面板5は、左右方向に互いに重なる左内板5aと左外板5bとを備え、後面板6は、前後方向に互いに重なる後内板6aと後外板6bとを備える。
なお、右内板3a及び左内板5aは本発明の「第1内板」に相当し、右外板3b及び左外板5bは本発明の「第1外板」に相当し、前内板4a及び後内板6aは本発明の「第2内板」に相当し、前外板4b及び後外板6bは、本発明の「第2外板」に相当する。
【0023】
図2に示すように、収容箱1は、大略矩形状に打抜いて形成された段ボール板紙10により組み立てられる。
【0024】
段ボール板紙10は、
図2において展開して示すように、右外板3b、前外板4b、左外板5b及び後外板6bが左右方向に接続され、この右外板3b、前外板4b、左外板5b及び後外板6bのそれぞれの上端縁に、右内板3a、前内板4a、左内板5a及び後内板6aが、右接続片13、前接続片14、左接続片15及び後接続片16を介して接続され、また、それぞれの下端縁に、第1~第4底部フラップ7a~7dが接続されている。
【0025】
まず、右外板3b、前外板4b、左外板5b及び後外板6bについて説明する。
右外板3b、前外板4b、左外板5b及び後外板6bは、いずれも矩形状である。右外板3b、前外板4b、左外板5b及び後外板6bは、それぞれの右側縁に、折目線L1~L3を介して、この順番で連結されている。さらに、右外板3bの左端縁には、折目線L4を介して接着片11が連結されている。
【0026】
次に、右接続片13、前接続片14、左接続片15及び後接続片16について説明する。
右接続片13、前接続片14、左接続片15及び後接続片16は、いずれも概略台形状である。
【0027】
右外板3bの上端縁には、折目線L5を介して右接続片13が連設され、前外板4bの上端縁には、折目線L6を介して前接続片14が連設され、左外板5bの上端縁には、折目線L7を介して左接続片15が連設され、後外板6bの上端縁には、折目線L8を介して後接続片16が連設されている。
【0028】
右接続片13の上端縁には、折目線L9を介して右内板3aが連設され、前接続片14の上端縁には、折目線L10を介して前内板4aが連設され、左接続片15の上端縁には、折目線L11を介して左内板5aが連設され、後接続片16の上端縁には、折目線L12を介して後内板6aが連設されている。なお、前接続片14及び後接続片16が本発明の「接続片」に相当する。
【0029】
各接続片13~16の左右方向両端には、切欠き13a~16aが形成されている。これにより、各接続片13~16は、各外板3b~6bの水平方向(
図2の左右方向)中央部と各内板3a~6aの水平方向(
図2の左右方向)中央部とを接続するものとなっている。切欠き13a~16aは、各接続片13~16だけでなく、各内板3a~6aの下端側の一部も併せて横長矩形状に切り欠いている。
【0030】
さらに、右接続片13及び左接続片15には、水平方向(
図2の左右方向)の中央に、逆台形状の開口13b,15bが形成され、それぞれ2つずつに分断されている。開口13b,15bは、右接続片13及び左接続片15だけでなく、右内板3a及び左内板5aの下端側の一部も併せて横長矩形状に切り欠いている。また、開口13b,15bの長さは、切欠き13a,15aの長さの約2倍である。
【0031】
次に、右内板3a、前内板4a、左内板5a及び後内板6aについて説明する。
右内板3a、前内板4a、左内板5a及び後内板6aは、いずれも概略凹形状である。前内板4a及び後内板6aの左右方向の長さ(幅)は、箱状に組み立てた際の右外板3b及び左外板5bの距離より大きい。
【0032】
右内板3aの上端部の左右端には、上方に突出した右突起部23がそれぞれ形成されている。また、前内板4aの上端部の左右端には、上方に突出した前突起部24がそれぞれ形成されている。また、左内板5aの上端部の左右端には、上方に突出した左突起部25がそれぞれ形成されている。また、後内板6aの上端部の左右端には、上方に突出した後突起部26が形成されている。
【0033】
なお、右突起部23及び左突起部25が本発明の「第1突起部」に相当し、前突起部24及び後突起部26は本発明の「第2突起部」に相当する。
【0034】
右内板3a、前内板4a、左内板5a及び後内板6aには、各突起部23~26の基端側に各突起部23~26を折り曲げるための突起折目線33~36が2本ずつ形成されている。なお、突起折目線33,35が本発明の「第1突起折目線」に相当し、突起折目線34,36が本発明の「第2突起折目線」に相当する。
【0035】
各突起折目線33~36は、各突起部23~26の内側縁から各内板3a~6aの隣接する側縁に向かうにつれて下方に傾斜するように形成され、その先端(各折目線33~36と各内板3a~6aの側縁との交点)の上下方向の位置は、概ねすべて一致している。
【0036】
その他、右内板3a、前内板4a、左内板5a及び後内板6aの上端縁には、矩形状の切欠き53~56が形成されている。そのうち切欠き53,55は、2個ずつ形成されている。これらは、後述する段ボール製の底面板70の挿入片70aを嵌合させるための凹みである。
【0037】
右突起部23及び左突起部25の外側縁は、右内板3a及び左内板5aの先端部が上方に向かって先細りになるように切り欠かれ、これにより傾斜側縁23a,25aが形成されている。
【0038】
前突起部24及び後突起部26は、右突起部23及び左突起部25よりも若干上方まで突出している。また、前内板4a及び後内板6aには、この前突起部24及び後突起部26の基端の内側から切欠き14a,16aを結んで上下方向に伸びる縦折目線44,46が形成されている。また、前内板4a及び後内板6aには、把手用開口4a1,6a1が形成され、前外板4b及び後外板6bには、前接続片14及び後接続片16を挟んでこれと対になるように、把手用開口4b1,6b1が形成されている。
【0039】
底部7は、いわゆるアメリカンロックや地獄底と称される組立式であり、4枚の右底部フラップ7a、前底部フラップ7b、左底部フラップ7c及び後底部フラップ7dから構成され、胴部2の下方開口を閉塞している。さらに本実施形態では、補強として各底部フラップ7a~7dの上に底面板70が敷かれている。
【0040】
右底部フラップ7aは、折目線L13を介して右外板3bの下端縁に連設されている。右底部フラップ7aは、概略台形状であって、上端部の左右方向両端には、底部切欠き17aがそれぞれ形成されている。
【0041】
前底部フラップ7bは、折目線L14を介して前外板4bの下端縁に連設されている。
前底部フラップ7bは、概略L字形状であり、上端部の左端には、底部切欠き17b1が形成され、上端部の右端には、底部切欠き17b2が形成されている。
【0042】
左底部フラップ7cは、折目線L15を介して左外板5bの下端縁に連設されている。左底部フラップ7cは、概略逆凹形状であって、上端部の左右方向両端には、底部切欠き17cがそれぞれ形成されている。
【0043】
後底部フラップ7dは、折目線L16を介して後外板6bの下端縁に連設されている。
後底部フラップ7dは、概略L字形状であり、上端部の右端には、底部切欠き17d1が形成され、上端部の左端には、底部切欠き17d2が形成されている。
【0044】
底部7は、本実施形態においては、補強として各底部フラップ7a~7dの上に、
図3に示す、底面板70が敷かれている。
【0045】
底面板70は、矩形状に形成されており、各側端縁には、外側に突出した挿入片70aが、上下1個ずつ、左右2個ずつ形成されている。
【0046】
次いで、収容箱1を組み立てる手順について説明する。
まず、前外板4bを折目線L1に沿って折り曲げ、接着片11を折目線L2に沿って折り曲げる。そして、左外板5bを折目線L3に沿って折り曲げ、後外板6bを折目線L4に沿って折り曲げ、接着片11を後外板6bの内面に接着剤(図示せず)により接着する。これにより、収容箱1は四角筒状に形成される。
【0047】
次に、左底部フラップ7c、前底部フラップ7b及び後ろ底部フラップ7d、右底部フラップ7aの順で折り曲げて重合させ、右底部フラップ7aの突端(
図2では下端)の凸部を、箱の内部空間方向に押し込むことで左底部フラップ7cの突端側(
図2では下端)の凹部に挿入する。これにより、底部7が形成され、
図4の状態となる。
【0048】
ここで、底部7を形成したときの各底部切欠き17a~17d2について説明する。
右底部フラップ7aの底部切欠き17aと、前底部フラップ7bの底部切欠き17b1及び後底部フラップ7dの底部切欠き17d1とは、水平姿勢において切り欠いた空間が一致するように形成され、左底部フラップ7cの底部切欠き17cと、前底部フラップ7bの底部切欠き17b2及び後底部フラップ7dの底部切欠き17d2とは、水平姿勢において切り欠いた領域が一致するように形成されているため、それぞれの組によって、底部7の四隅には、隅開口部27がそれぞれ形成される。
【0049】
次に、前接続片14を折目線L6に沿って水平方向に折り曲げ、前内板4aを折目線L10に沿って下方に向けて折り曲げる。同様に、後接続片16を折目線L8に沿って水平方向に折り曲げ、後内板6aを折目線L12に沿って下方に向けて折り曲げる。
【0050】
これにより、前突起部24及び後突起部26は、それぞれ対向する隅開口部27に挿通されて、底部7の下面から突出する(
図1及び
図6参照)。
【0051】
ところで、前内板4a及び後内板6aは、左右方向の長さ(幅)が箱状に組み立てた際の右外板3b及び左外板5bの距離より大きいため、下方に折り曲げる際には、それぞれ縦折目線44,46で船底形状に若干折り畳みつつ、右外板3b及び左外板5bの間に入れ込む。
【0052】
これにより、前内板4a及び後内板6aの各側縁は、縦折目線44,46の復元力により右外板3b及び左外板5bの内表面に押し付けられているため、前内板4a及び後内板6aを前外板4b及び後外板6bに重合するように折り曲げるだけで、前内板4a及び後内板6aの各側縁は、胴部2の四隅に確実に配置される。つまり、前内板4a及び前外板4b(後内板6a及び後外板6b)は、全体として、逆台形状に構成される。
【0053】
そしてこの結果、前内板4a及び後内板6aの各側縁から延出する前突起部24及び後突起部26の外側縁も胴部2の四隅から略真下方向に延出することになる。
【0054】
次に、右接続片13を折目線L5に沿って水平方向に折り曲げ、右内板3aを折目線L9に沿って下方に向けて折り曲げる。同様に、左接続片15を折目線L7に沿って水平方向に折り曲げ、左内板5aを折目線L11に沿って下方に向けて折り曲げる。なお、このとき右内板3a及び左内板5aの各側縁は、すでに折り込まれた前内板4a及び後内板6aの表面(縦折目線44,46よりも左右方向外側の領域の内部空間側の表面)に当接する。
【0055】
これにより、右突起部23及び左突起部25は、それぞれ対向する隅開口部27に挿通されて、底部7の下面から突出する(
図1及び
図6参照)。
【0056】
図6に示すように、底部7の前方右側の隅に形成された隅開口部27には、前突起部24及び右突起部23が挿入され、底部7の下面から突出することで、概略「イ」の字形状の係止部8が形成される。
【0057】
同様に、前方左側の隅には前突起部24及び左突起部25の組、後方右側の隅には後突起部26及び右突起部23の組、後方左側の隅には後突起部26及び左突起部25の組の係止部8がそれぞれ形成される。
【0058】
ところで、上記のとおり、切欠き13a~16aは、各接続片13~16だけでなく、各内板3a~6aの下端側の一部も併せて横長矩形状に切り欠いているので、各内板3a~6aを各接続片13~16を介して各外板3b~6bの内側に折り重ねると、胴部2の四隅のそれぞれにおいて、各内板3a~6a側のほうが一段低くなり、段差部9が4個形成される(
図1及び
図7参照)。
【0059】
同様に、開口13b,15bも、右接続片13及び左接続片15だけでなく、右内板3a及び左内板5aの下端側の一部も併せて横長矩形状に切り欠いているので、右内板3a及び左内板5aを、接続片13,15を介して右外板3b及び左外板5bの内側に折り重ねると、右面板3及び左面板5の中央部において、右内板3a及び左内板5a側のほうが一段低くなり、補助段差部9aが2個形成される(
図1参照)。
【0060】
最後に、底面板70を胴部2の中に挿入し、挿入片70aを各内板3a~6aに形成された切欠き53~56に嵌合することで、底面板70は底部7及び胴部2を連結して係止される。
【0061】
以上により、段ボール板紙10及び底面板70から、
図1に示す収容箱1が組み立てられる。
【0062】
次いで、本実施形態に係る収容箱1の効果について説明する。
収容箱1は、右面板3、前面板4、左面板5及び後面板6が、各内板3a~6a及び各外板3b~6bが重ね合わせて構成され、また、底部7が各フラップ7a~7d及び底面板70が重ね合わせて構成されているため強度が高く、プラスチックコンテナに替えて、或いは、プラスチックコンテナとともに使用することができる。
【0063】
特に、収容箱1では、前内板4a及び後内板6aの各側縁が、胴部2の四隅に当接しているため、さらに、箱の強度が高められている。
【0064】
また、収容箱1の底部7は、いわゆるアメリカンロックや地獄底と称される組立式であるため、内部に商品が収容されて右底部フラップ7aの凸部が他の底フラップ7b~7dに対して押し付けられている限り、底が抜けることはほとんどない。
【0065】
さらに、底面板70の挿入片70aを各内板3a~6aに形成された切欠き53~56に嵌合することで、底部7と胴部2とが連結されるため、さらに、箱の強度が高められている。
【0066】
本実施形態の収容箱1では、胴部2の四隅に対して、下端側に係止部8を、上端側に段差部9をそれぞれ形成されているため、複数の収容箱1を上下に積み重ねたときに、上方の収容箱1の係止部8を下方の収容箱1の段差部9に嵌入して、下方の収容箱1の各外板3b~6bに当接させることができる。これにより、上方の収容箱1を下方の収容箱1に係止できるため、積み重ねた複数の収容箱1が前後左右にガタつくことを抑制することができる。
【0067】
特に、本実施形態の収容箱1では、前内板4a及び後内板6aの各側縁が胴部2の四隅にそれぞれ当接するため、この前内板4a及び後内板6aの各側縁から延出する前突起部24及び後突起部26の外側縁も胴部2の四隅から真下方向に延出することになる。
【0068】
よって、収容箱1では、上方の収容箱1の各係止部8のうち前突起部24及び後突起部26の外側縁を、下方の収容箱1の各外板3b~6bによる角部(折目線L1~L4)に当接させることができるので、さらに、積み重ねた複数の収容箱1が前後左右にガタつくことを抑制することができる。
【0069】
特に、この収容箱1の凹凸の特徴は、上述したプラスチックコンテナと共通するため、収納箱1のみで用いることはもちろん、収納箱1とプラスチックコンテナとを同時に併用することができる。
【0070】
さらに、本実施形態の収容箱1は補助段差部9aを有するため、1段目の収容箱1を縦向きに整列、2段目の収容箱1を横向きに整列させ、いわゆる交互列積みした場合も、前突起部24及び後突起部26の外側縁を段差部9及び補助段差部9aに収納して、積み重ねた複数の収容箱1が前後左右にガタつくことを抑制することができる。また、本実施形態の収容箱1は補助段差部9aを有するため、底部の面積が半分の収納箱(右面板及び左面板の長さが前面板4及び後面板6の長さと等しく、前面板及び後面板の長さが右面板及び左面板の長さの半分)を上方に2個並べて重ねることもできる。
【0071】
さらに、本実施形態の収容箱1では、各突起部23~26の基端側に各突起部23~26を折り曲げるための突起折目線33~36が2本ずつ形成されているので、複数の収容箱1を積み重ねた際、一番下の収容箱1の係止部8を一時的に上方に折り畳むことができる。
【0072】
よって、底部7の下面全体で床に置くことができるため、積み重ねたときに不安定になることを回避できる。同時に、積極的に折れる位置が決められているため、誤って、係止部8にかかる荷重が各内板3a~6aに伝達され、各内板3a~6aが上方にずれて箱が誤って展開されてしまうことを防止することができる。
【0073】
また、
図6に示すように、本実施形態の収容箱1では、前突起部24及び後突起部26は、右突起部23及び左突起部25よりも若干長いので、右突起部23及び左突起部25より前突起部24及び後突起部26が先に折れ曲がり始める。
【0074】
よって、本実施形態の収容箱1では、曲がる順序が決められているため、一方の突起部と他方の突起部とが同時に折れ曲がろうとして衝突し、互いに支えあってしまい折れ曲がれにくくなるという事態を回避することができる。
【0075】
特に、本実施形態の収容箱1では、短い方の右突起部23及び左突起部25に傾斜側縁23a,25aが形成されているため、前突起部24及び後突起部26が折れ曲がり始める際に、右突起部23及び左突起部25が障害となることが回避されている。
【0076】
また、本実施形態の収容箱1では、突起折目線33~36が各内板3a~6aの側縁に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている。これは、もし仮に突起折目線33~36がすべて水平方向(
図2の左右方向)に形成されている場合、一方の突起部(例えば前突起部24)が折れ曲がりたい方向に他方の突起部(例えば右突起部23)が交差して存在しているので、(傾斜側縁23a,25aなどの工夫が形成されていない限り、)上述した一方の突起部と他方の突起部とが同時に折れ曲がろうとして衝突し、互いに支えあってしまい折れ曲がれにくくなるという事態を回避するためである。
【0077】
つまり、収容箱1では、突起折目線33~36を傾斜して形成されているので、各突起部23~26は、底部7の中央側に向かってやや回旋しながら折り畳まれる。よって、同じ係止部8を構成する同士(例えば、前突起部24の外側縁及び右突起部23の外側縁)が互いに支えあってしまい、折れ曲がれにくくなるという事態を回避することができる。
【0078】
また、本実施形態の収容箱1では、突起折目線33~36の先端(各折目線33~36と各内板3a~6aの側縁との交点)の上下方向の位置は、概ねすべて一致しているため、例えば、前方左側の係止部8を例に言えば、回旋しながら先に折れ曲がり始める前突起部24は、内側に配置される右突起部23を押し込んで右突起折目線33で一緒に折り曲げることができる。
【0079】
なお、一番下に置かれた収容箱1が積み替えされた際には、突起折目線33~36の弾性復元により、各突起部23~26は再度下方に突出するため、改めて下方の収容箱1の段差部9に当接することができる。
【0080】
最後に、収容箱1の変形例について説明する。
本実施形態では、収容箱1をプラスチックコンテナと一緒に共用することを念頭に置いて説明したが、本発明はこれに限られず、収容箱1のみで用いることもできる。
【0081】
本実施形態では、各内板3a~6aと各外板3b~6bとは、各接続片13~16を介して接続されたものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、各内板3a~6aと各外板3b~6bとは直接接続されてもよい。また、本実施形態では、各接続片13~16は、概略台形状のものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、矩形状、長円形状であってもよい。
【0082】
本実施形態では、前面板4を例に説明すれば、前内板4aの左右方向の長さ(幅)を、箱状に組み立てた際の右外板3b及び左外板5bの距離より大きくし、前接続片14の左右端には切欠き14aを形成し、さらに、前内板4aに垂直に延びる縦折目線44を形成することで、前内板4aが船底状に構成されるものを例に説明した。
【0083】
しかしながら、縦折目線44は省略可能であり、前内板4aは、弓状であってもよい。さらにいえば、本発明は前内板4a及び後内板6aの各側縁が胴部2の四隅に配置されるものに限られないため、前面板4を例に説明すれば、前内板4aの左右方向の長さ(幅)は、箱状の内寸以下にしてもよく、切欠き14aを省略することもできる。
【0084】
本実施形態では、切欠き13a~16aは、プラスチックコンテナに似せた段差部9を形成するために各内板3a~6aの下端部(
図2を参照)まで抉ったものを例に説明したが、段差部9は省略可能であるため、各内板3a~6aの下端部は抉らなくてもよい。この場合、係止部8は、各内板3a~6aの内部空間側の表面で係止することができる。
【0085】
本実施形態では、各突起部23~26の基端側に各突起部23~26を折り曲げるための突起折目線33~36が2本ずつ形成されたものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、突起折目線33~36は省略可能である。
【0086】
本実施形態では、各突起折目線33~36は、各突起部23~26の内側縁から各内板3a~6aの隣接する側縁に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されたものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、各突起部23~26が底部7側に折り畳めれば、延びる角度に限定はない。ただし、水平方向~下方に傾斜のほうが、各突起部23~26を隅開口部27に収容しやすい。
【0087】
本実施形態では、各突起折目線33~36は、各突起部23~26の先端(各折目線33~36と各内板3a~6aの側縁との交点)の上下方向の位置は、概ねすべて一致しているものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、前方右側の係止部8を例に説明すれば、前突起部24の前突起折目線34の先端位置と、右突起部23の右突起折目線33の先端位置とは、どちらが上方・下方あってもよい。ただし、内側(上側)に折り畳まれる側(この例でいえば、右突起部23)の突起折目線の先端のほうが下方に配置されたほうが、外側(下側)の突起部(この例でいえば、前突起部24)を折る際に、同時に内側の突起部(この例でいえば、右突起部23)も押し込んで折り曲げることができる。
【0088】
本実施形態では、右突起部23及び左突起部25の外側縁に傾斜側縁23a,25aが形成されたものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、右突起部23及び左突起部25の外側縁を左右方向中央側に切り欠いてもよく、逆に、何ら切り欠かなくてもよい。
【0089】
本実施形態では、前突起部24及び後突起部26は、右突起部23及び左突起部25よりも若干上方まで突出したものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、上下関係に限定はなく、同じ高さ位置であってもよい。
【0090】
本実施形態では、底面板70を用いているが、底面板70は用いなくてもよく、代わりに、右内板3a及び左内板5aの
図2における上端縁に、底面板を構成するための板部を連設するようにして、これらを突き合わせてもよい。
【0091】
本実施形態では、底部7は、いわゆるアメリカンロックや地獄底と称される組立式のものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、隅開口部27を作るための底部切欠きさえ形成すれば、底部7の構成に限定はなく、いわゆるミカン箱を作る矩形状の内フラップ・外フラップであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 収容箱
2 胴部
3 右面板(第1面板)
3a 右内板(第1内板)
3b 右外板(第1外板)
5 左面板(第1面板)
5a 左内板(第1内板)
5b 左外板(第1外板)
4 前面板(第2面板)
4a 前内板(第2内板)
4b 前外板(第2外板)
6 後面板(第2面板)
6a 後内板(第2内板)
6b 後外板(第2外板)
7 底部
8 係止部
14 前接続片(接続片)
16 後接続片(接続片)
23 右突起部(第1突起部)
24 前突起部(第2突起部)
25 左突起部(第1突起部)
26 後突起部(第2突起部)
23a 傾斜側縁
25a 傾斜側縁
27 隅開口部
33 右突起折目線(第1突起折目線)
34 前突起折目線(第2突起折目線)
35 左突起折目線(第1突起折目線)
36 後突起折目線(第2突起折目線)
44 縦折目線
46 縦折目線