IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図1
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図2
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図3
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図4
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図5
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図6
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図7
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図8
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図9
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図10
  • 特開-コネクタおよびコネクタ実装体 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182489
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】コネクタおよびコネクタ実装体
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/62 20110101AFI20221201BHJP
【FI】
H01R12/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090075
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 照雄
(72)【発明者】
【氏名】夏目 貴史
(72)【発明者】
【氏名】陳 毅晟
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
(72)【発明者】
【氏名】小林 大樹
(72)【発明者】
【氏名】諸木 創平
(72)【発明者】
【氏名】渡部 拓視
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB45
5E223AC23
5E223BA01
5E223BA07
5E223BA68
5E223BB01
5E223CB99
5E223CD01
5E223DB11
5E223EA03
5E223EA13
5E223EA18
(57)【要約】
【課題】製造時の作業性が良好で、回路基板との接続信頼性を確保できるコネクタおよびコネクタ実装体を提供する。
【解決手段】コネクタ10は、回路基板5上に実装されるコネクタ10であって、コネクタハウジング20と、コネクタハウジング20内に配される複数の端子部43と、複数の端子部43に電気的に接続される一端部32と、回路基板5に半田付けにより接続される他端部33と、を備えるフレキシブルケーブル30と、コネクタハウジング20を回路基板5に固定する一対の固定部51と、一対の固定部51を連結し、フレキシブルケーブル30を屈曲させて回路基板5上に他端部33を接触させる接続補助部52と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に実装されるコネクタであって、
コネクタハウジングと、
前記コネクタハウジング内に配される複数の端子部と、
前記複数の端子部に電気的に接続される一端部と、前記回路基板に半田付けにより接続される他端部と、を備えるフレキシブルケーブルと、
前記コネクタハウジングを前記回路基板に固定する一対の固定部と、
前記一対の固定部を連結し、前記フレキシブルケーブルを屈曲させて前記回路基板上に前記他端部を接触させる接続補助部と、を備える、コネクタ。
【請求項2】
回路基板上に実装されるコネクタであって、
コネクタハウジングと、
前記コネクタハウジング内に配される複数の端子部と、
前記複数の端子部に電気的に接続される一端部と、前記回路基板に半田付けにより接続される他端部と、を備えるフレキシブルケーブルと、
前記コネクタハウジングを前記回路基板に固定する一対の固定部と、
前記フレキシブルケーブルを屈曲させて前記回路基板上に前記他端部を接触させる一対の接続補助部と、を備え、
前記一対の接続補助部の一方は前記一対の固定部の一方から延設され、
前記一対の接続補助部の他方は前記一対の固定部の他方から延設されている、コネクタ。
【請求項3】
前記固定部及び前記接続補助部は、金属製であり、
前記固定部は、前記回路基板に半田付けにより固定される、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記フレキシブルケーブルの前記他端部側に配される前記接続補助部の端部は、円滑な曲面状をなしている、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記フレキシブルケーブルの前記他端部は、櫛歯状をなし、
前記コネクタハウジングは、前記他端部を前記回路基板に対して位置決めする位置決め部を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記フレキシブルケーブルの前記一端部は、櫛歯状をなし、
前記複数の端子部は、前記一端部と、前記一端部に貼り付けられた補強板と、から構成されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記複数の端子部は、前記コネクタハウジングに圧入されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記コネクタハウジングが開口する方向は、前記回路基板の表面に対して平行である、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のコネクタと、
回路基板と、を備え、
前記固定部が前記コネクタハウジングを前記回路基板に固定しており、
前記フレキシブルケーブルの前記他端部が前記回路基板に半田付けされている、コネクタ実装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタおよびコネクタ実装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたコネクタは、表面実装コネクタであって、コンタクトとハウジングとを備えている。ハウジングは、合成樹脂製であって箱状をなし、回路基板に接する底面を有している。コンタクトは、金属製であってタブ状をなし、一端部に、相手側の雌端子に接続される接触部を有し、他端部に、回路基板に接続される接続部を有している。接続部の先端部は、回路基板の表面に沿って配置され、回路基板に半田付けされる。
【0003】
特許文献2に開示されたコネクタは、コンタクトと、コンタクトを保持するハウジングと、コンタクトと基板との間に介在するフレキシブル端子とを備えている。フレキシブル端子は、コンタクトに接続される上端部と、基板に接続される下端部とを有している。上端部は、フレキシブル端子に段付き状に貫通する挿入孔を有している。コンタクトは、金属製であってピン状をなし、挿入孔に挿入された状態で、二股状の後端を割り開くことで、フレキシブル端子に圧着して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-204165号公報
【特許文献2】特開2014-165163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、例えば、コンタクトを回路基板に接続させる際に、リフロー炉などの加熱装置を用いて加熱処理を施すと、回路基板およびハウジングが熱負荷を受けて反り変形することがある。ハウジングと回路基板との間には熱膨張率に差があるため、回路基板およびハウジングが反り変形すると、ハウジングの一部が回路基板から浮き上がり、コンタクトの後端部が回路基板から離れるという事情がある。したがって、特許文献1の場合は、各コンタクトの後端部が同一平面上に位置するよう調整することが難しくなり、作業工程が煩雑になるとともに、コンタクトと回路基板の接続信頼性が低下する。
【0006】
これに対し、特許文献2の場合は、挿入孔の形状が複雑であるのに加え、コンタクトの後端を二股状に加工した上、コンタクトとフレキシブル端子とを接続させる際に圧着作業を行う必要があり、作業工程が煩雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、回路基板上に実装されるコネクタであって、コネクタハウジングと、前記コネクタハウジング内に配される複数の端子部と、前記複数の端子部に電気的に接続される一端部と、前記回路基板に半田付けにより接続される他端部と、を備えるフレキシブルケーブルと、前記コネクタハウジングを前記回路基板に固定する一対の固定部と、前記一対の固定部を連結し、前記フレキシブルケーブルを屈曲させて前記回路基板上に前記他端部を接触させる接続補助部と、を備える、コネクタである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、製造時の作業性が良好で、回路基板との接続信頼性を確保できるコネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1にかかるコネクタの斜視図である。
図2図2は、コネクタの分解斜視図である。
図3図3は、コネクタの正面図である。
図4図4は、図3のA-A断面図である。
図5図5は、図3のB-B断面図である。
図6図6は、図3のA-A断面においてフレキシブルケーブルの層構造を示す模式図である。
図7図7は、コネクタハウジングの斜視図である。
図8図8は、フレキシブルケーブルの全体構成を示す図である。
図9図9は、ペグの斜視図である。
図10図10は、実施形態2にかかるコネクタの斜視図である。
図11図11は、第1ペグの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示のコネクタは、回路基板上に実装されるコネクタであって、コネクタハウジングと、前記コネクタハウジング内に配される複数の端子部と、前記複数の端子部に電気的に接続される一端部と、前記回路基板に半田付けにより接続される他端部と、を備えるフレキシブルケーブルと、前記コネクタハウジングを前記回路基板に固定する一対の固定部と、前記一対の固定部を連結し、前記フレキシブルケーブルを屈曲させて前記回路基板上に前記他端部を接触させる接続補助部と、を備える。
【0012】
このような構成によると、接続補助部によって、フレキシブルケーブルを屈曲させて回路基板上にフレキシブルケーブルの他端部を接触させることができるから、コネクタと回路基板との接続信頼性を確保できる。また、接続補助部は一対の固定部を連結しているから、固定部によるコネクタハウジングの固定と、接続補助部による回路基板上にフレキシブルケーブルの他端部を接触させる作業を同時に行うことができる。
【0013】
(2)また、本開示のコネクタは、回路基板上に実装されるコネクタであって、コネクタハウジングと、前記コネクタハウジング内に配される複数の端子部と、前記複数の端子部に電気的に接続される一端部と、前記回路基板に半田付けにより接続される他端部と、を備えるフレキシブルケーブルと、前記コネクタハウジングを前記回路基板に固定する一対の固定部と、前記フレキシブルケーブルを屈曲させて前記回路基板上に前記他端部を接触させる一対の接続補助部と、を備え、前記一対の接続補助部の一方は前記一対の固定部の一方から延設され、前記一対の接続補助部の他方は前記一対の固定部の他方から延設されている構成にしてもよい。
【0014】
このような構成によると、各接続補助部の大きさを小さくすることができる。よって、コネクタにかかる接続補助部の製造コストを低減できる。
【0015】
(3)前記固定部及び前記接続補助部は、金属製であり、前記固定部は、前記回路基板に半田付けにより固定されることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、固定部を半田付けすることにより、コネクタハウジングを回路基板上に固定することができる。
【0017】
(4)前記フレキシブルケーブルの前記他端部側に配される前記接続補助部の端部は、円滑な曲面状をなしていることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、フレキシブルケーブルが接続補助部の端部に接触しても、フレキシブルケーブルが損傷されにくい。
【0019】
(5)前記フレキシブルケーブルの前記他端部は、櫛歯状をなし、前記コネクタハウジングは、前記他端部を前記回路基板に対して位置決めする位置決め部を備えることが好ましい。
【0020】
このような構成によると、フレキシブルケーブルの他端部を回路基板に対して位置決めできるから、他端部と回路基板との半田付けが行いやすい。
【0021】
(6)前記フレキシブルケーブルの前記一端部は、櫛歯状をなし、前記複数の端子部は、前記一端部と、前記一端部に貼り付けられた補強板と、から構成されていることが好ましい。
【0022】
このような構成によると、複数の端子部をフレキシブルケーブルと補強板とから構成することができるから、コネクタの構成を簡素化できる。
【0023】
(7)前記複数の端子部は、前記コネクタハウジングに圧入されていることが好ましい。
【0024】
このような構成によると、複数の端子部をコネクタハウジングに固定することができる。
【0025】
(8)前記コネクタハウジングが開口する方向は、前記回路基板の表面に対して平行であることが好ましい。
【0026】
このような構成によると、コネクタの嵌合相手である相手側コネクタを回路基板の表面に沿う方向に嵌合させることができる。
【0027】
(9)本開示のコネクタ実装体は、上記のコネクタと、回路基板と、を備え、前記固定部が前記コネクタハウジングを前記回路基板に固定しており、前記フレキシブルケーブルの前記他端部が前記回路基板に半田付けされている。
【0028】
このような構成によると、コネクタと回路基板との接続信頼性が高いコネクタ実装体を提供することができる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0030】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図9を参照しつつ説明する。以下の説明においては、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0031】
[コネクタ]
本実施形態にかかるコネクタ10は、図1に示すように、コネクタハウジング20と、フレキシブルケーブル30と、一対の固定部51(図2参照)と、接続補助部52と、を備える。図3に示すように、コネクタ10は、コネクタハウジング20の内部に複数の端子部43を備える。図4に示すように、端子部43は、フレキシブルケーブル30の一端部32と、一端部32に貼り付けられた補強板40と、から構成されている。コネクタ10は、表面実装型であって、回路基板5に実装されるようになっている。
【0032】
[コネクタ、コネクタ実装体]
本実施形態にかかるコネクタ実装体1は、図4に示すように、コネクタ10と、コネクタ10が実装される回路基板5と、を備える。詳細に図示しないが、回路基板5は、剛性のプリント基板であり、固定部51が半田付けされる固定ランドと、フレキシブルケーブル30の他端部33が半田付けされる接続ランドと、を有する。
【0033】
コネクタ10は、詳細に図示しないが、複数の相手側端子を備える相手側コネクタと嵌合するようになっている。相手側端子は、筒部と筒部の内部に設けられる弾性接触片とを有する雌端子とされている。
【0034】
[コネクタハウジング]
図7に示すように、コネクタハウジング20は、絶縁性の合成樹脂製であって、左右方向に長い直方体形状をなしている。図3に示すように、コネクタハウジング20は、前方に開口する開口部21と、開口部21を構成する周壁22と、を有する。周壁22は、底壁22Aと、底壁22Aに対向する上壁22Bと、底壁22A及び上壁22Bの左右両端部を接続する一対の側壁24と、を備える。また、図4に示すように、コネクタハウジング20は、周壁22の後部に配される隔壁23を備える。
【0035】
図1図2及び図5に示すように、一対の側壁24は、コネクタハウジング20の外側に、溝状をなす一対の装着部25を有する。一対の装着部25には、一対の固定部51が装着されるようになっている。
【0036】
図5に示すように、隔壁23には、前後方向に貫通する複数の貫通孔26が左右方向に並んで設けられている。図4及び図5に示すように、貫通孔26の上下方向及び左右方向の寸法は、端子部43の上下方向及び左右方向の寸法に比べて、それぞれ小さく設定されている。これにより、端子部43は貫通孔26の内部に圧入され、隔壁23に固定される。
【0037】
[位置決め部]
図7に示すように、隔壁23の下端部には、複数の位置決め部27が後方に突出して設けられ、左右方向に並んで配されている。図1に示すように、隣り合う位置決め部27の左右方向の間隔は、基板接続部35の左右方向の寸法と略同一とされている。位置決め部27は、隣り合う基板接続部35の間に配され、基板接続部35同士を仕切る。これにより、複数の基板接続部35は回路基板5に対して左右方向に位置決めされる(図4参照)。
【0038】
図7に示すように、隔壁23は、上下方向の中央位置よりやや下方の位置から後方に突出する支持部28を備える。支持部28は、左右方向にのびて設けられている。図4に示すように、支持部28は、接続補助部52とともに、フレキシブルケーブル30の本体部31を挟み込むように配されており、本体部31の前後方向の位置を調整する。隔壁23は、位置決め部27の上方に曲面状をなす角度規制部29を備える。角度規制部29は、フレキシブルケーブル30の本体部31の他端部33側の端部あるいは基板接続部35の本体部31側の端部を湾曲させた状態で支持する。すなわち、角度規制部29は、基板接続部35と回路基板5の表面とのなす角度を規制し、基板接続部35の回路基板5に対する前後方向の位置を調整することができる。
【0039】
[フレキシブルケーブル]
フレキシブルケーブル30は、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)やフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)に例示されるケーブルであって、外力を受けて容易に変形可能な柔軟性(変形性)を有する。
【0040】
[一端部、他端部]
図8に示すように、フレキシブルケーブル30は、左右方向にのびる矩形帯状の本体部31と、本体部31の一方側(前側)において櫛歯状に形成された一端部32と、一端部32とは反対側(後側)において櫛歯状に形成された他端部33と、を備える。一端部32は、左右方向に並ぶ複数の端子接続部34を備える。他端部33は、左右方向に並ぶ複数の基板接続部35を備える。フレキシブルケーブル30は、複数の端子接続部34及び複数の基板接続部35と同数とされる複数の導電路36(一部のみ図示)を備える。各導電路36は各端子接続部34から各基板接続部35にかけてのびている。なお、図8においてフレキシブルケーブル30は屈曲されていない状態であることに留意する。
【0041】
図6に示すように、導電路36はベースフィルム37Aに積層されて形成されている。導電路36は、端子接続部34及び基板接続部35の下面を除いてカバーレイフィルム37Bにより被覆されている。すなわち、端子接続部34及び基板接続部35に配される導電路36は、下方に向かって露出している。ベースフィルム37A及びカバーレイフィルム37Bは、絶縁樹脂製である。導電路36は、例えば銅箔等により構成される。
【0042】
[補強板、複数の端子部]
補強板40は、ポリイミド樹脂またはガラスエポキシ樹脂からなる。図5に示すように、補強板40は、左右方向にのびる基礎部41と、基礎部41から前方に突出し、左右方向に並ぶ複数の突出部42と、を備える。各突出部42は、各端子接続部34と対応する形状とされている(図8参照)。図6に示すように、各突出部42は各端子接続部34の上面側に、基礎部41は本体部31の端子接続部34側の端部の上面側に設けられている。補強板40は、接着剤等によってフレキシブルケーブル30の一端部32側の領域の上面に貼り付けられている。本実施形態では、複数の突出部42と複数の端子接続部34とが一体化されることにより、複数の端子部43が構成されている。複数の端子部43は、相手側端子の筒部に挿入され、複数の端子部43の下方に露出する導電路36が相手側端子の弾性接触片に接触するようになっている。
【0043】
図4に示すように、補強板40の基礎部41は、フレキシブルケーブル30に貼り付けられていない延長部44を有する。延長部44は、接続補助部52により屈曲されたフレキシブルケーブル30の上方に配され、後方にのびている。よって、延長部44は、フレキシブルケーブル30の一部を上方から覆い、保護している。また、延長部44の後端部44Aは、接続補助部52の当接面53と対向し、近接するように配されている。このため、コネクタ10が相手側コネクタと嵌合する際、複数の端子部43が後方に移動した場合でも、延長部44の後端部44Aと当接面53とが当接することで、複数の端子部43が後方に抜けることを抑制できる。
【0044】
[固定部]
本実施形態にかかるコネクタ10は、図1に示すように、コネクタハウジング20を回路基板5に固定するための単一のペグ50を備える。図9に示すように、ペグ50は、金属板材を折り曲げ加工して構成されている。ペグ50の左右両側には、一対の固定部51が設けられている。図1及び図2に示すように、一対の固定部51は、コネクタハウジング20の一対の装着部25に装着される。図4に示すように、固定部51の下端部は、回路基板5に半田付けされるようになっている。
【0045】
[接続補助部]
図9に示すように、ペグ50は、一対の固定部51の上側の後端部を連結する接続補助部52を備える。すなわち、接続補助部52は一対の固定部51と一体に形成されているから、接続補助部52を別体に設けなくてよく、部品点数を減らすことができる。図4に示すように、接続補助部52の前面は、フレキシブルケーブル30の本体部31に当接する当接面53となっている。当接面53は、隔壁23に対向するように配される。当接面53がフレキシブルケーブル30の本体部31に当接することにより、前後方向にのびるフレキシブルケーブル30が略直角に屈曲され、下方にのびた状態とされる。これにより、フレキシブルケーブル30の他端部33を回路基板5上に接触させることができる。詳細には、フレキシブルケーブル30が柔軟性を有するために、下方にのびるように屈曲されたフレキシブルケーブル30の他端部33が回路基板5の表面に沿うように変形し、基板接続部35の下面が回路基板5の表面に接触する。
【0046】
図9に示すように、本実施形態では、接続補助部52の下端部54は、金属板材の端部を側面視で略U字状に折り曲げることで構成され、円滑な曲面状をなしている。図2及び図4に示すように、接続補助部52の下端部54は、フレキシブルケーブル30の他端部33側に配される接続補助部52の端部である。接続補助部52の下端部54が曲面状であるため、ペグ50をコネクタハウジング20に組み付ける際、接続補助部52の下端部54にフレキシブルケーブル30が接触しても、フレキシブルケーブル30が損傷されにくい。一方、仮に接続補助部52の下端部54が破断面であれば、フレキシブルケーブル30に接触して、フレキシブルケーブル30を損傷することが考えられる。
【0047】
[コネクタ及びコネクタ実装体の製造方法]
本実施形態のコネクタ10及びコネクタ実装体1は以上のような構成であって、以下に、コネクタ10及びコネクタ実装体1の製造方法について説明する。
フレキシブルケーブル30は、公知のプリント配線技術により形成される。フレキシブルケーブル30と補強板40とを接着剤により接着することで、複数の端子部43が構成される。ここで、各端子接続部34及び各基板接続部35に配される導電路36は、下方に露出している(図6参照)。
【0048】
複数の端子部43をコネクタハウジング20の貫通孔26の内部に圧入する。複数の端子部43は、隔壁23に補強板40の基礎部41が当たるまで、前方に押し込まれる(図5参照)。
【0049】
続いて、一対の固定部51(ペグ50)が、コネクタハウジング20の装着部25に装着される(図2参照)。このとき、一対の固定部51を連結する接続補助部52が、フレキシブルケーブル30に接触し、フレキシブルケーブル30を屈曲させる。接続補助部52の下端部54は円滑な曲面状をなしているから、接続補助部52の下端部54がフレキシブルケーブル30に接触しても、フレキシブルケーブル30は損傷されにくい。
【0050】
一対の固定部51がコネクタハウジング20に装着された状態では、接続補助部52の接触面53により、フレキシブルケーブル30の本体部31は下方に屈曲されている(図4参照)。また、コネクタハウジング20の位置決め部27、支持部28、及び角度規制部29によって、フレキシブルケーブル30の位置が調整されている。最終的に、フレキシブルケーブル30の他端部33の基板接続部35は、コネクタハウジング20の下方及び後方にのびて配された状態となる。
以上で、コネクタ10の製造が完了する。
【0051】
続いて、コネクタ10を回路基板5に実装する。回路基板5の固定ランド及び接続ランドには、予め半田ペーストが塗布されている。コネクタ10を回路基板5上に載置すると、フレキシブルケーブル30の他端部33の基板接続部35は、回路基板5上に接触する。基板接続部35の下面は接続ランドに接触し、固定部51は固定ランドに接触するようになっている。リフローにより、基板接続部35に配された導電路36と接続ランドとが半田付けされ、固定部51と固定ランドとが半田付けされる。導電路36と接続ランドとの半田付けにより、フレキシブルケーブル30(複数の端子部43)と回路基板5とが電気的に接続される。固定部51と固定ランドとの半田付けにより、コネクタハウジング20が回路基板5上に固定される。以上により、コネクタ実装体1の製造が完了する。
【0052】
基板接続部35は柔軟なフレキシブルケーブル30により構成されているから、リフロー時の温度変化により回路基板5が変形したとしても、基板接続部35は回路基板5の表面に追従して変形できる。よって、コネクタ10と回路基板5との接続信頼性を向上させることができる。
【0053】
[実施形態1の作用効果]
実施形態1によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態1にかかるコネクタ10は、回路基板5上に実装されるコネクタ10であって、コネクタハウジング20と、コネクタハウジング20内に配される複数の端子部43と、複数の端子部43に電気的に接続される一端部32と、回路基板5に半田付けにより接続される他端部33と、を備えるフレキシブルケーブル30と、コネクタハウジング20を回路基板5に固定する一対の固定部51と、一対の固定部51を連結し、フレキシブルケーブル30を屈曲させて回路基板5上に他端部33を接触させる接続補助部52と、を備える。
【0054】
上記の構成によれば、接続補助部52によって、フレキシブルケーブル30を屈曲させて回路基板5上にフレキシブルケーブル30の他端部33を接触させることができるから、コネクタ10と回路基板5との接続信頼性を確保できる。また、接続補助部52は一対の固定部51を連結しているから、固定部51によるコネクタハウジング20の固定と、接続補助部52による回路基板5上にフレキシブルケーブル30の他端部33を接触させる作業を同時に行うことができる。
【0055】
実施形態1では、固定部51及び接続補助部52は、金属製であり、固定部51は、回路基板5に半田付けにより固定される。
【0056】
上記の構成によれば、固定部51を半田付けすることにより、コネクタハウジング20を回路基板5上に固定することができる。
【0057】
実施形態1では、フレキシブルケーブル30の他端部33側に配される接続補助部52の端部(下端部54)は、円滑な曲面状をなしている。
【0058】
上記の構成によれば、フレキシブルケーブル30が接続補助部52の端部(下端部54)に接触しても、フレキシブルケーブル30が損傷されにくい。
【0059】
実施形態1では、フレキシブルケーブル30の他端部33は、櫛歯状をなし、コネクタハウジング20は、他端部33を回路基板5に対して位置決めする位置決め部27を備える。
【0060】
上記の構成によれば、フレキシブルケーブル30の他端部33を回路基板5に対して位置決めできるから、他端部33と回路基板5との半田付けが行いやすい。
【0061】
実施形態1では、フレキシブルケーブル30の一端部32は、櫛歯状をなし、複数の端子部43は、一端部32と、一端部32に貼り付けられた補強板40と、から構成されている。
【0062】
上記の構成によれば、複数の端子部43をフレキシブルケーブル30と補強板40とから構成することができるから、コネクタ10の構成を簡素化できる。
【0063】
実施形態1では、複数の端子部43は、コネクタハウジング20に圧入されている。
【0064】
上記の構成によれば、複数の端子部43をコネクタハウジング20に固定することができる。
【0065】
実施形態1では、コネクタハウジング20が開口する方向は、回路基板5の表面に対して平行である。
【0066】
上記の構成によれば、コネクタ10の嵌合相手である相手側コネクタを回路基板5の表面に沿う方向に嵌合させることができる。
【0067】
実施形態1にかかるコネクタ実装体1は、コネクタ10と、回路基板5と、を備え、固定部51がコネクタハウジング20を回路基板5に固定しており、フレキシブルケーブル30の他端部33が回路基板5に半田付けされている。
【0068】
上記の構成によれば、コネクタ10と回路基板5との接続信頼性が高いコネクタ実装体1を提供することができる。
【0069】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、図10及び図11を参照しつつ説明する。実施形態2にかかるコネクタ110は、固定部151及び接続補助部152の構成を除いて、実施形態1のコネクタ10と同様に構成されている。以下、実施形態1と同一の部材には実施形態1で用いた符号を付し、実施形態1と同一の構成、作用効果については説明を省略する。
【0070】
[固定部]
図10に示すように、本実施形態にかかるコネクタ110は、一対のペグ150を備える。一対のペグ150は、実施形態1にかかるペグ50において接続補助部52の左右方向における中央部分を省略した形状を有する。すなわち、一対のペグ150は、実施形態1のペグ50の左側部分に対応する第1ペグ150Aと、実施形態1のペグ50の右側部分に対応する第2ペグ150Bと、から構成されている。第1ペグ150A及び第2ペグ150Bは、それぞれ固定部151と接続補助部152を備える。すなわち、コネクタ110は、一対の固定部151と、一対の接続補助部152と、を備える。図示しないが、一対の固定部151は、実施形態1と同様に、回路基板5の固定ランドに半田付けされる。
【0071】
[接続補助部]
図11に示すように、第1ペグ150Aは、固定部151の上端部から右方にのびる接続補助部152を備える。接続補助部152の左右方向の寸法は、実施形態1のペグ50の接続補助部52の同寸法の略5分の1となっている。接続補助部152の右端部の略4分の1の部分は、後述する開き防止凹部125Aの内部に挿通される挿通部155とされている。挿通部155では、金属板材が折り曲げられておらず、全体の板厚が金属板材一枚分の板厚となっている。第2ペグ150Bについては、第1ペグ150Aと対称に構成されるから、説明を省略する。
【0072】
図10に示すように、本実施形態のコネクタハウジング120は、挿通部155を内部に受け入れる開き防止凹部125Aを備える。挿通部155が開き防止凹部125Aの内部に配されることにより、接続補助部152がコネクタハウジング120に対して後方に変形して開くことを抑制することができる。挿通部155の下端部156は、面取り加工されることで円滑な曲面状をなしている。よって、接続補助部152の下端部54と同様に、挿通部155の下端部156は、フレキシブルケーブル30を損傷しないようになっている。
【0073】
本実施形態では、第1ペグ150A及び第2ペグ150Bの接続補助部152がフレキシブルケーブル30の本体部31の左端部及び右端部を屈曲させる。これにより、接続補助部152が直接接触していない本体部31の左右中央部分も屈曲する。よって、実施形態1と同様に複数の基板接続部35を回路基板5に接触させることができる。すなわち、フレキシブルケーブル30において、複数の基板接続部35が本体部31により連結されていることにより、本実施形態の構成は可能となっている。
【0074】
[実施形態2の作用効果]
実施形態2によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態2にかかるコネクタ110は、回路基板5上に実装されるコネクタ110であって、コネクタハウジング120と、コネクタハウジング120内に配される複数の端子部43と、複数の端子部43に電気的に接続される一端部32と、回路基板5に半田付けにより接続される他端部33と、を備えるフレキシブルケーブル30と、コネクタハウジング120を回路基板5に固定する一対の固定部151と、フレキシブルケーブル30を屈曲させて回路基板5上に他端部33を接触させる一対の接続補助部152と、を備え、一対の接続補助部152の一方は一対の固定部151の一方から延設され、一対の接続補助部152の他方は一対の固定部151の他方から延設されている。
【0075】
上記の構成によれば、各接続補助部152の大きさを小さくすることができる。よって、コネクタ110にかかる接続補助部152の製造コストを低減できる。
【0076】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、固定部51,151はペグ50,150であったが、これに限られることはなく、固定部は回路基板のスルーホールに挿通され半田付けされるレグでもよい。
(2)上記実施形態では、複数の端子部43はフレキシブルケーブル30の一端部32と補強板40とから構成されていたが、これに限られることはなく、複数の端子部は複数の端子金具であってもよい。
(3)上記実施形態では、コネクタハウジング20,120が開口する方向は回路基板5の表面に対して平行であったが、これに限られることはなく、例えばコネクタハウジングが開口する方向は回路基板の表面と直交する方向であってもよい。
(4)上記実施形態では、接続補助部52,152の下端部54は、金属板材を略U字状に折り曲げて構成されたが、これに限られることはなく、接続補助部の下端部は、例えば金属板材を略L字状に折り曲げて構成してもよい。
(5)上記実施形態では、複数の端子部43はコネクタハウジング20,120の貫通孔26内に圧入され、コネクタハウジング20,120に保持されたが、これに限られることはない。例えば、コネクタハウジングに係止部を設け、補強板の基礎部に係止受け部を設け、係止部と係止受け部との係止によって複数の端子部がコネクタハウジングに保持される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1: コネクタ実装体
5: 回路基板
10,110: コネクタ
20,120: コネクタハウジング
21: 開口部
22: 周壁
22A: 底壁
22B: 上壁
23: 隔壁
24: 側壁
25: 装着部
26: 貫通孔
27: 位置決め部
28: 支持部
29: 角度規制部
30: フレキシブルケーブル
31: 本体部
32: 一端部
33: 他端部
34: 端子接続部
35: 基板接続部
36: 導電路
37A: ベースフィルム
37B: カバーレイフィルム
40: 補強板
41: 基礎部
42: 突出部
43: 端子部
44: 延長部
44A: 延長部の後端部
50,150: ペグ
51,151: 固定部
52,152: 接続補助部
53: 当接面
54: 接続補助部の下端部
125A: 開き防止凹部
150A: 第1ペグ
150B: 第2ペグ
155: 挿通部
156: 挿通部の下端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11