(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182503
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】予測装置、予測システム、および予測方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20120101AFI20221201BHJP
G06Q 50/02 20120101ALI20221201BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090099
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 直
(72)【発明者】
【氏名】熊白 啓明
(72)【発明者】
【氏名】正 敏明
(72)【発明者】
【氏名】井内 淳二
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】青果物の食べごろを予測すること。
【解決手段】予測装置は、青果物の外観状態、糖度、および酸度を出荷後日数に応じて関連付けた青果物の美味しさに関する美味しさ情報を予め記憶する記憶部と、外部装置と各種の情報を通信する通信部と、対象青果物の映像データと、対象青果物の出荷日時の情報を少なくとも含むコード情報とを通信部から取得する取得部と、対象青果物の映像データに基づいて、対象青果物の外観状態を抽出する特徴抽出部と、記憶部が記憶する美味しさ情報から、出荷後日数と、特徴抽出部が抽出した対象青果物の外観状態とに基づいて、対象青果物の糖度、および酸度に関する情報を取得して、果物情報として予測する予測部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物の外観状態、糖度、および酸度を出荷後日数に応じて関連付けた前記青果物の美味しさに関する美味しさ情報を予め記憶する記憶部と、
外部装置と各種の情報を通信する通信部と、
対象青果物の映像データと、前記対象青果物の出荷日時の情報を少なくとも含むコード情報とを前記通信部から取得する取得部と、
前記対象青果物の映像データに基づいて、前記対象青果物の外観状態を抽出する特徴抽出部と、
前記記憶部が記憶する前記美味しさ情報から、前記出荷後日数と、前記特徴抽出部が抽出した前記対象青果物の外観状態とに基づいて、前記対象青果物の糖度、および酸度に関する情報を取得して、果物情報として予測する予測部と、
を備える、予測装置。
【請求項2】
前記美味しさ情報は、前記青果物の官能評価値に関する情報を含み、
前記予測部は、前記対象青果物の糖度、酸度、および官能評価値に関する情報を果物情報として予測する、
請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記予測部は、前記コード情報と、前記記憶部が記憶する前記美味しさ情報と、前記特徴抽出部が抽出した前記対象青果物の外観状態とに基づいて、前記対象青果物の前記果物情報の経時変化を予測する、
請求項1または2に記載の予測装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の予測装置と、
前記予測装置と通信可能に接続された端末装置と、を含み、
前記端末装置は、
対象青果物を撮像した撮像部から前記対象青果物の映像データを取得する映像データ取得部と、
前記映像データに基づいて、前記対象青果物の出荷日時の情報を少なくとも含むコード情報を取得するコード情報取得部と、
前記映像データと前記コード情報とを送信部を介して前記予測装置に送信し、前記予測装置から前記対象青果物に関する果物情報を、受信部を介して受信する通信制御部と、
前記果物情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備える、
予測システム。
【請求項5】
青果物の外観状態、糖度、および酸度を出荷後日数に応じて関連付けた前記青果物の美味しさに関する美味しさ情報を予め記憶部に記憶するステップと、
外部装置と各種の情報を通信するステップと、
対象青果物の映像データと、前記対象青果物の出荷日時の情報を少なくとも含むコード情報とを取得するステップと、
前記対象青果物の映像データに基づいて、前記対象青果物の外観状態を抽出するステップと、
前記記憶部が記憶する前記美味しさ情報から、前記出荷後日数と、抽出した前記対象青果物の外観状態とに基づいて、前記対象青果物の糖度、および酸度に関する情報を取得して、果物情報として予測するステップと、
を含む、予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測装置、予測システム、および予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜の表面を撮影して、野菜の鮮度を測定することのできる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、市場に流通する果物などは、購入直後に食べごろとなるように収穫し、出荷されるため、購入後に時間がたつに連れて味が損なわれる。しかしながら、果物などが輸入品である場合や、収穫時期が異なることにより、果物の食べごろの時期が変化することがある。同じ産地で同じ時期に収穫された果物であっても、出荷後の保存状態が異なれば個々の果物の食べごろ時期に違いが生じる。果物などの食べごろを予測することのできる技術が求められている。
【0005】
本発明は、青果物の食べごろを予測することのできる予測装置、予測システム、および予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る予測装置は、青果物の外観状態、糖度、および酸度を出荷後日数に応じて関連付けた前記青果物の美味しさに関する美味しさ情報を予め記憶する記憶部と、外部装置と各種の情報を通信する通信部と、対象青果物の映像データと、前記対象青果物の出荷日時の情報を少なくとも含むコード情報とを前記通信部から取得する取得部と、前記対象青果物の映像データに基づいて、前記対象青果物の外観状態を抽出する特徴抽出部と、前記記憶部が記憶する前記美味しさ情報から、前記出荷後日数と、前記特徴抽出部が抽出した前記対象青果物の外観状態とに基づいて、前記対象青果物の糖度、および酸度に関する情報を取得して、果物情報として予測する予測部と、を備える。
【0007】
本発明に係る予測システムは、本発明に係る予測装置と、前記予測装置と通信可能に接続された端末装置と、を含み、前記端末装置は、対象青果物を撮像した撮像部から前記対象青果物の映像データを取得する映像データ取得部と、前記映像データに基づいて、前記対象青果物の出荷日時の情報を少なくとも含むコード情報を取得するコード情報取得部と、前記映像データと前記コード情報とを送信部を介して前記予測装置に送信し、前記予測装置から前記対象青果物に関する果物情報を、受信部を介して受信する通信制御部と、前記果物情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0008】
本発明に係る予測方法は、青果物の外観状態、糖度、および酸度を出荷後日数に応じて関連付けた前記青果物の美味しさに関する美味しさ情報を予め記憶部に記憶するステップと、外部装置と各種の情報を通信するステップと、対象青果物の映像データと、前記対象青果物の出荷日時の情報を少なくとも含むコード情報とを取得するステップと、前記対象青果物の映像データに基づいて、前記対象青果物の外観状態を抽出するステップと、前記記憶部が記憶する前記美味しさ情報から、前記出荷後日数と、抽出した前記対象青果物の外観状態とに基づいて、前記対象青果物の糖度、および酸度に関する情報を取得して、果物情報として予測するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、青果物の食べごろを予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る予測システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る予測装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る美味しさ情報の取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る美味しさ情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る対象青果物の食べごろ具合を予測する処理を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る対象青果物を撮像する方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る対象青果物の食べごろ具合を表示する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[実施形態]
(予測システム)
図1を用いて、実施形態に係る予測システムの構成例について説明する。
図1は、実施形態に係る予測システムの構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、予測システム1は、予測装置10と、端末装置12と、を含む。予測装置10と、端末装置12とは、有線または無線のネットワークNを介して、通信可能に接続されている。ネットワークNは、例えば、インターネット網であるが、これに限定されない。
【0014】
予測装置10は、予測対象となる青果物(以下、対象青果物とも呼ぶ)の食べごろを予測する。予測装置10は、対象青果物の映像データに基づいて、対象青果物の食べごろを予測する。予測装置10は、例えば、端末装置12が撮像した対象青果物の映像データに基づいて、対象青果物の食べごろを果物情報として予測する。予測装置10は、予測した果物情報を端末装置12に送信する。
【0015】
端末装置12は、対象青果物を撮像する。端末装置12は、対象青果物を撮像した映像データを予測装置10に送信する。端末装置12は、対象青果物の食べごろを示す果物情報を受信する。端末装置12は、予測装置10から受信した対象青果物の果物情報を表示する。端末装置12は、例えば、青果物を店舗などで販売する販売者、店舗で青果物を購入する消費者などにより使用される。
【0016】
予測システム1は、端末装置12で撮像した対象青果物の食べごろを予測装置10が予測するシステムである。予測システム1は、対象青果物の食べごろに関する情報をユーザに提供する。
【0017】
(予測装置)
図2を用いて、実施形態に係る予測装置の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る予測装置の構成例を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、予測装置10は、通信部20と、記憶部22と、制御部24と、を備える。
【0019】
通信部20は、受信部20aと、送信部20bと、を有する。
【0020】
受信部20aは、ネットワークNを介して、外部装置から各種の情報を受信する。受信部20aは、例えば、ネットワークNを介して、端末装置12から対象青果物の映像データおよびコード情報を受信する。
【0021】
送信部20bは、ネットワークNを介して、外部装置に各種の情報を送信する。送信部20bは、例えば、ネットワークNを介して、対象青果物の食べごろに関する果物情報を送信する。
【0022】
記憶部22は、各種の情報を記憶するメモリである。記憶部22は、例えば、制御部24の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部22は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。本実施形態では、記憶部22は、青果物の食べごろを予測するために使用する美味しさ情報を記憶する。
【0023】
制御部24は、予測装置10の各部の動作を制御する。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部22等に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部24は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部24は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0024】
制御部24は、取得部30と、特徴抽出部32と、予測部34と、青果物情報取得部36と、通信制御部38と、を備える。
【0025】
取得部30は、各種の情報を取得する。取得部30は、受信部20aを介して、外部装置から各種の情報を取得する。取得部30は、例えば、受信部20aを介して、端末装置12から対象青果物の映像データおよびコード情報などを取得する。コード情報は、例えば、対象青果物または包装に付されたバーコードまたはQRコード(登録商標)などの1次元コードまたは2次元コードであるが、これに限定されない。コード情報には、品目名、出荷日、産地、および栽培方法に関する情報を含む。
【0026】
特徴抽出部32は、対象青果物の映像データから、対象青果物の特徴を抽出する。特徴抽出部32は、例えば、対象青果物の映像データから、対象青果物の色、形状などの外観状態を抽出する。例えば、外観状態は、対象青果物の色彩の濃淡や、表面の皺の量などであるがこれに限定されない。特徴抽出部32の詳細は、後述する。
【0027】
予測部34は、対象青果物の糖度、酸度、および官能評価値を果物情報として予測する。予測部34は、例えば、取得部30が記憶部22から取得した美味しさ情報と、特徴抽出部32が映像データから抽出した対象青果物の特徴とに基づいて、果物情報を予測する。予測部34の詳細は、後述する。
【0028】
青果物情報取得部36は、青果物に関する各種の情報を取得する。青果物情報取得部36は、青果物に関する各種の情報を取得して美味しさ情報として記憶部22に記憶させる。青果物情報の詳細は、後述する。
【0029】
通信制御部38は、通信部20を制御して、予測装置10と、外部装置との間の各種の情報の送受信を行う。通信制御部38は、例えば、受信部20aを制御して、端末装置12から各種の情報を受信させる。通信制御部38は、例えば、送信部20bを制御して、端末装置12に各種の情報を送信させる。
【0030】
(端末装置)
図3を用いて、実施形態に係る端末装置の構成例について説明する。
図3は、実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【0031】
図3に示すように、端末装置12は、撮像部50と、入力部52と、表示部54と、通信部56と、記憶部58と、制御部60と、を備える。
【0032】
撮像部50は、対象物を撮像する。撮像部50は、例えば、対象青果物を撮像する。撮像部50は、例えば、対象青果物または包装に付されたコード情報を撮像する。
【0033】
入力部52は、端末装置12に対する各種の操作を受け付ける。入力部52は、例えば、ボタン、タッチパネルなどの入力装置で実現することができる。
【0034】
表示部54は、各種映像を表示する。表示部54は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイを含む。なお、タッチパネル等を用いて、入力部52と、表示部54とを一体に構成してもよい。
【0035】
通信部56は、受信部56aと、送信部56bと、を有する。
【0036】
受信部56aは、ネットワークNを介して、外部装置から各種の情報を受信する。受信部56aは、例えば、ネットワークNを介して、予測装置10から対象青果物に関する果物情報を受信する。
【0037】
送信部56bは、ネットワークNを介して、外部装置に各種の情報を送信する。送信部56bは、例えば、ネットワークNを介して、予測装置10に対象青果物を撮影した映像データおよびコード情報などを送信する。
【0038】
記憶部58は、各種の情報を記憶するメモリである。記憶部58は、例えば、制御部60の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部58は、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置、HDD等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。本実施形態では、記憶部58は、青果物の食べごろを予測するために使用する美味しさ情報を記憶する。
【0039】
制御部60は、端末装置12の各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、CPUやMPU等によって、記憶部58等に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部60は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。制御部60は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0040】
制御部60は、映像データ取得部70と、コード情報取得部72と、通信制御部74と、表示制御部76と、を備える。
【0041】
映像データ取得部70は、撮像部50から映像データを取得する。映像データ取得部70は、例えば、撮像部50から対象青果物の映像データを取得する。
【0042】
コード情報取得部72は、コード情報を取得する。コード情報取得部72は、例えば、撮像部40が取得した映像データに基づいて、対象青果物に付されたQRコードなどからコード情報を取得する。
【0043】
通信制御部74は、通信部56を制御して、端末装置12と、外部装置との間の各種の情報の送受信を行う。通信制御部74は、例えば、受信部56aを制御して、予測装置10から各種の情報を受信させる。通信制御部74は、例えば、送信部56bを制御して、予測装置10に各種の情報を送信させる。
【0044】
表示制御部76は、表示部54を制御して、各種の情報を表示させる。表示制御部76は、例えば、表示部54を制御して、対象青果物の食べごろに関する情報を表示させる。
【0045】
(美味しさ情報取得処理)
図4を用いて、実施形態に係る美味しさ情報の取得処理について説明する。
図4は、実施形態に係る美味しさ情報の取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0046】
図4に示す処理は、青果物として、果物の美味しさ情報を取得する処理について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
青果物情報取得部36は、青果物の生産情報を取得する(ステップS10)。具体的には、青果物情報取得部36は、各種の青果物の品目、出荷日時、産地、栽培方法、および保管方法に関する情報を生産情報として取得する。青果物情報取得部36は、例えば、通信部20を介して、青果物の生産情報を取得する。青果物情報取得部36は、例えば、外部の入力装置に入力された、青果物の生産情報を取得する。そして、ステップS12に進む。
【0048】
青果物情報取得部36は、青果物の糖度情報を取得する(ステップS12)。具体的には、青果物情報取得部36は、図示しない糖度計測装置が計測した青果物の糖度情報を取得する。そして、ステップS14に進む。
【0049】
青果物情報取得部36は、青果物の酸度情報を取得する(ステップS14)。具体的には、青果物情報取得部36は、図示しない酸度計測装置が計測した青果物の酸度情報を取得する。そして、ステップS16に進む。
【0050】
青果物情報取得部36は、青果物の色彩情報を取得する(ステップS16)。具体的には、青果物情報取得部36は、図示しない色彩計測装置が計測した青果物の色彩情報を取得する。色彩情報は、濃淡に応じてクラス分けしてもよい。クラスは、例えば、3段階、5段階、10段階などのようにユーザが任意に設定してよい。色彩情報は、連続的な値であってもよい。そして、ステップS18に進む。
【0051】
青果物情報取得部36は、官能評価値情報を取得する(ステップS18)。官能評価値情報は、例えば、複数のユーザから取得した情報であり得る。具体的には、官能評価値情報は、例えば、複数のユーザが青果物を食べた際の味の感想を示す感想情報である。感想情報は、例えば、「わかい」、「おいしい」、および「あじぼけ」といった3段階に分類される。「わかい」は、完熟が足りないことを示す感想である。「おいしい」は、完熟がちょうどよいことを示す感想である。「あじぼけ」は、完熟がし過ぎていることを示す感想である。感想には、その他の感想が含まれていてよい。そして、ステップS20に進む。
【0052】
青果物情報取得部36は、美味しさ情報を記憶部22に記憶させる(ステップS20)。具体的には、青果物情報取得部36は、生産情報と、糖度情報と、酸度情報と、色彩情報と、官能評価値情報とを関連付けて美味しさ情報として記憶部22に記憶させる。
【0053】
図5を用いて、実施形態に係る美味しさ情報の一例を説明する。
図5は、実施形態に係る美味しさ情報の一例を示す図である。
【0054】
図5に示すように、美味しさ情報22aは、例えば、「保管方法」、「品目」、「出荷時期」、「産地」、「栽培方法」、「濃淡クラス」、「色彩」、および「美味しさ測定値」といった項目を含む。
【0055】
保管方法は、青果物の保管方法に関する方法を示す。
図5に示す例では、保管方法には、冷蔵庫が示されている。保管方法としては、例えば、常温、暗所などが示され得るが、これらに限定されない。
【0056】
品目は、青果物の品目に関する情報を示す。
図5に示す例では、品目には、モモが示されている。品目には、各種の果物または野菜の品目が示される。
【0057】
出荷時期は、青果物の出荷時期に関する情報を示す。
図5に示す例では、出荷時期には、7月初旬であることが示される。出荷時期としては、例えば、7月中旬、7月下旬などと示され得る。出荷時期には、例えば、7月1日のように具体的な日時が示されてもよい。出荷時期には、日時に加えて時間情報が含まれていてもよい。
【0058】
産地は、青果物の産地に関する情報を示す。
図5に示す例では、産地には、山梨県であることが示されている。産地には、各種の都道府県が示される。産地には、市町村に関する情報が含まれてもよい。
【0059】
栽培方法は、青果物の栽培方法に関する情報を示す。
図5に示す例では、栽培方法には、一般栽培であることが示される。栽培方法には、例えば、有機栽培であることが示される。
【0060】
色彩は、青果物の色彩に関する情報を示す。
図5に示す例では、色彩は、色の濃い順に「濃」、「中濃」、「淡」の3段階にクラス分けされている。色彩は、例えば、2段階にクラス分けされていてもよいし、4段階以上にクラス分けされていてもよい。色彩は、例えば、数値を用いて表してもよい。
【0061】
美味しさ算出値は、青果物の美味しさの算出値を示す。美味しさ算出値は、例えば、青果物の糖度情報と、酸度情報と、官能評価値情報とに基づいて、算出される。
図5に示す例では、0日目、1日目、・・・、など出荷日からの経過日数ごとの美味しさ算出値が示されている。0日目は、出荷日の美味しさ算出値を示す。例えば、保管方法「冷蔵庫」、品目「モモ」、出荷時期「7月初旬」、産地「山梨県」、栽培方法「一般栽培」、色彩「濃」の場合、0日目の美味しさ算出値は「P1」であることが示されている。
【0062】
図5に示す例では、美味しさ算出値は、「P1」、「P2」、「P11」、「P12」、「P21」、および「P22」などと概念的に示しているが、実際には、例えば、数値で示される。
【0063】
図4に戻る。青果物情報取得部36が
図5に示すような美味しさ情報22aを記憶部22に記憶することで、
図4の処理を終了する。
【0064】
図4の処理は、例えば、出荷時に評価用にサンプリングして保存しておいた青果物を使い、所定の期間ごとに実施され得る。例えば、各種の青果物の市場への出荷日から一日ごとに処理を行い、美味しさ情報として記憶部22に記憶するようにするとよい。例えば、端末装置12を持つユーザから美味しさ情報を取得するようにしてもよい。この結果、色彩の濃淡と出荷日からの経過日数とのマトリクス表が作成される。例えば、色彩の濃淡が同じであっても、出荷日からの経過化日数が異なれば、美味しさ情報も異なる。逆に、出荷日からの経過化日数が同じであっても、色彩の濃淡が異なれば、美味しさ情報も異なる。これにより、美味しさ情報が所定の期間ごとに更新されるので、予測装置10の美味しさ情報の予測精度を向上させることができる。
【0065】
(予測処理)
図6を用いて、実施形態に係る予測処理について説明する。
図6は、実施形態に係る予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0066】
取得部30は、対象青果物の映像データを取得する(ステップS30)。具体的には、取得部30は、対象青果物を撮像した端末装置12から対象青果物の映像データを取得する。対象青果物の映像データは、例えば、対象青果物の外観の映像データである。対象青果物の外観の映像データは、例えば、対象青果物の外観の360°の範囲を撮像した映像データであることが好ましい。対象青果物の映像データは、例えば、対象青果物の切り口などの内部の状態を示す映像データであってもよい。そして、ステップS32に進む。
【0067】
取得部30は、対象青果物のコード情報を取得する(ステップS32)。具体的には、取得部30は、対象青果物を撮像した端末装置12から対象青果物の映像データを取得する。そして、ステップS34に進む。
【0068】
特徴抽出部32は、対象青果物の特徴を抽出する(ステップS34)。具体的には、特徴抽出部32は、取得部30が取得した対象青果物の映像データに基づいて、対象青果物の状態を抽出する。特徴抽出部32は、例えば、対象青果物の色彩を状態として抽出する。特徴抽出部32は、例えば、対象青果物の色彩が「濃」、「中濃」、および「淡」のいずれであるかを判定する。そして、ステップS36に進む。
【0069】
予測部34は、美味しさ情報を取得する(ステップS36)。具体的には、予測部34は、例えば、取得部30が取得したコード情報に基づいて、対象青果物の品目に応じた美味しさ情報を記憶部22から取得する。そして、ステップS38に進む。
【0070】
予測部34は、対象青果物の果物情報を予測する(ステップS38)。具体的には、予測部34は、例えば、記憶部22から取得した美味しさ情報に基づいて、対象青果物の現在の食べごろ具合と、今後の食べごろ具合とを予測する。
【0071】
図7を用いて、実施形態に係る対象青果物の食べごろ具合を予測する処理について説明する。
図7は、実施形態に係る対象青果物の食べごろ具合を予測する処理を説明するための図である。
【0072】
図7は、所定の対象青果物の美味しさ情報22bを示す。美味しさ情報22bは、対象青果物の色彩に応じた、対象青果物の味の変化に関する情報を含む。美味しさ情報22bは、例えば、出荷日からの経過日数に応じた糖度、酸度、および官能評価値の変化に関する情報を含む。
【0073】
図7に示す例では、糖度はS1、酸度はA1などと概念的に示しているが、実際には、数値などで示される。
【0074】
予測部34は、例えば、対象青果物の色彩と、出荷日からの経過日数に基づいて、対象青果物の現在の食べごろ具合と、今後の食べごろ具合とを予測する。言い換えれば、予測部34は、対象青果物の食べごろ具合の経時変化を予測する。例えば、対象青果物の色彩が「中濃」、出荷日からの経過日数が3日目である場合、予測部34は、現在の食べごろ具合は、糖度が「S14」、酸度が「A14」、官能評価値が「おいしい」であることを予測する。予測部34は、例えば、4日目以降の食べごろ具合を予測する。予測部34は、例えば、4日目以降も対象青果物の色彩に変化がないと仮定すると、4日目の食べごろ具合は糖度が「S15」、酸度が「A15」、官能評価値が「あじぼけ」であることを予測する。ただし、4日目以降の対象青果物の色彩の変化も含めて予測してもよい。例えば、5日目に対象青果物の色彩が「中濃」から「濃」に変化すると予測して、5日目以降は「濃」の美味しさ情報22bを参照する。
【0075】
図6に戻る。ステップS38の後、通信制御部38は、予測部34が予測した果物情報を、送信部20bを介して、端末装置12に送信する(ステップS40)。そして、ステップS42に進む。
【0076】
制御部24は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS42)。具体的には、制御部24は、処理を終了する旨の操作や、電源をオフする操作を受け付けた場合に、処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS42;Yes)、
図6の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS42;No)、ステップS30に進む。
【0077】
(表示処理)
図8を用いて、実施形態に係る表示処理について説明する。
図8は、実施形態に係る表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0078】
撮像部50は、対象青果物を撮像する(ステップS50)。
図9は、実施形態に係る対象青果物を撮像する方法を説明するための図である。
図9は、対象青果物80を示す。対象青果物80は、例えば、果物である。対象青果物80は、野菜であってもよい。対象青果物80には、例えば、QRコード82が貼付されている。QRコード82は、対象青果物80の品目名、出荷日、産地、および栽培方法に関する情報を含む。QRコード82は、対象青果物80の包装などのパッケージに貼付されてもよい。QRコード82は、対象青果物80の撮影箇所に貼付されていてもよい。撮像部50は、例えば、対象青果物80を360°方向から撮像することが好ましい。撮像部50は、例えば、QRコード82が対象青果物80の撮影箇所に貼付されている場合には、QRコード82を含むように対象青果物80を撮像するとよい。撮像部50は、例えば、対象青果物80の内部を撮像してもよい。撮像部50は、例えば、対象青果物80の切り口を撮像するにしてもよい。そして、ステップS52に取得する。
【0079】
映像データ取得部70は、対象青果物の映像データを取得する(ステップS52)。具体的には、映像データ取得部70は、撮像部50が撮像した対象青果物の映像データを取得する。そして、ステップS54に進む。
【0080】
コード情報取得部72は、対象青果物のコード情報を取得する(ステップS54)。具体的には、コード情報取得部72は、撮像部が撮像した対象青果物の映像データに含まれるQRコードなどから、対象青果物のコード情報を取得する。そして、ステップS56に進む。
【0081】
通信制御部74は、対象青果物の映像データおよびコード情報を送信する(ステップS56)。具体的には、通信制御部74は、映像データ取得部70が取得した対象青果物の映像データと、コード情報取得部72が取得した対象青果物のコード情報とを、送信部56bを介して、予測装置10に送信する。そして、ステップS58に進む。
【0082】
通信制御部74は、対象青果物の果物情報を取得する(ステップS58)。具体的には、通信制御部74は、例えば、受信部56aを介して、予測装置10が送信した果物情報を取得する。そして、ステップS60に進む。
【0083】
表示制御部76は、果物情報を表示部54に表示させる(ステップS60)。具体的には、表示制御部76は、通信制御部74が予測装置10から取得した果物情報を表示部54に表示させる。
【0084】
図10を用いて、実施形態に係る対象青果物の食べごろ具合を表示する処理について説明する。
図10は、実施形態に係る対象青果物の食べごろ具合を表示する処理を説明するための図である。
【0085】
図10は、対象青果物の予測結果90を示す。予測結果90は、表示部54に表示される対象青果物の食べごろ具合の予測結果の一例である。予測結果90は、例えば、「色彩」と、「予測項目」といった項目を含む。
【0086】
「色彩」は、対象青果物の現在の色彩に関する情報を示す。
図10に示す例では、対象青果物の現在の色彩は中濃であることが示される。
【0087】
「予測項目」は、予測装置10が予測した項目を示す。
図10に示す例では、「予測項目」には、対象青果物の糖度と酸度の比である「甘味比」と、「官能評価値」とが含まれる。「予測項目」には、他の項目が含まれてもよい。
【0088】
図10には、グラフS1と、閾値S2とが示されている。グラフS1は、対象青果物の甘味比の日ごとに経時変化を示すグラフである。閾値S2は、甘味比の所定の基準を示す。甘味比は、閾値S2を超えていれば、所定の基準を満たすことを意味する。
図10に示す例では、出荷日から3日目と、4日目とで甘味比が閾値S2を超え、かつ官能評価値が「おいしい」であることを示す。すなわち、
図10に示す例では、対象青果物は、出荷日から3日目と、4日目とでおいしく食べられることを意味する。本実施形態では、甘味比の日ごとの変化が閾値とともにグラフで表示されるので、食べごろ具合を把握し易くなる。
【0089】
図8に戻る。制御部60は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS62)。具体的には、制御部60は、処理を終了する旨の操作を受け付けた場合や、電源をオフにする操作を受け付けた場合に、処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS62;Yes)、
図8の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS62;No)、ステップS50に進む。
【0090】
上述の通り、本実施形態は、ユーザが青果物を撮影したデータに基づいて、青果物の食べごろ具合を予測して、ユーザに予測結果を提供することができる。これにより、本実施形態は、ユーザは、食べごろ具合を容易に把握することができる。
【0091】
また、本実施形態は、ユーザが青果物を撮影したデータに基づいて、青果物の出荷日からの経過日数に応じた味の変化を予測して、ユーザに予測結果を提供することができる。これにより、本実施形態は、ユーザは、経過日数に応じた食べごろ具合を把握することができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0093】
10 予測装置
12 端末装置
20,56 通信部
20a,56a 受信部
20b,56b 送信部
22,58 記憶部
24,60 制御部
30 取得部
32 特徴抽出部
34 予測部
36 青果物情報取得部
38 通信制御部
50 撮像部
52 入力部
54 表示部
70 映像データ取得部
72 コード情報取得部
74 通信制御部
76 表示制御部
80 対象青果物
82 QRコード