(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182505
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ランドリー機器
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090102
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大江 克己
(72)【発明者】
【氏名】糸田 真弓
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純也
(72)【発明者】
【氏名】北川 宏之
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA01
3B166AA02
3B166AA05
3B166AA11
3B166AA12
3B166AA32
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3B166AB23
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3B166GA02
3B166GA12
3B166GA22
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】オゾンの濃度低下を抑制して、オゾンによって洗浄対象物を効果的に洗浄できるランドリー機器を提供する。
【解決手段】ランドリー機器の一例である洗濯機1は、洗浄対象物の一例である洗濯物Lを収容する収容槽12と、収容槽12内において洗濯物Lの配置領域よりも下側Z2の下領域Pにオゾン水を供給する供給部32とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象物を収容する収容槽と、
前記収容槽内において洗浄対象物の配置領域よりも下側の領域にオゾン水を供給する供給部とを含む、ランドリー機器。
【請求項2】
前記収容槽に接続された排水路と、
前記排水路を開閉する排水弁と、
前記供給部及び前記排水弁を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、オゾン水に含まれるオゾンによって前記収容槽内の洗浄対象物を洗浄するオゾン洗浄処理として、前記排水弁を開いた状態で、前記供給部によって前記収容槽内において洗浄対象物の配置領域よりも下側の領域にオゾン水を供給し続ける、請求項1に記載のランドリー機器。
【請求項3】
前記収容槽内に送風する送風部を含み、
前記制御部は、前記オゾン洗浄処理の後に、前記送風部によって前記収容槽内に送風する、請求項2に記載のランドリー機器。
【請求項4】
前記収容槽は、前記排水路が接続されて水が溜められる外槽と、前記外槽内に配置されて洗浄対象物を収容する内槽とを有し、
前記供給部は、前記外槽内において前記内槽よりも下側の領域に水を供給する流路と、前記流路内に配置されて前記制御部の制御によってオゾンを発生するオゾン発生装置とを有し、
前記ランドリー機器は、洗濯機である、請求項2又は3に記載のランドリー機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ランドリー機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯機は、水が溜められる外槽と、外槽内に配置されて洗濯物を収容するドラムと、出口及び入口を介して外槽に接続された乾燥風路と、乾燥風路内に配置されたブロアと、オゾン発生装置と、オゾン発生装置が発生したオゾンを乾燥風路に与える供給路とを含む。洗濯機では、エアウォッシュ運転として、ブロアが作動することによってドラム内の空気が乾燥風路を通って循環し、この空気は、オゾン発生装置で発生されるオゾンが混合されることによってオゾンガスとなって、ドラム内に供給される。ドラム内の衣類は、オゾンガスに含まれるオゾンによって除菌及び消臭、つまり洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オゾンは、不安定で減衰しやすい分子であり、常に酸素に戻ろうとする性質を有する。特許文献1の洗濯機では、オゾンガスは、ブロアが発生する風に乗ってドラム内の衣類に供給される。この場合、ブロアが発生する風の勢いによってオゾンガスにおけるオゾンが減衰してしまうので、オゾンガスがドラム内の衣類に到達する前に、オゾンガスにおけるオゾンの濃度が低下してしまう。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、オゾンの濃度低下を抑制して、オゾンによって洗浄対象物を効果的に洗浄できるランドリー機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗浄対象物を収容する収容槽と、前記収容槽内において洗浄対象物の配置領域よりも下側の領域にオゾン水を供給する供給部とを含む、ランドリー機器である。
【0007】
また、本発明は、前記ランドリー機器が、前記収容槽に接続された排水路と、前記排水路を開閉する排水弁と、前記供給部及び前記排水弁を制御する制御部とを含み、前記制御部が、オゾン水に含まれるオゾンによって前記収容槽内の洗浄対象物を洗浄するオゾン洗浄処理として、前記排水弁を開いた状態で、前記供給部によって前記収容槽内において洗浄対象物の配置領域よりも下側の領域にオゾン水を供給し続けることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記ランドリー機器が、前記収容槽内に送風する送風部を含み、前記制御部が、前記オゾン洗浄処理の後に、前記送風部によって前記収容槽内に送風することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記収容槽が、前記排水路が接続されて水が溜められる外槽と、前記外槽内に配置されて洗浄対象物を収容する内槽とを有し、前記供給部が、前記外槽内において前記内槽よりも下側の領域に水を供給する流路と、前記流路内に配置されて前記制御部の制御によってオゾンを発生するオゾン発生装置とを有し、前記ランドリー機器が、洗濯機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ランドリー機器では、収容槽内において洗浄対象物の配置領域よりも下側の領域にオゾン水が供給されるので、すぐ上の配置領域に位置する洗浄対象物を、オゾン水によって濡らすことなく、オゾン水から気化したオゾンによって洗浄できる。このように洗浄対象物に近い場所でオゾンを発生させることによって、オゾンの濃度低下を抑制して、オゾンによって洗浄対象物を効果的に洗浄できる。
【0011】
また、本発明によれば、ランドリー機器のオゾン洗浄処理では、排水弁が開いた状態で、収容槽内において洗浄対象物の配置領域よりも下側の領域にオゾン水が供給され続ける。このように収容槽内にオゾン水がかけ流しで供給されることにより、収容槽内におけるオゾンの濃度を所望の目標値に維持することができるので、目標値に維持された濃度のオゾンによって洗浄対象物を一層効果的に洗浄できる。
【0012】
また、本発明によれば、オゾン洗浄処理の後に、送風部が収容槽内に送風することによって収容槽内のオゾンの濃度が速やかに低下するので、使用者は、オゾンが消滅した収容槽から洗浄対象物を速やかに取り出すことができる。
【0013】
また、本発明によれば、ランドリー機器が洗濯機である場合において、オゾン発生装置が発生したオゾンは、流路を流れる水に混ざってオゾン水となり、外槽内において内槽よりも下側の領域に供給されるので、内槽内に収容された洗浄対象物を、オゾン水によって濡らすことなく、オゾン水から気化したオゾンによって洗浄できる。このように洗浄対象物に近い場所でオゾンを発生させることによって、オゾンの濃度低下を抑制して、オゾンによって洗浄対象物を効果的に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のランドリー機器の一実施形態に係る洗濯機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図2】洗濯機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】洗濯機において実行されるオゾン洗浄処理を示すフローチャートである。
【
図4】オゾン洗浄処理を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明のランドリー機器の一実施形態に係る洗濯機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1の紙面に直交する方向を洗濯機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、
図1の紙面における奥側を左側X1といい、
図1の紙面における手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、
図1における左側を前側Y1といい、
図1における右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。左右方向X及び前後方向Yは、横方向に含まれる。横方向は、水平方向Hであってもよいし、水平方向Hに対して若干傾斜した略水平方向であってもよい。
【0016】
洗濯機1として、本実施形態ではドラム式の洗濯乾燥機を主な対象とするが、洗濯機1は、縦型洗濯機や、二槽式洗濯機であってもよいし、乾燥機能が省略されて洗濯運転だけを実行する洗濯機であってもよい。洗濯機1は、その外殻をなす筐体2と、外槽3と、洗剤ケース4と、外槽3に接続された主給水路5及び排水路6とを含む。洗濯機1は、外槽3内に配置されて洗濯物Lを収容する内槽7と、内槽7を回転させるモータ8と、内槽7内の洗濯物Lを乾燥させる乾燥ユニット9とさらに含む。洗濯物Lは、洗浄対象物の一例であって、衣類や寝具などであるが、帽子や靴であってもよい。
【0017】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられる。
【0018】
外槽3は、筐体2内において、筐体2の底壁2Cから上側Z1へ延びるショックアブソーバ11の上端に連結される。これにより、外槽3及び内槽7のまとまりによって構成された収容槽12の全体が、ショックアブソーバ11を介して、底壁2Cによって弾性支持される。外槽3は、水平方向Hに沿って前後方向Yに延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。
【0019】
背面壁3Bは、垂直に配置され、その中心には、軸線Jに沿って背面壁3Bを前後方向Yに貫通した貫通穴3Dが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1部3Eと、第1部3Eの内周縁から前側Y1へ突出した円筒状の第2部3Fと、第2部3Fの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3部3Gとを有する。第3部3Gの内側には、円周壁3Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口3Hが形成される。出入口3Hは、筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向して連通した状態にある。
【0020】
洗剤ケース4は、洗剤を収容する中空体であり、筐体2内において外槽3よりも上側Z1の領域に配置される。洗剤ケース4の少なくとも一部は、筐体2の前面2A又は上面2Dから露出される。洗剤ケース4において前面2A又は上面2Dから露出された露出部分は、開閉可能な蓋、又は、引出しであってもよい。使用者は、当該露出部分を開いたり引き出したりして洗剤ケース4内に洗剤を補充することができる。
【0021】
主給水路5は、蛇口(図示せず)に接続された一端(図示せず)と、外槽3の正面壁3Cの第2部3Fにおける例えば上部に接続された他端5Aと、当該一端と他端5Aとの間の途中部5Bとを有する。途中部5Bは、洗剤ケース4の内部空間の一部を構成する。つまり、主給水路5は、洗剤ケース4内を通って外槽3に接続される。給水時には、蛇口からの水道水が主給水路5及び洗剤ケース4を通って外槽3内に供給される。洗剤ケース4内に洗剤が存在しなければ、外槽3内には水道水が溜められる。洗剤ケース4内に洗剤が存在すれば、外槽3内には、水道水に洗剤が溶けた洗剤水が溜められる。以下では、水道水及び洗剤水を「水」と略称することがある。
【0022】
洗濯機1は、主給水路5において例えば途中部5Bよりも蛇口側に設けられた開閉可能な主給水弁13を含む。開状態の主給水弁13は、主給水路5を開いたON状態にあり、外槽3への給水を許容する。閉状態の主給水弁13は、主給水路5を閉じたOFF状態にあり、外槽3への給水を停止する。
【0023】
排水路6は、外槽3の下端部、例えば円周壁3Aの下端部に接続される。外槽3内の水は、排水路6から筐体2の外、つまり機外に排出される。
【0024】
洗濯機1は、排水路6の途中に設けられた開閉可能な排水弁14を含む。開状態の排水弁14は、排水路6を開いたON状態にあり、外槽3の排水を許容する。閉状態の排水弁14は、排水路6を閉じたOFF状態にあり、外槽3の排水を停止する。
【0025】
内槽7は、軸線Jと一致した中心軸線を有する円筒体であって、外槽3よりも一回り小さい。内槽7は、本実施形態では中心軸線が水平方向Hに沿うように水平に配置されるが、中心軸線が水平方向Hに対して傾斜するように斜めに配置されてもよい。内槽7は、外槽3の円周壁3Aと同軸上に配置された円筒状の円周壁7Aと、円周壁7Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁7Bと、円周壁7Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁7Cとを有する。内槽7において少なくとも円周壁7Aには、複数の貫通穴7Dが形成され、外槽3内の水は、貫通穴7Dを介して、外槽3と内槽7との間で行き来する。そのため、外槽3内の水位と内槽7内の水位とは、一致する。内槽7の背面壁7Bの中心には、軸線Jに沿って後側Y2へ延びる支持軸15が設けられる。支持軸15の後端部は、外槽3の背面壁3Bの貫通穴3Dを通って背面壁3Bよりも後側Y2に配置される。
【0026】
環状壁7Cの内側には、円周壁7Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口7Eが形成される。出入口7Eは、外槽3の出入口3H及び筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向して連通した状態にある。出入口3H及び出入口7Eは、開口2Bとともに、扉10によって一括開閉される。洗濯機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3H及び出入口7Eを介して、内槽7内に洗濯物Lを出し入れする。扉10には、扉10が開口2B、出入口3H及び出入口7Eを閉じたときに外槽3の正面壁3Cの第3部3Gに密着するパッキン16が設けられる。外槽3内において内槽7の円周壁7Aよりも下側Z2の領域は、内槽7の内部空間つまり収容槽12内における洗濯物Lの配置領域よりも下側Z2の下領域Pである。
【0027】
モータ8は、筐体2内において、外槽3の背面壁3Bの後側Y2に配置される。モータ8の一例として、DD(ダイレクトドライブ)モータを採用できる。モータ8は、内槽7に設けられた支持軸15に連結される。モータ8が発生したトルクは、支持軸15に伝達され、内槽7が、支持軸15を伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ8と支持軸15と間には、モータ8のトルクを支持軸15に伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0028】
乾燥ユニット9は、外槽3内の空気を循環させるための循環路20及び送風部21と、循環する空気を加熱する加熱部22と、循環する空気に含まれる異物を捕獲する乾燥フィルタ23と、乾燥フィルタ23に自動掃除用の水を供給する副給水路24と、副給水路24を開閉する副給水弁25とを含む。
【0029】
循環路20は、筐体2内において外槽3の上側Z1に配置された流路である。循環路20は、前後方向Yに延びる途中部分20Aと、途中部分20Aの後端から下側Z2へ延びる後部分20Bと、途中部分20Aの前端から下側Z2へ延びる前部分20Cとを有する。後部分20Bの下端部の前端には、取出口20Dが形成される。取出口20Dは、外槽3において、例えば背面壁3Bの下端部に接続され、外槽3内に後側Y2から連通する。取出口20Dは、前述した下領域Pと、上下方向Zにおいて同じ高さ位置にある。前部分20Cの下端には、戻し口20Eが形成される。戻し口20Eは、外槽3の正面壁3Cの第2部3Fの上端部に接続され、外槽3内に上側Z1から連通する。
【0030】
送風部21は、いわゆるブロアであり、循環路20内に配置された回転羽根21Aと、回転羽根21Aを回転させるモータ(図示せず)とを含む。送風部21の作動に応じて回転羽根21Aが回転すると、収容槽12内の空気、つまり外槽3内及び内槽7内の空気が、太い破線矢印で示すように、取出口20Dから循環路20内に取り出された後に、戻し口20Eから収容槽12内に送風される。これにより、収容槽12内の空気は、収容槽12と循環路20とを順に流れるように循環する。
【0031】
加熱部22は、ヒートポンプにおける熱交換器又は一般的なヒータなどであり、少なくとも一部が、循環路20内に設けられる。加熱部22において循環路20内に設けられた部分は、放熱部22Aを有する。加熱部22が作動すると放熱部22Aが高温になるので、循環路20内を流れる空気が放熱部22Aの周囲を通過する際に加熱されて熱風になる。循環路20内において放熱部22Aよりも取出口20D側の領域を、上流領域20Fという。途中部分20Aの後端部と後部分20Bとが、上流領域20Fを構成する。
【0032】
乾燥フィルタ23は、メッシュシート又は格子であって、循環路20の上流領域20Fを例えば縦に横切って配置される。循環路20内で取出口20Dから戻し口20Eへ向かう空気が乾燥フィルタ23を通過する際に、この空気に含まれる塵や埃などの異物が、乾燥フィルタ23によって捕獲されて、乾燥フィルタ23において取出口20D側の上流面23Aに溜まる。
【0033】
副給水路24は、主給水路5において主給水弁13よりも蛇口に近い部分につながった上流部24Aと、循環路20の上流領域20Fによって少なくとも一部が構成された下流部24Bとを含む。つまり、副給水路24の一部が上流領域20Fを兼ねる。上流部24Aにおいて下流部24Bに接続された端部は、上流領域20Fにおける乾燥フィルタ23に上側Z1から臨む。下流部24Bは、上流領域20Fの一部として上流部24Aから下側Z2へ延び、前述したように取出口20Dにおいて外槽3に接続される。このような副給水路24は、洗剤ケース4内を通らずに外槽3に接続される。
【0034】
副給水弁25は、副給水路24の上流部24Aに設けられる。開状態の副給水弁25は、副給水路24を開いたON状態にあり、副給水路24経由での外槽3への給水を許容する。閉状態の副給水弁25は、副給水路24を閉じたOFF状態にあり、副給水路24経由での外槽3への給水を停止する。
【0035】
副給水路24内において、例えば乾燥フィルタ23と副給水弁25との間の領域には、オゾン発生装置26が設けられる。オゾン発生装置26は、電極26Aを有し、厳密には、電極26Aが副給水路24内に配置される。副給水路24に水が流れる状態でオゾン発生装置26がONになると、副給水路24内の水に浸かった電極26Aが、通電されることによって周囲の水を電気分解してオゾンを発生させる。オゾン発生装置26がOFFになると、電極26Aへの通電が停止されるので、オゾンの発生も停止される。
【0036】
洗濯機1は、制御部30をさらに含む。
図2は、洗濯機1の電気的構成を示すブロック図である。制御部30は、例えば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、計時用のタイマとを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される。モータ8、主給水弁13、排水弁14、送風部21、加熱部22、副給水弁25及びオゾン発生装置26のそれぞれは、制御部30に対して電気的に接続され、制御部30は、これらのそれぞれの動作を制御することによって洗濯乾燥運転を実行する。洗濯機1は、外槽3内の水位を検出する水位センサ31をさらに含む。水位センサ31として、公知のセンサを採用できる。水位センサ31の検出値は、リアルタイムで制御部30に入力される。
【0037】
洗濯乾燥運転は、序盤の洗い工程と、洗い工程後に1回又は複数回実行されるすすぎ工程と、少なくとも最後のすすぎ工程後に実行される脱水工程と、終盤の乾燥工程とを含む。これらの工程のそれぞれは、独立した運転であってもよい。
【0038】
制御部30は、洗い工程では、まず、給水処理として、排水弁14を閉じた状態で、主給水弁13を開く。これにより、洗剤ケース4内の洗剤が、主給水路5を流れる水に乗って外槽3内に流入し、収容槽12内に溜まる。洗剤ケース4内の洗剤が全て流出すると、主給水路5からは水道水だけが外槽3に供給される。なお、給水処理の際に、制御部30は、主給水弁13だけでなく、副給水弁25も開いてもよい。これにより、蛇口からの水道水が副給水路24を流れて循環路20の取出口20Dから外槽3内に流入するので、収容槽12内の水位を速やかに上昇させることができる。
【0039】
収容槽12内の水位が、目標水位まで上昇すると、制御部30は、主給水弁13を閉じて給水処理を終了し、その後の洗い処理として、モータ8によって内槽7を回転させる。これにより、内槽7内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてから水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、内槽7に溜まった水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部30が排水弁14を開いて排水すると、洗い工程が終了する。
【0040】
制御部30は、すすぎ工程では、前述した給水処理を実行して収容槽12に給水してから、モータ8によって内槽7を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lが内槽7内の水道水によってすすがれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部30が排水すると、すすぎ工程が終了する。
【0041】
制御部30は、脱水工程では、排水弁14を開いた状態で、内槽7を脱水回転させる。内槽7の脱水回転により生じた遠心力によって、内槽7内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、排水路6から機外に排出される。脱水工程は、すすぎ工程後だけでなく、洗い工程後にも実施されてもよい。
【0042】
制御部30は、乾燥工程では、送風部21及び加熱部22を制御することによって熱風を発生させて収容槽12と循環路20との間で循環させ、内槽7内の洗濯物Lに供給する。これにより、洗濯物Lが乾燥する。洗濯運転では、前述した異物が発生して、この異物が乾燥工程中において熱風に乗って流れるが、異物は、循環路20内の乾燥フィルタ23によって捕獲される。これにより、異物が加熱部22の放熱部22Aに付着して蓄積することを抑制できるので、加熱部22での加熱効率の低下や循環路20における空気の流れの悪化に伴う性能低下が生じることを防止できる。
【0043】
制御部30は、乾燥工程後つまり洗濯乾燥運転終了後に、乾燥フィルタ23のメンテナンス運転として副給水弁25を開く。なお、主給水弁13が主給水路5において副給水路24との接続位置よりも蛇口に近い上流側に設けられてもよく、その場合には、制御部30は、主給水弁13及び副給水弁25の両方を開く。蛇口からの水道水は、主給水路5から副給水路24に流入する。または、副給水路24は、主給水路5に接続されずに、蛇口に直接接続されてもよい。
【0044】
副給水路24において上流部24Aから下流部24Bに流入した水は、下流部24B、つまり循環路20の上流領域20Fに配置された乾燥フィルタ23に上側Z1から浴びせられる。これにより、乾燥フィルタ23の上流面23A上の異物が上流面23Aから剥がされて落下し、水に乗って循環路20の取出口20Dに到達する。なお、下流部24Bには、上流部24Aからの水道水を勢いよく乾燥フィルタ23に噴射するためのノズルやポンプ(図示せず)などが設けられてもよいし、制御部30の制御によって回動しながら上流面23A上の異物を掻き取るワイパ(図示せず)などが設けられてもよい。
【0045】
取出口20Dに到達した異物及び水は、取出口20Dから収容槽12内の下領域Pに流入する。このとき、排水弁14が開いた状態にあると、これらの異物及び水は、排水路6を流れて機外に排出される。なお、排水路6において排水弁14よりも外槽3に近い上流部には、排水フィルタ(図示せず)が設けられてもよく、その場合には、排水路6を流れる異物は、排水フィルタによって捕獲されて、排水フィルタのメンテナンス時に使用者によって回収される。排水フィルタとして、メンテナンス時に使用者によって筐体2に対して着脱可能な公知の構成を用いることができる。
【0046】
制御部30は、洗濯乾燥運転の一環の処理、又は、洗濯運転から独立した専用の処理として、オゾン水に含まれるオゾンによって収容槽12内の洗濯物Lを洗浄するオゾン洗浄処理を実行する。以下では、オゾン洗浄処理を示すフローチャートである
図3と、オゾン洗浄処理を示すタイムチャートである
図4とを参照しながら、オゾン洗浄処理について説明する。
図4のタイムチャートでは、横軸が経過時間を示し、縦軸が、上から順に、排水弁14のON・OFF状態、副給水弁25のON・OFF状態、及び、オゾン発生装置26のON・OFF状態を示す。なお、オゾン洗浄処理の開始に先立って、内槽7内には、乾燥状態の洗濯物Lが投入される。
【0047】
オゾン洗浄処理では、まず、制御部30は、
図4のタイミングt1に示すように、排水弁14及び副給水弁25を開く(ステップS1)。そして、制御部30は、
図4のタイミングt2に示すように、オゾン発生装置26をONにして、オゾン発生装置26の電極26Aに連続通電する(ステップS2)。これにより、副給水路24からの水道水と、制御部30の制御によってオゾン発生装置26が連続的に発生するオゾンとが混ざってオゾン水が生成され、オゾン水は、
図1の1点鎖線の矢印Wで示すように、循環路20の取出口20Dから収容槽12内の下領域Pに供給されて一時的に溜まった後に、排水路6を流れて機外に排出される。この場合の副給水路24、副給水弁25及びオゾン発生装置26は、下領域Pにオゾン水を供給する供給部32を構成する。また、供給部32における副給水路24は、下領域Pにオゾン水を供給する流路の一例として機能し、下領域Pは、オゾン水の貯水部の一例として機能する。なお、オゾン発生装置26がONになる前に副給水弁25を開くことによって、電極26Aの空焚きを防止できる。
【0048】
収容槽12内では、下領域Pに供給されたオゾン水から気化したオゾンを含んだ空気、つまりオゾンガスが、霧や靄(もや)のように充満するので、内槽7内の洗濯物Lがオゾンによって洗浄される。なお、オゾン洗浄処理中において、下領域Pにおけるオゾン水の水位が内槽7の円周壁7Aの下端に接近しない位置で一定となるように、副給水弁25及び排水弁14のそれぞれの開度が調整される。仮にオゾン水の水位が円周壁7Aの下端に接近しそうになった場合には、制御部30は、副給水弁25を一時的に閉じてもよい。
【0049】
排水弁14及び副給水弁25の両方が開いてオゾン発生装置26がONになった状態は、所定時間、例えば4分間継続される。そのため、制御部30は、排水弁14を開いた状態で、供給部32によって下領域Pにオゾン水を供給し続ける。当該所定時間が経過すると(ステップS3でYES)、制御部30は、
図4のタイミングt3に示すように、副給水弁25を閉じてオゾン発生装置26をOFFにする(ステップS4)。これにより、オゾン洗浄処理が終了する。なお、排水弁14は、オゾン洗浄処理の終了後も、開いた状態にあってもよいし、制御部30が、オゾン洗浄処理の終了に応じて排水弁14を閉じてもよい。
【0050】
以上のように、洗濯機1では、収容槽12内において洗濯物Lの配置領域よりも下側Z2の下領域Pにオゾン水が供給されるので、下領域Pのすぐ上に位置する内槽7内の洗濯物Lを、オゾン水によって濡らすことなく、オゾン水から気化したオゾンを含むオゾンガスによって洗浄できる。
【0051】
オゾンガスによる洗濯物Lの洗浄の一例として、洗濯物Lをオゾンによって除菌したり消臭したりするだけでなく、洗濯物Lに付着した花粉を不活性化したり、洗濯物Lの皺を除去したりすることもできる。そして、このように、収容槽12内において、洗濯物Lに近い場所でオゾンを効率的に発生させることによって、収容槽12内のオゾンガスにおけるオゾンの濃度低下を抑制して、高濃度のオゾンガスによって洗濯物Lを効果的に洗浄できる。
【0052】
また、オゾン洗浄処理中では、送風部21が停止されるので、送風部21が発生させる風によってオゾンガス中のオゾンが減衰することを防止できるし、送風部21の作動音や送風音を無くすこともできる。
【0053】
そして、オゾン洗浄処理では、排水弁14が開いた状態で、収容槽12内の下領域Pにオゾン水が供給され続ける。このように下領域Pにオゾン水がかけ流しで供給されることにより、収容槽12内のオゾンガスにおけるオゾンの濃度を目標値に維持することができるので、例えば5ppmという目標値に維持された高濃度のオゾンガスによって洗濯物Lを一層効果的に洗浄できる。
【0054】
さらに、オゾン水が、副給水路24、収容槽12及び排水路6を流れることにより、これらの領域における洗剤カスや皮脂汚れなどがオゾンの酸化力によって分解されて除去されるので、洗濯機1内における「ぬめり」の原因であるバイオフィルムの発生を抑制できる。なお、ぬめり防止のために、オゾン洗浄処理に限らず、洗濯運転の最後などのタイミングにおいて、オゾン水によって収容槽12内を定期的に洗い流してもよい。
【0055】
また、制御部30は、副給水弁25及び排水弁14のそれぞれの開度や開放時間などを調整することによって、収容槽12内に供給されるオゾン水の流量を調整してもよい。オゾン水の流量と、収容槽12内におけるオゾンの濃度とは、相関関係にあるので、制御部30は、事前の実験結果などに基づいてオゾン水の流量を調整することによって収容槽12内のオゾンの濃度を正確にコントロールすることができる。なお、洗濯機1は、収容槽12内に供給されるオゾン水の流量を検出する流量センサ(図示せず)を備えてもよく、制御部30は、流量センサの検出結果に基づいてオゾン水の流量を調整してもよい。
【0056】
ちなみに、収容槽12内の洗濯物Lが濡れないようにするためには、下領域Pに溜めることができるオゾン水の量には上限があるし、下領域P自体が比較的狭い空間である。本実施形態とは別の実施形態として、排水弁14を閉じてオゾン水を下領域Pに溜めた状態を維持して、このオゾン水から気化するオゾンによって洗濯物Lを洗浄することもあり得る。しかし、この場合には、前述した上限とオゾン発生装置26の性能との兼ね合いなどにより、高濃度のオゾン水を下領域Pに溜めることが困難であるし、下領域Pに溜まったオゾン水に含まれるオゾンがすぐに減衰し始めるので、収容槽12内のオゾンを長時間維持することも困難である。
【0057】
さらに別の実施形態として、副給水弁25及び排水弁14のそれぞれの開閉とオゾン発生装置26のON・OFFとを繰り返すことによって、下領域Pにおけるオゾン水を定期的に入れ替えることも考えられる。この場合、副給水弁25、排水弁14及びオゾン発生装置26が繰り返し使用されることによって早く劣化するおそれがあるし、収容槽12内のオゾンの濃度を目標値に維持することが引き続き難しい。
【0058】
一方、本実施形態のようにオゾン水をかけ流す構成であれば、前述したように、収容槽12内のオゾンの濃度を目標値にて安定させることができるので、高濃度のオゾンによって洗濯物Lを効果的に洗浄できる。
【0059】
制御部30は、オゾン洗浄処理の後に、消オゾン処理として、送風部21を作動させることによって収容槽12内に送風してもよい。消オゾン処理により、送風部21が収容槽12内に送風することによって収容槽12内のオゾンが効果的に減衰してオゾンの濃度が速やかに低下する。そのため、使用者は、扉10を開いて、オゾンが消滅又はほぼ消滅した収容槽12内から洗濯物Lを速やかに取り出すことができる。なお、消オゾン処理をオゾン洗浄処理の一部とみなしてもよい。
【0060】
前述したように、収容槽12内に供給されるオゾン水の流量に基づいてオゾン洗浄処理中における収容槽12内のオゾンの濃度を正確に把握できることから、消オゾン処理の所要時間を正確に予想することができる。所要時間の一例は、8分間である。そして、所要時間が経過すれば、収容槽12内のオゾンの濃度が、基準値、例えば0.1ppm以下まで低下して、使用者が扉10を開いても構わない状態になるので、それ以上使用者を無駄に待たせずに済む。この場合には、収容槽12内のオゾンの濃度を検出するセンサを設けずに済む。
【0061】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、主給水弁13及び副給水弁25が、共通の多方弁によって構成されてもよい。また、副給水路24は、乾燥フィルタ23の自動掃除などの複数の用途のそれぞれに応じて複数存在してもよい。副給水路24を流れる水は、水道水に限らず、風呂水であってもよい。主給水路5を流れる水についても同様である。
【0063】
また、本発明に係るランドリー機器は、洗濯機1に限らず、例えば、乾燥機能だけを有する乾燥機であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 洗濯機
3 外槽
6 排水路
7 内槽
12 収容槽
14 排水弁
21 送風部
24 副給水路
25 副給水弁
26 オゾン発生装置
30 制御部
32 供給部
L 洗濯物
P 下領域
Z2 下側