(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182507
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】帳票処理装置、帳票処理システム及び帳票処理装置における帳票処理方法
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20221201BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G07G1/00 311D
G07G1/12 321L
G07G1/12 321P
G07G1/12 351B
G07G1/12 361Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090104
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭彦
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142AA10
3E142BA07
3E142DA04
3E142DA08
3E142EA04
3E142FA03
3E142FA08
3E142GA26
3E142HA14
3E142JA02
(57)【要約】
【課題】クレジット決済に対応できる帳票処理装置、帳票処理システム及び帳票処理装置における帳票処理方法を提供する。
【解決手段】帳票処理装置1は、帳票が投入される取込排出口と、取込排出口に投入された帳票に記載された金額について、クレジット処理部54によってクレジット決済する制御部55と、クレジット決済の完了に応じて、取込排出口に投入された帳票を処理する帳票処理ユニット20とを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票が投入される投入部と、
前記投入部に投入された帳票に記載された金額についてクレジット決済するクレジット決済部と、
前記クレジット決済部によるクレジット決済の完了に応じて、前記投入部に投入された帳票を処理する処理部とを含む、帳票処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
クレジット決済に関するメッセージを帳票の少なくとも一部に記入する記入部と、
前記メッセージが記入された当該一部を返却する返却部とを含む、請求項1に記載の帳票処理装置。
【請求項3】
前記投入部に投入された帳票の種類を特定する特定部を含み、
前記メッセージには、帳票の種類に応じた複数の種類があり、
前記記入部は、前記特定部が種類を特定した帳票に対応するメッセージを帳票に記入する、請求項2に記載の帳票処理装置。
【請求項4】
前記クレジット決済部によるクレジット決済の完了に応じて、クレジット決済についての明細書を発行する発行部を含む、請求項2又は3に記載の帳票処理装置。
【請求項5】
前記投入部に投入された帳票に記載された金額について電子マネー決済する電子マネー決済部を含み、
前記電子マネー決済部による電子マネー決済の完了に応じて、前記記入部は、電子マネー決済された金額について領収済である旨の情報を帳票の少なくとも一部に記入し、前記返却部は、当該一部を返却する、請求項2~4いずれか一項に記載の帳票処理装置。
【請求項6】
帳票が投入される投入部を含む帳票処理装置と、前記投入部に投入された帳票に記載された金額についてクレジット決済するクレジット決済部とを含む、帳票処理システムであって、
前記帳票処理装置は、
前記クレジット決済部によるクレジット決済の完了に応じて、前記投入部に投入された帳票を処理する処理部を含む、帳票処理システム。
【請求項7】
前記処理部は、クレジット決済に関するメッセージを帳票の少なくとも一部に記入する記入部を含み、
前記帳票処理システムは、前記メッセージの内容を設定する設定部を含む、請求項6に記載の帳票処理システム。
【請求項8】
帳票が投入される投入部を含む帳票処理装置における帳票処理方法であって、
前記投入部に投入された帳票に記載された金額についてクレジット決済するクレジット決済ステップと、
前記クレジット決済ステップでのクレジット決済の完了に応じて、前記投入部に投入された帳票を処理する処理ステップとを含む、帳票処理装置における帳票処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帳票処理装置と、帳票処理装置を含む帳票処理システムと、帳票処理装置における帳票処理方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、金融機関に設置されて税金や公共料金等の料金の払込取引を自動的に行う帳票処理装置を開示している。帳票処理装置が取り扱う帳票は、帳票の長手方向に並ぶ領収書及び控えによって構成される。領収書と控えとは、これらの間を通るミシン目において分離可能である。利用者が帳票を帳票処理装置の取込排出口に挿入すると、帳票に印刷された金額が読み取られて帳票処理装置の表示操作部に表示される。表示操作部に表示された金額を見た利用者が現金を投入することによって現金決済が完了すると、帳票処理装置内では、帳票に領収印が記入されて、帳票がミシン目において切断される。切断された帳票のうち、控えは、帳票処理装置内に回収され、領収書は、取込排出口から排出されて利用者に返却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
料金の決済方法として、現金決済以外に、クレジットカードによるクレジット決済が挙げられるが、特許文献1に記載の帳票処理装置は、クレジット決済に対応していない。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、クレジット決済に対応できる帳票処理装置、帳票処理システム及び帳票処理装置における帳票処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、帳票が投入される投入部と、前記投入部に投入された帳票に記載された金額についてクレジット決済するクレジット決済部と、前記クレジット決済部によるクレジット決済の完了に応じて、前記投入部に投入された帳票を処理する処理部とを含む、帳票処理装置である。
【0007】
また、本発明は、前記処理部が、クレジット決済に関するメッセージを帳票の少なくとも一部に記入する記入部と、前記メッセージが記入された当該一部を返却する返却部とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記帳票処理装置が、前記投入部に投入された帳票の種類を特定する特定部を含み、前記メッセージには、帳票の種類に応じた複数の種類があり、前記記入部が、前記特定部が種類を特定した帳票に対応するメッセージを帳票に記入することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記帳票処理装置が、前記クレジット決済部によるクレジット決済の完了に応じて、クレジット決済についての明細書を発行する発行部を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記帳票処理装置が、前記投入部に投入された帳票に記載された金額について電子マネー決済する電子マネー決済部を含み、前記電子マネー決済部による電子マネー決済の完了に応じて、前記記入部が、電子マネー決済された金額について領収済である旨の情報を帳票の少なくとも一部に記入し、前記返却部が、当該一部を返却することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、帳票が投入される投入部を含む帳票処理装置と、前記投入部に投入された帳票に記載された金額についてクレジット決済するクレジット決済部とを含む、帳票処理システムであって、前記帳票処理装置が、前記クレジット決済部によるクレジット決済の完了に応じて、前記投入部に投入された帳票を処理する処理部を含む、帳票処理システムである。
【0012】
また、本発明は、前記処理部が、クレジット決済に関するメッセージを帳票の少なくとも一部に記入する記入部を含み、前記帳票処理システムが、前記メッセージの内容を設定する設定部を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、帳票が投入される投入部を含む帳票処理装置における帳票処理方法であって、前記投入部に投入された帳票に記載された金額についてクレジット決済するクレジット決済ステップと、前記クレジット決済ステップでのクレジット決済の完了に応じて、前記投入部に投入された帳票を処理する処理ステップとを含む、帳票処理装置における帳票処理方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、帳票処理装置は、クレジット決済に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態において用いられる帳票の一例を示す模式図である。
【
図2】領収印等の記入後に分離された状態における帳票を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る帳票処理システムの概要を示す模式図である。
【
図4】帳票処理システムを構成する帳票処理装置の斜視図である。
【
図5】帳票処理装置の内部構造を示す模式的な側面図である。
【
図6】帳票処理システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図7】帳票処理装置において行われる帳票の取引の内容を示すフローチャートである。
【
図8】帳票処理装置の表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図9】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図10】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図11】表示操作部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図12】帳票処理装置において所定事項が記入されて分離された状態における帳票を示す模式図である。
【
図14】領収書の記入内容の一例を示す模式図である。
【
図15】領収書の記入内容の一例を示す模式図である。
【
図16】領収書の記入内容の一例を示す模式図である。
【
図17】帳票処理装置から発行された明細書の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、この発明の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1及び
図2は、この発明の一実施形態において用いられる帳票Fの一例を示す模式図である。帳票Fは、行政機関や販売業者等が発行元として発行する納付書又は払込票等である。帳票Fは、税金や公共料金等の料金を納付すべき利用者に郵送等によって届けられた後に、利用者によって料金の納付のために銀行等の金融機関に持ち込まれる。
【0017】
帳票Fの全体は、例えば長方形状に形成された紙片である。帳票Fでは、料金の納付後に利用者に返却される領収書F1と、控えF2とが、帳票Fの長手方向LDに並んで配置されている。本実施形態における控えF2は、料金の納付後に金融機関等において保管される納入書F2Aと、料金の納付後に帳票Fの発行元に送付される納入通知書F2Bとを含む。
【0018】
領収書F1、納入書F2A及び納入通知書F2Bのそれぞれの表面FAには、それぞれのタイトルTと、納付すべき料金の額つまり納付額等に関する情報Jと、納付額以外の金額が後から記入される記入欄Kと、枠状の押印欄Rとが予め印刷されている。領収書F1を参照して、本実施形態における情報Jは、納付額に関する納付額情報J1と、納付期限の情報J2とを少なくとも含む。図示していないが、情報Jは、利用者の個人情報(氏名や電話番号等)と、個々の帳票Fを特定するための識別情報とをさらに含んでもよい。さらに、情報Jには、文字や数字に限らず、バーコード等のコードJ3が含まれてもよい。コードJ3は、本実施形態のように納入通知書F2Bだけに表示されてもよい。
【0019】
記入欄Kは、納付期限が徒過しているときに納付額以外に納付すべき延滞金の金額が記入される延滞金記入欄K1と、利用者が行政機関等によって納付を督促された場合に納付額以外に納付すべき督促料の金額が記入される督促料記入欄K2と、納付額と延滞金と督促料との合計である請求金額が記入される請求金額記入欄K3とを含む。
【0020】
利用者に届いた時点における帳票Fは、
図1に示すように、領収書F1と控えF2とが一体化された状態にある。帳票Fには、領収書F1と控えF2との境界線L1(破線参照)が設けられている。控え2Fには、納入書F2Aと納入通知書F2Bとの境界線L2(一点鎖線参照)が設けられている。境界線L1及び境界線L2のそれぞれは、帳票Fにおいて長手方向LDと直交する短手方向SDに沿って直線状に延びて、帳票Fを横切っている。少なくとも境界線L1には、短手方向SDに沿って帳票Fを縦断するミシン目Mが形成されている。
【0021】
利用者が帳票Fを金融機関における有人の窓口に持ち込んだ場合、窓口にて帳票Fを受け取った係員は、延滞金及び督促料といった加算額を調べて、納付額情報J1に記載された納付額に加算額を加算して、請求金額を算出する。そして、係員は、帳票Fの延滞金記入欄K1、督促料記入欄K2及び請求金額記入欄K3に、該当する金額を記入する(
図2参照)。なお、延滞金及び督促料が零である場合には、延滞金記入欄K1及び督促料記入欄K2に零やハイフンが記入され、請求金額記入欄K3には、納付額と同額の数字が記入される。なお、延滞金及び督促料の設定がない場合には、記入欄Kが省略されてもよく、その場合には、納付額そのものが請求金額である。
【0022】
係員は、請求金額記入欄K3に記入した請求金額を利用者に伝える。利用者は、請求金額分の料金を現金等によって支払う。このように決済が完了すると、係員は、
図2に示すように、決済完了の証拠情報である領収印Aを、スタンプ(図示せず)によって帳票Fにおける各押印欄R内に記入する。領収印Aには、料金の支払日等の情報が含まれる。
【0023】
領収印Aの記入等を済ませた係員は、帳票Fを、領収書F1と控えF2とに分離する。係員が領収書F1を利用者に手渡すと、料金の支払いについての利用者と係員との間における取引が完了する。現金決済の場合、決済が完了しただけでは、取引は未完了であり、決済完了後に領収印Aが記入された領収書F1が利用者に手渡されることによって取引全体が完了する。
【0024】
なお、請求金額が所定金額(例えば5万円)以上である場合の現金決済では、係員は、収入印紙(図示せず)を領収書F1に貼り付ける必要がある。ただし、請求金額に係る料金が税金である場合には、所定金額以上の請求金額についての現金決済であっても、収入印紙の貼り付けは不要である。なお、電子マネーは、現金と同様に扱われる金銭等価物であるので、電子マネー決済は、現金決済と同様の取り扱いとなる。
【0025】
一方、クレジットカードを用いたクレジット決済の場合には、請求金額にかかわらず、収入印紙の貼り付けは不要である。クレジット決済の場合には、電子マネー決済及び現金決済とは異なり、取引時に金銭の授受がなく、取引後にしばらく経過してから料金が銀行口座引き落とし等によって回収されるので、法律上、厳密には税法上、金融機関には、領収書F1に領収印Aを記入する義務はないし、正式な領収書を発行する義務もない。クレジット決済の場合には、「クレジットカードにてお支払い」等の所定の但し書きを領収書F1に係員に記入してもらわないと、領収書F1は、法律上の領収書とみなされない。
【0026】
領収書F1から分離された控えF2は、金融機関によって一旦回収され、その後、納入書F2Aと納入通知書F2Bとに分離されてから、納入書F2Aは、金融機関にて保管され、納入通知書F2Bは、帳票Fの発行元に郵送される。なお、納入書F2Aと納入通知書F2Bとを分離する際には、係員は、境界線L2をハサミ等で切断してもよいし、予め境界線L2にミシン目Mを設けておいて、境界線L1と同様の手順で、納入書F2Aと納入通知書F2Bとをミシン目Mにおいて分離してもよい。このように、帳票Fは、領収書F1、納入書F2A及び納入通知書F2Bという複数の分離片によって構成される。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係る帳票処理システム100の概要を示す模式図である。帳票処理システム100は、金融機関の建物内における例えばATM(Automated Teller Machine)コーナーに設置された帳票処理装置1と、例えば金融機関の建物内におけるバックヤード等に設置された上位装置である管理装置101と、金融機関における窓口等の事務スペースに設置されたリモートモニタ102とを含む。
【0028】
帳票処理装置1とリモートモニタ102とは、有線又は無線の通信回線で構成されたLAN(Local Area Network)103を介して通信可能に接続されている。LAN103は、インターネット等の公衆回線104につながっている。管理装置101は、LAN103及び公衆回線104を介して、又は、LAN103だけを介して、帳票処理装置1及びリモートモニタ102のそれぞれに対して通信可能に接続されている。なお、管理装置101は、帳票処理装置1又はリモートモニタ102の一部であってもよいし、金融機関から離れた別の場所に設置されてもよい。
【0029】
帳票処理装置1は、先ほどの説明において利用者と係員との間において行われた帳票Fによる取引を利用者との間において行う自動取引装置である。なお、本実施形態における帳票処理装置1は、税金や公共料金に関する税公金処理装置である。管理装置101は、帳票処理装置1での決済が完了した取引の情報を取引履歴として記憶するサーバである。
【0030】
リモートモニタ102は、パソコン等の端末であって、係員によって操作される操作部(図示せず)と、係員向けの情報が表示される表示部(図示せず)とを含む。係員は、操作部によって帳票処理装置1を遠隔操作することができる。表示部には、帳票処理装置1の情報、例えば電源のON/OFF状態や稼働状態や現金の収納量等が表示される。
【0031】
帳票処理システム100に関連して、金融機関の建物の外には、カード決済サーバ105及び辞書サーバ106が設けられており、これらは、公衆回線104に接続されている。カード決済サーバ105は、クレジットカード会社によって保有されてもよいし、税公金処理装置のメーカーによって保有されてもよい。辞書サーバ106は、帳票Fの様式データを管理する組織(辞書配信センター等)によって保有されている。
【0032】
図4は、この発明の一実施形態に係る帳票処理装置1の斜視図である。帳票処理装置1は、縦長のボックス形状の装置本体2を含む。装置本体2における正面側の側面である前面3では、上側領域3Aが下側領域3Bよりも後側に一段ずれることにより、上側領域3Aと下側領域3Bとの間には水平に延びる境界領域3Cが形成されている。
【0033】
上側領域3Aの上側部分には、例えばタッチパネル付きの液晶モニタによって構成された表示操作部4が設けられている。表示操作部4は、様々な情報が表示される表示部としての機能と、利用者によって操作される操作部として機能とを有する。表示部と操作部とは、表示操作部4にまとめられるのでなく、別々に存在してもよい。
【0034】
上側領域3Aにおいて表示操作部4よりも右側の領域には、後側へ窪んだ窪み3Dが形成されている。窪み3Dには、左右に細長いスリット状の発行口5及びカード出入口6と、電子マネー決済用媒体等を読み取る読取部53Aと、PINパッド等によって構成された操作部7とが上下に並んで設けられている。操作部7及び表示操作部4は、情報入力のための入力部の一例である。上側領域3Aにおいて表示操作部4よりも下側には、帳票Fが投入される投入部の一例として左右に細長いスリット状の取込排出口8と、取込排出口8の下端を縁取って前側へ水平に突出した板状のトレイ9とが設けられている。
【0035】
前面3の下側領域3Bの上部において例えば右寄りの領域には、左右に細長いスリット状の紙幣投入口10及び紙幣出金口11が上下に並んで設けられている。紙幣投入口10及び紙幣出金口11は、下側領域3Bと境界領域3Cとに跨って略L字状に折り曲げられたシャッタ12によって一括開閉される。下側領域3Bの上部において紙幣投入口10及び紙幣出金口11よりも左側の領域には、硬貨出金口13が設けられ、境界領域3Cにおいて左右方向において硬貨出金口13と同じ位置には、硬貨投入口14が設けられている。硬貨出金口13及び硬貨投入口14は、シャッタ12と同様に略L字状に折り曲げられたシャッタ15によって一括開閉される。なお、シャッタ12は、紙幣投入口10だけを開閉するシャッタと、紙幣出金口11だけを開閉するシャッタとに分かれていてもよい。同様に、シャッタ15は、硬貨出金口13だけを開閉するシャッタと、硬貨投入口14だけを開閉するシャッタとに分かれていてもよい。
【0036】
なお、表示操作部4、発行口5、カード出入口6、読取部53A、操作部7、取込排出口8、紙幣投入口10、紙幣出金口11、硬貨出金口13及び硬貨投入口14のそれぞれの位置は、利用者にとってアクセスしやすい位置であれば、任意に変更できる。また、紙幣投入口10と紙幣出金口11とが紙幣入出金口としてまとめられてもよいし、硬貨出金口13と硬貨投入口14とが硬貨入出金口としてまとめられてもよい。
【0037】
図5は、帳票処理装置1の上部における内部構造を右側から見た模式図である。
図5における左側は、帳票処理装置1の前側であり、
図5における右側は、帳票処理装置1の後側であり、
図5の紙面に垂直な方向は、帳票処理装置1の左右方向である。以下では、帳票処理装置1の前後方向、左右方向及び上下方向を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、
図4にて説明した発行口5、カード出入口6及び操作部7等の図示が、
図5では省略されている。帳票処理装置1の装置本体2内の上部には、取込排出口8に投入された帳票Fを処理する処理部の一例としての帳票処理ユニット20が設けられている。後述するように、帳票処理ユニット20は、取込排出口8に投入された帳票Fに対して、記入や分離(カット)等の処理を施す。
【0038】
帳票処理ユニット20に関連して、装置本体2内には、取込排出口8に投入された帳票Fを搬送するための搬送路21が設けられている。搬送路21は、装置本体2内にて搬送される帳票Fの軌跡に沿って延びるスペースである。搬送路21の幅方向は、左右方向と一致している。搬送路21は、取込排出口8から装置本体2の後面22の手前まで後側へ水平に延びる第1搬送路21Aと、第1搬送路21Aの後端から湾曲した後に下側へ延びる第2搬送路21Bと、第2搬送路21Bの下端から湾曲した後に前側へ延びる第3搬送路21Cとを含む。
【0039】
取込排出口8に投入されて搬送路21内に取り込まれた帳票Fは、第1搬送路21A、第2搬送路21B及び第3搬送路21Cにおいて、この順番にて搬送される。そのため、搬送路21では、帳票Fの搬送方向(以下では、単に「搬送方向」という。)において、第1搬送路21Aが、取込排出口8に近い上流側に位置し、第3搬送路21Cが、取込排出口8から離れた下流側に位置している。搬送路21内にて搬送される帳票Fは、通常では、帳票Fにおける二辺(
図1に示す上下の二辺)が前後方向と整合した姿勢を保って、前後方向に沿って進行する。
【0040】
帳票処理ユニット20は、帳票Fを搬送路21内にて搬送する搬送部25と、分離された控えF2を回収する回収部26と、帳票Fを搬送路21内に取り込んだり取込排出口8から排出したりする取込排出部27と、帳票Fを分離する分離部28とを含む。帳票処理ユニット20は、帳票Fから画像データを読み取る読取部29と、搬送路21内における帳票Fの姿勢を矯正するアライメント部30と、帳票Fに領収印A等を記入する記入部31と、搬送路21内における帳票Fの通過を検出する検出部32とをさらに含む。
【0041】
搬送部25は、搬送路21の全域に分散して配置された複数の搬送ローラ33を複数含む。各搬送ローラ33は、左右方向に細長く延びる円柱体である。搬送部25は、これらの搬送ローラ33を正逆回転させるモータ(図示せず)も含む。正回転する搬送ローラ33は、この搬送ローラ33の外周面に接触した帳票Fを搬送路21内において搬送方向の下流側へ搬送する。逆回転する搬送ローラ33は、この搬送ローラ33の外周面に接触した帳票Fを搬送路21内において搬送方向の上流側へ搬送する。搬送ローラ33は、対をなして対向配置されて搬送路21内において接触していてもよい。対になった2つの搬送ローラ33は、その間に帳票Fを挟持した状態にて互いに反対の方向に回転することによって、この帳票Fを搬送路21内において上流側又は下流側へ搬送する。なお、後述する他のローラについても、特に言及がない場合には、搬送ローラ33と同様に構成される。
【0042】
回収部26は、分離後の帳票Fにおける控えF2(
図2参照)等を収納するために装置本体2内に確保されたスペースである。回収部26は、本実施形態では、回収部26A及び26Bというように上下に並んで2つ設けられるが、3つ以上設けられてもよいし、1つだけ設けられてもよい。第3搬送路21Cは、2つの分岐路21Dに分岐して、これらの分岐路21Dは、2つ回収部26に1つずつ接続されている。
【0043】
帳票処理ユニット20は、第3搬送路21Cの分岐位置に配置された切換爪34と、切換爪34の向きを変えるソレノイド(図示せず)とを有する切換部35をさらに含む。切換爪34の向きが変わると、第3搬送路21Cにおける控えF2の行き先がどちらかの分岐路21Dに変更される。回収部26に収納された控えF2を取り出せるように、回収部26は、装置本体2に対して着脱可能であってもよい。または、係員は、装置本体2の表面に設けられた扉(図示せず)を開くことによって、装置本体2内の回収部26に外からアクセスできてもよい。
【0044】
取込排出部27は、取込排出口8に投入された帳票Fを第1搬送路21A内に取り込んだり、第1搬送路21A内の帳票Fの全部又は一部を取込排出口8に排出したりするための構成である。取込排出部27は、第1搬送路21Aにおいて取込排出口8に隣接した前端部を上下から挟むように配置された少なくとも一対の取込排出ローラ36と、これらの取込排出ローラ36を正逆回転させるモータ(図示せず)とを含む。
【0045】
分離部28は、帳票Fをミシン目Mにおいて分離するための構成であって、第1搬送路21Aにおいて取込排出部27よりも搬送方向の下流側、つまり後側に配置されている。分離部28は、切断部材37と、アクチュエータ38と、第1ローラ39及び第2ローラ40と、第1ローラ39及び第2ローラ40を正逆回転させるモータ(図示せず)とを含む。
【0046】
切断部材37は、金属製又は樹脂製のカッターであり、その刃先37Aの刃渡り方向は、左右方向に延びている。切断部材37は、刃先37Aが第1搬送路21Aを横切れるように、第1搬送路21Aに対して交差又は直交する移動方向(
図5では上下方向)に移動可能である。
図5に示すように待機位置にある切断部材37は、その移動方向における一方側(
図5では上側)へ第1搬送路21Aから離れている。アクチュエータ38は、例えばモータによって構成されていて、切断部材37を移動方向に沿って移動させる。
【0047】
第1ローラ39及び第2ローラ40のそれぞれは、第1搬送路21Aに沿って少なくとも一対ずつ設けられている。各対における2つの第1ローラ39は、第1搬送路21A内において接触するように互いに対向配置され、各対における2つの第2ローラ40は、第1搬送路21A内において接触するように互いに対向配置されている。なお、第1ローラ39及び第2ローラ40のそれぞれは、左右方向から見て重なるように、左右方向に並んで複数配置されていてもよい。第1ローラ39は、搬送方向において、第2ローラ40よりも上流側に位置し、切断部材37は、搬送方向において、第1ローラ39と第2ローラ40との間に位置している。
【0048】
読取部29は、第1搬送路21Aにおいて分離部28よりも搬送方向の下流側に配置され、第1搬送路21Aを左右方向に横切っている。読取部29は、帳票Fの表面のイメージを上側から光学的に読み取って帳票Fの画像データを取得するためのものであり、例えば、CIS(Contact Image Sensor)等のラインセンサによって構成されている。読取部29は、読み取った帳票Fを分別する分別部の一例として機能する。
【0049】
アライメント部30は、帳票Fの姿勢を矯正して斜行状態を解消つまり斜行補正するための構成であり、第1搬送路21Aにおいて搬送方向における分離部28の周囲に配置されている。アライメント部30は、位置決め部41と、補正ローラ42と、補正ローラ42を回転させるモータ(図示せず)とを含む。
【0050】
位置決め部41は、前後に長手のブロック状に形成されている。位置決め部41において第1搬送路21Aに臨んだ側面は、第1搬送路21A内における帳票Fの進行方向に沿って平坦な寄せ当て面である。補正ローラ42は、前後方向において位置決め部41と同じ位置に配置されて、第1搬送路21Aに臨んでいる。補正ローラ42は、他のローラとは異なり、前後方向に延びる回転軸線(図示せず)まわりに回転する。第1搬送路21A内において搬送される帳票Fは、回転する補正ローラ42に接触することによって、位置決め部41の寄せ当て面に寄せられる。帳票Fが進行方向に対して傾斜した斜行状態にて搬送される場合があるが、この帳票Fが寄せ当て面に寄せられることによって、この帳票Fの姿勢が矯正されて斜行状態が解消する。
【0051】
記入部31は、第1搬送路21Aにおいて読取部29よりも搬送方向の下流側、つまり第1搬送路21Aの後端部において、上側から第1搬送路21Aに臨んで配置されている。記入部31の下端面は、帳票Fにおける各押印欄R内に領収印A(
図2参照)等を記入するための押印部31Aと、帳票Fにおける所定の領域に文字等を印刷するための印刷ヘッド31Bとが設けられている。押印部31Aには、領収印Aを反転させたものと一致した模様が刻まれている。印刷ヘッド31Bは、ドットインパクトプリンタ等によって構成されている。なお、領収印Aの全体や、領収印Aにおける支払日の日付部分が、印刷ヘッド31Bによって再現されて帳票Fに印刷されてもよく、この場合には押印部31Aが省略される。帳票処理ユニット20は、記入部31を昇降させるアクチュエータ等の駆動部(図示せず)も含む。
【0052】
検出部32は、一例として、搬送方向における読取部29と記入部31との間に配置されている。検出部32は、例えばフォトインタラプタであって、第1搬送路21Aを上下に挟んで配置された発光素子32A及び受光素子32Bを含む。発光素子32Aと受光素子32Bとの間に帳票Fが存在しない状態では、発光素子32Aによって発光された検知光(図示せず)が受光素子32Bによって受光される。発光素子32Aと受光素子32Bとの間に帳票Fが存在すると、検知光が帳票Fによって遮光される。発光素子32Aと受光素子32Bとの間を帳票Fが通過すると、検知光が再び受光素子32Bに受光される。検出部32は、このような検知光の遮光や受光によって、発光素子32Aと受光素子32Bとの間における帳票Fの通過を検出する。
【0053】
図6は、帳票処理システム100の電気的構成を示すブロック図である。帳票処理装置1の装置本体2内には、帳票処理ユニット20の他に、発行部51と、現金処理部52と、電子マネー処理部53と、クレジット処理部54とが設けられている。発行部51は、レシートを印刷するプリンタ等であり、発行部51としてレーザプリンタやサーマルプリンタを用いることができる。発行部51は、レシートを印刷して発行口5に排出する。つまり、発行部51は、印字された紙片を発行する。
【0054】
帳票処理装置1では、取込排出口8に投入された帳票Fに係る請求金額の決済方法として、現金による現金決済と、電子マネーによる電子マネー決済と、クレジットカードによるクレジット決済とを少なくとも選択できる。なお、電子マネー決済及びクレジット決済を非現金決済と総称してもよい。
【0055】
現金処理部52は、現金決済のために、紙幣投入口10や硬貨投入口14に投入された現金を計数して収納したり、釣銭を算出したり、釣銭等の返却用の現金を紙幣出金口11や硬貨出金口13に投出したりする。電子マネー処理部53は、電子マネー決済のために、利用者の媒体を読み取って、この媒体に紐付いた電子マネーの残高を、請求金額に応じて更新する。電子マネー処理部53は、媒体を読み取るリーダ等の読取部53Aを含み、読取部53Aは、前述したように装置本体2の前面3においてアクセスしやすい位置に配置される(
図4参照)。クレジット処理部54は、クレジット決済のために、カード出入口6に挿入されたクレジットカードから必要な情報を読み取ったり、取引の中止や終了に応じてクレジットカードをカード出入口6から排出したりする。
【0056】
帳票処理装置1は、処理部の一例としての制御部55を含む。制御部55は、CPUやROMやRAMやタイマ等を含んだマイクロコンピュータによって構成されている。制御部55には、表示操作部4、操作部7、帳票処理ユニット20、発行部51、現金処理部52、電子マネー処理部53及びクレジット処理部54のそれぞれが電気的に接続されている。制御部55は、表示操作部4における表示内容を制御したり、利用者等による表示操作部4のタッチパネルや操作部7の操作を受け付けたりする。制御部55は、取引のために、帳票処理ユニット20、発行部51、現金処理部52、電子マネー処理部53及びクレジット処理部54のそれぞれに対して、それぞれの処理を実行させる。特に、制御部55と帳票処理ユニット20の読取部29とは、OCR(Optical Character Reader)を構成している。
【0057】
帳票処理装置1は、制御部55に対して電気的に接続される別の部品として、シャッタ用アクチュエータ56と、送信部の一例としてのインターフェース(I/F)部57と、記憶部58とをさらに含む。制御部55は、シャッタ用アクチュエータ56を動作させることによってシャッタ12やシャッタ15を開閉させる。I/F部57は、前述したLAN103に接続されていて、制御部55は、I/F部57を介して、管理装置101やリモートモニタ102と通信したり、利用者が携帯するスマートフォン等の通信端末107との間において情報を送受信したりすることができる。
【0058】
記憶部58には、様々な情報が記憶されているが、特に、帳票処理装置1での取り扱い対象となる帳票Fの種類を特定するための情報が、帳票Fの種類毎にまとめられて予め記憶されている。具体的には、記憶部58には、読取部29が取得した画像データを制御部55がOCR処理する場合に参照される辞書データ58Aが記憶されている。辞書データ58Aは、種類毎の帳票Fの様式についての様式データを含む。様式データは、取り扱い対象の帳票Fの種類に応じて複数設けられている。様式データとして、対応する種類の帳票Fの形状や大きさ、文字、数字等の記載位置、文字、数字の種類等が挙げられる。
【0059】
また、様式データは、対応する種類の帳票Fのサイズや罫線の特徴的なパターンといった外見上の識別情報、帳票Fにおける押印欄Rの位置情報、ミシン目Mの有無、及び、帳票Fにおける分離位置の情報や、前述した分離片の数(構成枚数)を含む。さらに、帳票Fの外見に関する様式データは、分離されていない状態の帳票Fの全体についてだけでなく、分離された状態における各分離片についても存在する。このような様式データを含む辞書データ58Aは、帳票Fの画像データに含まれる様々な情報から帳票Fの種類を特定する際に基準となるデータである。様々な様式データは、辞書サーバ106に登録されている。制御部55は、I/F部57を介して辞書サーバ106と通信して、辞書サーバ106に記憶された最新の様式データを取得して辞書データ58Aを更新することができる。なお、帳票処理装置1と辞書サーバ106とが必ずしも通信可能である必要はなく、辞書サーバ106に登録されている様式データを記憶媒体(USBメモリ等)に書き込んで、所定のタイミングに帳票処理装置1に取り込む運用としてもよい。
【0060】
対応する様式データが辞書データ58Aに存在する帳票Fは、帳票処理装置1での取り扱い対象となる帳票Fであり、対応する様式データが辞書データ58Aに登録されていない帳票Fは、帳票処理装置1での取り扱い対象外の帳票Fである。
【0061】
管理装置101は、マイクロコンピュータによって構成された制御部110と、公衆回線104につながったI/F部111と、記憶部112とをさらに含む。制御部110には、I/F部111及び記憶部112のそれぞれが電気的に接続されている。
【0062】
以下では、帳票処理装置1における帳票処理方法による取引について、
図7のフローチャート等を参照して説明する。帳票Fを持参して金融機関にやって来た利用者が、待機状態における帳票処理装置1の表示操作部4にタッチすると、帳票処理装置1の制御部55は、開始画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示する。なお、利用者は、帳票Fを持参した利用者自身に限らず、利用者の依頼を受けた金融機関の係員を指してもよい。開始画面には、全ての分離片が揃って一体化された状態の帳票Fを、控えF2が先頭となるように挿入すること等を促すメッセージが表示されてもよい。
【0063】
開始画面を見た利用者が、表面FAが上向きになった帳票Fを、控えF2が先頭となるように取込排出口8に投入する。この帳票Fにおいて控えF2側の先端部が一対の取込排出ローラ36の間に挟まると、制御部55は、取込排出ローラ36及び搬送ローラ33を正回転させることにより、帳票Fを取込排出口8から装置本体2内の第1搬送路21Aに取り込む(ステップS1)。これにより、取引が開始されて、帳票Fは、前後方向に長手かつ水平な姿勢を維持しながら、控えF2を先頭として第1搬送路21A内において後側へ搬送され、読取部29を通過する。なお、帳票Fが一対の取込排出ローラ36の間に挟まったことを検出するセンサ(図示せず)を設けて、このセンサが帳票Fを検出したことに応じて、制御部55は、この帳票Fを第1搬送路21Aに取り込んでもよい。
【0064】
取込排出口8に投入された帳票Fが読取部29を通過する際に、制御部55は、帳票Fの表面FAの画像データを読取部29によって読み取る(ステップS2)。ステップS2では、制御部55は、OCR処理として、帳票Fから読み取った表面FAの画像データを記憶部58の辞書データ58Aと照合することによって、その画像データに対応する帳票Fの種類を特定する。制御部55及び読取部29は、帳票Fの種類を特定する特定部の一例として機能する。制御部55が種類を特定できた帳票Fは、帳票処理装置1において受付可能な帳票Fである。さらに、制御部55は、OCR処理として、帳票Fから読み取った表面FAの画像データに含まれる文字や数字を識別することによって、当該画像データの中から納付額情報J1等を取得する。
【0065】
制御部55が種類を特定できなかった帳票Fは、帳票処理装置1において受付不可能な対象外の帳票Fである。制御部55は、帳票Fの種類を特定できなかった場合には(ステップS3でNO)、警告画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示することによって利用者に警告する(ステップS4)。警告画面には、投入された帳票Fについては帳票処理装置1では受付できない旨のメッセージと、この帳票Fをこれから返却する旨のメッセージ等とが表示される。
【0066】
警告後に、制御部55は、搬送ローラ33及び取込排出ローラ36等を逆転させることによって、帳票Fを取込排出口8から返却する(ステップS5)。なお、取込排出口8は、帳票Fを取り込むため取込口と、帳票Fを排出するため排出口とに分かれていてもよい。
【0067】
制御部55は、帳票Fの種類を特定できた場合(ステップS3にてYES)、この帳票Fを搬送路21内にて一時保留した状態において、確認画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示する(ステップS6)。確認画面には、支払内容の確認を促す旨のメッセージと、請求金額と、請求金額の内訳(納付額、延滞金及び督促料)と、様々なタッチキーとが表示される。制御部55は、ステップS2おいて帳票Fから読み取った納付額情報J1における納付額に基づいて、請求金額及びその内訳を特定する。延滞金及び督促料は、所定の計算式に基づいて制御部55によって算出されてもよいし、記憶部58に予め記憶されていて制御部55によって取得されてもよい。なお、延滞が発生していない場合には、延滞金及び督促料は、いずれも零である。
【0068】
確認画面に表示されるタッチキーとして、取消キーと、納付書表示キーと、確認キーとが挙げられる。なお、本実施形態において語尾に「キー」と付く名称のものは、全てタッチキーである。利用者が取消キーにタッチすると、制御部55は、取り込んだ帳票Fを取込排出口8から返却することによって今回の取引をキャンセルして(ステップS5)、帳票処理装置1を待機状態にする。利用者が納付書表示キーにタッチすると、制御部55は、ステップS2において読み取った帳票Fの表面FAの画像データそのものを表示操作部4に表示させる。請求金額を確認した利用者が確認キーにタッチすると、制御部55は、入力画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示して、利用者を特定するための個人情報の入力を受け付ける(ステップS7)。
【0069】
入力画面には、個人情報の入力を促す旨のメッセージと、個人情報表示欄と、入力キーと、削除キーと、続行キーとが表示される。本実施形態における個人情報は、一例として利用者の通信端末107(
図5参照)の電話番号であり、これに応じて、入力キーはテンキーである。利用者は、入力キーを操作することによって自身の電話番号を入力する。制御部55は、利用者が入力した電話番号を個人情報表示欄に表示させる。利用者は、間違った電話番号を入力した場合には、削除キーにタッチして入力内容を削除し、電話番号を入力し直すことができる。なお、入力画面では、利用者の氏名等といった他の個人情報の入力(例えば氏名のカナ入力)ができてもよく、この場合の入力キーは、キーボードによって構成される。
【0070】
個人情報を入力した利用者が続行キーにタッチすると、制御部55は、
図8に示す決済方法選択画面61を表示操作部4に切替表示して、決済方法についての利用者の選択を受け付ける(ステップS8)。決済方法選択画面61には、決済方法の選択を促す旨のメッセージ61Aと、前述した請求金額に相当する支払金額の情報61Bと、係員呼出キー62と、取消キー63と、現金決済キー64と、電子マネー決済キー65と、クレジット決済キー66とが表示される。
【0071】
利用者が係員呼出キー62にタッチすると、例えば、制御部55が、帳票処理装置1に内蔵されたブザー(図示せず)を鳴らしたり、利用者からの呼び出しを報知するようにリモートモニタ102に命令したりするので、係員を呼び出すことができる。取引をキャンセルしたい利用者が取消キー63にタッチすると、制御部55は、帳票Fを返却する(ステップS5)。なお、係員呼出キー62及び取消キー63は、前述した他の画面(図示せず)にも表示される。利用者は、現金決済キー64、電子マネー決済キー65及びクレジット決済キー66のうち、選択したい決済方法に対応するタッチキーにタッチする。
【0072】
利用者が現金決済キー64又は電子マネー決済キー65にタッチすることによって現金決済又は電子マネー決済を選択した場合には(ステップS8にてYES)、制御部55は、現金決済処理又は電子マネー決済処理を実行する(ステップS9)。
【0073】
ただし、支払金額が前述した所定金額(例えば5万円)以上であって当該支払金額に係る料金が税金でない場合の現金決済又は電子マネー決済では、前述したように窓口の係員が収入印紙(図示せず)を領収書F1に貼り付ける必要がある。そこで、制御部55は、支払金額が所定金額以上であると判断すると、投入された帳票Fについては現金決済又は電子マネー決済では帳票処理装置1にて受け付けできない旨の警告画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示する。この警告画面には、取引の中止かクレジット決済での取引の続行を選択するためのタッチキー等が表示されてもよく、利用者がクレジット決済での取引の続行を選択した場合には、制御部55は、現金決済及び電子マネー決済が選択されなかったものとして(ステップS8にてNO)、帳票Fを返却せずに、次の処理を実行する。一方、取引の中止が選択された場合には、制御部55は、帳票Fを返却して終了する。
【0074】
支払金額が所定金額未満である場合、又は、支払金額が所定金額以上であっても当該支払金額に係る料金が税金である場合には、制御部55は、現金決済処理又は電子マネー決済の一環として、決済画面を表示操作部4に切替表示する。現金決済処理における決済画面は、
図9に示す現金決済画面71であり、電子マネー決済処理における決済画面は、
図10に示す電子マネー決済画面72である。
【0075】
現金決済画面71には、前述した係員呼出キー62及び取消キー63と、現金の投入を促す旨のメッセージ71Aと、支払金額表示欄71Bと、入金額表示欄71Cと、釣銭額表示欄71Dと、完了キー73とがさらに表示される。現金決済画面71には、帳票処理装置1において現金を投入する位置を示すイラスト(図示せず)も表示されてもよい。
【0076】
制御部55は、支払金額を支払金額表示欄71Bに表示する。制御部55は、利用者によって紙幣投入口10や硬貨投入口14に投入された現金の総額を、入金額として入金額表示欄71Cに表示する。入金額が支払金額よりも多い場合には、制御部55は、その差額を釣銭額として釣銭額表示欄71Dに表示する。入金額が納付額以上になった状態において利用者が完了キー73にタッチすると、制御部55は、現金処理部52によって現金決済を行い、必要に応じて釣銭を払い出す。これにより、現金決済処理が完了する。
【0077】
電子マネー決済画面72には、前述した係員呼出キー62及び取消キー63と、電子マネーの媒体の読取を促す旨のメッセージ72Aとが表示される。電子マネー決済画面72には、帳票処理装置1において媒体をかざす位置、つまり読取部53Aの位置を示すイラスト(図示せず)も表示されてもよい。利用者が媒体を読取部53Aにかざして読み取らせると、制御部55は、電子マネー処理部53によって電子マネー決済を行う。この場合の電子マネー処理部53及び制御部55は、取込排出口8に投入された帳票Fに記載された金額について電子マネー決済する電子マネー決済部の一例として機能する。これにより、電子マネー決済処理が完了する。なお、電子マネー決済画面72には、電子マネー決済後の電子マネーの残高が表示されてもよい。
【0078】
現金決済処理又は電子マネー決済処理の後に、制御部55は、今まで搬送路21内にて一時保留していた帳票Fに所定の情報を記入する記入処理を行う(ステップS10)。具体的には、制御部55は、搬送ローラ33を逆転させることによって帳票Fを取込排出口8へ向けて搬送し、その際、アライメント部30によって帳票Fの姿勢を矯正する。そして、制御部55は、第1搬送路21A内での搬送方向における帳票Fの位置を搬送部25によって調整してから、記入部31を下降させて記入部31の押印部31Aを帳票Fの表面FAに接触させ、表面FAの該当箇所に領収印Aを記入する。
【0079】
このように、現金決済や電子マネー決済の場合、これらの決済の完了に応じて、記入部31が、現金決済又は電子マネー決済された金額について領収済である旨の情報である領収印Aを帳票Fの少なくとも一部に記入する。また、制御部55は、記入部31の印刷ヘッド31Bによって、延滞金、督促料及び請求金額を、表面FAにおいて該当する記入欄Kに記入する。
【0080】
その後、制御部55は、カット処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御部55は、押印後の帳票Fのミシン目Mが分離部28の切断部材37の真下に到達するまで帳票Fを搬送部25によって搬送してから、待機位置の切断部材37を少なくともミシン目Mまで下降させて帳票Fをカットして、領収書F1と控えF2とに分離する(
図2参照)。
【0081】
控えF2が先頭となるように取り込まれた帳票Fでは、分離後において、領収書F1が控えF2よりも取込排出口8に近くに位置して一対の第1ローラ39によって挟まれていて、控えF2が一対の第2ローラ40によって挟まれている。この状態において、制御部55は、第1ローラ39と、第1ローラ39よりも上流側の搬送ローラ33及び取込排出ローラ36とを逆回転させる。これにより、帳票Fにおいて領収印Aが記入された一部である領収書F1は、第1搬送路21A内を前進して取込排出口8から装置本体2の外に排出されて、利用者に返却される(ステップS12)。帳票処理ユニット20において領収書F1の返却に関する各ローラ等は、帳票Fの当該一部又は全部を返却する返却部の一例として機能する。そのため、搬送ローラ33を含む搬送部25や、取込排出ローラ36を含む取込排出部27や、第1ローラ39を含む分離部28は、返却部の一例である。制御部55も返却部の一部とみなしてもよい。
【0082】
領収書F1の返却と同じ又はほぼ同じタイミングにおいて、制御部55は、第2ローラ40と、第2ローラ40よりも下流側の搬送ローラ33とを正回転させる(ステップS13)。これにより、控えF2は、第1搬送路21A内を後進し、第2搬送路21B及び第3搬送路21Cを順に通過して、装置本体2内の回収部26に回収されるので、今回の帳票Fについての現金決済又は電子マネー決済による取引が終了する。取引の終了に先立って、制御部55は、今回の取引の内容を示したレシート(図示せず)を発行部51によって発行口5から発行してもよい。
【0083】
なお、利用者が取引したい帳票Fが2枚以上あれば、利用者は、1枚目の帳票Fの領収書F1が返却されたことに応じて、2枚目の帳票Fを1枚目と同じように取込排出口8に挿入すればよい。すると、制御部55は、2枚目以降の帳票FについてステップS1以降の処理を繰り返す。また、帳票処理装置1は、電子マネー処理部53を備えているので、取込排出口8に投入された帳票Fに記載された金額について、現金決済だけでなく電子マネー決済することもできる。そして、帳票処理装置1は、電子マネー決済の完了に応じて、電子マネー決済された金額についての領収印Aを帳票Fの少なくとも領収書F1に記入して、領収書F1を利用者に返却することができるので、電子マネー決済にも対応できる。
【0084】
決済方法選択画面61(
図8参照)が表示操作部4に表示された状態において、利用者は取消キー63にタッチしたり、利用者がいずれのタッチキーにタッチしない状態のまま所定時間が経過したりする場合がある。この場合、つまり、現金決済及び電子マネー決済が選択されず(ステップS8にてNO)、クレジット決済も選択されなかった場合には(ステップS14にてNO)、制御部55は、今回の取引がキャンセルされたと判断して、帳票Fを返却する(ステップS5)。利用者がクレジット決済キー66にタッチすることによってクレジット決済を選択した場合には(ステップS14にてYES)、制御部55は、クレジット決済処理を実行する(ステップS15)。クレジット決済処理は、帳票処理方法におけるクレジット決済ステップに相当する。
【0085】
制御部55は、クレジット決済処理の一環として、
図11に示すクレジット決済画面74を表示操作部4に切替表示する。クレジット決済画面74には、前述した係員呼出キー62及び取消キー63と、カード出入口6へのクレジットカードの挿入及び暗証番号の入力を促す旨のメッセージ74Aと、暗証番号表示欄74Bと、入力キー75と、削除キー76と、続行キー77とが表示される。
【0086】
本実施形態における入力キー75はテンキーである。利用者は、入力キー75を操作することによって暗証番号を入力する。制御部55は、利用者が入力した暗証番号を暗証番号表示欄74Bに表示する。詳しくは、暗証番号表示欄74Bには、暗証番号そのものでなく、暗証番号の入力を表わす黒丸が表示される。利用者は、間違った暗証番号を入力した場合には、削除キー76にタッチして入力内容を削除し、暗証番号を入力し直すことができる。
【0087】
クレジットカードをカード出入口6に挿入してから暗証番号を入力した利用者が続行キー77にタッチすると、制御部55は、I/F部57を介して外部のカード決済サーバ105(
図3参照)と通信する。その際、制御部55は、クレジット処理部54がクレジットカードから読み取った情報に基づいてクレジット決済を行う。この場合のクレジット処理部54、制御部55及びI/F部57は、取込排出口8に投入された帳票Fに記載された金額についてクレジット決済するクレジット決済部の一例として機能する。
【0088】
クレジット決済部の機能は、帳票処理装置1でなく、帳票処理システム100における他の構成、例えば管理装置101に設けられてもよく、この場合には、管理装置101の制御部110が、I/F部111を介してカード決済サーバ105と通信することにより、制御部55の代りにクレジット決済を行ってもよい(
図6参照)。そのため、制御部110及びI/F部111が、管理装置101におけるクレジット決済部の一例として機能する。
【0089】
クレジット決済ステップでのクレジット決済の完了に応じて、制御部55は、クレジット決済ステップ後に帳票Fを処理する処理ステップの一環として、記入処理(ステップS16)を実行する。具体的には、現金決済処理又は電子マネー決済処理後のステップS10と同様に、制御部55は、搬送ローラ33を逆転させることによって搬送路21内の帳票Fを取込排出口8へ向けて搬送し、その際、アライメント部30によって帳票Fの姿勢を矯正する。そして、制御部55は、ステップS10と同様に、第1搬送路21A内での搬送方向における帳票Fの位置を搬送部25によって調整してから、記入部31を下降させて記入部31の印刷ヘッド31Bによって、
図12に示すように、延滞金、督促料及び請求金額を、帳票Fの表面FAにおいて該当する記入欄Kに記入する。
【0090】
ただし、ステップS16では、ステップS10とは異なり、制御部55は、少なくとも領収書F1の押印欄Rに、クレジット決済に関するメッセージXを記入部31の印刷ヘッド31Bによって記入する。メッセージXの一例は、領収書F1の拡大図である
図13に示すように、今回のクレジット決済に係る取引の日時を表わす日時情報X1と、取引が行われた金融機関を特定するための店舗情報X2と、今回の取引に係る料金がクレジットカードにて支払われる旨の注記X3とを有する。注記X3は、前述した但し書きに相当するので、このメッセージXが記入された領収書F1が返却された利用者は、この領収書F1を、法律上の領収書として使用できる。
【0091】
メッセージXには、様々な種類があり、係員による表示操作部4や操作部7の操作などによってメッセージXの種類を自由に選択できてもよい。例えば、
図14に示すように、制御部55は、押印部31Aによって、丸枠Y1と、丸枠Y1内の中央領域を横切る上下一対の横線Y2とを領収書F1の押印欄Rに記入して、印刷ヘッド31Bによって、日時情報X1を丸枠Y1の中央部に記入して、丸枠Y1内の下領域に店舗情報X2を記入してもよい。
【0092】
図14のメッセージXでは、丸枠Y1内の上領域が空白になっているので注記X3が記入されていないが、
図15のメッセージXのように注記X3が丸枠Y1内の上領域に記入されてもよいし、
図16のメッセージXのように、料金の領収済を表わす注記X4が、注記X3の代りに丸枠Y1内の上領域に記入されてもよい。
図16のメッセージXは、前述した領収印A(
図2参照)と実質的に同じである。注記X3や注記X4は、丸枠Y1の外に記入されてもよい。なお、クレジット決済の場合の制御部55は、メッセージXを少なくとも領収書F1(帳票Fの一部)に記入するが、金融機関での運用に応じて、メッセージXを控えF2の押印欄Rにも記入してもよいし、控えF2の押印欄Rには領収印Aを記入してもよいし、控えF2の押印欄Rには何も記入しなくてもよい。
【0093】
メッセージXには、帳票Fの種類に応じた複数の種類があってもよく、種類毎のメッセージXの内容は、辞書データ58Aの一部として記憶部58に記憶される。その場合、制御部55は、ステップS2にて種類を特定した帳票Fに対応するメッセージXを記憶部58から取得して、記入部31によって帳票Fに記入する。メッセージXの内容(文言や、文字の色やサイズや書体や、記入位置等)は、係員等による表示操作部4や操作部7の操作によって自由に設定することができてもよい。この場合の表示操作部4や操作部7は、メッセージXの内容を設定する設定部の一例として機能する。設定部の機能は、管理装置101やリモートモニタ102に設けられてもよく、この場合の管理装置101やリモートモニタ102は、設定部として機能するキーボード等の入力部を含む。また、最新のメッセージXが、所定のタイミングに辞書サーバ106等から帳票処理装置1に配信されてもよい。
【0094】
記入処理を終えた制御部55は、前述した処理ステップの続きとして、カット処理(ステップS11)を実行して帳票Fを領収書F1と控えF2とに分離してから、領収書F1を利用者に返却して(ステップS12)、控えF2を回収部26に回収する(ステップS13)。これにより、今回の帳票Fについてのクレジット決済による取引が終了する。
【0095】
取引の最後に、制御部55は、今回のクレジット決済についての利用控えである明細書78(
図17参照)を発行部51によって発行口5から発行してもよい。明細書78には、一例として、タイトル78Aと、取引が行われた金融機関に関する情報78Bと、支払金額の情報78Cとが記載されている。さらに、明細書78には、今回の取引の終了した日時を表わす取引日時78Dと、クレジット決済に用いられたクレジットカード会社の情報78Eと、クレジットカードのカード番号78Fと、今回のクレジット決済での支払区分に関する情報78Gとが記載されてもよい。また、今回の取引について割り当てられた取引番号(図示せず)が明細書78に記載されてもよい。
【0096】
以上のように、帳票処理装置1は、取込排出口8に投入された帳票Fに記載された請求金額についてクレジット決済することができ、クレジット決済の完了に応じて、この帳票Fを処理することができるので、クレジット決済に対応できる。また、帳票処理装置1は、クレジット決済の完了に応じた帳票Fの処理として、クレジット決済に関するメッセージXを帳票Fにおける少なくとも領収書F1(
図13参照)に記入して、利用者に領収書F1を返却することができる。そのため、領収書F1(原紙)を返却してもらいたい利用者にとって都合が良い。
【0097】
また、金融機関にとっても、現金決済だと係員による収入印紙の貼り付けが必要な取引については、帳票処理装置1でのクレジット決済によって対応できるので、係員の負担軽減を図れるし、収入印紙の省略によるコスト削減も図れる。また、クレジット決済に関して、明細書78を発行するものの、帳票Fを分離せずに帳票処理装置1の回収部26に回収する場合も考えられるが、この場合には、取引後に、係員が、この帳票Fを選別して領収書F1と控えF2とに分離する作業が必要になる。しかし、本実施形態では、前述したように、帳票処理装置1によって、クレジット決済に係る帳票Fが分離されて領収書F1が返却されるので、係員の負担を軽減することができる。
【0098】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0099】
例えば、帳票処理装置1は、カード出入口6から銀行口座のキャッシュカードを受け入れることによって口座決済(Debit決済)に対応できてもよい。口座決済は、前述した非現金決済の一例であるが、この場合、制御部55は、決済完了に応じて、帳票Fの領収書F1に領収印Aを印字する処理を行う。また、帳票処理装置1は、非現金決済だけに対応してもよく、その場合には現金処理部52を省略することによって小型化を図れるので、例えば卓上に設置できる。
【0100】
利用者は、帳票処理装置1から、領収書F1の代りに電子領収書(図示せず)を受け取ることができてもよい。その場合、利用者は、決済方法選択画面61(
図8参照)、又は、別の領収書選択画面(図示せず)に表示された領収書選択用のタッチキー(図示せず)にタッチする等によって、領収書F1及び電子領収書のどちらかを選択することができてもよい。
【0101】
また、前述したように、支払金額が所定金額(例えば5万円)以上であって当該支払金額に係る料金が税金でない場合の現金決済又は電子マネー決済では、窓口において係員が収入印紙を領収書F1に貼り付ける必要がある。そこで、決済方法選択画面61又は領収書選択画面は、電子領収書又は取引の中止を選択できるように構成される。そのため、電子領収書に限定されるものの、帳票処理装置1は、取引を続行できる。一方、利用者によって取引の中止が選択された場合には、制御部55は、帳票Fを返却するとともに、利用者を窓口へ誘導するための情報を表示操作部4に表示する。この情報に基づいて窓口に向かった利用者は、前述したように窓口の係員に帳票Fの処理を依頼して、収入印紙が貼り付けられた領収書F1を受け取る。
【0102】
利用者が電子領収書の受け取りを選択した場合には、制御部55は、電子領収書についての連絡先情報が記憶部85に記憶されているか否かを確認する。連絡先情報の一例は、前述した入力画面に入力された利用者の電話番号であって記憶部85に一時記憶されている。連絡先情報の別の例は、利用者の通信端末107(
図6参照)に紐付いた電子メールアドレスであり、制御部55は、別の入力画面(図示せず)を表示操作部4に切替表示することにより、利用者による電子メールアドレスの入力を受け付けてもよい。または、利用者が金融機関に会員登録していて、利用者の連絡先情報が会員番号に紐付いて記憶部85(管理装置101の記憶部112でもよい)に記憶されている場合には、制御部55は、会員番号の入力に応じて、対応する連絡先情報を取得してもよい。
【0103】
このように連絡先情報を取得した制御部55は、決済処理(ステップS9又はS15)の完了に応じて、電子領収書を作成する。電子領収書に含まれる情報は、領収書F1や明細書78に記載される情報と同一であってもよいし、要部が同じであれば細部が異なっていてもよい。そして、制御部55は、電子領収書についての情報(電子領収書そのものの情報や、その情報を取得できるアクセス先を示す情報、等)、つまり通信端末107での電子領収書の表示等のために必要な情報を、連絡先である通信端末107にショートメッセージサービスや電子メールによって送信する。利用者は、通信端末107送信された情報に基づいて電子領収書を取得して、例えば今後の確定申告のために電子データのまま保管できる。
【0104】
このように電子領収書が発行される場合には、前述した記入処理(ステップS10及びS16)やカット処理(ステップS11)や領収書返却(ステップS12)が省略されて、ステップS13では、領収書F1を含む帳票F全体が回収される。なお、制御部55は、電子領収書についての情報を通信端末107に送信する代わりに、QRコード(登録商標)等の読取可能なコードを表示操作部4に表示したり、このコードが印刷されてレシートを発行部51によって発行口5に発行したりしてもよい。この場合、利用者が通信端末107によってコードを読み取って、このコードに基づいてWebサイトにアクセスすることによって、電子領収書がダウンロードされて通信端末107に表示される。
【0105】
前述したように利用者の連絡先情報が帳票処理装置1に入力されることを利用して、利用者による帳票処理装置1での忘れ物のトラブルを早期に解決することができる。帳票処理装置1は、返却された領収書F1やクレジットカードについての忘れ物を検出する検出部(図示せず)を含む。利用者が領収書F1やクレジットカードを受け取らずに立ち去ってから例えば数十秒経過することによって、検出部が忘れ物を検出すると、制御部55は、忘れ物を装置本体2内に取り込む。取り込まれた忘れ物は、搬送路21内に一時保留される。
【0106】
忘れ物に係る運用の一例では、忘れ物が装置本体2内に取り込まれると帳票処理装置1がエラーダウンするので、係員が、駆け付けて帳票処理装置1を復旧させるとともに、帳票処理装置1の記憶部85や管理装置101の記憶部112に記憶された直近の取引履歴にアクセスして、忘れ物をした利用者の連絡先情報を取得する。その後、係員は、取得した連絡先情報に基づいて利用者に連絡を取り、忘れ物を引き取りに来てもらう。この場合には、係員が駆け付けて利用者に連絡を取るまでに、約10分の時間がかかり、この間は帳票処理装置1での取引ができないおそれがある。
【0107】
これに対し、本実施形態では、制御部55は、忘れ物を装置本体2内に取り込むと、忘れ物に係る利用者の連絡先情報を窓口のリモートモニタ102に送信する。リモートモニタ102には、帳票処理装置1にて忘れ物が発生した旨のメッセージと、この連絡先情報とが表示される。窓口の係員は、リモートモニタ102の表示によって忘れ物発生を把握できるので、忘れ物発生から約3分という短時間にて、連絡先情報に基づいて速やかに利用者に連絡を取って忘れ物の引き取りをお願いすることができる。そのため、連絡を受けた利用者は、金融機関を遠く離れる前の早いタイミングにおいて、忘れ物の引き取りに戻ることができる。
【0108】
なお、リモートモニタ102が存在しない場合には、制御部55は、忘れ物に関する情報、つまり、忘れ物が発生した旨のメッセージと連絡先情報とを、金融機関における所定の送信先(忘れ物専用の電子メールアドレス等)に送信してもよい。これにより、この送信先を管理する係員が、送信された連絡先情報に基づいて速やかに利用者に連絡を取ることができる。
【0109】
別の実施形態として、制御部55は、忘れ物を装置本体2内に取り込むと、忘れ物に係る利用者の連絡先情報に基づいて、忘れ物について利用者の通信端末107に直接連絡してもよい。この場合には、忘れ物発生から約数十秒という超短時間にて、忘れ物の発生を利用者に報知することができる。連絡を受けた利用者は、忘れ物を取りに戻ってもよい。
【0110】
さらに、忘れ物が領収書F1だけである場合には、通信端末107には、忘れ物を取りに戻るか、領収書F1の代りの電子領収書を送信するかについての選択を促す旨が表示されてもよい。電子領収書を選択する場合には領収書F1が廃棄される旨の注意事項も、通信端末107に表示される。利用者が通信端末107を操作することによって電子領収書を選択すると、電子領収書の送信依頼が帳票処理装置1に送信される。これに応じて、制御部55は、電子領収書についての情報を通信端末107に送信する。当該情報は、読取部29が領収書F1をスキャンしたデータであってもよい。忘れ物である領収書F1は、後日に廃棄される。
【0111】
取り込まれた忘れ物は、搬送路21内に一時保留されるのでなく、空いている回収部26等の専用の保管庫に回収されてもよい。これにより、忘れ物が発生しても、帳票処理装置1をエラーダウンさせずに利用を継続することができる。
【0112】
帳票処理装置1では、決済処理(ステップS9及びS15)の後の記入処理(ステップS10及びS16)中において、帳票Fに記入できないエラーが発生すると、制御部55は、ブザーを鳴らしたり、リモートモニタ102に所定の情報を送信したりすることによって、エラーの発生を係員に報知し、エラーダウンする。報知を受けた駆け付けた係員は、エラー解除のために装置本体2内にアクセスして、必要事項の記入が完了していない未カットの帳票Fを装置本体2内から回収する。
【0113】
係員は、窓口からスタンプを取りに行って領収書F1に領収印Aを記入して帳票Fをカットして領収書F1を利用者に手渡ししてもよいが、このような手作業は係員にとって負担であるし、残った控えF2を別管理する必要もある。そこで、制御部55は、取引を再開するために、係員モードとして帳票Fの再投入を係員に促す旨のメッセージ等を表示操作部4に表示してもよい。表示操作部4を見た係員が、排出された帳票Fを取込排出口8に再投入すると、制御部55は、この帳票Fについて、記入処理(ステップS10又はS16)をやり直して、ステップS11~S13の処理を実行する。これにより、記入エラーが発生した帳票Fについても、帳票処理装置1での取引を正常に終了させることができる。なお、係員の立ち合いが無い状態において、利用者が帳票Fを再投入できてもよい。
【0114】
帳票処理装置1は、金融機関でなく、コンビニエンスストア等の店舗に設置されてもよい。その場合には、店舗の店員が、前述した係員の役割を担う。
【0115】
以上に説明した様々な特徴は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0116】
1 帳票処理装置
4 表示操作部
7 操作部
8 取込排出口
20 帳票処理ユニット
25 搬送部
27 取込排出部
28 分離部
29 読取部
31 記入部
51 発行部
53 電子マネー処理部
54 クレジット処理部
55 制御部
57 I/F部
78 明細書
100 帳票処理システム
101 管理装置
110 制御部
111 I/F部
A 領収印
F 帳票
F1 領収書
X メッセージ