(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182515
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール解体装置、およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02S 30/10 20140101AFI20221201BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H02S30/10
B09B5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090113
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】312012184
【氏名又は名称】ミクロンメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(72)【発明者】
【氏名】寒 河 江 満
【テーマコード(参考)】
4D004
5F151
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004CA02
4D004CB50
4D004DA02
5F151BA14
5F151JA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】太陽電池パネルに過大な応力を加えず、該太陽電池パネルを破損することなくフレーム枠を分離し、その後のリサイクル処理の効率を格段に高めることができる新たな太陽電池モジュールの解体装置を提供する。
【解決手段】太陽電池モジュールBMを平置きするテーブル2を有しパネル中央面部を固定する仮固定機構3が設けられ、太陽電池モジュールBMの一対の横対峙枠に係合する下向き鈎爪が設けられ、対峙して対をなす横枠解体アームを有し、各横枠解体アームを駆動する横対峙枠離脱機構が設けられ、一対の縦対峙枠に係合する下向き鈎爪71が設けられ、対峙して対をなす縦枠解体アーム70を有し、各縦枠解体アーム70を駆動する縦対峙枠離脱機構7が設けられ、仮固定機構3、該横対峙枠離脱機構および縦対峙枠離脱機構7を統合制御する自動制御部が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネル本体の外周囲に互いに対峙する一対の横対峙枠、および、互いに対峙する一対の縦対峙枠の4辺からなる矩形状のフレーム枠を有した処理対象の太陽電池モジュールを平置きするテーブルを有し、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け固定する仮固定機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中の、これら一対の横対峙枠の夫々に対応する如く配され、当該一対の横対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす横枠解体アームを有し、各横枠解体アームをパネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動する横対峙枠離脱機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、当該一対の縦対峙枠の夫々に対応する如く配され、これら一対の縦対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす縦枠解体アームを有し、各縦枠解体アームを、当該パネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動する縦対峙枠離脱機構が設けられ、これら仮固定機構、横対峙枠離脱機構および縦対峙枠離脱機構を統合制御する自動制御部が設けられてなるものとしたことを特徴とする太陽電池モジュール解体装置。
【請求項2】
太陽電池パネル本体の外周囲に互いに対峙する一対の横対峙枠、および、互いに対峙する一対の縦対峙枠の4辺からなる矩形状のフレーム枠を有した処理対象の太陽電池モジュールを平置きするテーブルを有し、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け固定する仮固定機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の横対峙枠の夫々に対応する如く配され、当該一対の横対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす横枠解体アームを有し、各横枠解体アームをパネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動する横対峙枠離脱機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、当該一対の縦対峙枠の夫々に対応する如く配され、これら一対の縦対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす縦枠解体アームを有し、各縦枠解体アームをパネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動する縦対峙枠離脱機構が設けられ、これら仮固定機構、横対峙枠離脱機構および縦対峙枠離脱機構を統合制御する自動制御部が設けられ、処理対象の太陽電池モジュールが、テーブル上に載置された場合に、その自動制御部が仮固定機構を制御し、太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部のみをテーブルに押し付けるよう仮固定し、これら横対峙枠離脱機構および縦対峙枠離脱機構を制御し、各横枠解体アームおよび各縦枠解体アームの各下向き鈎爪をフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下した上、各下向き鈎爪を外がわに後退させると共に、当該太陽電池モジュールからフレーム枠の1対の横対峙枠および1対の縦対峙枠に各横枠解体アームの下向き鈎爪および各縦枠解体アームの下向き鈎爪を係合し、各横枠解体アームおよび各縦枠解体アームをさらに外がわに後退させ、太陽電池モジュールから、1対の横対峙枠および1対の縦対峙枠を強制的に分離させた後、各横枠解体アームおよび各縦枠解体アームを上昇させ、仮固定機構による太陽電池パネル本体の仮固定を解除するよう制御されるものとしてなることを特徴とする太陽電池モジュール解体装置。
【請求項3】
太陽電池パネル本体の外周囲に互いに対峙する一対の横対峙枠、および、互いに対峙する一対の縦対峙枠の4辺からなる矩形状のフレーム枠を有した処理対象の太陽電池モジュールを平置きするテーブルを有し、該太陽電池モジュールの全面積の1/2ないし1/4の平面相似形に設定された下向きの加圧面壁を有し、これら4辺のフレーム枠を含む外周囲範囲を除く太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け固定する押圧板、および、該押圧板とテーブルとの間に太陽電池モジュールを挟み込むよう、同押圧板を鉛直に降下して下向きに加圧し、この太陽電池モジュールを仮固定し、当該押圧板を退避位置まで鉛直上昇させる昇降動作部が設けられた仮固定機構を有し、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の横対峙枠の夫々の外がわに、該一対の横対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす横枠解体アームを有し、各横枠解体アームを、パネル中央面部に向けて水平方向に進退駆動する各水平進退動作部、および、各水平進退動作部を鉛直方向に駆動する昇降動作部を有する横対峙枠離脱機構が設けられ、当該テーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の縦対峙枠の夫々の外がわに、当該一対の縦対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす縦枠解体アームを有し、各縦枠解体アームを、パネル中央面部に向けて進退駆動する各水平進退動作部、および、各水平進退動作部の中途部を支点とし、各水平進退動作部の外端を鉛直方向に駆動し、各縦枠解体アームを昇降する昇降動作部を有する縦対峙枠離脱機構が設けられ、これら仮固定機構の昇降動作部、横対峙枠離脱機構の各水平進退動作部および各昇降動作部、および、縦対峙枠離脱機構の各水平進退動作部および各昇降動作部を統合制御する自動制御部が設けられてなるものとしたことを特徴とする太陽電池モジュール解体装置。
【請求項4】
太陽電池パネル本体の外周囲に互いに対峙する一対の横対峙枠としての一対の対峙短枠、および、互いに対峙する一対の縦対峙枠としての一対の対峙長枠の4辺からなる矩形状のフレーム枠を有した処理対象の太陽電池モジュールを平置きするテーブルを有し、該テーブルは、同テーブル上に配された太陽電池モジュールの一対の対峙短枠の外がわとなる方向に、該太陽電池モジュールの送入がわおよび送出がわが設定され、この太陽電池モジュールの全面積の1/2ないし1/4の平面相似形に設定された下向きの加圧面壁を有し、これら4辺のフレーム枠を含む外周囲範囲を除く太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて当該テーブルに押し付け固定する押圧板、および、該押圧板とテーブルとの間に太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を挟み込むよう、当該押圧板を鉛直に降下し下向きに加圧し、この太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を仮固定し、押圧板を退避位置まで鉛直上昇させる昇降動作部が設けられた仮固定機構を有し、当該テーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の対峙短枠の夫々の外がわに、当該一対の対峙短枠の夫々の長さの1/2となる位置の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙する一対の横枠解体アームを有し、各横枠解体アームを、該パネル中央面部に向けて対峙短枠に直交する水平方向に進退駆動する各水平進退動作部、および、各水平進退動作部を鉛直方向に駆動する昇降動作部を有する横対峙枠離脱機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の対峙長枠の夫々の外がわに、当該一対の対峙長枠の夫々の長さの1/2となる位置から、対峙長枠の両端がわに互いに等しい距離を隔てた、該対峙長枠の範囲内の2箇所であって合計4箇所の夫々に配され、これら一対の対峙長枠の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙する二対の縦枠解体アームを有し、各縦枠解体アームを、パネル中央面部に向けて対峙長枠に直交する方向に進退駆動する各水平進退動作部、および、各水平進退動作部の中途部を夫々支点とし、各水平進退動作部の外端を鉛直方向に駆動し、各縦枠解体アームを昇降する各昇降動作部を有する各縦対峙枠離脱機構が設けられ、これら仮固定機構の昇降動作部、横対峙枠離脱機構の各水平進退動作部および各昇降動作部、および、縦対峙枠離脱機構の各水平進退動作部および各昇降動作部を統合制御する自動制御部が設けられてなるものとしたことを特徴とする太陽電池モジュール解体装置。
【請求項5】
横対峙枠離脱機構の各昇降動作部が、テーブルの四角から上方に支柱が延伸され、各支柱間に昇降機構を介して昇降自在に懸架された昇降骨格枠からなり、該昇降骨格枠の1対の横対峙枠の夫々の長さの1/2となる位置に対応する位置には、夫々水平進退動作部が設けられてなるものとした、請求項1ないし請求項4何れか一記載の太陽電池モジュール解体装置。
【請求項6】
縦対峙枠離脱機構の各昇降動作部が、テーブルの、該テーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの一対の縦対峙枠の夫々の長さの1/2となる位置から、これら一対の縦対峙枠の端部がわに互いに等しい距離を隔てた、該一対の縦対峙枠の範囲内の合計4箇所の夫々に配され、当該テーブルの側壁に一体化されたサイドテーブルの天壁に一体化された合計4コの支点部に対し、各水平進退動作部の中途部が揺動自在に支持され、各水平進退動作部の外端に、各サイドテーブルの側壁に設けられた各昇降機構の昇降端が連結されてなるものとした、請求項1ないし請求項5何れか一記載の太陽電池モジュール解体装置。
【請求項7】
処理対象の太陽電池モジュールがテーブル上に平置された後、仮固定機構が、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けてテーブルに押し付け仮固定した後、横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームを延伸し、各横枠解体アームの下向き鈎爪を当該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下すると共に、縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームを延伸し、各縦枠解体アームの下向き鈎爪をこの太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下した上、当該横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームの下向き鈎爪を、これら太陽電池モジュールの一対の横対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退すると共に、当該縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を、これら太陽電池モジュールの一対の縦対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退し、太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体から一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠を同一の工程中に分離した後、横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させると共に、縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させ、その後、仮固定機構が、太陽電池パネル本体のパネル中央面部の仮固定を解除するよう制御させてなるものとしたことを特徴とする、請求項1ないし請求項6何れか一記載の太陽電池モジュール解体装置の制御方法。
【請求項8】
処理対象の太陽電池モジュールがテーブル上に平置された後、仮固定機構の昇降動作部が、押圧板を降下し、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けてテーブルに押し付け仮固定した後、横対峙枠離脱機構の昇降動作部が各横枠解体アームを延伸し、各横枠解体アームの下向き鈎爪を当該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間に接地するまで降下すると共に、縦対峙枠離脱機構の昇降動作部が各縦枠解体アームを延伸し、各縦枠解体アームの下向き鈎爪をこの太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間に接地するまで降下した上、当該横対峙枠離脱機構の各水平進退動作部が各横枠解体アームの下向き鈎爪を、太陽電池モジュールの一対の横対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退すると共に、当該縦対峙枠離脱機構の各水平進退動作部が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を、太陽電池モジュールの一対の縦対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退し、太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体から一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠を同一工程中に分離した後、当該横対峙枠離脱機構の昇降動作部が各横枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させると共に、当該縦対峙枠離脱機構の昇降動作部が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させ、その後、仮固定機構の昇降動作部が押圧板を上昇し、太陽電池パネル本体のパネル中央面部の仮固定を解除するよう制御させてなるものとしたことを特徴とする、請求項1ないし請求項6何れか一記載の太陽電池モジュール解体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池モジュールのリサイクル処理技術に関連するものであって、特に、太陽電池モジュールから、その太陽電池パネル本体の外がわに一体化されたフレーム枠を分離する装置を製造、提供する分野を初め、その分野には属していないが、そこでの技術的思想の創作内容を取り入れたと同定されるような類いのものを製造、提供する分野についてまでをも含むのは勿論のこと、それらの分野に係って行う輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
太陽光発電は、発電に際し、一切の排出物を発生しないクリーンな発電方式として広く普及しているが、その耐用年数は20年ないし40年とも言われており、今後、破損や老朽化によって使用を終えた太陽電池モジュールが、大量に廃棄処理されるようになるものと予想されていて、この太陽電池モジュールは、太陽電池セル、インターコネクタ、裏面保護フィルム、封止剤および強化ガラス板などからなる太陽電池パネル本体、および、該太陽電池パネル本体の外縁に強固に装着されたフレーム枠からなっており、該太陽電池パネル本体からは、ガラスの外、Cu、In、Ga等の各種レアメタルを回収することができ、また、当該フレーム枠は、アルミニウムやその他の金属材料としてリサイクル利用することができるから、太陽電池モジュールを解体処理するには、先ず、この太陽電池モジュールから当該フレーム枠を効率的に分離する必要がある。
【0003】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、太陽電池モジュールからフレーム枠を分離する技術に関連する提案も、これまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、太陽電池モジュールからフレーム枠を分離するための枠分離装置であって、前記太陽電池モジュールからフレーム枠を分離して除去する分離除去部を備え、前記分離除去部は、前記太陽電池モジュールを対向するように把持し、引っ対張り力を加えて前記フレーム枠を引き剥がすため、対向配置され除去しようとする前記フレーム枠に平行な方向に移動可能または固定された一対の把持具を有し、前記把持具は、夫々対向配置された第1の把持金具および第2の把持金具と、前記第1の把持金具と前記第2の把持金具とが対向する空間部の大きさを変化させる把持金具移動機構とを含み、前記把持金具移動機構により、前記フレーム枠が、前記第1の把持金具と前記第2の把持金具とが対向する前記空間部に入るよう、前記第1の把持金具と前記第2の把持金具との位置を設定し、前記第1の把持金具が移動して前記第1の把持金具に前記フレーム枠が当接した後、前記第2の把持金具が移動して前記第2の把持金具に前記フレーム枠が当接することで挟持し、あるいは、前記第1の把持金具と前記第2の把持金具が同時に移動して、前記第1の把持金具と前記第2の把持金具とに前記フレーム枠が当接して挟持することで、形状および寸法、あるいは形状または寸法が異なる前記フレーム枠を挟持することが可能とされ、多様なフレーム枠の形状や寸法に対応して確実に把持することが可能であると共に、自動化が可能であり、コスト低減を実現することができる太陽電池パネルの枠分離装置が知られている。
【0004】
また、下記特許文献1(2)に見られるような、太陽電池モジュールを構成する太陽電池パネルとその外周部に設けられたフレーム枠とを分離するために用いられる太陽電池モジュールの解体装置であって、前記太陽電池モジュールを載置するステージと、太陽電池モジュールをテーブルの所定位置に搬送する太陽電池モジュール搬送手段と、テーブル上に載置された太陽電池モジュールの太陽電池パネルを押圧し、テーブルとの間で固定する太陽電池パネル押圧手段と、太陽電池パネルが固定された太陽電池モジュールからフレーム枠を分離するために用いられる、四方のフレーム枠の内面にそれぞれ当接する爪部材および各爪部材をフレーム枠の直交方向外側に向けて移動させる爪部材移動機構を備えたフレーム分離手段と含み、太陽電池モジュール搬送手段によって、太陽電池モジュールをテーブル上の所定位置に搬送、載置した状態で、太陽電池パネル押圧手段によって、太陽電池モジュールの太陽電池パネルを押圧し、テーブルとの間で固定し、フレーム分離手段によって、四方のフレーム枠の内面にそれぞれ当接する爪部材を爪部材移動機構によりフレーム枠の直交方向外側に向けて移動させることで、太陽電池パネルが固定された太陽電池モジュールからフレーム枠を分離することができるものとされた太陽電池モジュールの解体装置なども見受けられる。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)に示されている太陽電池パネルの枠分離装置は、その第1の把持金具および前記第2の把持金具の夫々にフレーム枠を挟持するよう動作する必要があり、構造が複雑化し、フレーム枠を強固に挟持するとフレーム枠が太陽電池パネルを挟み込み、外し難くなってしまい、さらに強い力で挟持すると太陽電池パネルの縁部が損傷してしまう虞があるという欠点を残すものであり、特許文献1(2)の太陽電池モジュールの解体装置などは、その太陽電池パネル押圧手段が、テーブル昇降機構によってテーブルを上昇させることで、太陽電池モジュールの太陽電池パネルを押圧し、テーブルとの間で固定するものとされており、テーブルの重量が増すと該テーブル昇降機構が大型化してしまうという欠点を残すものであり、また、4個の太陽電池パネル押圧手段で太陽電池モジュールの太陽電池パネルの四隅の内側、4箇所を均一に押圧し、テーブルとの間で固定するものとされているが、4箇所で固定された太陽電池パネルは、フレーム枠を離脱する際の引張応力を受けると、4つの固定箇所の間にひずみが発生し易く、該太陽電池パネルに過大な応力を生じ、破損し易いという欠点を残すものであった。
【特許文献1】(1)特許第6133475号公報 (2)特許第6647519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種太陽電池モジュール解体装置などは、何れも太陽電池パネルからフレーム枠を分離する際に、該太陽電池パネルの何れかの部分に応力が集中してしまい、フレーム枠を把持金具によって強固に挟持するものでは、太陽電池パネルの外周縁に過大な圧力が加わる虞があり、また、太陽電池パネルの四隅の内側、4箇所を均一に押圧して仮固定した上、フレーム枠を離脱するものは、太陽電池パネルの押圧された4箇所の間、および、これら4箇所と、当該太陽電池パネルから離脱されるフレーム枠との間に過大な引張力や圧縮力などが加わる虞があるなど、フレーム枠を分離する工程中に、太陽電池パネルに過大な応力が加わって破損してしまう虞があり、その後の太陽電池パネルのリサイクル処理作業の効率を大幅に悪化させてしまうことが懸念されるものであることから、本願発明者は、太陽電池モジュールからフレーム枠を分離する工程中に、太陽電池パネルに過大な応力を加えることなくフレーム枠を分離し、その後の太陽電池パネルのリサイクル処理の効率を格段に高めることができる新たな太陽電池モジュール解体装置の開発の必要性を痛感するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、太陽電池パネルに過大な応力を加えず、該太陽電池パネルを破損することなくフレーム枠を分離し、その後のリサイクル処理の効率を格段に高めることができる新たな太陽電池モジュールの解体技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘って試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の太陽電池モジュール解体装置、および新規な太陽電池モジュール解体装置の制御方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の太陽電池モジュール解体装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、太陽電池パネル本体の外周囲に互いに対峙する一対の横対峙枠、および、互いに対峙する一対の縦対峙枠の4辺からなる矩形状のフレーム枠を有した処理対象の太陽電池モジュールを平置きするテーブルを有し、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け固定する仮固定機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中の、これら一対の横対峙枠の夫々に対応する如く配され、当該一対の横対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす横枠解体アームを有し、各横枠解体アームをパネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動する横対峙枠離脱機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、当該一対の縦対峙枠の夫々に対応する如く配され、これら一対の縦対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす縦枠解体アームを有し、各縦枠解体アームを、当該パネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動する縦対峙枠離脱機構が設けられ、これら仮固定機構、横対峙枠離脱機構および縦対峙枠離脱機構を統合制御する自動制御部が設けられた構成を要旨とする太陽電池モジュール解体装置である。
【0009】
この基本的な構成からなる太陽電池モジュール解体装置は、その表現を変えて示すならば、太陽電池パネル本体の外周囲に互いに対峙する一対の横対峙枠、および、互いに対峙する一対の縦対峙枠の4辺からなる矩形状のフレーム枠を有した処理対象の太陽電池モジュールを平置きするテーブルを有し、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け固定する仮固定機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の横対峙枠の夫々に対応する如く配され、当該一対の横対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす横枠解体アームを有し、各横枠解体アームをパネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動する横対峙枠離脱機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、当該一対の縦対峙枠の夫々に対応する如く配され、これら一対の縦対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす縦枠解体アームを有し、各縦枠解体アームをパネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動する縦対峙枠離脱機構が設けられ、これら仮固定機構、横対峙枠離脱機構および縦対峙枠離脱機構を統合制御する自動制御部が設けられ、処理対象の太陽電池モジュールが、テーブル上に載置された場合に、その自動制御部が仮固定機構を制御し、太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部のみをテーブルに押し付けるよう仮固定し、これら横対峙枠離脱機構および縦対峙枠離脱機構を制御し、各横枠解体アームおよび各縦枠解体アームの各下向き鈎爪をフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下した上、各下向き鈎爪を外がわに後退させると共に、当該太陽電池モジュールからフレーム枠の1対の横対峙枠および1対の縦対峙枠に各横枠解体アームの下向き鈎爪および各縦枠解体アームの下向き鈎爪を係合し、各横枠解体アームおよび各縦枠解体アームをさらに外がわに後退させ、太陽電池モジュールから、1対の横対峙枠および1対の縦対峙枠を強制的に分離させた後、各横枠解体アームおよび各縦枠解体アームを上昇させ、仮固定機構による太陽電池パネル本体の仮固定を解除するよう制御するものとされた構成からなる太陽電池モジュール解体装置となる。
【0010】
より具体的には、太陽電池パネル本体の外周囲に互いに対峙する一対の横対峙枠、および、互いに対峙する一対の縦対峙枠の4辺からなる矩形状のフレーム枠を有した処理対象の太陽電池モジュールを平置きするテーブルを有し、該太陽電池モジュールの全面積の1/2ないし1/4の平面相似形に設定された下向きの加圧面壁を有し、これら4辺のフレーム枠を含む外周囲範囲を除く太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け固定する押圧板、および、該押圧板とテーブルとの間に太陽電池モジュールを挟み込むよう、同押圧板を鉛直に降下して下向きに加圧し、この太陽電池モジュールを仮固定し、当該押圧板を退避位置まで鉛直上昇させる昇降動作部が設けられた仮固定機構を有し、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の横対峙枠の夫々の外がわに、該一対の横対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす横枠解体アームを有し、各横枠解体アームを、パネル中央面部に向けて水平方向に進退駆動する各水平進退動作部、および、各水平進退動作部を鉛直方向に駆動する昇降動作部を有する横対峙枠離脱機構が設けられ、当該テーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の縦対峙枠の夫々の外がわに、当該一対の縦対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙して対をなす縦枠解体アームを有し、各縦枠解体アームを、パネル中央面部に向けて進退駆動する各水平進退動作部、および、各水平進退動作部の中途部を支点とし、各水平進退動作部の外端を鉛直方向に駆動し、各縦枠解体アームを昇降する昇降動作部を有する縦対峙枠離脱機構が設けられ、これら仮固定機構の昇降動作部、横対峙枠離脱機構の各水平進退動作部および各昇降動作部、および、縦対峙枠離脱機構の各水平進退動作部および各昇降動作部を統合制御する自動制御部が設けられてなるものとした構成からなる太陽電池モジュール解体装置となる。
【0011】
さらに具体的なものとして示すと、太陽電池パネル本体の外周囲に互いに対峙する一対の横対峙枠としての一対の対峙短枠、および、互いに対峙する一対の縦対峙枠としての一対の対峙長枠の4辺からなる矩形状のフレーム枠を有した処理対象の太陽電池モジュールを平置きするテーブルを有し、該テーブルは、同テーブル上に配された太陽電池モジュールの一対の対峙短枠の外がわとなる方向に、該太陽電池モジュールの送入がわおよび送出がわが設定され、この太陽電池モジュールの全面積の1/2ないし1/4の平面相似形に設定された下向きの加圧面壁を有し、これら4辺のフレーム枠を含む外周囲範囲を除く太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて当該テーブルに押し付け固定する押圧板、および、該押圧板とテーブルとの間に太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を挟み込むよう、当該押圧板を鉛直に降下し下向きに加圧し、この太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を仮固定し、押圧板を退避位置まで鉛直上昇させる昇降動作部が設けられた仮固定機構を有し、当該テーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の対峙短枠の夫々の外がわに、当該一対の対峙短枠の夫々の長さの1/2となる位置の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙する一対の横枠解体アームを有し、各横枠解体アームを、該パネル中央面部に向けて対峙短枠に直交する水平方向に進退駆動する各水平進退動作部、および、各水平進退動作部を鉛直方向に駆動する昇降動作部を有する横対峙枠離脱機構が設けられ、このテーブル上に載置された場合の太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、これら一対の対峙長枠の夫々の外がわに、当該一対の対峙長枠の夫々の長さの1/2となる位置から、対峙長枠の両端がわに互いに等しい距離を隔てた、該対峙長枠の範囲内の2箇所であって合計4箇所の夫々に配され、これら一対の対峙長枠の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙する二対の縦枠解体アームを有し、各縦枠解体アームを、パネル中央面部に向けて対峙長枠に直交する方向に進退駆動する各水平進退動作部、および、各水平進退動作部の中途部を夫々支点とし、各水平進退動作部の外端を鉛直方向に駆動し、各縦枠解体アームを昇降する各昇降動作部を有する各縦対峙枠離脱機構が設けられ、これら仮固定機構の昇降動作部、横対峙枠離脱機構の各水平進退動作部および各昇降動作部、および、縦対峙枠離脱機構の各水平進退動作部および各昇降動作部を統合制御する自動制御部が設けられてなるものとした構成からなる太陽電池モジュール解体装置となる。
【0012】
(関連する発明1)
上記した太陽電池モジュール解体装置に関連し、この発明には、その制御方法も包含している。
即ち、処理対象の太陽電池モジュールがテーブル上に平置された後、仮固定機構が、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けてテーブルに押し付け仮固定した後、横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームを延伸し、各横枠解体アームの下向き鈎爪を当該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下すると共に、縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームを延伸し、各縦枠解体アームの下向き鈎爪をこの太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下した上、当該横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームの下向き鈎爪を、これら太陽電池モジュールの一対の横対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退すると共に、当該縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を、これら太陽電池モジュールの一対の縦対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退し、太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体から一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠を同一の工程中に分離した後、横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させると共に、縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させ、その後、仮固定機構が、太陽電池パネル本体のパネル中央面部の仮固定を解除するよう制御するようにした、この発明の基本をなす前記太陽電池モジュール解体装置の制御方法である。
【0013】
この太陽電池モジュール解体装置の制御方法を、表現を変えて示すと、処理対象の太陽電池モジュールがテーブル上に平置された後、仮固定機構の昇降動作部が、押圧板を降下し、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けてテーブルに押し付け仮固定した後、横対峙枠離脱機構の昇降動作部が各横枠解体アームを延伸し、各横枠解体アームの下向き鈎爪を当該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間に接地するまで降下すると共に、縦対峙枠離脱機構の昇降動作部が各縦枠解体アームを延伸し、各縦枠解体アームの下向き鈎爪をこの太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間に接地するまで降下した上、当該横対峙枠離脱機構の各水平進退動作部が各横枠解体アームの下向き鈎爪を、太陽電池モジュールの一対の横対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退すると共に、当該縦対峙枠離脱機構の各水平進退動作部が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を、太陽電池モジュールの一対の縦対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退し、太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体から一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠を同一工程中に分離した後、当該横対峙枠離脱機構の昇降動作部が各横枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させると共に、当該縦対峙枠離脱機構の昇降動作部が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させ、その後、仮固定機構の昇降動作部が押圧板を上昇し、太陽電池パネル本体のパネル中央面部の仮固定を解除するよう制御するようにした太陽電池モジュール解体装置の制御方法ということができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明の太陽電池モジュール解体装置、およびその制御方法によれば、従前までのものとは違い、上記したとおり処理対象の太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け固定する仮固定機構が設けられた固有の特徴ある構成から、従前までであれば、太陽電池パネルからフレーム枠を分離する工程中に、太陽電池パネルに過大な応力が加わり、強化ガラスや太陽電池セルなどが破損してしまう虞があり、その後の太陽電池パネルのリサイクル処理作業の効率を大幅に悪化させてしまうことが懸念されるものであったが、該仮固定機構が、太陽電池パネルに過大な応力を加えず、該太陽電池パネルを破損することなくフレーム枠を分離し、その後のリサイクル処理の効率を格段に高めることができる新たな太陽電池モジュールの解体技術を提供することができるという秀でた特徴が得られるものである。
【0015】
特に、押圧板が、処理対象の太陽電池モジュールの全面積の1/2ないし1/4の平面相似形に設定された下向きの加圧面壁を有するものは、該太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠を含む外周囲範囲を除く太陽電池パネル本体の、同太陽電池モジュールの全面積の1/2ないし1/4の平面相似形に相当するパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け固定するものとなるから、該パネル中央面部を平面視で挟むよう対をなして対峙し、一対の横対峙枠に係合した横対峙枠離脱機構が互いに反対方向に牽引すると共に、同パネル中央面部を各横対峙枠離脱機構とは平面視で90°異なる方向に挟むよう対峙し、一対の縦対峙枠に係合した縦対峙枠離脱機構が互いに反対方向に牽引する際に、該太陽電池パネル本体のパネル中央面部から、同太陽電池パネル本体のフレーム枠(一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠)が結合されている外周縁との間に加わる応力が、全体に渡ってより均質に分散されることとなり、過大な応力の集中を防止し、解体に伴う破損から太陽電池パネル本体をより確実に保護できるものとなる。
【0016】
加えて、処理対象の太陽電池モジュールが、平面長方形状のものであって一対の横対峙枠が一対の対峙短枠であり、一対の縦対峙枠が一対の対峙長枠である場合に、横対峙枠離脱機構が、該一対の対峙短枠の夫々の長さの1/2となる位置の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙する一対の横枠解体アームを有し、縦対峙枠離脱機構が、該一対の対峙長枠の夫々の長さの1/2となる位置から、該対峙長枠の両端がわに互いに等しい距離を隔てた、該対峙長枠の範囲内の2箇所であって合計4箇所の夫々に配され、該一対の対峙長枠の上向きとなる突条縁に対し、中央がわから外向きに係合する下向き鈎爪が先端に設けられ、互いに対峙する二対の縦枠解体アームを有するものとされたものは、各対峙長枠を、互いに間隔を隔てた2個の下向き鈎爪で牽引するから、引き剥がしに要する進退ストロークを短く設定することができ、当該太陽電池モジュール解体装置を小型化できる上、太陽電池パネル本体のパネル中央面部から対峙する長辺までの間に過大な応力が集中するのを阻止するよう分散し、より確実に太陽電池パネル本体を保護することができる。
【0017】
また、横対峙枠離脱機構の各昇降動作部が、テーブルの四角から上方に支柱が延伸され、各支柱間に昇降機構を介して昇降自在に懸架された昇降骨格枠からなり、該昇降骨格枠の1対の横対峙枠の夫々の長さの1/2となる位置に対応する位置には、夫々水平進退動作部が設けられた、この発明の太陽電池モジュール解体装置によれば、昇降動作部と水平進退動作部とが分離され、各支柱に加わる高所荷重を均等化し、より安定した設置が可能なものとなる。
【0018】
さらにまた、縦対峙枠離脱機構の各昇降動作部が、テーブルの、同テーブル上に載置された場合の該太陽電池モジュールの一対の縦対峙枠の夫々の長さの1/2となる位置から、該一対の縦対峙枠の端部がわに互いに等しい距離を隔てた、該一対の縦対峙枠の範囲内の合計4箇所の夫々に配され、同テーブルの側壁に一体化されたサイドテーブルの天壁に一体化された合計4コの支点部に対し、各水平進退動作部の中途部が揺動自在に支持され、各水平進退動作部の外端に、各サイドテーブルの側壁に設けられた各昇降機構の昇降端が連結された、この発明の太陽電池モジュール解体装置によれば、各縦対峙枠離脱機構がテーブルに近い高さ位置に配されたものとなり、該テーブルよりも高い高所に設けられる構造物を削減して小型化し、さらに、装置全体を低重心化し、より安定して設置できるものとすることができる。
【0019】
そして、この発明の太陽電池モジュール解体装置の制御方法によれば、先に、仮固定機構が、処理対象の太陽電池モジュールのパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け仮固定した後、横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームの各下向き鈎爪を、該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下すると共に、縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームの各下向き鈎爪を、該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下した上、各下向き鈎爪をフレーム枠に係合し、水平方向の外がわに向けて後退し、太陽電池パネル本体から一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠を同一の工程中に分離するようにしたから、該太陽電池モジュールのパネル中央面部とフレーム枠との間の部分に過剰な応力が集中してしまうのをより確実に防止し、一連の工程を円滑かつ速やかに行い、該太陽電池モジュールをより効率的に解体することができるものとなり、例えば、各下向き鈎爪を、該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下する際に、各下向き鈎爪が、該太陽電池パネル本体上に僅かに浮上した非接触の状態に配されるものとされたものの場合には、該太陽電池パネル本体に僅かな衝撃をも不用意に与えることがなく、より効果的に該太陽電池パネル本体を保護することができるものとなる。
【0020】
また、仮固定機構が、処理対象の太陽電池モジュールのパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け仮固定した後、横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームの下向き鈎爪を、該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間に接地するまで降下すると共に、縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を、該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間に接地するまで降下した上、各下向き鈎爪をフレーム枠に係合し、水平方向の外がわに向けて後退し、太陽電池パネル本体から一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠を同一の工程中に分離するようにしたから、フレーム枠の突条縁の該太陽電池パネル本体により近い低い位置に各下向き鈎爪が係合するものとなり、一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠を牽引する力の略全てが、該太陽電池パネル本体の面に平行な水平方向に働き、一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠の夫々が、該太陽電池パネル本体の周縁を下向きに曲げる力が発生するのをより効果的に防止し、該太陽電池パネル本体をより確実に保護するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
テーブルは、処理対象の太陽電池モジュールを平置き可能とし、該太陽電池モジュールのパネル中央面部を、仮固定機構との間に挟み込み仮固定可能とすると共に、該太陽電池モジュールの外周囲のフレーム枠を一平面上に支持可能とする機能を分担し、該太陽電池モジュールのフレーム枠の外周囲と同じか、または、同フレーム枠よりも広い平坦な天面壁を有するものとしなければならず、より具体的には、例えば、該太陽電池モジュールのフレーム枠を超えた矩形状の水平な天面壁を有し、該天面壁の一辺が送入がわ端とされ、該送入がわ端に対峙する他辺が送出がわ端とされたものとすることができ、さらに具体的には、後述する実施例にも示すように、該テーブルに載置された場合の該太陽電池モジュールの、フレーム枠を含む外郭寸法および形状の1/4ないし1/2望ましくは1/3の平面積に設定されたパネル中央面部(該パネル中央面部は、その平面形の中心が、例えば平面四角状の該太陽電池モジュールの対角線の交点に、重なるよう配されると仮想された範囲である。)の直下に対応する範囲に受圧摩擦面壁が設けられたものとするのが望ましい。
【0022】
また、該テーブルの四角の夫々には、支持脚の上端か、または、支持脚を兼ねた支持骨格の支柱の上下端間の中途部かの何れか一方が結合されたものとするのが良く、さらにまた、該テーブルの送入がわ端および該送入がわ端に隣接し、互いに対峙する二辺の夫々の側壁には、夫々縦対峙枠離脱機構の昇降動作部が搭載されるサイドテーブルが設けられたものとすることができ、該テーブルの送入がわ端および該送入がわ端には、ローラーコンベヤやベルトコンベヤなどの搬送装置類が配されたものとすることができ、そして、該テーブルの送入がわ端および該送出がわ端は、厳密に設定されたものではなく、該太陽電池モジュールの送り方向を逆向きに設定することが可能である外、例えば、送込がわ端から該太陽電池モジュールを送り込み、解体後の太陽電池パネル本体を同じ送込がわ端から送出するようにすることも可能であり、また、送出がわ端から該太陽電池モジュールを送り込み、解体後の太陽電池パネル本体を同じ送出がわ端から送出するようにすることも可能である。
【0023】
受圧摩擦面壁は、テーブル上に平置き状に載置された処理対象の太陽電池モジュールのパネル中央面部を下がわから上向きに高摩擦にて接合し、仮固定機構からの下向きの押圧力に抗して支持する機能を分担し、太陽電池パネル本体の強化ガラスや電池セルなどの内部部品などに損傷を与えることなく、しかも高摩擦状態に支持するものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、テーブルの天面壁の、太陽電池モジュールが載置された場合の、パネル中央面部の直下に対応する範囲に強固に貼着された、天然ゴムまたは合成ゴムなどの弾性摩擦素材製の上面が平面状の弾性摩擦層からなるものとするのが良く、さらに、連続気泡または独立気泡の合成樹脂製スポンジや、軟質な多孔質素材製のものに置き換えられたものとすることができ、さらにまた、該受圧摩擦面壁の上面の全面に渡り、同じ高さの柱状や箱状などの複数個の突部や突条部が互いに僅かな隙間を隔てて上向きに突設されたものとすることが可能である。
【0024】
テーブル用骨格は、テーブルおよびその天面壁を、処理対象の太陽電池モジュールの解体工程に適した剛性を維持するよう水平且つ堅牢に支持可能とする機能を分担し、該テーブルの平面形状の外周囲を囲繞し、同テーブルと強固に一体化されたものとすべきであり、後述する実施例にも示しているように、該テーブルの四角に対応する該テーブル用骨格に、支持骨格の合計4本の支柱の夫々の上下端間の中途部が強固に結合されたものとすることが可能であり、該テーブル用骨格と各支柱の中途部との間に、筋交や斜材、アングル材などの補強材部等が設けられたものとすることができ、さらにまた、該テーブルの下面壁がわにも梁材が架け渡し結合されたものとすることができる。
【0025】
サイドテーブルは、テーブルの送入がわ端とそれに対峙する送出がわ端に隣合って対峙する二辺の外がわ夫々に縦対峙枠離脱機構を支持する機能を分担し、各サイドテーブルの天壁に各縦対峙枠離脱機構の水平進退動作部の中途部を揺動自在に支持する支点部が設けられ、各サイドテーブルの側壁に各縦対峙枠離脱機構の各昇降機構が設けられたものとすべきであり、テーブルに一体に設けられたものとするのが望ましく、後述する実施例にも示すように、テーブルの外周囲に設けられたテーブル用骨格に対して結合されたものとすることができる外、後述する実施例には示していないが、テーブルの隣に独立して強固に設置されたものとすることが可能である。
【0026】
仮固定機構は、テーブル上に載置された太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて押し付け、テーブルとの間に挟み込むよう仮固定する機能を分担し、手動のスイッチによって単独で動作し、テーブル上に載置された該太陽電池モジュールのパネル中央面部を仮固定および固定の解除を単独操作できるようにされたものとすることができる外、後述する実施例にも示すように、横対峙枠離脱機構および縦対峙枠離脱機構と共に自動制御部からの統合制御を受け、テーブル上に載置された該太陽電池モジュールのパネル中央面部の固定および固定の解除を行うものとすることができる。
【0027】
仮固定機構は、表現を変えて示すと、その昇降動作部が、テーブル、サイドテーブル、または、テーブルまたはサイドテーブルの少なくとも何れか一方に一体化された骨格材部などの何れかから上方に延伸された櫓構造部に吊下されたものとするのが望ましいが、テーブルやサイドテーブルなどとは別体とされ、テーブルを跨ぐよう確りと設置可能な独立した骨格枠体などに吊下されたものとすることが可能であり、より具体的なものとして示すと、後述する実施例にも示しているように、太陽電池モジュールの全面積の1/2ないし1/4の平面相似形に設定された下向きの加圧面壁を有し、該4辺のフレーム枠を含む外周囲範囲を除く太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け固定する押圧板、および、該押圧板と該テーブルとの間に該太陽電池モジュールを挟み込むよう、該押圧板を鉛直に降下し下向きに加圧し、該太陽電池モジュールを仮固定し、該押圧板を退避位置まで鉛直上昇させる昇降動作部が設けられたものとするのが良い。
【0028】
押圧板は、その下面壁が平滑面状のものとするのが望ましいが、同下面壁の全面に渡り、同じ高さの柱状や箱状などの複数の突部や突条部が互いに僅かな間隔を隔てて下向きに突設されたものとすることが可能であり、該押圧板の加圧面壁は、該押圧板の下面壁に対し強固に貼着された、天然ゴムまたは合成ゴムなどの弾性摩擦素材製の下面が平面状とされた弾性摩擦層からなるものとするのが良く、さらに、連続気泡または独立気泡の合成樹脂製スポンジや、軟質な多孔質素材製のものに置き換えられたものとすることができる。
【0029】
仮固定機構の昇降動作部は、テーブル上に載置された太陽電池モジュールのパネル中央面部に押圧板を上方から下方に向け、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体を損傷しない圧力で押圧し、テーブルの天面壁上に確実に仮固定可能とし、押圧板を上昇させ該太陽電池パネル本体の仮固定を解除可能とする機能を分担し、より具体的には、油圧シリンダー、空圧シリンダー、水圧シリンダーまたは電動シリンダーなどの何れかからなる押圧用アクチュエータとすることができ、後述する実施例にも示しているように、太陽電池パネル本体との接触の際の衝撃を軽減可能な圧縮エアや圧縮ガスなどを動力源とする気圧シリンダーからなる押圧用アクチュエータとするのが望ましい。
【0030】
横対峙枠離脱機構は、各横枠解体アームの下向き鈎爪を、テーブル上に載置された場合の該太陽電池モジュールに対し上下駆動、および、該太陽電池モジュールの中央がわから外がわへの水平方向の進退駆動を行う機能を担い、テーブル上に載置された場合の該太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、該一対の横対峙枠の夫々に対応し、該一対の横対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、横枠解体アームの下向き鈎爪を該太陽電池モジュールの中央がわから外向きに係合させ、互いに対峙して対をなす横枠解体アームを該パネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動するものとしなければならず、油圧シリンダー、空圧シリンダー、水圧シリンダーまたは電動シリンダーなどの何れかのアクチュエータからなるものとするのが望ましく、より具体的には、後述する実施例にも示しているように、各横枠解体アームの水平方向の進退駆動には、太陽電池モジュールの横対峙枠を強制的に引き剥がす力を充分に発揮する油圧シリンダーからなる水平進退動作部としての水平進退用アクチュエータが採用され、また、各横枠解体アームの上下駆動を行う昇降機構は、太陽電池パネル本体を保護可能な空圧シリンダーからなる鉛直昇降用アクチュエータが採用されたものとするのが良い。
また、横対峙枠離脱機構は、後述する実施例にも示すように、その各昇降動作部が、テーブルの四角から上方に支柱が延伸され、各支柱間に昇降機構を介して昇降自在に懸架された昇降骨格枠からなり、該昇降骨格枠の1対の横対峙枠の夫々の長さの1/2に対応する位置には、夫々水平進退動作部が設けられたものとすることが可能である。
【0031】
横枠解体アームは、下向き鈎爪を横対峙枠離脱機構の固定がわに対し、同横対峙枠離脱機構からの駆動力を受けて進退駆動する機能を分担し、特に、太陽電池パネル本体から横対峙枠を引き剥がす際には、充分な牽引力を発揮するものとされなければならず、引張強度に優れた棒状素材製のものとするのが良い。
そして、この横枠解体アームの下向き鈎爪は、テーブル上に載置された場合の該太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、該一対の横対峙枠の夫々に対応し、該一対の横対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、同太陽電池モジュールの中央がわから外向きに係合し、横枠解体アームからの牽引力を受けて該横対峙枠を強制的に引き剥がす機能を分担し、該横対峙枠に対し充分に係合する形状とされ、該横対峙枠を強制的に引き剥がすのに充分な強度を有するものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、その爪先端部が、結合部を介して交換自在に結合され、該下向き鈎爪の基端は、縦枠解体アームの先端に対し上下に揺動自在となるよう軸着され、該下向き鈎爪の基端の上部からは、該横枠解体アームの先端上部まで上支持舌片が延伸され、該上支持舌片の上方から下方に向けて貫通された状態に上傾規制ボルトが螺着され、該下向き鈎爪の基端の下部からは、該横枠解体アームの先端下部まで下支持舌片が延伸され、該上傾規制ボルトの螺着深さを変えると、該下向き鈎爪の水平軸を中心とする爪先端部の上方への揺動角度範囲の調節が可能となり、下支持舌片が、下向き鈎爪の水平軸を中心とする爪先端部の下方への不要な垂れ下がりを規制するものとされた、上下揺動範囲調節機構が設けられたものとすることができる。
また、各下向き鈎爪は、太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体に接地、または、該太陽電池モジュールのフレーム枠の突条縁の高さよりも下がわに接近した場合に、それを検知する接地センサー、または、非接触で近接状態を検知する接近センサーなどが設けられ、それらの検知情報を受信した自動制御部が、それらの検知情報に基づき各部を統合制御するようにされたものとすることができる。
【0032】
後述する実施例にも示すもののように、横対峙枠離脱機構の昇降動作部の昇降骨格枠は、対峙する一対の横枠解体アームをテーブル上に配された一個からなるものとされているが、一対の横枠解体アームを、夫々が独立して設けられた一対の昇降動作部の各昇降骨格枠に対して設けられた、後述する実施例には示していない構造のものとすることが可能である。
この縦対峙枠離脱機構は、各縦枠解体アームの下向き鈎爪を、テーブル上に載置された場合の該太陽電池モジュールに対し上下駆動、および、該太陽電池モジュールの中央がわから外がわへの水平方向の進退駆動を行う機能を担い、テーブル上に載置された場合の該太陽電池モジュールの4辺のフレーム枠の中、該一対の縦対峙枠の夫々に対応し、該一対の縦対峙枠の夫々の上向きとなる突条縁に対し、縦枠解体アームの下向き鈎爪を該太陽電池モジュールの中央がわから外向きに係合させ、互いに対峙して対をなす縦枠解体アームを該パネル中央面部に向けて進退駆動および上下駆動するものとしなければならず、油圧シリンダー、空圧シリンダー、水圧シリンダーまたは電動シリンダーなどの何れかのアクチュエータからなるものとするのが望ましく、より具体的には、後述する実施例にも示しているように、各縦枠解体アームの水平方向の進退駆動には、太陽電池モジュールの横対峙枠を強制的に引き剥がす力を充分に発揮する油圧シリンダーからなる水平進退動作部としての水平進退用アクチュエータが採用され、また、各縦枠解体アームの上下駆動を行う昇降動作部の昇降機構には、太陽電池パネル本体を保護可能な空圧シリンダーからなる垂直進退用アクチュエータが採用されたものとするのが良い。
【0033】
縦枠解体アームは、その下向き鈎爪を縦対峙枠離脱機構に対し、同縦対峙枠離脱機構からの駆動力を受けて昇降駆動および進退駆動する機能を分担し、特に、太陽電池パネル本体から縦対峙枠を引き剥がす際には、充分な牽引力を発揮するものとされなければならず、引張強度に優れた棒状素材製のものとするのが良く、縦枠解体アームの下向き鈎爪は、当該横枠解体アームの下向き鈎爪と同一の構造のものとすることができ、後述する実施例にも示しているように、下向き鈎爪の昇降に、支点部を中心とした上下揺動する構造の場合には、特に、縦枠解体アームの角度姿勢の変化に下向き鈎爪の姿勢が柔軟に対応するよう当該上下揺動範囲調節機構が設けられたものとするのが望ましい。
また、縦対峙枠離脱機構の各昇降動作部は、後述する実施例にも示すように、テーブルの、同テーブル上に載置された場合の該太陽電池モジュールの一対の縦対峙枠の夫々の長さの1/2となる位置から、該一対の縦対峙枠の端部がわに互いに等しい距離を隔てた、該一対の縦対峙枠の範囲内の合計4箇所の夫々に配され、同テーブルの側壁に一体化されたサイドテーブルの天壁に一体化された合計4コの支点部に対し、各水平進退動作部の中途部が揺動自在に支持され、各水平進退動作部の外端に、各サイドテーブルの側壁に設けられた各昇降機構の昇降端が連結されたものとすることができる。
【0034】
自動制御部は、この発明の太陽電池モジュール解体装置の各部を統合的に制御する機能を分担し、操作パネルが設けられ、使用者が、スイッチ操作すると処理対象の太陽電池モジュールを解体する一連の工程を全自動で制御するものとすることができる外、使用者が、スイッチ操作する毎に、処理対象の太陽電池モジュールを解体する一連の工程をワンステップずつ、細切れ状に起動しては停止するよう制御するものや、各工程毎に独立されたスイッチが設けられ、使用者は、目的の工程の専用の操作スイッチを選択して単独のステップとして動作できるようにされたもの、または、それらの各種の動作を選択して起動することができるものなどとすることができ、より具体的には、集積回路やリレー回路などを有し、タイマー、センサー、スイッチング素子、増幅器、電磁弁などに接続されたものとすることができる。
【0035】
この発明の太陽電池モジュール解体装置の制御方法は、処理対象の太陽電池モジュールがテーブル上に平置された後、仮固定機構が、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け仮固定した後、横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームを延伸し、各横枠解体アームの下向き鈎爪を該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下すると共に、縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームを延伸し、各縦枠解体アームの下向き鈎爪を該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間まで降下した上、該横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームの下向き鈎爪を、該太陽電池モジュールの一対の横対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退すると共に、該縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を、該太陽電池モジュールの一対の縦対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退し、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体から一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠を同一の工程中に分離した後、該横対峙枠離脱機構が各横枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させると共に、該縦対峙枠離脱機構が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させ、その後、仮固定機構が、該太陽電池パネル本体のパネル中央面部の仮固定を解除するよう制御することにある。
【0036】
この発明の太陽電池モジュール解体装置の制御方法を、より具体的に示すと、後述する実施例にも示すように、処理対象の太陽電池モジュールがテーブル上に平置された後、仮固定機構の昇降動作部が、押圧板を降下し、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体のパネル中央面部を上方から下方に向けて該テーブルに押し付け仮固定した後、横対峙枠離脱機構の昇降動作部が各横枠解体アームを延伸し、各横枠解体アームの下向き鈎爪を該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間に接地するまで降下すると共に、縦対峙枠離脱機構の昇降動作部が各縦枠解体アームを延伸し、各縦枠解体アームの下向き鈎爪を該太陽電池パネル本体のフレーム枠とパネル中央面部との間に接地するまで降下した上、該横対峙枠離脱機構の各水平進退動作部が各横枠解体アームの下向き鈎爪を、該太陽電池モジュールの一対の横対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退すると共に、該縦対峙枠離脱機構の各水平進退動作部が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を、該太陽電池モジュールの一対の縦対峙枠に係合し、強制的に外がわに後退し、該太陽電池モジュールの太陽電池パネル本体から一対の横対峙枠および一対の縦対峙枠を同一工程中に分離した後、該横対峙枠離脱機構の昇降動作部が各横枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させると共に、該縦対峙枠離脱機構の昇降動作部が各縦枠解体アームの下向き鈎爪を上昇させ、その後、仮固定機構の昇降動作部が押圧板を上昇し、該太陽電池パネル本体のパネル中央面部の仮固定を解除するよう制御することにあるということができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図面は、この発明の太陽電池モジュール解体装置、および、その制御方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【
図1】太陽電池モジュール解体装置を示す正面図である。
【
図2】太陽電池モジュール解体装置を示す側面図である。
【
図3】太陽電池モジュール解体装置を示す平面図である。
【
図5】支持骨格および横対峙枠離脱機構を示す正面図である。
【
図6】鉛直ガイドシリンダーおよび鉛直ガイド棒下端の昇降骨格枠を示す側面図である。
【
図7】支柱の上端間の上部短梁と昇降用ガイドレールを示す側面図である。
【
図9】鉛直昇降用アクチュエータの昇降シャフト下端と昇降骨格枠との結合部を断面化して示す正面図である。
【
図10】横対峙枠離脱機構の昇降動作部のガイド腕と車輪を示す平面図である。
【
図11】仮固定機構および横対峙枠離脱機構の動作を示す正面図である。
【
図12】縦対峙枠離脱機構の動作を示す平面図である。
【
図13】縦枠解体アームと下向き鈎爪の連結構造を示す側面図である。
【
図14】フレーム枠に係合する下向き鈎爪を示す側面図である。
【
図15】太陽電池モジュール解体装置の制御方法のフローチャートである。
【実施例0038】
図1ないし
図14に示す事例は、処理対象の太陽電池モジュールBMを平置きするテーブル2を有し、太陽電池パネル本体BMのパネル中央面部PCを固定する仮固定機構3が設けられ、該太陽電池モジュールBMの一対の横対峙枠SF,SFに係合する下向き鈎爪41,41が設けられ、互いに対峙して対をなす横枠解体アーム40,40を有し、各横枠解体アーム40,40を進退駆動および上下駆動する横対峙枠離脱機構4,4が設けられ、該太陽電池モジュールBMの一対の縦対峙枠LF,LFに係合する下向き鈎爪71,71,……が設けられ、互いに対峙して対をなす縦枠解体アーム70,70,……を有し、各縦枠解体アーム70,70,……を進退駆動および上下駆動する縦対峙枠離脱機構7が設けられ、該仮固定機構3、該横対峙枠離脱機構4および該縦対峙枠離脱機構7を統合制御する自動制御部が設けられた、この発明の太陽電池モジュール解体装置における代表的な一実施例を示すものである。
【0039】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の太陽電池モジュール解体装置1は、太陽電池パネル本体SPの外周囲に互いに対峙する一対の横対峙枠SF,SFとしての一対の対峙短枠SF,SF、および、互いに対峙する一対の縦対峙枠LF,LFとしての一対の対峙長枠LF,LFの4辺からなる矩形状のフレーム枠Fを有した処理対象の太陽電池モジュールBMを平置きするテーブル2を有し、該テーブル2は、その天面壁20の幅が該太陽電池モジュールBMの対峙短枠SFよりも大きく、同天面壁20の長さが該太陽電池モジュールBMの対峙長枠LFよりも大きく設定され、該テーブルの幅の1/2の位置を通る中心線と、長さの1/2の位置を通る中心線とが交叉する中央には、処理対象の太陽電池モジュールBMの平置き姿勢における全面積の約1/3に設定された面積の天然ゴムまたは合成ゴムなどの弾性摩擦素材製の弾性摩擦層からなる受圧摩擦面壁21が設けられたものとなっている。
【0040】
該テーブル2は、その長さ方向であって、同テーブル2上に配された該太陽電池モジュールBMの一対の対峙短枠SF,SFの、同一対の対峙短枠SF,SFの夫々に直交する向きの外がわとなる方向の一方が、該太陽電池モジュールBMの送入がわ24とされ、これとは反対がわとなる、該テーブル2の長さ方向の他方が、該太陽電池モジュールBMの送出がわ25とされており、該テーブル2の送入がわ端24および送出がわ端25の夫々には、該テーブル2の天面壁20に面一状に連続するよう同じ高さに設定された該太陽電池モジュールBMの搬送用のローラーコンベヤRC,RCが配されたものとなっている。
【0041】
該テーブル2は、その四角の外がわに合計4本の支柱50,50,……が立設され、それら支柱50,50,……の上下端間の同一高さとなる中途部間に、合計4本のテーブル用骨格22,22,23,23が架け渡され、それらのテーブル用骨格22,22,23,23が、該テーブル2の外周囲を囲み結合され、同テーブル2を水平姿勢に強固に支持するものとされており、また、各支柱50,50,……の中の送入がわ端24に配された一対の支柱50,50の上端間、および、送出がわ端25に配された一対の支柱50,50の上端間の夫々に、上部短梁52,52が水平に架け渡し接合され、さらに、それら一対をなす上部短梁52,52の下端壁間には、テーブル2上の中央に載置された場合の処理対象の太陽電池モジュールBMの一対の対峙長枠LF,LF間の幅寸法よりも幅が狭く、しかも当該押圧板30の同方向(一対の対峙長枠LF,LF間の幅寸法方向)の寸法よりも幅広く設定された水平方向の間隔を隔て、該テーブル2の幅の1/2(同幅の中心)の位置(上部短梁52の長さの1/2の位置)から、該テーブル2の幅方向両端がわへ等しい間隔を隔てた位置の夫々に、上部長梁53,53の両端が水平に架け渡し結合され、該一対の上部短梁52,52および該一致の上部長梁53,53が平面視すると井桁状をなすよう組み合わされた上骨格枠51となっており、該支柱50,50,……、上骨格枠51(上部短梁52,52、上部長梁53,53)、および、後述する天井板54が、該テーブル2の支持骨格5をなしている。
【0042】
支持骨格5の上骨格枠51の一対の上部長梁53,53の上端壁間には、強度メンバーを兼ねた天井板54,54が架け渡され、該天井板54の、当該受圧摩擦面壁21の鉛直上方に対応する位置に、仮固定機構3の昇降動作部ATである空圧シリンダーからなる押圧用アクチュエータATが、その進退ロッドRDの先端を鉛直下方に向けて垂下するよう、鉛直姿勢に立設され、該押圧用アクチュエータATは、図示しないエアコンプレッサー、または、工場施設内の圧縮エア供給配管に接続され、同じく図示しない自動制御部からの制御を受けて動作するものとなっている。
【0043】
該進退ロッドRDの先端(下端)には、該太陽電池モジュールBMの全面積の凡そ1/3に相当する平面相似形(長方形、四角形)に設定された下向きの加圧面壁31を有し、該加圧面壁31には、天然ゴムまたは合成ゴムなどの弾性摩擦素材製の弾性摩擦層が貼着され、加圧摩擦面壁31とされ、当該テーブル2の中央に載置された場合の、4辺のフレーム枠Fを含む外周囲範囲を除く太陽電池パネル本体SPのパネル中央面部PCを上方から下方に向けて該テーブル2に押し付け固定する押圧板30が吊下、結合されたものとなっている。
【0044】
当該上部長梁53,53間には、該一対の上部長梁53,53間の距離よりも短く、該テーブル2の幅の1/2(同幅の中心)の位置(上部短梁52の長さの1/2の位置)から、該テーブル2の幅方向両端がわへ等しい間隔を隔てた幅寸法であって、該テーブル2の送入がわ端24および送出がわ端25よりも外がわまで延伸された長さ寸法に設定された矩形枠状となし、梯子状をなすよう要所要所に中枠が架け渡された昇降骨格枠69が配され、該昇降骨格枠69は、当該の上部長梁53,53に架け渡された天井板54の当該押圧用アクチュエータATと一対の上部短梁52の長さの1/2の位置との間の距離の1/2の位置よりも送入がわ端24寄り、および、送出がわ端25寄りの各上部短梁52,52に隣接する位置の夫々に、立設された鉛直ガイドシリンダー64,64から縦貫状に垂下され、上端に降下制限板66,66が夫々設けられた鉛直ガイド棒65,65の下端が結合されている。
【0045】
各支柱50,50,……の中の送入がわ端24に配された一対の支柱50,50の上端間の上部短梁52中途部の昇降骨格枠69の幅寸法に相当する位置からテーブル2の同送入がわ端24より外がわに水平な片支持梁60,60が延伸され、また、送出がわ端25に配された一対の支柱50,50の上端間の上部短梁52中途部の昇降骨格枠69の幅寸法に相当する位置から、テーブル2の送出がわ端25よりも外がわに水平な片支持梁60,60が延伸され、それら合計4個の片支持梁60,60,……の先端からは、夫々下端に降下制限部が設けられた昇降用ガイドレール61,61,……が垂下され、各昇降用ガイドレール61,61,……には、昇降骨格枠69の四角に夫々立設された合計4個のガイド腕62,62,……の、送入がわ端24がわに配されたものは同送入がわ端24の外がわ、または、送出がわ端25がわに配されたものは同送出がわ端25の外がわの夫々に向けて軸支された車輪63,63,……が、夫々鉛直方向に転動自在に案内され、各昇降用ガイドレール61,61,……の該降下制限部に掛止されて降下量を制限されるよう係合されており、さらにまた、当該天井板54の各鉛直ガイドシリンダー64,64の押圧用アクチュエータATがわに隣接する位置の夫々に合計2個の昇降機構67,67としての鉛直昇降用アクチュエータ67,67が立設され、各鉛直昇降用アクチュエータ67,67から、該天井板54を縦貫して垂下された昇降シャフト68,68の下端が、該昇降骨格枠69の中枠に夫々結合され、該昇降骨格枠69の昇降動作部6が構成され、各鉛直昇降用アクチュエータ67,67は、図示しないエアコンプレッサー、または、工場施設内の圧縮エア供給配管に接続され、当該自動制御部からの制御を受けて動作するものとなっている。
【0046】
昇降骨格枠69のテーブル2の送入がわ端24および送出がわ端25に対応する各端の上部短梁52,52の長さの1/2の位置に対応する幅寸法の中央位置の下端壁には、夫々横対峙枠離脱機構4,4の水平進退動作部42,42としての油圧シリンダーからなる水平進退用アクチュエータ42,42が、夫々の横枠解体アーム40,40の先端に設けられた下向き鈎爪41,41を、該テーブル2上に載置された場合の太陽電池モジュールBMの各対峙短枠SF,SFよりも仮固定機構3の押圧板30寄りとなる位置から、各対峙短枠SF,SFよりも該テーブル2の送入がわ端24よりも外がわ、または、送出がわ端25よりも外がわの何れか一方に、水平下方に進退するよう水平姿勢に支持されたものとされ、各水平進退用アクチュエータ42,42は、それらの動力源としての油圧ポンプOPに接続され、図示しない自動制御部からの制御を受けて動作するものとされている。
【0047】
図1、
図5および
図11に示すように、テーブル2上に太陽電池モジュールBMが載置された場合に、各水平進退用アクチュエータ42,42が、各横枠解体アーム40,40を延伸し、昇降動作部6が昇降骨格枠69を降下させた場合に、各下向き鈎爪41,41が、太陽電池モジュールBMの各対峙短枠SF,SFよりも仮固定機構3の押圧板30寄りとなる位置に接地され、各水平進退用アクチュエータ42,42が、該テーブル2の送入がわ端24がわの横枠解体アーム40は、同送入がわ端24に向けて水平に後退駆動され、該テーブル2の送出がわ端25がわの横枠解体アーム40は、同送出がわ端25に向けて水平に後退駆動され、各下向き鈎爪41,41は、各対峙短枠SF,SFの夫々の長さの1/2となる位置の上向きとなる突条縁RE,REに係合し、各対峙短枠SF,SFを強制的に太陽電池パネル本体SPから引き剥がすよう動作するものとされている。
【0048】
図2、
図4および
図12に示すように、テーブル2の側壁26,26に結合されたテーブル用骨格23,23の、同テーブル2上に載置された場合の該太陽電池モジュールBMの一対の対峙長枠LF,LFの夫々の長さの1/2となる位置から、該一対の対峙長枠LF,LFの範囲内であって、しかも該一対の対峙長枠LF,LFの端部がわに、同一対の対峙長枠LF,LFの夫々の長さの1/4となる互いに等しい距離を隔てた合計4箇所夫々に対し、サイドテーブル27,27,……が一体化され、各サイドテーブル27,27,……の天壁には、縦対峙枠離脱機構7,7,……の合計4個の水平進退動作部72,72,……としての油圧シリンダーからなり、油圧ポンプOPに接続され、図示しない自動制御部からの制御を受けて動作するものとされ、該テーブル2上に載置された場合の該太陽電池モジュールBMの一対の対峙短枠SF,SFの長さの1/2の位置を通る中心線に直交する方向に向けられた各縦枠解体アーム70,70,……の先端に下向き鈎爪71,71,……が設けられた合計4個の水平進退用アクチュエータ72,72,……の夫々の中途部が、支点部80,80,……を介して各縦枠解体アーム70,70,……の先端が上下に揺動自在となるよう支持されたものとなっている。
【0049】
さらに、各サイドテーブル27,27,……の外端の側壁に結合された昇降機構81,81,……としての空圧シリンダーからなり、図示しないエアコンプレッサー、または、工場施設内の圧縮エア供給配管に接続され、図示しない自動制御部からの制御を受けて動作するものとされた垂直進退用アクチュエータ81,81,……から、上向きに延伸された各昇降ロッド82,82,……の先端が、ヒンジ機構83,83,……を介して夫々対応する各水平進退用アクチュエータ72,72,……の外端に揺動自在に連結されたものとなっている。
【0050】
各水平進退用アクチュエータ72,72,……が各縦枠解体アーム70,70,……を収縮し、各垂直進退用アクチュエータ81,81,……が各昇降ロッド82,82,……を収縮し、各下向き鈎爪71,71,……を退避させ、テーブル2上に太陽電池モジュールBMが載置された場合に、各水平進退用アクチュエータ72,72,……が各縦枠解体アーム70,70,……を延伸した後、各垂直進退用アクチュエータ81,81,……が各昇降ロッド82,82,……を延伸すると各下向き鈎爪71,71,……が、太陽電池モジュールBMの各対峙長枠LF,LFよりも仮固定機構3の押圧板30寄りとなる位置に接地され、その後、各水平進退用アクチュエータ72,72,……が各縦枠解体アーム70,70,……を収縮すると、各下向き鈎爪71,71,……の2個ずつが、夫々の対峙長枠LF,LFの上向きとなる突条縁RE,REの各両端から等しい位置に係合し、各対峙長枠LF,LFを強制的に太陽電池パネル本体SPから引き剥がすよう動作するものとされている。
【0051】
図13に示すように、各下向き鈎爪71,71,……は、各爪先端部NT,NT,……が、フランジ部および複数のボルトナットなどの結合部BN,BN,……を介して交換自在に結合されており、各下向き鈎爪71,71,……の各基端BE,BE,……の夫々には、各縦枠解体アーム70,70,……の各先端が、夫々水平軸HA,HA,……を介して各爪先端部NT,NT,……が、上下に揺動自在となるよう軸着され、各下向き鈎爪71,71,……の各基端BE,BE,……の上部からは、各縦枠解体アーム70,70,……の各先端上部まで各上支持舌片UT,UT,……が延伸され、各上支持舌片UT,UT,……の夫々に上方から下方に向けて貫通された状態に各上傾規制ボルトUB,UB,……が螺着され、各下向き鈎爪71,71,……の各基端BE,BE,……の下部からは、各縦枠解体アーム70,70,……の各先端下部まで各下支持舌片LT,LT,……が延伸されたものとされ、各上傾規制ボルトUB,UB,……の螺着深さを変えると、各下向き鈎爪71,71,……の各水平軸HA,HA,……を中心とする各爪先端部NT,NT,……の上方への揺動角度範囲を調節することが可能となり、各下支持舌片LT,LT,……が、各下向き鈎爪71,71,……の各水平軸HA,HA,……を中心とする各爪先端部NT,NT,……の下方への不要な垂れ下がりを規制する上下揺動範囲調節機構VSが設けられたものとっている。
図13に示す、各縦対峙枠離脱機構7,7,……の各下向き鈎爪71,71,……と、各縦枠解体アーム70との連結構造は、
図1および
図5に示すように、横対峙枠離脱機構4,4の下向き鈎爪41,41,……と、各横枠解体アーム40,40との連結構造に採用することが可能である。
【0052】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の太陽電池モジュール解体装置1は、
図1ないし
図14および
図15のフローチャートに示すように制御されるものとなっている。
太陽電池モジュール解体装置1は、電源が投入されると自動制御部が、仮固定機構3を制御し、押圧用アクチュエータATの進退ロッドRDが上昇され、昇降動作部6の鉛直昇降用アクチュエータ67,67の各昇降シャフト68,68の下端の昇降骨格枠69が上昇され、横対峙枠離脱機構4の水平進退用アクチュエータ42,42の各横枠解体アーム40,40が収縮され、各昇降動作部8,8,……の各垂直進退用アクチュエータ81,81,……の各昇降ロッド82,82,……が収縮され、各下向き鈎爪71,71,……が上昇され、縦対峙枠離脱機構7の各縦枠解体アーム70,70,……が収縮された状態に制御した上、テーブル2上に処理対象の太陽電池モジュールBMが搬送されるのを待機する。
【0053】
強化ガラス面(発電面)を下向きとされ、ローラーコンベヤRC上を移動されて来た処理対象の太陽電池モジュールBMが、送入がわ端24からテーブル2上の中央に搬入され平置き状とされた(a)後、センサーが該太陽電池モジュールBMを検知するか、または、作業員が起動スイッチを操作するかして自動制御部が解体作業を開始すると、その制御を受けた仮固定機構3の押圧用アクチュエータATが、その進退ロッドRDを降下させ、押圧板30の加圧摩擦面壁31が、該太陽電池モジュールBMの太陽電池パネル本体SPのパネル中央面部PCに当接し、該加圧摩擦面壁31と、テーブル2の天面壁20の受圧摩擦面壁21との間に、該太陽電池パネル本体SPのパネル中央面部PCを高摩擦状態に挟み込み仮固定し(b)、該押圧用アクチュエータATが空圧シリンダーからなり、しかも該受圧摩擦面壁21および該加圧摩擦面壁31が弾性摩擦素材製の弾性摩擦層からなるから、該太陽電池パネル本体SPを保護しながら高摩擦状態で強固に仮固定するものとなる。
【0054】
上述のようにテーブル2上に該太陽電池モジュールBMが仮固定(b)された後、自動制御部から制御を受けた各横対峙枠離脱機構4,4の各水平進退用アクチュエータ42,42が、各横枠解体アーム40,40を延伸させる(c)と共に、該自動制御部から制御を受けた各縦対峙枠離脱機構7,7,……の各水平進退用アクチュエータ72,72,……が、各「縦枠解体アーム70,70を延伸させ(d)た上、該自動制御部から制御を受けた昇降動作部6の各鉛直昇降用アクチュエータ67,67の各昇降シャフト68,68が、昇降骨格枠69を、各横対峙枠離脱機構4,4の各下向き鈎爪41,41が該太陽電池パネル本体SPの裏面の保護フィルム面に接地するまで降下され(e)、このとき、各鉛直ガイドシリンダー64,64とそれらの各鉛直ガイド棒65,65が、該昇降骨格枠69の昇降動作を正確に案内すると共に、各片支持梁60,60,……の各昇降用ガイドレール61,61,……と各ガイド腕62,62,……の各車輪63,63,……が、該昇降骨格枠69の四角を垂直に案内し、不要な振動の発生や、該太陽電池パネル本体SPへの接地に伴う衝撃を大幅に軽減するものとなり、各鉛直昇降用アクチュエータ67,67が、夫々空圧シリンダーからなるから該太陽電池パネル本体SPをより確実に保護することができる。
【0055】
該昇降骨格枠69の降下(e)に続いて、該自動制御部から制御を受けた各昇降動作部8,8,……の昇降機構としての垂直進退用アクチュエータ81,81,……が、各下向き鈎爪71,71,……が該太陽電池パネル本体SPの裏面の保護フィルム面に接地する(f)位置に降下するまで各昇降ロッド82,82,……を延伸し、その後、該自動制御部から制御を受けた各横対峙枠離脱機構4,4の各水平進退用アクチュエータ42,42が各横枠解体アーム40,40を収縮し、各下向き鈎爪41,41が各対峙短枠SF,SFの長さの1/2の位置の突条縁REに係合し、テーブル2の長さ方向である送入がわ端24と送出がわ端25との夫々の方向(各対峙短枠SF,SFに直交する方向)に後退し(g)、これと同時(同一工程中)に、該自動制御部から制御を受けた各縦対峙枠離脱機構7,7,……の各水平進退用アクチュエータ72,72,……が各縦枠解体アーム70,70,……を収縮し、各下向き鈎爪71,71,……の2個ずつが各対峙長枠LF,LFの長さの1/2の位置から互いに等しい距離を離れた位置の突条縁REに係合し、テーブル2の幅方向(上部短梁52,52の両端方向)に後退し(h)、各対峙短枠SF,SFおよび各対峙長枠LF,LFを太陽電池パネル本体SPの外周縁から分離し(j)、各横対峙枠離脱機構4,4の各横枠解体アーム40,40が、各対峙短枠SF,SFを引き剥がす際に、昇降骨格枠69は、その梯子状の中枠部分が、各鉛直ガイドシリンダー64,64と各鉛直ガイド棒65,65とによって水平姿勢を強固に維持するよう保持され、さらに、同昇降骨格枠69の四角が、各片支持梁60,60,……の各昇降用ガイドレール61,61,……と各ガイド腕62,62,……の各車輪63,63,……とによってより強固に水平姿勢を支持されるものとなるから、各横枠解体アーム40,40の進退方向をより正確に水平方向に規制するものとなり、該太陽電池パネル本体SPの破損をより効果的に防止するものとなり、各垂直進退用アクチュエータ81,81,……が夫々空圧シリンダーからなるから該太陽電池パネル本体SPをより確実に保護し、各水平進退用アクチュエータ42,42,72,72,……が油圧シリンダーからなるから、各対峙短枠SF,SFおよび各対峙長枠LF,LFをより強力且つ迅速に引き剥がし分離することが可能となる。
【0056】
上述のように、各対峙短枠SF,SFおよび各対峙長枠LF,LFが太陽電池パネル本体SPの外周縁から分離(j)されるとき、加圧摩擦面壁31と受圧摩擦面壁21との間にパネル中央面部PCが高摩擦状態に挟み込まれた該太陽電池パネル本体SPは、延伸方向に略同時に引き剥がされる各対峙短枠SF,SFおよび各対峙長枠LF,LFとの間に牽引力が略均等に分散され、応力の集中を招くことが無く、該太陽電池パネル本体SPの破損をより効果的に阻止するものとなる。
【0057】
該太陽電池パネル本体SPから各対峙短枠SF,SFおよび各対峙長枠LF,LFを完全に分離した後、自動制御部から制御を受けた各昇降動作部8,8,……の垂直進退用アクチュエータ81,81,……が各昇降ロッド82,82,……を収縮し、各縦枠解体アーム70,70の各下向き鈎爪71,71,……を該太陽電池パネル本体SPから離脱するよう上昇させ(k)た上、自動制御部から制御を受けた昇降動作部6の各鉛直昇降用アクチュエータ67,67が、各昇降シャフト68,68を収縮し、昇降骨格枠69を上昇させ、各横対峙枠離脱機構4,4の各横枠解体アーム40,40の各下向き鈎爪41,41を上昇させ(m)、その後、自動制御部から制御を受けた仮固定機構3の押圧用アクチュエータATが、進退ロッドRDおよびその下端の押圧板30を上昇し、該太陽電池パネル本体SPのパネル中央面部PCの仮固定を解除(n)し、こうして仮固定を解除(n)された該太陽電池パネル本体SPは、テーブル2の送出がわ端25よりローラーコンベヤRCに送出され、次に続くリサイクル工程に送り出されることとなる。
【0058】
(結 び)
叙述の如く、この発明の太陽電池モジュール解体装置、およびその制御方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの太陽電池モジュールの解体装置技術に比較して大幅に太陽電池モジュールの解体作業の効率を高め、解体装置を小型軽量化、低重心化且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、分離工程中における太陽電池パネル本体の破損をより確実に防止し、分離後の太陽電池パネル本体およびフレーム枠のリサイクル処理作業を格段に効率化できるものとなるから、従前までであれば、破損してしまった太陽電池パネル本体の回収や再生処理、および、フレーム枠に残存する太陽電池パネル本体の破片の除去作業などに多くの工数を要していたが、こうした煩雑で負担の大きな作業を大幅に解消し、格段の効率化を達成することができるから、リサイクル業界および太陽光発電業界はもとより、非鉄金属業界や貴金属・レアメタル業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。