(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182536
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221201BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221201BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20221201BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20221201BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20221201BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B41J29/38 301
G03G21/00 380
G03G21/00 510
B41J29/42 F
B41J29/38 202
B65H3/44 310
B65H7/06
G03G15/00 445
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090144
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 敬佑
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H270
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061HJ07
2C061HK07
2C061HK11
2C061HK19
2C061HK23
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV33
2H072AA02
2H072AA03
2H072AA05
2H072AA16
2H072AA29
2H072AB28
2H072BA03
2H072BA12
2H270LA99
2H270LC06
2H270NB22
2H270NC01
2H270NC05
2H270PA14
2H270PA81
2H270QB01
2H270QB05
2H270QB21
2H270ZC03
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA14
3F048BA21
3F048BB02
3F048BC03
3F048CC03
3F048CC04
3F048DA06
3F343FA02
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3F343GB01
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3F343HB02
3F343HB03
3F343KB07
3F343KB20
3F343MA03
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3F343MA36
3F343MA45
3F343MA54
3F343MA56
3F343MB04
3F343MB19
3F343MC21
3F343MC28
(57)【要約】
【課題】生産性の低下要因に応じた適切な対策をとることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、表示入力部と、印刷部と、制御部と、を備え、制御部は、単位時間当たりの印刷枚数で示される生産性の低下率を求め、低下率が閾値を超えているとき、制御部は、生産性の低下の解消方法に関する報知処理を表示入力部に行わせ、報知処理を表示入力部に行わせるとき、制御部は、低下率が閾値を超えた要因を認識し、認識した要因に応じて報知処理の報知内容を変える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示し、ユーザーから入力を受け付ける表示入力部と、
印刷ジョブの実行中、用紙を搬送し、搬送中の用紙に画像を印刷する印刷部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、単位時間当たりの印刷枚数で示される生産性の低下率を求め、
前記低下率が閾値を超えているとき、前記制御部は、前記生産性の低下の解消方法に関する報知処理を前記表示入力部に行わせ、
前記報知処理を前記表示入力部に行わせるとき、前記制御部は、前記低下率が前記閾値を超えた要因を認識し、認識した前記要因に応じて前記報知処理の報知内容を変える、画像形成装置。
【請求項2】
前記表示入力部は、前記閾値の設定をユーザーから受け付ける、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記低下率を前記印刷ジョブごとに求め、前記低下率が前記閾値を超えている前記印刷ジョブの終了後、前記表示入力部に前記報知処理を行わせる、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブの実行中、前記制御部は、先に給紙された先行用紙と前記先行用紙の次に給紙された後行用紙との紙間が目標間隔よりも大きくなる用紙遅れが発生したか否かの判断を行い、
前記用紙遅れが発生した前記印刷ジョブの終了後、前記制御部は、前記低下率を求め、
前記低下率が前記閾値を超えているとき、前記制御部は、前記用紙遅れの解消方法の報知を前記報知処理として前記表示入力部に行わせる、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記用紙遅れが発生した前記印刷ジョブの終了後、前記制御部は、前記用紙遅れの解消作業が行われたか否かを判断し、
前記用紙遅れの解消作業が行われていない状態で、新たな前記印刷ジョブの実行要求を受け付けたとき、前記制御部は、前記用紙遅れの解消方法の報知を前記表示入力部に行わせる、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷ジョブを実行するとき、前記制御部は、今回実行する前記印刷ジョブのジョブデータに基づき、前記低下率を予測する予測処理を行い、
前記予測処理で予測した前記低下率が前記閾値を超えているとき、前記制御部は、前記印刷ジョブの実行前、前記表示入力部に前記報知処理を行わせる、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷ジョブで使用する用紙がセットされるセット部を複数備え、
前記制御部は、いずれかの前記セット部を給紙元に設定し、
前記印刷部は、前記給紙元に設定された前記セット部から用紙を給紙し、
前記印刷ジョブの実行中に切替条件が満たされたき、前記制御部は、前記給紙元を切り替える切替処理を行い、
前記印刷ジョブを実行するとき、前記制御部は、前記ジョブデータに基づき、前記切替処理が必要な状態になるか否かを判断し、
前記予測処理で予測した前記低下率が前記閾値を超えている場合において、前記切替処理が必要な状態になると判断したとき、前記制御部は、前記セット部の確認を促す旨の報知を前記報知処理として前記表示入力部に行わせる、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の前記印刷ジョブを連続して実行するとき、前記制御部は、連続して実行する複数の前記印刷ジョブを単一ジョブとして前記予測処理を行う、請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
複数の前記印刷ジョブを連続して実行するとき、前記制御部は、連続して実行する複数の前記印刷ジョブの現在の実行順を認識し、前記現在の実行順で複数の前記印刷ジョブを実行した場合の印刷設定の切替回数を求め、前記印刷設定の切替回数が前記現在の実行順よりも少なくなる順番が存在するか否かの判断を行い、
前記予測処理で予測した前記低下率が前記閾値を超えている場合において、前記印刷設定の切替回数が前記現在の実行順よりも少なくなる順番が存在すると判断したとき、前記制御部は、連続して実行する複数の前記印刷ジョブの実行順の確認を促す旨の報知を前記報知処理として前記表示入力部に行わせる、請求項8に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブを実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ジョブの生産性に関する情報をユーザーに報知する画像形成装置が知られている。たとえば、特許文献1の画像形成装置は、印刷ジョブの開始から完了までに要する時間を求め、印刷ジョブの完了がユーザーの希望よりも遅くなる場合、その旨をユーザーに報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、従来、単位時間当たりの印刷枚数が生産性として定義される。印刷用紙の搬送中に搬送ローラーがスリップしたり、ジョブ実行中に印刷設定が頻繁に変更されたりすると、生産性が低下する。
【0005】
生産性の低下を抑制するには、何らかの対策をとる必要がある。しかし、生産性の低下要因は様々である。このため、生産性の低下を解消するための作業を行っても、生産性の低下が解消されないという不都合が生じ得る。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、生産性の低下要因に応じた適切な対策をとることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一局面による画像形成装置は、情報を表示し、ユーザーから入力を受け付ける表示入力部と、印刷ジョブの実行中、用紙を搬送し、搬送中の用紙に画像を印刷する印刷部と、制御部と、を備える。制御部は、単位時間当たりの印刷枚数で示される生産性の低下率を求める。低下率が閾値を超えているとき、制御部は、生産性の低下の解消方法に関する報知処理を表示入力部に行わせる。報知処理を表示入力部に行わせるとき、制御部は、低下率が閾値を超えた要因を認識し、認識した要因に応じて報知処理の報知内容を変える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成では、生産性の低下要因に応じた適切な対策をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による画像形成装置のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態による画像形成装置の印刷部の模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態による画像形成装置で発生する用紙遅れについて説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態による画像形成装置の制御部がジョブ終了後に行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態による画像形成装置の表示入力部が表示するメッセージを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による画像形成装置の表示入力部が表示するメッセージを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による画像形成装置の表示入力部が表示するメッセージを示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態による画像形成装置の制御部がジョブ開始前に行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態による画像形成装置の表示入力部が表示するメッセージを示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態による画像形成装置の表示入力部が表示するメッセージを示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態による画像形成装置の表示入力部が表示するメッセージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<画像形成装置の構成>
図1に示すように、画像形成装置100は、制御部1を備える。制御部1は、CPUおよび記憶デバイスなどを含む。制御部1は、画像形成装置100の全体の制御を行う。すなわち、制御部1は、画像形成装置100で実行される印刷ジョブを制御する。また、制御部1は、用紙Sに印刷すべき画像データに対して画像処理を行う。
【0011】
画像形成装置100は、印刷部2を備える。印刷部2の構成を
図2に示す。印刷ジョブの実行中、印刷部2は、用紙Sを搬送し、搬送中の用紙Sに画像を印刷する。なお、画像形成装置100は、セット部20を備える。セット部20には、印刷ジョブで使用する用紙Sがセットされる。印刷部2は、セット部20の用紙Sを給紙し、搬送する。以下の説明では、用紙Sのうち搬送方向下流側の端部を前端と称し、用紙Sのうち搬送方向上流側の端部を後端と称する。
【0012】
印刷部2は、給紙部21および画像形成部22を備える。給紙部21は、セット部20にセットされている用紙Sを給紙する。給紙部21は、ローラー部材210を含む。ローラー部材210は、セット部20の用紙Sに接触する。ローラー部材210が用紙Sに接触し、その状態で回転することにより、セット部20から用紙Sが引き出される(セット部20の用紙Sが給紙される)。
【0013】
ここで、セット部20は、複数である。以下の説明では、符号201を付したセット部20を第1セット部201と称し、符号202を付したセット部20を第2セット部202と称して区別する場合がある。
【0014】
第1セット部201は、たとえば、画像形成装置100に着脱可能な給紙カセットである。第1セット部201(給紙カセット)は、画像形成装置100に複数装着され、上下方向(画像形成装置100が設置される平坦な床面と直交する方向)に積層される。第2セット部202は、たとえば、手差しトレイである。
【0015】
印刷部2は、給紙元に設定されたセット部20から用紙Sを給紙し、画像形成部22に向けて搬送する。給紙元の設定は、制御部1が行う。制御部1は、いずれかのセット部20を給紙元に設定する。たとえば、いずれかのセット部20が優先して使用するセット部20として登録されている場合、制御部1は、当該セット部20を優先的に給紙元に設定する。
【0016】
図示しないが、ローラー部材210は、クラッチを介して、モーターに連結される。また、給紙部21の給紙位置(ローラー部材210と用紙Sとが接触する位置)よりも用紙搬送方向下流側には、搬送ローラー対が設けられる。搬送ローラー対の設置数および設置位置は、用紙搬送経路の長さなどに応じて適宜変更される。セット部20から給紙された用紙Sは、搬送ローラー対を構成する一対のローラー間(搬送ニップ)に進入する。搬送ローラー対は、回転することにより、搬送ニップに進入した用紙Sを搬送する。
【0017】
制御部1は、モーターを制御する。また、制御部1は、クラッチを制御する。用紙Sを給紙するとき、制御部1は、ローラー部材210の回転を開始する。そして、用紙Sの後端が給紙位置を通過する前(用紙Sの前端が搬送ニップに到達した後)、制御部1は、ローラー部材210の回転を停止する。また、このとき、制御部1は、クラッチをオフし、ローラー部材210をフリー状態にする。
【0018】
複数枚の用紙Sを連続して給紙するとき、制御部1は、先に給紙した用紙Sの後端が給紙位置を通過した後、ローラー部材210の回転を再開する。これにより、次の用紙Sが給紙される。以降、制御部1は、必要枚数分の給紙が完了するまで、ローラー部材210の回転および回転停止を繰り返す。
【0019】
用紙Sの搬送経路には、用紙Sの有無に応じて出力値を変化させる搬送センサー(図示せず)が設置される。搬送センサーの設置数および設置位置は、用紙搬送経路の長さ(搬送ローラー対の設置位置)などに応じて適宜変更される。搬送センサーは、制御部1に接続される。制御部1は、搬送センサーの出力値に基づき、搬送センサーの検知位置における用紙Sの前端到達および用紙Sの後端通過を検知する。制御部1は、先に給紙した用紙Sについて、搬送センサーの検知位置における前端到達または後端通過を検知し、検知結果に基づき、次に給紙すべき用紙Sの給紙開始タイミングを計る。
【0020】
場合によっては、印刷ジョブの実行中、制御部1は、給紙元を切り替える切替処理を行う。具体的には、印刷ジョブの実行中、制御部1は、切替条件が満たされたか否かの判断を行う。そして、切替条件が満たされたとき、制御部1は、給紙元を切り替える。
【0021】
給紙元のセット部20から用紙Sが無くなったとき、制御部1は、切替条件が満たされたと判断する。この場合、制御部1は、給紙元のセット部20にセットされていた用紙Sと同じ種類(坪量およびサイズなど)の用紙Sが収容されているセット部20を新たな給紙元に設定する。
【0022】
また、坪量およびサイズなどが異なる複数種の用紙Sを使用する印刷ジョブにおいて、用紙Sの種類を切り替えるとき、制御部1は、切替条件が満たされたと判断する。たとえば、普通紙への印刷と厚紙への印刷とが混在する印刷ジョブでは、いずれかのセット部20に普通紙がセットされ、別のセット部20に厚紙がセットされる。そして、普通紙に印刷するとき、制御部1は、普通紙がセットされたセット部20を給紙元に設定し、普通紙への印刷から厚紙への印刷に切り替えるとき、制御部1は、厚紙がセットされたセット部20を新たな給紙元に設定する。
【0023】
各セット部20から画像形成部22への用紙Sの搬送経路は互いに異なる。
図2では、各セット部20から画像形成部22への用紙Sの搬送経路を破線で示す。なお、各第1セット部201からの用紙Sの搬送経路は、画像形成部22に至る前に合流する。
【0024】
各第1セット部201から給紙される用紙Sの搬送経路は、給紙直後に上方に向けて大きく屈曲する。一方で、第2セット部202から給紙される用紙Sの搬送経路は、画像形成部22に向かって略直線的に延びる。したがって、第1セット部201から用紙Sを給紙する場合には、第2セット部202から用紙Sを給紙する場合よりも、用紙Sへの抵抗が大きくなる。このため、第1セット部201から用紙Sを給紙する場合には、第2セット部202から用紙Sを給紙する場合よりも、ローラー部材210の用紙Sに対するスリップが発生し易い。
【0025】
また、印刷ジョブで使用可能な用紙Sの種類は多数ある。ローラー部材210がスリップし易い紙種もあればスリップし難い紙種もある。
【0026】
たとえば、各給紙部21に1つずつ搬送センサー(図示せず)が割り当てられる。以下の説明では、各給紙部21の搬送センサーを給紙センサーと称する。各給紙センサーは、対応する給紙部21の給紙位置よりも用紙搬送方向下流側の位置を検知位置とする。各給紙センサーの検知位置は、対応する給紙部21から給紙される用紙Sの前端が最初に到達する検知位置である。各給紙センサーは、対応する検知位置における用紙Sの有無に応じて出力値を変化させる。各給紙センサーは、制御部1に接続される。
【0027】
制御部1は、用紙Sの給紙開始(ローラー部材210の回転開始)から計時を行う。制御部1は、用紙Sの給紙開始後、給紙センサーの検知位置に用紙Sの前端が到達しなければ、給紙をリトライする。給紙をリトライすることにより、給紙に成功する場合がある。この場合には、エラーとならず、印刷ジョブが続行される。このため、先に給紙された用紙S(以下、先行用紙Sと称する場合がある)と先行用紙Sの次に給紙された用紙S(以下、後行用紙Sと称する場合がある)との紙間が許容範囲内で目標間隔よりも大きくなる場合がある。なお、紙間は、先行用紙Sの前端と後行用紙Sの前端との間の時間的な間隔である。先行用紙Sと後行用紙Sとの紙間が許容範囲内であれば、目標間隔よりも大きくなっても、印刷ジョブは続行される。
【0028】
一方で、用紙Sの給紙開始から予め定められた閾値時間が経過しても(給紙をリトライしても)、給紙センサーの検知位置において用紙Sの前端到達を検知できなかったとき、制御部1は、ジャムエラーが発生したと判断する。この場合には、印刷ジョブが停止(中断)される。
【0029】
画像形成部22は、印刷位置において、搬送中の用紙Sに画像を印刷する。なお、印刷方式は、電子写真方式であってもよいしインクジェット方式であってもよい。
【0030】
印刷方式がインクジェット方式である場合、画像形成部22は、インクヘッドなどを含む。インクジェット方式の画像形成部22は、印刷位置において、搬送中の用紙Sに向けてインクを吐出し、用紙Sにインクを付着させる。
【0031】
制御部1は、印刷方式がインクジェット方式である場合の印刷設定として、たとえば、インクヘッドの位置調整を行う。制御部1は、印刷ジョブで使用する用紙Sの種類に応じて、インクヘッドの上下方向の位置(用紙Sとインクヘッドとの上下方向の間隔)を変える。ここで挙げた印刷設定は一例である。印刷方式がインクジェット方式である場合の印刷設定は、他にも種々ある。
【0032】
印刷方式が電子写真方式である場合、画像形成部22は、感光体ドラム、帯電装置、現像装置、露光装置および転写ローラーなどを含む。電子写真方式の画像形成部22は、静電潜像をトナー像に現像し、印刷位置において、搬送中の用紙Sにトナー像を転写する。その後、定着装置(図示せず)において、用紙Sが加熱され、用紙Sにトナー像が定着される。
【0033】
制御部1は、印刷方式が電子写真方式である場合の印刷設定として、たとえば、定着装置(定着ローラー)の温度調整を行う。なお、定着装置は、予め定められた定着制御温度に保持される。適切な定着制御温度は、用紙Sの種類(坪量など)によって異なる。このため、制御部1は、印刷ジョブで使用する用紙Sの種類を認識し、認識した種類に応じて定着制御温度を変える。印刷ジョブで使用する用紙Sが普通紙よりも坪量が大きい厚紙であるとき、制御部1は、定着装置の保持温度を普通紙に対応する温度よりも上げる。ここで挙げた印刷設定は一例である。印刷方式が電子写真方式である場合の印刷設定は、他にも種々ある。
【0034】
また、
図1に示すように、画像形成装置100は、操作パネル31を備える。操作パネル31は、「表示入力部」に相当する。操作パネル31は、タッチスクリーンを有する。タッチスクリーンは、情報(ソフトウェアボタンおよびメッセージなど)を表示し、ユーザーから入力(ソフトウェアボタンに対するタッチ操作)を受け付ける。操作パネル31には、ユーザーから入力を受け付けるハードウェアボタンも設けられる。
【0035】
操作パネル31は、制御部1に接続される。制御部1は、操作パネル31(タッチスクリーン)の表示動作を制御する。また、制御部1は、操作パネル31に対して行われた操作を検知する。
【0036】
画像形成装置100は、通信部4を備える。通信部4は、通信回路などを含む。通信部4は、ネットワークNTを介して、パーソナルコンピューターなどのユーザー端末32に接続される。制御部1は、通信部4を用いて、ユーザー端末32と通信する。たとえば、ユーザー端末32から画像形成装置100に対して、印刷ジョブのジョブデータ(PDLデータなど)が送信される。
【0037】
なお、制御部1は、ユーザー端末32に情報を表示させることができる。また、制御部1は、ユーザー端末32への入力内容を検知できる。すなわち、ユーザー端末32は、操作パネル31と同様、「表示入力部」として機能する。以下、操作パネル31およびユーザー端末32を総じて表示入力部3と称する。
【0038】
<生産性の低下>
メーカーにより、画像形成装置100の生産性の目標値が用紙Sのサイズ(搬送方向の長さ)ごとに予め定められる。生産性は、単位時間当たりの印刷枚数で定義される。たとえば、60枚機であれば、1秒間に1枚の印刷が行われ出力されるように目標値が設定される。また、30枚機であれば、2秒間に1枚の印刷が行われ出力されるように目標値が設定される。
【0039】
具体的には、
図3上図に示すように、先行用紙Sと後行用紙Sとの紙間Tが目標間隔となるように、セット部20からの用紙Sの給紙開始タイミングが制御される。先行用紙Sと後行用紙Sとの紙間Tが目標間隔になっていれば、生産性が目標値となる。
【0040】
しかし、場合によっては、
図3下図に示すように、先行用紙Sと後行用紙Sとの紙間Tが許容範囲内であるが目標間隔よりも大きくなる。言い換えると、先行用紙Sと後行用紙Sとの紙間Tが目標間隔よりも大きくなる用紙遅れが発生する場合がある。用紙遅れが発生すると、生産性が低下する。
【0041】
1.給紙時のスリップ
給紙部21による用紙Sの給紙時にスリップが発生した場合、用紙遅れが発生する。給紙部21のスリップは、ローラー部材210の紙粉付着量が多いほど、発生し易い。累積印刷枚数が多いほど、ローラー部材210の紙粉付着量が多くなる。このため、ローラー部材210を清掃することにより、給紙部21のスリップ(用紙遅れ)が解消される可能性がある。
【0042】
また、給紙時における用紙Sに対する抵抗が大きいほど、給紙部21のスリップが発生し易い。このため、給紙時における用紙Sに対する抵抗がより小さい第2セット部202を給紙元とすることにより、給紙部21のスリップ(用紙遅れ)が解消される可能性がある。
【0043】
なお、用紙Sの種類変更が許容できるのであれば、スリップし難い紙種に変更することにより、給紙部21のスリップ(用紙遅れ)が解消される可能性がある。
【0044】
2.給紙元の切り替え
印刷ジョブの実行中、給紙元を切り替える切替処理が行われると、用紙遅れが発生する場合がある。以下、
図2を参照し、切替処理に起因する用紙遅れについて説明する。ここでは、便宜上、上段の第1セット部201を上段セット部201と称し、下段の第1セット部201を下段セット部201と称して区別する。また、上段セット部201が給紙元に設定されているとする。
【0045】
印刷ジョブの開始時点において、印刷ジョブの印刷予定枚数よりも、上段セット部201(給紙元)の残枚数の方が少ない場合、印刷ジョブの実行中に切替処理が行われる。制御部1は、上段セット部201の用紙Sが無くなるまで、上段セット部201から略一定間隔で用紙Sを給紙する。そして、制御部1は、上段セット部201から最後の用紙Sを給紙した後、上段セット部201から次の用紙Sを給紙する場合のタイミングと同じタイミングで、下段セット部201から次の用紙Sを給紙する。すなわち、上段セット部201において先行用紙Sの後端が給紙位置を通過してから、下段セット部201から後行用紙Sを給紙する。このため、上段セット部201から給紙した先行用紙Sと下段セット部201から給紙した後行用紙Sとの紙間が目標間隔よりも大きくなる。
【0046】
なお、下段セット部201から上段セット部201に給紙部を切り替える場合、制御部1は、下段セット部201から給紙した用紙Sと上段セット部201から給紙しようとしている用紙Sとが衝突しないタイミングで、上段セット部201から用紙Sを給紙する。具体的には、制御部1は、下段セット部201から給紙した用紙Sの前端および後端の一方の位置(たとえば、当該用紙Sの給紙開始からの経過時間)に基づき、上段セット部201から用紙Sを給紙する。言い換えると、制御部1は、下段セット部201から給紙した用紙Sと上段セット部201から給紙しようとしている用紙Sとの紙間が目標間隔となるように、上段セット部201から用紙Sを給紙する。
【0047】
このような制御が行われる場合には、下段セット部201が優先的に給紙元となるよう設定しておくことにより、用紙遅れを抑制できる。あるいは、給紙元のセット部20(優先的に給紙元となるセット部20)に対し、実行予定の印刷ジョブの印刷枚数よりも多い枚数の用紙Sをセットしておけば、給紙元の切り替えが行われないので、用紙遅れを抑制できる。すなわち、優先的に給紙元となるセット部20に対して事前に用紙Sを補充しておけばよい。
【0048】
3.印刷設定の切り替え
制御部1は、印刷ジョブの実行要求を受け付けると、キューに追加する。キュー内に複数の印刷ジョブが存在する場合、制御部1は、キュー内の複数の印刷ジョブを連続して実行する。言い換えると、キュー内に複数の印刷ジョブが存在する場合、キュー内の複数の印刷ジョブが単一ジョブとして実行される。
【0049】
キュー内の複数の印刷ジョブを連続して実行する場合において、先に実行する印刷ジョブ(ここでは、第1ジョブと称する)および第1ジョブの次に実行する印刷ジョブ(ここでは、第2ジョブと称する)の各印刷設定が互いに同じであれば、第1ジョブの終了後、印刷設定を切り替えることなく続けて、第2ジョブを開始できる。すなわち、第1ジョブの最終の用紙Sと第2ジョブの最初の用紙Sとの紙間を目標間隔にできる。このため、第1ジョブおよび第2ジョブを連続して実行する場合の生産性(キュー内の複数の印刷ジョブを単一ジョブと見做した場合の生産性)は低下しない。
【0050】
しかし、たとえば、第1ジョブで使用する用紙Sが普通紙であり、第2ジョブで使用する用紙Sが厚紙であるとする。この場合、第1ジョブの終了後、定着制御温度を厚紙に対応する温度に上げてから(印刷設定を切り替えてから)、第2ジョブが開始される。このため、第1ジョブの最終の用紙Sと第2ジョブの最初の用紙Sとの紙間が目標間隔よりも大きくなる。すなわち、第1ジョブおよび第2ジョブを連続して実行する場合の生産性(キュー内の複数の印刷ジョブを単一ジョブと見做した場合の生産性)が低下する。
【0051】
ここで、第1ジョブおよび第2ジョブに加え、使用する用紙Sが普通紙の印刷ジョブ(ここでは、第3ジョブと称する)がキュー内に存在するとする。この例において、第1ジョブ、第2ジョブおよび第3ジョブをこの順番で実行すると、第1ジョブの終了後(第2ジョブの開始前)および第2ジョブの終了後(第3ジョブの開始前)にそれぞれ印刷設定の切り替えを行わなければならない。すなわち、印刷設定の切替回数は2回である。
【0052】
一方で、第1ジョブ、第3ジョブおよび第2ジョブの順番となっていれば、第1ジョブの終了後、印刷設定を切り替えることなく続けて、第3ジョブを実行できる。この場合の印刷設定の切替回数は1回である。このため、第1ジョブ、第3ジョブおよび第2ジョブをこの順番で実行する場合には、第1ジョブ、第2ジョブおよび第3ジョブをこの順番で実行する場合よりも、生産性の低下が抑制される。
【0053】
このようにキュー内の複数の印刷ジョブを連続して実行する場合、印刷ジョブの実行順を変更する(受付順とは別の順番に変更する)ことにより、印刷設定の切替回数を減らすことができる場合がある。印刷設定の切替回数を減らすことができれば、印刷設定の切り替えに起因する生産性の低下を抑制できる。
【0054】
<解消方法の報知>
制御部1は、単位時間当たりの印刷枚数で示される生産性の予め定められた目標値からの低下率を求める。たとえば、制御部1は、
図3で示される時間的な間隔T(紙間)を求め、求めた紙間の目標間隔からの変化率を生産性の低下率として求める。紙間が目標間隔に対して大きくなると、生産性が低下する。紙間が目標間隔に対して大きいほど、生産性の低下率が大きくなる。
【0055】
制御部1は、印刷ジョブを実行するごとに、実行した印刷ジョブにおける生産性の低下率を求める。たとえば、制御部1は、搬送センサーの出力値に基づき、出力される印刷済み用紙Sの前端到達を検知する。また、制御部1は、印刷済み用紙Sが出力されると、その都度、先行用紙Sの前端到達を検知してから後行用紙Sの前端到達を検知するまでの時間を検知し、検知した時間の平均値を紙間として求める。
【0056】
また、印刷ジョブを実行するとき(印刷ジョブの開始前)、制御部1は、今回実行する印刷ジョブのジョブデータに基づき、生産性の低下率を予測する予測処理を行う。キュー内の複数の印刷ジョブを連続して実行するとき、制御部1は、連続して実行する複数の印刷ジョブの各ジョブデータに基づき、複数の印刷ジョブを単一ジョブとして予測処理を行う。
【0057】
ジョブデータは、今回実行する印刷ジョブで印刷すべき画像データを含む。また、ジョブデータは、ユーザーにより設定された印刷ジョブの設定内容(印刷条件)を示す設定情報を含む。たとえば、設定情報では、印刷ジョブで使用する用紙Sの種類(坪量およびサイズなど)が示される。また、設定情報では、印刷枚数および印刷部数が示される。制御部1による印刷設定は、ジョブデータに基づき行われる。
【0058】
予測処理を行うとき、制御部1は、設定情報で示される設定内容を認識する。また、各セット部20の状態を示すセット部情報を認識する。セット部情報は、セット部20にセットされている用紙Sのサイズ、坪量および残枚数などをセット部20ごとに示す情報である。制御部1は、ジョブデータ(設定情報)とセット部情報とに基づき、切替処理が必要な状態になるか否かを判断する。また、制御部1は、設定情報に基づき、行うべき印刷設定の内容(たとえば、定着装置の保持温度)を認識する。
【0059】
ここで、切替処理が行われることによって用紙遅れが発生した場合の紙間がメーカーによって予め求められ、制御部1の記憶デバイスに記憶される。また、印刷設定にかかる時間がメーカーによって予め定められ、制御部1の記憶デバイスに記憶される。たとえば、印刷設定では、定着装置の温度を定着制御温度に昇温する処理が行われる。このため、定着装置の印刷設定に関しては、定着装置の温度が定着制御温度に達するまでにかかる時間が求められ、記憶される。
【0060】
たとえば、画像形成装置100が60枚機(目標間隔が1秒)であるとする。また、今回実行する印刷ジョブの印刷枚数が60枚であるとする。そして、今回実行する印刷ジョブでは切替処理が必要な状態になるとする。
【0061】
この場合、制御部1による予測処理では、60枚分の印刷に要する目標時間(60秒)と切替処理にかかる時間との合計を印刷枚数で除した値が紙間として求められる。このため、生産性が目標値よりも低下すると予測される。切替処理にかかる時間が長いほど、予測処理で求められる低下率(求められた紙間の目標間隔からの変化率)が大きくなる。
【0062】
また、制御部1は、生産性の低下率と閾値との比較を行う。制御部1は、生産性の低下率(求めた低下率)が閾値を超えているか否かを判断する。生産性の低下率が閾値を超えていると判断したとき、制御部1は、生産性の低下の解消方法に関する報知処理を表示入力部3に行わせる。
【0063】
ここで、報知処理で報知する内容は一定ではない。表示入力部3に報知処理を行わせるとき、制御部1は、生産性の低下率が閾値を超えた要因を認識し、認識した要因に応じて報知処理で報知する内容を変える。
【0064】
この構成によると、生産性が低下している場合(生産性の低下率が閾値を超えている場合)、生産性の低下要因に応じた適切な報知をユーザーに対し行うことができる。ユーザーからすると、生産性が低下している場合、容易に、低下要因に応じた適切な対策をとることができるので、利便性が良い。
【0065】
また、表示入力部3は、生産性の低下率と比較する値の入力を受け付ける。そして、制御部1は、表示入力部3に入力された値を閾値に設定する。すなわち、ユーザーは任意に閾値を設定できる。これにより、生産性の低下率がユーザーの許容範囲外であるにもかかわらず報知処理が行われない、という不都合の発生を抑制できる。また、生産性の低下がユーザーの許容範囲内であるにもかかわらず報知処理が行われる、という不都合の発生を抑制できる。
【0066】
制御部1は、印刷ジョブが終了するごとに、今回実行した印刷ジョブの生産性の低下率が閾値を超えたか否かを判断する。そして、制御部1は、生産性の低下率が閾値を超えた印刷ジョブの終了後、表示入力部3に報知処理を行わせる。これにより、ユーザーからすると、生産性の低下抑制に必要な作業を直ちに行うことができるので、利便性が良い。言い換えると、当該作業を次の印刷ジョブの実行前に行うことができるので、次の印刷ジョブで生産性が低下することを抑制できる。
【0067】
以下に、
図4に示すフローチャートを参照し、印刷ジョブの終了後に制御部1が行う処理の流れを説明する。
図4に示すフローは、印刷ジョブが終了したときにスタートする。なお、制御部1は、印刷ジョブの実行中、用紙Sごとに、用紙遅れが発生したか否かの判断を行う。
【0068】
ステップS1において、制御部1は、今回実行した印刷ジョブで用紙遅れ(印刷ジョブの停止が不要な用紙遅れ)が発生したか否かを判断する。用紙遅れが発生したと制御部1が判断した場合には、ステップS2に移行する。用紙遅れが発生していないと制御部1が判断した場合には、本フローは終了する。
【0069】
ステップS2において、制御部1は、用紙遅れが発生した印刷ジョブ(今回実行した印刷ジョブ)の生産性の低下率を求める。そして、制御部1は、生産性の低下率が閾値を超えているか否かを判断する。生産性の低下率が閾値を超えていると制御部1が判断した場合には、ステップS3に移行する。生産性の低下率が閾値を超えていないと制御部1が判断した場合には、本フローは終了する。
【0070】
ステップS3において、制御部1は、用紙遅れの解消方法の報知を報知処理として表示入力部3に行わせる。用紙遅れが解消されると、生産性の低下を抑制できる。このため、用紙遅れの解消方法を報知することが好ましい。用紙遅れの解消方法として報知する内容について、以下に具体的に説明する。
【0071】
制御部1は、生産性の低下率が閾値を超えている印刷ジョブで使用した用紙Sの種類を認識する。ここで、普通紙よりも坪量が大きい厚紙は、普通紙よりも腰が強い。したがって、用紙Sが厚紙である場合には普通紙である場合よりも、給紙部21(ローラー部材210)による給紙時に用紙Sにかかる抵抗が大きい。すなわち、用紙Sが厚紙である場合には普通紙である場合よりも、ローラー部材210がスリップし易く、用紙遅れが発生し易い。
【0072】
そこで、生産性の低下率が閾値を超えている印刷ジョブで使用した用紙Sが厚紙であったとき、制御部1は、印刷ジョブで使用する用紙Sの種類の変更を促す旨を用紙遅れの解消方法として表示入力部3に報知させる。たとえば、表示入力部3は、印刷ジョブで使用した用紙Sが厚紙であった場合の報知処理として、
図5に示すようなメッセージM1を表示する。
図5に示すメッセージM1の内容は一例であり、適宜変更可能である。
【0073】
また、制御部1は、生産性の低下率が閾値を超えている印刷ジョブで給紙元に設定していたセット部20を認識する。そして、給紙元が第1セット部201(給紙部21のスリップが発生し易いセット部20)であったとき、制御部1は、印刷ジョブで使用するセット部20の変更(給紙元の変更)を促す旨を用紙遅れの解消方法として表示入力部3に報知させる。たとえば、表示入力部3は、給紙元が第1セット部201であった場合の報知処理として、
図6に示すようなメッセージM2を表示する。
図6に示すメッセージM2の内容は一例であり、適宜変更可能である。
【0074】
また、制御部1は、生産性の低下率が閾値を超えている印刷ジョブの終了後、給紙部21のメンテナンスが前回行われてからの累計給紙枚数を認識する。たとえば、給紙部21のメンテナンスでは、ローラー部材210の清掃または交換が行われる。そして、累計給紙枚数が所定枚数(許容枚数)を超えていたとき、制御部1は、給紙部21(ローラー部材210)の清掃を促す旨を用紙遅れの解消方法として表示入力部3に表示させる。たとえば、表示入力部3は、累計給紙枚数が所定枚数を超えていた場合の報知処理として、
図7に示すようなメッセージM3を表示する。
図7に示すメッセージM3の内容は一例であり、適宜変更可能である。
【0075】
報知処理が行われることにより、用紙遅れを解消するための作業がユーザーによって行われる。たとえば、表示入力部3は、用紙遅れの解消作業を行ったか否かをユーザーから受け付ける。制御部1は、用紙遅れが発生した印刷ジョブの終了後、用紙遅れの解消作業が行われたか否かを判断する。
【0076】
そして、用紙遅れの解消作業が行われていない状態で、新たな印刷ジョブの実行要求を受け付けたとき、制御部1は、用紙遅れの解消方法を表示入力部3に行わせる。これにより、新たな印刷ジョブの実行前、用紙遅れの解消作業が必要である旨をユーザーに認識させることができる。結果として、用紙遅れの解消作業が行われると、新たな印刷ジョブで生産性が低下すること(用紙遅れが発生すること)を抑制できる。
【0077】
なお、給紙元のセット部20から用紙Sが無くなったことで切替処理が行われると、用紙遅れが発生して生産性が低下する場合がある。しかし、制御部1は、給紙元のセット部20から用紙Sが無くなった場合、生産性が低下したか否かにかかわらず、用紙切れが発生した旨(用紙Sの補充を促す旨)のメッセージを表示入力部3に表示させる。
【0078】
また、印刷ジョブを実行するとき、制御部1は、今回実行する印刷ジョブを対象とした予測処理の結果に基づき、報知処理の要否を判断する。すなわち、制御部1は、生産性の低下率を予測し、予測した低下率が閾値を超えているとき、印刷ジョブの開始前に表示入力部3に報知処理を行わせる。この構成では、生産性の低下を抑制するための対策を印刷ジョブの開始前にとることができる。これにより、印刷ジョブの生産性が低下することを抑制できる。
【0079】
以下に、
図8に示すフローチャートを参照し、印刷ジョブの開始前に制御部1が行う処理の流れを説明する。
図8に示すフローは、印刷ジョブを実行するとき(印刷ジョブの開始前)にスタートする。
【0080】
ステップS11において、制御部1は、今回実行する印刷ジョブのジョブデータに基づき、今回実行する印刷ジョブの生産性の低下率を予測する。複数の印刷ジョブがキュー内に存在するとき、制御部1は、キュー内の複数の印刷ジョブを単一ジョブとして予測処理を行う。なお、複数の印刷ジョブがキュー内に存在するとき、キュー内の複数の印刷ジョブが連続して実行される。このため、複数の印刷ジョブがキュー内に存在するときは、キュー内の複数の印刷ジョブを単一ジョブとして予測処理を行うことが好ましい。
【0081】
ステップS12において、制御部1は、予測処理で予測した生産性の低下率が閾値を超えているか否かを判断する。予測処理で予測した生産性の低下率が閾値を超えていると制御部1が判断した場合には、ステップS13に移行する。予測処理で予測した生産性の低下率が閾値を超えていないと制御部1が判断した場合には、本フローは終了する。
【0082】
ステップS3において、制御部1は、表示入力部3に報知処理を行わせる。以下、このときに行われる報知処理の報知内容について具体的に説明する。
【0083】
ステップS13に移行した場合、制御部1は、セット部情報に基づき各セット部20の現在状態(残枚数など)を認識し、現在状態のままで印刷ジョブを開始するとジョブ実行中に切替処理が必要な状態になるか否かを判断する。そして、切替処理が必要な状態になると判断したとき、制御部1は、セット部20の確認を促す旨の報知を報知処理として表示入力部3に行わせる。たとえば、表示入力部3は、セット部20の確認を促す旨の報知処理として、
図9および
図10に示すようなメッセージM4を表示する。
図9および
図10に示すメッセージM4の内容は一例であり、適宜変更可能である。
【0084】
たとえば、印刷ジョブの実行中に上段セット部201から下段セット部201への切替処理が発生する場合、表示入力部3は、上段セット部201と下段セット部201の用紙Sの入れ替えを促すメッセージM41(
図9参照)を表示する。上段セット部201と下段セット部201の用紙Sを入れ替えて印刷ジョブを実行すると、上段セット部201から下段セット部201への切替処理は発生せず、下段セット部201から上段セット部201への切替処理が発生することになる。これにより、生産性の低下を抑制できる。
【0085】
また、たとえば、優先的に給紙元に設定されるセット部20の残枚数が印刷予定枚数よりも少ない場合、表示入力部3は、給紙元となるセット部20への用紙Sの補充を促すメッセージM42(
図10参照)を表示する。給紙元となるセット部20への用紙Sの補充が行われることにより、印刷ジョブの実行中に給紙元から用紙Sが無くなることを抑制できる。すなわち、印刷ジョブの実行中に切替処理が発生することを抑制できる。これにより、生産性の低下を抑制できる。
【0086】
また、ステップS13に移行した場合(予測処理で予測した生産性の低下率が閾値を超えている場合)であって、複数の印刷ジョブを連続して実行する場合、制御部1は、印刷ジョブの現在の実行順(受付順)を認識する。また、現在の実行順で複数の印刷ジョブを実行した場合の印刷設定の切替回数を求める。そして、制御部1は、印刷設定の切替回数が現在の実行順よりも少なくなる順番が存在するか否かを判断する。
【0087】
予測処理で予測した生産性の低下率が閾値を超えている場合において、印刷設定の切替回数が現在の実行順よりも少なくなる順番が存在すると判断したとき、制御部1は、印刷ジョブの実行順の確認(順番の変更)を促す旨の報知を報知処理として表示入力部3に行わせる。たとえば、表示入力部3は、印刷ジョブの実行順の確認を促す旨の報知処理として、
図11に示すようなメッセージM5を表示する。
図11に示すメッセージM5の内容は一例であり、適宜変更可能である。図示しないが、印刷設定の切替回数が現在の実行順よりも少なくなる順番を報知(表示)してもよい。
【0088】
メッセージM5が表示されることにより、キュー内に存在する複数の印刷ジョブの実行順の見直しがユーザーによって行われる。その結果、印刷設定の切替回数がより少なくなる順番に変更されると、生産性の低下を抑制できる。
【0089】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1 制御部
2 印刷部
3 表示入力部
20 セット部
100 画像形成装置
S 用紙