(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182544
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】データ流通仲介システム、及びデータ流通仲介方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221201BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20221201BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090155
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャフリル バンダラ
(72)【発明者】
【氏名】木谷 光博
(72)【発明者】
【氏名】飯室 聡
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
5L049BB67
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】サービスを利用するためのデータの提供に同意する手続きにおけるユーザの負担を低減する。
【解決手段】プロセッサと、記憶部と、を有するデータ流通仲介システムであって、記憶部は、ユーザが過去に利用した複数のサービスの利用状況情報を保持し、プロセッサは、ユーザが新たに利用しようとする第1のサービスを提供する事業者が、第1のサービスの利用規約に基づいて、ユーザに提供を要求するデータの項目を示す情報を取得し、利用状況情報に基づいて、ユーザが過去に利用した複数のサービスから第2のサービスを選択し、第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの項目と、第2のサービスの利用規約に基づいて提供されたデータの項目との差分を抽出し、差分を示す情報を出力し、第1のサービスの利用規約に同意することを示す情報が取得された場合、第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの流通を制御する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、記憶部と、を有するデータ流通仲介システムであって、
前記記憶部は、ユーザが過去に利用した複数のサービスの利用状況を示す利用状況情報を保持し、
前記プロセッサは、
前記ユーザが新たに利用しようとする第1のサービスを提供する事業者が、前記第1のサービスの利用規約に基づいて、前記ユーザに提供を要求するデータの項目を示す情報を取得し、
前記利用状況情報に基づいて、前記ユーザが過去に利用した複数のサービスから第2のサービスを選択し、
前記第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの項目と、前記第2のサービスの利用規約に基づいて提供されたデータの項目との差分を抽出し、
前記抽出された差分を示す情報を出力し、
前記第1のサービスの利用規約に同意することを示す情報が取得された場合、前記第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータを保持する事業者から前記第1のサービスを提供する事業者へのデータの流通を制御することを特徴とするデータ流通仲介システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ流通仲介システムであって、
前記利用状況情報は、前記ユーザが過去に利用した複数のサービスのサービス名、提供する事業者名、サービスのカテゴリ、利用頻度、利用期間、利用規約、及び、提供する事業者の信用度の少なくとも一つを含み、
前記プロセッサは、前記ユーザが過去に利用した複数のサービスのうち、前記利用頻度が高いサービス、前記利用期間が長いサービス又は前記信用度が高い事業者が提供するサービスを前記第2のサービスとして選択することを特徴とするデータ流通仲介システム。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ流通仲介システムであって、
前記記憶部は、前記ユーザが過去に利用した複数のサービスの利用規約に基づいて提供されたデータの項目の重要度を示す重要度情報を保持し、
前記プロセッサは、
前記ユーザが過去に利用した複数のサービスの各々について、前記利用規約に基づいて提供されたデータの項目の重要度の合計を計算し、
前記重要度の合計が高いほど前記信用度が高くなるように、前記信用度を計算することを特徴とするデータ流通仲介システム。
【請求項4】
請求項3に記載のデータ流通仲介システムであって、
前記重要度は、データを悪用された場合のリスクの大きさを示す指標であることを特徴とするデータ流通仲介システム。
【請求項5】
請求項3に記載のデータ流通仲介システムであって、
前記プロセッサは、
前記利用頻度が高いほど前記信用度が高くなり、前記利用期間が長いほど前記信用度が高くなり、かつ、前記重要度が高いほど前記信用度が高くなるように、前記信用度を計算し、
前記信用度が高い事業者が提供するサービスを前記第2のサービスとして選択することを特徴とするデータ流通仲介システム。
【請求項6】
請求項2に記載のデータ流通仲介システムであって、
前記記憶部は、比較対象のデータの項目を指定する情報を保持し、
前記プロセッサは、前記比較対象のデータの項目について、前記第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの項目と、前記第2のサービスの利用規約に基づいて提供されたデータの項目との差分を抽出することを特徴とするデータ流通仲介システム。
【請求項7】
請求項2に記載のデータ流通仲介システムであって、
前記記憶部は、前記ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意するために前記差分が満たすべき第1の条件、及び、前記ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意しないために前記差分が満たすべき第2の条件の少なくとも一方を保持し、
前記プロセッサは、前記差分が前記第1の条件を満たす場合、前記ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意すると判定し、前記差分が前記第2の条件を満たす場合、前記ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意しないと判定することを特徴とするデータ流通仲介システム。
【請求項8】
請求項2に記載のデータ流通仲介システムであって、
前記記憶部は、前記ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意するために前記第1のサービスの利用規約が満たすべき第3の条件、及び、前記ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意しないために前記第1のサービスの利用規約が満たすべき第4の条件の少なくとも一方を保持し、
前記プロセッサは、前記第1のサービスの利用規約が前記第3の条件を満たす場合、前記差分にかかわらず、前記ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意すると判定し、前記第1のサービスの利用規約が前記第4の条件を満たす場合、前記差分にかかわらず、前記ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意しないと判定することを特徴とするデータ流通仲介システム。
【請求項9】
請求項8に記載のデータ流通仲介システムであって、
前記第3の条件及び前記第4の条件は、前記第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの項目、前記データの取得方法、前記データの利用目的、前記データの匿名加工の有無、前記データの第三者への提供の有無、前記データの保存期間、及び、前記ユーザが関与できる前記データの取り扱いの少なくともいずれかに関する条件であることを特徴とするデータ流通仲介システム。
【請求項10】
プロセッサと、記憶部と、を有するデータ流通仲介システムが実行するデータ流通仲介方法であって、
前記記憶部は、ユーザが過去に利用した複数のサービスの利用状況を示す利用状況情報を保持し、
前記データ流通仲介方法は、
前記プロセッサが、前記ユーザが新たに利用しようとする第1のサービスを提供する事業者が、前記第1のサービスの利用規約に基づいて、前記ユーザに提供を要求するデータの項目を示す情報を取得する手順と、
前記プロセッサが、前記利用状況情報に基づいて、前記ユーザが過去に利用した複数のサービスから第2のサービスを選択する手順と、
前記プロセッサが、前記第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの項目と、前記第2のサービスの利用規約に基づいて提供されたデータの項目との差分を抽出する手順と、
前記プロセッサが、前記抽出された差分を示す情報を出力する手順と、
前記プロセッサが、前記第1のサービスの利用規約に同意することを示す情報が入力された場合、前記第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータを保持する事業者から前記第1のサービスを提供する事業者へのデータの流通を制御する手順と、を含むことを特徴とするデータ流通仲介方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの流通を仲介する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第三者であるサービス事業者へパーソナルデータを提供する場合、データ所有者であるユーザの同意を取得する必要がある。ユーザに対する同意手続きを軽減する技術として、例えば特開2020-24511号公報(特許文献1)に記載された技術がある。特許文献1では、第1の時期にユーザから同意を得て提供するパーソナルデータを記録する。第1の時期より後の第2の時期にパーソナルデータを提供する場合、第1の時期に提供する情報の量と第2の時期に提供する情報の量とを比較し、情報量が異なる場合、異なる情報の変化量に応じて同意の取得要否を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、同じ第三者において過去に提供するデータの情報量と現在提供するデータの情報量を比較する必要があり、過去に提供したことがない第三者へデータを提供する場合、過去に比較する情報がないという問題があった。そのため、過去に提出したことがない第三者においては同意手続きを実施する必要があり、ユーザの負担が増大する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題の少なくとも一つを解決するために、本発明に係るデータ流通仲介装置は、プロセッサと、記憶部と、を有し、前記記憶部は、ユーザが過去に利用した複数のサービスの利用状況を示す利用状況情報を保持し、前記プロセッサは、前記ユーザが新たに利用しようとする第1のサービスを提供する事業者が、前記第1のサービスの利用規約に基づいて、前記ユーザに提供を要求するデータの項目を示す情報を取得し、前記利用状況情報に基づいて、前記ユーザが過去に利用した複数のサービスから第2のサービスを選択し、前記第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの項目と、前記第2のサービスの利用規約に基づいて提供されたデータの項目との差分を抽出し、前記抽出された差分を示す情報を出力し、前記第1のサービスの利用規約に同意することを示す情報が取得された場合、前記第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータを保持する事業者から前記第1のサービスを提供する事業者へのデータの流通を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、サービスを利用するためのデータの提供に同意する手続きにおけるユーザの負担を低減することが出来る。なお、上記した以外の目的、構成、効果は、以下の実施形態において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例1に係るデータ流通システム構成の一例を示している。
【
図2A】本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2B】本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るデータ流通仲介方法の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図4】本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置がサービス事業者への信用度を計算する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置が利用規約の差分を抽出する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置が保持するサービス利用状況テーブルの一例を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置が保持するデータ重要度テーブルの一例を示す説明図である。
【
図8】本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置が保持する利用規約テーブルの一例を示す説明図である。
【
図9】本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置が保持する規約差分テーブルの一例を示す説明図である。
【
図10】本発明の実施例1に係るデータ流通システムを構成するデータ所有者端末が表示する同意要求画面の一例を示す説明図である。
【
図11】本発明の実施例2に係るデータ流通仲介装置が比較対象の事業者を抽出する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例2に係るデータ流通仲介装置が利用規約の差分を算出する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施例2に係るデータ流通仲介装置が保持するユーザ指定テーブルの一例を示す説明図である。
【
図14A】本発明の実施例2においてタイプによる比較が行われた場合にユーザに通知される画面の一例を示す説明図である。
【
図14B】本発明の実施例2においてユーザに対する同意要求が省略された場合にユーザに通知される画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。全図において同一の構成
、ステップには同一の符号をつけ、重複説明を省略する。
【実施例0009】
<
図1:データ流通システム構成>
図1は、本発明の実施例1に係るデータ流通システム構成の一例を示している。
【0010】
図1において、データ流通システムは、データ提供装置101、102、・・・、10N(Nは、N>0の整数)と、データ流通仲介装置100と、データ利用装置201、202、・・・20Nと、データ所有者端末301、・・・、30Nとを備える。データ流通仲介装置100は通信ネットワーク40と接続され、該通信ネットワーク40には、データ提供装置101、102、・・・、10Nが接続される。また、データ流通仲介装置100は通信ネットワーク50に接続され、該通信ネットワーク50には、データ利用装置201、202、・・・、20Nが接続される。さらに、データ流通仲介装置100は通信ネットワーク60にも接続され、該通信ネットワークには、データ所有者端末301、・・・、30Nが接続される。
【0011】
なお、通信ネットワーク40と通信ネットワーク50と通信ネットワーク60とは同じネットワークであっても良い。
【0012】
データ提供装置10Nは、ユーザに対してサービスを提供しているサービス事業者が使用する装置であり、ユーザがサービスを利用することで該ユーザに関するパーソナルデータがデータ提供装置10Nに蓄積される。以下、データ提供装置101、102、・・・、10Nのうち、任意のデータ提供装置をデータ提供装置10Nと記載する。
【0013】
データ利用装置20Nは、ユーザに対してサービスを提供する事業者が使用する装置であり、サービス提供のためにデータ提供装置10Nに蓄積されるユーザのパーソナルデータを必要としている。以下、データ利用装置201、202、・・・、20Nのうち、任意のデータ利用装置をデータ利用装置20Nと記載する。
【0014】
データ所有者端末30Nは、データ提供装置10Nに蓄積するパーソナルデータを所有するユーザが、データ利用装置20Nが提供するサービスの利用を希望し、該ユーザのパーソナルデータをデータ利用装置20Nに提供しても良いか否かの設定操作、及び、サービスの利用に用いられる。以下、データ所有者端末301、・・・、30Nのうち、任意のデータ所有者端末をデータ所有者端末30Nと記載する。
【0015】
なお、データ流通システムを構成するデータ提供装置10Nの数、データ利用装置20Nの数、及びデータ所有者端末30Nの数はそれぞれ任意であり、両者が同じ数でなくても良い。
【0016】
本実施例に係るデータ所有者端末30Nは、専用のハードウェアによって実現されるものであっても良く、又は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理処置)及びメモリ等によって構成され、各部の機能を実現するためのコンピュータプログラムをCPUが実行することによってその機能を実現させるものであっても良い。例えば、データ所有者端末30Nは、スマートフォン又は自動車のカーナビゲーションのスマートデバイス等の移動通信端末装置であっても良いし、据置き型の通信端末(例えば、パーソナルコンピュータ)であっても良い。
【0017】
<
図2:データ流通仲介装置100の構成>
図2Aは、本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
データ流通仲介装置100は、通信部1100と、データ提供管理部1200と、利用規約管理部1300と、サービス事業者管理部1400と、同意手続き管理部1500と、データ流通制御部1600と、記憶部2000と、から構成される。
【0019】
通信部1100は、通信ネットワーク40を介して、データ提供装置10Nとの通信を行い、通信ネットワーク50を介して、データ利用装置20Nとの通信を行い、通信ネットワーク60を介して、データ所有者端末30Nとの通信を行う。例えば、通信部1100は、データ利用装置20Nからユーザが利用したいサービスの規約を受信し、利用規約管理部1300に転送する。また、通信部1100は、利用規約管理部1300で確定した規約をデータ所有者端末30Nへ送信し、規約の同意を求める。また、通信部1100は、データ所有者端末30から同意の結果を受信し、同意手続き管理部1500が同意の結果を記録する。
【0020】
データ提供管理部1200は、ユーザがデータ利用装置20Nによって提供されるサービスを利用するときにデータ提供装置10Nからデータ利用装置20Nに提供されるデータを記録し、管理する。
【0021】
利用規約管理部1300は、ユーザが利用したいデータ利用装置20Nが提供するサービスにおいてユーザとサービス事業者との間に合意する規約を、データ利用装置20Nから取得し、不備がないかを確認し、ユーザに開示する規約を管理する。
【0022】
サービス事業者管理部1400は、サービス利用管理部1401と、規約差分抽出部1402と、から構成される。
【0023】
サービス利用管理部1401は、データ所有者端末30Nを通じてユーザが利用しているサービスにおける、サービスの内容、サービスを提供する事業者の情報、サービスの利用状況、サービスの利用規約、等を管理する。
【0024】
規約差分抽出部1402は、サービス利用管理部1401で管理するユーザが利用しているサービス事業者のリストの中から一つのサービス事業者を選択し、そのサービス事業者のサービス利用規約と新たに利用したいサービス事業者のサービス利用規約とを比較し、両規約の差分を抽出する。
【0025】
同意手続き管理部1500は、同意通知生成部1501と、同意取得部1502と、から構成される。
【0026】
同意通知生成部1501は、ユーザが利用している事業者のサービス利用規約とユーザが利用したい事業者のサービス利用規約との差分を規約差分抽出部1403が抽出した結果をもとに、通信部1100を通じてデータ所有者端末30Nに送信する同意要求通知を生成する。同意通知生成部1501が生成した通知を受け取ったユーザは、データ所有者端末30Nを使用して同意するかしないかを確定し、その結果をデータ流通仲介装置100に送信する。
【0027】
同意取得部1502は、通信部1100が受信したユーザの同意結果を取得し、管理する。
【0028】
データ流通制御部1600は、同意手続き管理部1500が管理する、ユーザが同意したサービス利用規約に基づいて、データ提供装置10Nに蓄積されたユーザのパーソナルデータを、データ利用装置20Nに流通することを制御する。
【0029】
記憶部2000は、通信部1100、データ提供管理部1200、利用規約管理部1300、サービス事業者管理部1400、同意手続き管理部1500及びデータ流通制御部1600の各部の機能を実現する際に生成したデータを記憶したり、各部が必要なデータを提供したりする。
【0030】
本実施例に係るデータ流通仲介装置100は、専用のハードウェアによって実現されるものであっても良いし、CPU及びメモリ等によって構成され、各部の機能を実現するためのコンピュータプログラムをCPUが実行することによってその機能を実現させるものであっても良い。例えば、データ流通仲介装置100は、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータによって構成され、
図2Aに表示されるデータ流通仲介装置100の各部の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータが実行することによって、その機能を実現させるものであっても良い。
【0031】
図2Bは、本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0032】
データ流通仲介装置100は、通信部1100と、CPU3000と、メモリ4000と、記憶部2000と、から構成されてもよい。その場合、メモリ4000にデータ提供管理部1200、利用規約管理部1300、サービス事業者管理部1400、同意手続き管理部1500及びデータ流通制御部1600の機能を実現するためのコンピュータプログラムが格納され、CPU3000がそれを実行することによって、上記の機能が実現される。また、上記のコンピュータプログラムの機能は、単一の装置で実現されてもよいし、相互に通信可能に接続された複数の装置によって実現されてもよい。単一又は複数の装置によって上記の機能が実現されうることに基づいて、データ流通仲介装置をデータ流通仲介システムと読み替えてもよい。
【0033】
次に本実施形態に係るデータ流通仲介方法を説明する。
【0034】
<
図3:サービス利用の手順>
図3を参照して、本実施形態に係るデータ流通仲介方法を説明する。
図3は、本発明の実施例1に係るデータ流通仲介方法の一例を示すシーケンスチャートである。具体的には、
図3は、ユーザがサービスの利用を要求してからサービスを利用するまでの手順を示す。
【0035】
ステップS101において、データ所有者端末30Nは、ユーザの操作に応じて、データ流通仲介装置100にデータ利用装置20Nが提供するサービスの利用要求を送信する。サービス利用要求は、サービスID及びユーザIDを含むメッセージである。サービスIDは、データ利用装置20Nが提供するサービスを識別する情報である。ユーザIDは、ユーザを識別する情報である。データ流通仲介装置100は、通信部1100を介してサービス利用要求を受信する。データ流通仲介装置100は、受信したサービス利用要求を保持する。
【0036】
ステップS102において、データ流通仲介装置100は、受信したサービス利用要求に含まれるサービスIDに該当するデータ利用装置20Nに、該サービスIDにおけるサービス利用規約送信要求を、通信部1100を介して送信する。データ流通仲介装置100は、サービスIDとデータ利用装置20Nとを関連付ける情報をあらかじめ保持する。サービス利用規約送信要求は、サービスIDを含むメッセージであって、サービス事業者が定めた規約の送信を要求するメッセージである。サービス利用規約の要求は、データ利用装置20Nによって受信される。
【0037】
ステップS103において、データ利用装置20Nは、受信したサービス利用規約要求に含まれるサービスIDに対応するサービス利用規約をデータ流通仲介装置100へ送信する。該サービスIDに対応するサービス利用規約データは、該サービスIDに対応するサービスを提供するサービス事業者が定めた利用規約を表現する情報を含むデータである。
【0038】
通信部1100を介して受信した規約データは、利用規約管理部1300が利用規約テーブルとして管理する。利用規約テーブルは記憶部2000で保持する。
【0039】
図8は、本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置100が保持する利用規約テーブルの一例を示す説明図である。
【0040】
図8に示すように、利用規約テーブル800は、ID801、項目名802及び項目内容803を含む。ID801は利用規約の項目を識別する情報である。項目名802は、項目の名称を表す。項目の名称として、例えば、サービス概要、事業者、利用データ、データ取得方法、利用目的、加工利用、第三者提供、保存期間、本人関与及び問合せ先等がある。項目内容803は、該サービスにおいての項目ごとの規約内容が記載される。
【0041】
図8には、例として、「A社」という事業者が提供する「グルメ紹介サービス」に関する利用規約を示す。ここに例示した利用規約によれば、ユーザは、該サービスを利用するために「氏名」、「メールアドレス」、「位置情報」、「訪問履歴情報」及び「口コミ記載情報」等の情報を事業者に対して提供する必要があり、それらの情報はアプリケーションの起動時に取得され、サービス最適化を目的として、匿名加工した上で利用され、第三者(すなわち「A社」以外の者)には提供されず、アプリケーションがアンインストールされるまで保存され、利用者本人が情報の開示、利用停止、訂正、削除及び同意撤回に関与することができる。
【0042】
なお、口コミとは、一般には口頭によるコミュニケーションを意味する。しかし、本実施例における口コミ記載情報は、口頭によるものに限定せず、ユーザによって生成され、主にユーザ間で流通する情報を指す。口コミ記載情報の内容及び流通態様は限定しないが、その典型的な例は、ユーザが利用したサービスに対するユーザ自身による評価又は感想等の情報であって、SNS(Social Networking Service)又はレビューサイト等を介して流通するものである。
【0043】
図8では三列と十一行から構成されている場合を例示して説明するが、利用規約テーブル800の列数及び行数はこれに限定されるものではない。例えば、「利用データ」として保持された「氏名」、「メールアドレス」等の項目ごとに、データ取得方法、利用目的、加工利用、第三者提供、保存期間及び本人関与等の情報が設定されてもよい。
【0044】
再び
図3を参照する。ステップS104において、利用規約管理部1300は、該サービスの利用規約を記憶部2000から取り出し、該サービスの利用規約に不備がないかを確認する。不備があった場合は、不備がある部分を記録し、確認の結果を、通信部1100を通じてデータ利用装置20Nに送信する。
【0045】
ステップS105において、データ利用装置20Nは、利用規約管理部1300が確認した該サービスの利用規約を受信し、不備があった場合は、該サービスの利用規約を修正し、ユーザに開示する規約を確定する。確定した該サービスの利用規約は通信部1100に送信され、記憶部2000で保持される。
【0046】
ステップS106において、サービス利用管理部1401は、ステップS107で行う規約差分を抽出するために、ユーザが既に利用しているサービス事業者から比較対象の事業者を抽出する。このとき、サービス利用管理部1401は、ユーザが既に利用しているサービス事業者に対する信用の度合いを計算し、信用度をもとに比較対象を選択してもよい。例えば、比較対象とすべき適切な事業者として、ユーザが利用しているサービス事業者の中から最も信用度の高い事業者が選択される。ただし、信用度が高い事業者が選択されれば、必ずしも最も信用度が高い事業者が選択されなくてもよい。例えば信用度が所定の条件を満たす複数の事業者(例えば信用度が上位の複数の事業者又は信用度が所定の基準より高い複数の事業者)からユーザが選択するなどの方法で、信用度が高いいずれかの事業者が選択されてもよい。この信用度合いを計算する方法の一例を、
図4を参照して以下に説明する。
【0047】
<
図4:サービス事業者への信用度を計算する処理>
図4は、本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置100がサービス事業者への信用度を計算する処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS201において、サービス利用管理部1401は、ユーザが利用しているサービスの利用状況を取得する。
【0049】
図6は、本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置100が保持するサービス利用状況テーブルの一例を示す説明図である。
【0050】
図6に示すようにサービス利用状況テーブル600は、ID601、サービス名602、サービス事業者名603、サービスカテゴリ604、利用頻度605、利用期間606、規約607及び信用度608を含む。
【0051】
ID601はサービスを識別する情報である。サービス名602はサービス名称である。サービス事業者名603は、サービスを提供する事業者の名称である。サービスカテゴリ604は、サービス内容の分類情報である。例えば、自動車関連サービスのカテゴリとして、メンテナンス、ナビゲーション、保険、及びエンターテイメントがある。
【0052】
利用頻度605は、一定期間においてユーザが該サービスを利用する回数である。利用期間606は、ユーザが該サービスを利用する期間である。規約607は、該サービスの利用規約の情報である。信用度608は、該サービスを提供する事業者に対するユーザの信用度合いを示す。サービス利用管理部1401が信用度を計算した結果が信用度608に格納される。
【0053】
図6ではサービス利用状況テーブル600が8列から構成されている例を示して説明するが、サービス利用状況テーブル600の構成はこれに限定されるものではない。
【0054】
再び
図4を参照する。ステップS202において、サービス利用管理部1401は、ステップS201で取得したユーザが利用しているサービスの数を確認し、そのサービス数をカウンタ値として保持する。サービス数のカウンタ値が0より大きい場合は、ステップS203に進む。サービス数のカウンタ値が0であれば信用度の計算を終了する。
【0055】
ステップS203において、サービス利用管理部1401は、ステップS201で取得したユーザが利用しているサービスのリストから一つのサービスを取り出し、該サービスを利用するためにユーザが提供するデータ項目を抽出する。まず、サービス利用管理部1401は、サービス利用状況テーブル600から該サービスの利用規約を取り出し、該サービスの利用規約から該サービスにおいて利用するデータの項目を取り出す。
【0056】
ステップS204において、サービス利用管理部1401は、ステップ203で取り出したデータ項目の数を確認し、そのデータ項目数をカウンタ値として保持する。データ項目数のカウンタ値が0より大きい場合は、ステップS205に進む。サービス数のカウンタ値が0であればステップS207に進む。
【0057】
ステップS205において、サービス利用管理部1401は、ステップS203で取り出したデータ項目の中から一つのデータ項目を選択し、データ提供管理部1200から該データ項目の重要度を取得する。データの重要度は、データ所有者にとって該データの重要性の度合いを示す。例えば、データの重要度は、そのデータが他人による悪用など、ユーザの意図しない使われ方をした場合の影響の大きさ(リスクの高さ)を示す値であってもよい。その場合、重要度をリスク値と言い換えてもよい。
【0058】
図7は、本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置100が保持するデータ重要度テーブルの一例を示す説明図である。
【0059】
図7に示すようにデータ重要度テーブル700は、ID701、データ項目名702及び重要度703を含む。ID701は、データ項目を識別する情報である。データ項目名702は、データ項目の名称である。重要度703は、ユーザにとってのデータ項目の重要性の度合いを示す。
図7ではデータの重要度703が0~1の範囲内のいずれかの値であることを例示して説明するが、データの重要度703の数値はこれに限定されるものではない。
【0060】
重要度703は、データ所有者であるユーザが指定しても良いし、事業者に提供するデータの提供状況から統計的に計算しても良い。例えば、データ提供管理部1200が管理している事業者へ提供しているデータにおいて提供割合を計算し、割合が高いものは重要度が高いものとする方法がある。また、ユーザがデータの提供に対する同意を求められた際に同意しないを選択する割合から計算することもできる。例えばユーザがデータの提供に同意しない割合が高いほど重要度が高くなるように計算してもよい。
【0061】
図7ではデータ重要度テーブル700が三列から構成されている例を示して説明するが、データ重要度テーブル700の構成はこれに限定されるものではない。
【0062】
再び
図4を参照する。ステップS206において、サービス利用管理部1401は、該サービスで利用する全てのデータ項目の重要度の合計を計算する。具体的には、サービス利用管理部1401は、ステップS205で取得した重要度の値を使って合計を計算する。合計の計算が終了したらデータ項目数のカウンタ値を減らし、ステップS204に戻る。該サービスで利用する全てのデータ項目の重要度を合計するまでステップS204からステップS206が繰り返される。
【0063】
ステップS207において、サービス利用管理部1401は、サービス利用状況テーブル600からサービス利用に関する情報を取得する。ここで取得される情報としては、例えば、一定期間におけるサービスの利用回数を示す利用頻度605、又は、ユーザがサービスを利用する期間の長さを示す利用期間606が考えられる。利用頻度605を使う場合は、ユーザが利用しているサービスにおいて単位を合わせる必要がある。例えば、最も大きい単位が月であれば、1日に1回の利用頻度は月に30回に変換する。利用期間606を使う場合は、最も小さい単位に合わせる必要がある。例えば、最も小さい単位が月であれば、1年の利用期間は12ヶ月に変換する。
【0064】
ステップS208において、サービス利用管理部1401は、ステップS206で合計したデータ重要度とステップS07で取得したサービス利用に関する情報とを使って信用度を計算する。例えば、以下の式(1)で信用度を計算することが出来る。
【0065】
信用度=データ重要度の合計*利用頻度*利用期間 ・・・(1)
【0066】
この式で計算すれば、ユーザが重要なデータを提供し、頻繁にサービスを利用し、長い期間にわたって利用する事業者程、信用度が高くなる。しかし、信用度の計算はこの式に限定されるものではない。例えば、信用度が、データ重要度のみに基づいて計算されてもよいし、利用頻度のみに基づいて計算されてもよいし、利用期間のみに基づいて計算されてもよいし、それらの任意の二つに基づいて計算されてもよい。あるいは、上記とは異なる基準(例えばサービスを利用するユーザ数等)に基づいて信用度が設定されてもよいし、ユーザが任意に信用度を設定してもよい。
【0067】
なお、上記の例では信用度に基づいて比較対象の事業者が選択され、その事業者が提供するサービスが比較対象のサービスとして選択される例を説明したが、サービス利用状況テーブル600に含まれる情報に基づく比較対象の選択はこれに限定されない。例えば、ユーザが新たに利用したいサービスを提供する事業者と同一の事業者を比較対象として選択してもよいし、ユーザが新たに利用したいサービスと同一のカテゴリに属するサービスを比較対象として選択してもよい。
【0068】
ステップS209において、サービス利用管理部1401は、ステップS208で計算した信用度をサービス利用状況テーブル600の信用度608に記録する。記録が終了したらサービス数のカウンタ値を減らし、ステップS202に戻る。ユーザが利用している全てのサービス事業者に対して信用度を計算するまでステップS202~S209が繰り返される。
【0069】
【0070】
ステップS107において、規約差分抽出部1402は、新たに利用したいサービス事業者の利用規約とステップS106で抽出したユーザが利用している一つのサービス事業者の利用規約を比較し、両規約の同じ部分と異なる部分を明らかにする。規約差分を抽出する方法の一例を、
図5を参照して以下に説明する。
【0071】
<
図5:利用規約の差分を抽出する処理>
図5は、本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置100が利用規約の差分を抽出する処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS301において、規約差分抽出部1402は、利用規約管理部1300からユーザが新たに利用したいサービスの利用規約を取得する。
【0073】
ステップS302において、規約差分抽出部1402は、サービス利用管理部1401からステップS106で抽出した比較対象のサービス事業者の情報を取得し、利用規約管理部1300から該サービス事業者の利用規約を取得する。
【0074】
ステップS303において、規約差分抽出部1402は、ステップS301で取得した新たに利用したいサービス事業者の利用規約とステップS302で取得した比較対象の利用規約との間で比較する項目を取得する。比較項目を取得する方法としては、利用規約に記載される項目を取得することが考えられる。例えば
図8に示すような利用規約があった場合、サービス概要及び事業者は通常はサービスごとに異なるものであるため、それ以外の項目を比較項目として取得することが出来る。この場合に取得される項目として、例えば、サービスが利用するデータ項目(すなわち氏名、メールアドレス等)、データ取得方法、利用目的、加工利用、第三者提供、保存期間、本人関与、問合せといった項目がある。全ての項目を比較しても良いし、事前にユーザが最も関心のある項目を指定し、その項目を比較しても良い。
【0075】
ステップS304において、規約差分抽出部1402は、ステップS303で取得した比較項目の数を確認し、その比較項目の数をカウンタ値として保持する。比較項目の数のカウンタ値が0より大きい場合は、ステップS305に進む。比較項目の数のカウンタ値が0であれば、利用規約の差分を抽出する処理を終了する。
【0076】
ステップS305において、規約差分抽出部1402は、ステップS303で取得した比較項目の中から一つの項目を取り出し、ステップS302で取得したユーザが新たに利用したいサービスの利用規約から該比較項目の内容を取り出す。例えば、規約差分抽出部1402は、サービスが利用するデータという比較項目を取り出した場合、新たに利用したいサービスの利用規約テーブル800から利用データの項目内容を取り出す。ここでは、利用データのリストとして氏名、メールアドレス、位置情報、訪問履歴情報及び口コミ記載情報を取得した場合について説明する。
【0077】
ステップS306において、規約差分抽出部1402は、ステップS304で取り出した比較項目について、ステップS303で取得した比較対象の利用規約から該比較項目の内容を取り出す。例えば、規約差分抽出部1402は、サービスが利用するデータという比較項目を取り出した場合、比較対象の利用規約テーブルから利用データの項目内容を取り出す。ここでは、利用データのリストとして氏名、メールアドレス、クレジットカード及び位置情報を取得した場合について説明する。
【0078】
ステップS307において、規約差分抽出部1402は、ステップS305とステップS306で取り出した比較項目の内容を照合して、同じ部分と異なる部分を特定する。上記の例では、新たに利用したいサービスが利用するデータは、氏名、メールアドレス、位置情報、訪問履歴情報、口コミ記載情報である。一方、比較対象のサービスが利用するデータは、氏名、メールアドレス、クレジットカード、位置情報である。利用データという項目で比較した場合、同じ部分として、氏名、メールアドレス及び位置情報というデータ項目のリストを特定できる。異なる部分として、新たに利用したいサービスは訪問履歴情報と口コミ記載情報を利用するが、クレジットカードの情報は利用しないということを特定できる。
【0079】
ステップS308において、規約差分抽出部1402は、ステップS307で抽出した、新たに利用したいサービスの利用規約と比較対象のサービスの利用規約における同じ部分及び異なる部分を登録する。
【0080】
図9は、本発明の実施例1に係るデータ流通仲介装置100が保持する規約差分テーブルの一例を示す説明図である。
【0081】
図9に示すように、規約差分テーブル900は、比較項目901、同じ内容902及び異なる内容903を含む。比較項目901は、利用規約に記載される項目の名称である。同じ内容902は、比較項目901において両規約に同じく記載される内容である。異なる内容903は、比較項目901において両規約の記載が異なる内容である。
図9では三列から構成される場合を例示して説明するが、規約差分テーブル900の構成はこれに限定されるものではない。
【0082】
図9の例では、新たに利用したいサービスの利用規約と比較対象のサービスの利用規約との利用データに含まれる項目(例えば氏名、メールアドレス、位置情報等)を比較した結果、項目B及び項目Cは両者に共通して含まれている。一方、項目J及び項目Kは新たに利用したいサービスの利用規約のみに含まれている。また、匿名加工が行われること、並びに、開示、利用停止及び訂正について本人が関与できることは両者に共通している。第三者へのデータの提供は、比較対象のサービスの利用規約では認められているが、新たに利用したいサービスの利用規約では認められていない。
【0083】
再び
図5を参照する。規約差分抽出部1402は、新たに利用したいサービスの利用規約と比較対象のサービスの利用規約における同じ部分及び異なる部分を登録したら、比較項目の数のカウンタ値を減らし、ステップS304に戻る。全ての比較項目について処理が終わるまでステップS304~ステップS308が繰り返される。全ての比較項目について処理が終わったら利用規約の差分を抽出する処理は終了する。
【0084】
【0085】
ステップS108において、同意通知生成部1501は、ステップS105で確定した、ユーザが新たに利用したいサービスの利用規約と、ステップS107で抽出した、当該新たに利用したいサービスの利用規約とユーザが利用している一つのサービス事業者の規約とを比較した結果の差分と、を含めた同意要求通知を生成する。同意通知生成部1501は、作成した同意要求通知を、通信部1100を通じて、データ所有者端末30Nに送信する。
【0086】
ステップS109において、データ所有者端末30Nは同意要求通知を受け取ったことをユーザに知らせる。データ所有者端末30Nは画面を通じて受け取った同意要求通知の内容を表示する。
【0087】
図10は、本発明の実施例1に係るデータ流通システムを構成するデータ所有者端末30Nが表示する同意要求画面の一例を示す説明図である。
【0088】
図10に示すように、同意要求画面1000にはサービス名1001と、ユーザが利用している一つのサービス事業者の規約との差分1002と、ユーザが同意するかしないかの意思表示をするためのボタン1003及び1004と、詳細の利用規約1005と、が含まれている。しかし、同意要求画面1000のフォーマットは
図10に示したものに限定されるものではない。ユーザは同意要求画面1000で表示している情報をもとに、新たに利用したいサービスの利用規約を同意するかしないかの意思表示し、その情報をデータ流通仲介装置100に送信する。
【0089】
ステップS110において、同意取得部1502は、ステップS109でユーザが同意した結果を示す情報を、通信部1100を通じて取得し、それらの情報、例えばどのユーザが、どのサービスに、どのような利用規約を同意するかを記録し、管理する。
【0090】
ステップS111において、データ流通仲介装置100は、ステップ110で記録したユーザが同意済みの利用規約をもとに、ユーザが新たに利用したいサービスで必要なデータをデータ提供装置10Nに要求する。データ提供を要求するメッセージには、ユーザを識別するユーザIDと、データ項目と、ユーザが同意済みであることを示す情報と、が含まれる。
【0091】
ステップS112において、データ提供装置10Nは、データ流通仲介装置100の要求に対し、ユーザが同意済みであることを確認し、ユーザIDとデータ項目を使って必要なデータを検索し、それらのデータをデータ流通仲介装置100に送信する。
【0092】
ステップS113において、データ流通仲介装置100のデータ提供管理部1200は、ステップS112で受信した新たに利用したいサービスのために必要なユーザのパーソナルデータを、データ利用装置20Nに提供するために必要な処理を実行し、データ流通制御部1600がそれらのデータを正しいデータ利用装置20Nに提供できるように制御する。
【0093】
ステップS114において、データ流通仲介装置100は、ステップS113でデータ利用装置20Nに提供するデータを記録する。ここで記録されるデータには、タイムスタンプ、ユーザID、サービスID及びデータ項目が含まれる。
【0094】
ステップS115において、データ流通仲介装置100は、ステップS114で記録したデータを、実際に通信部1100を通じてデータ利用装置20Nに転送する。データ利用装置20Nに転送するメッセージには、ユーザを識別するためのユーザIDと、サービスを識別するためのサービスIDと、該サービスで必要なデータ項目と、が含まれる。
【0095】
ステップS116において、データ利用装置20Nは、ステップS115で受信したユーザのデータをもとにデータ所有者端末30Nを経由してユーザが利用したいサービスを提供する。
【0096】
本実施例によれば、ユーザが利用しているサービス事業者の中から、ユーザが信用しているサービス事業者(例えば最も信用しているサービス事業者)を選択し、そのサービス事業者の利用規約と、新たに利用したいサービス事業者の規約と比較し、同じ内容と異なる内容を明らかにする。これによって、ユーザに同意を要求する際に同意するかしないかの判断材料が得られ、これを用いてユーザは素早く判断することができ、同意手続きの負担を低減することが出来る。また、比較対象を実施する際に、信用度の高いサービス事業者が2つ以上抽出された場合、それぞれの利用規約と新たに利用したいサービスの利用規約の差分を抽出し、それぞれの差分をユーザへ通知しても良い。
ステップS401において、サービス利用管理部1401は、ユーザが事前に指定した比較対象に関する情報を取得する。比較情報を含めたユーザが事前に指定した情報は、記憶部2000に格納されたユーザ指定テーブルによって管理される。
ステップS401において、サービス利用管理部1401は、比較対象情報1312を参照する。比較対象情報1312は、比較事業者ID1312A及び比較対象条件1312Bを含む。比較事業者ID1312Aは、比較する際に必ず比較対象として抽出する事業者の識別情報である。比較対象条件1312Bは、比較対象を抽出する際に必ず利用する条件を示す。サービス利用管理部1401は、ユーザ指定テーブル1310から比較事業者ID1312Aと比較対象条件1312Bを取得する。
ステップS402において、サービス利用管理部1401は、ステップS401で取得した情報を参照し、比較事業者ID1312Aの値の有無を確認する。比較事業者ID1312Aの値があればステップS405に進む。比較事業者ID1312の値がなければステップS403に進む。
ステップS405において、サービス利用管理部1401は、ユーザが指定した比較事業者ID1312A又はステップS404で抽出された事業者を比較事業者として登録する。
項目比較1313Bは、ユーザが重要だと思っている項目を指定する情報である、差分の抽出はユーザが指定した項目のみを対象として実施される。規約差分抽出部1402は、タイプ比較情報1313A及び項目比較情報1313Bを取得する。
ステップS502において、規約差分抽出部1402は、ステップS501で取得したタイプ比較情報1313Aにおいてタイプ比較指定の有無を確認する。タイプ比較情報1313Aの値がある場合、タイプ比較が指定されているため、ステップS503に進む。タイプ比較情報1313Aの値がない場合、タイプ比較が指定されていないため、ステップS505に進む。
ステップS503において、規約差分抽出部1402は、ステップS501で取得したタイプ比較の条件を取得する。例えば、ユーザが匿名加工タイプを指定した場合、匿名加工が条件として取得される。
ステップS505において、規約差分抽出部1402は、ステップS501で取得した項目比較情報1313Bにおいて比較項目の有無を確認する。項目比較情報1313Bの値がある場合、比較項目が指定されているため、ステップS506に進む。項目比較情報1313Bの値がない場合、比較項目が指定されていないため、ステップS508に進む。
ステップS507において、規約差分抽出部1402は、ステップS506で取得した比較項目のリストに基づいてそれらの項目のみにおける利用規約の差分を抽出する。規約の差分を抽出したら利用規格差分の抽出処理は終了する。
ステップS508において、規約差分抽出部1402は、実施例1と同様に全ての項目において利用規約差分を抽出する。規約の差分を抽出したら利用規格差分の抽出処理は終了する。
これによって、ユーザは同意手続きに関する条件を自由に指定し、ユーザが指定する条件に合わせて比較対象の事業者及び比較する項目を抽出することができる。これによって、例えばユーザが重視する項目のデータの比較を行い、重視しない項目のデータの比較を省略するなど、ユーザの希望に沿った適切な比較を行うことができる。また、ユーザが指定した同意する条件及び同意しない条件に合わせて同意要求を省略し、同意手続きにおけるユーザの負担を低減することができる。
(1)プロセッサ(例えばCPU3000)と、記憶部(例えばメモリ4000及び記憶部2000の少なくとも一方)と、を有するデータ流通仲介システムであって、記憶部は、ユーザが過去に利用した複数のサービスの利用状況を示す利用状況情報(例えばサービス利用状況テーブル600)を保持し、プロセッサは、ユーザが新たに利用しようとする第1のサービスを提供する事業者が、第1のサービスの利用規約に基づいて、ユーザに提供を要求するデータの項目を示す情報を取得し(例えばステップS103)、利用状況情報に基づいて、ユーザが過去に利用した複数のサービスから第2のサービスを選択し(例えばステップS106)、第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの項目と、第2のサービスの利用規約に基づいて提供されたデータの項目との差分を抽出し(例えばステップS107)、抽出された差分を示す情報を出力し(例えばステップS108)、第1のサービスの利用規約に同意することを示す情報が取得された場合、第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータを保持する事業者から第1のサービスを提供する事業者へのデータの流通を制御する(例えばステップS111~S115)。
(2)上記(1)において、利用状況情報は、ユーザが過去に利用した複数のサービスのサービス名、提供する事業者名、サービスのカテゴリ、利用頻度、利用期間、利用規約、及び、提供する事業者の信用度の少なくとも一つを含み、プロセッサは、ユーザが過去に利用した複数のサービスのうち、利用頻度が高いサービス、利用期間が長いサービス又は信用度が高い事業者が提供するサービスを第2のサービスとして選択する。
これによって、サービスの利用状況からサービス利用のために提供するデータ及び利用の頻度等を抽出し、比較対象とすべき適切なサービスを抽出することができる。また、抽出した事業者のサービス利用規約と新たに利用したい事業者のサービス利用規約を比較し、両規約の差分を明確にすることで、同意するかしないかを判断するために確認する内容を減らすことができる。
(3)上記(2)において、記憶部は、ユーザが過去に利用した複数のサービスの利用規約に基づいて提供されたデータの項目の重要度を示す重要度情報(例えばデータ重要度テーブル700)を保持し、プロセッサは、ユーザが過去に利用した複数のサービスの各々について、利用規約に基づいて提供されたデータの項目の重要度の合計を計算し、重要度の合計が高いほど信用度が高くなるように、信用度を計算する。
(5)上記(3)において、プロセッサは、利用頻度が高いほど信用度が高くなり、利用期間が長いほど信用度が高くなり、かつ、重要度が高いほど信用度が高くなるように、信用度を計算し(例えば式(1)による計算)、信用度が高い事業者が提供するサービスを第2のサービスとして選択する。
(6)上記(2)において、記憶部は、比較対象のデータの項目を指定する情報(例えば項目比較1313B)を保持し、プロセッサは、比較対象のデータの項目について、第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの項目と、第2のサービスの利用規約に基づいて提供されたデータの項目との差分を抽出する。
(7)上記(2)において、記憶部は、ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意するために差分が満たすべき第1の条件(例えば同意する条件1314A)、及び、ユーザが前記第1のサービスの利用規約に同意しないために差分が満たすべき第2の条件(例えば同意しない条件1314B)の少なくとも一方を保持し、プロセッサは、差分が第1の条件を満たす場合、ユーザが第1のサービスの利用規約に同意すると判定し、差分が第2の条件を満たす場合、ユーザが第1のサービスの利用規約に同意しないと判定する。
これによって、ユーザの希望に沿った適切な比較を行うことができる。また、条件に合わせて同意要求を省略し、同意手続きにおけるユーザの負担を低減することができる。
(8)上記(2)において、記憶部は、ユーザが第1のサービスの利用規約に同意するために第1のサービスの利用規約が満たすべき第3の条件(例えば同意する条件1314A)、及び、ユーザが第1のサービスの利用規約に同意しないために第1のサービスの利用規約が満たすべき第4の条件(例えば同意しない条件1314B)の少なくとも一方を保持し、プロセッサは、第1のサービスの利用規約が第3の条件を満たす場合、差分にかかわらず、ユーザが第1のサービスの利用規約に同意すると判定し、第1のサービスの利用規約が第4の条件を満たす場合、差分にかかわらず、ユーザが第1のサービスの利用規約に同意しないと判定する。
(9)上記(8)において、第3の条件及び第4の条件は、第1のサービスの利用規約に基づいて提供が要求されるデータの項目、データの取得方法、データの利用目的、データの匿名加工の有無、データの第三者への提供の有無、データの保存期間、及び、ユーザが関与できる前記データの取り扱いの少なくともいずれかに関する条件である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したものであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。