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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182561
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】バイオガス生成システム
(51)【国際特許分類】
   C10L 3/08 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
C10L3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090178
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】川口 昇
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 正訓
(57)【要約】
【課題】バイオガスの加温及び除湿を効率よく行うことができるバイオガス生成システムを提供する。
【解決手段】バイオガス生成システム10は、発酵槽11と、貯留槽13と、ヒートポンプ20と、を備える。発酵槽11はバイオマス原料を発酵させることによってバイオガスを生成する。貯留槽13は発酵槽11で生成されるバイオガスを貯留する。ヒートポンプ20は、発酵槽11で生成されたバイオガスの少なくとも一部を作動媒体として、作動媒体の圧縮及び膨張と熱交換とによって、発酵槽11の加温及びバイオガスの冷却を行う。ヒートポンプ20は、バイオガスを圧縮して発酵槽11に向かって排出する圧縮部21と、バイオガスを膨張させて貯留槽13に向かって排出する膨張部23と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス原料を発酵させることによってバイオガスを生成する発酵槽と、
前記発酵槽で生成される前記バイオガスを貯留する貯留槽と、
作動媒体の圧縮及び膨張によって前記発酵槽を加温及び前記バイオガスを冷却するヒートポンプと、
を備える、
ことを特徴とするバイオガス生成システム。
【請求項2】
前記ヒートポンプは、前記発酵槽及び前記バイオガスの少なくともいずれか1つと前記作動媒体との間で熱交換する少なくとも1つの熱交換器を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のバイオガス生成システム。
【請求項3】
前記熱交換器は、熱媒体を介して前記作動媒体と前記発酵槽又は前記バイオガスとの間で熱交換する、
ことを特徴とする請求項2に記載のバイオガス生成システム。
【請求項4】
前記貯留槽から供給される前記バイオガスを燃焼させる燃焼機関を備え、
前記熱交換器は、前記発酵槽と前記貯留槽との間、前記貯留槽又は前記貯留槽と前記燃焼機関との間で前記バイオガスを冷却する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のバイオガス生成システム。
【請求項5】
前記ヒートポンプは、
前記発酵槽及び前記バイオガスを貯留する部位の少なくともいずれか1つを迂回して設けられる少なくとも1つの迂回熱交換器と、
前記作動媒体の流路を前記迂回熱交換器に切り換える切換部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のバイオガス生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオガス生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、バイオマス原料の発酵によってバイオガスを発生させる発酵槽と、ヒートポンプとを備え、バイオマス原料をヒートポンプの温熱によって加熱し、発酵槽から供給される消化液をヒートポンプの冷熱によって凍結濃縮するバイオマスシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-000791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような従来技術のバイオマスシステムでは、発酵槽で発生するバイオガスは加温されているので、気相中に含まれる水蒸気が増大している場合があり、バイオガスの配管及びバイオガスを燃焼させる機器等にて詰まり及び腐食等の不具合が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、バイオガスの加温及び除湿を効率よく行うことができるバイオガス生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係るバイオガス生成システム(例えば、実施形態でのバイオガス生成システム10,10A,10B,10C,10D,10E)は、バイオマス原料を発酵させることによってバイオガスを生成する発酵槽(例えば、実施形態での発酵槽11)と、前記発酵槽で生成される前記バイオガスを貯留する貯留槽(例えば、実施形態での貯留槽13)と、作動媒体の圧縮及び膨張によって前記発酵槽を加温及び前記バイオガスを冷却するヒートポンプ(例えば、実施形態でのヒートポンプ20,20A,20B,20C,20E)と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)に記載のバイオガス生成システムでは、前記ヒートポンプは、前記発酵槽及び前記バイオガスの少なくともいずれか1つと前記作動媒体との間で熱交換する少なくとも1つの熱交換器(例えば、実施形態での放熱部25,25A、吸熱部27,27A,27B)を備えてもよい。
【0008】
(3)上記(2)に記載のバイオガス生成システムでは、前記熱交換器は、熱媒体を介して前記作動媒体と前記発酵槽又は前記バイオガスとの間で熱交換してもよい。
【0009】
(4)上記(2)又は(3)に記載のバイオガス生成システムでは、前記貯留槽から供給される前記バイオガスを燃焼させる燃焼機関(例えば、実施形態での燃焼機関15)を備え、前記熱交換器は、前記発酵槽と前記貯留槽との間、前記貯留槽又は前記貯留槽と前記燃焼機関との間で前記バイオガスを冷却してもよい。
【0010】
(5)上記(2)から(4)のいずれか1つに記載のバイオガス生成システムでは、前記ヒートポンプは、前記発酵槽及び前記バイオガスを貯留する部位(例えば、実施形態での第1ガス配管19a、貯留槽13及び第2ガス配管19b)の少なくともいずれか1つを迂回して設けられる少なくとも1つの迂回熱交換器(例えば、実施形態での迂回放熱部31、迂回吸熱部33)と、前記作動媒体の流路を前記迂回熱交換器に切り換える切換部(例えば、実施形態での第1切換弁35a、第2切換弁35b)と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
上記(1)によれば、発酵槽を加温及びバイオガスを冷却するヒートポンプを備えることによって、バイオガスの加温及び除湿を効率よく行うことができる。
【0012】
上記(2)の場合、発酵槽の加温及びバイオガスの冷却の各々を必要に応じて効率よく行うことができる。
【0013】
上記(3)の場合、ヒートポンプと発酵槽及びバイオガスの流路とを分離して設けることによって、システムの保守容易性を向上させることができる。熱交換器の配置及び構成の多様性を向上させることができる。
【0014】
上記(4)の場合、バイオガスを冷却する熱交換器の配置位置の規制を抑制することができる。
【0015】
上記(5)の場合、発酵槽の加温及びバイオガスの冷却の各々を必要に応じて選択的に実行することができ、より詳細に温度の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態でのバイオガス生成システムの構成図。
図2】本発明の実施形態の第1変形例でのバイオガス生成システムの構成図。
図3】本発明の実施形態の第2変形例でのバイオガス生成システムの構成図。
図4】本発明の実施形態の第3変形例でのバイオガス生成システムの構成図。
図5】本発明の実施形態の第4変形例でのバイオガス生成システムの構成図。
図6】本発明の実施形態の第5変形例でのバイオガス生成システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るバイオガス生成システム10について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態でのバイオガス生成システム10の構成図である。
図1に示すように、実施形態によるバイオガス生成システム10は、例えば、発酵槽11と、貯留槽13と、燃焼機関15と、ヒートポンプ20を構成する圧縮部21、膨張部23、放熱部25及び吸熱部27と、を備える。
【0018】
発酵槽11は、例えば有機性の廃棄物等のバイオマス原料を含む発酵液を微生物の存在下で貯蔵する。発酵槽11は、バイオマス原料をメタン発酵させることによってメタンガスを主成分とするバイオガスを生成する。発酵槽11は、例えば、第1ガス配管19aによって貯留槽13に接続されている。発酵槽11で生成されたバイオガスは貯留槽13に向かって排出され、バイオマス原料からバイオガスを発生させた後に生じる発酵残渣(例えば、消化液及び残留固形物等)は外部の処理設備等に向かって排出される。
発酵槽11と貯留槽13との間には、例えば、バイオガスからケイ素化合物及び硫黄化合物等の不要な物質を除去する精製装置が配置されてもよい。
【0019】
貯留槽13は、発酵槽11で生成されたバイオガスを貯留する。貯留槽13は、例えば、バイオガスを貯蔵するガスバック又はガスホルダー等を備える。発酵槽11は、例えば、第2ガス配管19bによって燃焼機関15に接続される。貯留槽13は、バイオガスを燃料として燃焼機関15に供給する。
【0020】
燃焼機関15は、例えば、ガスエンジン又はガスタービン等の内燃機関を備える。燃焼機関15は、例えば、1つ以上の内燃機関を備えるとともに、内燃機関と同数の発電機に接続されている。発電機は内燃機関の動力で回転駆動されることによって発電する。
【0021】
ヒートポンプ20は、作動媒体の圧縮及び膨張と熱交換とによって、発酵槽11の加温及びバイオガスの冷却を行う。作動媒体は、例えば、ヘリウム、水素又は窒素等である。ヒートポンプ20は、例えば、作動媒体の循環量、凝縮温度及び蒸発温度等に応じて温度が制御される。
ヒートポンプ20は、例えば、圧縮部21と、膨張部23と、放熱部25と、吸熱部27と、を備える。圧縮部21、膨張部23、放熱部25及び吸熱部27は、例えば、作動媒体が流通する媒体配管29によって接続されている。
【0022】
圧縮部21は、例えば、適宜の原動機によって駆動される圧縮機を備える。圧縮部21は、後述する吸熱部27から媒体配管29を介して供給された作動媒体を圧縮する。圧縮部21は、圧縮により昇温した作動媒体を後述する放熱部25に向かって排出する。圧縮部21から放熱部25に供給される高温の作動媒体は発酵槽11を加温する。
膨張部23は、例えば、温度自動膨張弁、電子膨張弁又はキャピラリーチューブ等の膨張弁を備える。膨張部23は、後述する放熱部25から媒体配管29を介して供給された作動媒体を膨張させる。膨張部23は、膨張により降温した作動媒体を後述する吸熱部27に向かって排出する。膨張部23から吸熱部27に供給される低温の作動媒体は、発酵槽11から排出されるバイオガスを冷却する。
【0023】
放熱部25及び吸熱部27の各々は、熱交換器である。
放熱部25は、例えば、発酵槽11の内部に配置又は発酵槽11の外部に隣接して配置されている。放熱部25は、圧縮部21から供給される高温の作動媒体によって発酵槽11を加温する。
吸熱部27は、例えば、貯留槽13の内部に配置又は貯留槽13の外部に隣接して配置されている。吸熱部27は、膨張部23から供給される低温の作動媒体によって貯留槽13のバイオガスを冷却する。貯留槽13は、バイオガスの冷却に伴い、バイオガス中の水蒸気の凝縮によって生成される水を、発酵槽11又は外部の処理設備等に排出する。
【0024】
上述したように、実施形態のバイオガス生成システム10は、発酵槽11を加温及びバイオガスを冷却するヒートポンプ20を備えることによって、バイオガスの加温及び除湿を効率よく行うことができる。
ヒートポンプ20は、放熱部25及び吸熱部27の熱交換器によってバイオガスの加温及び除湿を直接に行うので、バイオガス生成システム10の構成が複雑になることを抑制しながら、コンパクトなシステムを構成することができる。
【0025】
(変形例)
以下、実施形態の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一部分については、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0026】
上述した実施形態では、吸熱部27は貯留槽13に配置されるとしたが、これに限定されない。
図2は、実施形態の第1変形例でのバイオガス生成システム10Aの構成図である。
図2に示すように、第1変形例のバイオガス生成システム10Aのヒートポンプ20Aでは、吸熱部27は発酵槽11から燃焼機関15までの間の適宜の部位に内蔵又は隣接して配置されている。適宜の部位は、例えば、発酵槽11でのバイオガスの排出部、発酵槽11と貯留槽13との間のバイオガスの配管(第1ガス配管19a)又は貯留槽13と燃焼機関15との間のバイオガスの配管(第2ガス配管19b)等である。吸熱部27によって熱交換が行われる適宜に部位は、バイオガスの冷却に伴い、バイオガス中の水蒸気の凝縮によって生成される水を発酵槽11又は外部の処理設備等に排出する。
なお、第1変形例の放熱部25は、例えば、発酵槽11の外部に隣接して配置されている。
第1変形例によれば、吸熱部37の配置位置の規制を抑制することができる。
【0027】
上述した実施形態では、ヒートポンプ20は作動媒体によって発酵槽11を加温及びバイオガスを冷却するとしたが、これに限定されない。例えば、発酵槽11の加温及びバイオガスの冷却の各々の有無は必要に応じて切り替えられてもよい。
図3は、実施形態の第2変形例でのバイオガス生成システム10Bの構成図である。
図3に示すように、第2変形例のバイオガス生成システム10Bのヒートポンプ20Bは、上述した実施形態のヒートポンプ20の構成に加えて、迂回放熱部31と、迂回吸熱部33と、第1切換弁35a及び第2切換弁35bと、第1迂回配管37a及び第2迂回配管37bと、を備える。
【0028】
迂回放熱部31及び迂回吸熱部33の各々は、熱交換器である。
迂回放熱部31は、後述する第1迂回配管37aによって発酵槽11を迂回して配置されている。迂回放熱部31は、圧縮部21から供給される高温の作動媒体を放熱させる。
迂回吸熱部33は、後述する第2迂回配管37bによって貯留槽13を迂回して配置されている。迂回吸熱部33は、膨張部23から供給される低温の作動媒体を吸熱させる。
迂回放熱部31及び迂回吸熱部33は、例えば、互いに隣接して配置されていることによって相互に熱交換を行う。
【0029】
第1切換弁35a及び第2切換弁35bの各々は、例えば、電磁弁、電動弁又は空気式弁等であって、制御装置(図示略)によって流通路の切り換えが制御される3方弁である。なお、第1切換弁35a及び第2切換弁35bの各々は、操作者によって操作される手動バルブであってもよい。
第1切換弁35aは、媒体配管29での圧縮部21と放熱部25との間に配置され、第1迂回配管37aに接続されている。第1切換弁35aは、媒体配管29での圧縮部21側(つまり相対的な上流側)を、放熱部25側(つまり相対的な下流側)又は第1迂回配管37aでの迂回放熱部31側に切り換えて通じさせる。
第2切換弁35bは、媒体配管29での膨張部23と吸熱部27との間に配置され、第2迂回配管37bに接続されている。第2切換弁35bは、媒体配管29での膨張部23側(つまり相対的な上流側)を、吸熱部27側(つまり相対的な下流側)又は第2迂回配管37bでの迂回吸熱部33側に切り換えて通じさせる。
【0030】
第1切換弁35aは、例えば、発酵槽11の加温が必要である場合に圧縮部21と放熱部25とを通じさせ、発酵槽11の加温が不要である場合に圧縮部21と迂回放熱部31とを通じさせる。
第2切換弁35bは、例えば、バイオガスの冷却が必要である場合に膨張部23と吸熱部27とを通じさせ、バイオガスの冷却が不要である場合に膨張部23と迂回吸熱部33とを通じさせる。
【0031】
第1迂回配管37aは、媒体配管29での圧縮部21と放熱部25との間の第1切換弁35aと、膨張部23とを、迂回放熱部31を介して接続する。
第2迂回配管37bは、媒体配管29での膨張部23と吸熱部27との間の第2切換弁35bと、圧縮部21とを、迂回吸熱部33を介して接続する。
【0032】
第2変形例のヒートポンプ20Bは、迂回放熱部31及び迂回吸熱部33を備えることによって、発酵槽11の加温及びバイオガスの冷却の各々を必要に応じて選択的に実行することができ、より詳細に温度の制御を行うことができる。
【0033】
上述した実施形態では、ヒートポンプ20は発酵槽11及びバイオガスを放熱部25及び吸熱部27によって直接に加温及び冷却するとしたが、これに限定されない。例えば、発酵槽11及びバイオガスの少なくともいずれか1つと作動媒体とは熱媒体を介して熱交換してもよい。
図4は、実施形態の第3変形例でのバイオガス生成システム10Cの構成図である。
図4に示すように、第3変形例でのバイオガス生成システム10Cのヒートポンプ20Cは、発酵槽11及びバイオガスを貯留する部位(例えば、第1ガス配管19a、貯留槽13及び第2ガス配管19b等)と分離されて配置される放熱部25A及び吸熱部27Aを備える。
【0034】
第3変形例のヒートポンプ20Cは、上述した実施形態のヒートポンプ20の放熱部25及び吸熱部27の代わりに設けられる放熱部25A及び吸熱部27Aに加えて、第1熱交換部41及び第2熱交換部43を備える。
第1熱交換部41及び第2熱交換部43の各々は、例えば、水等の熱媒体を介して、作動媒体と発酵槽11及びバイオガスの各々との熱交換を行う。
第1熱交換部41及び第2熱交換部43の各々は、例えば、熱媒体が流通する配管45と、配管45内で熱媒体を流通させるポンプ47と、を備える。
【0035】
第3変形例によれば、ヒートポンプ20Cと発酵槽11及びバイオガスの流路(例えば、第1ガス配管19a、貯留槽13及び第2ガス配管19b等)とを分離して設けることによって、バイオガス生成システム10Cの保守容易性を向上させることができる。例えば、ヒートポンプ20Cの異常時等には、他の熱源及び冷却源を用いて容易に発酵槽11の加温及びバイオガスの冷却を行うことができる。
放熱部25A及び吸熱部27Aの配置及び構成の多様性を向上させることができるとともに、ポンプ47の流量並びにオン及びオフ等に応じて、より詳細に温度を制御することができる。
【0036】
上述した実施形態では、バイオガスの冷却を行うヒートポンプ20を備えるとしたが、これに限定されず、例えば、バイオガスの冷却を行うヒートポンプ20に加えて、発酵残渣の処理に適用されるヒートポンプを備えてもよい。
図5は、実施形態の第4変形例でのバイオガス生成システム10Dの構成図である。
図5に示すように、第4変形例でのバイオガス生成システム10Dは、上述した実施形態でのヒートポンプ20を備えるバイオガス生成システム10の構成に加えて、残渣貯留槽51と、残渣処理用ヒートポンプ53と、を備える。
【0037】
残渣貯留槽51は、発酵槽11で発生する発酵残渣(例えば、消化液等)を貯留する。
残渣処理用ヒートポンプ53は、作動媒体の圧縮及び膨張と熱交換とによって、発酵槽11の加温及び残渣貯留槽51での発酵残渣の冷却又は発酵残渣からの吸熱を行う。
第4変形例によれば、発酵残渣からの吸熱によって発酵槽11の加温に要する熱エネルギーを低減することができ、システムのエネルギー効率を向上させることができる。
【0038】
上述した実施形態では、バイオガスの冷却を行うヒートポンプ20を備えるとしたが、これに限定されず、例えば、バイオガスの冷却に加えて、相対的に低温の排熱又は熱源等から熱エネルギーを回収するヒートポンプを備えてもよい。
図6は、実施形態の第5変形例でのバイオガス生成システム10Eの構成図である。
図6に示すように、第5変形例でのバイオガス生成システム10Eのヒートポンプ20Eは、上述した実施形態のヒートポンプ20の吸熱部27の代わりに設けられる吸熱部27Bを備える。
【0039】
第5変形例の吸熱部27Bは、膨張部23から供給される低温の作動媒体によってバイオガスを冷却するとともに、例えば、工場排水、太陽熱温水器及び太陽光発電パネル等の相対的に低温の排熱又は熱源から熱媒体を介して熱エネルギーを回収する媒体流路61を備える。
第5変形例によれば、発酵槽11の加温に要する熱エネルギーを低減することができ、システムのエネルギー効率を向上させることができる。
【0040】
上述した実施形態では、ヒートポンプ20は、例えば逆スターリングサイクルによるスターリング冷凍機等であってもよい。この場合、ヒートポンプ20の機構が複雑になることを抑制することができる。
上述した実施形態では、発酵槽11の加温は、ヒートポンプ20に限定されず、他の熱源、例えば、ボイラー及び排熱等を併用されてもよい。
【0041】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
10,10A,10B,10C,10D,10E…バイオガス生成システム、11…発酵槽、13…貯留槽、15…燃焼機関、20,20A,20B,20C,20E…ヒートポンプ、21…圧縮部、23…膨張部、21…圧縮部、23…膨張部、25,25A…放熱部(熱交換器)、27,27A,27B…吸熱部(熱交換器)、31…迂回放熱部(迂回熱交換器)、33…迂回吸熱部(迂回熱交換器)、35a…第1切換弁(切換部)、35b…第2切換弁(切換部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6