(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182564
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】プラント監視装置及びプラント監視方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20221201BHJP
G06F 3/0486 20130101ALI20221201BHJP
【FI】
G05B23/02 301Q
G06F3/0486
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090185
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健史
(72)【発明者】
【氏名】石垣 博康
(72)【発明者】
【氏名】山中 禎詠
【テーマコード(参考)】
3C223
5E555
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA02
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223FF13
3C223FF16
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH04
3C223HH13
5E555AA04
5E555BA37
5E555BA42
5E555BB37
5E555BC01
5E555CA02
5E555CB08
5E555CC03
5E555DA01
5E555DB56
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】プラント監視の利便性を向上させることを目的とする。
【解決手段】プラント監視装置10は、プラント1の異常が検知された場合に、異常が発生した日時を含む警報情報を作成する警報出力部23と、警報画面を表示部19に表示させる警報画面処理部251と、トレンドグラフ画面を表示部19に表示させるグラフ画面処理部252とを備える。グラフ画面処理部252は、警報画面及びトレンドグラフ画面が表示されている状態で、警報画面に表示されている警報要素がトレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、操作された警報要素から特定される日時を含む所定期間の入力データのグラフをトレンドグラフ画面に表示させるとともに、日時を強調させるための強調要素をトレンドグラフ画面に表示させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの異常が検知された場合に、異常が発生した日時を含む警報情報を作成する警報出力部と、
警報情報に基づく警報要素を含む警報画面を表示部に表示させる警報画面処理部と、
前記プラントの監視項目に係る入力データの時間的推移がグラフとして描かれたトレンドグラフ画面を前記表示部に表示させるグラフ画面処理部と
を備え、
前記グラフ画面処理部は、前記警報画面及び前記トレンドグラフ画面が前記表示部に表示されている状態で、前記警報画面に表示されている前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、ドラッグアンドドロップ操作された前記警報要素から特定される前記日時を含む所定期間の入力データのグラフを前記トレンドグラフ画面に表示させるとともに、前記日時を強調させるための強調要素を前記トレンドグラフ画面に表示させるプラント監視装置。
【請求項2】
前記警報出力部は、前記プラントの異常からの復帰が検知された場合に、復帰した日時を含む警報情報を作成する請求項1に記載のプラント監視装置。
【請求項3】
前記グラフ画面処理部は、前記警報画面において複数の前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、複数の前記警報要素の各々から特定される各日時が前記トレンドグラフ画面に表示されるように、時間軸のレンジを調整する請求項1又は2に記載のプラント監視装置。
【請求項4】
前記グラフ画面処理部は、前記警報画面において複数の前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、前記警報画面における各前記警報要素と前記トレンドグラフ画面に表示された各前記グラフとを対応付けて表示する請求項3に記載のプラント監視装置。
【請求項5】
プラントの異常が検知された場合に、異常が発生した日時を含む警報情報を作成する工程と、
警報情報に基づく警報要素を含む警報画面を表示部に表示させる工程と、
前記プラントの監視項目に係る入力データの時間的推移がグラフとして描かれたトレンドグラフ画面を前記表示部に表示させる工程と、
前記警報画面及び前記トレンドグラフ画面が前記表示部に表示されている状態で、前記警報画面に表示されている前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、ドラッグアンドドロップ操作された前記警報要素から特定される前記日時を含む所定期間の入力データのグラフを前記トレンドグラフ画面に表示させるとともに、前記日時を強調させるための強調要素を前記トレンドグラフ画面に表示させる工程と
をコンピュータが実行するプラント監視方法。
【請求項6】
コンピュータを請求項1から4のいずれかに記載のプラント監視装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラント監視装置及びプラント監視方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、発電プラントや火力プラント等を安定して運転するためには、高い信頼性と容易に操作可能なプラント監視装置が必要とされる。このようなプラント監視装置では、異常が検知された場合に、警報を発することで、異常発生を運転員に速やかに通知する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、警報の一覧である警報画面を表示装置に表示し、この警報画面において、ユーザによっていずれかの警報が選択されて、グラフ表示ボタンが押下された場合に、その警報発生時におけるトレンドグラフ画面を表示装置に表示させるプラント監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来の方法では、ユーザは、警報画面においていずれかの警報を選択し、更に、グラフ表示ボタンを押下するという2つの操作を行う必要があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、プラント監視の利便性を向上させることのできるプラント監視装置及びプラント監視方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のプラント監視装置は、プラントの異常が検知された場合に、異常が発生した日時を含む警報情報を作成する警報出力部と、警報情報に基づく警報要素を含む警報画面を表示部に表示させる警報画面処理部と、前記プラントの監視項目に係る入力データの時間的推移がグラフとして描かれたトレンドグラフ画面を前記表示部に表示させるグラフ画面処理部とを備え、前記グラフ画面処理部は、前記警報画面及び前記トレンドグラフ画面が前記表示部に表示されている状態で、前記警報画面に表示されている前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、ドラッグアンドドロップ操作された前記警報要素から特定される前記日時を含む所定期間の入力データのグラフを前記トレンドグラフ画面に表示させるとともに、前記日時を強調させるための強調要素を前記トレンドグラフ画面に表示させる。
【0008】
本開示のプラント監視方法は、プラントの異常が検知された場合に、異常が発生した日時を含む警報情報を作成する工程と、警報情報に基づく警報要素を含む警報画面を表示部に表示させる工程と、前記プラントの監視項目に係る入力データの時間的推移がグラフとして描かれたトレンドグラフ画面を前記表示部に表示させる工程と、前記警報画面及び前記トレンドグラフ画面が前記表示部に表示されている状態で、前記警報画面に表示されている前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、ドラッグアンドドロップ操作された前記警報要素から特定される前記日時を含む所定期間の入力データのグラフを前記トレンドグラフ画面に表示させるとともに、前記日時を強調させるための強調要素を前記トレンドグラフ画面に表示させる工程とをコンピュータが実行する。
【0009】
本開示のプログラムは、コンピュータを上記プラント監視装置として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
プラント監視の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係るプラント監視装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るプラント監視装置が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る警報画面の一例を示した図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るトレンドグラフ画面の一例を示した図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係るプラント監視装置の入力操作及びその入力操作に伴う画面表示について説明するための図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係るロジック画面の一例を示した図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係るプラント監視装置の入力操作及びその入力操作に伴う画面表示について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係るプラント監視装置及びプラント監視方法並びにプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態に係るプラント監視装置10のハードウェア構成の一例を示した図である。
図1に示すように、プラント監視装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、メインメモリ12、記憶部13、外部インターフェース16、通信インターフェース17、入力部18、表示部19等を備えている。これら各部は直接的にまたはバスを介して間接的に相互に接続されており互いに連携して各種処理を実行する。
【0014】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された記憶部13に格納されたOS(Operating System)によりプラント監視装置10全体の制御を行うとともに、記憶部13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。
【0015】
メインメモリ12は、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0016】
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等であり、例えば、Windows(登録商標)等のプラント監視装置10全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種処理を実現するための各種プログラム(各種アプリケーションソフトウェアを含む)、各種処理を実現するために必要とされる各種データ等が格納されている。
【0017】
外部インターフェース16は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部機器の一例として、外部モニタ、USBメモリ、外付けHDD等が挙げられる。なお、
図1に示した例では、外部インターフェースは、1つしか図示されていないが、複数の外部インターフェースを備えていてもよい。
【0018】
通信インターフェース17は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。
入力部18は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等、ユーザがプラント監視装置10に対して指示を与えるためのユーザインタフェースである。
表示部19は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成される表示画面を有し、プラント監視装置10によって実行されたアプリケーション等の結果等を表示するものである。
【0019】
図2は、本実施形態に係るプラント監視装置10が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
【0020】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、プラント監視プログラム)の形式で記憶部13に記憶されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、記憶部13に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0021】
図2に示すように、プラント監視装置10は、データ取得部21、データ記憶部22、警報出力部23、警報情報記憶部24、及び監視画面処理部25等を備えている。
【0022】
データ取得部21は、プラント1の監視に用いられるデータである入力データを取得する。「入力データ」は、温度、圧力、流量等のプラント1に設けられた各種センサによって計測された計測データ、プラント1の各種制御装置から出力された各種制御量、及び、その他、プラント1の監視に必要とされる各種データ等を含む。
データ取得部21は、取得した入力データに、その入力データを識別するための情報(以下「監視項目」という。)及びその入力データが取得された時間情報を関連づけて、データ記憶部22に格納する。
【0023】
これにより、データ記憶部22には、データ取得部21によって取得された各種入力データが監視項目及び時間情報に関連付けられて格納される。本実施形態において、「監視項目」は、その監視項目の識別情報であるID情報(タグ)及びその監視項目の名称を含んでいる。
【0024】
警報出力部23は、例えば、全て又は一部の監視項目について入力データの正常範囲を有しており、監視項目の入力データが正常範囲外である場合に、異常を検知する。警報出力部23は、異常を検知すると、検知した異常に関する警報情報を作成し、作成した警報情報を警報情報記憶部24に格納するとともに、監視画面処理部25に出力する。
【0025】
また、警報出力部23は、正常範囲外であった監視項目の入力データが正常範囲内へと推移した場合に、異常からの復帰を検知する。警報出力部23は、異常からの復帰を検知すると、復帰に関する警報情報を作成し、作成した警報情報を警報情報記憶部24に格納するとともに、監視画面処理部25に出力する。
なお、警報出力部23による異常及び復帰の検知手法については上述の例に限定されず、公知の手法を適宜採用することが可能である。
【0026】
警報情報には、警報ID、監視項目に関する情報、プラント状態、及び時間情報が含まれる。監視項目に関する情報として、例えば、監視項目のID、監視項目の名称等が挙げられる。プラント状態として、例えば、異常、復帰が挙げられる。時間情報として、異常発生日時、復帰日時が挙げられる。
【0027】
監視画面処理部25は、警報画面処理部251、グラフ画面処理部252、及びロジック画面処理部253を備えている。
【0028】
警報画面処理部251は、警報出力部23から警報情報を受け付けた場合に、警報情報に基づく警報要素を含む警報画面を表示部に表示させる。例えば、警報画面処理部251は、警報情報の全部又は一部の情報を抽出して警報要素を作成し、この警報要素を警報画面に表示させる。警報画面は、例えば、アラームサマリであり、警報要素が一覧として表示された画面である。警報画面において、警報要素は、異常又は復帰の日時に基づいて時系列で表示されてもよい。
【0029】
図3に、警報画面の一例を示す。
図3に示すように、警報画面(警報ウィンドウ)には、現在発生している警報情報に基づく警報要素K1~K3が表示される。
図3に例示した警報画面において、各警報要素K1~K3は、例えば、警報ID、警報レベル、プラント状態、日時(異常発生日時又は復旧日時)、監視項目、詳細情報を含んでいる。
【0030】
また、警報画面処理部251は、入力部18から警報画面の表示指令を受け付けた場合に、その表示指令に基づいて警報画面を作成し、表示部19に表示させる。例えば、入力部18から警報画面の表示指令及び期間情報が入力された場合には、警報情報記憶部24から入力された期間情報に発生した警報情報を読み出し、読み出した警報情報に基づいて警報画面を作成して、表示部19に表示させる。
【0031】
グラフ画面処理部252は、プラント1の監視項目に係る入力データの時間的推移がグラフとして描かれたトレンドグラフ画面を表示部19に表示させる。例えば、グラフ画面処理部252は、予め設定されている監視項目に対応する入力データをデータ取得部21又はデータ記憶部22から取得し、取得した入力データに基づいてグラフを作成し、トレンドグラフ画面に表示させる。
なお、トレンドグラフ画面には、複数の監視項目についてのグラフが表示されてもよい。また、トレンドグラフ画面にグラフ表示される監視項目は、ユーザが適宜設定、追加、変更することが可能である。
【0032】
図4は、トレンドグラフ画面(トレンドグラフウィンドウ)の一例を示した図である。
図4に示すように、トレンドグラフ画面には、ユーザによって設定された監視項目の入力データに基づくグラフが表示される。また、トレンドグラフ画面には、リーセントモードとヒストリカルモードとが設けられている。リーセントモードが選択されている場合には、グラフ画面処理部252は、データ取得部21から表示対象である監視項目の入力値を随時取得し、取得した入力値に基づくグラフをトレンドグラフ画面に表示させる。これにより、トレンドグラフ画面には、各監視項目における最新の入力データが随時更新されて表示される。また、ヒストリカルモードが選択されている場合には、グラフ画面処理部252は、ユーザによって指定された過去の所定期間における入力データをデータ記憶部22から取得し、取得した入力データに基づくグラフをトレンドグラフ画面に表示させる。このとき、指定された期間の長さに応じて、時間軸のレンジを調整してもよい。
【0033】
また、グラフ画面処理部252は、
図5に示すように、警報画面とトレンドグラフ画面とが表示部19に表示されている状態で、ユーザが入力部18(例えば、マウス等)を操作し、警報画面に表示されている警報要素をトレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作した場合には、ドラッグアンドドロップ操作された警報要素を特定し、特定した警報要素に基づいて、トレンドグラフ画面を更新する。
【0034】
例えば、グラフ画面処理部252は、ドラッグアンドドロップ操作された警報要素から特定される日時を含む所定期間(例えば、取得した日時を挟む前後所定期間)の入力データをデータ記憶部22から取得する。このとき入力データを取得する監視項目は、トレンドグラフ画面に表示させるものとして現在設定されている監視項目でもよいし、警報要素に関する監視項目に限定することとしてもよい。
また、グラフ画面処理部252は、トレンドグラフ画面において、異常発生日時又は復帰日時を強調させるための強調要素を表示させる。強調要素については後述する。
【0035】
例えば、
図5に示すように、IDが「J13」の警報要素が警報画面からトレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合、この警報要素に含まれる「8月12日3時2分」の異常発生日時を取得し、取得した「8月12日3時2分」を含む所定期間の入力データをデータ記憶部22から取得する。このとき、取得する入力データは、「J13」の監視項目「AAN0253」に限定してもよいし、予め設定されている監視項目「AAN0256」、「AAN0255」、「AAN0253」としてもよい。これらについてもユーザが設定可能としてもよい。
【0036】
これにより、例えば、
図5に示すように、トレンドグラフ画面には、異常が発生した日時の前後の入力データに係るグラフが表示されることとなる。
また、グラフ画面処理部252は、トレンドグラフ画面において、異常発生日時を強調させるための強調要素を表示させる。強調要素の一例として、例えば、
図5に示すように、その時刻にカーソルCSを表示させる、その時刻を示すメッセージMSを表示させる等の態様が挙げられる。これにより、異常発生時刻や異常が発生した監視項目の入力データの時間的推移をユーザに容易に通知することができる。
【0037】
また、グラフ画面処理部252は、複数の警報要素が一括してドラッグアンドドロップ操作された場合には、トレンドグラフ画面に、指定された複数の警報要素に含まれる異常発生日時が表示されるように、時間軸のレンジを調整する。
具体的には、グラフ画面処理部252は、ドラッグアンドドロップ操作された複数の警報要素から日時を取得し、取得した全ての日時を含む所定期間の入力データをデータ記憶部22から取得する。このとき取得する入力データは、ドラッグアンドドロップ操作された警報要素に関する監視項目の入力データである。グラフ画面処理部252は、ドラッグアンドドロップ操作された全ての警報要素によって特定される日時がトレンドグラフ画面に表示されるように、時間軸のレンジを調整する。これにより、各警報要素と各監視項目に係る入力データの時間的変化をユーザに提示することができる。
【0038】
また、グラフ画面処理部252は、トレンドグラフ画面における各監視項目のトレンドと、警報画面における複数の警報要素とを対応付けて表示させるとよい。例えば、警報画面において、ドラッグアンドドロップ操作された複数の警報要素のうち、いずれか一つが選択(例えば、クリック)された場合には、選択された警報要素に対応するトレンドグラフ画面のグラフを他のグラフとは異なる態様(例えば、点滅させたり、色または太さを変えたり等)で表示させることとしてもよい。これにより、選択された警報要素の入力データの時間的変化をわかりやすくユーザに提示することが可能となる。
【0039】
また、上記表示例に代えて、警報画面における各警報要素とそれに対応するトレンドグラフ画面の各グラフとを同じ色で表示させることとしてもよい。例えば、
図5において、警報要素ID「J13」、「J14」「J15」に係る3つの警報要素が警報画面からトレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合、まず、「J13」と「J15」については、共通の監視項目「AAN0253」についての異常発生と復帰に関する警報要素である。このような場合、警報画面処理部251及びグラフ画面処理部252は、トレンドグラフ画面における監視項目「AAN0253」のグラフと警報画面における警報要素「J13」、「J15」とを同一色で表示させる。また、警報要素ID「J14」については、トレンドグラフ画面における監視項目「AAN0256」のグラフと警報画面における警報要素「J14」とを同一色で表示させる。このようにすることで、警報画面における各警告要素とトレンドグラフ画面における各グラフとの関連性をユーザに容易に把握させることが可能となる。
【0040】
ロジック画面処理部253は、プラント1の制御ロジック情報が格納されている制御ロジック記憶部(図示略)から制御ロジックを抽出し、抽出した制御ロジックに基づいてロジック画面を作成し、表示部19に表示させる。
【0041】
図6は、ロジック画面の一例を示した図である。
図6に示すように、ロジック画面には、例えば、プラントの制御ロジックが表示されるとともに、現在の制御状態が視認できるように表示される。
【0042】
例えば、ロジック画面処理部253は、
図7に示すように、警報画面においていずれかの警報要素が選択された上で所定の入力操作が行われた場合に、指定された警報要素に関する制御ロジックを制御ロジック記憶部(図示略)から取得し、取得した制御ロジックに基づいてロジック画面を作成して、表示部19に表示させる。所定の入力操作の一例として、例えば、警報画面に設けられたロジック画面を表示させるためのメニューボタンB1を押下する操作が挙げられる。また、このメニューボタンB1は、警報画面の所定位置に常に表示されてもよいし、警報要素が指定されて右クリックされた場合に一時的に表示される構成とされていてもよい。また、ロジック画面を表示させるための入力手段は、上記メニューボタンB1に限らず、クリック等の入力操作が可能な操作インターフェースとされていればよい。
【0043】
また、ロジック画面処理部253は、トレンドグラフ画面において、いずれかのグラフが選択され、所定の入力操作が行われた場合に、選択されたグラフに対応する監視項目に関するロジック画面を表示部19に表示させることとしてもよい。このようにすることで、トレンドグラフ画面に表示されている各種グラフとロジック画面とを連携させることが可能となる。
【0044】
次に、本実施形態に係るプラント監視方法について説明する。
まず、データ取得部21は、プラント1から入力データを取得する。ここで、プラント1の入力データは、プラント1の制御を行う制御装置(図示略)を介して入力されてもよいし、プラント1に設けられている各種センサから直接的に入力されてもよい。すなわち、プラント1における入力データの取得手法については特に限定されない。データ取得部21は、取得した入力データに、その監視項目と時間情報を関連づけてデータ記憶部22に格納するとともに、警報出力部23に出力する。
【0045】
警報出力部23は、入力データと正常範囲とを比較し、入力データが正常範囲外である場合には異常を検知し、検知した異常に関する警報情報を作成する。また、警報出力部23は、正常範囲を外れていた入力データが正常範囲内へと推移した場合には、異常復帰を検知し、検知した異常復帰に関する警報情報を作成する。作成された警報情報は、警報情報記憶部24に格納されるとともに、監視画面処理部25に出力される。
【0046】
警報画面処理部251は、警報情報に基づいて警報画面を作成し、表示部19に表示させる。
また、グラフ画面処理部252は、入力部18からトレンドグラフ画面の表示指示が入力された場合に、その入力情報に基づいてトレンドグラフ画面を作成し、表示部19に表示させる。なお、警報情報が出力された場合には、グラフ画面処理部252は、自動的にトレンドグラフ画面を表示部19に表示させることとしてもよい。
【0047】
そして、表示部19に警報画面とトレンドグラフ画面とが表示された状態で(例えば、
図5参照)、ユーザにより入力部18が操作され、警報画面に表示されている1つまたは複数の警報要素がトレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合には、ドラッグアンドドロップ操作された警報要素によって特定される日時の入力データに基づくグラフをトレンドグラフ画面に表示させる。これにより、ユーザによって選択された警報要素に関する異常発生日時又は/及び異常復帰日時におけるグラフがトレンドグラフ画面に表示されるとともに、その異常発生日時又は/異常復帰日時には、強調表示がなされる。
【0048】
また、ロジック画面処理部253は、警報画面においていずれかの警報要素が選択されて所定の入力操作が行われた場合、又は、トレンドグラフ画面においていずれかのグラフが選択されて所定の入力操作が行われた場合に、選択された監視項目に関する制御ロジックに基づいてロジック画面を作成し、表示部19に表示させる。
【0049】
上述したように、本実施形態に係るプラント監視装置及びプラント監視方法並びにプログラムによれば、警報画面とトレンドグラフ画面とが表示されている画面において、警報画面に表示されている1または複数の警報要素がトレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、ドラッグアンドドロップ操作された警報要素で特定される日時を含むグラフをトレンドグラフ画面に表示させる。これにより、ユーザは、ドラッグアンドドロップ操作という一つの操作で、所望の警報要素に関するグラフをトレンドグラフ画面に表示させることが可能となり、利便性を高めることが可能となる。この結果、ユーザは、プラント復旧のための行動や判断を迅速に取ることが可能となり、プラント停止から復旧までの時間を短縮することができ、逸失利益を削減することが可能となる。
【0050】
更に、このトレンドグラフ画面には、異常発生又は復帰の日時が強調されて表示されるので、ユーザはその日時を境としてどのように入力データが推移したのかを容易に確認することが可能となる。
【0051】
また、警報画面において複数の警報要素がトレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合には、トレンドグラフ画面に、指定された複数の警報要素によって特定される異常発生日時が表示されるように、時間軸のレンジが調整される。これにより、ユーザは、複数の警報要素についての各監視項目の入力データの推移を比較しながら確認することが可能となり、異常発生の要因等を総合的に判断することが可能となる。
【0052】
また、警報画面において複数の警報要素がトレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合には、トレンドグラフ画面に表示される複数の監視項目に係るトレンドと警報画面における複数の警報要素とが対応づけられて表示させるので、トレンドグラフ画面における各グラフがどの警報要素に対応するグラフであるかを容易に把握することが可能となる。
【0053】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、プラント監視装置10がデータ記憶部22及び警報情報記憶部24を備えることとしたが、この例に限定されず、例えば、これら記憶部については、ネットワークを介して接続されるサーバ上(例えば、クラウドサーバ等)に格納されるような構成とされていてもよい。
【0055】
以上説明した一実施形態に記載のプラント監視装置及びプラント監視方法並びにプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0056】
本開示に係るプラント監視装置(10)は、プラント(1)の異常が検知された場合に、異常が発生した日時を含む警報情報を作成する警報出力部(23)と、警報情報に基づく警報要素を含む警報画面を表示部(19)に表示させる警報画面処理部(251)と、前記プラントの監視項目に係る入力データの時間的推移がグラフとして描かれたトレンドグラフ画面を前記表示部に表示させるグラフ画面処理部(252)とを備え、前記グラフ画面処理部は、前記警報画面及び前記トレンドグラフ画面が前記表示部に表示されている状態で、前記警報画面に表示されている前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、ドラッグアンドドロップ操作された前記警報要素から特定される前記日時を含む所定期間の入力データのグラフを前記トレンドグラフ画面に表示させるとともに、前記日時を強調させるための強調要素を前記トレンドグラフ画面に表示させる。
【0057】
本開示に係るプラント監視装置によれば、ドラッグアンドドロップ操作という一つの操作で所望の警報要素に関するグラフをトレンドグラフ画面に表示させることが可能となり、プラント監視の利便性を高めることが可能となる。また、このトレンドグラフ画面には、異常が発生した日時が強調されて表示されるので、ユーザは異常が発生した日時の前後でどのように入力データが推移したのかを容易に確認することが可能となる。
【0058】
本開示に係るプラント監視装置において、警報出力部は、前記プラントの異常からの復帰が検知された場合に、復帰した日時を含む警報情報を作成することとしてもよい。
【0059】
本開示に係るプラント監視装置によれば、異常の発生だけでなく、異常から復帰したときの警報情報が作成される。これにより、ユーザは、異常から復帰したときの日時の前後でどのように入力データが推移したのかを容易に確認することが可能となる。
【0060】
本開示に係るプラント監視装置において、前記グラフ画面処理部は、前記警報画面において複数の前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、複数の前記警報要素の各々から特定される各日時が前記トレンドグラフ画面に表示されるように、時間軸のレンジを調整することとしてもよい。
【0061】
本開示に係るプラント監視装置によれば、ユーザは、複数の警報要素についての各監視項目の入力データの推移を比較しながら確認することができ、異常発生の要因等を総合的に判断することが可能となる。
【0062】
本開示に係るプラント監視装置において、前記グラフ画面処理部は、前記警報画面において複数の前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、前記警報画面における各前記警報要素と前記トレンドグラフ画面に表示された各前記グラフとを対応付けて表示することとしてもよい。
【0063】
本開示に係るプラント監視装置によれば、ユーザは、トレンドグラフ画面における各グラフがどの警報要素に対応するグラフであるかを容易に把握することができる。
【0064】
本開示に係るプラント監視方法は、プラントの異常が検知された場合に、異常が発生した日時を含む警報情報を作成する工程と、警報情報に基づく警報要素を含む警報画面を表示部に表示させる工程と、前記プラントの監視項目に係る入力データの時間的推移がグラフとして描かれたトレンドグラフ画面を前記表示部に表示させる工程と、前記警報画面及び前記トレンドグラフ画面が前記表示部に表示されている状態で、前記警報画面に表示されている前記警報要素が前記トレンドグラフ画面にドラッグアンドドロップ操作された場合に、ドラッグアンドドロップ操作された前記警報要素から特定される前記日時を含む所定期間の入力データのグラフを前記トレンドグラフ画面に表示させるとともに、前記日時を強調させるための強調要素を前記トレンドグラフ画面に表示させる工程とをコンピュータが実行する。
【0065】
本開示に係るプログラムは、コンピュータを上記記載のプラント監視装置として機能させる。
【符号の説明】
【0066】
1 :プラント
10 :プラント監視装置
13 :記憶部
18 :入力部
19 :表示部
21 :データ取得部
22 :データ記憶部
23 :警報出力部
24 :警報情報記憶部
25 :監視画面処理部
251 :警報画面処理部
252 :グラフ画面処理部
253 :ロジック画面処理部