(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182570
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】充填機
(51)【国際特許分類】
B65B 3/12 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B65B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090195
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】594069764
【氏名又は名称】三星工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇賀田 優
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA05
3E118AA07
3E118AB18
3E118BB21
3E118EA01
3E118EA05
3E118FA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リニアモータを採用した場合でも、粘稠物の吸入量不足を防止し、高速化、且つ正確な量の粘稠物を充填する充填機を提供する。
【解決手段】粘稠物を貯留する第1貯留部14、第1ハウジング12、第1ハウジング12の内部に回動可能に設けられた第1ロータ13、第1シリンダ16、第1ピストン18、第1ロッド17、及び第1往復駆動部19を有する第1本体部11と、第2貯留部、第2ハウジング、第2ハウジングの内部に回動可能に設けられた第2ロータ、第2シリンダ3第2ピストン、第2ロッド、及び第2往復駆動部を有する第2本体部と、各ロータ13に嵌入された1つの回動駆動シャフト20と、を備えており、第1ハウジング12には、一時貯留部12eが形成されており、各往復駆動部19は、それぞれ各ロッド17をリニアモータによって直線往復動される構成である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性を有する粘稠物を容器に充填する充填機であって、
前記粘稠物を貯留する第1貯留部と、第1供給口、第1シリンダ口、及び第1充填口が穿設された第1ハウジングと、前記第1ハウジングの内部に回動可能に設けられた第1ロータと、前記第1シリンダ口に連通する第1シリンダと、前記第1シリンダの内部に直線往復動可能に設けられた第1ピストンと、前記第1ピストンに連結された第1ロッドと、前記第1ロッドを間欠的に直線往復動する第1往復駆動部と、を備え、
また、前記粘稠物を貯留する第2貯留部と、第2供給口、第2シリンダ口、及び第2充填口が穿設された第2ハウジングと、前記第2ハウジングの内部に回動可能に設けられた第2ロータと、前記第2シリンダ口に連通する第2シリンダと、前記第2シリンダの内部に直線往復動可能に設けられた第2ピストンと、前記第2ピストンに連結された第2ロッドと、前記第2ロッドを間欠的に直線往復動する第2往復駆動部と、を備え、
さらに、前記第1ロータ及び前記第2ロータに嵌入された回動駆動シャフトと、回動駆動部と、を備え、
前記第1ロータ及び前記第2ロータは、前記回動駆動シャフトによって、第1連通範囲及び第2連通範囲との間を同時に同方向へ間欠的に往復回動駆動される構成であり、
前記第1ハウジングは、一時貯留部となる空間が形成されており、
前記第1ロータは、前記第1連通範囲において前記第1供給口と、前記一時貯留部と、連通する第1流路、並びに前記第1連通範囲において前記第1シリンダ口と、前記第1充填口と、を連通し、前記第2連通範囲において前記第1供給口及び前記一時貯留部と、前記第1シリンダ口と、を連通する第2流路を有しており、
前記第2ロータは、前記第1連通範囲において前記第2供給口と、前記第2シリンダと、を連通し、前記第2連通範囲において前記第2供給口と連通する第3流路、並びに前記第2連通範囲において前記第2シリンダ口と、前記第2充填口と、を連通する第4流路を有しており、
前記第1往復駆動部及び前記第2往復駆動部は、それぞれ前記第1ロッド及び前記第2ロッドをリニアモータにより直線往復動する構成であること
を特徴とする充填機。
【請求項2】
前記第1連通範囲のみにおいて、前記第1充填口は、前記第1シリンダ口と連通する構成を有し、
前記第2連通範囲のみにおいて、前記第2充填口は、前記第2シリンダ口と連通する構成を有すること
を特徴とする請求項1記載の充填機。
【請求項3】
前記回動駆動シャフトは、断面が多角形状に形成されており、両端が軸受けによって軸支されており、
各前記ハウジングは、筐体に固定された支持シャフトによって支持されていること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の充填機。
【請求項4】
前記回動駆動シャフトは、中空であること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の充填機。
【請求項5】
前記第1ロータ及び前記第2ロータの外周部にはOリングが嵌設可能な溝が設けられていること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載の充填機。
【請求項6】
前記第1貯留部及び前記第2貯留部は、ホッパー形状であり、内部に空間が設けられたジャケット部を有すること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項記載の充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性を有する粘稠物を容器に充填する充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
弁体に設けられた流路を介して、貯留部内の流動性を有する粘稠物(以下、単に「粘稠物」と称する場合がある)をピストンの後退によってシリンダ内へ吸入し、弁体の移動(回動移動や直動移動)により、流路を切換えて、シリンダ内の粘稠物をピストンの前進によって容器等へ吐出する充填機が知られている。特許文献1(特開2000-159202号公報)では、流路は弁体に穿設された凹部として構成されており、特許文献2(特開2008-110803号公報)では、弁体は三方弁として構成されている。また、特許文献1、2においては、ピストンの直線往復駆動の駆動部として、サーボモータや電気モータが用いられている。なお、本願における「流動性を有する粘稠物」は、カレールウやマヨネーズといった食品のみならず、歯磨き粉や液体糊といった製品も含むものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-159202号公報
【特許文献2】特開2008-110803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示されている充填機においては、吸入及び吐出を高速化し、且つ正確な量の粘稠物を充填することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、サーボモータや電気モータをリニアモータに代替する手段に想到したが、リニアモータの駆動の立ち上がり時間が短いため、シリンダ内への粘稠物の吸入量の不足が生じてしまい、正確な量の粘稠物の吸入及び吐出ができないという別の課題が生じた。次に、発明者らは、弁体(本願ではロータと称する)が内挿されたハウジングに一時貯留部を設けておき、粘稠物の吐出と同時に、一時貯留部に粘稠物を貯留し、粘稠物の吸入時に貯留部内及び一時貯留部内の粘稠物を吸入することで粘稠物の吸入量不足を防止する手段に想到した。この手段では、充填機を二つ設け、粘稠物の吸入及び吐出を交互に行うことが好適であるが、当然、装置の部品点数が単純に倍増し、高コスト化・複雑化し、且つ大幅なスペースを要するというさらに別の課題が生じた。
【0006】
そこで、本発明は複合的な上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、リニアモータを採用した場合においてもシリンダへの粘稠物の吸入量不足を防止でき、また、正確な量の粘稠物の吸入及び吐出を高速に行えるようにし、さらに、充填機の部品点数の増加を抑えることを目的とする。
【0007】
本発明に係る充填機は、流動性を有する粘稠物を容器に充填する充填機であって、前記粘稠物を貯留する第1貯留部と、第1供給口、第1シリンダ口、及び第1充填口が穿設された第1ハウジングと、前記第1ハウジングの内部に回動可能に設けられた第1ロータと、前記第1シリンダ口に連通する第1シリンダと、前記第1シリンダの内部に直線往復動可能に設けられた第1ピストンと、前記第1ピストンに連結された第1ロッドと、前記第1ロッドを間欠的に直線往復動する第1往復駆動部と、を備え、また、前記粘稠物を貯留する第2貯留部と、第2供給口、第2シリンダ口、及び第2充填口が穿設された第2ハウジングと、前記第2ハウジングの内部に回動可能に設けられた第2ロータと、前記第2シリンダ口に連通する第2シリンダと、前記第2シリンダの内部に直線往復動可能に設けられた第2ピストンと、前記第2ピストンに連結された第2ロッドと、前記第2ロッドを間欠的に直線往復動する第2往復駆動部と、を備え、さらに、前記第1ロータ及び前記第2ロータに嵌入された回動駆動シャフトと、回動駆動部と、を備え、前記第1ロータ及び前記第2ロータは、前記回動駆動シャフトによって、第1連通範囲及び第2連通範囲との間を同時に同方向へ間欠的に往復回動駆動される構成であり、前記第1ハウジングは、一時貯留部となる空間が形成されており、前記第1ロータは、前記第1連通範囲において前記第1供給口と、前記一時貯留部と、連通する第1流路、並びに前記第1連通範囲において前記第1シリンダ口と、前記第1充填口と、を連通し、前記第2連通範囲において前記第1供給口及び前記一時貯留部と、前記第1シリンダ口と、を連通する第2流路を有しており、前記第2ロータは、前記第1連通範囲において前記第2供給口と、前記第2シリンダと、を連通し、前記第2連通範囲において前記第2供給口と連通する第3流路、並びに前記第2連通範囲において前記第2シリンダ口と、前記第2充填口と、を連通する第4流路を有しており、前記第1往復駆動部及び前記第2往復駆動部は、それぞれ前記第1ロッド及び前記第2ロッドをリニアモータにより直線往復動する構成であることを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る充填機において、第1ロッド及び第2ロッドがリニアモータによって直線往復動されることによって、粘稠物の吸入及び吐出を高速で行うことができる。一方、高速化に伴うシリンダ内への粘稠物の吸入量不足という課題は、第1ハウジングに一時貯留部を設けることにより解決される。また、各ロッドのストローク量を微調整(1μmオーダーで調整可能)することができるため、粘稠物が温度変化によってその密度が変化した場合においても正確な量の粘稠物を吸入及び吐出することができる。
【0009】
本発明に係る充填機が二つのロータ及びハウジングを備えることによって、粘稠物の吸入及び吐出を交互に行うことができ、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【0010】
本発明に係る充填機において、各ロータに2つの流路と、第1ハウジングに一時貯留部となる空間を設けた。これは、1つの回動駆動シャフト及び回動駆動部で2つのロータを回動駆動させようとすると、一方のロータの1つの流路が粘稠物の吸入及び吐出に兼用されることを考慮したものである。これによれば、各シリンダ内へ粘稠物を充填する際に、シリンダ内への粘稠物の吸入量不足を防止することができ、正確な量の粘稠物を吸入及び吐出することができる。
【0011】
本発明に係る充填機において、1つの回動駆動シャフトによって各ロータを回動駆動するため、当該充填機の部品点数を減らし、簡素化及び省スペース化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る充填機の上部斜視図である。
【
図3】
図1におけるIII―III線断面図である。
【
図5】
図1の第1ハウジングの斜視図であって、
図5(a)は上部斜視図であり、
図5(b)は下部斜視図である。
【
図7】
図1の第2ハウジングの斜視図であって、
図7(a)は上部斜視図であり、
図7(b)は下部斜視図である。
【
図9】第1ハウジング及び第1ロータの正面断面視の動作説明図である。
【
図10】第2ハウジング及び第2ロータの正面断面視の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(充填機の全体構造)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る充填機10の上部斜視図である。
図2は、
図1の充填機10のD部拡大図である。
図3は、
図1のIII-III線断面図である。
図4は、
図1のIV-IV線断面図である。
図5は、第1ロータ13を除いた第1ハウジング12の上部及び下部斜視図である。
図6は、第1ハウジング12を除いた第1ロータ13の斜視図である。
図7は、第2ロータ33を除いた第2ハウジング32の上部及び下部斜視図である。
図8は、第2ハウジング32を除いた第2ロータ33の斜視図である。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
本実施形態に係る充填機10は、
図1~
図4に示すように、2つの本体部11、31と、回動駆動シャフト20と、回動駆動部21によって構成されている。なお、第1本体部11は、第1ハウジング12と、第1ロータ13と、第1貯留部14と、第1シリンダ16と、第1ピストン18と、第1ロッド17と、第1往復駆動部19を備えており、第2本体部31は、第2ハウジング32と、第2ロータ33と、第2貯留部34と、第2シリンダ36と、第2ピストン38と、第2ロッド37と、第2往復駆動部39を備えている。ただし、後述するように、第1ハウジング12と、第2ハウジング32と、は互いに異なる構造となっており、第1ロータ13と、第2ロータ33と、は互いに異なる構造となっている。また、充填機10は、各ロータ13、33がそれぞれ回動駆動されることによって、各ハウジング12、32内の流路が切換わり、各シリンダ16、36への粘稠物の吸入及び各シリンダ16、36からの粘稠物の吐出を行うことができる。なお、本実施形態に係る充填機10は、1つの回動駆動シャフト20及び1つの回動駆動部21を備えているため、粘稠物の吸入及び吐出は各本体部11、31で交互に行われるものである。これにより、粘稠物を容器へ充填することができる。
【0015】
一方、充填対象の粘稠物は、固形化前のカレールウやマヨネーズ、ケチャップ等の食品に加えて、歯磨き粉や液体糊といった流動性を有する粘稠物である(一例として、粘度は、好適には、100~100000mPa・s程度であり、さらに好適には、100~10000mPa・s程度)。なお、水溶性の有無については限定されるものではない。
【0016】
(第1本体部)
また、本実施形態に係る第1ハウジング12は、
図3、5に示すように、後述する第1ロータ13が内挿される断面円形状の第1空間12dを有する筐体であり、上面に第1供給口12a、側面に第1シリンダ口12b、下面に第1充填口12cが穿設されている構成である。第1供給口12aは後述する第1貯留部14と連通し、第1シリンダ口12bは後述する第1シリンダ16と連通し、第1充填口12cは外部と連通し、第1充填口12cから粘稠物が容器に充填される構成である。第1供給口12aと、第1シリンダ口12bと、及び第1充填口12cと、は、一例として、断面円形状に形成されている。また、当該第1空間12dの正面には、第1供給口12aと連通する一時貯留部12eと、第1シリンダ口12bと連通する第5流路12fと、が穿設されている。さらに、第1ハウジング12は、筐体42に固定された複数の支持シャフト41(一例として、4つの支持シャフト41)によって支持されている。第1ハウジング12は、一例として、金属材料(ステンレス合金等)を用いて形成されている。
【0017】
なお、第1供給口12a及び第1シリンダ口12bと、第1充填口12cと、は第1ハウジング12の厚さ方向において異なる位置に穿設されている。これは、後述するように、第1ロータ13が第1連通範囲にある時以外において、第1充填口12cを外部以外とは非連通とし、第1連通範囲の切換え角度0°以外における粘稠物の吐出を防止するためである。これにより、正確な量の粘稠物を容器に充填することができる。
【0018】
次に、本実施形態に係る第1ロータ13は、
図3、6に示すように、第1ハウジング12の第1空間12dに内挿されており、後述する回動駆動シャフト20によって、第1連通範囲と、非連通範囲と、及び第2連通範囲と、の間を間欠的に往復回動駆動される構成である。また、第1ロータ13は、第1流路13aと、第2流路13bと、が穿設されており、第1ロータ13の外周側において開口する形状に形成されている。第1ロータ13は、一例として、金属材料(ステンレス合金等)を用いて形成されている。流路を切換えることによる粘稠物の吸入及び吐出の作動原理の詳細は後述する。
【0019】
なお、第1ロータ13の外周部には、Oリングを嵌設可能な第1溝13cが設けられており、Oリングを適宜、設けることができる。これにより、粘稠物の漏出を防止することができる。
【0020】
次に、本実施形態に係る第1貯留部14は、一例として、金属材料(ステンレス合金等)を用いて、ホッパー形状に形成されており、内部に空間が設けられたジャケット部(不図示)を有する構成であり、第1貯留部14の内部に粘稠物を貯留することができる。また、ジャケット部を有することによって、ジャケット部に温水を通して、粘稠物を加温し、粘稠物の温度調整をすることができる。これによれば、粘稠物の温度(密度)変化を防止することができ、正確な量の粘稠物の吸入及び吐出が可能となる。
【0021】
次に、本実施形態に係る第1シリンダ16は、
図1~
図3に示すように、第1シリンダ口12bと連通し、一例として断面円形状に形成されている。後述する第1往復駆動部19によって、第1ロッド17が直線往復動され、第1ロッド17に連結された第1ピストン18の直線往復動によって、第1シリンダ16内への粘稠物の吸入と、第1シリンダ16内の粘稠物の吐出と、をすることができる。
【0022】
(第1往復駆動部)
次に、本実施形態に係る第1往復駆動部19は、リニアモータによって第1ロッド17を直線往復動させる構成である。当該リニアモータは、一例として、図示しない永久磁石と、コイルと、を組み合わせることによって構成された公知のリニアモータである。リニアモータは、エアシリンダやボールねじの場合に比べて応答性が良く、1μmオーダーでの制御をすることができる構成であるため、粘稠物が温度(密度)変化した場合でも、ストローク量を調整することによって、正確な量の粘稠物の吸入及び吐出をすることができる。
【0023】
なお、第1往復駆動部19は、一例として、図示しない制御部を有しており、タッチパネルでの操作によって、ストローク量の調整をすることが可能な構成とすることもできる。これによれば、粘稠物が温度(密度)変化した場合においても、正確な量の粘稠物の吸入及び吐出をすることができる。
【0024】
(回動駆動シャフト及び回動駆動部)
次に、本実施形態に係る回動駆動シャフト20は、
図1~
図4に示すように、第1ロータ13及び後述する第2ロータ33に嵌入されており、一例として、断面四角形状で、且つ中空に形成されている。回動駆動シャフト20は、第1軸受け22及び第2軸受け23によって両端を軸支されている。ところで、上述した通り、第1ハウジング12は各支持シャフト41によって、筐体42に支持されている。これによって、各ロータ13、33と、各ハウジング12、32と、が互いに摺動しない構成が可能となり、各ロータ13、33の外周及び各ハウジング12、32の内周の焼き付きを防止することができる。回動駆動シャフト20は、回動駆動部21に連結されており、回動駆動部21が、第1連通範囲と、非連通範囲、第2連通範囲と、の間を間欠的に往復回動駆動することによって、往復回動駆動される。回動駆動シャフト20は、一例として、金属材料(炭素鋼やステンレス合金等)を用いて形成されている。回動駆動シャフト20及び回動駆動部21をそれぞれ1つだけ設ける構成とすることによって、充填機10の部品点数を減らし、簡素化及び省スペース化を図ることができる。
【0025】
なお、回動駆動シャフト20は、適宜、内部の空洞内に温水を通す構成とすることができる。これによって、各ハウジング12、32及び各ロータ13、33を加温することで粘稠物の温度(密度)調整をすることができ、正確な量の粘稠物の吸入及び吐出をすることができる。
【0026】
(第2本体部)
第1本体部11と、回動駆動シャフト20と、及び回動駆動部21について詳細に説明してきた。次に第2本体部31について詳細に説明する。なお、第2本体部31と、第1本体部11と、は各ロータ13、33及び各ハウジング12、32の構成がそれぞれ異なっているが、それ以外の構成(第2貯留部34、第2シリンダ36、第2ロッド37、第2ピストン38、第2往復駆動部39)は、第1本体部11と同様であるため、これらの説明は省略する。ただし、第1往復駆動部19と、第2往復駆動部39と、は各ロッド17、37の前進・後退の位相が逆である。
【0027】
本実施形態に係る第2ハウジング32は、
図4、
図7に示すように、後述する第2ロータ33が内挿される断面円形状の第2空間32dを有する筐体であり、上面に第2供給口32a、側面に第2シリンダ口32b、下面に第2充填口32cが穿設されている構成である。第2供給口32aは第2貯留部34と連通し、第2シリンダ口32bは第2シリンダ36と連通し、第2充填口32cは外部と連通し、第2充填口32cから粘稠物が容器に充填される構成である。なお、一例として、第2供給口32aと、第2シリンダ口32bと、及び第2充填口32cと、は断面円形状に形成されている。また、第2空間32dの正面には第2供給口32aと連通する第6流路32eと、第2シリンダ口32bと連通する第7流路32fと、が穿設されている。また、第2ハウジング32は、第1ハウジング12と同様に、筐体42に固定された各支持シャフト41によって支持されている。第2ハウジング32は、一例として、金属材料(ステンレス合金等)を用いて形成されている。
【0028】
なお、第2供給口32a及び第2シリンダ口32bと、第2充填口32cと、は第2ハウジング32の厚さ方向において異なる位置に穿設されている。これは、後述するように、第2ロータ33が第2連通範囲にある時以外において、第2充填口32cを外部以外とは非連通とし、第2連通範囲の切換え角度55°以外における粘稠物の吐出を防止するためである。これにより、正確な量の粘稠物を容器に充填することができる。
【0029】
次に、本実施形態に係る第2ロータ33は、
図4、
図8に示すように、第2ハウジング32の第2空間32dに内挿されており、後述するように、回動駆動シャフト20によって、第1連通範囲と、非連通範囲と、及び第2連通範囲と、の間を間欠的に往復回動駆動される構成である。また、第2ロータ33は、第3流路33aと、第4流路33bと、が穿設されており、第3流路33aは、第2ロータ33の外周側において開口しており、第4流路33bは、第2ロータ33の外周側においてその両端が開口する形状に形成されている。第2ロータ33は、一例として、金属材料(ステンレス合金等)を用いて形成されている。
【0030】
なお、第2ロータ33の外周部には、Oリングを嵌設可能な第2溝33cが設けられており、Oリングを適宜、設けることができる。これにより、粘稠物の漏出を防止することができる。
【0031】
(粘稠物の充填の作動原理)
次に、充填機10における粘稠物の吸入及び吐出の作動原理について詳細に説明する。
図9、10は、回動駆動シャフト20の各位相における各ロータ13、33及び各ハウジング12、32の正面断面視の動作説明図である。回動駆動シャフト20は、一例として、切換え角度0°を含む第1連通範囲と、30°を含む非連通範囲と、及び切換え角度55°を含む第2連通範囲との間を、0°、30°、55°、30°、次いで、0°、…、というように間欠的に往復回動駆動される。なお、切換え角度は、これらに限定されるものではない。後述するように、第1連通範囲と、非連通範囲と、第2連通範囲と、において、各流路12f、13a、13b、32e、32f、33a、33b、一時貯留部12e、各供給口12a、32a、各シリンダ口12b、32b、及び各充填口12c、32cの連通・非連通の関係が切換わる構成となっている。
【0032】
第1連通範囲において、第1本体部11では、第1供給口12aと、第1流路13aと、及び一時貯留部12eと、が連通する。これによって、第1ロータ13が切換え角度0°で一時停止した際に、第1貯留部14から一時貯留部12eに粘稠物を送出することができる。また、第1連通範囲において、第1本体部11では、第1シリンダ口12bと、第2流路13bと、第5流路12fと、及び第1充填口12cと、が連通する。第1ロータ13が切換え角度0°で一時停止した際に、第1ロッド17が第1往復駆動部19によって前進され、第1シリンダ16内の粘稠物が第1充填口12cに吐出される。
【0033】
同時に、第1連通範囲において、第2本体部31では、第2供給口32aと、第3流路33aと、第6流路32eと、第7流路32fと、及び第2シリンダ口32bと、が連通する。第2ロータ33が切換え角度0°で一時停止した際に、第2ロッド37が第2往復駆動部39によって後退され、第2貯留部34、第3流路33a、及び第6流路32eから第2シリンダ36内へ粘稠物が吸入される。後述するように、第2ロータ33が、切換え角度55°で一時停止した際に、第2貯留部34から第3流路33a内及び第6流路32e内へ粘稠物が送出されるので、第2ロータ33が、切換え角度0°で一時停止し、第2ロッド37が第2往復駆動部39により後退された時にも、第2シリンダ36内への粘稠物の吸入量不足を防止することができる。
【0034】
非連通範囲において、第1本体部11では、第1充填口12cは、外部以外とは非連通となるため、粘稠物は第1ハウジング12から吐出されない。
【0035】
同時に、非連通範囲において、第2本体部31では、第2充填口32cは、外部以外とは非連通となるため、粘稠物は、第2ハウジング32から吐出されない。
【0036】
上述した通り、切換え角度30°において、回動駆動シャフト20が一時停止することによって、第1シリンダ口12bと、第1充填口12cとが非連通となり、第2シリンダ口32bと、第2充填口32cとが非連通となるため、粘稠物の各ハウジング12、32外部への吐出を防止することができる。また、その間に容器の交換や各ハウジング12、32の各充填口12c、32cの外部に付着した粘稠物の拭き取りを行うことができる。
【0037】
第2連通範囲において、第1本体部11では、第1供給口12aと、第2流路13bと、一時貯留部12eと、第5流路12fと、第1シリンダ口12bと、が連通する。第1ロータ13が切換え角度55°で一時停止した際に、第1ロッド17が第1往復駆動部19によって後退され、第1貯留部14内及び一時貯留部12e内の粘稠物が第1シリンダ16内へ吸入される。第1貯留部14内の粘稠物のみならず、一時貯留部12e内の粘稠物も吸入することによって、第1シリンダ16内への粘稠物の吸入量不足を防止することができる。
【0038】
同時に、第2連通範囲において、第2本体部31では、第2供給口32aと、第3流路33aと、及び第6流路32eと、が連通する。第2ロータ33が切換え角度55°で一時停止した際に、第2貯留部34から第3流路33a及び第6流路32eへ粘稠物を送出することができる。また、第2連通範囲において、第2本体部31では、第2シリンダ口32bと、第4流路33bと、第7流路32fと、及び第2充填口32cと、が連通する。第2ロータ33が切換え角度55°で一時停止した際に、第2ロッド37が第2往復駆動部39によって前進され、第2シリンダ36内の粘稠物が第2充填口32cに吐出される。
【0039】
以上、説明した通り、本発明によれば、リニアモータを採用することによって、本体部を2つ設け、また、第1ハウジング12に一時貯留部12eを設け、さらに、回動駆動シャフト20及び回動駆動部21を1つのみ設ける構成において、従来よりも高速で、且つ正確な量の粘稠物の吸入及び吐出をすることができる。また、粘稠物の吸入及び吐出を同時に行うことができ、タクトタイムの短縮を図ることができる。さらに、一時貯留部12eを設けたことによって、リニアモータを採用したことによる粘稠物の吸入量不足を防止することができる。さらに、充填機10の部品点数を減らし、充填機の簡素化及び省スペース化を行うことができる。
【0040】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、様々な実施形態が考えられる。具体的には、第1供給口12aと、一時貯留部12eと、は常時連通し、第2供給口32aと、第6流路32eは常時連通している構成としているが、これを非連通としてもよい。また、回動駆動シャフト20は、四角以外の断面多角形状であってもよい。さらに、各本体部11、31をそれぞれ2つ以上設けた充填機10としてもよい。これによれば、複数の充填部を有する容器への粘稠物の充填において、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 充填機
11 第1本体部
12 第1ハウジング
12a 第1供給口
12b 第1シリンダ口
12c 第1充填口
12e 一時貯留部
13 第1ロータ
13a 第1流路
13b 第2流路
14 第1貯留部
16 第1シリンダ
17 第1ロッド
18 第1ピストン
19 第1往復駆動部
20 回動駆動シャフト
21 回動駆動部
22 第1軸受け
23 第2軸受け
31 第2本体部
32 第2ハウジング
32a 第2供給口
32b 第2シリンダ口
32c 第2充填口
33 第2ロータ
33a 第3流路
33b 第4流路
34 第2貯留部
36 第2シリンダ
37 第2ロッド
38 第2ピストン
39 第2往復駆動部
41 支持シャフト
42 筐体