(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182595
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ロール状の被検査物の検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
G01N21/892 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090238
(22)【出願日】2021-05-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社サニー・シーリングにて、令和2年8月19日に公開
(71)【出願人】
【識別番号】316007115
【氏名又は名称】有限会社ヤスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100133547
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 基文
(72)【発明者】
【氏名】今安 卓也
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA34
2G051AB02
2G051AB20
2G051AC02
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、搬送方向を逆転させて被検査物を巻き戻さなくても、欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を再検査できるロール状の被検査物を提供する。
【解決手段】画像取得手段を検視テーブル4の上流側のほかに、検視テーブルの下流側にも備えるようにして、ロール状の検査物Rの画像を検視テーブルの上流側にある第1の画像取得手段2aと、検視テーブルの下流側にある第2の画像取得手段2bの2か所で取得する。検視テーブルで不良品ラベルLbを良品ラベルに貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を進行方向に送って、検視テーブルの下流側にある第2の画像取得手段で貼り替えた良品ラベルの画像を取得して、良品ラベルに貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を再検査する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の被検査物の検査装置であって、
前記検査装置が、被検査物の所定の検査領域を画像として取得する画像取得手段と、前記画像取得手段で取得した画像をあらかじめ登録された基準画像と対比して被検査物の欠陥の有無を判定する判定手段と、前記判定手段で欠陥ありと判定した場合に、欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりする検視テーブルと、前記画像取得手段と前記検視テーブルに被検査物を送る被検査物送り手段とを有して構成され、
前記画像取得手段が、検視テーブルの上流側のほかに、検視テーブルの下流側にも備えられていることを特徴とするロール状の被検査物の検査装置。
【請求項2】
前記検視テーブルの下流側に備えられる画像取得手段が、検視テーブルの上流側に備えられる画像取得手段と、同じ用途の画像取得手段であること特徴とする請求項1に記載のロール状の被検査物の検査装置。
【請求項3】
前記検視テーブルの下流側に備えられる画像取得手段が、検視テーブルの上流側に備えられる画像取得手段にない用途も兼ね備えていること特徴とする請求項1に記載のロール状の被検査物の検査装置。
【請求項4】
前記検視テーブルの下流側に備えられる画像取得手段が兼ね備える用途が、寸法計測であることを特徴とする請求項3に記載のロール状の被検査物の検査装置。
【請求項5】
前記検視テーブルの下流側に備えられる画像取得手段が、スリッターの下流に備えられていることを特徴とする請求項1から請求項4に記載のロール状の被検査物の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロール状の被検査物の欠陥を検出する検査装置に関し、特に既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、搬送方向を逆転させて被検査物を巻き戻さなくても、欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を再検査できるロール状の被検査物の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状の被検査物の検査装置としては、被検査物の所定の検査領域を画像として取得する第1カメラセンサーと第2カメラセンサーとを有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このロール状の被検査物の検査装置では、第1カメラセンサーと第2カメラセンサーが交互に画像を取得するようにして、一つのカメラセンサーによって検査するのと比べて、移送速度を2倍に向上させている。
【0003】
また、ロール状の被検査物の検査装置ではないものの、箱体の検査装置としては、箱体の上面を撮像するカメラと、箱体の下面を撮像するカメラとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この箱体の検査装置では、カメラを箱体の上下に設置するようにして、検査装置の長さを短くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-58386号公報(段落0033,0066、
図1)
【特許文献2】特開2013-68544号公報(段落0015,0022、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に係るロール状の被検査物の検査装置では、第1カメラセンサーと第2カメラセンサーを、検視テーブル(特許文献1では、貼替ステーションという。)の上流側に隣り合うように配置しているために、検視テーブルで貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を再検査するには、搬送方向を逆転させて貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を第1カメラセンサーと第2カメラセンサーの位置まで巻き戻さなくてはならない。
【0006】
また、前記特許文献2に係る箱体の検査装置でも、カメラを被検査物(特許文献2では、箱体である。)を上下から挟むように設置しているために、被検査物を再検査するには、被検査物をカメラの位置まで戻さなくてはならず、ここでは、被検査物を検査装置に通し直さなくてはならない。そして、前記特許文献2に係る箱体の検査装置では、被検査物が一定のサイズに裁断されていない連続したロール状の被検査物の場合には、貼り替えたり、つなぎ替えたりしたわずかな部分を再検査するために、ロール状の被検査物を最初から最後まで検査装置に通し直さなくてはならず、再検査に時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、この発明では、前記した課題を解決し、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、搬送方向を逆転させて被検査物を巻き戻さなくても、欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を再検査できるロール状の被検査物の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、ロール状の被検査物の検査装置を、被検査物の所定の検査領域を画像として取得する画像取得手段と、画像取得手段で取得した画像をあらかじめ登録された基準画像と対比して被検査物の欠陥の有無を判定する判定手段と、判定手段で欠陥ありと判定した場合に、欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりする検視テーブルと、画像取得手段と検視テーブルに被検査物を送る被検査物送り手段とを有して構成した。そして、請求項1に係る発明では、画像取得手段を、検視テーブルの上流側のほかに、検視テーブルの下流側にも備えるようにした。
【0009】
請求項2に係る発明では、検視テーブルの下流側に備えられる画像取得手段を、検視テーブルの上流側に備えられる画像取得手段と、同じ用途の画像取得手段にした。
【0010】
請求項3に係る発明では、検視テーブルの下流側に備えられる画像取得手段を、検視テーブルの上流側に備えられる画像取得手段にない用途も兼ね備えるようにした。
【0011】
請求項4に係る発明では、検視テーブルの下流側に備えられる画像取得手段が兼ね備える用途を、寸法計測にした。
【0012】
請求項5に係る発明では、検視テーブルの下流側に備えられる画像取得手段を、スリッターの下流に備えるようにした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、画像取得手段を検視テーブルの上流側のほかに、検視テーブルの下流側にも備えるようにしたので、被検査物の画像を検視テーブルの上流側にあるの第1の画像取得手段と、検視テーブルの下流側にある第2の画像取得手段の2か所で取得することができる。そこで、請求項1に係る発明によれば、検視テーブルで欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を進行方向に送って、検視テーブルの下流側にある第2の画像取得手段で被検査物の画像を取得することができる。そのため、請求項1に係る発明によれば、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、被検査物送り手段の搬送方向を逆転させて被検査物を第1の画像取得手段に相当する位置まで巻き戻さなくても、検視テーブルで欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を再検査することができる。
【0014】
ここで、被検査物を巻き戻さなくても再検査することができる効果を、より詳しく説明する。請求項1に係る発明によれば、被検査物を巻き戻さなくて済むので、被検査物送り手段を、被検査物を一定の方向に送る機構と、被検査物を送る機構にブレーキをかけて被検査物を止める機構に絞ることができる。そのため、請求項1に係る発明によれば、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、被検査物送り手段の搬送方向を逆転させるのと比べて、検査装置を簡素な構成にすることができる。また、請求項1に係る発明によれば、検査装置を簡素な構成にすることができるので、検査装置を故障しにくくできるとともに、故障しても修理しやすくもできる。
【0015】
また、請求項1に係る発明によれば、被検査物を検視テーブルの下流側にある第2の画像取得手段に送って再検査するようにしたので、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、被検査物を検視テーブルから第1の画像取得手段に相当する位置まで巻き戻して再検査するのと比べて、被検査物の巻き戻しにかかる時間の分だけ、再検査に要する時間を短くすることもできる。
【0016】
さらに、請求項1に係る発明によれば、被検査物を巻き戻さなくて済むので、被検査物の傷みや汚れを減らすことができる。また、請求項1に係る発明によれば、被検査物がシールやラベルの場合には、シールやラベルのはがれも減らすことができる。
【0017】
加えて、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置ではスリッターを連結しにくいところ、請求項1に係る発明によれば、被検査物を巻き戻さなくて済むので、検査装置の下流側に、簡単にスリッターを連結することもできる。
【0018】
ここで、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置ではスリッターを連結しにくい理由を、より詳しく説明する。スリッターとは、被検査物を流れる方向に、製品の幅に合わせて連続して切断するための装置である。そして、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置では、被検査物を巻き戻して被検査物を再検査しているために、被検査物を再検査するには、製品の幅に合わせて切断した被検査物をスリッターから巻き戻して、もう一度スリッターに通すことになる。このように、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置では、被検査物をもう一度スリッターに通すときに、切断位置が一度目とずれてしまい、製品の幅が狭くなってしまうなどの欠陥を生じやすいために、スリッターを連結しにくいのである。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、検視テーブルの下流側に備えられる第2の画像取得手段を、検視テーブルの上流側に備えられる第1の画像取得手段と、同じ用途の画像取得手段にしたので、第2の画像取得手段でも、第1の画像取得手段と同じ目的で検査することができる。そのため、請求項2に係る発明によれば、まさに再検査することができる。
【0020】
そして、請求項2に係る発明によれば、第2の画像取得手段を、第1の画像取得手段と同じ精度の画像取得手段にすると、第1の画像取得手段と同じ精度で再検査することができる。
【0021】
また、請求項2に係る発明によれば、第2の画像取得手段を、第1の画像取得手段よりも精度を下げた画像取得手段にすると、第2の画像取得手段の価格を抑えた分だけ、検査装置の価格を抑えることもできる。ここで、請求項2に係る発明によれば、第2の画像取得手段は、欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を再検査、言い換えると、欠陥がないはずの被検査物を再検査するものであるから、貼り忘れや貼り間違えなどという人為的なミスを検出できれば足りる。そのため、請求項2に係る発明によれば、第2の画像取得手段は、第1の画像取得手段よりも精度を抑えた画像取得手段でも構わないといえる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、検視テーブルの下流側に備えられる第2の画像取得手段を、検視テーブルの上流側に備えられる第1の画像取得手段にない用途も兼ね備えるようにしたので、第1の画像取得手段と同じ目的で再検査できるとともに、第2の画像取得手段によって検出できる欠陥も併せて付加価値の高い検査をすることができる。
【0023】
第1の画像取得手段にない用途として、バーコード検査が想定される。ここで、バーコード検査とは、印刷されたバーコードや2次元コードなどが読み取れるか、印刷品質に問題がないか、バーコードと目視可読文字(ヒューマンリーダブルともいう。)が同じ内容になっているかを判定する検査をいう。そして、請求項3に係る発明によれば、第2の画像取得手段が兼ね備える用途をバーコード検査にすると、人の目では分かりにくいバーコードや2次元コードなど不良も検出することができる。
【0024】
また、第1の画像取得手段にない用途として、文字検査も想定される。ここで、文字検査とは、印字された文字の内容に誤りがないか、正確に判別することができるか、欠けや汚れ、伸び縮み、かすれ、にじみ、形状くずれなど印字品質に問題がないかを判定する検査をいう。そして、請求項3に係る発明によれば、第2の画像取得手段が兼ね備える用途を文字検査にすると、賞味期限や使用期限、製造番号、シリアル番号などが付された可変情報シールや可変情報ラベルと呼ばれる異なる情報を持つ被検査物も検査することができる。
【0025】
請求項4に係る発明では、検視テーブルの下流側に備えられる第2の画像取得手段が兼ね備える用途を寸法計測にしたので、色落ちや汚れなどの外観の欠陥とともに、例えば台紙からシールやラベルの端までの寸法が許容範囲であるかという寸法の欠陥も併せて検査することができる。
【0026】
請求項5に係る発明では、検視テーブルの下流側に備えられる第2の画像取得手段を、スリッターの下流に備えるようにしたので、ロール状の被検査物を製品の幅に合わせて切断(スリットという。)した位置(スリットの蛇行ともいう。)が許容範囲であるかという寸法の欠陥も併せて検査することができる。
【0027】
このように、請求項1から請求項5に係る発明によれば、検視テーブルの上流側にある第1の画像取得手段と、検視テーブルの下流側にある第2の画像取得手段の2か所で、被検査物の画像を取得するようにしたので、検視テーブルでの貼り間違いや貼り忘れなどという人為的なミスも確実に検査することができる。
【0028】
特に、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置では、被検査物を第1の画像取得手段に相当する位置まで巻き戻すのを忘れ、再検査をし忘れるという人為的なミスが起こるところ、請求項1から請求項5に係る発明によれば、被検査物を下流に送って再検査するので、確実に再検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置の斜視図である。
【
図2】(a)は実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置で、ロール状の被検査物を再検査する仕組みを説明する斜視図のうち、第1の画像取得手段で被検査物の画像を取得する状態を示す斜視図であり、(b)は検視テーブルで欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりする状態を示す斜視図であり、(c)は第2の画像取得手段で被検査物の画像を取得する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
まず、この発明の創作の基礎となる事項について簡単に説明する。出願人は、シール・ラベル検査装置のメーカーであり、今年6月で20期を迎える。出願人は、国内に限らず海外にも多くのブレーンを持ち、自社周辺の限定的な情報に限らず、国境や業界の壁を越えた幅広いブレーンで、お客様からの様々なご相談に迅速に対応してきた。
【0031】
出願人は、オーダーメード方式によって、お客様ごとに異なる様々な仕様の装置をお届けし続けていることを自慢の一つと考えている。そして、出願人は、「お客様が既存の装置を選んで導入される」のではなく、「お客様それぞれの仕様に合わせた装置をお届けする」ことによって、無理や無駄がなく使い勝手の良い装置をお使いいただくことに心掛けている。この発明は、まさに無理や無駄がなく使い勝手の良い装置をお使いいただきたいとの思いから創作されたものである。
【0032】
発明者は、印刷業界の検査装置や仕上げ装置に携わること約35年、業界での豊富な経験を有している。発明者は、日頃からお客様には無理や無駄がなく使い勝手の良い装置をお使いいただきたいと思っていて、お客様の声を拾い上げて、お客様ごとに異なる様々な仕様の装置を開発してきた。
【0033】
発明者は、先の発明(特願2016-112298)で、お客様から「納入先からシールやラベルの検査を要求されることが増えたが、何台もある印刷機のすべてにシール・ラベル検査装置を付けられない」との声を聞いたことをきっかけに、ロール状の被検査物の検査装置をモジュール化して、検査装置をインラインでもオフラインでも設置でき、ロールにでもシートにでも仕上げられ、様々な印刷機や後加工機に対応した検査装置を開発し、多くのお客様から好評を頂いている。
【0034】
発明者は、お客様を回る中で、お客様から「これまでシールやラベルの検査に対応してきたが、納入先の要求がエスカレートしてきた。逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置を導入して再検査の要求にも対応したいが、先行きの見通しが立たないこのご時世に検査装置の買い替えはできない」との不安の声を聞いた。
【0035】
そこで、発明者は、無理をして新しく検査装置を導入されなくても、お使い(既設ともいう。)のシール・ラベル検査装置を搬送方向が逆転するようにして、逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置に改造することに取り組み始めた。その中で、発明者は、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置では、被検査物を画像取得手段まで巻き戻して再検査しているために、被検査物の巻き戻しにかかる時間の分だけ、お使いのシール・ラベル検査装置よりも検査に要する時間が長くなってしまうことが気になった。
【0036】
特に、発明者は、一般的なシール・ラベル検査装置では、判定手段で欠陥ありと判定された場合でも、検視テーブルにて目視で検査をすると欠陥なしと判断できる場合が多いことに着目した。そして、発明者は、目視検査で欠陥なしと判断したものまでも、画像取得手段まで巻き戻して再検査することを求められたりすると、お使いのシール・ラベル検査装置よりも検査に要する時間が大幅に長くなってしまい、使い勝手の悪い装置になってしまうと考えるようになった。
【0037】
また、発明者は、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置では、被検査物を巻き戻すことによって、シールやラベルが傷んだり、汚れたりして、また、シールやラベルがはがれたりして、欠陥の原因になっていることも気になった。
【0038】
そして、発明者は、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置では、検視テーブルで欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりした被検査物を画像取得手段まで巻き戻しているところ、検視テーブルの下流にも画像取得手段を備えるようにすれば、被検査物を巻き戻すことなく再検査できることを見いだし、この発明を創作するに至ったものである。
【0039】
次に、この発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置の斜視図である。
図1に示すように、ロール状の被検査物の検査装置1は、ロール状の被検査物Rの所定の検査領域を画像として取得する画像取得手段2と、画像取得手段2で取得した画像をあらかじめ登録された基準画像と対比して被検査物Rの欠陥の有無を判定する判定手段3と、判定手段3で欠陥ありと判定した場合に、欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりする検視テーブル4と、画像取得手段2と検視テーブル4に被検査物Rを送る被検査物送り手段5とを有して構成されている。加えて、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1には、巻き取られた状態のロール状の被検査物Rをセットするための原反巻き出しシャフト5bと、検査済みのロール状の被検査物Rを巻き取るための製品巻き取りシャフト5cも備えられている。
【0040】
そして、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、画像取得手段2が、検視テーブル4の上流側(これを、第1の画像取得手段(ファーストカメラともいう。)2aという。)ほかに、検視テーブル4の下流側(これを、第2の画像取得手段(セカンドカメラともいう。)2bという。)にも備えられている。
【0041】
また、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、ロール状の被検査物Rを製品の幅に合わせて切断するスリッター7が、検視テーブル4と第2の画像取得手段2bの間に備えられている。
【0042】
画像取得手段2は、ロール状の被検査物Rの所定の検査領域を画像として取得する手段であり、ここではカメラと図示しない照明とを有して構成されている。画像取得手段2は、被検査物Rの所定の検査領域に印刷されている文字や絵など、また被検査物Rの所定の検査領域そのものを画像として取得する。そして、画像取得手段2によって取得された画像は、判定手段3に送られる。
【0043】
画像取得手段2は、検視テーブル4の上流側に配置される第1の画像取得手段2aと、検視テーブル4の下流側に第2の画像取得手段2bとからなる。第1の画像取得手段2aは、色落ちや汚れなどの外観を検査するものである。ここでは、第2の画像取得手段2bは、第1の画像取得手段にない用途、具体的には寸法計測も兼ね備えていて、色落ちや汚れなどの外観の欠陥とともに、例えば台紙からラベルLの端までの寸法が許容範囲であるかという寸法の欠陥も併せて検査する。また、ここでは、第2の画像取得手段2bは、スリッター7の下流に備えられていて、ロール状の被検査物Rを製品の幅に合わせて切断した位置が許容範囲であるかという寸法の欠陥も併せて検査する。
【0044】
判定手段3は、画像取得手段2で取得した画像をあらかじめ登録された基準画像と対比してロール状の被検査物Rの欠陥の有無を判定する手段であり、ここでは、第1の画像取得手段2aで取得した画像をあらかじめ登録された基準画像と対比して被検査物Rの欠陥の有無を判定する判定手段3aと、第2の画像取得手段2bで取得した画像をあらかじめ登録された基準画像と対比して被検査物Rの欠陥の有無を判定する判定手段3bとからなる。判定手段3a,3bは、パソコンを有して構成されている。そして、判定手段3aは、判定の結果を、具体的には検視テーブル4で止まった複数のラベルLの中で、どのラベルが不良品ラベルLbかを、タッチパネル6に表示するように構成されている。
【0045】
検視テーブル4は、欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりするための台である。そして、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、被検査物Rに欠陥があると判定した場合に、欠陥箇所が、ここでは不良品ラベルLbが検視テーブル4で止まるように構成されている。
【0046】
被検査物送り手段5は、画像取得手段2a,2bと検視テーブル4にロール状の被検査物Rを送る手段であり、ロール状の被検査物Rを送る駆動ローラー5aと、ロール状の被検査物Rがたるみなく巻き出されるようにブレーキをかける原反巻き出しシャフト5bと、ロール状の被検査物Rを巻き取る製品巻き取りシャフト5cとを有して構成されている。
【0047】
スリッター7は、ロール状の被検査物Rを製品の幅に合わせて切断する機械である。
【0048】
ロール状の被検査物Rは、枚葉紙(シートともいう。)と反対の関係にあるもので、一定のサイズに断裁されていない連続したものである。ここでは、ロール状の被検査物Rは、一列ごとに複数のラベルLがはく離自在にはり付けられている。
【0049】
以上のように構成される実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、検視テーブル4の上流側に第1の画像取得手段2aを備え、検視テーブル4の下流側にも第2の画像取得手段2bを備えていて、ロール状の被検査物Rを進行方向に送って、検視テーブル4の下流側でも被検査物R、ここではラベルLの画像を取得する。
【0050】
図2の(a)は、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1で、ロール状の被検査物Rを再検査する仕組みを説明する斜視図のうち、第1の画像取得手段2aで被検査物の画像を取得する状態を示す斜視図である。
図2の(a)に示すように、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、第1の画像取得手段2aで、被検査物の所定の検査領域を画像として取得する。そして、第1の画像取得手段2aによって取得された画像は、判定手段3aに送られて、あらかじめ登録された基準画像と対比して被検査物の欠陥の有無が判定される。
【0051】
図2の(b)は、検視テーブル4で欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりする状態を示す斜視図である。
図2の(b)に示すように、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、第1の画像取得手段2aによって取得された画像から欠陥ありと判定された被検査物R、ここでは不良品ラベルLbが検視テーブル4で止まる。そこで、ロール状の被検査物の検査装置1では、不良品ラベルLbを目視で検査して、目視の検査でも欠陥ありなしと判断した場合に、不良品ラベルLbを良品ラベルLgに貼り替えるようにしている。
【0052】
図2の(c)は、第2の画像取得手段2bで被検査物の画像を取得する状態を示す斜視図である。
図2の(c)に示すように、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、検視テーブル4で不良品ラベルLbを良品ラベルLgに貼り替えたものを進行方向に送って、検視テーブル4の下流側に備えられている第2の画像取得手段2bで、被検査物の所定の検査領域を画像として取得する。そして、第2の画像取得手段2bによって取得された画像は、判定手段3bに送られて、あらかじめ登録された基準画像と対比して被検査物、具体的には検視テーブル4で貼り替えた良品ラベルLgの欠陥の有無が判定される。
【0053】
ここでは、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1は、検視テーブル4で欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりしたときには、ロール状の被検査物Rを第2の画像取得手段2bまで低速で送るようにしていて、第2の画像取得手段2bで貼り替えた良品ラベルLgに欠陥があると判定された場合には、被検査物Rをその場で止めて、目視で良品ラベルLgの欠陥の有無を検査できるようになっている。
【0054】
図2に示すように、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、検視テーブル4で不良品ラベルLbを良品ラベルLgに貼り替えたものを進行方向に送って、第2の画像取得手段2bで、貼り替えた良品ラベルLgを画像として取得する。そのため、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、ロール状の被検査物Rを進行方向に送って再検査するため、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、搬送方向を逆転させて被検査物を巻き戻さなくて済む。
【0055】
そのため、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、被検査物を第1の画像取得手段に相当する位置まで巻き戻すのを忘れ、再検査をし忘れるという人為的なミスが起こらない。
【0056】
また、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、被検査物を巻き戻すことによって、シールやラベルが傷んだり、汚れたりして、また、シールやラベルがはがれたりして、欠陥の原因になることもない。
【0057】
さらに、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、搬送方向を逆転させなくて済むので、検査装置の下流側に、スリッターを連結しやすい。
【0058】
加えて、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、既存の逆転型や巻き戻し型と呼ばれる検査装置のように、搬送方向を逆転させなくて済むので、既設の検査装置を検視テーブルの下流側にも画像取得手段を備えるようにして、再検査機能を備えた検査装置に改造しやすい。
【0059】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は前記実施形態には限定されない。例えば、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、第2の画像取得手段2bをスリッター7の下流に備えるようにしたと説明したが、検視テーブル4の下流であれば、スリッター7の上流でも構わない。
【0060】
また、実施形態に係るロール状の被検査物の検査装置1では、スリッター7を備えていると説明したが、スリッターを備えなくても構わない。
【符号の説明】
【0061】
1 ロール状の被検査物の検査装置
2a 第1の画像取得手段(ファーストカメラ)
2b 第2の画像取得手段(セカンドカメラ)
3 判定手段(パソコン)
4 検視テーブル
5 被検査物送り手段
6 タッチパネル
7 スリッター
R ロール状の被検査物
L ラベル
Lb 不良品ラベル
Lg 良品ラベル
【手続補正書】
【提出日】2022-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
複数の被検査物を有するロール状の被検査物の検査装置であって、
前記検査装置が、被検査物の所定の検査領域を画像として取得する画像取得手段と、前記画像取得手段で取得した画像をあらかじめ登録された基準画像と対比して被検査物の欠陥の有無を判定する判定手段と、前記判定手段で欠陥ありと判定した場合に、欠陥のある被検査物を欠陥のない被検査物に貼り替えたり、つなぎ替えたりする検視テーブルと、前記画像取得手段と前記検視テーブルに被検査物を送る被検査物送り手段とを有して構成され、
前記画像取得手段が、検視テーブルの上流側のほかに、検視テーブルの下流側にも備えられていることを特徴とするロール状の被検査物の検査装置。