(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182596
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】データ処理装置、プログラム、及びデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20060101AFI20221201BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20221201BHJP
G05B 13/02 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
C02F1/00 D
G06N20/00
G05B13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090239
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】512285339
【氏名又は名称】安川オートメーション・ドライブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148965
【弁理士】
【氏名又は名称】安川 優
(72)【発明者】
【氏名】藤原 翔
(72)【発明者】
【氏名】平林 和也
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA34
5H004GB08
5H004HA14
5H004KC33
5H004KC48
5H004KD62
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水処理施設に関連するデータ処理装置、プログラム、及びデータ処理方法を提供する。
【解決手段】水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得部と、前記施設関連データを入力とし、水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする複数種類の学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、施設関連データに基づいて、水処理施設の環境を特定する環境特定部と、学習モデル記憶部に記憶されている複数種類の学習モデルから、環境特定部によって特定された水処理施設の環境に対応する一の学習モデルを選択するモデル選択部と、モデル選択部によって選択された一の学習モデルに、基準時刻より過去の施設関連データを入力して、基準時刻以降の制御関連データを出力する制御関連データ出力部とを備えるデータ処理装置を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得部と、
前記施設関連データを入力とし、前記水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする複数種類の学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記施設関連データに基づいて、前記水処理施設の環境を特定する環境特定部と、
前記学習モデル記憶部に記憶されている前記複数種類の学習モデルから、前記環境特定部によって特定された前記水処理施設の環境に対応する一の学習モデルを選択するモデル選択部と、
前記モデル選択部によって選択された前記一の学習モデルに、基準時刻より過去の前記施設関連データを入力して、前記基準時刻以降の前記制御関連データを出力する制御関連データ出力部と
を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記環境特定部は、水処理の処理能力に影響を与える外的要因毎の複数の環境候補から、前記水処理施設の環境を特定する、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記環境特定部は、通常状態、原水高濁度状態、雨天状態、寒冷状態、及び高温状態のうち2つ以上を含む環境候補から、前記水処理施設の環境を特定する、請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記環境特定部が特定した環境における前記水処理施設の前記施設関連データと、当該環境とを対応付けて記憶する施設関連データ記憶部を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記水処理施設の環境毎に、前記環境に対応する前記施設関連データを用いて前記学習モデルを生成して、前記学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル生成部を更に備える、請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記モデル選択部によって前記水処理施設の前記環境に対応する前記一の学習モデルが選択された後、当該環境に対応する学習モデルを更新する更新処理を実行する更新タイミングであると判定したことに応じて、当該環境に対応する前記施設関連データを用いて新たな学習モデルを生成し、前記新たな学習モデルと前記一の学習モデルとの比較結果に基づいて前記新たな学習モデルを選択した場合に、前記一の学習モデルに代えて、当該環境と前記新たな学習モデルとを対応付けて前記学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル更新部を更に備える、請求項4又は5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記学習モデル更新部は、前記環境に対応する前記施設関連データのうち、前記更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間以外の前記施設関連データを用いて前記新たな学習モデルを生成し、前記更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間の前記施設関連データを用いて、前記新たな学習モデルと前記一の学習モデルとを比較する、請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記学習モデル更新部は、前記環境に対応する前記施設関連データを用いて複数の異なる新たな学習モデルを生成し、前記複数の異なる新たな学習モデルと前記一の学習モデルとの比較結果に基づいて前記複数の異なる新たな学習モデルのうちのいずれかを選択した場合に、前記一の学習モデルに代えて、当該環境と、選択した前記新たな学習モデルとを対応付けて前記学習モデル記憶部に記憶させる、請求項6又は7に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記学習モデル更新部は、学習方法のパラメータを異ならせた前記複数の異なる新たな学習モデルを生成する、請求項8に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記学習モデル更新部は、前記施設関連データ記憶部に記憶されている複数種類の前記施設関連データのうち、用いる種類を異ならせて前記複数の異なる新たな学習モデルを生成する、請求項8又は9に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記学習モデル更新部は、前記施設関連データ記憶部に記憶されている前記施設関連データのうち、異なる期間に対応する前記施設関連データを用いて、前記複数の異なる新たな学習モデルを生成する、請求項8から10のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記学習モデル更新部は、学習の次数を異ならせた前記複数の異なる新たな学習モデルを生成する、請求項8から11のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
前記水処理施設に設定する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部と、
前記制御パラメータを変更した複数の変更パラメータを生成する変更パラメータ生成部と、
前記モデル選択部によって選択された前記一の学習モデルを用いて、前記制御パラメータ及び前記複数の変更パラメータを含む複数の候補パラメータのいずれかを選択するパラメータ選択部と
を更に備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項14】
前記制御パラメータ取得部は、前記制御関連データ出力部によって出力された前記制御関連データに含まれる前記制御パラメータを取得する、請求項13に記載のデータ処理装置。
【請求項15】
前記パラメータ選択部は、
前記複数の候補パラメータのそれぞれについて、目的変数を第1のパラメータとした前記一の学習モデルに入力して出力させた前記第1のパラメータが、予め定められた条件を満たす候補パラメータを特定する候補パラメータ特定部と、
前記候補パラメータ特定部によって複数の前記候補パラメータが特定された場合に、前記複数の候補パラメータのそれぞれについて、前記水処理施設に設定した場合に消費される消費対象のコストを推定するコスト推定部と
を有し、
前記コストに基づいて前記複数の候補パラメータのいずれかを選択する、請求項13又は14に記載のデータ処理装置。
【請求項16】
前記パラメータ選択部は、
前記複数の候補パラメータについて、前記水処理施設に設定した場合に消費される消費対象のコストを推定するコスト推定部と、
目的変数を第1のパラメータとした前記一の学習モデルによって出力させる前記第1のパラメータが予め定められた条件を満たすまで、前記複数の候補パラメータを、前記コストが少ない順番に前記一の学習モデルに入力し、前記条件を満たす候補パラメータを特定する候補パラメータ特定部と
を有する、請求項13又は14に記載のデータ処理装置。
【請求項17】
前記コスト推定部は、前記候補パラメータを前記水処理施設に設定した場合に消費される電力のコストを推定する、請求項15又は16に記載のデータ処理装置。
【請求項18】
前記コスト推定部は、前記候補パラメータを前記水処理施設に設定した場合に消費される薬品のコストを推定する、請求項15から17のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項19】
前記第1のパラメータは、前記水処理施設から放出される水の水質であり、前記水質が予め定められた閾値より良好な値となる場合に、前記予め定められた条件を満たす、請求項15から18のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項20】
前記第1のパラメータは、前記水処理施設における汚泥の含水率であり、前記含水率が予め定められた閾値より低い場合に、前記予め定められた条件を満たす、請求項15から18のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項21】
処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得部と、
前記施設関連データを入力とし、前記処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする複数種類の学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記施設関連データに基づいて、前記処理施設の環境を特定する環境特定部と、
前記学習モデル記憶部に記憶されている前記複数種類の学習モデルから、前記環境特定部によって特定された前記処理施設の環境に対応する一の学習モデルを選択するモデル選択部と、
前記モデル選択部によって選択された前記一の学習モデルに、基準時刻より過去の前記施設関連データを入力して、前記基準時刻以降の前記制御関連データを出力する制御関連データ出力部と
を備えるデータ処理装置。
【請求項22】
水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得部と、
前記施設関連データを入力とし、前記水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記学習モデル記憶部に記憶された前記学習モデルを更新する更新処理を実行する更新タイミングであると判定したことに応じて、前記施設関連データを用いて新たな学習モデルを生成し、前記新たな学習モデルと前記学習モデルとの比較結果に基づいて前記新たな学習モデルを選択した場合に、前記学習モデルに代えて、前記新たな学習モデルを前記学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル更新部と
を備えるデータ処理装置。
【請求項23】
前記学習モデル更新部は、前記施設関連データのうち、前記更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間以外の前記施設関連データを用いて前記新たな学習モデルを生成し、前記更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間の前記施設関連データを用いて、前記新たな学習モデルと前記学習モデルとを比較する、請求項22に記載のデータ処理装置。
【請求項24】
前記学習モデル更新部は、前記施設関連データを用いて複数の異なる新たな学習モデルを生成し、前記複数の異なる新たな学習モデルと前記学習モデルとの比較結果に基づいて前記複数の異なる新たな学習モデルのうちのいずれかを選択した場合に、前記学習モデルに代えて、前記新たな学習モデルを前記学習モデル記憶部に記憶させる、請求項22又は23に記載のデータ処理装置。
【請求項25】
水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得部と、
前記施設関連データを入力とし、前記水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記水処理施設に設定する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部と、
前記制御パラメータを変更した複数の変更パラメータを生成する変更パラメータ生成部と、
前記学習モデル記憶部に記憶された前記学習モデルを用いて、前記制御パラメータ及び前記複数の変更パラメータを含む複数の候補パラメータのいずれかを選択するパラメータ選択部と
を備えるデータ処理装置。
【請求項26】
前記パラメータ選択部は、
前記複数の候補パラメータのそれぞれについて、目的変数を第1のパラメータとした前記学習モデルに入力して出力させた前記第1のパラメータが、予め定められた条件を満たす候補パラメータを特定する候補パラメータ特定部と、
前記候補パラメータ特定部によって複数の前記候補パラメータが特定された場合に、前記複数の候補パラメータのそれぞれについて、前記水処理施設に設定した場合に消費される消費対象のコストを特定するコスト特定部と
を有し、
前記コストに基づいて前記複数の候補パラメータのいずれかを選択する、請求項25に記載のデータ処理装置。
【請求項27】
前記パラメータ選択部は、
前記複数の候補パラメータについて、前記水処理施設に設定した場合に消費される消費対象のコストを特定するコスト特定部と、
目的変数を第1のパラメータとした前記学習モデルによって出力させる前記第1のパラメータが予め定められた条件を満たすまで、前記複数の候補パラメータを、前記コストが少ない順番に前記学習モデルに入力し、前記条件を満たす候補パラメータを特定する候補パラメータ特定部と
を有する、請求項25に記載のデータ処理装置。
【請求項28】
コンピュータを、請求項1から27のいずれか一項に記載のデータ処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項29】
コンピュータによって実行されるデータ処理方法であって、
水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得段階と、
前記施設関連データを入力とし、前記水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする複数種類の学習モデルを学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル記憶段階と、
前記施設関連データに基づいて、前記水処理施設の環境を特定する環境特定段階と、
前記学習モデル記憶部に記憶されている前記複数種類の学習モデルから、前記環境特定段階において特定された前記水処理施設の環境に対応する一の学習モデルを選択するモデル選択段階と、
前記モデル選択段階において選択された前記一の学習モデルに、基準時刻より過去の前記施設関連データを入力して、前記基準時刻以降の前記制御関連データを出力する制御関連データ出力段階と
を備えるデータ処理方法。
【請求項30】
コンピュータによって実行されるデータ処理方法であって、
水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得段階と、
前記施設関連データを入力とし、前記水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする学習モデルを学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル記憶段階と、
前記学習モデル記憶部に記憶された前記学習モデルを更新する更新処理を実行する更新タイミングであると判定したことに応じて、前記施設関連データを用いて新たな学習モデルを生成し、前記新たな学習モデルと前記学習モデルとの比較結果に基づいて前記新たな学習モデルを選択した場合に、前記学習モデルに代えて、前記新たな学習モデルを前記学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル更新段階と
を備えるデータ処理方法。
【請求項31】
コンピュータによって実行されるデータ処理方法であって、
水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得段階と、
前記水処理施設に設定する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得段階と、
前記制御パラメータを変更した複数の変更パラメータを生成する変更パラメータ生成段階と、
前記施設関連データを入力とし、前記水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする学習モデルを用いて、前記制御パラメータ及び前記複数の変更パラメータを含む複数の候補パラメータのいずれかを選択するパラメータ選択段階と
を備えるデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、プログラム、及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下水処理場に適した制御パラメータを自動的に設定する下水処理制御装置が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2001-047080号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、データ処理装置が提供される。データ処理装置は、水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得部を備えてよい。データ処理装置は、施設関連データを入力とし、水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする複数種類の学習モデルを記憶する学習モデル記憶部を備えてよい。データ処理装置は、施設関連データに基づいて、水処理施設の環境を特定する環境特定部を備えてよい。データ処理装置は、学習モデル記憶部に記憶されている複数種類の学習モデルから、環境特定部によって特定された水処理施設の環境に対応する一の学習モデルを選択するモデル選択部を備えてよい。データ処理装置は、モデル選択部によって選択された一の学習モデルに、基準時刻より過去の施設関連データを入力して、基準時刻以降の制御関連データを出力する制御関連データ出力部を備えてよい。
【0004】
上記環境特定部は、水処理の処理能力に影響を与える外的要因毎の複数の環境候補から、上記水処理施設の環境を特定してよい。上記環境特定部は、通常状態、原水高濁度状態、雨天状態、寒冷状態、及び高温状態のうち2つ以上を含む環境候補から、上記水処理施設の環境を特定してよい。上記データ処理装置は、上記環境特定部が特定した環境における上記水処理施設の上記施設関連データと、当該環境とを対応付けて記憶する施設関連データ記憶部を更に備えてよい。上記データ処理装置は、上記水処理施設の環境毎に、上記環境に対応する上記施設関連データを用いて上記学習モデルを生成して、上記学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル生成部を更に備えてよい。
【0005】
上記データ処理装置は、上記モデル選択部によって上記水処理施設の上記環境に対応する上記一の学習モデルが選択された後、当該環境に対応する学習モデルを更新する更新処理を実行する更新タイミングであると判定したことに応じて、当該環境に対応する上記施設関連データを用いて新たな学習モデルを生成し、上記新たな学習モデルと上記一の学習モデルとの比較結果に基づいて上記新たな学習モデルを選択した場合に、上記一の学習モデルに代えて、当該環境と上記新たな学習モデルとを対応付けて上記学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル更新部を更に備えてよい。上記学習モデル更新部は、上記環境に対応する上記施設関連データのうち、上記更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間以外の上記施設関連データを用いて上記新たな学習モデルを生成し、上記更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間の上記施設関連データを用いて、上記新たな学習モデルと上記一の学習モデルとを比較してよい。上記学習モデル更新部は、上記環境に対応する上記施設関連データを用いて複数の異なる新たな学習モデルを生成し、上記複数の異なる新たな学習モデルと上記一の学習モデルとの比較結果に基づいて上記複数の異なる新たな学習モデルのうちのいずれかを選択した場合に、上記一の学習モデルに代えて、当該環境と、選択した上記新たな学習モデルとを対応付けて上記学習モデル記憶部に記憶させてよい。上記学習モデル更新部は、学習方法のパラメータを異ならせた上記複数の異なる新たな学習モデルを生成してよい。上記学習モデル更新部は、上記施設関連データ記憶部に記憶されている複数種類の上記施設関連データのうち、用いる種類を異ならせて上記複数の異なる新たな学習モデルを生成してよい。上記学習モデル更新部は、上記施設関連データ記憶部に記憶されている上記施設関連データのうち、異なる期間に対応する上記施設関連データを用いて、上記複数の異なる新たな学習モデルを生成してよい。上記学習モデル更新部は、学習の次数を異ならせた上記複数の異なる新たな学習モデルを生成してよい。
【0006】
上記データ処理装置は、上記水処理施設に設定する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部と、上記制御パラメータを変更した複数の変更パラメータを生成する変更パラメータ生成部と、上記モデル選択部によって選択された上記一の学習モデルを用いて、上記制御パラメータ及び上記複数の変更パラメータを含む複数の候補パラメータのいずれかを選択するパラメータ選択部とを更に備えてよい。上記制御パラメータ取得部は、上記制御関連データ出力部によって出力された上記制御関連データに含まれる上記制御パラメータを取得してよい。上記パラメータ選択部は、上記複数の候補パラメータのそれぞれについて、目的変数を第1のパラメータとした上記一の学習モデルに入力して出力させた上記第1のパラメータが、予め定められた条件を満たす候補パラメータを特定する候補パラメータ特定部と、上記候補パラメータ特定部によって複数の上記候補パラメータが特定された場合に、上記複数の候補パラメータのそれぞれについて、上記水処理施設に設定した場合に消費される消費対象のコストを推定するコスト推定部とを有してよく、上記コストに基づいて上記複数の候補パラメータのいずれかを選択してよい。上記パラメータ選択部は、上記複数の候補パラメータについて、上記水処理施設に設定した場合に消費される消費対象のコストを推定するコスト推定部と、目的変数を第1のパラメータとした上記一の学習モデルによって出力させる上記第1のパラメータが予め定められた条件を満たすまで、上記複数の候補パラメータを、上記コストが少ない順番に上記一の学習モデルに入力し、上記条件を満たす候補パラメータを特定する候補パラメータ特定部とを有してよい。上記コスト推定部は、上記候補パラメータを上記水処理施設に設定した場合に消費される電力のコストを推定してよい。上記コスト推定部は、上記候補パラメータを上記水処理施設に設定した場合に消費される薬品のコストを推定してよい。上記第1のパラメータは、上記水処理施設から放出される水の水質であり、上記水質が予め定められた閾値より良好な値となる場合に、上記予め定められた条件を満たしてよい。上記第1のパラメータは、上記水処理施設における汚泥の含水率であり、上記含水率が予め定められた閾値より低い場合に、上記予め定められた条件を満たしてよい。
【0007】
本発明の一実施態様によれば、データ処理装置が提供される。データ処理装置は、処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得部を備えてよい。データ処理装置は、施設関連データを入力とし、処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする複数種類の学習モデルを記憶する学習モデル記憶部を備えてよい。データ処理装置は、施設関連データに基づいて、処理施設の環境を特定する環境特定部を備えてよい。データ処理装置は、学習モデル記憶部に記憶されている複数種類の学習モデルから、環境特定部によって特定された処理施設の環境に対応する一の学習モデルを選択するモデル選択部を備えてよい。データ処理装置は、モデル選択部によって選択された一の学習モデルに、基準時刻より過去の施設関連データを入力して、基準時刻以降の制御関連データを出力する制御関連データ出力部を備えてよい。
【0008】
本発明の一実施態様によれば、データ処理装置が提供される。データ処理装置は、水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得部を備えてよい。データ処理装置は、施設関連データを入力とし、水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする学習モデルを記憶する学習モデル記憶部を備えてよい。データ処理装置は、学習モデル記憶部に記憶された学習モデルを更新する更新処理を実行する更新タイミングであると判定したことに応じて、施設関連データを用いて新たな学習モデルを生成し、新たな学習モデルと学習モデルとの比較結果に基づいて新たな学習モデルを選択した場合に、学習モデルに代えて、新たな学習モデルを学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル更新部を備えてよい。
【0009】
上記学習モデル更新部は、上記施設関連データのうち、上記更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間以外の上記施設関連データを用いて上記新たな学習モデルを生成し、上記更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間の上記施設関連データを用いて、上記新たな学習モデルと上記学習モデルとを比較してよい。上記学習モデル更新部は、上記施設関連データを用いて複数の異なる新たな学習モデルを生成し、上記複数の異なる新たな学習モデルと上記学習モデルとの比較結果に基づいて上記複数の異なる新たな学習モデルのうちのいずれかを選択した場合に、上記学習モデルに代えて、上記新たな学習モデルを上記学習モデル記憶部に記憶させてよい。
【0010】
本発明の一実施態様によれば、データ処理装置が提供される。データ処理装置は、水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得部を備えてよい。データ処理装置は、施設関連データを入力とし、水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする学習モデルを記憶する学習モデル記憶部を備えてよい。データ処理装置は、水処理施設に設定する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部を備えてよい。データ処理装置は、制御パラメータを変更した複数の変更パラメータを生成する変更パラメータ生成部を備えてよい。データ処理装置は、学習モデル記憶部に記憶された学習モデルを用いて、制御パラメータ及び複数の変更パラメータを含む複数の候補パラメータのいずれかを選択するパラメータ選択部を備えてよい。
【0011】
上記パラメータ選択部は、上記複数の候補パラメータのそれぞれについて、目的変数を第1のパラメータとした上記学習モデルに入力して出力させた上記第1のパラメータが、予め定められた条件を満たす候補パラメータを特定する候補パラメータ特定部と、上記候補パラメータ特定部によって複数の上記候補パラメータが特定された場合に、上記複数の候補パラメータのそれぞれについて、上記水処理施設に設定した場合に消費される消費対象のコストを特定するコスト特定部とを有してよく、上記コストに基づいて上記複数の候補パラメータのいずれかを選択してよい。上記パラメータ選択部は、上記複数の候補パラメータについて、上記水処理施設に設定した場合に消費される消費対象のコストを特定するコスト特定部と、目的変数を第1のパラメータとした上記学習モデルによって出力させる上記第1のパラメータが予め定められた条件を満たすまで、上記複数の候補パラメータを、上記コストが少ない順番に上記学習モデルに入力し、上記条件を満たす候補パラメータを特定する候補パラメータ特定部とを有してよい。
【0012】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータを、上記データ処理装置として機能させるためのプログラム。
【0013】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータによって実行されるデータ処理方法が提供される。データ処理方法は、水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得段階を備えてよい。データ処理方法は、施設関連データを入力とし、水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする複数種類の学習モデルを学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル記憶段階を備えてよい。データ処理方法は、施設関連データに基づいて、水処理施設の環境を特定する環境特定段階を備えてよい。データ処理方法は、学習モデル記憶部に記憶されている複数種類の学習モデルから、環境特定段階において特定された水処理施設の環境に対応する一の学習モデルを選択するモデル選択段階を備えてよい。データ処理方法は、モデル選択段階において選択された一の学習モデルに、基準時刻より過去の施設関連データを入力して、基準時刻以降の制御関連データを出力する制御関連データ出力段階を備えてよい。
【0014】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータによって実行されるデータ処理方法が提供される。データ処理方法は、水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得段階を備えてよい。データ処理方法は、施設関連データを入力とし、水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする学習モデルを学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル記憶段階を備えてよい。データ処理方法は、学習モデル記憶部に記憶された学習モデルを更新する更新処理を実行する更新タイミングであると判定したことに応じて、施設関連データを用いて新たな学習モデルを生成し、新たな学習モデルと学習モデルとの比較結果に基づいて新たな学習モデルを選択した場合に、学習モデルに代えて、新たな学習モデルを学習モデル記憶部に記憶させる学習モデル更新段階を備えてよい。
【0015】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータによって実行されるデータ処理方法が提供される。データ処理方法は、水処理施設に関連する施設関連データを取得する施設関連データ取得段階を備えてよい。データ処理方法は、水処理施設に設定する制御パラメータを取得する制御パラメータ取得部を備えてよい。データ処理方法は、制御パラメータを変更した複数の変更パラメータを生成する変更パラメータ生成部を備えてよい。データ処理方法は、施設関連データを入力とし、水処理施設の制御に関連する制御関連データを出力とする学習モデルを用いて、制御パラメータ及び複数の変更パラメータを含む複数の候補パラメータのいずれかを選択するパラメータ選択部を備えてよい。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】データ処理装置100の機能構成の一例を概略的に示す。
【
図5】データ処理装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図6】環境特定部122による水処理施設200の環境特定処理の一例を説明する。
【
図7】学習モデル更新部130による学習モデルの更新処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図8】データ処理装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図9】データ処理装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図10】データ処理装置100として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、システム10の一例を概略的に示す。システム10は、処理施設20に関連する施設関連データを処理するデータ処理装置100を備える。データ処理装置100は、施設関連データに基づいて、処理施設20の制御に関連する制御関連データを出力する。データ処理装置100は、例えば、基準時刻よりも過去の施設関連データに基づいて、基準時刻以降に処理施設20に設定することが望ましい制御関連データを出力する。制御関連データは、制御パラメータを含んでよい。基準時刻については、少なくとも、ユーザが指定した時刻や現在時刻等が含まれる。ユーザは、データ処理装置100の利用者及び管理者等であってよい。ユーザは、処理施設20の利用者及び管理者等であってもよい。
【0020】
施設関連データは、処理施設20において設定された制御関連データを含む。施設関連データは、処理施設20において人手によって設定された制御関連データを含んでよい。当該制御関連データは、処理施設20の管理者等が、処理施設20の環境や状況の変化等に応じて処理施設20に設定したものであってよい。
【0021】
施設関連データは、処理施設20の環境を示すデータを含んでよい。例えば、施設関連データは、処理施設20のエリアの気候を示すデータを含む。施設関連データは、処理施設20のエリアの天気を示すデータを含んでよい。施設関連データは、処理施設20のエリアの気温を示すデータを含んでよい。施設関連データは、処理施設20のエリアの湿度を示すデータを含んでよい。施設関連データは、処理施設20のエリアの日射状況を示すデータを含んでよい。
【0022】
施設関連データは、処理施設20の状況を示すデータを含んでよい。施設関連データは、処理施設20の各設備の状況を示すデータを含んでよい。
【0023】
データ処理装置100は、処理施設20から、処理施設20の施設関連データを収集してよい。データ処理装置100は、例えば、処理施設20に配置された、処理施設20を管理する管理装置から、処理施設20の施設関連データを収集する。データ処理装置100は、処理施設20に対して設置されたセンサ30から、処理施設20の施設関連データを収集してもよい。データ処理装置100は、情報提供サーバ40から処理施設20の施設関連データを収集してもよい。情報提供サーバ40は、例えば、インターネット上に配置された、各地の気候データを提供するサーバであってよく、データ処理装置100は、情報提供サーバ40から、処理施設20の気候に関するデータを受信してよい。
【0024】
データ処理装置100と処理施設20の管理装置とは、直接接続されてよい。例えば、データ処理装置100と処理施設20の管理装置とは、有線接続される。例えば、データ処理装置100と処理施設20の管理装置とは、無線接続される。データ処理装置100及び処理施設20が用いる無線通信方式の例として、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)、EnOcean(登録商標)、及びWi-SUN(登録商標)等が挙げられるが、これらに限られない。データ処理装置100とセンサ30も同様に、直接接続されてよい。データ処理装置100と処理施設20の管理装置とは、ネットワークを介して接続されてもよい。データ処理装置100及び処理施設20の管理装置が用いるネットワークの例として、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、及びインターネットが挙げられる。データ処理装置100とセンサ30も同様に、ネットワークを介して接続されてもよい。なお、データ処理装置100と処理施設20の管理装置とは、一体であってもよい。
【0025】
データ処理装置100は、例えば、施設関連データを入力とし、制御関連データを出力とする学習モデルを生成する。データ処理装置100は、例えば、処理施設20の管理者等が処理施設20に設定した制御関連データを教師データとして学習モデルを生成する。当該学習モデルによって、処理施設20の環境や状況に合わせて処理施設20の管理者等が設定するであろう制御関連データを予測可能にできる。これにより、処理施設20の管理者等の負荷を低減したり、処理施設20の管理者等が不在であっても処理施設20を適切に制御可能な環境を実現したりすることができる。
【0026】
データ処理装置100は、複数種類の学習モデルを生成してもよい。データ処理装置100は、例えば、処理施設20の環境毎の学習モデルを生成して、記憶しておく。そして、データ処理装置100は、制御関連データを出力する場合に、処理施設20の環境を特定し、特定した環境に対応する一の学習モデルに、基準時刻より過去の施設関連データを入力して、基準時刻以降の制御関連データを出力する。これにより、どのような環境においても同一の学習モデルを用いる場合と比較して、適切な制御関連データを予測する予測精度を向上させることができる。
【0027】
データ処理装置100は、例えば、処理施設20の環境として、処理施設20のエリアの気候を特定する。データ処理装置100は、例えば、処理施設20の環境として、処理施設20において発生しているイベントを特定する。データ処理装置100は、例えば、処理施設20の環境として、平日、土日、及び祝日等を特定する。データ処理装置100は、例えば、処理施設20の設備に異常が発生している場合に、処理施設20の環境として、設備異常を特定する。
【0028】
処理施設20は、例えば、水処理施設である。処理施設20は、下水処理場であってよい。処理施設20は、浄水場であってよい。また、処理施設20は、例えば、製鉄プラントである。これらは例示であって、処理施設20は、任意の対象物を処理する処理施設であってよい。例えば、処理施設20は、状況に応じて制御パラメータを調整する必要がある施設であってよい。例えば、処理施設20は、制御パラメータを変更したが、その結果が表れるまでにタイムラグが発生する施設であってよい。
【0029】
図2は、水処理施設200の一例を概略的に示す。
図2は、水処理施設200が下水処理場である場合を例示している。水処理施設200は、管理装置210、沈砂池211、最初沈殿池212、反応槽213、最終沈殿池214、汚泥処理施設215、塩素接触槽216を含む。
【0030】
管理装置210は、沈砂池211、最初沈殿池212、反応槽213、最終沈殿池214、汚泥処理施設215、及び塩素接触槽216のそれぞれの設備における処理を管理する。管理装置210は、例えば、設備に対して設定される制御パラメータを管理する。また、管理装置210は、例えば、設備の状況を管理する。
【0031】
沈砂池211には、外部から下水が流入する。沈砂池211において、下水からごみ及び土砂等が取り除かれる。
【0032】
最初沈殿池212には、沈砂池211から下水がゆっくりと流入する。最初沈殿池212において、沈砂池211では取り除けなかった細砂等が下部に沈降する。最初沈殿池212に沈殿した汚泥は、汚泥処理施設215に送られる。
【0033】
反応槽213には、最初沈殿池212の上澄み水が流入する。反応槽213において、上澄み水が活性汚泥と混合され、空気が送り込まれてかき混ぜられる。
【0034】
最終沈殿池214には、反応槽213から、活性汚泥が流入する。最終沈殿池214において、活性汚泥フロックが沈殿され、上澄み水(処理水)と汚泥とに分離される。最終沈殿池214に沈殿した汚泥は、反応槽213に返送されたり、汚泥処理施設215に送られたりする。
【0035】
汚泥処理施設215は、最初沈殿池212及び最終沈殿池214から送られてきた汚泥を処理する。汚泥処理施設215は、例えば、濃縮や機械による脱水等によって、汚泥の含水率を下げて容積を減らす。
【0036】
塩素接触槽216には、最終沈殿池214から処理水が流入する。塩素接触槽216において、処理水が塩素消毒されて、川及び海等に放出される。
【0037】
管理装置210は、水処理施設200の施設関連データをデータ処理装置100に送信する。管理装置210は、例えば、外部から流入してくる水の量を施設関連データに含める。管理装置210は、例えば、各設備における水の量を施設関連データに含める。
【0038】
管理装置210は、例えば、最初沈殿池212から汚泥処理施設215に送られる汚泥の量を施設関連データに含める。管理装置210は、最初沈殿池212から実際に引き抜かれた汚泥の量を施設関連データに含めてよい。管理装置210は、最初沈殿池212から引き抜く汚泥量の設定値を施設関連データに含めてよい。
【0039】
管理装置210は、例えば、反応槽213において活性汚泥に対して送り込む空気の量を施設関連データに含める。管理装置210は、反応槽213に実際に送り込まれた空気の量を施設関連データに含めてよい。管理装置210は、反応槽213に送り込む空気量の設定値を施設関連データに含めてよい。
【0040】
管理装置210は、例えば、反応槽213における溶存酸素(DO:Dissolved Oxygen)を施設関連データに含める。管理装置210は、反応槽213において測定された溶存酸素を施設関連データに含めてよい。管理装置210は、目標値として設定されている溶存酸素を施設関連データに含めてよい。
【0041】
管理装置210は、例えば、最終沈殿池214から引き抜かれる汚泥の量を施設関連データに含める。管理装置210は、最終沈殿池214から実際に引き抜かれた汚泥の量を施設関連データに含めてよい。管理装置210は、最終沈殿池214から引き抜く汚泥量の設定値を施設関連データに含めてよい。
【0042】
管理装置210は、例えば、最終沈殿池214から反応槽213に返送される返送汚泥の量を施設関連データに含める。管理装置210は、最終沈殿池214から反応槽213に実際に返送された汚泥の量を施設関連データに含めてよい。管理装置210は、返送汚泥量の設定値を施設関連データに含めてよい。
【0043】
管理装置210は、例えば、汚泥処理施設215における余剰汚泥の廃棄量を施設関連データに含める。管理装置210は、汚泥処理施設215から実際に廃棄された汚泥の量を施設関連データに含めてよい。管理装置210は、汚泥処理施設215における余剰汚泥廃棄量の設定値を施設関連データに含めてよい。
【0044】
管理装置210は、例えば、塩素接触槽216から川及び海等に放出される水の水質を施設関連データに含める。管理装置210は、放出する際に測定された水の水質を施設関連データに含めてよい。
【0045】
管理装置210は、水処理施設200のエリアの気候を示すデータを施設関連データに含めてもよい。管理装置210は、例えば、水処理施設200の管理者等によって手動入力された、水処理施設200のエリアの気候を示すデータを施設関連データに含める。
【0046】
管理装置210は、水処理施設200におけるイベントの情報を施設関連データに含めてもよい。管理装置210は、例えば、水処理施設200において実施されている工事の情報を施設関連データに含める。管理装置210は、例えば、水処理施設200において予定されている工事の情報を施設関連データに含める。管理装置210は、例えば、水処理施設200における設備に異常又は故障が発生した場合に、異常又は故障が発生した設備を示す情報を施設関連データに含める。管理装置210は、例えば、水処理施設200において地震等の災害が発生した場合に、発生した災害を示す情報を施設関連データに含める。
【0047】
センサ30は、データ処理装置100に水処理施設200の施設関連データを送信する。センサ30は、雨量計を含んでよく、施設関連データに水処理施設200のエリアの雨量を含めてよい。センサ30は、気温計を含んでよく、施設関連データに水処理施設200のエリアの気温を含めてよい。センサ30は、日射計を含んでよく、施設関連データに水処理施設200のエリアの日射量を含めてよい。センサ30は、湿度計を含んでよく、施設関連データに水処理施設200のエリアの湿度を含めてよい。
【0048】
データ処理装置100は、例えば、基準時刻までの施設関連データを入力とし、基準時刻から、例えば1時間後等の任意の時間後に設定すべき、反応槽213において活性汚泥に対して送り込む空気の量を出力とする学習モデルを生成する。データ処理装置100は、例えば、基準時刻までの施設関連データを入力とし、基準時刻から任意の時間後に設定すべき、最終沈殿池214から反応槽213に返送する汚泥の量を出力とする学習モデルを生成する。データ処理装置100は、例えば、基準時刻までの施設関連データを入力とし、基準時刻から任意の時間後に設定すべき、汚泥処理施設215における余剰汚泥の廃棄量を出力とする学習モデルを生成する。データ処理装置100は、例えば、基準時刻までの施設関連データを入力とし、基準時刻から任意の時間後に設定すべき、沈砂池211への下水の流入量を出力とする学習モデルを生成する。データ処理装置100は、例えば、基準時刻までの施設関連データを入力とし、基準時刻から任意の時間後に設定すべき、反応槽213における溶存酸素の目標値を出力とする学習モデルを生成する。
【0049】
なお、
図2に示した水処理施設200の構成は一例であって、水処理施設200は、
図2に示す設備以外の設備を含んでもよく、
図2に示す設備の一部を含まなくてもよい。
【0050】
図3は、水処理施設200の一例を概略的に示す。
図3は、水処理施設200が浄水場である場合を例示している。水処理施設200は、管理装置220、着水槽221、撹拌池222、フロック形成池223、沈殿池224、濾過池225、塩素混和池226、配水池227、ポンプ場228、及び汚泥処理施設229を含む。
【0051】
管理装置220は、着水槽221、撹拌池222、フロック形成池223、沈殿池224、濾過池225、塩素混和池226、配水池227、ポンプ場228、及び汚泥処理施設229のそれぞれの設備における処理を管理する。管理装置220は、例えば、設備に対して設定される制御パラメータを管理する。また、管理装置220は、例えば、設備の状況を管理する。
【0052】
着水槽221には、水処理施設200に送られてきた原水が流入する。着水槽221において、原水からごみ及び土砂等が取り除かれる。
【0053】
撹拌池222には、着水槽221から原水が流入する。撹拌池222において、原水に凝集剤が添加される。
【0054】
フロック形成池223には、撹拌池222から、凝集剤が添加された原水が流入する。フロック形成池223において、凝集剤と原水中の懸濁物が結合し、フロック化する。
【0055】
沈殿池224には、フロック形成池223から、フロックが流入する。沈殿池224において、フロック及び微細な砂類等が沈殿し、上澄み水と分離される。沈殿した汚泥は、汚泥処理施設229に送られる。
【0056】
濾過池225には、沈殿池224から、上澄み水が流入する。濾過池225において、上澄み水が濾過されて、凝集沈殿では除去できなかった微細な浮遊物が除去される。
【0057】
塩素混和池226には、濾過池225において濾過された水が流入する。塩素混和池226において、流入した水に塩素が注入される。
【0058】
配水池227には、塩素混和池226から、塩素が注入された水が流入する。配水池227には、浄化された水が溜まる。ポンプ場228は、配水池227の水を給水所等に送る。
【0059】
汚泥処理施設229は、沈殿池224から送られてきた汚泥を処理する。汚泥処理施設229は、例えば、濃縮や機械による脱水等によって、汚泥の含水率を下げて容積を減らす。
【0060】
管理装置220は、水処理施設200の施設関連データをデータ処理装置100に送信する。管理装置220は、例えば、外部から流入してくる原水の量を施設関連データに含める。管理装置220は、例えば、各設備における水の量を施設関連データに含める。
【0061】
管理装置220は、例えば、撹拌池222において、原水に添加される凝集剤の量を施設関連データに含める。管理装置220は、撹拌池222に実際に添加された凝集剤の量を施設関連データに含めてよい。管理装置220は、撹拌池222に添加する凝集剤の設定値を施設関連データに含めてよい。
【0062】
管理装置220は、例えば、沈殿池224から汚泥処理施設229に送られる汚泥の量を施設関連データに含める。管理装置220は、沈殿池224から実際に引き抜かれた汚泥の量を施設関連データに含めてよい。管理装置220は、沈殿池224から引き抜く汚泥量の設定値を施設関連データに含めてよい。
【0063】
管理装置220は、例えば、塩素混和池226において、注入された塩素の量を施設関連データに含める。管理装置220は、塩素混和池226において実際に注入された塩素の量を施設関連データに含めてよい。管理装置220は、塩素混和池226に注入する塩素の設定値を施設関連データに含めてよい。
【0064】
管理装置220は、例えば、汚泥処理施設229における余剰汚泥の廃棄量を施設関連データに含める。管理装置220は、汚泥処理施設229から実際に廃棄された汚泥の量を施設関連データに含めてよい。管理装置220は、汚泥処理施設229における余剰汚泥廃棄量の設定値を施設関連データに含めてよい。
【0065】
管理装置220は、例えば、ポンプ場228から放出される水の水質を施設関連データに含める。管理装置220は、配水池227及びポンプ場228等で測定された水の水質を施設関連データに含めてよい。
【0066】
管理装置220は、水処理施設200のエリアの気候を示すデータを施設関連データに含めてもよい。管理装置220は、例えば、水処理施設200の管理者等によって手動入力された、水処理施設200のエリアの気候を示すデータを施設関連データに含める。
【0067】
管理装置220は、水処理施設200におけるイベントの情報を施設関連データに含めてもよい。管理装置220は、例えば、水処理施設200において実施されている工事の情報を施設関連データに含める。管理装置220は、例えば、水処理施設200において予定されている工事の情報を施設関連データに含める。管理装置220は、例えば、水処理施設200における設備に異常又は故障が発生した場合に、異常又は故障が発生した設備を示す情報を施設関連データに含める。管理装置220は、例えば、水処理施設200において地震等の災害が発生した場合に、発生した災害を示す情報を施設関連データに含める。
【0068】
センサ30は、データ処理装置100に水処理施設200の施設関連データを送信する。センサ30は、雨量計を含んでよく、施設関連データに水処理施設200のエリアの雨量を含めてよい。センサ30は、気温計を含んでよく、施設関連データに水処理施設200のエリアの気温を含めてよい。センサ30は、日射計を含んでよく、施設関連データに水処理施設200のエリアの日射量を含めてよい。センサ30は、湿度計を含んでよく、施設関連データに水処理施設200のエリアの湿度を含めてよい。
【0069】
データ処理装置100は、例えば、基準時刻までの施設関連データを入力とし、基準時刻から任意の時間後に設定すべき、撹拌池222において原水に添加する凝集剤の量を出力とする学習モデルを生成する。データ処理装置100は、例えば、基準時刻までの施設関連データを入力とし、基準時刻から任意の時間後に設定すべき、汚泥処理施設229における余剰汚泥の廃棄量を出力とする学習モデルを生成する。データ処理装置100は、例えば、基準時刻までの施設関連データを入力とし、基準時刻から任意の時間後に設定すべき、着水槽221への原水の流入量を出力とする学習モデルを生成する。データ処理装置100は、例えば、基準時刻までの施設関連データを入力とし、基準時刻から任意の時間後に設定すべき、塩素混和池226における塩素の注入量を出力とする学習モデルを生成する。
【0070】
なお、
図3に示した水処理施設200の構成は一例であって、水処理施設200は、
図3に示す設備以外の設備を含んでもよく、
図3に示す設備の一部を含まなくてもよい。
【0071】
図4は、データ処理装置100の機能構成の一例を概略的に示す。データ処理装置100は、記憶部110、施設関連データ取得部120、環境特定部122、学習モデル生成部124、モデル選択部126、制御関連データ出力部128、学習モデル更新部130、制御パラメータ取得部132、変更パラメータ生成部134、及びパラメータ選択部140を備える。なお、データ処理装置100がこれらの全てを備えることは必須とは限らない。ここでは、データ処理装置100が、水処理施設200に関連する施設関連データを処理する場合を主に例に挙げて説明する。
【0072】
記憶部110は、各種データを記憶する。記憶部110は、施設関連データを記憶する施設関連データ記憶部112、及び学習モデルを記憶する学習モデル記憶部114を備える。
【0073】
施設関連データ取得部120は、施設関連データを取得する。施設関連データ取得部120は、継続的に施設関連データを取得してよい。施設関連データ取得部120は、取得した施設関連データを施設関連データ記憶部112に記憶させる。
【0074】
施設関連データ取得部120は、水処理施設200の施設関連データを取得してよい。施設関連データ取得部120は、例えば、水処理施設200から、水処理施設200の施設関連データを受信する。施設関連データ取得部120は、例えば、水処理施設200に対して設置されたセンサ30から、水処理施設200の施設関連データを受信する。
【0075】
施設関連データ取得部120は、例えば、情報提供サーバ40から、水処理施設200の施設関連データを受信する。施設関連データ取得部120は、例えば、情報提供サーバ40から、水処理施設200のエリアの気候を示すデータを受信する。
【0076】
環境特定部122は、水処理施設200の環境を特定する。環境特定部122は、施設関連データ取得部120が取得した施設関連データに基づいて、水処理施設200の環境を特定してよい。
【0077】
環境特定部122は、例えば、水処理施設200の水処理の処理能力に影響を与える外的要因毎の複数の環境候補から、水処理施設200の環境を特定する。環境特定部122は、例えば、通常状態、原水高濁度状態、雨天状態、寒冷状態、及び高温状態等のうち2つ以上を含む環境候補から、水処理施設200の環境を特定する。
【0078】
環境候補は、水処理施設200のエリアの気候を含んでよい。環境候補は、晴天を含んでよい。環境候補は、曇天を含んでよい。環境候補は、雨天を含んでよい。環境候補は、雨天後晴天を含んでよい。環境候補は、雨天後曇天を含んでよい。環境候補は、真夏日を含んでよい。環境候補は、雨天後真夏日を含んでよい。
【0079】
環境候補は、水処理施設200において発生しているイベントを含んでよい。環境候補は、工事を含んでよい。環境特定部122は、水処理施設200において工事が実施されている場合に、水処理施設200の環境を工事と特定する。
【0080】
環境候補は、特殊を含んでよい。環境特定部122は、例えば、祝日の場合に、水処理施設200の環境を特殊と特定する。環境特定部122は、例えば、水処理施設200に地震等の災害が発生している場合に、水処理施設200の環境を特殊と特定する。環境特定部122は、例えば、水処理施設200のエリアが大寒波等の異常気象である場合に、水処理施設200の環境を特殊と特定する。
【0081】
環境特定部122は、例えば、水処理施設200が下水処理場であって、近辺の工場等で大量の廃水(例えば、食品工場の大鍋の洗浄等)が流出する場合に影響を受ける水処理施設200である場合に、水処理施設200の環境を特殊と特定する。なお、この場合に、環境特定部122は、水処理施設200の環境を、〇〇工場洗浄等と特定してもよい。
【0082】
環境特定部122は、例えば、水処理施設200が下水処理場であって、近辺で大量の廃水(例えば、プールの清掃、県の祭り等)が流出する場合に影響を受ける水処理施設200である場合に、水処理施設200の環境を特殊と特定する。なお、この場合に、環境特定部122は、水処理施設200の環境を、〇〇開催等と特定してもよい。
【0083】
環境特定部122は、例えば、水処理施設200が浄水場であって、生産水量が不足し、県営水道からの受水があった場合等に、水処理施設200の環境を特殊と特定する。なお、この場合に、環境特定部122は、水処理施設200の環境を、県水受水等と特定してもよい。
【0084】
環境特定部122は、例えば、水処理施設200が浄水場であって、近辺の水の消費量が非常に大きい工場(例えば製紙工場等)の操業有無によって、影響がある水処理施設200である場合において、当該工場の操業が無い場合に、水処理施設200の環境を特殊と特定する。なお、この場合に、環境特定部122は、水処理施設200の環境を、〇〇工場操業なし等と特定してもよい。
【0085】
環境候補は、異常を含んでよい。環境特定部122は、例えば、水処理施設200の設備に異常又は故障が発生している場合に、水処理施設200の環境を異常と特定する。
【0086】
環境特定部122は、手動入力に基づいて水処理施設200の環境を特定してよい。環境特定部122は、例えば、施設関連データに水処理施設200の環境を示すデータが含まれている場合、当該データによって水処理施設200の環境を特定する。
【0087】
環境特定部122は、自動的に水処理施設200の環境を特定してもよい。環境特定部122は、例えば、水処理施設200に設置されたセンサ30から取得した施設関連データに基づいて、水処理施設200の環境を特定する。具体例として、環境特定部122は、センサ30から取得した施設関連データに基づいて、水処理施設200のエリアの気候を特定する。
【0088】
環境特定部122は、センサ30の設置状況に応じて、水処理施設200のエリアの気候を特定してよい。例えば、水処理施設200に対して雨量計のみが設置されている場合、環境特定部122は、総雨量が一日当たり0mmの日は晴天、総雨量が一日当たり0mmよりも大きければ雨天とする。また、例えば、水処理施設200に対して雨量計及び気温計が設置されている場合、環境特定部122は、一日当たりの総雨量0mmかつ最高気温20度以上30度未満は晴天、一日当たりの総雨量0mmかつ最高気温30度以上は真夏日、一日当たりの総雨量0mmかつ最高気温20度以下は曇天とする。また、例えば、水処理施設200に対して雨量計及び日射計が設置されている場合、環境特定部122は、一日当たりの総雨量0mmかつ日射量1.5kW/m2以上が存在すれば真夏日、一日当たりの総雨量0mmかつ日射量が0.5W/m2を上回らなければ曇天、一日当たりの総雨量0.5mm以上は雨天、これら以外は晴天とする。このように、環境特定部122は、センサ30から取得したデータと基準値とを比較することによって、水処理施設200の環境を特定してよい。基準値は、任意に設定可能であってよく、変更可能であってよい。
【0089】
施設関連データ記憶部112は、環境特定部122が特定した環境における水処理施設200の施設関連データと、当該環境とを対応付けて記憶してよい。
【0090】
施設関連データ記憶部112は、例えば、施設関連データ取得部120が取得した施設関連データに対して、環境特定部122が特定した環境を表すラベルを対応付けて記憶する。具体例として、施設関連データ記憶部112は、雨天期間中の施設関連データに対して、雨天のラベルを対応付けて記憶する。施設関連データ記憶部112は、同一の施設関連データに複数のラベルを対応付けて記憶してもよい。具体例として、施設関連データ記憶部112は、祝日の雨天期間中の施設関連データに対して、雨天及び特殊のラベルを対応付けて記憶する。施設関連データ記憶部112は、任意の期間を単位として、施設関連データにラベルを対応付けて記憶してよい。例えば、施設関連データ記憶部112は、1日単位で、施設関連データにラベルを対応付けて記憶する。この場合において、例えば、1日の間に曇天期間と雨天期間が存在する場合、より長い期間に対応するラベルを対応付けて施設関連データを記憶してよい。
【0091】
施設関連データ記憶部112は、例えば、施設関連データ取得部120が取得した施設関連データを、環境特定部122が特定した環境毎に分類して記憶してもよい。具体例として、施設関連データ記憶部112は、雨天期間中の施設関連データを、雨天に対応する記憶領域に記憶し、曇天期間中の施設関連データを、曇天に対応する記憶領域に記憶する。施設関連データ記憶部112は、同一の施設関連データを複数の記憶領域に記憶してもよい。具体例として、施設関連データ記憶部112は、祝日の雨天期間中の施設関連データを、祝日に対応する記憶領域と、雨天に対応する記憶領域に記憶する。なお、施設関連データ記憶部112は、祝日の雨天期間中の施設関連データを、祝日及び雨天に対応する記憶領域に記憶してもよい。
【0092】
学習モデル生成部124は、学習モデルを生成する。学習モデル生成部124は、生成した学習モデルを学習モデル記憶部114に記憶させてよい。学習モデル生成部124は、施設関連データ記憶部112に記憶されている施設関連データを用いて学習モデルを生成してよい。学習モデル生成部124は、例えば、水処理施設200の管理者等が水処理施設200に対して設定した制御関連データを教師データとして、施設関連データを入力とし、制御関連データを出力とする学習モデルを生成する。
【0093】
学習モデル生成部124は、例えば、ランダムフォレストを用いて学習モデルを生成する。学習モデル生成部124は、施設関連データ記憶部112に記憶されている複数種類の施設関連データのうち、一部又は全部を対象として、ランダムフォレストを用いて学習モデルを生成してよい。学習モデル生成部124が用いる学習方法は、ランダムフォレストに限らず、他の既知の学習方法を用いてもよい。
【0094】
学習モデル生成部124は、水処理施設200の環境毎に、環境に対応する施設関連データを用いて学習モデルを生成してよい。学習モデル生成部124は、環境に対応する施設関連データを用いて生成した学習モデルを、当該環境と対応付けて学習モデル生成部124に記憶させてよい。
【0095】
モデル選択部126は、学習モデル記憶部114に記憶されている複数種類の学習モデルから、利用する学習モデルを選択する。例えば、モデル選択部126は、施設関連データに基づく制御関連データの出力処理を実行する場合に、環境特定部122によって特定された水処理施設200の環境に対応する一の学習モデルを、学習モデル記憶部114に記憶されている複数種類の学習モデルから選択する。
【0096】
制御関連データ出力部128は、学習モデル記憶部114に記憶されている学習モデルを用いて、施設関連データに基づく制御関連データの出力処理を実行する。制御関連データ出力部128は、例えば、制御関連データを、データ処理装置100が備えるディスプレイに表示出力する。また、制御関連データ出力部128は、例えば、制御関連データを、水処理施設200の管理者等が所有する通信端末に対して送信出力する。
【0097】
本実施形態に係るデータ処理装置100は、対象となる水処理施設200に学習モデルを正式に導入する前に、学習モデルをブラッシュアップすることを1つの目的としているが、ブラッシュアップが完了した後、制御関連データ出力部128は、制御関連データを水処理施設200に送信することによって、水処理施設200の制御に反映してよい。
【0098】
制御関連データ出力部128は、例えば、モデル選択部126によって選択された一の学習モデルに、基準時刻より過去の施設関連データを入力して、基準時刻以降の制御関連データを出力する。水処理施設200による水処理は、水処理施設200の環境に影響を受けるので、水処理施設200の環境とは関係なく準備した学習モデルを用いる場合と比較して、水処理をより適切に行うことができる制御関連データを出力することができる。
【0099】
具体例として、制御関連データ出力部128は、現時点までの施設関連データを一の学習モデルに入力して、1時間後の制御関連データを出力する。これにより、現在における水処理施設200の環境及び状況等から、設定することが望ましい制御関連データを通知することができる。
【0100】
学習モデル更新部130は、学習モデル記憶部114に記憶されている学習モデルを更新する。学習モデル更新部130は、例えば、モデル選択部126によって水処理施設200の環境に対応する一の学習モデルが選択された後、当該環境に対応する学習モデルを更新する更新処理を実行する更新タイミングであると判定したことに応じて、当該環境に対応する施設関連データを用いて新たな学習モデルを生成する。学習モデル更新部130は、学習モデル生成部124と同一の学習方法を用いて学習モデルを生成してよい。そして、学習モデル更新部130は、新たな学習モデルと、一の学習モデルとの比較結果に基づいて、新たな学習モデル又は一の学習モデルを選択する。学習モデル更新部130は、新たな学習モデルを選択した場合、一の学習モデルに変えて、当該環境と当該新たな学習モデルとを対応付けて学習モデル記憶部114に記憶させる。学習モデル更新部130は、一の学習モデルを選択した場合、新たな学習モデルを破棄してよい。
【0101】
新たな学習モデルは、一の学習モデルと比較して、より新しい施設関連データを用いて生成することができるので、予測精度が向上する蓋然性が高い学習モデルに更新することができる。また、例えば、最新の施設関連データに不適切なデータが含まれることによって予測精度が低下してしまうような場合には、更新を行わないようにできる。
【0102】
学習モデル更新部130は、過去に水処理施設200の管理者等が手動で設定した制御関連データを用いて、新たな学習モデルと一の学習モデルとを比較してよい。例えば、学習モデル更新部130は、水処理施設200の管理者等が制御関連データを設定したときよりも過去の施設関連データを、新たな学習モデル及び一の学習モデルの両方に入力して、制御関連データを出力させる。そして、学習モデル更新部130は、出力させた制御関連データと、水処理施設200の管理者等が設定した制御関連データとの差を特定し、新たな学習モデルと一の学習モデルのうち、特定した差がより小さい方を選択する。これにより、水処理施設200の管理者等の経験に基づく制御関連データにより近い制御関連データを出力可能な学習モデルを選択することができる。
【0103】
学習モデル更新部130は、直近に、水処理施設200の管理者等が手動で設定した制御関連データを用いて、新たな学習モデルと一の学習モデルとを比較してよい。例えば、学習モデル更新部130は、環境特定部122によって特定された環境に対応する施設関連データのうち、学習モデルの更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間以外の施設関連データを用いて新たな学習モデルを生成し、更新タイミングを基準とした過去の予め定められた期間の施設関連データを用いて、新たな学習モデルと一の学習モデルとを比較する。水処理施設200に何か大きな変化があった場合、その変化前の施設関連データを用いて評価を実施しても正確な評価ができない場合があるが、直近の施設関連データを用いることによって、評価の精度を高めることができる。
【0104】
学習モデル更新部130は、環境に対応する施設関連データを用いて複数の異なる新たな学習モデルを生成してもよい。学習モデル更新部130は、生成した複数の異なる新たな学習モデルと一の学習モデルとの比較結果に基づいて、複数の異なる新たな学習モデルのうちのいずれかを選択した場合に、一の学習モデルに代えて、当該環境と、選択した新たな学習モデルとを対応付けて学習モデル記憶部114に記憶させてよい。
【0105】
学習モデル更新部130は、例えば、学習方法のパラメータを異ならせた複数の新たな学習モデルを生成する。例えば、学習方法としてランダムフォレストを用いている場合、学習モデル更新部130は、ランダムフォレストのパラメータを変更させながら、複数の新たな学習モデルを生成する。ランダムフォレストのパラメータの例として、決定木の本数、決定木の分岐数、決定木の階層数、分岐条件等が挙げられる。
【0106】
学習モデル更新部130は、例えば、施設関連データ記憶部112に記憶されている複数種類の施設関連データのうち、用いる種類を異ならせて複数の新たな学習モデルを生成する。学習モデル更新部130は、複数種類の施設関連データのうち、用いる数を異ならせたり、同じ数でも用いる種類を異ならせたりすることによって、複数の新たな学習モデルを生成してよい。
【0107】
学習モデル更新部130は、例えば、施設関連データ記憶部112に記憶されている施設関連データのうち、異なる期間に対応する施設関連データを用いて、複数の異なる新たな学習モデルを生成する。学習モデル更新部130は、例えば、用いる施設関連データを、年単位、月単位、日単位で異ならせる。また、学習モデル更新部130は、例えば、用いる施設関連データを、平日土日単位、曜日単位、季節単位で異ならせる。
【0108】
学習モデル更新部130は、例えば、学習の次数を異ならせた複数の異なる新たな学習モデルを生成する。学習モデル更新部130は、例えば、複数の次数のそれぞれで学習モデルを生成する。次数のバリエーションは任意の数であってよい。
【0109】
上述したように、一の学習モデルと、様々な種類の新たな学習モデルとから学習モデルを選択する構成することによって、結果として、より予測精度の高い学習モデルを生成することができる。
【0110】
制御パラメータ取得部132は、水処理施設200に設定する制御パラメータを取得する。制御パラメータ取得部132は、例えば、水処理施設200に対して設定することが決まっている制御パラメータを取得する。制御パラメータ取得部132は、例えば、水処理施設200に対して既に設定されている制御パラメータを取得する。制御パラメータ取得部132は、制御関連データ出力部128によって出力された制御関連データに含まれる制御パラメータを取得してもよい。
【0111】
変更パラメータ生成部134は、制御パラメータ取得部132が取得した制御パラメータを変更した複数の変更パラメータを生成する。例えば、制御パラメータが、反応槽213において活性汚泥に対して送り込む空気量であって、20m3/分である場合に、変更パラメータ生成部134は、18、19、21、22m3/分等の単位や、10、30、40m3/分等の単位で、複数の変更パラメータを生成する。制御パラメータから複数オン変更パラメータを生成する生成手法は、任意の手法であってよい。また、変更パラメータ生成部134は、データ処理装置100の管理者等の指示に従って、複数の変更パラメータを生成してもよい。
【0112】
パラメータ選択部140は、モデル選択部126によって選択された一の学習モデルを用いて、制御パラメータ取得部132が取得した制御パラメータと、変更パラメータ生成部134が生成した複数の変更パラメータとを含む複数の候補パラメータのいずれかを選択する。パラメータ選択部140は、候補パラメータ特定部142及びコスト推定部144を備えてよい。
【0113】
候補パラメータ特定部142は、複数の候補パラメータから、候補パラメータを特定する。例えばまず、候補パラメータ特定部142は、モデル選択部126によって選択された一の学習モデルの目的変数を第1のパラメータとする。
【0114】
第1のパラメータは、水処理施設200から放出される水の水質であってよい。水処理施設200が下水処理場である場合、第1のパラメータは、塩素接触槽216から川及び海等に放出された水の水質であってよい。水処理施設200が浄水場である場合、第1のパラメータは、ポンプ場228から放出された水の水質であってよい。
【0115】
第1のパラメータは、水処理施設200における汚泥の含水率であってもよい。水処理施設200が下水処理場である場合、第1のパラメータは、反応槽213における汚泥の含水率であってよい。水処理施設200が下水処理場である場合、第1のパラメータは、沈殿池224における汚泥の含水率であってよい。
【0116】
候補パラメータ特定部142は、複数の候補パラメータのそれぞれについて、目的変数を第1のパラメータとした一の学習モデルに入力して出力させた第1のパラメータが、予め定められた条件を満たす候補パラメータを特定する。第1のパラメータが、水処理施設200から放出される水の水質である場合、水質が予め定められた閾値より良好な値となる場合に、第1のパラメータは予め定められた条件を満たす。例えば、第1のパラメータが、水質が良好であるほど高い値を示す場合、第1のパラメータは、予め定められた閾値より高い場合に予め定められた条件を満たす。第1のパラメータが、水処理施設200における汚泥の含水率である場合、含水率が予め定められた閾値より低い場合に、第1のパラメータは予め定められた条件を満たす。候補パラメータ特定部142によって、1つの候補パラメータが特定された場合、パラメータ選択部140は、特定した候補パラメータを制御関連データ出力部128に出力させてよい。
【0117】
コスト推定部144は、候補パラメータ特定部142によって複数の候補パラメータが特定された場合に、当該複数の候補パラメータのそれぞれについて、水処理施設200に設定した場合に消費される消費対象のコストを推定する。コスト推定部144は、例えば、候補パラメータを水処理施設200に設定した場合に消費される電力のコストを推定する。コスト推定部144は、例えば、電気消費量を推定する。コスト推定部144は、例えば、電気代を推定する。コスト推定部144は、予め格納している評価関数を用いて、電力のコストを推定してよい。評価関数は、例えば、制御パラメータと、水処理施設200の各設備に対して制御パラメータを設定したときの電気使用量との関係を用いて生成することができる。コスト推定部144は、外部から取得した評価関数を格納してよく、施設関連データ記憶部112に記憶されている施設関連データに基づいて評価関数を生成してもよい。
【0118】
コスト推定部144は、例えば、候補パラメータを水処理施設200に設定した場合に消費される薬品のコストを推定する。薬品の例として、塩素接触槽216において使用される塩素、撹拌池222において使用される凝集剤、塩素混和池226において使用される塩素等が挙げられる。コスト推定部144は、予め格納している評価関数を用いて、薬品のコストを推定してよい。評価関数は、例えば、制御パラメータと、水処理施設200の各設備に対して制御パラメータを設定したときの薬品使用量との関係を用いて生成することができる。コスト推定部144は、外部から取得した評価関数を格納してよく、施設関連データ記憶部112に記憶されている施設関連データに基づいて評価関数を生成してもよい。
【0119】
パラメータ選択部140は、コスト推定部144によって推定されたコストに基づいて、複数の候補パラメータのいずれかを選択してよい。パラメータ選択部140は、例えば、複数の候補パラメータのうち、推定されたコストが最も低い候補パラメータを選択する。これにより、水処理施設200が放出する水の水質を担保しつつ、電力のコスト又は薬品のコストがより低い候補パラメータを特定することができ、水処理施設200の効率的な運用に貢献することができる。
【0120】
なお、複数の候補パラメータについて、コスト推定部144が、水処理施設200に設定した場合に消費される消費対象のコストを推定し、候補パラメータ特定部142が、目的変数を第1のパラメータとした一の学習モデルによって出力させる第1のパラメータが予め定められた条件を満たすまで、複数の候補パラメータを、コストが少ない順番に一の学習モデルに入力し、条件を満たす候補パラメータを特定するようにしてもよい。これにより、第1のパラメータが条件を満たすかを判定する処理の負荷よりも、電力のコストや薬品のコストを判定する処理の負荷が高い場合に、全体の処理負荷を低減することができる。
【0121】
図5は、データ処理装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。
図5では、データ処理装置100が、施設関連データを収集しながら、適宜用いる学習モデルを変更したり、学習モデルを更新したりする処理の流れについて説明する。なお、ここでは、一旦水処理施設200の環境が特定され、環境に対応する一の学習モデルを用いて、制御関連データの表示出力を実行している状態を開始状態として説明する。
【0122】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、施設関連データ取得部120が、施設関連データを収集する。S104では、環境特定部122が、水処理施設200の環境を表すラベルを特定する。
【0123】
S106では、制御関連データ出力部128が、水処理施設200の環境が変化した場合に、学習モデルを変更すると判定する。学習モデルを変更すると判定した場合、S108に進み、水処理施設200の環境が変化していない場合、S110に進む。S108では、制御関連データ出力部128が、学習モデル記憶部114から、S104において特定されたラベルに対応する学習モデルを選択する。
【0124】
S110では、学習モデル更新部130が、学習モデルを更新するタイミングであるか否かを判定する。学習モデル更新部130は、例えば、現在用いている学習モデルが生成されてから予め定められた期間が経過していた場合に、学習モデルを更新するタイミングであると判定する。更新するタイミングであると判定した場合、S112に進み、更新するタイミングでないと判定した場合、S114に進む。S112では、学習モデル更新部130が、学習モデルの更新処理を実行する。
【0125】
S114では、処理を終了するか否かを判定する。データ処理装置100は、例えば、データ処理装置100の管理者又は水処理施設200の管理者等による終了指示を受領していた場合、処理を終了すると判定する。処理を終了しないと判定した場合、S102に戻る。
【0126】
図6は、環境特定部122による水処理施設200の環境特定処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、環境特定部122が、日射計及び雨量計から取得した日射量及び降雨量に基づいて、1日の終わりにその日の気候を特定する場合を一具体例として挙げる。
【0127】
S202では、環境特定部122が、降雨量が一日当たり0.5mm以上であるか否かを判定する。一日当たり0.5mm以上である場合、雨天と特定し、一日当たり0.5mm以上でない場合、S204に進む。S204では、環境特定部122が、前日が雨天であったか否かを判定する。前日が雨天であった場合、S206に進み、雨天でなかった場合、S210に進む。
【0128】
S206では、環境特定部122が、1日の最大日射量が0.5kW/m2以下であるか否かを判定する。環境特定部122は、0.5kW/m2以下であると判定した場合、雨天後曇天と特定する。0.5kW/m2以下でないと判定した場合、S208に進む。
【0129】
S208では、環境特定部122が、1日の中で日射量が1.5kW/m2以上のときが存在するか否かを判定する。環境特定部122は、存在すると判定した場合、雨天後真夏日と特定し、存在しないと判定した場合、雨天後晴天と特定する。
【0130】
S210では、環境特定部122が、1日の最大日射量が0.5kW/m2以下であるか否かを判定する。環境特定部122は、0.5kW/m2以下であると判定した場合、曇天と特定する。0.5kW/m2以下でないと判定した場合、S212に進む。
【0131】
S212では、環境特定部122が、1日の中で日射量が1.5kW/m2以上のときが存在するか否かを判定する。環境特定部122は、存在すると判定した場合、真夏日と特定し、存在しないと判定した場合、晴天と特定する。
【0132】
図7は、学習モデル更新部130による学習モデルの更新処理の流れの一例を概略的に示す。
図7では、学習モデル更新部130が、複数種類の新たな異なる学習モデルを生成して、学習モデルの更新を行うか否かを判定する処理について説明する。
【0133】
S302では、学習モデル更新部130が、複数種類の施設関連データのうち、用いる種類を異ならせた複数の学習モデルを生成する。S304では、学習モデル更新部130が、異なる期間に対応する施設関連データを用いて、複数の学習モデルを生成する。S306では、学習モデル更新部130が、学習方法のパラメータを異ならせた複数の学習モデルを生成する。
【0134】
S308では、学習モデル更新部130が、S302、S304、及びS306において生成した複数の学習モデルと、前回モデルとを比較して、評価結果が向上したか否かを判定する。向上したと判定した場合、S310に進む。S310では、学習モデル更新部130が、学習モデルを、前回モデルから、新たに生成した複数の学習モデルのうち、最も評価が高い学習モデルに入れ替える。
【0135】
図8は、データ処理装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、水処理施設200から放出される水の水質を担保しつつ、電力及び薬品等の消費対象のコストを低減可能な制御パラメータを特定する処理の流れを説明する。
【0136】
S402では、制御関連データ出力部128が、学習モデル記憶部114から、環境特定部122によって特定された水処理施設200の環境に対応する学習モデルを選択する。S404では、制御パラメータ取得部132が、水処理施設200に設定する制御パラメータを取得する。
【0137】
S406では、変更パラメータ生成部134が、S404において制御パラメータ取得部132が取得した制御パラメータを変更した複数の変更パラメータを生成する。S408では、候補パラメータ特定部142が、S404において取得された制御パラメータと、S406において生成された複数の変更パラメータとを含む複数の候補パラメータのそれぞれを、目的変数を水処理施設200から放出される水の水質とした学習モデルに入力する。S410では、候補パラメータ特定部142が、学習モデルから出力された水質が、条件を満たす候補パラメータを特定する。特定した候補パラメータが複数である場合(S412でYES)、S414に進み、複数でない場合(S412でNO)、S418に進む。
【0138】
S414では、コスト推定部144が、S410において特定された複数の候補パラメータのそれぞれについて、水処理施設200に設定した場合に消費される消費対象のコストを推定する。S416では、パラメータ選択部140が、S414において推定されたコストに基づいて、複数の候補パラメータのいずれかを選択する。パラメータ選択部140は、例えば、S414において推定されたコストが最も低い候補パラメータを選択する。
【0139】
S418では、制御関連データ出力部128が、候補パラメータを出力する。制御関連データ出力部128は、S412において、1つの候補パラメータのみが特定された場合、当該候補パラメータを出力し、複数の候補パラメータが特定された場合、S416において選択された候補パラメータを出力する。
【0140】
図9は、データ処理装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、水処理施設200から放出される水の水質を担保しつつ、電力及び薬品等の消費対象のコストを低減可能な制御パラメータを特定する処理の流れを説明する。
【0141】
S502では、制御関連データ出力部128が、学習モデル記憶部114から、環境特定部122によって特定された水処理施設200の環境に対応する学習モデルを選択する。S504では、制御パラメータ取得部132が、水処理施設200に設定する制御パラメータを取得する。
【0142】
S506では、変更パラメータ生成部134が、S504において制御パラメータ取得部132が取得した制御パラメータを変更した複数の変更パラメータを生成する。S508では、コスト推定部144が、S504において取得された制御パラメータと、S506において生成された複数の変更パラメータとを含む複数の候補パラメータのそれぞれについて、水処理施設200に設定した場合に消費される消費対象のコストを推定する。
【0143】
S510では、候補パラメータ特定部142が、複数の候補パラメータのうち、S508において推定されたコストが最も低い候補パラメータを、目的変数を水処理施設200から放出される水の水質とした学習モデルに入力する。S512では、候補パラメータ特定部142が、学習モデルから出力された水質が、条件を満たすか否かを判定する。条件を満たさないと判定した場合、S514に進み、満たすと判定した場合、S516に進む。
【0144】
複数の候補パラメータの全てについて判定が終了した場合(S514でYES)、処理を終了し、判定が終了していない場合(S514でNO)、S510に戻る。S510では、S508において推定されたコストが低い順に、次の候補パラメータを学習モデルに入力する。
【0145】
S516では、制御関連データ出力部128が、S512において水質を満たすと判定された候補パラメータを出力する。
【0146】
図10は、データ処理装置100として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0147】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0148】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0149】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0150】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0151】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0152】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0153】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0154】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0155】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0156】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0157】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0158】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0159】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0160】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0161】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0162】
10 システム、20 処理施設、30 センサ、40 情報提供サーバ、100 データ処理装置、110 記憶部、112 施設関連データ記憶部、114 学習モデル記憶部、120 施設関連データ取得部、122 環境特定部、124 学習モデル生成部、126 モデル選択部、128 制御関連データ出力部、130 学習モデル更新部、132 制御パラメータ取得部、134 変更パラメータ生成部、140 パラメータ選択部、142 候補パラメータ特定部、144 コスト推定部、200 水処理施設、210 管理装置、211 沈砂池、212 最初沈殿池、213 反応槽、214 最終沈殿池、215 汚泥処理施設、216 塩素接触槽、220 管理装置、221 着水槽、222 撹拌池、223 フロック形成池、224 沈殿池、225 濾過池、226 塩素混和池、227 配水池、228 ポンプ場、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ