(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182618
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/96 20060101AFI20221201BHJP
E06B 1/34 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
E06B3/96 B
E06B1/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090276
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】増山 新作
(72)【発明者】
【氏名】大垣 博範
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 知規
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広大
(72)【発明者】
【氏名】藤本 毅
【テーマコード(参考)】
2E035
【Fターム(参考)】
2E035AA05
2E035BA01
2E035CA01
2E035CB03
2E035CB06
2E035EA01
(57)【要約】
【課題】 縦枠と横枠とのコーナー部を外観よく処理することのできる建具の提供。
【解決手段】 縦枠47と横枠46とコーナー部品9とを備え、縦枠47と横枠46は、外周側に向けて突出するカバー片17,16を有し、横枠46は、カバー片16の長手方向端部に取付孔10を有し、コーナー部品9は、縦枠47のカバー片17の長手方向端部17aと横枠46のカバー片16の長手方向端部16aの外周側コーナー部を隠すものであり、横枠46のカバー片16の取付孔10に挿入される係止突部11と、縦枠47のカバー片17の長手方向端面に係止する係止突起12と、係止突起12の上方又は下方位置に設けられ、縦枠47のカバー片17に接着自在な両面テープ13を有し、係止突部11を取付孔10に室外側から挿入してから上下方向に移動することで係止突部11が取付孔10に係止し、係止突起12が縦枠47のカバー片17の長手方向端面に係止するとともに両面テープ13が縦枠47のカバー片17に接着される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠と横枠とコーナー部品とを備え、縦枠と横枠は、外周側に向けて突出するカバー片を有し、横枠は、カバー片の長手方向端部に取付孔を有し、コーナー部品は、縦枠のカバー片の長手方向端部と横枠のカバー片の長手方向端部の外周側コーナー部を隠すものであり、横枠のカバー片の取付孔に挿入される係止突部と、縦枠のカバー片の長手方向端面に係止する係止突起と、係止突起の上方又は下方位置に設けられ、縦枠のカバー片に接着自在な両面テープを有し、係止突部を取付孔に室外側から挿入してから上下方向に移動することで係止突部が取付孔に係止し、係止突起が縦枠のカバー片の長手方向端面に係止するとともに両面テープが縦枠のカバー片に接着されることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
縦枠と横枠とのコーナー部を外観よく処理したいという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、縦枠と横枠とのコーナー部を外観よく処理することのできる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、縦枠と横枠とコーナー部品とを備え、縦枠と横枠は、外周側に向けて突出するカバー片を有し、横枠は、カバー片の長手方向端部に取付孔を有し、コーナー部品は、縦枠のカバー片の長手方向端部と横枠のカバー片の長手方向端部の外周側コーナー部を隠すものであり、横枠のカバー片の取付孔に挿入される係止突部と、縦枠のカバー片の長手方向端面に係止する係止突起と、係止突起の上方又は下方位置に設けられ、縦枠のカバー片に接着自在な両面テープを有し、係止突部を取付孔に室外側から挿入してから上下方向に移動することで係止突部が取付孔に係止し、係止突起が縦枠のカバー片の長手方向端面に係止するとともに両面テープが縦枠のカバー片に接着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による建具は、縦枠と横枠とコーナー部品とを備え、縦枠と横枠は、外周側に向けて突出するカバー片を有し、コーナー部品は、縦枠のカバー片の長手方向端部と横枠のカバー片の長手方向端部の外周側コーナー部を隠すため、縦枠と横枠とのコーナー部を外観よく処理することができる。しかもコーナー部品は、横枠のカバー片の取付孔に挿入される係止突部と、縦枠のカバー片の長手方向端面に係止する係止突起と、係止突起の上方又は下方位置に設けられ、縦枠のカバー片に接着自在な両面テープを有し、係止突部を取付孔に室外側から挿入してから上下方向に移動することで係止突部が取付孔に係止し、係止突起が縦枠のカバー片の長手方向端面に係止するとともに両面テープが縦枠のカバー片に接着されるので、コーナー部品の取付けが簡単に行え、尚且つコーナー部品を安定して取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(a)は縦枠と下枠とのコーナー部の室外側正面図であり、(b)は同コーナー部の側面図、(c)は同コーナー部の平面図である。
【
図2】本発明の建具の一実施形態を示す縦断面図である。
【
図4】(a)はコーナー部品の正面図、(b)は同側面図、(c)は同平面図、(d)は同底面図、(e)は同背面図である。
【
図5】縦枠と下枠とのコーナー部の斜視図であって、コーナー部品を取付ける前の状態を示す。
【
図6】コーナー部品の取付け方を示す縦断面図である。
【
図7】(a)は外周枠を分解した状態で示すリフォーム枠の斜視図であり、(b)は新設枠とリフォーム枠を一体化したリフォーム枠の斜視図である。
【
図8】リフォーム枠を既設枠が取り付いた開口部に室外側から嵌め込むときの状態を示す縦断面図である。
【
図9】リフォーム枠を既設枠が取り付いた開口部に室外側から嵌め込むときの状態を示す横断面図である。
【
図10】本発明の建具の他の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~3は、本発明の建具の一実施形態を示している。本建具は、建物に設けられている既設の窓を新たな窓に改装する改装サッシに適用したものであって、
図2,3に示すように、既設枠4が取り付いた開口部26に室外側から納めて躯体5に固定したリフォーム枠3と、リフォーム枠3の室内側に取付けた樹脂額縁27と、リフォーム枠3の上下の横枠に沿って摺動可能に納めた外障子28と内障子29と網戸30とを備えている。
【0008】
既設枠4は、引違い窓用のアングル無しのサッシ枠であり、
図2,3に示すように、アルミ形材よりなる上枠31と下枠32と左右の縦枠33,33とを枠組みして構成され、いわゆる半外付けの状態で躯体5に取付けられている。既設枠4の室内側には、木製の既設額縁34が設けられている。
【0009】
リフォーム枠3は、
図2,3に示すように、新設枠1と、新設枠1の周囲を囲む外周枠2とで構成されている。
新設枠1は、アルミ形材よりなる上枠35と下枠36と左右の縦枠37,37とを四周枠組みして構成してある。上枠35と下枠36は、見込方向の中間部に断熱ブリッジ38を設けて断熱してある。また新設枠1は、室内側には樹脂アングル39を設け、室内側の結露を防止してある。
本新設枠1は、リフォーム枠ではない通常サッシ・一般サッシの半外付けのサッシ枠の躯体固定用のフィンを折取ったものである。
【0010】
外周枠2は、
図2,3,7に示すように、アルミ形材よりなる上枠(横枠)45と下枠(横枠)46と左右の縦枠47,47を四周枠組みして構成してある。より詳細には、上枠45と下枠46の長手方向の端面をシール材56(
図3,7参照)を介して縦枠47,47の内周側面に突き当て、側方から縦枠に挿通したねじ103(
図7参照)を上下枠45,46のタッピングホール48に螺入することで枠組みしてある。
上枠45と下枠46と左右の縦枠47は、
図2,3に示すように、それぞれ見込方向に延びる主部材49と、主部材49の室外側端部に着脱自在に取付けられ、外周側に向けて延びるカバー片15,16,17の2部材で構成されている。各カバー片15,16,17は、既設枠4の室外側壁の室外側に重合しており、カバー片15,16,17により既設枠4が室外側から見て見えないように隠されている。
主部材49は、新設枠1及び既設枠4の室内側壁よりも室内側に延出した延出部51が設けてあり、延出部51にはリフォーム枠3を躯体5に固定するためのねじ52が挿通される孔53が設けてある。また主部材49は、室外側と室内側の2箇所に位置決め部54が設けてあり、各位置決め部54を新設枠1の上枠35と下枠36と縦枠37に外周側から係合させることで、外周枠2の上枠45と下枠46と縦枠47を見込方向に位置決めできるとともに、新設枠1と外周枠2を一体化できるようになっている。
カバー片15,16,17は、室内側面に内外周方向に間隔をおいて折取り自在部55が複数設けてあり、既設枠4の形状等に応じて折取り自在部55で適宜折取ることで、見付寸法を変更できる。
【0011】
図2,3に示すように、新設枠1の外周側面と外周枠2の内周側面との隙間には、気密材57a,57b,57c,57cが四周連続して設けてある。この気密材57a,57b,57c,57cは、新設枠1のフィンを折取った位置に設けてある。
外周枠2の縦枠47には、横枠(上枠、下枠)45,46の端面との接合部にシール材56が設けてあり、外周枠2の横枠45,46に沿って延びる横気密材57a,57bと外周枠2の縦枠47,47に沿って延びる縦気密材57c,57cの長手方向端部がシール材56に当接しており、シール材56を介して横気密材57a,57bと縦気密材57c,57cとが連続している。これにより、新設枠1と外周枠2の間の隙間から雨水が室内に浸入するのを防止している。
また、外周枠2の上枠45のカバー片15と既設枠4の上枠31の室外側壁との隙間、外周枠2の縦枠47,47のカバー片17,17と既設枠4の縦枠33,33の室外側壁との隙間にも、気密材58a,58bが連続して設けてある。これにより、リフォーム枠3と既設枠4との隙間に雨水が浸入するのを防いでいる。
【0012】
図1,5に示すように、外周枠2の縦枠47のカバー片17の長手方向端部17aと外周枠2の下枠46のカバー片16の長手方向端部16aの外周側コーナー部にはコーナー部品9が取付けてある。コーナー部品9は、硬質樹脂で四角形の板状に形成してあり、縦枠47のカバー片17の長手方向端部17aと下枠46のカバー片16の長手方向端部16aの室外側に重合し、縦横のカバー片17,16間の空いた部分を隠している。
図1,5に示すように、下枠46のカバー片16の長手方向端部16aには、コーナー部品9を取付けるための取付孔10が形成してある。取付孔10は、外周側(下側)の幅が内周側(上側)よりも狭いダルマ孔状となっている。
【0013】
コーナー部品9は、
図1,4に示すように、下枠46のカバー片16の取付孔10に挿入される係止突部11と、縦枠47のカバー片17の長手方向端面に係止する係止突起12と、係止突起12の上方位置に設けられ、縦枠47のカバー片17の室外側面に接着自在な両面テープ13を有している。係止突部11は、下向きに曲がった鉤状に形成してある。係止突起12は、係止突部11の側方に離間し、左右方向に間隔をおいて複数設けてある。
またコーナー部品9は、裏面側に縦横のカバー片17,16の折り取り自在部55の位置と同じ位置に折り取り自在部14が縦横に格子状に設けてあり、カバー片17,16を折り取り自在部55で折り取って見付寸法を変更した場合に、それに合わせてコーナー部品9を折り取り自在部14で折り取ることで、コーナー部品9の縦横寸法を変更することができる。
【0014】
コーナー部品9の取付け方を説明する。まず、両面テープ13をコーナー部品9の裏面の所定の位置に貼り付け、反対側の剥離紙を剥がしておく。その上で、
図6(a)に示すように、コーナー部品9の係止突部11を下枠46のカバー片16の取付孔10に室外側から挿入する。この時点では、
図6(b)に示すように、コーナー部品9の係止突起12が縦枠47のカバー片17の室外側面に当接するため、両面テープ13は縦枠47のカバー片17に接着しない。その後、
図6(b)中の矢印に示すように、コーナー部品9を下方にスライドさせる。すると、
図6(c)に示すように、係止突部11がダルマ孔状の取付孔10に係止してコーナー部品9の室内外方向の移動が規制されると共に、係止突起12が縦枠47のカバー片17の長手方向端面に係止してコーナー部品9の上下方向の移動が規制され、尚且つ両面テープ13が縦枠47のカバー片17の室外側面に接着してコーナー部品9が固定される。
【0015】
このようにコーナー部品9は、係止突部11を下枠46のカバー片16の取付孔10に室外側から挿入して下方にスライドさせるだけで簡単に取付けできる。しかも、スライド時に係止突起12が縦枠47のカバー片17の室外側面に当接して両面テープ13が縦枠47のカバー片17にくっつかないようにしているので、両面テープ13がカバー片17とくっついた状態で無理にスライドさせることがないから、コーナー部品9の取付けが一層容易に行え、且つ両面テープ13をカバー片17としっかり接着できる。係止突起12が係止突部11と離間して複数設けてあることで、コーナー部品9をより一層安定して取付けできる。
【0016】
外周枠2の上枠45と縦枠47とのコーナー部にも同様にコーナー部品9を取付けることができる。上枠45側のコーナー部品9は、上述した下枠46側のコーナー部品9と上下逆に取付けられる。
【0017】
図2,3に示すように、既設枠4の室内側の既設額縁34の内周側には、リフォーム枠3を躯体5に固定するためのベースとなる取付補助材6が四周に設けてある。取付補助材6は、アルミ形材で形成したものであって、室外側及び室内側の見付壁59a,59bと見込壁60とで断面コ字型に形成されている。室外側及び室内側の見付壁59a,59bには、内外周方向に間隔をおいて折取り自在部61が複数設けてある。取付補助材6は、折取り自在部61で見付壁59a,59bを適宜折取って見付寸法を調整し、見込壁60の内周側面の位置が既設枠4の内周側に最も飛び出した部分62と内外周方向のほぼ同じ位置になるようにしている。なお、
図2,3では、見付壁59a,59bが既設額縁34と干渉しているように見えるが、実際には折取り自在部61で折取って既設額縁34と干渉する部分は無くなる。
各取付補助材6は、室外側の見付壁59aを既設枠4の室内側壁に当接して配置され、これにより取付補助材6の室内側端の位置が既設枠4の室外側端から所定の寸法A(具体的には110mm)となるように取付補助材6を見込方向に位置決めしている。取付補助材6は、見込壁60に内周側から挿通したねじ63で躯体5に固定してある。
【0018】
リフォーム枠3は、
図2,3に示すように、外周枠2の室内側端64が取付補助材6の室内側端と一致するように見込方向に位置決めし、取付補助材6の位置で延出部51に内周側から挿入したねじ52で躯体5に固定されている。外周枠2と取付補助材6との間には、必要に応じて飼い木65を介在させる。
本改装サッシは、このように取付補助材6を既設枠4の室内側壁に当接した状態で取付けた上で、リフォーム枠3(の外周枠2)の室内側端64が取付補助材6の室内側端と一致するようにリフォーム枠3を見込方向に位置決めすることで、リフォーム枠3が自然に見込方向の適正な位置に配置され、予めリフォーム枠3のカバー片15,17と既設枠4の室外側壁の一方に設けておいた気密材58a,58bが他方に密着し、リフォーム枠3と既設枠4の間が室外側で止水される。
【0019】
さらに本建具は、
図2,3に示すように、既設枠4と取付補助材6に跨って既設枠側防水テープ7が取付けてあり、取付補助材6の見込壁60と室内側の見付壁59bに跨ってねじ隠し用防水テープ66が取付けてあり、リフォーム枠3と取付補助材6に跨ってリフォーム枠側防水テープ8が設けてある。ねじ隠し用防水テープ66は、取付補助材6を躯体5に取付けているねじ63を隠しており、リフォーム枠側防水テープ8は、リフォーム枠3を躯体5に取付けているねじ52を隠している。各防水テープ7,8,66は、市販されている適当な幅の防水テープを使用し、既設枠4とリフォーム枠3の周方向に沿って連続して貼着して取付けられる。
【0020】
このように本建具は、既設枠4と取付補助材6に跨って取付けた既設枠側防水テープ7と、取付補助材6とリフォーム枠3に跨って取付けたリフォーム枠側防水テープ8を有することで、万が一、リフォーム枠3と既設枠4の間に室外側から雨水が浸入しても、室内側まで雨水が浸入するのを防ぐことができる。開口部26の周縁部に取付補助材6を設け、取付補助材6に防水テープ7,8を貼着することで、平滑な防水テープ7,8の貼着面を確保でき、防水テープ7,8をきれいに貼ることができるため、止水性が高い。また、一枚の防水テープを既設枠4とリフォーム枠3に跨って貼るよりも、既設枠側防水テープ7とリフォーム枠側防水テープ8に分けて貼る方が、作業性が良い。さらに、ねじ隠し用防水テープ66により取付補助材6を躯体5に取付けているねじ63を隠してあるので、ねじ63の孔から躯体5に雨水が浸入するのを防ぐことができる。
【0021】
図2,3に示すように、リフォーム枠3の縦枠67と上枠68の外周側面には、金属製の板よりなる補強材24が枠67,68の長手方向に間隔をおいて複数設けてある。補強材24は、リフォーム枠3の見込方向のほぼ全幅にわたって設けてあり、外周側からねじ69で縦枠67及び上枠68にそれぞれねじ止めして取付けてある。補強材24の室内側端部には、リフォーム枠3の孔53の位置に合わせてリフォーム枠3を躯体5に固定するためのねじ52が挿通される孔70が設けてある。そして、リフォーム枠3と補強材24を室内側でねじ52で躯体5に共に固定してある。
【0022】
本建具は、このようにリフォーム枠3の外周側に補強材24を設け、リフォーム枠3と補強材24を室内側で躯体5に共に固定してあることで、リフォーム枠3が室内側の端部の一箇所で躯体5に片持ち状に固定してあっても、リフォーム枠3が躯体5への固定部を支点として内周側や外周側に転ぶのを防ぐことができる。
【0023】
さらに本建具は、
図2に示すように、既設枠4の下枠32の上面とリフォーム枠3の下枠71の下面との隙間の室外側端部位置に隙間調整部品72が配置してある。隙間調整部品72は、前記隙間の大きさに合わせて高さ調整自在なものとなっている。リフォーム枠3の下枠71のカバー片16は、室外側から簡便に着脱できるように嵌め込み式になっており、カバー片16により隙間調整部品72が隠れている。
このように、既設枠4の下枠32の上面とリフォーム枠3の下枠71の下面との隙間に隙間調整部品72が設けてあることで、リフォーム枠3の下枠71が室外側が垂れ下がるように変形するのを防止できる。
【0024】
樹脂額縁27は、樹脂製の押出形材よりなり、
図2,3に示すように、新設枠1の樹脂アングル39と連続して室内側に延びる見込面部73と、見込面部73の室内側端部より外周側に向けて延びる見付面部74を有している。見込面部73には、新設枠1の樹脂アングル39が内周側からねじ75でねじ止めしてある。見付面部74は、室外側面に内外周方向に間隔をおいて折取り自在部76が複数設けてあり、既設額縁34から新設枠1の樹脂アングル39までの距離に応じて、見付面部74を折取り自在部76で適宜折取ることで、見付寸法を調節できるようにしてある。既設額縁34には、アングル状の化粧材77が取付けてあり、化粧材77で見付面部74の先端と既設額縁34との隙間を隠してある。
本建具は、このように樹脂額縁27を取付けることで、樹脂額縁27で既設枠4と取付補助材6とリフォーム枠3が隠れるので、意匠性が良い。しかも、樹脂額縁27は新設枠1の樹脂アングル39と連続する見込面部73と、見込面部73の室内側端部より外周側に延びる見付面部74とで断面L形に形成してあることで、内観意匠をより一層向上できる。
【0025】
次に、本建具の施工手順を説明する。まず、
図8,9に示すように、既設枠4の室内側に取付補助材6をねじ63で取付ける。その際、取付補助材6は、見付壁59a,59bを折取り自在部61で適宜折取って、既設枠4の内周側に最も飛び出した部分62と取付補助材6の見込壁60が見込方向で略同面になるように見付寸法を調整した上で、取付補助材6の室外側の見付壁59aを既設枠4の室内側壁に当接して見込方向に位置決めして取付ける。
次に、既設枠4と取付補助材6に跨って既設枠側防水テープ7を取付け、且つ取付補助材6の見込壁60から既設額縁34に跨ってねじ隠し用防水テープ66を取付ける。
次に、リフォーム枠3を組み立てる。リフォーム枠3の組み立ては、予め枠組みした新設枠1の周囲に外周枠2の上枠45と下枠46と左右の縦枠47,47をそれぞれ位置決め部54で位置決めしながら外周側から被せ、
図7に示すように、上下枠45,46の端面を縦枠47,47の内周側面にシール材56を介して突き当て、側方から縦枠47に挿通したねじ103を上下枠45,46のタッピングホール48にねじ込むことで枠組みする。その後、縦枠47,47と上枠45の外周側面に補強材24を取付ける。なお、リフォーム枠3の組み立ては、建具の施工現場で行ってもよいが、工場で組み立てて施工現場に搬入することもできる。
次に、上記のとおり新設枠1と外周枠2とを一体化したリフォーム枠3を、
図8,9に示すように、既設枠4が取り付いた開口部26に室外側から嵌め込み、リフォーム枠3の室内側端(外周枠2の室内側端)64が取付補助材6の室内側端と一致するようにリフォーム枠3を見込方向に位置決めする。また、リフォーム枠3の下枠71のカバー片16をいったん取り外し、隙間調整部品72の高さを既設枠4の下枠32とリフォーム枠3の下枠71との隙間の大きさに合わせて調整した後、カバー片16を取付ける。その後、外周枠2の縦枠47と下枠46とのコーナー部にコーナー部品9を取付ける。その後、リフォーム枠3を室内側で内周側からねじ52で躯体に固定する。その後、取付補助材6とリフォーム枠3に跨ってリフォーム枠側防水テープ8を取付ける。
その後、室内側から樹脂額縁27を取付ける。
【0026】
このように本建具は、四周枠組みした新設枠1の周囲を外周枠2で囲んで枠組みし、新設枠1と外周枠2を一体化した状態で既設枠4が取り付いた開口部26に室外側から嵌め込み外周枠2を躯体5に固定することで、既設枠4を加工したり、既設枠4の内周側に部材を取付けたりする必要がないため、施工性が良い。外周枠2の躯体5への固定を室内側で行うことで、施工性がより一層向上する。
【0027】
図10は、本発明の建具の他の実施形態を示している。本実施形態の建具は、既設枠4が雨戸85付きのサッシ枠となっている。既設枠の上枠31は、雨戸85の上部を案内する案内溝86が室外側に張り出して設けてあり、既設枠4の下枠32には雨戸85の下部を案内するレール87が室外側に張り出して設けてある。
【0028】
リフォーム枠3の外周枠2の下枠46は、既設枠の下枠32と干渉しないようにカバー片16の下部を折り取り自在部55で折り取ってある。コーナー部品9も、カバー片16と同様に、既設枠の下枠32と干渉しないように下部を折り取り自在部14で折り取ってある。
【0029】
以上に述べたように本建具は、縦枠47と横枠(下枠)46とコーナー部品9とを備え、縦枠47と横枠46は、外周側に向けて突出するカバー片17,16を有し、コーナー部品9は、縦枠47のカバー片17の長手方向端部17aと横枠46のカバー片16の長手方向端部16aの外周側コーナー部を隠すため、縦枠47と横枠46とのコーナー部を外観よく処理することができる。しかもコーナー部品9は、横枠46のカバー片16の取付孔10に挿入される係止突部11と、縦枠47のカバー片17の長手方向端面に係止する係止突起12と、係止突起12の上方又は下方位置に設けられ、縦枠47のカバー片17に接着自在な両面テープ13を有し、係止突部11を取付孔10に室外側から挿入してから上下方向に移動することで係止突部11が取付孔10に係止し、係止突起12が縦枠47のカバー片17の長手方向端面に係止するとともに両面テープ13が縦枠47のカバー片17に接着されるので、コーナー部品9の取付けが簡単に行え、尚且つコーナー部品9を安定して取付けることができる。すなわちコーナー部品9は、係止突部11を取付孔10に室外側から挿入してから上下方向に移動する際には、係止突起12が縦枠47のカバー片17の室外側面に当接することで両面テープ13がカバー片17とくっつかないので、コーナー部品9の取付けが一層容易に行えると共に、両面テープ13をカバー片17としっかり接着できる。
さらにコーナー部品9は、係止突起12を係止突部11から離して複数設けてあることで、コーナー部品9をより一層安定して取付けることができる。
【0030】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。縦枠及び横枠の断面形状、材質は、適宜変更することができる。枠の構成は任意であり、例えばリフォーム枠が新設枠と外周枠とで構成されたものではなく、一つの枠のみで構成してあってもよい。コーナー部品の形状、材質は、適宜変更することができる。本発明は、改装サッシに限らず、躯体開口部に直接取付けられるサッシに適用することもできる。また本発明は、引違い窓に限らず、例えばすべり出し窓、嵌め殺し窓、勝手口ドア、玄関引戸など、あらゆる建具に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
9 コーナー部品
10 取付孔
11 係止突部
12 係止突起
13 両面テープ
15,16,17 カバー片
46 下枠(横枠)
47 縦枠