特開 2022-182629 罠用装置及び接続部材

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022182629

(43)【公開日】2022-12-08

(54)【発明の名称】罠用装置及び接続部材

(51)【国際特許分類】

   A01M 23/24 20060101AFI20221201BHJP

【ＦＩ】

A01M23/24

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021090291

(22)【出願日】2021-05-28

(71)【出願人】

【識別番号】520139561

【氏名又は名称】有限会社オーエスピー商会

(71)【出願人】

【識別番号】521233297

【氏名又は名称】▲高▼橋 弥之

(74)【代理人】

【識別番号】100136180

【弁理士】

【氏名又は名称】羽立 章二

(72)【発明者】

【氏名】日和佐 憲厳

(72)【発明者】

【氏名】▲高▼橋 弥之

【テーマコード（参考）】

2B121

【Ｆターム（参考）】

2B121AA01

2B121BA32

2B121BA51

(57)【要約】

【課題】 本発明は、笠松式わなのようにはね部に架けられたワイヤを使用した罠において、はね部の動きを確保することに適した罠用装置等を提供する。
【解決手段】 罠用装置１は、基部３と、はね部９を備える。接続部材１１は、はね部９に取り付けられる。接続部材１１は、面接触で摺動して回転できる状態で基部３に取り付けられる基部取付部と、はね部９の外側でワイヤを保持するワイヤ保持部を備える。はね部９は、例えば、溝が形成された部材を被覆して形成する。
【選択図】 図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

基部と、はね部を備える罠用装置であって、
前記はね部に取り付けられる接続部材を備え、
前記接続部材は、
回転できる状態で前記基部に取り付けられる基部取付部と、
前記はね部の外側でワイヤを保持するワイヤ保持部を備える、罠用装置。

【請求項2】

前記基部取付部は、円環状で、面接触で摺動して回転できる状態で前記基部に取り付けられる、請求項１記載の罠用装置。

【請求項3】

前記はね部は、溝が形成された部材を被覆して形成されたものである、請求項１又は２に記載の罠用装置。

【請求項4】

基部と、はね部を備える罠用装置のための接続部材であって、
前記はね部に取り付けられるはね部取付部と、
回転できる状態で前記基部に取り付けられる基部取付部と、
前記はね部の外側でワイヤを保持するワイヤ保持部を備える、接続部材。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、罠用装置及び接続部材に関し、特に、基部と、はね部と、接続部材を備える罠用装置等に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、獣類を捕獲するための罠の一つである笠松式わな（登録商標）が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】実用新案登録第３１２３６７９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、笠松式わなは、部品の取り付け方、土などの挟まり、雨や雪の影響などで、動きが鈍くなるなどの問題があった。

【0005】

よって、本発明は、笠松式わなのようにはね部に架けられたワイヤを使用した罠において、はね部の動きを確保することに適した罠用装置等を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本願発明の第１の側面は、基部と、はね部を備える罠用装置であって、前記はね部に取り付けられる接続部材を備え、前記接続部材は、回転できる状態で前記基部に取り付けられる基部取付部と、前記はね部の外側でワイヤを保持するワイヤ保持部を備える。

【0007】

本願発明の第２の側面は、第１の側面の罠用装置であって、前記基部取付部は、円環状で、面接触で摺動して回転できる状態で前記基部に取り付けられる。

【0008】

本願発明の第３の側面は、第１又は第２の側面の罠用装置であって、前記はね部は、溝が形成された部材を被覆して形成されたものである。

【0009】

本願発明の第４の側面は、基部と、はね部を備える罠用装置のための接続部材であって、前記はね部に取り付けられるはね部取付部と、回転できる状態で前記基部に取り付けられる基部取付部と、前記はね部の外側でワイヤを保持するワイヤ保持部を備える。

【発明の効果】

【0010】

本願発明の各側面によれば、はね部を基部に直接取り付けるのではなく、接続部材を使用することにより、はね部の跳ね上がりの動きを確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】本願発明の実施の形態に係る罠用装置１の構成の一例を示す図である。

【図2】罠用装置１をパイプ部１５の上に乗せてワイヤ１７を架けて罠を設置することを説明するための図である。

【図3】罠用装置１で獣類を捕獲して、その後に設置し直すことを説明するための図である。

【図4】はね部２１の両端に取付部２５₁及び２５₂により接続部材２３₁及び２３₂を取り付けた状態を説明するための図である。

【図5】接続部材の構成を説明するための図である。

【図6】本願発明の実施の形態に係る罠用装置の構成の他の一例を示す図である。

【図7】一般的な獣類の罠の動作の一例を説明するための図である。

【発明を実施するための形態】

【0012】

以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。

【実施例0013】

図７（ａ）、（ｂ）及び（ｃ）を参照して、一般的な獣類の罠の動作の一例を説明する。

【0014】

獣類（イノシシ、シカなど）を捕獲するためには、一般に、けもの道を探し、歩いている足跡に合わせて土を掘り、罠を埋めることが行われている。

【0015】

図７（ａ）は、落とし穴の一例である。パイプ１０１は、落とし穴の側面である。ふた部１０３は、落とし穴のふたである。ワイヤ１０５は、ふた部１０３の周囲にあるワイヤである。スプリング部１０７は、スプリングであり、これが伸びることによりワイヤ１０５が狭まる。

【0016】

図７（ｂ）は、獣類の足１０９が落とし穴に落ちた状態を示す。獣類の足１０９によってふた部１０３が落ちると、スプリング部１０７が伸び、ワイヤ１０５が締まる。

【0017】

図７（ｃ）は、獣類の足１０９を捕らえた状態を示す。ワイヤ１０５は、スプリング部１０７が十分に伸び、獣類の足１０９を捕らえることができる。

【0018】

ワイヤ１０５が獣類の足１０９のつま先にかかった程度では、獣類は足を切って逃げてしまう。そのため、落とし穴を掘る場合には、獣類が罠にかかった際に足首以上になるように深く掘ることが望ましい。しかしながら、特にイノシシは嗅覚が敏感で、落とし穴があることを察知する能力に長けており、落とし穴を深くすると、イノシシが気づくリスクが高くなる。また、山の中のけもの道は、石が埋まっていたり木の根があったりして、落とし穴を深く掘ることが難しい。そのため、けもの道に、深い落とし穴を掘ることは難しい。

【0019】

特許文献１記載の笠松式わなは、この問題を解決する罠の一つである。ふた部１０３にワイヤ１０５を架ける２つのはね部を対向して設け、獣類の足１０９が落ちたときに獣類の足１０９を挟むようにはね部が跳ね上がり、ワイヤ１０５がふた部１０３よりも上にあるようにして、ワイヤ１０５が獣類の足１０９の足首以上に高い位置にかかるようにする。なお、はね部が獣類の足１０９を挟むように動作するが、トラばさみとは異なる。

【0020】

笠松式わなでは、一般に、はね部は金属でできており、外側にワイヤを架けるための溝を形成していた。そのため、金属加工が必要になっていた。また、はね部は、落とし穴の形状に合わせて円形のものが多く、ワイヤを架ける手間もかかっていた。さらに、はね部は、ふた部１０３に、直接、平面をビスでとめて取り付けていた。そのため、２つのはね部が干渉して、一方のはね部は跳ね上がっても、他方は十分に跳ね上がらないこともあった。また、締め方でかたくなったり、土が挟まって動きが鈍くなったり、雨や雪の影響で動かくなることもあった。

【0021】

図１は、本願発明の実施の形態に係る罠用装置１の構成の一例を示す図である。図１（ａ）は、罠用装置１の全体を示し、笠松式わなのふた部と同様の役割を果たす。

【0022】

罠用装置１は、基部３と、はね部９₁及び９₂を備える。はね部９₁及び９₂は、溝が形成され、中に金属が入ったプラスチック成形品に、電気用の被覆をしたものである。溝が外側になるようにして長方形のような形に成形している。

【0023】

基部３は、２か所の固定部５₁及び５₂と、２か所の掛止部１３₁及び１３₂を備える。

【0024】

はね部９₁の両端には、取付部１２₁及び１２₂により、接続部材１１₁及び１１₂が取り付けられている。保持部７₁及び７₂は、固定部５₁及び５₂に対して、はね部９₁の両端に取り付けられた接続部材１１₁及び１１₂をビスでとめて、回転できる状態で保持する。

【0025】

はね部９₂の両端には、取付部１２₃及び１２₄により、接続部材１１₃及び１１₄が取り付けられている。保持部７₃及び７₄は、固定部５₁及び５₂に対して、はね部９₂の両端に取り付けられた接続部材１１₃及び１１₄をビスでとめて、回転できる状態で保持する。

【0026】

掛止部１３₁及び１３₂は、それぞれ、開いた状態のはね部９₁及び９₂に掛止して、ワイヤを架ける作業をしているときにはね部９₁及び９₂が上がらないようにしている。

【0027】

図１（ｂ）は、図１（ａ）においてはね部９₁及び９₂を基部３に回転できる状態で保持する部分を拡大した図である。接続部材１１₁及び１１₃は、はね部９₁及び９₂を延長した個所は円環状であり、これによってはね部９₁及び９₂が干渉せずに回転できる状態で保持されている。また、接続部材１１₁及び１１₃は、はね部９₁及び９₂の外側にのびて、はね部９₁及び９₂の外側に架けられたワイヤを保持できるようにしている。接続部材１１₂及び１１₄も同様である。

【0028】

図２（ａ）は、パイプ部１５を示す。

【0029】

図２（ｂ）は、罠用装置１をパイプ部１５の上に乗せた状態を示す。

【0030】

図２（ｃ）は、パイプ部１５に乗せられた罠用装置１の周りに架けるワイヤの位置を説明するための図である。ワイヤ１７は、図７の場合と同様にスプリングなどにより罠にかかった獣類の足を締めるためのものである。

【0031】

ワイヤ１７は、はね部９₁及び９₂の外側に架けられる。はね部９₁及び９₂は、中に溝があって被覆されており、ワイヤ１７が溝に対して食い込むことができる。また、ワイヤ１７は、接続部材１１₁、１１₂、１１₃及び１１₄がはね部９₁及び９₂の外側にのびた部分にのせて架けることにより、罠用装置１よりも下に落ちずに架けることができ、はね部９₁及び９₂が回転するときにワイヤ１７が外にあって動きが阻害されない。

【0032】

ワイヤ１７を架けると、掛止部１３₁及び１３₂を回転させて、はね部９₁及び９₂を掛止しない状態にする。

【0033】

図３（ａ）は、罠用装置１が落ちた状態を示す。パイプ部１５において基部３が落ちるが、はね部９₁及び９₂は上方に跳ね上がっている。そのため、ワイヤ１７は、獣類の脚の上の方で捕獲することができる。また、接続部材１１₃及び１１₄によって、はね部９₁及び９₂が干渉せずに共に垂直に立った状態になっている。

【0034】

図３（ｂ）は、改めて設置する作業を説明するための図である。図３（ａ）の状態から、はね部９₁及び９₂を開いた状態を示す。掛止部１３₁及び１３₂を回転してはね部９₁及び９₂を掛止すれば、図１（ａ）の状態となる。パイプ部１５にのせれば、図２（ｂ）の状態になる。

【0035】

図４は、はね部２１の両端に取付部２５₁及び２５₂により接続部材２３₁及び２３₂を取り付けた状態を説明するための図である。

【0036】

はね部２１は、図４（ｂ）にあるように、中に金属が入ったプラスチック成形品で作成している。これは、ビニ鉄レールと呼ばれ、引き戸のレールになる部材である。溝が形成されており、これを、溝が外側になるようにして長方形のような形に成形して使用する。そして、図４（ｃ）にあるように、電気用の被覆をかぶせて、ワイヤを食い込ませることができるようにしている。

【0037】

なお、プラスチック成形品などでは軽くなるなどが生じ得るが、例えば従来と同様につまようじなどを利用してふたが下がらないようにしたり、作動の荷重を調整したりすることができる。

【0038】

図５は、接続部材の構成を説明するための図である。接続部材は、はね部に取り付けるためのはね部取付部３１と、はね部取付部３１の一方端において基部に回転できる状態で取り付けるための基部取付部３３と、はね部取付部３１の他方端においてはね部の外側でワイヤを保持するワイヤ保持部３５を備える。

【0039】

図５の例では、断面が円状の棒状の金属により実現する。なお、断面は、円でも、楕円でもよい。一方の端は、基部取付部３３として円環状に曲げ、はね部の間の動きの干渉を防ぐことができる。また、先端を丸くして摺動部を面接触にすることにより、ビスを固く取り付けたり、土が挟まったり、雨などであっても、はね部の跳ね上がりをスムーズに実現することができる。他方の端は、はね部の外側に向けて曲げ、さらに上方に曲げることにより、基部よりも上でワイヤを保持できる形状にしている。はね部の外側でワイヤを保持できることから、ワイヤがはね部の跳ね上がりの動きを阻害しない。

【0040】

図６は、本願発明の実施の形態に係る罠用装置の構成の他の一例を示す図である。例えば掛止部は、棒状の部材により実現してもよい。

【符号の説明】

【0041】

１ 罠用装置、３ 基部、５ 固定部、７ 、９ はね部、１１ 接続部材、１２ 取付部、１３ 掛止部、１５ パイプ部、１７ ワイヤ、２１ はね部、２３ 接続部材、２５ 取付部、３１ はね部取付部、３３ 基部取付部、３５ ワイヤ保持部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】