IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オーク製作所の特許一覧

特開2022-182632エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法
<>
  • 特開-エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法 図1
  • 特開-エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法 図2
  • 特開-エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法 図3
  • 特開-エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法 図4
  • 特開-エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法 図5
  • 特開-エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法 図6
  • 特開-エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法 図7
  • 特開-エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182632
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】エキシマランプ、エキシマランプの点灯方法およびエキシマランプの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 65/00 20060101AFI20221201BHJP
   H01J 61/30 20060101ALI20221201BHJP
   H01J 61/067 20060101ALI20221201BHJP
   H01J 9/24 20060101ALI20221201BHJP
   H01J 9/395 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H01J65/00 C
H01J61/30 Q
H01J61/067 N
H01J9/24 C
H01J9/395 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090296
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】藤森 昭芳
(72)【発明者】
【氏名】金井 信夫
(72)【発明者】
【氏名】福田 剛士
(72)【発明者】
【氏名】両角 洋二
【テーマコード(参考)】
5C015
5C043
【Fターム(参考)】
5C015HH02
5C043CC16
5C043DD03
5C043EA01
(57)【要約】
【課題】ランプの点灯始動性を高めながら、主放電空間において所望する放電状態を生じさせることが可能なエキシマランプを提供する。
【解決手段】エキシマランプ10は、外側管20と、外側管20内に同軸配置され、箔状の内側電極30を被覆する被覆管50’と、被覆管50’を被覆する内側管60’とを備える。被覆管50’と内側管60’との間には、相対する2つの放電空間領域S2A、S2Bから成る補助放電空間S2が形成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ軸方向に沿って配設された箔状電極を覆う第1誘電体と、
前記第1誘電体を覆う第2誘電体と、
前記第2誘電体と溶着して主放電空間を形成する放電容器とを備え、
前記主放電空間のランプ軸方向範囲において、前記第1誘電体が、前記第1誘電体と前記第2誘電体との間に補助放電空間が形成されるように、前記第2誘電体と部分的に溶着していることを特徴とするエキシマランプ。
【請求項2】
前記第1誘電体が、少なくとも一方の前記第1誘電体の長さ方向端部において、前記第2誘電体と溶着し、
前記補助放電空間が、ランプ軸方向およびランプ周方向の少なくとも一方向に沿って電界強度が異なるように、前記第1誘電体の外表面と前記第2誘電体の内表面との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
【請求項3】
前記箔状電極が、前記箔状電極のランプ軸方向およびランプ周方向の少なくとも一方向に沿って、電界強度の低い領域で前記第1誘電体と前記第2誘電体とが溶着し、電界強度の高い領域で前記補助放電空間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のエキシマランプ。
【請求項4】
前記第1誘電体が、前記箔状電極のランプ軸方向およびランプ周方向の少なくとも一方向に沿って、電界強度の高い領域で前記第2誘電体と溶着し、電界強度の低い領域で前記補助放電空間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のエキシマランプ。
【請求項5】
前記補助放電空間が、前記箔状電極の縁部を覆う部分に応じた前記第1誘電体の外表面部分と前記第2誘電体の内表面との間に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のエキシマランプ。
【請求項6】
前記補助放電空間が、前記箔状電極の側面を覆う部分に応じた前記第1誘電体の外表面と前記第2誘電体の内表面との間に形成されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項7】
前記第1誘電体および/または第2誘電体の先端部の先端位置が、前記放電容器の先端に設けられた小径部に入り込み、
前記箔状電極のランプ軸に沿った先端位置が、前記小径部より後端側にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項8】
前記補助放電空間が、前記箔状電極の幅方向に沿った前記第1誘電体と前記第2誘電体との距離間隔が、中央部よりも縁部側の方が短くなるように、形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項9】
前記補助放電空間が、前記箔状電極の長さ方向に沿った前記第1誘電体と前記第2誘電体との距離間隔が、中央部よりも端部側の方が短くなるように、形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載されたエキシマランプ。
【請求項10】
ランプ軸方向に沿って配設された内側電極を覆う第1誘電体と、前記第1誘電体を覆う第2誘電体とからなる内側管と、前記内側管の拡径部と溶着して主放電空間を形成した外側管とを備えたエキシマランプにおいて、
前記主放電空間のランプ軸方向範囲において、前記第1誘電体の外表面と前記第2誘電体の内表面との間に補助放電空間を形成し、
前記補助放電空間からランプ軸方向に向けて放射された光の一部を、前記内側管の主放電空間側の先端部および前記拡径部を通じて、前記主放電空間に照射することを特徴とするエキシマランプの点灯方法。
【請求項11】
被覆管となるガラス管内に内側電極を挿入し、または、内側電極に被覆管となる誘電体を被覆する工程と、
内側管となるガラス管内に前記被覆管を挿入する工程と、
前記内側管内を、減圧状態にして封止する、または、前記内側管内に希ガスを大気圧以下で封入する工程と、
前記被覆管と前記内側管との間に管軸方向に沿って補助放電空間が形成されるように、前記内側管を加熱、縮径し、内側管を被覆管と部分的に溶着させる工程と
を含むことを特徴とするエキシマランプの製造方法。
【請求項12】
前記内側管の拡径部と一体的に放電容器を加熱溶着することで、主放電空間を形成することを特徴とする請求項11に記載のエキシマランプの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプに関し、特に、放電空間の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
エキシマランプでは、二重管構造ランプが知られている(特許文献1参照)。そこでは、箔状の内側電極を被覆する誘電体を放電管内に配置し、放電管の外表面に設けられた外側電極と内側電極との間に電圧を印加する。これによって、誘電体と放電管との間に形成された放電空間から紫外線などのエキシマ光が放射される。
【0003】
また、高出力のエキシマランプを確実に点灯するため、放電開始電圧よりも低い電圧で放電する始動補助機能を備えたエキシマランプが知られている(特許文献2参照)。そこでは、二重管構造ランプの内側管内に、始動電圧の低いガスを封入した始動補助用の放電空間が、ランプ軸方向に沿って形成されている。始動補助用の放電空間から放射された紫外光が主放電空間のガスに照射することで、主放電空間での放電が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-38658号公報
【特許文献2】特開2017-4702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
始動補助用の放電空間が内側管全体に渡って形成されると、主放電空間から紫外線が強度一様になってランプ外部へ照射される。しかしながら、エキシマランプを装備した紫外線照射装置、オゾン発生装置等では、主放電において局所的な放電状態を生じさせ、紫外線強度(照度)の抑制やオゾン発生濃度の抑制などが求められる場合もある。
【0006】
したがって、ランプの点灯始動性を高めながら、主放電空間において所望する放電状態を生じさせることが可能なエキシマランプを提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様であるエキシマランプは、ランプ軸方向に沿って配設された箔状電極を覆う第1誘電体と、第1誘電体を覆う第2誘電体と、第2誘電体と溶着して主放電空間を形成する放電容器とを備える。そして、主放電空間のランプ軸方向範囲において、第1誘電体が、第1誘電体と第2誘電体との間に補助放電空間が形成されるように、第2誘電体と部分的に溶着している。
【0008】
第1誘電体は、少なくとも第1誘電体の長さ方向両端部において、第2誘電体と溶着することが可能であり、補助放電空間は、ランプ軸方向およびランプ周方向の少なくとも一方向に沿って電界強度が異なるように、第1誘電体の外表面と第2誘電体の内表面との間に形成することができる。
【0009】
例えば、箔状電極が、箔状電極のランプ軸方向およびランプ周方向の少なくとも一方向に沿って、電界強度の低い領域で第1誘電体と第2誘電体とが溶着し、電界強度の高い領域で補助放電空間が形成することが可能である。この場合、補助放電空間が、箔状電極の縁部を覆う部分に応じた第1誘電体の外表面部分と第2誘電体の内表面との間に形成すればよい。
【0010】
あるいは、第1誘電体が、箔状電極のランプ軸方向およびランプ周方向の少なくとも一方向に沿って、電界強度の高い領域で第2誘電体と溶着し、電界強度の低い領域で補助放電空間を形成することが可能である。この場合、補助放電空間は、箔状電極の側面を覆う部分に応じた第1誘電体の外表面と第2誘電体の内表面との間に形成可能である。
【0011】
第1誘電体および/または第2誘電体の先端部の先端位置が、放電容器の先端に設けられた小径部に入り込み、箔状電極のランプ軸に沿った先端位置が、小径部より後端側にあるように構成することが可能である。ここで、「小径部に入り込む」とは、先端部の先端位置が、容器軸方向に沿って小径部のランプ中央側端部よりも小径部底面側に位置することを示す。
【0012】
補助放電空間は、箔状電極の幅方向に沿った第1誘電体と第2誘電体との距離間隔が、中央部よりも縁部側の方が短くなるように、形成することができる。また、補助放電空間は、箔状電極の長さ方向に沿った第1誘電体と第2誘電体との距離間隔が、中央部よりも端部側の方が短くなるように、形成することができる。
【0013】
本発明の一態様であるエキシマランプの点灯方法は、ランプ軸方向に沿って配設された内側電極を覆う第1誘電体と、第1誘電体を覆う第2誘電体とからなる内側管と、内側管の拡径部と溶着して主放電空間を形成した外側管とを備えたエキシマランプにおいて、主放電空間のランプ軸方向範囲において、第1誘電体の外表面と第2誘電体の内表面との間に補助放電空間を形成し、補助放電空間からランプ軸方向に向けて放射された光の一部を、内側管の主放電空間側の先端部および拡径部を通じて、主放電空間に照射する。
【0014】
本発明の一態様であるエキシマランプの製造方法は、被覆管となるガラス管内に内側電極を挿入し、または、内側電極に被覆管となる誘電体を被覆する工程と、内側管となるガラス管内に被覆管を挿入する工程と、内側管内を、減圧状態にして封止する、または、内側管内に希ガスを大気圧以下で封入する工程と、被覆管と内側管との間に管軸方向に沿って補助放電空間が形成されるように、内側管を加熱、縮径し、内側管を被覆管と部分的に溶着させる工程とを含む。例えば、内側管の拡径部と一体的に外側管を加熱溶着することで、主放電空間を形成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ランプの点灯始動性を高めながら、主放電空間において所望する放電状態を生じさせることが可能なエキシマランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態であるエキシマランプの側面側から見た概略的断面図である。
図2】第1の実施形態であるエキシマランプの軸方向側から見た概略的断面図である。
図3】第2の実施形態であるエキシマランプの箔状電極の幅方向に沿った側面側から見た概略的断面図である。
図4】第2の実施形態であるエキシマランプの箔状電極の厚さ方向に沿った側面側から見た概略的断面図である。
図5】第2の実施形態であるエキシマランプの側面側から見た概略的断面図である。
図6】第3の実施形態であるエキシマランプの箔状電極の幅方向に沿った側面側から見た概略的断面図である。
図7】第3の実施形態であるエキシマランプの箔状電極の厚さ方向に沿った側面側から見た概略的断面図である。
図8】第3の実施形態であるエキシマランプの軸方向側から見た概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、第1の実施形態であるエキシマランプの側面側から見た概略的断面図である。図2は、第1の実施形態であるエキシマランプの軸方向側から見た概略的断面図である。図2は、図1のラインB-Bに沿った断面図に相当する。また、図1の断面図は、図2のランプ中心軸を通るラインに沿った断面図に相当する。
【0019】
エキシマランプ10は、石英ガラスなどの誘電材料から成る断面略円筒状の外側管20と、径方向(以下、ランプ径方向ともいう)Cに沿った幅を有する帯状に延びる箔状電極(以下、内側電極という)30を被覆する柱状(膜状)の第1誘電体(以下では、被覆管という)50とを同軸的に配置するとともに、被覆管50を被覆する筒状の第2誘電体(以下では、内側管という)60は、被覆管50と軸方向の一部で溶着し、ランプ軸Cに沿って延びている。
【0020】
被覆管50と内側管60は、外側管20に対して同軸的に配置され、内側電極30はその幅方向と厚さ方向の中心位置をランプ軸Cに合わせるように、外側管20に対して同軸的に配置されている。内側電極30は、管軸Cに関して対称的な配置となっている。外側管20は、一方の端部20T2において内側管60の拡径部61と一体的に加熱溶着し、これによって放電空間(主放電空間)S1が形成されている。
【0021】
主放電空間S1には、キセノンガスなどの希ガスや希ガスとハロゲンガスとの混合ガスが、放電ガスとして封入されている。放電ガスの封入圧は、例えば5kPa~150kPaに定められている。
【0022】
放電容器10Tは、主放電空間S1を囲む内径一定部分(以下、筒状部という)20T0の両端に、突起状部分(以下、小径部という)22、62を設けている。小径部62は、内側管60の後端側の一部が外側管20に覆われずにランプ後端に向けてランプ軸Cに沿って突出した部分であり、内部を給電線70とそれを被覆する被覆管50の小径部52が貫通している。なお、被覆管50が端部側に露出しないように、内側管60の小径部62により給電線70を被覆することも可能である。
【0023】
小径部22は、ランプ製造の過程で形成され、ランプ先端側に向けてランプ軸Cに沿って放電容器10T(外側管20)から突出している。ここでは、外側管20の先端側を加熱変形して縮径し、外側管20よりも小径のチップ管を溶着させることで、放電容器10Tのランプ軸方向範囲の一部の区間 であって、外側電極40が配設されたランプ軸方向に沿った範囲(軸方向配設範囲)Lよりも径の小さい小径部22が一体的に成形されている。なお、ランプ製造に用いるチップ管を小径部とは別の位置に設けてもよい。
【0024】
被覆管50の端部50T1は、小径部22に入り込み、被覆管50の端部50T1が小径部22と接触し、被覆管50を外側管20内で安定して同軸状に保持される。また、被覆管50の端部50T1では、外面が先細くなる凸状の曲面が形成される一方、小径部22の内面は先細くなる凹状曲面を形成している。これによって、それぞれの加熱成形による寸法誤差に対しても破損しないように、放電容器10Tに対し被覆管50が安定して同軸的に保持される。
【0025】
なお、被覆管50の端部50T1を先端側から覆うようにした有底筒状の内側管60の先端側の端部60T1が、小径部22に入り込む構成にすることも可能である。このような嵌合状態を形成する一方、内側電極30の先端部30T1のランプ軸Cに沿った位置は、小径部22の内部空間にまで入り込むことなく、小径部22よりも後端(放電容器中央)側にすればよい。
【0026】
外側管20の外表面20Sには、電極(以下、外側電極という)40が配設されている。外側電極40は、ここでは、導電性の金属からなる線状の電極部を外側管20の表面に沿って巻き付けて配設した構成であり、管軸Cに沿って螺旋状に所定間隔で離間して巻かれて配置されている。
【0027】
外側電極40の軸方向配設範囲Lは、外側管20の先細くなる両端部20T1、20T2間の内径一定部分である筒状部20T0に定められている。内側電極30の軸方向長さは、ここでは外側電極40の軸方向配設範囲Lに対応している。内側電極30の端部に接続される給電線70は、外部に設置された電源部(図示せず)と接続し、電力が給電線70を介してエキシマランプ10に供給される。
【0028】
高周波(例えば、数kHz~数十MHzの範囲)高電圧(例えば、数kV~十数kVの範囲)が内側電極、外側電極に印加されることにより、エキシマ光が放電空間S1から放射される。ここでは紫外線(例えば、波長172nm)が放電容器外へ放射される。したがって、エキシマランプ10は、オゾン発生による除菌、消臭などを行うオゾン発生装置へ適用することが可能であり、また、対象物に紫外線を直接照射する紫外線照射装置にも適用することができる。
【0029】
被覆管50と内側管60との間には、点灯始動補助用の放電空間(以下、補助放電空間という)S2が形成されている。図1、2に示すように、内側電極30は、ランプ軸C方向全体、かつ内側電極30周回り全体に渡って内側管60と封着(密着)している。また、被覆管50は、その断面形状が略楕円状である一方、内側管60の断面形状は略円状である。内側管60と外側管20との間に環状の主放電空間S1が形成されるとともに、補助放電空間S2が、内側管60の外表面と内側管60の内表面との間に形成されている。
【0030】
ここでの補助放電空間S2のランプ軸方向に沿った補助放電空間範囲(補助放電範囲)Mは、外側電極40の軸方向配設範囲Lより若干短い。そのため、内側電極30の両端部30T1、30T2付近では、被覆管50の外周面と内側管60の内周面とが周方向全体で封着されている。それに対して、内側電極30のランプ軸方向中央を含む中間部分では、内側管60の外周面全体が露出して、それを囲むように、補助放電空間S2が形成されている。また、他の範囲と比較して補助放電空間範囲Mでは、内側管60の外径が大きく、内側管60の外表面と外側管20の内表面との距離間隔が小さい。
【0031】
内側管60が補助放電空間S2に露出した内表面の両端部(補助放電空間範囲Mの両端部)ST1、ST2では、被覆管50と内側管60との距離間隔が徐々に短くなり、放電空間領域が内側管60の両端50T1、50T2側に向けて、空間領域が狭まっていく。そして、内側管60の内表面と被覆管50の外表面との距離間隔が徐々に小さくなりながら、内側管60が被覆管50と溶着している。内側管60の外径も同様に徐々に小さくなり、外表面は滑らかな曲面を形成している。
【0032】
図1に示すように、補助放電空間S2の空間形状は、ランプ(補助放電空間範囲M)中央部ほど径方向断面領域が広く、放電容器10Tの両端の小径部22、52側に近づくほど空間領域が狭まっている。したがって、補助放電空間S2のランプ軸Cに沿った中央部分における内側管60の外周面と内側管60の内周面とのランプ径方向に沿った距離間隔L1は、内側管60が補助放電空間S2に露出した内表面の両端部ST1、ST2における距離間隔L2よりも長い。
【0033】
また、箔状の内側電極30の両縁部30T3、30T4は、ナイフエッジ形状であり、内側電極30は幅方向の中心から縁(端部)に向けて先鋭化し、その厚さは幅方向の中心部の厚さに比べて薄くなり、両縁部30T3、30T4は尖っている。この箔状の内側電極30を被覆する内側管の径方向断面は、箔状の内側電極30厚さ方向に短く(短軸方向)、幅方向に沿って長軸方向が定まる。
【0034】
そのため、図3に示すように、補助放電空間S2は、内側電極30の幅方向(ランプ径方向)の中央部ほど径方向断面領域が広くなっている。したがって、そのランプ径方向に沿った内側管60の内表面と内側管60の外表面との離間距離の長さは、内側電極30の両縁部30T3、30T4付近における幅方向に沿った離間距離の長さT2(図1のL1に相当する)よりも、中心部(ランプ中心軸)付近における厚さ方向に沿った離間距離の長さT1の方が長く、内側電極30の両縁部30T3、30T4に向けて狭まっている。
【0035】
補助放電空間S2は、箔状の内側電極30の表面に沿った長さ方向(ランプ軸方向)の端部30T1、30T2および幅方向(ランプ径方向)の縁部30T3、30T4のいずれに対しても、放電空間領域が徐々に小さくなって先細くなる。
【0036】
このように、被覆管50、内側管60を外側管20に対して同軸的に配置しながら、主放電空間S1と補助放電空間S2とを形成した3重構造の放電容器10Tを備えたエキシマランプ10を構成することにより、従来の2重管構造のエキシマランプの外形を大きく変更することなく補助放電空間S2を形成することができる。また、膜状の被覆管とすることで、従来の2重管構造のエキシマランプの外形と同等とすることができる。
【0037】
上述したように、内側電極30の縁部30T3、30T4は、ナイフエッジ形状であることにより、その付近で電界集中が生じる。一方、被覆管50が断面楕円形状であるため、補助放電空間S2では、放電時において電界強度が周方向に相違し、内側電極30の両縁部30T3、30T4の付近に電界強度が高い空間領域を形成する。
【0038】
しかしながら、それぞれが被覆管50に埋設して、補助放電空間S2には露出していないため、内側電極30の放電による消耗を抑制することができる。また、内側管60に対する内側電極30の位置、すなわち径方向断面長さ方向を製造工程において調整することが可能である。なお、被覆管50の断面形状を円状にすることも可能であり、内側管60の断面形状を楕円状にすることも可能である。
【0039】
補助放電空間S2は、大気圧より低い減圧状態であるか、あるいは、点灯始動時の電圧を低くする希ガス(大気圧以下)が補助放電空間S2に封入されている。内側電極30と外側電極40との間に高周波高電圧を印加すると、補助放電空間S2が減圧状態にあるため、主放電空間S1よりも低い点灯始動電圧によって、放電が補助放電空間S2において先に生じる。そして、補助放電空間S2からランプ径方向に向けて放射された光(ここでは紫外線)の一部が、内側管60を通じて主放電空間S1に照射される。
【0040】
また、補助放電空間S2からランプ軸方向に向けて放射された光の一部は、被覆管50や内側管60の管壁内(管壁の境界面)での反射を繰り返すことによるファイバー効果(通信回路に用いる光ファイバーと同様の原理による効果)により端部50T1、50T2、60T1、60T2に向けて伝達される。
【0041】
ここで、被覆管50の端部50T1(内側管60の端部60T1)の一部は小径部22に入り込んで接触し、内側管60の端部60T2(被覆管50の端部50T2)側には拡径部61を設けている。そのため、ファイバー効果により導かれた紫外線が内側管60の端部60T1(被覆管50の端部50T1)と拡径部61を通じて、外側管20の両端部20T1、20T2側から主放電空間S1に照射される。これにより、主放電空間S1において放電が生じる。
【0042】
このように内側管60内に部分的に形成された補助放電空間S2は、点灯始動性を高める。その一方、補助放電空間S2は、放射光が主放電空間に届く程度の微小な放電を発生させる程度の微小空間領域で形成すればよいため、内側管60内部の大部分を占有するスペースを確保しておらず、部分的な放電空間領域として形成されている。そのため、ランプ点灯の間、内側電極30と外側電極40との間の印加電圧は抑えられ、必要な電力が抑制されることによってランプ耐久性、ランプ寿命を高めることができる。
【0043】
また、放電容器の外周面に沿った照度分布(配光分布)は、放電容器の形状や、その内部で発生させた放電の位置によって異なる。さらに、放電状態は、電極(陽極と陰極)の位置関係や、被覆管や内側管や補助放電空間の形状によって定まる電界強度分布に影響を受ける。しかし、上述したエキシマランプ10は、従来の2重管構造のエキシマランプの外形や放電状態を変更することがないので、紫外線照射装置やオゾン発生装置において、放電維持電圧や照度分布などのランプ特性や、それに適した電源特性に影響を与えることなく、点灯始動性を高めることができる。
【0044】
点灯始動性は、エキシマランプに電圧を印加して、放電容器内の放電から所望な放射スペクトルが得られる安定点灯状態に至る確実さ(確率[%])により把握することができる。エキシマランプは、低温状態や暗黒状態や長時間の休止状態後でも、点灯始動性の確実性(100%の信頼性)が必要とされるが、本実施形態においては、大型の点灯用電源や点灯始動補助用光源を用いることなく、確実に安定点灯状態に至らせることができる、すなわち実質的に100%の点灯始動の確実性をもたせることができる。
【0045】
上記構成によれば、放電空間S1全体に向けて紫外線を放射することが可能であり、放電空間S1において安定した主放電を実現させることができる。一方、補助放電空間S2は、電界強度がランプ軸Cに沿って略一様となるように、内側電極30の軸方向配設範囲の一部の区間に定められている。そのため、放電容器10Tからランプ外へ照射される紫外線光は、ランプ軸方向Cに関して一様な照度分布とすることができる。
【0046】
また、補助放電空間S2の空間領域の変化が漸近的、すなわち内側管60の内面形状の変化が滑らかとなり、曲面部分(例えば、内側管60が補助放電空間S2に露出した内表面の両端部ST1、ST2)への応力集中に起因するランプ強度などの安定性が向上する。そのため、放電空間S1の主放電によって発生する高エネルギーの紫外線により、内側管60が劣化(脆化)したときでも、補助放電空間S2を覆う部分を起点とした放電容器10Tの破損を抑止することができる。
【0047】
第1の実施形態のエキシマランプ10は、例えば、以下のように製造することができる。
【0048】
まず、箔状の内側電極の被覆材となる断面円筒状のガラス管(内側管)を形成する。内側管を成形後、内側電極に給電線を抵抗溶接などによって接続し、有底筒状の内側管内に内側電極を挿入する。内側電極を挿入後、管内を減圧状態(真空)にして、封止する。
【0049】
内側管を回転させながら加熱し、ガラス管が軟化して収縮(縮径)するように変形させる。このとき、内側電極が周方向全体および軸方向全体に渡ってガラス管と密着させる。また、断面楕円形状となるように縮径する。なお、被覆管として少なくとも補助放電空間範囲Mの内側電極の表面に誘電体をコーティングしてもよい。
【0050】
その後、補助放電空間に形成された放電から放射される光に対する透過性を有する誘電材料から、内側電極を被覆する被覆管を成形し、さらに、被覆管を被覆するガラス管(内側管)を成形する。被覆管、内側管を成形後、内側管内に被覆管を挿入し、加熱して縮径させる。
【0051】
このとき、補助放電空間を形成するように、内側管をランプ軸方向に沿って部分的に溶着させる加熱を行う。また、補助放電空間の形成とともに、内側管の一端に対して鍔状(いわゆるそろばん珠形状)の封止部を形成する。なお、内側管を回転させず、内側内周面と箔電極の縁部だけを加熱して密着させるようにしてもよい。
【0052】
外側管に関しては、主放電空間に形成された放電から放射される紫外線の波長における透過性を有する石英管の一端を縮径するとともに開口した導入管(チップ管)を設ける一方、内側管との封止部を開口させた外側管を形成する。そして、内側管を外側管に挿入して同軸配置させ、封止部において加熱溶着させ、放電管を形成する。その後、導入管を通じて真空引きして不純物を除去し、発光管内に放電ガスを封入して導入管を加熱溶融により気密封止する。そして、外側電極を外側管外表面に配設する。
【0053】
次に、図3~5を用いて、第2の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第2の実施形態では、被覆管と内側管とが周方向に沿って箔状電極の側面を覆うように部分的に溶着することで、箔状電極の縁部と対向する範囲に補助放電空間を形成し、補助放電空間がランプ軸方向に沿って被覆管と内側管との間に形成される。
【0054】
図3は、第2の実施形態であるエキシマランプの箔状電極の幅方向に沿った側面側から見た概略的断面図である。図4は、第2の実施形態であるエキシマランプの箔状電極の幅方向に沿った側面側から見た概略的断面図である。図5は、図4のラインB-Bに沿った断面図に相当する。また、図5の断面図は、図4のランプ中心軸を通るラインに沿った断面図に相当する。
【0055】
図5に示すように、被覆管50’は、箔状の内側電極30と封着した後のランプ径方向断面が円状に形成されている。一方、内側管60’は、被覆管50’と溶着した後のランプ径方向断面が楕円状に形成されている。ランプ径方向断面において、内側管60’の短軸方向(内側電極30の厚さ方向)に沿った内面部分60’K2は、内側電極30の側面30S1、30S2側を覆う被覆管50’の外面部分と溶着する。
【0056】
その結果、内側管60’の長軸方向(内側電極30の幅方向)に沿った内面部分60’K1と、内側電極30の縁部30T3、30T4を覆う被覆管50’の外面部分との間に、2つの空間に遮断された放電空間領域S2A、S2Bから構成される補助放電空間S2が形成されている。
【0057】
内側管60’内において、2つの放電空間領域S2A、S2Bは、被覆管50’によって空間的に遮断されている。また、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、内側管60’の断面形状を楕円状にする一方、被覆管50’の断面形状を円状に形成している。
【0058】
放電空間領域S2A、S2Bは、内側電極30の幅方向で相対する位置関係にあり、また、径方向断面に関して対称的である。補助放電空間S2の軸方向区間(補助放電区間)Mは、ランプ軸Cに沿って外側電極40の軸方向配設区間Lより若干短い長さを有する。そのため、内側電極30の両端部30T1、30T2付近では、被覆管50’の外周面と内側管60’の内周面とが周方向全体で封着されている。また、他の範囲と比較して補助放電空間範囲Mでは、内側管60’の外径が大きく、内側管60’の外表面と外側管20の内表面との距離間隔が小さい。
【0059】
それに対し、内側電極30の両端部30T1、30T2の間であって、内側電極30のランプ軸方向中央を含む中間部分では、内側電極30の両側面30S1、30S2を覆う部分のみ被覆管50’と内側管60’とが、周方向に沿った一部で溶着している。これによって、内側電極30の両縁部30T3、30T4の向く方向の空間部分に、補助放電空間S2(S2A、S2B)が形成されている。
【0060】
補助放電空間S2の両端部の放電空間領域SAT1、SAT2、SBT1、SBT2では、第1の実施形態と同様、被覆管50’と内側管60’との距離間隔が徐々に短くなり、放電空間領域が被覆管50’の両端50T1、50T2側に向けて空間領域が狭まっている。そして、内側管60’の内表面と被覆管50’の外表面との距離間隔が徐々に小さくなりながら、内側管60’が被覆管50’と封着している。内側管60’の外径も同様に徐々に小さくなり、外表面は滑らかな曲面を形成している。
【0061】
図4に示すように、補助放電空間S2の空間形状は、ランプ(補助放電空間範囲M)中央部ほど径方向断面領域が広く、補助放電空間S2の両端部の放電空間領域SAT1、SAT2、SBT1、SBT2に近づくほど空間領域が狭まっている。したがって、補助放電空間S2のランプ軸Cに沿った中央部分における被覆管50’の外周面と内側管60’の内周面とのランプ径方向に沿った距離間隔L1は、補助放電空間S2の両端部の放電空間領域SAT1(SBT1)、SAT2(SBT2)における距離間隔L2よりも長い。
【0062】
そのため、放電空間領域S2A、S2Bのランプ径方向断面形状において、ランプ径方向に沿った内側管60’の内表面と被覆管50’の外表面との離間距離の長さは、内側電極30の幅方向(縁部30T3、30T4)に沿った離間距離の長さT2よりも、内側電極30の厚さ方向(側面30S1、30S2)側における離間距離の長さT1の方が短く、ランプ周方向に沿って先細くなっている。
【0063】
補助放電空間S2(放電空間領域S2A、S2B)が、ランプ径方向およびランプ周方向両方に対し、放電空間領域が徐々に小さくなって先細くなる構成により、内側電極30と外側電極40との間に高周波高電圧を印加すると、減圧状態とした補助放電空間S2において、内側電極30の幅方向(両縁部30T3、30T4付近)側に電界強度が高い空間領域を形成される。その結果、主放電空間S1よりも低い点灯始動電圧で補助放電空間S2において先に放電を生じ、主放電空間S1の電界強度が高い空間領域において放電が生じて、安定(定格)点灯に移行しやすくなる。
【0064】
また、主放電空間S1における電界強度は、ランプ周方向に相違し、ランプ軸方向に略等しくなる。その結果、主放電空間S1においても局所的な放電が生じやすく、紫外線強度(照度分布)が、ランプ周方向に沿って偏りをもち、ランプ軸方向Cに関して一様であるように紫外線が放射される。そのため、紫外線照射装置、オゾン発生装置の使用環境に合わせた紫外線照射、オゾン生成を可能にする。
【0065】
被覆管50が、内側管60と周方向の一部で溶着することで補助放電空間S2が形成されることにより、補助放電空間S2の空間領域の変化が漸近的、すなわち被覆管50の内面形状の変化が滑らかとなり、曲面部分への応力集中に起因するランプ強度などの安定性が向上する。そのため、放電空間S1の主放電によって発生する高エネルギーの紫外線により、被覆管50’や内側管60’が劣化(脆化)したときでも、補助放電空間S2を覆う部分を起点とした放電容器10Tの破損を抑止することができる。
【0066】
第2の実施形態のエキシマランプは、以下のように製造することができる。まず、第1の実施形態と同様、被覆管となるガラス管内に内側電極を挿入し、加熱してガラス管を縮径する。このとき、内側電極が周方向全体および軸方向全体に渡ってガラス管と密着させる。また、断面円状となるように縮径させる。なお、内側電極の表面に誘電体をコーティングしてもよい。その後、内側電極を被覆した被覆管を、ガラス管である内側管内に挿入し、加熱して縮径させる。このとき、2つの放電空間領域S1、S2を形成するように、被覆管に対して内側管の周方向の一部をランプ軸C方向に沿って溶着させる加熱、縮径を行う。それ以外の構成については、第1実施形態の工程と同様である。
【0067】
次に、図6~8を用いて、第3の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第3の実施形態では、被覆管と内側管とが周方向に沿って箔状電極の縁部を覆うように部分的に溶着することで、箔状電極の側面と対向する範囲に補助放電空間を形成し、補助放電空間がランプ軸方向に沿って被覆管と内側管との間に形成される。
【0068】
図6は、第3の実施形態のエキシマランプの箔状電極の幅方向に沿った側面側から見た概略的断面図である。図7は、第3の実施形態のエキシマランプの箔状電極の厚さ方向に沿った側面側から見た概略的断面図である。図8は、第3の実施形態のエキシマランプの軸方向側から見た概略的断面図である。
【0069】
図8に示すように、第3の実施形態であるエキシマランプ10では、被覆管50”が、ランプ径方向断面が楕円状に形成されている。一方、内側管60”のランプ径方向断面は、円状に形成されている。そして、ランプ径方向断面において、内側電極30の縁部30T3、30T4側を覆う内側管60”の内面部分は、被覆管50”の長軸方向(内側電極30の幅方向)に沿った外面部分50”K1と溶着している。
【0070】
そして、内側電極30の側面側を覆う内側管60”の内面部分と、被覆管50”の短軸方向(内側電極の厚さ方向)に沿った外面部分50”K1との間に、空間的に隔てられた2つの空間領域が形成され、この2つの空間領域を補助放電空間S2A、S2Bとして補助放電空間S2が形成されている。
【0071】
第2の実施形態と同様に2つの放電空間領域S2A、S2Bが被覆管50”によって空間的に遮断されているが、第3の実施形態では、内側管60”の断面形状を円状にする一方、被覆管50”の断面形状を楕円状に形成している。放電空間領域S2A、S2Bは、内側電極30の厚さ方向で相対する位置関係にあり、また、径方向断面に関して対称的である。
【0072】
放電空間領域S2A、S2Bのランプ径方向断面形状において、ランプ径方向に沿った内側管60”の内表面と被覆管50”の外表面との離間距離の長さは、内側電極30の幅方向(縁部30T3、30T4)に沿った離間距離の長さT2よりも、内側電極30の厚さ方向(側面30S1、30S2)側における離間距離の長さT1の方が長く、ランプ周方向に沿って放電空間領域S2A、S2Bが先細くなっている。
【0073】
このような構成により、内側電極30と外側電極40との間に高周波高電圧を印加すると、減圧状態である補助放電空間S2において、主放電空間S1よりも低い点灯始動電圧で先に放電が生じ、それに応じて、主放電空間S1内の電界強度が高い空間領域に放電が生じて、安定(定格)点灯に移行することができる。
【0074】
このように、第3の実施形態によれば、箔状の内側電極30の断面長さ方向(延伸方向)に関係なく、内側管60”内における2つの放電空間領域S2A、S2Bを、被覆管と内側管の形状、周方向に沿った溶着部分を調整することによって、所望する位置に形成することが可能となる。
【0075】
上述したエキシマランプ10は、第2の実施形態と同様の製造工程によって製造することができる。
【0076】
補助放電空間S2の軸方向区間Mは、外側電極40の軸方向配設区間Lに合わせて構成されているが、補助放電空間S2をランプ中央部あるいは端部に形成するなど、ランプ軸C方向に沿って部分的に内側管60と被覆管50との間に形成してもよい。
【0077】
外側電極に関しては、互いに向かい合うように放電管内壁に埋設させる、あるいは一方を埋設させて他方を放電管外表面に配置するように構成してもよい。また、補助放電空間から放射される光については、紫外線に限定されず可視光でもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 エキシマランプ
20 外側管
30 内側電極
40 外側電極
50 被覆管(誘電体)
60 内側管(誘電体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8