IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社関電工の特許一覧 ▶ 株式会社ニシヤマの特許一覧 ▶ 株式会社ダイドーの特許一覧

<>
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図1
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図2
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図3
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図4
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図5
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図6
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図7
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図8
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図9
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図10
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図11
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図12
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図13
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図14
  • 特開-高所電気工事用アシスト装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182676
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】高所電気工事用アシスト装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20221201BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20221201BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H02G1/02
B66F9/06 W
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090365
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】000134903
【氏名又は名称】株式会社ニシヤマ
(71)【出願人】
【識別番号】390013321
【氏名又は名称】株式会社ダイドー
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】於保 健一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 丙午郎
(72)【発明者】
【氏名】白井 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】江草 良一
【テーマコード(参考)】
3F333
5G352
【Fターム(参考)】
3F333AA09
3F333AB04
3F333AC13
5G352AE05
5G352AJ01
5G352AJ03
5G352AJ09
(57)【要約】
【課題】高所電気工事を行う作業者の肉体的負担を軽減できるアシスト装置を提供する。
【解決手段】高所作業車の作業バケット1の上方周端縁部12に取着される取付具4を有し、かつ、リンクアーム機構20を設けて、操作スティック5を受持するスティック受け具6を、左右前後に水平移動させ、さらに、上方へ常時弾発回転付勢する支援力発揮ユニットを、設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高所作業車(10)のブーム(11)の先端に設けられた上方開口箱型の作業バケット(1)の上方周端縁部(12)に取着される取付具(4)と、
該取付具(4)にアーム基端部(20E)が鉛直軸心(L2 )廻りに回転可能として取着されると共に、アーム先端部(20P)が一水平面(P0 )内において左右前後に水平移動するリンクアーム機構(20)と、
絶縁操作スティック(5)を受持する略Y字状のスティック受け具(6)と、
該スティック受け具(6)が取着されると共に、上記アーム先端部(20P)に水平軸心(L3 )廻りに上下揺動自在として枢着されたスティック受け具保持部材(8)と、
該スティック受け具保持部材(8)を上記水平軸心(L3 )廻りに上方へ常時弾発回転付勢(M1 )する第1ガススプリング(S1 )を有する第1支援力発揮ユニット(U1 )とを、
具備することを特徴とする高所電気工事用アシスト装置。
【請求項2】
上記リンクアーム機構(20)の上記アーム先端部(20P)乃至その近傍部に、下方開口状の係止孔(23)を形成し、
さらに、上記取付具(4)には、鉛直上下方向に移動可能な挿入杆(31)、及び、該挿入杆(31)を上記鉛直上下方向に移動させると共に上記下方開口状の係止孔(23)に下方から挿入させる手動レバー(32)とを、備えたリンクアーム機構折畳み状態保持手段(Y)を、上記バケット取付具(4)に付設した請求項1記載の高所電気工事用アシスト装置。
【請求項3】
上記スティック受け具保持部材(8)は、帯板状であって、長手方向にスライドガイド溝(28)が形成され、
さらに、第2ガススプリング(S2 )を備え、該第2ガススプリング(S2 )の上端部(41)は上記スライドガイド溝(28)にスライド自在に係合すると共に、下端部(42)は上記バケット取付具(4)に枢着され、
上記リンクアーム機構折畳み状態保持手段(Y)によって、上記リンクアーム機構(20)の折畳み状態下で、上記第2ガススプリング(S2 )の上記上端部(41)が上記スライドガイド溝(28)の上端に圧接し、上記スティック受け具保持部材(8)を上記水平軸心(L3 )廻りに上方へ弾発回転付勢するように、
構成した請求項2記載の高所電気工事用アシスト装置。
【請求項4】
上記スティック受け具(6)が上記操作スティック(5)を直接に受ける内面形状が、スティック(5)の横断面形状よりも十分大きい基本凹状部(34)、及び、スティック(5)の横断面円形の半径寸法(R5 )と同等の半径寸法(R1 )に設定した円弧状最下部小凹窪部(35)と、から成る請求項1,2又は3記載の高所電気工事用アシスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所電気工事用アシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高所電気工事のために、高所作業車のブームの先端に設けられた作業バケットに作業者が乗って架空電線の電気工事を行っていた。
その際、作業バケット内の作業者は、両手で絶縁操作スティック(特許文献1,2参照)を握って、作業操作を行う。
【0003】
最近、上記絶縁スティックの先端に取付けられる作業器具類が複雑化し、重量が次第に増加しつつある。
そこで、絶縁スティックの基部を、高所作業車の作業バケットに設置する技術が提案されている(特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3-3110号公報
【特許文献2】特開2019-161778号公報
【特許文献3】特開2017-103863号公報
【特許文献4】特開2000-324637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載の発明では、作業バケットの内部底壁面に、操作スティックを垂直姿勢に設置する構成である。従って、架空電線の真下位置まで、作業バケットを移動させる必要があり、かつ、複雑かつ微妙な電気工事が困難であるという欠点、及び、作業者は真上を向いて作業せねばならず、身体に無理が掛る欠点があった。
【0006】
また、特許文献4に記載の発明では、作業バケットに固着した保持(固定)装置によって、操作スティックを強固に安定して支持できるので、作業者の身体への負担は軽減される。しかしながら、架空電線と作業バケットとの上下・前後・左右方向の相対的位置関係が固定され、容易に変更することができず、架空電線への各種の電気工事をスムーズに行い得なくなり、作業能率が著しく低下するという欠点があった。
特に都市部においては、架空電線が輻輳している場合が多く、高所作業車の作業バケットが工事対象の電線に容易にアプローチすることが出来ない場合がある。このような場合、作業者は重量大なる回転工具や横パイプ部材を操作スティックの先端に付設し、基端を支持して作業を行うことになる。このため、作業者はやや離れた位置から無理な体勢で操作スティックを操作することになり、重心が先端側に偏った操作スティックの取扱いにかかる作業者の負担が大きいものとなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、従来のこのような欠点を解消して、高所作業車の作業バケットに乗った作業者の身体への負担を著しく軽減(疲労を軽減)して、電気工事を能率良く、正確・高品質に行うことができるアシスト装置の提供を目的とする。
【0008】
さらに、作業バケットと(輻輳した)架空電線の被作業箇所との相対的位置関係が、左右・上下・前後に変化しても、作業者は、スムーズに対応でき、正確かつ高品質の作業を行うことができるアシスト装置の提供を、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、高所作業車のブームの先端に設けられた上方開口箱型の作業バケットの上方周端縁部に取着される取付具と;該取付具にアーム基端部が鉛直軸心廻りに回転可能として取着されると共に、アーム先端部が一水平面内において左右前後に水平移動するリンクアーム機構と;絶縁操作スティックを受持する略Y字状のスティック受け具と;該スティック受け具が取着されると共に、上記アーム先端部に水平軸心廻りに上下揺動自在として枢着されたスティック受け具保持部材と;該スティック受け具保持部材を上記水平軸心廻りに上方へ常時弾発回転付勢する第1ガススプリングを有する第1支援力発揮ユニットとを;具備する。
【0010】
また、上記リンクアーム機構の上記アーム先端部乃至その近傍部に、下方開口状の係止孔を形成し;さらに、上記取付具には、鉛直上下方向に移動可能な挿入杆、及び、該挿入杆を上記鉛直上下方向に移動させると共に上記下方開口状の係止孔に下方から挿入させる手動レバーとを、備えたリンクアーム機構折畳み状態保持手段を、上記バケット取付具に付設した。
【0011】
また、上記スティック受け具保持部材は、帯板状であって、長手方向にスライドガイド溝が形成され;さらに、第2ガススプリングを備え、該第2ガススプリングの上端部は上記スライドガイド溝にスライド自在に係合すると共に、下端部は上記バケット取付具に枢着され;上記リンクアーム機構折畳み状態保持手段によって、上記リンクアーム機構の折畳み状態下で、上記第2ガススプリングの上記上端部が上記スライドガイド溝の上端に圧接し、上記スティック受け具保持部材を上記水平軸心廻りに上方へ弾発回転付勢するように;構成した。
【0012】
また、上記スティック受け具が上記操作スティックを直接に受ける内面形状が、スティックの横断面形状よりも十分大きい基本凹状部、及び、スティックの横断面円形の半径寸法と同等の半径寸法に設定した円弧状最下部小凹窪部と、から成る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作スティックの中間部位をスティック受け具に受持させれば、作業者の意志通りに、スティック受け具の先端を左右上下前後方向に、自在に動かすことができ、一定の空間位置に静止した作業バケットから、架空電線の皮剥ぎ(皮剥ぎ取り)、切断、テーピング、その他の各種工事(作業)を、疲れ少なく、容易、かつ、スムーズ・迅速に、行うことができる。特に、操作スティックの先端に、重量大なる回転工具や横パイプ部材等を付設した状態下であっても、操作スティックの(基端寄りの)中間位置は支援力発揮ユニットの弾発的支援力にてサポートされ、作業者の肉体的負担を軽減しながら、スムーズかつ能率的に、電気工事を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】使用状態の一例を示す全体斜視図である。
図2】本発明の実施の一形態を示し、作業者が手で操作スティックを握りつつ、作業バケットから真直前方へ該操作スティックを向けると共に、該操作スティックを最大傾斜角度まで上方へ揺動させた最大振上姿勢を示す図であって、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図3】作業者が手で操作スティックを握りつつ、作業バケットから真直前方へ該操作スティックを向けると共に、該操作スティックを水平に近づけた最大前方寝かし姿勢を示す図であって、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図4図2の最大振上姿勢に対応した要部拡大図であって、(A)は平面要部拡大図、(B)は側面要部拡大図である。
図5図2図3の中間傾斜姿勢を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図6図3の最大前方寝かし姿勢に対応した要部拡大図であって、(A)は平面要部拡大図、(B)は側面要部拡大図である。
図7図4(B)を他の側面から見た側面拡大図である。
図8図5(B)を他の側面から見た側面拡大図である。
図9図6(B)を他の側面から見た側面拡大図である。
図10】平面図であって、(A)は図3(A)から操作スティックを右振りした状態を示す平面図、(B)は左振りした状態を示す平面図である。
図11】最大振上姿勢であって、右振りした状態を示す側面図である。
図12】中間傾斜姿勢であって、右振りした状態を示す側面図である。
図13】最大前方寝かし姿勢であって、右振りした状態を示す側面図である。
図14】第1ガススプリングを有する第1支援力発揮ユニット、及び、スティック受け具保持部材を示す一部断面拡大側面図である。
図15】スティック受け具の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1に於て、10は高所作業車であり、その伸縮ブーム11の先端には、上方開口箱型の作業バケット1が設けられる。電柱2,2の上部に懸架された、電線(架空電線)3に対して、伸縮ブーム11の回転及び伸長作動によって、図1のように接近させる。原則的には電線3の手前かつ僅かに下方位置に、作業バケット1を接近して、停止させる。
【0016】
本発明に係るアシスト装置30は、上記作業バケット1の上方周端縁部12の一部に取付けられる。
作業者Mは、作業バケット1に乗り込んでおり、このバケット1内から、本発明に係るアシスト装置30によって、操作スティック5を支持させながら、各種の電気工事(作業)を、行う。
【0017】
図2図13に示すように、本発明のアシスト装置30は、作業バケット1の上方周端縁部12に取着される取付具4を有する。図例では、横断面形状が角張った“h型”である。言い換えれば、作業バケット1の上方周端縁部12に上方から外嵌状として嵌込まれる(下方開口状の)コの字部(チャンネル部)4Cと、そのコの字部4Cの角部から上方突出状に連設された上方突片部4Hとから成る。なお、(図示省略するが、)例えば、下方開口状としたコの字部4Cの一部に、ネジ孔を開設して、そのネジ孔にボルトを螺進して、上方周端縁部12に、強固に取着固定するのが、望ましい。
【0018】
そして、20はリンクアーム機構であり、取付具4にアーム基端部20Eが鉛直軸心L2 廻りに回転可能として取着され、かつ、アーム先端部20Pが一水平面P0 内において、図4図5図6に示した如く、左方NL ・右方NR ・前方NF ・後方NB に水平移動する。これを「一水平面内二次元移動」と呼ぶこととする。なお、前方NF とは、図1、及び、図2図3に示したように、バケット1にアシスト装置30を取着した平面視四角形の上方周端縁部12の一辺12Aから操作スティック5が平面視が一辺12Aと垂直に伸びる方向を、言うものと定義する。従って、図1及び図2図3から、左方NL ,右方NR ,後方NB も、明らかとなる。
【0019】
そして、6は、操作スティック5を受持可能な略Y字状のスティック受け具である。また、8はスティック受け具保持部材であって、具体的には先端が丸味のある帯板材から成る。そして、この保持部材8は、上記アーム先端部20Pに、水平軸心L3 廻りに上下揺動自在として枢着されている。
【0020】
上記スティック受け具6は、操作スティック5を受ける2叉分岐型の上半部6Aと、下半短柱部6Bとから成る。そして、短柱部6Bには、縦方向スリット6Sが貫設され(図4図5参照)、このスリット6Sに対して、帯板状のスティック受け具保持部材8が、(その先端から)差込まれ(挿通され)、ボルト7等にて固着されている。
【0021】
また、所定ピッチをもって、多数個の取付用小孔9…が帯板状の保持部材8の長手方向に、貫設され(図14参照)、上記ボルト7等を抜出せば、所望位置の小孔9に対応した位置に、スティック受け具6を、スライドさせて、上記ボルト7等により、保持できる。なお、図4図9等では、保持部材8の最先端位置の小孔9にボルト7にて、スティック受け具6を、保持(取着)した場合を示している。
【0022】
そして、スティック受け具保持部材8(及びスティック受け具6)を、前記水平軸心L3 廻りに上方へ常時弾発回転付勢───矢印M1 参照 ───する第1ガススプリングS1を有する第1支援力発揮ユニットU1 を、具備している(図14、及び、図4図6参照)。
【0023】
第1支援力発揮ユニットU1 は、水平軸心L3 を有する固定軸13に固着した静止カム14を備える。他方、保持部材8の基部に固設の小ケーシング15は、軸受16を介して軸心L13廻りに揺動自在であり、この小ケーシング15内に、揺動アーム17が第一軸21廻りに揺動自在として設けられている。この揺動アーム17の揺動先端寄りには、カム用ローラ18とガススプリング用ローラ19が、枢着されている。
【0024】
第1ガススプリングS1 のロッド22は、ガススプリング用ローラ19に当接して押圧し、第一軸21廻りに揺動アーム17を(図の下方へ)押圧し、カム用ローラ18がカム14に圧接する。
【0025】
ところで、第1ガススプリングS1 のロッド22の軸心の延長線上には、カム14とローラ18との接触点(押圧点)が存在せず、さらに、カム14のカム接触曲線の設定に伴って、第1ガススプリングS1 の弾発的押圧力に対する反力が、逆に、カム14から揺動アーム17及びロッド22に作用する。それによって、矢印M1 に示す回転モーメントが、保持部材8に付与される。
【0026】
ところで、リンクアーム機構20のアーム先端部20P乃至その近傍部には、下方開口状の係止孔23を形成しておく。
リンクアーム機構20は、図4図9に例示したように、倒立L字型パイプ24と、その上端(先端)に固設の軸受外筒体25を、上記パイプ24の下端に形成された軸受内挿部と、から構成される複数のリンク単体26から、構成されている。そこで、最上方位置のリンク単体26の軸受外筒体25Hの孔部の下部を、前述の下方開口状の係止孔23に流用することができる。
【0027】
そして、図4図9、及び、図11図13に於て、取付具4の上方突片部4Hが存在する側面(内面)27には、鉛直上下方向に移動可能として挿入杆31を鉛直上下方向に移動させると共に(前述の)下方開口状の係止孔23に対し、下方から挿入させる手動レバー32とを、備えたリンクアーム機構折畳み状態保持手段Yを、付設する。
【0028】
図4図9、及び、図11図13に示すように、スティック受け具保持部材8は、帯板状であり、その長手方向に沿って取付用小孔9が配設されると共に、さらに、それと平行に狭小な幅寸法のスライドガイド溝28が形成されている。そして、S2 は、第2ガススプリングであって、この第2ガススプリングS2 の上端部41は、スライドガイド溝28にスライド自在に係合している。
また、第2ガススプリングS2 の下端部42はバケット取付具4に、揺動自在として、枢着されている。
【0029】
そして、図7図11、及び、図2図4に示したように、リンクアーム機構折畳み状態保持手段Yによって、リンクアーム機構20の折畳み状態下で、第2ガススプリングS2 の上端部41が、スライドガイド溝28の上端に(当接し)圧接状態となる。
【0030】
このように、第2ガススプリングS2 の上端部41がスライドガイド溝28の上端に圧接することによって、スティック受け具保持部材8を上記水平軸心L3 廻りに上方へ(矢印M2 で示すように)弾性回転付勢する。従って、図7図11に示したリンクアーム機構20の折畳み状態下では、第2ガススプリングS2 と第1ガススプリングS1 の弾発付勢力を、合算発揮させた状態となる。
【0031】
そして、図15に示すように、スティック受け具6(の上半部6A)が操作スティック5を直接に(当接状態として)受ける内面形状は、スティック5の外径円形の横断面形状よりも十分に大きい基本凹状部34、及び、スティック5の横断面円形の半径寸法R5 と同等の半径寸法R1 に設定した円弧状最下部小凹窪部35と、から成る。
【0032】
基本凹状部34の半径寸法をR2 とすれば、2.5・R5 ≦R2 ≦5・R5 (数式1)のように設定するのが望ましい。また、小凹窪部35の半径寸法をR1 とスティック5の半径寸法をR5 との間には、次の数式2が成立するのが望ましい。
1.05・R5 ≦R5 ≦1.5・R5 (数式2)
【0033】
上記数式2に於て、R5 が下限値未満であるとスティック5が嵌合しにくい場合がある。逆に上限値を越えると、適度の拘束範囲にスティック5を維持でき難くなる。
また、上記数式1に於て、下限値未満であると、比較的自由にスティックを左右へ振ることが困難となる。また、上限値を越すと、基本凹状部34から、不意に、スティック5が作業中に、離脱する虞れがある。
【0034】
図2図3では、操作スティック5を真直に前方NF へ向けて、図示省略の架空電線3の各種作業を行っている状態を示し、また、図10(A)では、操作スティック5を右方NR へ振って使用し、図10(B)では左NL へ振って使用している状態を示す。この図2図3図10(A)(B)に示した平面図から判るように、操作スティック5の先端5Aは、平面視左右前後に揺動し、全体的に扇型領域をカバーできることが判る。従って、図1に示した斜視図に於て、作業バケット1から、電気工事作業内容に応じて、最も作業し易い位置から、十分に少ない身体的負担で作業を行うことが可能である。このとき、第2ガススプリングS2 の直線方向の強い弾発付勢力、及び、(第1ガススプリングS1 とカム14を有する)第1支援力発揮ユニットU1 の矢印M1 方向の弾発支持力により、作業者Mの肉体的負担を著しく低減することができる。
なお、本発明の用途としての「電気工事」として、「通信線工事」も、包含するものと定義する。
【0035】
本発明は、以上詳述したように、高所作業車10のブーム11の先端に設けられた上方開口箱型の作業バケット1の上方周端縁部12に取着される取付具4と;該取付具4にアーム基端部20Eが鉛直軸心L2 廻りに回転可能として取着されると共に、アーム先端部20Pが一水平面P0 内において左右前後に水平移動するリンクアーム機構20と;絶縁操作スティック5を受持する略Y字状のスティック受け具6と;該スティック受け具6が取着されると共に、上記アーム先端部20Pに水平軸心L3 廻りに上下揺動自在として枢着されたスティック受け具保持部材8と;該スティック受け具保持部材8を上記水平軸心L3 廻りに上方へ常時弾発回転付勢M1 する第1ガススプリングS1 を有する第1支援力発揮ユニットU1 とを;具備する構成であるので、操作スティック5の中間部位が弾発的に常時受持されて、左右上下前後に、スティック先端5Aを動かすことが可能となり、各種の作業を、疲れずに、能率的に行うことができる。特に、スティック5の先端に、5kg~12kgもの重量大の回転工具や横パイプ部材等が取着した状態下でも、十分にリンクアーム機構20と第1支援力発揮ユニットU1 による弾発的サポートによって、作業者の肉体的負担を著しく軽減できる。しかも、操作スティックの先端5Aの取付工具を上下左右及び前後方向に動かすことができて、作業全体を容易かつスムーズに(肉体的負担を軽減して)行うことが可能となる。
【0036】
また、上記リンクアーム機構20の上記アーム先端部20P乃至その近傍部に、下方開口状の係止孔23を形成し;さらに、上記取付具4には、鉛直上下方向に移動可能な挿入杆31、及び、該挿入杆31を上記鉛直上下方向に移動させると共に上記下方開口状の係止孔23に下方から挿入させる手動レバー32とを、備えたリンクアーム機構折畳み状態保持手段Yを、上記バケット取付具4に付設したので、重量の大きい工具等を操作スティック5の先端5Aに取付けた状態であっても、確実に安定姿勢に操作スティック5を維持できて、能率良く、かつ、安全に作業を行い得る。
【0037】
また、上記スティック受け具保持部材8は、帯板状であって、長手方向にスライドガイド溝28が形成され;さらに、第2ガススプリングS2 を備え、該第2ガススプリングS2 の上端部41は上記スライドガイド溝28にスライド自在に係合すると共に、下端部42は上記バケット取付具4に枢着され;上記リンクアーム機構折畳み状態保持手段Yによって、上記リンクアーム機構20の折畳み状態下で、上記第2ガススプリングS2 の上記上端部41が上記スライドガイド溝28の上端に圧接し、上記スティック受け具保持部材8を上記水平軸心L3 廻りに上方へ弾発回転付勢するように;構成したので、作業全体に渡って、常に第1ガススプリングS1 によってサポートされつつ操作スティック5にて作業がスムーズに、かつ、左右前後方向の広範囲に渡って、スティック先端5Aを動かして―――取着した作業工具を動かして―――作業ができると共に、必要に応じて、第2ガススプリングS2 によるストレートな弾発付勢力を付加できて、大きい負荷にも対応できる。
【0038】
また、上記スティック受け具6が上記操作スティック5を直接に受ける内面形状が、スティック5の横断面形状よりも十分大きい基本凹状部34、及び、スティック5の横断面円形の半径寸法R5 と同等の半径寸法R1 に設定した円弧状最下部小凹窪部35と、から成る構成であるので、仮に円弧状最下部小凹窪部35が無い場合には、操作スティック5が不安定に左右に振れて、作業が困難となる虞れも、かつてあったが、本発明では、このような不安定な振れを防いで、操作スティック5の先端工具による微妙な作業も、安定して行い得る。
【符号の説明】
【0039】
1 作業バケット
4 取付具
5 操作スティック
6 スティック受け具
8 スティック受け具保持部材
10 高所作業車
12 上方周端縁部
20 リンクアーム機構
20E アーム基端部
20P アーム先端部
23 係止孔
28 スライドガイド溝
31 挿入杆
32 手動レバー
34 基本凹状部
35 円弧状最下部小凹窪部
41 上端部
42 下端部
2 鉛直軸心
3 水平軸心
1 弾発回転付勢(矢印)
0 一水平面
1 半径寸法
5 半径寸法
1 第1ガススプリング
2 第2ススプリング
1 第1支援力発揮ユニット
Y リンクアーム機構折畳み状態保持手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15